マッハ・レコーディング a GoGo!!
劇団ヘロヘロQカムパニー
シアターサンモール(東京都)
2008/05/21 (水) ~ 2008/05/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
音楽業界版『ショウ・マスト・ゴー・オン』
短時間で楽曲を仕上げざるを得なくなった三流レコード会社スタッフに襲いかかる幾多のトラブル。絶妙のキャラクター配置により困難を乗り越える姿は最初はコミカルながら次第に熱血系に転じ、最後のトラブルに諦めなずに立ち向かう主人公と、それに共感して支える2人の姿は感動的ですらある。
ステージ
劇団K助
ウッディシアター中目黒(東京都)
2008/05/22 (木) ~ 2008/05/25 (日)公演終了
満足度★★★★
ストライクゾーンほぼ真ん中
死を迎えた者にその生前の「分岐点」をステージとして見せる劇団の演出家(と演出助手)が主人公に見せる3つの分岐点…というストーリー、「予期せず逝った者が遺した想い」をテーマにした作品が好きな身としてストライクゾーンほぼ真ん中。
さらに『ワンダフル・ライフ』、「クリスマス・キャロル」、「カラフル」などの要素も取り入れつつ独自の物語を繰り広げており、これらの作品も好きなので、こりゃあもう盆と正月が一緒に来たような…(笑)
主人公が既に死んでいるという設定ではありながら、序盤は思いっきりコメディタッチなので暗さなどは感じる余裕もなく、このあたりは上手く図っており、劇団「死期」だけにミュージカルで、なんて場内大爆笑。
その一方、DM にあった「あの日からの母ちゃんの物語」はどこ?もしかして当初のプランと変わったの?とさえ思っていたパートは後半の劇中での「第3場」で展開され、若い頃の主人公が旅立った日の夜、現在の主人公がその日の母と会話する場面はしっとりとして涙モノ。先述の「遺した想い」がここに集約されていて、タマラン。
ただ、後半で若干ツジツマが合わないというか、物語の軸がズレたというか、そんな感覚がなきにしもあらず。
メゾントーレ203
Premier☆Million☆Carats
ザ・ポケット(東京都)
2008/05/21 (水) ~ 2008/05/25 (日)公演終了
満足度★★★
前半と後半の対比が鮮やか
04年3月に上演された作品の再演で、その初演がこことの出会いであったので、多少の思い入れもありつつ、ディテールは記憶から飛んでおり、けっこう新鮮な感覚で観る。
下北沢のアパートの2室で繰り広げられる物語、前半のドタバタ系の笑いと、コワい人の登場以降の緊迫感(もちろんその中にも笑いはある)の対比が鮮やか。
また、本郷・小林・菅川というレギュラーメンバーの演技も巧み。(『ラフカット』出身ということでちょっと贔屓気味かも?)
「和」
ヒゴト
RAFT(東京都)
2008/05/21 (水) ~ 2008/05/25 (日)公演終了
満足度★★★★
パフォーマンス版ショート・ショート
長方形の会場の入口側の短辺に2列、奥側の短辺に1列客席を設け、その間の六畳の畳敷き(&周囲)のスペースを使って3人の「えんじ人」によって繰り広げられるパフォーマンス。約1時間の中に30くらいの演目を詰め込んで、パフォーマンス版ショート・ショートの様相、時には「同時多発的」に演じられたりもして、それぞれユニーク。
金ダライは打楽器的に使うのかと思ったらアレと組み合わせてあんな風に使うし、半紙をかぶったかと思えばそれで覆面をしたりもするし、硯で墨をすっているので何かを筆の代わりに使うのかと思っていたらアレをダイレクトに使って作品にするし、もう、一部を除いてことごとく予想が外れ「そう来ましたかぁ!」の連続。
また、映像も(スクリーンもよく見れば1枚ではなく6枚の長方形を六畳間のカタチに接ぎ合わせたもの)なかなか凝っており、そちら方面も充実。
莫大小猫奇譚(メリヤスネコキタン)
Office《RELAX》
六行会ホール(東京都)
2008/05/14 (水) ~ 2008/05/18 (日)公演終了
満足度★★★
昭和の薫り満載
昭和20年代前半、カストリ雑誌の編集部を中心とした物語、帝銀事件や後に国民的大歌手となる少女(とその母)なども登場して昭和の薫り満載。終盤で複数の人物が命を落とすのもその時代の暗さを象徴しているようで(偏見?)、人死にが多い作品には批判的なことが多いσ(^-^) も何故か納得。
また、上下二段の上段手前に紗幕を付け、場面によっては後方から光を当ててシルエットを浮かび上がらせる装置が効果的。
火星水族館
宇宙食堂
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2008/05/15 (木) ~ 2008/05/18 (日)公演終了
満足度★★
広大な敷地に犬小屋だけ、みたいな?
火星有人探査というスケールの大きいテーマなのにそれを阻止せんとする火星原住種族の人数が非常に少なく物語として小さくまとまってしまい、まるで広大な敷地にポツンと犬小屋だけ建てておしまい、的な感覚になってしまったのは残念。
まどろみ
森崎事務所M&Oplays
あうるすぽっと(東京都)
2008/05/15 (木) ~ 2008/05/25 (日)公演終了
満足度★★★
幻惑されっ放し
『空中ブランコ』では控えめだった反動か(笑)倉持裕の持ち味が存分に発揮され、まどろみかけて見ている幻想・夢想では?とか、複数の人物は実は複数の人格なのではないか?とか、観ながらあれこれ想像が膨らんで、観客として幻惑されっ放し。
最後の1フィート
劇団6番シード
小劇場 楽園(東京都)
2008/05/10 (土) ~ 2008/05/18 (日)公演終了
満足度★★★★
それぞれタッチが異なるのがミソ
1本の映画をめぐる3つのオムニバス・ストーリーで、それぞれタッチが異なるのがミソ。第1話の「ショウ・マスト・ゴー・オン」精神、第2話の怒りまくるフィルムコミッション代表と冷静な交通課婦警の対比、第3話の緊迫した出だしから家族系のネタを経て軟着陸させる筋立てが特に印象深い。
また、フィルムのスプロケット(送り穴)をモチーフにした舞台美術のセンスもイイ。
人魚とハイヒール
ももいろぞうさん
吉祥寺シアター(東京都)
2008/05/15 (木) ~ 2008/05/18 (日)公演終了
満足度★★★
「人魚姫」+「王子と乞食」
一言で表現すれば「人魚姫」+「王子と乞食」なファンタジー、歌やダンスも交えての2時間15分、「脚が悪くてもハイヒールを履きたい」というヒロインの願いはいかにも女性作家らしく、しかしそれは「希望は持ち続けるべき」というメッセージなのが上手い。
また、もう一人のヒロインである人魚が足を得て陸に上がった後、惚れた相手にアッサリ拒絶されてストーカーと化すというのには意表を突かれる。
あくまで声高にならないレベルでさり気なく環境汚染にも触れていたのも○。
ATT ROCKET LIVE 2008
ATT
アイピット目白(東京都)
2008/05/12 (月) ~ 2008/05/13 (火)公演終了
満足度★★★★
ボケが2枚重ね体制に
新ワザ・新ネタ披露はもちろん、従来のネタやワザもバージョンアップしており、さらにオフィス★怪人社の花見卓哉の参加により従来は濱田朋行が1人で担当していたボケが2枚重ねになったことで表現の幅もグッと広がって非常に楽しい。
もちろん予定通り13日にも鑑賞。
ザ・楽屋
MY proDuce
しもきた空間リバティ(東京都)
2008/05/09 (金) ~ 2008/05/11 (日)公演終了
満足度★★★
気軽に観ることのできるラブコメディ
芝居上演中の劇場の楽屋で縺れる恋愛模様、欲を言えば進行中の舞台の内容とリンクしていればもっと良かったが、コンパクトサイズにまとめてあり、気軽に観ることのできるラブコメディといったところ。
また、カーテンコールに込められる想いに関する台詞のやりとりはバックステージものならではのもので、作者ならびに劇団の観客に対する気持ちが伝わって来る。
Lucky Guy ~ラッキー・ガイ~
ZIPANGU Stage
萬劇場(東京都)
2008/05/09 (金) ~ 2008/05/18 (日)公演終了
満足度★★★
『酒場で…』の後日譚
再演だった『酒場で…』の後日譚。『酒場…』では事故で入院していることになっていたマスターが登場する(代わりにママは登場しない)という、いわば「刑事コロンボ」に対する「ミセス・コロンボ」のようなファルスで、限りなくナンセンスと言うか「なワケねーだろ!」な状況に大笑い。
Lucky Guy ~酒場でダバダ~
ZIPANGU Stage
萬劇場(東京都)
2008/05/10 (土) ~ 2008/05/18 (日)公演終了
満足度★★★★
ツクリが巧み
スラップスティックコメディかと思わせておきながら終盤は謎解きサスペンスに転ずるというツクリが巧み。また、その「探偵役」が拳法で言えば「酔拳」の如く(どういう喩えだよ!)、シラフだと頼りないのにアルコホルが入ると冴える(←ちょっと違うか)というのが面白い。
NIGHT EDEN
劇団TIME LIMITS
相鉄本多劇場(神奈川県)
2008/05/09 (金) ~ 2008/05/11 (日)公演終了
満足度★★★★
文字通りの「グランドホテル形式」
知らないうちに知らない女の借金の保証人にされた男と就職面接で落ち続け間もなく100回目を迎える女を中心に、取立て屋、謎の女と彼女を追う刑事、スタア女優、ホテル関係者など多彩な人物たちが織り成す文字通りの「グランドホテル形式」で、それぞれドラマを背負った面々がカジノホテル「エデン」に集まり、伏せてられていた残りのカードが次々に開かれてゆくようなクライマックスは快感。
また、ヒロインの99回目の面接をダンスで見せるという演出、登場する「犬」というキャラクター、ならびにベートーヴェンの交響曲第8番や「医龍」「戦メリ」サントラ、それにガーデンズの「BELIEVE」の英語カバー(誰が歌っているんだろう?)などを使うという選曲もツボ。
hg
風琴工房
ザ・スズナリ(東京都)
2008/05/09 (金) ~ 2008/05/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
胸に沁みたり突き刺さったりする台詞
水俣病をテーマにしているということで「重いのでは?」という予感があったが、抱いていた懸念としてはハズれ(なんと笑える部分も少なからずある)、込められたメッセージや得た感動が「重い」…いや、「重量級」と言った方が的確か。沢山の台詞が胸に沁み、いくつかの台詞は胸に突き刺さる。
なお、16日にB列5番で再見。
夜明けに光をまとうもの
遊星歯車機構
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2008/05/07 (水) ~ 2008/05/11 (日)公演終了
満足度★★
ちょっと苦手
療養所を舞台にした患者・医師の会話劇…って、状況が先日観たキリンバズウカの『飛ぶ痛み』とカブリ気味なれど内容、味わいはかなり異なる。
さまざまな「恐怖症」の患者を診ている療養所の真の研究目的が明かされる終盤は重く、ちょっと苦手と言うか、フィクションなんだから希望を持たせてよ、的な。
天然工房のメンバー4人(especially 中谷千絵)と初舞台の範田紗々(好演:それにしても小顔だこと)を観るという目的は十分に果たせたからイイけれどね。
冬の鼠
不消者(けされず)
ザ・ポケット(東京都)
2008/05/07 (水) ~ 2008/05/11 (日)公演終了
満足度★★★
一長一短?
かつてはタブロイド紙であった風俗業界紙の編集部を描いており、編集部がある繁華街のたとえば歌舞伎町のような猥雑さや胡散臭さがよく表現されていた、的な?
ただ、キャバ嬢連続殺人事件という本流の他に編集部内の恋愛も複数(3つ?)描くという欲張りな内容によって焦点が定まりにくいといううらみアリ。
一方、再演作品とのことながら、各キャラクターに北区つかこうへい劇団や文学座、ホリプロなど出演者のバックグラウンドが活かされており、これはキャスティングの勝利か?
とは言え、編集長のハイテンションぶりは全体のトーンとはややそぐわない感なきにしも非ず。
太陽と月とアクシズに背いて
東京ディスティニーランド
タナトス6(東京都)
2008/05/03 (土) ~ 2008/05/03 (土)公演終了
満足度★★★
休憩込み7時間超
粗削りな部分も少なからずありつつ、一般的な一人芝居、紙芝居、なんちゃって二ヶ国語、ほぼ即興、サイレント系などさまざまな手法を駆使し、内容も原作もののパロディ系ありオリジナルありとバラエティに富んでおり全6話、休憩込み7時間を超える長丁場もそれほどの長さは感じず。
夜叉王の面
劇団パラノイア・エイジ
「劇」小劇場(東京都)
2008/04/30 (水) ~ 2008/05/06 (火)公演終了
満足度★★★★
グイグイ引き込まれる
登場する歴史上の人物について予習をし損ねるも当日パンフの人物説明のおかげで人間関係は直前学習でき、「運命の歯車」に巻き込まれる人々を描いたストーリーもわかりやすくかつドラマチックでグイグイと引き込まれる。
「政(まつりごと)」のためにわが子や甥を犠牲にしなくてはならない武家社会を「魑魅魍魎の跋扈する世の中」とした夜叉王の台詞や、知盛の遺児3人が選択したそれぞれの生き方が特に印象的。
二人の女
東京倶楽部
劇場MOMO(東京都)
2008/05/01 (木) ~ 2008/05/05 (月)公演終了
満足度★★★
アングラ臭たっぷり
唐十郎作品を観るのは初めてだったが「演劇基礎知識」的に知っていた「唐十郎の芝居」まんまのアングラ臭たっぷりの内容にニンマリ。
特に詩的でシュール、比喩的とも言える台詞を客席に向かって叫ぶという、パロディにまでされている手法を実際に観ることができ、「やったぁ!」みたいな?(笑)
表現のみならず内容も「蟻」「病院」「砂」というお題の三題噺(いや「二人の女」も入れて四題噺か?)のようでそのシュールさはいかにもアングラ風。がしかしテント小屋向けのこの作品に劇場MOMOはちょっと上品だったかも?(笑)