かえるかな、この道
空晴
駅前劇場(東京都)
2024/09/13 (金) ~ 2024/09/16 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/09/16 (月) 14:00
えっ、どゆこと?この人(たち)は何?と、観客を登場人物と同じ心境に置いて始まる物語。
今まで観てきた作品群とどこか趣を異にするのは能楽「隅田川」をモチーフにしたからか?
で、その物語をそのまま現代版にするのでなく演出法や表現を、ということだが事前に Wikipedia などで予習して臨んだらいくつか合点がいった。
今後はこういった路線になるのか。はたまた従来パターンを継承するのか、いずれにしても次回も楽しみ♪
だいたいみんな躍ってる2024
ユトサトリ。
小劇場 楽園(東京都)
2024/09/11 (水) ~ 2024/09/16 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2024/09/15 (日) 14:00
終業後に職場の先輩の披露宴での余興の稽古をしている3人のもとに直帰の筈だった先輩本人や関係者も現れ……な状況で始まる会話劇。ちょっとした不満の吐露から飛び火/誘爆的に展開されてゆく様は「給湯室のぞき見」的で傍観者としては笑えるがあんな状況に身を置くのは御免だな。いつ自分に思わぬ方向から弾が飛んでくるかワカったもんじゃない。(笑)
そうして、どう落とし込むのか?と思わせておいてのチカラ技からの「あれ」を使った隠喩(ネタバレboxに記述)、巧いなぁ。
巧いと言えば蛍光灯を使ってオフィスの「それらしさ」を表現した照明も見事。
しかし初日を終えてすぐに上演時間105分との情報が流出しており、何ステージかを経てこの日も105分だったのに関係者のツイート/ポストも開演前アナウンスも90分という「詐称」を続けていたのはいかがなものか? それは誰にどんなメリットがあるのか見当もつかない。団体としての信用にかかわるのでは?(よって満足度の★を1つ減ずる)
都合
こわっぱちゃん家
アトリエファンファーレ東池袋(東京都)
2024/09/12 (木) ~ 2024/09/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/09/14 (土) 13:30
夫の不貞に基づく一組の夫婦の離婚調停を軸に別の夫婦や判事夫妻なども描きつつ進める物語。
推理小説でお馴染みの「その手法」に演劇ならではの「あの手法」も加えて観客を欺くのが巧み。その一方、やはり演劇ならではの手法でヒントも与えるとは恐れ入る。(笑)
全体像を知ってからもう一度観るとより面白いのではないかな?
また、いつもながら舞台空間の使い方も巧い。メインとなる横広がりの馬蹄形のカウンターを、調停の場の机に使うのはもちろん、複数の場所にいる人物を同時に着席させて照明によって場の違いを表現するとか、さすが。
なお、前週に観た UNITレンカノ「一度」と本作、ともに1°(角度) に言及する部分があろうとはオドロキ。
法王庁の避妊法
ロデオ★座★ヘヴン
「劇」小劇場(東京都)
2024/09/11 (水) ~ 2024/09/16 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/09/13 (金) 14:00
作品の存在は以前から知っていたが初見。基本的にユーモラスで優しくあたたかい中に生命の神秘と倫理観や堕胎の是非なども組み込んで、それでいて娯楽性も存分な作劇に「この人はこういう役だよね」な的確な配役も加わって「至福な2時間」を体験。いいモン観たなぁ♪
今まで「生命の神秘と倫理観」というテーマは遺伝子操作や人工的な生命誕生などSF的な作品で語られるのは少なからず見たが、まさかこんな身近な題材でそれを語ろうとは、まさに「目から鱗が落ちる」状態だった。 #法王庁の避妊法
ちなみにオリジナル版は休憩を挟んだ二幕構成で上演時間は3時間近いとのこと。それを120分に収めたのもアッパレ。
以前、映画館で観た時に冗長に感じた映画が正味90分強に刈り込まれたテレビ放映で面白かったことを思い出した。(笑)
青色文庫‐其五、夜長月の童話集‐
青☆組
アトリエ春風舎(東京都)
2024/09/11 (水) ~ 2024/09/16 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/09/11 (水) 19:00
【プログラムB】月と花のある風景、三篇」
プログラムAが女性4人による上演だったのに対しこちらは藤川さんが加わったことで印象が異なる。喩えて言えばAの弦楽四重奏に対してBは管楽器と弦カルによる協奏曲、的な。
どちらかと言えばビターエンドな2編の後に軟着陸する1編という構成に胸を撫で下ろす。そして1編目「野ばら」の警告が胸に沁みる。アフタートークでかつて教科書に掲載されていた本作がなくなったとの話を聞き政治的圧力?と邪推。
青色文庫‐其五、夜長月の童話集‐
青☆組
アトリエ春風舎(東京都)
2024/09/11 (水) ~ 2024/09/16 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/09/11 (水) 15:00
【プログラムA】鳥、二篇
気付いてみれば2篇とも「他者の幸福のために自己を犠牲にする主人公の話(個人的には苦手な部類)でオスカー・ワイルドってこういうのが得意なの?的な。
それはともかく1編目の「小夜鳴鳥と赤い薔薇」は序盤での語りから宮沢賢治の「よだかの星」やマザーグースの「誰が駒鳥殺したの」を想起。2編目の「幸福の王子」は「本編の外側」的な層を加えた脚色に感服。
一度
UNITレンカノ
阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)
2024/09/04 (水) ~ 2024/09/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/09/06 (金) 14:00
元有名演出家のオーナーが定期的あるいは突発的に役者にダメ出しをして稽古をつける喫茶店を舞台にした演劇愛ダダ漏れの秀作。
脚本家に無断で脚本に手を入れる演出家とか次第に自分の考えに凝り固まり方向性がズレてしまった役者とか「ありそー」と思える問題を笑いの中に提示し、元・父親の娘への想いや継父に対する嫉妬心も加えて、そりゃあ「旗降ろし公演」ということを別にしても感動しますって!
さらにそこに殺陣まで盛り込んで、まさに集大成、的な。いやぁ、いいモン観たなぁ♪
天動虫版ロミオとジュリエット〜宣託〜
劇団天動虫
シアター711(東京都)
2024/09/04 (水) ~ 2024/09/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/09/05 (木) 14:00
ロミオとジュリエットの最終場(の稽古?)を終えて結末に異議を唱えるジュリエット(役の俳優?)に対して「それならもう一度演ってみよう」と協力する(座組の?)面々……という(大好きな)メタ風で始まる物語。
その後は基本的には原典通りながら部分的に大胆に変更して進む「シン・ロミオとジュリエット」、そう来たかぁと頬が弛む。さらに結末を踏まえてのカーテンコールの「アレ」に感服。
その感覚は歴史を改変しようとするが結局歴史の流れは変えることができない、という時間ものSFでお馴染みのパターンに似てもうタマラン!
で、カーテンコ^ルの「アレ」にノーマン・ジュイソン監督「ジーザス・クライスト・スーパースター」(1973年)のヨハネ伝19章41節(=エピローグ)で帰りのロケバスに乗り込む俳優たちの中にジーザスを演じたテッド・ニーリーがいない、という演出に通ずるモノを感じた。
あと、観ながらどうにかして死なずに済む結末にするべく何度もあちこちをやり直して繰り返す時間SFでお馴染みのパターンな「ロミジュリ・ループ」も妄想。(笑)
三ノ輪の三姉妹
かるがも団地
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2024/08/31 (土) ~ 2024/09/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/09/04 (水) 14:00
タイトル通り三姉妹(特に次女)を中心にその母や周囲の人々が織り成すドラマ。
まずは脚本の構成と舞台空間の構成が巧い。そして「こういう人物ならこういう物言いになるだろうな」なリアリティがある人物表現も巧い。
そこに部屋と少し離れた所にある洗濯機の音を聞かせたり回想場面でわずかに台詞にリバーブをかけたりする音響も加わって、いやぁ、舞台演劇っていいもんですねぇ。洗濯機と言えばコインランドリーの「アレ」には笑ったし毎度おなじみ(?)宮野さんの「演じ分け」も良かった。
Re: プレイバックpart3
劇団チャリT企画
駅前劇場(東京都)
2024/08/28 (水) ~ 2024/09/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/09/01 (日) 14:00
この時期にふさわしい怪談/コワい話。
サスペンスコメディ風に進展しながらやがていわゆる怪談系に変容、さらに明かされる「事故の顛末」はコワい。この感覚は「一番コワいのは生身の人間」という心霊系怪談のオチに通ずる。
いかにもチャリT企画らしい一編に満足♪
ニルバナナナノニ
発条ロールシアター
中野スタジオあくとれ(東京都)
2024/08/29 (木) ~ 2024/09/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
河原のダンボール(&ブルーシート)ハウスで暮らすホームレスとその周辺の人々が織り成すドラマ。
登場人物とその関係を一通り見せてからの後半、何人かの生き方というか矜持というか「何を大切に生きているか」が語られるのは哲学?みたいな。
その信条が理想論的だったり、全体的に説明不足な感があったりしないでもない(しかし想像で補える)が、95分の尺に収めたことを考えれば妥当か?
また「旅立ち」のラストに宮沢賢治の「風の又三郎」を漠然と連想。
タコパ!
ペテカン
上野ストアハウス(東京都)
2024/08/30 (金) ~ 2024/09/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/08/30 (金) 14:00
濱田さんの作・演出だが「ペテカンど真ん中」と言おうか「ペテカンnow」と言おうかまさしくペテカン作品。そしてペテカンとしての「ある想い」がダダ漏れどころか溢れまくっていてファンとしてとても嬉しい。
そして登場して間もなく「そういう業界の人」とワカるが途中で豹変する長峰さん、ノリノリの四條さんを筆頭にメンバーそれぞれ見せ場/見せどころがあるのもイイ。いやぁ、シアワセなひと時だったなぁ♪
娘が嫁ぐ日
Kトゥエンティワン
シアター711(東京都)
2024/08/28 (水) ~ 2024/09/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/08/29 (木) 14:30
両親(と叔父夫妻)に娘(姪)が結婚を前提に交際していると紹介した相手は20歳以上年上の会社経営の金髪男で……という状況から始まるウェルメイドな「ホームドラマ」。
当然の如く(セオリー通りとも言う(笑))両親は反対して当事者はパニックに陥るが叔父夫妻・娘の親友・保険外交員・興信所職員といった「やや距離を置いて事態を客観的に見ることができる人物」の配置が絶妙で、彼らの助言や直訴(?)などによって事態が好転して行くのがイイ。
また、主な舞台となる石川家のリビングとその奥の廊下を入口の「枠」だけで表現し、時として下手の一部分を階下の叔父夫妻の家として使い、それ以外の「外」の場面を客席との間で表す装置/照明効果と演出も「いかにも舞台演劇」で◎。
4rooms~四谷四丁目編~
Sun-mallstudio produce
サンモールスタジオ(東京都)
2024/08/21 (水) ~ 2024/08/25 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/08/25 (日) 14:00
4つの団体によるあるマンションでの同じ時間に起こった異なる部屋での出来事を描いた短編オムニバス。各編それぞれ味わいや構成に個性がありショーケース公演のお手本、みたいな?
芝居企画TECALL「私の部屋なんですけど。」
中心となる一組の男女と「あの存在はもしや……」な人物(?)でツカミはオッケー、その後の展開も楽しい。「その部屋を事故物件にした地縛霊」というモチーフは半月前にも観ており #小劇場シンクロニシティ もアリ。
酒井謙輔プロデュース「夏のカニカマ」
突然訪れた妹に何かを隠そうとする兄とその友人、というシチュエーションコメディ的な一編。「なぁんだ、そんなことか」なオチまで上手く引っ張る。
The Stone Age「ネズミに引かれないでね」
飼っていたインコが逃げてしまい会社も休み「業者」に捜索を依頼する主人公の背後に「都会の孤独」を察するがどこか優しくあたたかい雰囲気に癒される。
Sun-mallstudio produce「谷崎家の一族」
「冥婚・アニメ・ビットコイン」という意外な取り合わせの「三題噺」。冥婚を中心に展開して「そっち系」と思わせておいての意外なオチが鮮やか。
『牢獄の森』『うれしい悲鳴』
アマヤドリ
吉祥寺シアター(東京都)
2024/08/17 (土) ~ 2024/08/26 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/08/21 (水) 13:00
【牢獄の森】
近未来の「ある状況」を描いたという共通点はあるが前日観た「うれしい悲鳴」の「王道アマヤドリ」に対してこちらは「令和のアマヤドリ」か?(笑)
あらすじから予期した通りの重めの会話劇ながら程よく笑える部分を挟むのが上手い。
終盤で明かされる「衝撃の事実」について「あ、やっぱり!」だったのは「あっち側の人」は考えるよねぇ、であり、もしかしてσ(^-^) の考え方も「あっち側」寄りだったからか?(汗)
それにしても本作もうれしい悲鳴 も「国が決めた政策/制度により迫害される(?)一般市民」を描いており、妙なリアリティを感じるって「ヤな渡世だなぁ」(真顔)。
『牢獄の森』『うれしい悲鳴』
アマヤドリ
吉祥寺シアター(東京都)
2024/08/17 (土) ~ 2024/08/26 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/08/20 (火) 13:00
【うれしい悲鳴】
冒頭のムーブメントから「そうそう、アマヤドリ/ひょっとこ乱舞ってコレだよねぇ♪」とニンマリ。
そこから始まる物語は「変化球系広田作品」ど真ん中。
で、初演・再演を観た時には「完全な架空」だったこの作品が今観ると現実を想起させることにトリハダ。
また、今回はよく存じている方は6人だけであとはあまり馴染みのない方々だったがそれぞれ「アマヤドリキャラ」になりきっていて演出(と各人の演技)による「劇団カラー」の表現に舌を巻く。
あと、政変といえばやっぱり雪だよねぇ。(笑)
ゴシック
風雷紡
小劇場 楽園(東京都)
2024/08/14 (水) ~ 2024/08/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/08/15 (木) 14:00
久しぶりの民俗学系奇譚は明治時代、因習に基づく「最後の儀式」を執り行う一族の物語。
「あの当時」の「旧家ならでは」(←個人的イメージ)のしがらみを描いてからの「御山入り」場面は圧巻。時空が歪んだり人物が別人格になったり心霊系とはまた異なる納涼風味、今の時期に相応しい一編。
なお「御山入り」場面に「八つ墓村」の洞窟シーンを想起。アレをこの会場で見せるとは恐れ入りました。
雑種 小夜の月
あやめ十八番
座・高円寺1(東京都)
2024/08/10 (土) ~ 2024/08/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/08/14 (水) 13:30
8年ぶりとなる「団子屋シリーズ」第3作。劇中時間も8年を経て、演じるレギュラーの三姉妹と母も実生活の8年の経験を役に乗せて演じており役の説得力(というか実在感?)が見事。
そしてメイン舞台の白っぽい木目の印象もあろうが木目の優しさ・暖かさに通ずる作風に癒される、
さらに母の過去を(も)描くのは「いかにもシリーズ第3作」だし、冒頭場面や中盤のアレなど今の時期にピッタリなのも巧い。
また、ファゴット(!)も加えて効果音もこなす4人の楽器隊の生演奏も言わずもがなだし、贅沢な時を過ごせて満足。
トーキョー
sleepwalk [スリープウォーク]
イズモギャラリー(東京都)
2024/08/08 (木) ~ 2024/08/12 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/08/12 (月) 13:00
かつて家庭教師とその教え子だった男女ともう1人(1体?)による会話劇。
その部屋の地縛霊(自称座敷わらし(笑))は「負け組」の人にしか見えないという設定が巧みではじめは見えていたのに見えにくくなるとかその逆とか、人物の立場(というより心情?)を上手く表現していたと思う。
また、その地縛霊/座敷わらしは怨念とか未練のカタマリの筈なのにそれよりも哀しみとそれに基づく優しさを感じられたのは河西さんの持つ優しさの顕れか?
針の目
のびる
APOCシアター(東京都)
2024/08/11 (日) ~ 2024/08/12 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/08/11 (日) 13:00
小学生時代に通っていた塾の女性講師のハラスメントをうまくかわしてきた二人が同窓会的な行事で再会し、な二人芝居。前日に観た某作品とカタチは違えど不穏な空気満載なのは共通で、恐怖とは違うがこういう「ゾクッとする」物語も夏の風物詩かもなぁ、などと思う。
終盤の「あの顛末」は「どっちもどっち」なんだが、子供時代に双方それぞれに近いことをした記憶が蘇って古傷をえぐられるような気もしたり。ヤだなぁ。(笑)
なお、今回は断念した「幻の反転バージョン」、いつの日か実現することを切に願う。