ヨルダン
大統領師匠
【閉館】SPACE 梟門(東京都)
2017/12/05 (火) ~ 2017/12/10 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/12/05 (火) 19:30
価格2,800円
全編、多かれ少なかれブラックな要素がありつつ、それぞれに可笑しい。
各編をリンクさせたりしない「完全オムニバス」だと1編くらいはイマイチなものがあるのが大半(私見)だが、本作は終始頬が弛んだし時として声をあげて笑った♪
『座敷わらし ―眠るは我が愛し子―』
鬼の居ぬ間に
古民家 asagoro(東京都)
2017/11/29 (水) ~ 2017/12/03 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/11/30 (木) 14:00
価格2,000円
取りようは二通りあろうがσ(^-^) はあえて「優しい話」と受け取った。終盤で「もしやそれは」と思ったことが予期したものより穏やかだったからかも? また、冒頭で「何?何故?」と思った「あれ」が終盤でちゃんと回収されるのも巧い。
それにしても雨戸を閉めてマチネでも薄暗いあの会場に「あんなこと」までして不穏な(?)雰囲気を漂わせるのはズルいなぁ。意識がコワい方、コワい方へと行かざるを得ないじゃないか!(笑)
ふしぎな影
世田谷シルク
こまばアゴラ劇場(東京都)
2017/11/24 (金) ~ 2017/11/29 (水)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/11/29 (水) 14:00
人形と人間の無言劇に影絵と「生演奏・生音響」も加えた複合表現。言葉がないだけに解釈の余地も大きくイメージも膨らませ易いか。ライブアクションも伴っていたとはいえ、湖(?)の影絵表現が特に見事。
【余談】
舞台の中ほどの一部あるいは全部に白い布を下げて舞台奥に設置した灯体を使って影を見せる手法が多かった今年、本作が今年ラストかと思いきやその日の夜に観た「FunIQのかけ算5 × モラル パン屋爆発」でもそれを見るとは……
なんどのあわせ
劇団五〇鬼
北池袋 新生館シアター(東京都)
2017/11/23 (木) ~ 2017/11/28 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/11/23 (木) 19:00
価格2,000円
民間伝承の「妖怪」を自分の利益(あるいは復讐?)のために利用しようとする者の顛末。考えてみると映画全盛期に大映が創っていたオリジナルの怪談時代劇の現代版のようなものではないか?
そしてそんな「21世紀にもまだ生き残っている土着的怪談」を、設定や演出・演技、舞台美術などによりちゃんと成立させてしまうのがこの団体の巧いところ。
「妖怪そのものよりも、それを利用しようとする人間の方がおぞましい」なんてのはよく言われるけれど、そういうおぞましさ、醜さ、悪意などの概念を具現化したのが妖怪なのでは?なんてことも考えた。
妖怪・納戸婆の表現も心霊写真や夏に放映される怪談特集の再現映像の舞台版のようで良かった。あれでもっと白ければ……なんてのは無理だな(笑)
黄金のコメディフェスティバル2017
黄金のコメディフェスティバル
シアター風姿花伝(東京都)
2017/11/10 (金) ~ 2017/11/19 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/11/19 (日) 12:00
価格9,000円
19日12時開演の千秋楽ぶっ通しスペシャルを。(その時のツイートを編集)
【映像・舞台企画集団ハルベリー「オトナモドキ」】
未回収気味の部分があるのとオチが今一つ決まらないのが珠に瑕だが全体の構成・運びや「本物とは?」という問いかけなどなかなか良い。
【OLヴィーナスはちみつシアター「りんごの答え」】
前半が平板なのが惜しい(※)が、テーマとオチが上手く、歌とダンスのシーンは楽しく、さすが。
※ 導火線が長いというか開けた景色に出るまでの細い道が長かったという印象。たまに小さな発破とか景色がかいま見える所があれば……的な。
【the pillow talk「ほってもほっても、穴」】
突飛な設定、突飛な人物たちを巧く組み合わせて笑いを連続して生み出すもオチがやや弱いか?(主人公が孤立するというビターさゆえ、ではなく)
【スズキプロジェクトバージョンファイブ「たとえ話サークル殺人事件」】
孤島の孤立した状況での殺人事件を解明する探偵……というありがちな状況を上手くコメディに仕立て上げた上に小ネタもちりばめて愉快。ラスト近くの喩えの連発も見事。
【MU「やっぱり猫が行方不明」】
典型的なMU作品。そう言えばMU作品って基本はオトナのコメディだもんなぁ。それが「ワカり易いコメディ」複数の中でどう受け取られるか、だね。
【ピヨピヨレボリューション「ボーイ・ミート・ガール!!~凝り性のサンタ、苦労する~」】
作品自体はハートウォーミングな秀作クリスマスファンタジーではあるが、「コメディ」という基準で見ると弱いのではないか?(「コメディ」の解釈にもよるが)
Gteam105分+休憩40分+Cteam105分+休憩45分+Fteam110分+休憩40分+でべそミニライブ20分+休憩25分+表彰式95分=585分
昭和芸能舎版 パッチギ!~東京1968~
昭和芸能舎
赤坂RED/THEATER(東京都)
2017/11/21 (火) ~ 2017/11/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/11/22 (水) 19:00
座席J列12番
価格3,300円
2009年12月に新国立劇場・中劇場上演された舞台のセルフカバー。
韓国や北朝鮮との摩擦が大きくなりつつある今、かつて日本が何をして隣国で何が起きたかは忘れてはいけない、知らなくてはならないことで、それを背景とした本作の上演は有意義。折に触れ再演していただきたい。
闇に咲く花-愛嬌稲荷神社物語
劇団俳協
TACCS1179(東京都)
2017/11/22 (水) ~ 2017/11/26 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/11/24 (金) 18:30
座席D列15番
この規模ゆえか台詞、音響に若干の不備と演出に微かな疑問がないでもないが、戯曲の魅力がそれらを補って余りある。五場の「忘れてはいけない、忘れたふりをするのはもっといけない。過去の失敗を覚えていない人間の未来は暗いよ」という台詞の鋭さよ。
これも30年くらい前に書かれたものですでに5回くらい観ているが、この台詞がここまで辛辣に聞こえたのはこの時勢ゆえ。
また、かつては「死」の「穢れ」を遠ざけていた神社を人を死地に送り出し、空襲による遺体を焼却する場へと変貌させたものへの怒りも五場で語られ、「忘れてはいけない……」の台詞はこの直後だけに本当に効くんだな。
しかし舞台下手や中央にいる赤子の声も常に上手奥のソデから聞こえてくるのはいかがなものか? 別の赤子が境内にいると錯覚しかねないぞ。
『 み ち 』(deux)
miel(ミエル)
SOYO per tutti(東京都)
2017/11/18 (土) ~ 2017/11/19 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/11/18 (土) 19:00
価格2,500円
おサレな街のおサレな店でのリーディング&ムーブメントの複合型パフォーマンス、開演前はテキスト提供者のみ開示されるのでどのパートが誰のものか推し量るのも一興……とはいえ、今回は比較的たやすかったかも。
また、テキストを見ながらの時に媒体に個性が出ているのも面白い。
マイムと口笛(!)による(=言葉がない)開演前諸注意も面白かったな。上演時間、ケータイ等の電源、有事の際の3つだったっけ?
ベケット『芝居―PLAY―』
楽園王
サブテレニアン(東京都)
2017/11/15 (水) ~ 2017/11/19 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/11/16 (木) 19:30
価格2,500円
昨年春のd-倉庫での初演も観てシカケを知っていたが、この会場ならではの演出(「あの状況」で「あんな所」からも声が聞こえる奇襲)も加わってやはり楽しい。さらにアフタートークで演出過程なども聞けてホクホク♪
新たに加わった手法に、かれこれ40年くらい前の「バイノーラル録音」(人の頭を模した形の耳の部分に無指向性マイクを仕込んだダミーヘッドマイクで録音した音をヘッドフォンで聞く)のソフトを連想した。
なお、初演時のツイートを見たら「芝居の因数分解もしくは三枚おろし」と喩えていて、我ながら「言い得て妙」(笑)。
風紋 ~青のはて2017~
てがみ座
赤坂RED/THEATER(東京都)
2017/11/09 (木) ~ 2017/11/19 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/11/11 (土) 19:00
座席J列6番
旅に病んだ宮沢賢治が投宿した3日間の物語。語り口、装置なども含めててがみ座ど真ん中で「亡くした大切な人への想い」がしみいる。
装置と言えば窓のデザインに鵺的「奇想の前提」を連想。また、照明もステキ。(やはり今年のトレンド?)
新宿コントレックスVol.18
Aga-risk Entertainment
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2017/11/17 (金) ~ 2017/11/18 (土)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/11/18 (土) 14:30
価格2,000円
前菜三種盛り、スープ、魚料理、肉料理のコース的な印象。前半2組は巧いが落とし所が予想できてしまう(1組目1編目を除く)のが惜しい。対して後半2組はさすが。エクストリーム・シチュエーションコメディは研きがかかっていたしなぁ。
冨坂さんが書いた「本来の形の」エクストリーム・シチュエーションコメディは複数回観たので、「ゲイ・ルーニーが書いた(笑)」5人バージョンも機会があったら観てみたいもんだ。(ほぼ真顔)
きらめく星座
こまつ座
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2017/11/05 (日) ~ 2017/11/23 (木)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/11/06 (月) 13:00
座席11列10番
大好きな作品であり再演の度にほぼ観てきたが、第三場で竹田が口にする「国の行く末をこじつけで決められては……」という台詞、今まで一番実感として響く。変な時代になったもんだ。
笑いでくるんではいるが芯には鋭い戦争批判があるこういう作品は「不朽の名作」などになってはならず「そんな時代もあったんだね」と受け取られるようになるべきなのに、初演の頃より遥かに身近に感じられてしまうってどういう世の中だよ。
それにしてもやはり名作。次に観るのは何年後か、どんな配役か、などと考える。間違っても「こういうテーマはけしからん」と上演禁止にするような世の中にならないよう願う。
配役と言えば、すまけい、夏木マリ、犬塚弘、藤木孝、橋本功、名古屋章、大高洋夫、斉藤とも子、高橋長英なんて以前の出演者を思い浮かべながら観ていた。
骨と肉
JACROW
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2017/11/15 (水) ~ 2017/11/20 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/11/15 (水) 20:00
価格3,000円
某企業で実際にあった父娘の「お家騒動」に想を得た物語、日本的なナニワブシ的経営か合理的な経営かをめぐって主に取締役会を中心に進むハラハラドキドキワクワクニヤニヤの2時間弱、キャラの立った人物造形とテンポ良い進行で体感的に短い印象。そして何より語弊を恐れずに言えば楽しい。
冒頭場面での父娘の言い争いの迫力たるや。人の「怒り」の表現として同時期に公演中のアマヤドリ「崩れる」と(タイプは違えど)双璧を成すのではないか?(とはいえ、それ以降は戯画化された人物等の表現に頬が緩みっ放しではあったのだが)
「討論の苦手な日本人が12人の怒れる男のような状況に置かれたらどうなるか考えて書いた」という「12人の優しい日本人」をも連想。取締役会の進め方がいかにも終身雇用制や同族経営が長く続いてきた日本の会社(での保身を考える者たち)のそれっぽかった。
ファンタジアック
フロアトポロジー
ギャラリーLE DECO(東京都)
2017/11/15 (水) ~ 2017/11/19 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/11/15 (水) 15:00
価格3,500円
とある大好きな小説(と、最近観た映画)を想起させる脳科学的サスペンス。「え、そこはどゆこと?」な部分に自分なりの推理・解釈をしながら観るのが楽しいのなんの。出演者も美形揃いだし、満足♪
なお、ある場面に既視感アリ。たぶん予知夢で見たものと思われる。ちょっと題材にもリンクしているという不思議体験。
安吾二篇
劇団肋骨蜜柑同好会
新宿眼科画廊(東京都)
2017/11/10 (金) ~ 2017/11/13 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/11/13 (月)
千穐楽に2プログラムを観劇。
15時「散る日本」
立体随筆あるいは極めてアクティブなリーディング。将棋対局観戦記を主たる読み手と2人の役者で「見せる」趣向、小説や落語の「立体化」はままあるが随筆でそれをやりますか、的な。
そして対局中の棋士もさることながら赴く時の満員電車がアッパレ!
20時「白痴」
後半の空襲のくだりが凄まじい。ギャラリーという制限の中でも演技、音、明かりで観客にその様子を「見せる」感じ。アマヤドリの「悪い冗談」も思い出した……ってか、いつかコラボ公演をしてはどうか?とも思う。
音に関しては音量で迫力を出すということではなく、静かな部分とのコントラストを巧く使って空襲後の静けさに含まれる複数ものや感情を想像させる、的な……かつてドラマや映画などで観た空襲に関する記憶を呼び起こさせられたのか?そして追体験するような効果をあげる、とか?
騒動が鎮まった静寂は平安を表すとは限らない、すべてが死に絶えた静寂だってある……
みごとな女
SPIRAL MOON
サブテレニアン(東京都)
2017/11/08 (水) ~ 2017/11/12 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/11/09 (木) 19:30
価格3,000円
サブテレニアンでは初めて目にするような凝った美術もあいまって「ド」「真」「the」が附くほど昭和の薫りが濃厚な会話劇。外の景色まで見えるようでもあった。さらに毎度ながら照明もステキ。
マナミの正解
劇団ペリカン
阿佐ヶ谷アートスペース・プロット(東京都)
2017/11/28 (火) ~ 2017/12/03 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/11/30 (木) 19:00
価格3,500円
最初にこれからご覧になる方にアドバイス。前回とコンセプトを変えてモチーフとなった乃木坂46の楽曲3曲にかなり即した部分もあるので、早めに行って当日パンフレットに掲載されている歌詞に目を通しておくことを強く推奨。ニヤリとできます。(いや、終演後の方がワカり易いか?)
悪く言えば教科書通りで優等生風、もっと悪く言えばあれこれベタだが逆に言えば基本に忠実で手堅いし、それに何より会話の上手さ(受け答え・ラリーの続け方など)や演技がそれを補って余りあるし面白い。
冒頭の高校時代の場面など誰でも似た思いをしていそうで郷愁をそそられかつ共感を抱き、物語に入り込み易くしているし、電話の交差からの全員登場は良いアクセントとなり効果抜群。
女子トリオが7~8年経ってもキャラが変わらないのもいかにも、な感じで可笑しいし、3人と言えば酔っぱらいトリオもあるある・いるいる的で楽しい。
前回ちょっと気になった舞台と客席の位置が通常と逆なので上手の席だと入口斜め上にあるオペブースの動きと薄明かりが視野に入る点も改善されていたし、総じてかなり満足。
以上、個人の、そして贔屓目での感想であることを悪しからず御了承くださいませ。(爆)
そう言えば当日パンフレットの出演者紹介、役名も併記して欲しい。次回以降の検討を望む。
希望の星
希望の星
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2017/11/08 (水) ~ 2017/11/12 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/11/09 (木) 14:00
価格3,000円
地球外生命体の発見が期待される星への宇宙船の到着を報じる特別番組のスタジオと宇宙船内の様子を交互に見せて、実は……。
少年時代に胸をときめかせて読んだSFのような懐かしさと「大宇宙で地球はひとりぼっちではない」的なスケールの大きなロマンが好み。よくある手口ながら「あるシカケ」にも気持ちよく騙された♪
ヒラエス
たすいち
シアター711(東京都)
2017/10/04 (水) ~ 2017/10/09 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/10/06 (金)
10月6日に14時の新月ver.と19時半の満月ver.を一気に観劇。
とある女性の失踪を調べる私立探偵、な物語を通して語る「居場所」(というもの、に纏わる悩み?)
どことなくキャラメルボックス的な味わいもありつつやっぱりたすいち節。
漠然と抱いた印象が真相を見抜いていたのはその演劇的表現によるものか?
新月ver.を観て残った疑問点は満月ver.を観ながら解消。ズルさというか観客の騙し方というかがよくワカった。(笑)
また、「先に上演される方が基本形でもう一方は応用編」という2バージョンものの原則(私見)もきちんと踏襲。
なまけ者は夕暮れ時から忙しい
BASEプロデュース
BAR BASE(東京都)
2017/10/25 (水) ~ 2017/11/01 (水)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/10/30 (月) 15:00
価格2,500円
コミカルに始まりさざ波が立ち始め二転三転を経てヒロインが少し前進する中篇、女優お二方のキャラクターに納得。そう言えばこの前日から3ステージ連続で「少し前進する」ハナシのような……(それぞれタイプは異なるが)