リフレクション
レイジーボーンズ
小劇場 楽園(東京都)
2024/12/03 (火) ~ 2024/12/11 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/12/10 (火) 14:00
【内容に具体的に触れています】
劇作家と演出家の「道学兄弟」とあらすじにあるドラマ脚本家と原作小説家の話が併走して入れ子構造かと思うがどちらが本筋でどちらが劇中劇か尻尾を掴ませないのは胡蝶の夢かウロボロスの二匹版か?
そうしてしばらく経って思い当たったのはM.C.エッシャーの作品群。エッシャーがお好きな方はこれもお気に召すのでは?
さらにメタ部分もありまさに「迷宮演劇」?(笑) タマラン!
星降る教室
青☆組
アトリエ春風舎(東京都)
2024/12/07 (土) ~ 2024/12/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/12/08 (日) 14:00
8年前に宮沢賢治オマージュの連作という企画で書き下ろされたラジオドラマをリーディングに……という予備知識がなくても「あー賢治だ」と思えたのではあるまいか? 特にきのこたちの場面での擬音/オノマトペなど「風の又三郎」を彷彿とさせる。、
また、リーディングとしては多めの出演者がメインでない場面で口々に効果音を奏でること(例:水中場面のアレ)や黒が基調の演技エリアに配した白/銀のオブジェも効果的。空を飛ぶタクシーの場面でそういう映像が脳裏に浮かんだし。
で、来年はこれを演劇化ですと!?
はんなま砦は夜更けまで
大統領師匠
駅前劇場(東京都)
2024/12/04 (水) ~ 2024/12/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
RPG内世界?な状況から始まるがそれに続くガラリと変わった場で「あ、そういうことか」と明かされるSF(?)系ファンタジックアクションコメディ。
1960年代の「あの映画」や日藝出身の「あの団体」の作風を思い出して懐かしさに囚われるとともに「大統領師匠、ここまで来たか」な感慨も。
2019年までのコント集を上演していたのが「第一期」とすれば2022年以降の長編作品群が「第二期」であり、本作は第二期の(現時点での)代表作と成り得るのではないか?
また、劇中の「二つの世界」を簡単な換装で表現する装置も「いかにも舞台演劇」で、「舞台芸術」たる所以だな、とも思った。
まぶたの裏に流るもの
吉祥寺GORILLA
シアター711(東京都)
2024/12/04 (水) ~ 2024/12/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/12/05 (木) 19:00
まず装置を、次いで当日パンフレットを見て「まさか……」と思ったことが的中した開演時の衝撃!(笑)
最初は「一体どうしたんだ?」と思ったが進むにつれて意図を理解すると共にテーマをそういうカタチで表現したことに感嘆。
終盤での「現実生活に立ちはだかるもの」を「ああいう表現」で視覚化したのも巧い、常人の発想じゃないよ、あれは。(真顔)
みえないもの
アンティークス
「劇」小劇場(東京都)
2024/12/04 (水) ~ 2024/12/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/12/05 (木) 14:00
事前に読んだあらすじから予測したものもかすってはいたが、その斜め上をゆくオトナの童話あるいはシリアスファンタジー。時として理解が追い付けず脳内で補完したが、まさかそこまで拡げるとは……
うみのかたわれ
らむらどぅプロデュース
王子小劇場(東京都)
2024/11/28 (木) ~ 2024/12/02 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/12/02 (月) 13:00
四組の双子それぞれのエピソードを併走して描き、次第に接点を見せてゆくのはパズルを解いてゆくが如し。そして、時間的前後関係を敢えて前後させたトリッキーな終わり方(と解釈したが合ってる?)が面白い。
しかし配役上ではなく物語的に四組のうち少なくとも一組は二卵性双生児だよね。
あと、何人か名前と顔が一致していない方がいらして終演後に当日パンフレットを見たが後の祭り……(爆)(申し訳ございません)
蛇足ながら四組の双子、いずれも一方はよく存じている方でありました。
ロケット・マン
劇団鋼鉄村松
劇場MOMO(東京都)
2024/11/28 (木) ~ 2024/12/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/11/29 (金) 14:00
「マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ」に始まり「ライト・スタッフ」を経て「2001年宇宙の旅」で締めくくるソリッドSF。
「技術の進歩に伴って失われるもの」を芯とした物語はσ(^-^) の好きなテーマである「不老不死の孤独」に通ずるものもあり引き込まれる。10年前にテアトルBONBONで観た時よりも主題が強調されたのではないか?
また、舞台前面の上手・下手にあるオブジェもSF作品の舞台っぽくて好み。
当日パンフレットでカーフを「ロリコン」としているし、目にした感想にも序盤のカーフが「キモチワルイ」としているものがあったが、σ(^-^) としてはあれは「純愛」あるいは「少女との約束を果たそうとした真摯な姿」に思えてしまうんだな。
もしかするとカーフは本当にロリコンで、序盤の依乃さんはキモチワルイ表情をしていたかもしれない(爆)。だとすると終盤での清々しさ(?)で浄化されたのかもなぁ。(笑)
ゴーギャンおやじ2
グワィニャオン
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2024/11/27 (水) ~ 2024/12/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/11/28 (木) 19:00
東福生駅前で数人の男を叩きのめし自ら110番通報して逮捕された熟年ボクサーが心理カウンセラーに語る半生。
休憩前の75分は「昭和史のある一部」をクローズアップする感じで世代的に頷くことしきり。
休憩後の70分は主に「都落ち」してから福生に戻った主人公の日々を描いており、そのほろ苦さに力石徹を喪った後の矢吹丈を想起。
従来のグワィニャオンとは異なる作風ではあるが、西村さんが えにし に書き下ろした「クラゲ図鑑(2017年)」に通ずるものがあるか、などと思った。
『晴耕雨読』
ウテン結構
六本木ストライプスペース(東京都)
2024/11/26 (火) ~ 2024/12/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/11/28 (木) 15:05
雨の日に友人に自己の著作(と未完の原稿)を読ませる作家、という趣向で演じられる3つのの短編……ではあるがいずれも寸止めというか「で、それから?」なところで次に進んでしまってもやもやするが、作家と友人の場に戻り「ある秘密」を明かすと共にそれぞれの結末を提示する構造(往年の深夜ドラマ「ハートにS」を想起)が面白い。
なお、昨年の SPIRAL MOON 版は未見。
青春にはまだはやい
プテラノドン
「劇」小劇場(東京都)
2024/11/26 (火) ~ 2024/12/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/11/27 (水) 15:00
ファンタジー系(翔んでいるとも言う(笑))な状況から「青春」がクローズアップされてムネアツになるといういかにも笠浦作品な秀作。終盤で最初は丁寧に描きつつ繰り返すうちに短くなるテンポの良さも巧く、こういうの、大好き♪
平坂村事件
十七戦地
新宿眼科画廊(東京都)
2024/11/22 (金) ~ 2024/11/26 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/11/26 (火) 14:00
昭和38年秋、福岡県の農村で起きた投資詐欺(未遂)の顛末。
石炭から石油への「エネルギー革命」が進行中で佐藤栄作や湯川秀樹が「時の人」であった時代を背景に描かれる騙す者と騙される者たちの「攻防」、どちらかと言えば騙す側に感情移入しつつ思いがけないどんでん返しで終わる運びに感服。
また、詐欺師、(その片棒を担がされる)科学者を筆頭にキャラクター設定と配役も的確で説得力があった。
ドロコン! ~泥沼離婚~
ジェットラグ
新宿シアタートップス(東京都)
2024/11/20 (水) ~ 2024/11/26 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/11/25 (月) 13:00
ミュージカル俳優の夫が同じくミュージカル俳優である妻の不倫を理由に起こした離婚裁判を描いた「世界初の裁判ミュージカル(AIによる判定)」。
離婚裁判のあれこれを面白おかしく仕立てて用語などの説明は書記官が「歌う(!)」という内容はもちろん、紅白歌合戦で複数回歌われたような大ヒット曲(や小学校で習った歌など)の選曲と元の歌詞も活かした替え歌ぶりが絶妙。
いやぁ、笑った笑った♪
振り向け!
劇26.25団
OFF OFFシアター(東京都)
2024/11/22 (金) ~ 2024/11/24 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/11/22 (金) 14:30
弱者が追い詰められがちなイマの社会を描いた社会派系作品でしんどいと言おうか身につまされると言おうか。ちょっとTBSの木曜か金曜の22時枠のドラマを想起(個人的なイメージです)。
一方、最初は部屋をそう切り取ったかと思ったがシンプルな仕掛けによって多様に変化する装置のアイデアに感心。
「コーヒーが冷めないうちに」
カワグチプロヂュース
萬劇場(東京都)
2024/11/19 (火) ~ 2024/11/24 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/11/21 (木) 14:30
2011年の再演版を皮切りに通算5回目(の筈)となるが連作短編4話の「基本・変奏・応用・そう来たか!」な構成に舌を巻く。
また、5回目だけに内容は頭に焼き付いており、伏線的な出来事や人物で「ああ、これがああなるんだ」と先が「見える」のもまた楽しからずや。
できることなら本作に関する記憶を消してまっさらの状態でもう一度観てみたいが無理だもんねぇ(笑)。
あと、林さんが「あの役」とは……!(もちろん良かった)
虫さされジョアンナ
浅川さんの企画
studio ZAP!(東京都)
2024/11/14 (木) ~ 2024/11/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/11/17 (日) 14:00
事前に目にした感想通り「バカだな~♪」「何やってんだアイツら?(笑)」だらけの90分、いわば「長編ショートコント集」みたいな?
そんな中「あ、そういう連想をしたのか」「この状況ならそれに行くよね」など首謀者・浅川さんのアタマの中が見えるようなところが多々あり、発想の跳び方/跳び具合がオカしかった(←ダブルミーニング(爆))。
あと、カーテンコールでのちょっとした趣向もオマケっぽくて良かった。
Re:もっけの幸いの「もっけ」ってモノノケの事なんだって。知ってる?
劇団ヘロヘロQカムパニー
TACCS1179(東京都)
2024/11/14 (木) ~ 2024/11/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/11/16 (土) 13:00
初演は観ていなかったが、とても懐かしい感覚に囚われた。もののけ/妖怪など「人ならぬ者」が多数登場するファンタジック・アクション抗争劇(?)、以前はよく観ていたもんなぁ。(例:DearMyFriend「SLeeVe~スリーヴ~」(2006年))。
で、コミカルな導入部から次第にシリアスに転じ、終盤には感動要素まで配した構成が巧い。
あと、もののけたちの設定も面白かった。
何も変わらない今日という日の始まりに
劇団皇帝ケチャップ
浅草九劇(東京都)
2024/11/13 (水) ~ 2024/11/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/11/15 (金)
昼に【Sunrise】、夜に【Horizon】を観劇。
5年前の初演版の基本設定は保ちながら登場人物などを改変したリニューアルで「準・新作」みたいな? そして初演版もビターだったが今回はそれにも増して悲観的な印象。
そんな中、以前亡くなった関係者の霊を登場させ彼女が見えるか見えないかで他の人物の「死」を暗示するのは上手いし毎回ながら「会話のアソビ」に舌を巻く。
栗原課長の秘密基地
SPIRAL MOON
「劇」小劇場(東京都)
2024/11/13 (水) ~ 2024/11/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/11/14 (木) 14:00
2013年のULPS版ではいかにもフィクションと感じたが2019年のSPIRAL MOON版初演は実際にありそうに思え、今回はさらにそれより辛辣に感じた。
特に後半で自分の利や保身のためにエゴをむき出しにする見苦しさ・みっともなさは強烈で最近の「おかしな政治屋」たちの言動を連想。
書かれた当時(20年以上前)にはほぼ絵空事だったであろう本作が現実を想起させるようになるとは何ともはや……(白目) いや、当時からやはりそうだったのか?
ジゼル、またはわたしたちについて-Giselle or about us- 2024 TOKYO Remix
waqu:iraz
スタジオ空洞(東京都)
2024/11/12 (火) ~ 2024/11/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/11/12 (火) 19:00
勝手にキャッチコピーを付ければ「浮世に喝」か? とかく生き辛いイマの世のあれこれを指摘し時には対応策を提示したり。それを17曲に及ぶ楽曲にのせての90分、リズミカルで観易い。
楽曲にはラップも多く、そんなあたりが「シン・waqu:iraz」みたいな?(笑)
また、事前情報にあった waqu:iraz 3人のみによるパート、内容、表現とも圧巻。使用許可などに尽力された武井さんに賞賛を惜しまず。
つきかげ
劇団チョコレートケーキ
駅前劇場(東京都)
2024/11/07 (木) ~ 2024/11/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/11/08 (金) 14:00
前作「白き山」の5年後、晩年の斎藤茂吉と妻や息子・娘たち、編集者を参考にしたフィクション。一言で表現すれば「ハード&ビターなホームドラマ」で認知傾向が出始めた茂吉の姿が痛々しいが彼を支える家族らの姿(家族愛的なもの)や漂うユーモアに救われる。
それにしても茂吉役の緒方さんを筆頭に配役/役作りが的確でリアリティを感じるというか引き込まれるというか。
また、中学生時代にどくとるマンボウシリーズを読んでいたためある場面で頷くことしきり。