白キ肌ノケモノ【満員御礼!次回は三月!】公演写真up中!
ACTOR’S TRASH ASSH
笹塚ファクトリー(東京都)
2009/11/14 (土) ~ 2009/11/15 (日)公演終了
満足度★★★★
ギリシア悲劇かシェイクスピアか(笑)
副題にある通り、この4月と7月に上演された『刻め…』の前日譚にあたる物語で、負のオーラ満載!(笑)
運命の糸に絡め取られるように悲劇的な結末に向かうさまはさながらギリシア悲劇かシェイクスピアの如し。
が、その悲劇のすぐ後に現代の母娘のエピソードで緩和するのが上手いっちゅうかズルいっちゅうか…(笑)
また、「盗っ人にも三分の理」ではないが土蜘蛛がああなったのもそもそも謂れのない差別を受けた上にあんな悲劇まで経験したから、としているのが巧い。(兄妹愛が絡んでいるので余計そう感ずるのかも?)
さらに、冒頭と終盤の外道丸のポジションが正編とカブっているのもシリーズとして◎。あの盲目の男なんて、出てきた途端に「あ、外道丸!」なんてワカっちゃうもんなぁ。
あと、3つの時制(メインパート、十数年後、現代)を組み合わせて使い分けたのも上手い…って、思い起こせば正編もそうだったっけ。骨組みは同じでありながら違った物語を紡ぐというのは正編と外伝を語るのに適したスタイルかもなぁ。
夕焼けのカナタ*アカツキの手前-2009邂逅-
SHAFT
新宿シアターモリエール(東京都)
2009/11/13 (金) ~ 2009/11/15 (日)公演終了
満足度★★★
テーマがよりハッキリ見えた気がする
突然のトラブルで列車が全線運休となり、山梨県内の小さな駅で運転再開を待たされることになった人々を描いた群像劇系。
その中には強盗殺人事件を起こした者もいて…というサスペンス風味もありつつ、劇団四季の『夢から醒めた夢』や深夜ドラマ「奇妙な出来事」(←「世にも奇妙な物語」の前身)の1挿話「待合室」を連想。この系統って好きなんだなぁ。
で、3年半前の初演(@麻布 die platze)を観ており、詳細については記憶が風化していたものの、大筋や全体の構造は覚えていたので、ストーリーを追うことに気をとられた初演と違って、テーマがよりハッキリ見えた気がする。
また、映像や音楽などグレードアップされており、終盤の1シーンだけのために客席前方の天井に仕込んだ豆球(こういうのがあるから後方で観る方を選ぶのさ)には感心。
『アユタヤ順風伝』
ひげ太夫
萬劇場(東京都)
2009/11/12 (木) ~ 2009/11/16 (月)公演終了
満足度★★★★
照明効果の細やかさにも感心
毎度お馴染みの庶民的英雄(?)伝、中国が舞台になることが多い中、今回は現代のタイを舞台にしながらもイイ意味でマンネリで、お約束と言おうか同工異曲と言おうか、基本的なストーリーは毎回同じなのにその見せ方(組体操だけではなく、ね)でグイグイ引っ張ってしまうのがスゴい。
あ、でも終盤で明かされるカルダモンがタムタムに与えたペンダントの由来は「いいハナシ」だなぁ。
また、今回は水に落ちた瞬間に青になり水面に顔を出すと白っぽくなったり、窓を開けると微妙に明るくなる照明効果の細やかさにも感心。
ヒーローズ
劇団Spookies
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2009/11/11 (水) ~ 2009/11/15 (日)公演終了
満足度★★★
小坂逸流のヒーローコメディ
黒服の謎の2人組がヒーローたちを辞めさせようと、かつてヒーローたちの教官であった女性カウンセラーも担ぎ出し…という物語、改造人間兄弟(性転換した弟を「ある意味改造人間」などと言うのが愉快)、5人組の戦隊、普段は地球防衛隊員である光の巨人という3大ヒーローの顔合わせ(笑)。
TEAM 発砲・B・ZINがかつて得意としていたものとも、今年6月の劇団 勇壮淑女の『チキュウノミカタ』ともまた異なるアプローチで、小坂逸流のヒーローコメディ…ってか、ヒーローに限らず、かつて抱いていた夢と現在の自分とのギャップに悩む(?)人たちへの応援歌にもなっているところが巧い。
ほたえな
ソラトビヨリst.
阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)
2009/11/11 (水) ~ 2009/11/15 (日)公演終了
満足度★★★★
着実に力をつけてきている
慶応4年1月3日、龍馬の四十九日に近江屋を訪れた千葉さな子、というシーンをプロローグに、その前年11月15日夜に起きた襲撃事件の顛末を回想・証言・再現で描いたソラトビ初の時代劇で原作・総監修の西村太佑がグワィニャオン用に構想をあたためていながら実現しないまま半ばお蔵入りだった作品とのこと。
うん、確かに(ちょっと前の)グワィっぽい(笑)。当日パンフでそういう事前情報を得たこともあって、時々「グワィだったらあの役はあの人か?」などと思いながら観ていたり。(でもこちらの方が若々しいか…(爆))
で、時に笑いで緊張感をほぐしながら「その夜」やさな子とおりょうの鞘当て、それに明治に至る関係者のその後までを見せる構成の脚本と演出・演技がキッチリかみ合って観応え十分。従来とは異なる路線ながら、こっちでもイケるじゃん! もともと個性が際立っていた上に、公演ごとに着実に力をつけてきているのがうれしい。
また、戊辰戦争の鳥羽・伏見の戦いが龍馬の四十九日に起きたということを初めて知り、その偶然…いやむしろ縁にビックリ。
ところで終盤での「京に大砲の音は似合わない、鐘の音が似合っている」という台詞を反戦メッセージと受け取ったのは深読み?
終盤といえば盆を使わずに視点(映画で言えばカメラアングル)を90°回すのも、そのシーンでの龍馬を喪った中岡の慟哭とともに見事。
それにしても龍馬を扱った芝居はこれで今年5~6本目、近江屋絡みも3本目って、生誕あるいは没後*年というキリのいい年でもないのに何故?
肖像の残滓
劇団パラノワール(旧Voyantroupe)
ザムザ阿佐谷(東京都)
2009/11/11 (水) ~ 2009/11/15 (日)公演終了
満足度★★★
不道徳どころか猛毒?(笑)
副題にある通り、対象者が快い自殺を遂げられるよう教唆する(!)会社が手掛ける仕事を描くシリーズの第1作(になるらしい)、中盤あたりまでは緩慢な感あるも終盤は息詰まる展開で先が全く読めず。
途中までは「不道徳どころか猛毒?(笑)」などと思いながら観るも、そういうオチなら納得。
鈴木が正体を明かして(←当日パンフの人物紹介をすっかり忘れていた)からは、鈴木と伊東の真意はどちらなのか読み取ろうとしながら観ていたが鈴木については結局読めず、そのあたりは今後に期待か?
また、伊東については当日パンフの人物紹介で「何故そういう人物がその会社に?」というひっかかりがあったものの、そこまで止まり…って、ここのところこんな風にヒントに気付きながらも詰めが甘くて読みきれないというパターンが多いな。
で、毒を以て毒を制すと言おうか猛毒も使いようによっては薬になると言うか、あのやり方は際どく、たまたま結果オーライだったからイイようなものの、一歩間違えば何人か死んでないか?(笑)
今後、結果的に自殺させてしまうなんてケースもあるのかしら?(実は極悪人だったことが判明して…なんてのはあるかも)
庭
箱庭円舞曲
nakano f(東京都)
2009/11/10 (火) ~ 2009/11/15 (日)公演終了
満足度★★★★
絶妙の配球で三球三振
友人の披露宴当日の昼前、二次会前、二次会の最中の男女を描いた2人芝居3本(各20分程度、合間にそれぞれ5分間の休憩あり)、一球目は直球、二球目は思いっきりの変化球、三球目はスローな直球という配球で三球三振にとられた感じ?(笑)
通常公演でも実際の現場を覗き見しているように感ずるほどリアルな会話が、2人芝居だと濃縮されたと言うか凝縮されたと言うか良い意味でこってりしており、しかも演者が2人なのでそれぞれの心理まで読める、みたいな。
第1話「男の庭」はオーソドックス。男女とも新郎新婦のかつての同級生で、男はどうやら女に(まだ?)気がある様子。オチも「あ、そうか」と大いに納得。
第2話「女の庭」。これは謎だらけ? 女の行動が不審だし、2人の関係もなかなかわからず、あれこれ想像をめぐらせながら観ることに。
しかしあのオチってことは、かなりの偶然だったってことなのね。
第3話「二人の庭」は再びオーソドックス。それまでの2話に出てきたモノを使いリンクさせて締めくくる感じ。
最近は室内なのでトスではなく「ブーケプル」だなんてことも知る。ありゃ、でも第2話では「すぐ目の前をポーン」とか言ってなかったか
飯縄おろし
世の中と演劇するオフィスプロジェクトM
タイニイアリス(東京都)
2009/11/06 (金) ~ 2009/11/11 (水)公演終了
満足度★★★
中盤あたりから失速気味?
時は昭和40年代の早春、信州の高校で季節外れの大雪により校舎から出られなくなった生徒数人…という状況の物語。
木造の旧校舎でやっと油の入っているストーブがある教室を見つけたという設定だし、置いてある椅子や机も当時の木製のものだし、交わされる会話も最近のコギャルからは考えられないウブなじょしこーせーだし、レトロな感覚満載。
ただ、相米慎二監督の『台風クラブ』(84年)にも似た昂揚感(あるいは小学生の頃、外が暗くなるまで居残っていた時のトキメキとか?)の中、卒業を目前にした不安をつい吐露してしまうという前半はなかなか良いが、中盤あたりから失速気味で中だるみ、というか坂を転がり下りていた球が登りに差し掛かって次第に速度を落として止まってしまうような感覚で、なんだかもったいないような…。
そういえば、オリジナルである男子高校生版は出演者が1人多いようで、どう違うんだろう?
拝啓、絶望殿
ペテカン
駅前劇場(東京都)
2009/11/06 (金) ~ 2009/11/15 (日)公演終了
満足度★★★★
本田誠人の父親となった喜びや実感
主人公(と言えるのか?)の妻が分娩室に入ってからの6時間ほどの産科病棟ロビーでの出来事をスケッチ集風に描いたもので、本田誠人の父親となった喜びや実感が「戯画化」という照れ隠しでは隠しきれず、これでもかと言わんばかりにあふれ出て、優しさとあたたかさがテンコ盛り…みたいな。
ま、それもそのハズ、子供が生まれた後に帰京する飛行機の中で構想ができたそうで…。
また、主人公のモノローグの語り口やタイトルから倉本聰作品も連想。
印象的だったキャラは若いのに実は4人目、な元ヤン夫婦。ベタ気味な言葉使いと共に強烈で、看護士コンビとともに名コメディリリーフぶり?
一方、事故で妻(と生まれる直前の子供)を亡くした(と後半で明かされる)男は全体の中で異質。敢えて湿っぽくしたりしないで、全部ほのぼの系でまとめた方が良くはなかったか?
総じて満足ながら、95分という上演時間に加えてエピソードの積み重ねというスタイルから、若干の喰い足りなさがなき西も非ず。
いらない里
ホチキス
吉祥寺シアター(東京都)
2009/11/07 (土) ~ 2009/11/15 (日)公演終了
満足度★★★★
宇宙規模の壮大なナンセンスぶり
埼玉のド田舎から「そろばんアイドル」としてデビューするため上京したもののなかずとばずで、その後コストカッターとして働くも経費削減のためにクビにされ帰郷した主人公が巻き込まれる地元の再開発騒動…なおハナシ。
「鴻池」の正体にしても「抜け殻殺人事件」の真相にしてもバレバレな上に、クライマックスも「地球の危機」系SFではコテコテの古典的なネタであるにも関わらず「温故知新」と言うべきか、古着を新たなセンスで仕立て直したファッションの如く斬新。
環境問題に絡めて「地球は汚染しすぎているので宇宙から抹殺」なんてのはありがちだが「収支計算(どういう基準だよ!(笑))をすると赤字だから」などという宇宙規模の壮大なナンセンスぶりには脱帽。
さらに「愛」さえ出せば何とかなるという確信犯的なチカラ技の解決までされたんじゃあもう「恐れ入りましたっっ!!!」とひれ伏すしかない、みたいな?(笑)
また、終盤で明かされる物語全体の根幹を成す部分が、序盤で出てきた比較的身近なネタと奇しくもカブるところに北野ひろしの『沈黙の自治会』も連想。
あと、オープニングとエンディングの「四季かっっ!!!」なミュージカル風のパートも楽しかったなぁ。
黴と鉄道
地球割project
pit北/区域(東京都)
2009/10/29 (木) ~ 2009/11/08 (日)公演終了
満足度★★★
装置は使わずにロープ4本のみ
B兵器的な黴によって壊滅的な被害を受けた町を描いたもので内容はワカり辛かったものの、表現方法が非常に面白い。
いろんな催しがあるイベントの中の1作ということもあり装置は使わずにロープ4本のみであれやこれやを時に具体的に(例えば冒頭で十字路だったのが十字架になったりとか、最後はハンギングロープだったりとか)時に抽象的に見せるスタイル。
まっすぐに置いたロープに縦の波を送るなんて「あぁ、そういえば子供の頃やったっけ」なんて懐かしかったなぁ。
アーティシャフト2009
アーティシャフト
pit北/区域(東京都)
2009/10/29 (木) ~ 2009/11/08 (日)公演終了
満足度★★★★
『モギ裁判』発汗トリコロール
父親を殺害したとされる青年(少年?)の審理、事前に観客参加型との情報を得ており、前説気味のパートで演者と目が合った時点で「キターーー!」みたいな(笑)。予想通り裁判員(6人)を観客の中から選ぶというもので、舞台上で観ることに。
検事、弁護士、裁判長は役者が演じ、被告は「精神的動揺により口がきけなくなった」という設定のもとに人形(全身真っ黒のマネキンっぽいもの)を使うアイデアにまずは感心。
さらに、被告の日記の再現シーンで検事、弁護士それぞれが人形のメガネをかけて被告役を演ずるのに「ヤるなぁ」と。
あと検察側、弁護側の主張のたびにコロコロ態度を変えるハイテンションな裁判長も印象的。
トランスフォーム、ゴーホーム
tsumazuki no ishi
ザ・スズナリ(東京都)
2009/11/04 (水) ~ 2009/11/08 (日)公演終了
満足度★★
ギクシャクした感が払拭できず
近未来系・バックステージ系の個々のパーツはそれぞれ面白く、こういった構成も好きなのだが、何か全体的に木に竹を接いだようなギクシャクした感が払拭できないのが残念。
上演時間が135分もあるのだから、バックステージの部分を入れずに未来のタワーマンションロボだけで2時間弱にまとめても良かったような気がする…。
それだけだといつもと作風が違うのでテレ隠しにバックステージネタ(これとて通常とは異なるが)も盛り込んだのか?
一方、遠景にある別のタワーマンション、まずは腕が出て動くのに笑わせられたが、その後ちゃんと巨大ロボットにトランスフォームする(!)のには感服。
事前情報からは惑星ピスタチオの『Believe』における「大阪城ロボ」の現代版かと思ったが、どちらかと言えばマクロスのトランスフォーメーションに近い感じ?
おんな
劇団虎のこ
萬劇場(東京都)
2009/11/04 (水) ~ 2009/11/08 (日)公演終了
満足度★★★★
昭和の大映映画のようなオモムキ
遊郭を舞台にそこの「おんな」たちのプライドや嫉妬、ズルさや哀しさをクローズアップした物語、昭和の大映映画、あるいは最近なら山田洋次監督作品のようなオモムキ(「格調」と言っても良いか?)あり。
「悪人(あるいは悪役)」はいず、「おんな」たちのみならず登場人物全員がそれぞれどこかしら哀しい部分をもっているのがイイし、終盤に仕込まれた親子ネタはトドメ?(爆)
また、唐傘をアクセントに使った装置もステキ。
GHOST SEED ~ゴースト シード~ (再演)
カプセル兵団
ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)
2009/11/04 (水) ~ 2009/11/08 (日)公演終了
満足度★★★
全体的に整理された印象
世界を護る5本の「世界樹の木」のうちの1本が朽ちる際に射出する直前の種が盗まれて3年が経ち、そのままではそこから世界が崩壊しかねない、というジブリ(ってか宮崎?)アニメ的な世界観に鉄腕アトム的な設定(亡くなった肉親を技術によって再生するとか)も加えた物語、2年前の初演に比べてスンナリ理解できたのは1度観ているからというのもあるだろうが、全体的に整理された印象によるものが大きいんだろうな。
で、初演時同様、ギクシャクした動きとクリック音のS.E.による自稼動人形の表現と、根底に流れる生命の尊さや環境問題というテーマがイイ。
ちなみに今回は得意のライダーネタは控えめで「降臨、満を持して」くらい?
勧善懲悪ならともかく、こういう系統だとやはり入れにくい模様。
それにしても友情出演の某座長ってば自由だなぁ…(笑)
ラフカット2009
プラチナ・ペーパーズ
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)
2009/11/04 (水) ~ 2009/11/08 (日)公演終了
満足度★★★
笑いと涙の第4話がイイ
第一話「職員会議」 脚本:G2 演出:堤泰之
いわゆる職員会議ではなく劇中での呼称は「学年会」。生徒会執行部代表も出席する会議で、執行部代表の代理が緊急動議としてセクハラ教師を告発し…という内容は(最近の)G2らしからぬ作風がちょっと意外だが、ラフカットらしいニオイがして悪くない。
なお弁護士が教師を糾弾するシーンに『夜の来訪者(Inspector Calls)』を連想。
第二話「真夜中の太陽」 原案・音楽:谷山浩子 脚本・演出:工藤千夏
意図はよくわかるし、好きなタイプであるのに(と言うよりも「であるがゆえに」か?)「過去の友人たちと触れ合う生き残った女性」が今ひとつ活かされていないのがもどかしい。
第三話「アンデスの混乱」 脚本:鴻上尚史 演出:堤泰之
もしも日本人が「アンデスの聖餐」(映画『生きてこそ』を観て知っていた)の状況になったら、という着想に『12人の優しい日本人』を連想するもテーマとしては苦手。
そういえばこのテのハナシだと武田泰淳の「ひかりごけ」も思い出すが、アレに対してそんなに抵抗がないのは「食べること」そのものが主題なのではなく、その後に重点が置かれているからか?
第四話「父を叩く」 脚本・演出:堤泰之
うん、さすが名手堤泰之、文句ナシ。
入院している父を見舞った息子を中心にした笑いと涙の短編、的な。
息子がサインした色紙を見た父「何て書いてあるか読めんな」
息子「楷書だよ」
なんてところも上手い。
あと、「おっぱい~!」のシーンに映画『寝ずの番』を連想。
リフラブレイン
MCR
駅前劇場(東京都)
2009/10/29 (木) ~ 2009/11/03 (火)公演終了
満足度★★★★
根底に流れる姉弟の肉親愛・絆
極貧で二人暮らしをするの姉と弟の十数年間を描いたナンセンス系コメディ。
彼ら(や周囲の人物の一部)の状況や降りかかる災難は悲惨そのものなのに笑い飛ばせてしまうのは根底に流れる姉弟の肉親愛・絆ゆえか…ナンチャッテ(爆)
いやホント、そんな使い古された表現がよく似合うと言うか、逆に言葉では語りつくせない(←レビューの書き手としての逃げじゃん!(爆))と言うか、両極端なモノが同居して調和さえしているのが独特。
で、冒頭とほぼ同じ「パンとミルクセーキ(笑)」の食事を挟んだ姉と弟の会話で締めくくるのは、高校生と中学生であった頃から十数年を経ても変わらぬ姉弟愛の象徴であり…(゚_+)☆\バキ!(-_-;)モウエエワ
また、装置の床や壁に使われている畳表・包帯巻き・人工芝を対になる2面に貼った正六面体の「中道具」(基本は椅子、時としてテーブルに使われる)もなかなか。
暗闇シークエンス
赤堤ビンケ
OFF OFFシアター(東京都)
2009/10/28 (水) ~ 2009/11/03 (火)公演終了
満足度★★★
リアルタイムの会話劇
交通事故で急死した大学生のアパートに彼の実家にはないという遺影用の写真を探すために所属していたテニスサークルの仲間が集まり…という物語、装置を目にした途端に「なるほどやっぱり!」みたいな。
鈴木優之が演出したLE-TUBOの『fermata』同様、異様なほど(笑)細部に凝って創り上げた散らかし放題な男子学生の部屋で繰り広げられる、流星雨も降るという一夜(未明)のリアルタイムの会話劇。
いや、時間だけがリアルなのではなく、「あ~いるいる、そんなヤツ」な人物設定や彼らが交わす会話もリアルだし、暗黙の了解で故人が付き合っていた相手は呼ばないことにしていながらもそれに気付いていないヤツが連絡してしまっていたり、なんて設定もいかにもありそう。
そうこうしての終盤、故人の父が訪れ、息子についてサークル仲間たちに語るシーンではその胸中を察してホロリ。
また、それによって友人の死をやっと実感する仲間たちとか、映画サークルから返送された写真の入ったピンク色の箱の在り処とか、一気に収束してエンディングに向かうのが鮮やかで、その中で「カノジョ欲しい」発言をしていた男子が理想の相手(?)を見つけることによってちょっぴり笑わせ、女子たちの思いやり(+α:パチンコで狙うのも含む)で余韻を残して締めくくるのも上手い。
ということで、満足度は高かったが、10分ほど開演が押しながらもそのことについて一言も触れなかったので☆1つ減点
なお、友人の死によって集まる仲間たち、ということで行定勲監督の『ひまわり』(00年)も連想。
甘い丘
KAKUTA
シアタートラム(東京都)
2009/10/30 (金) ~ 2009/11/08 (日)公演終了
満足度★★★★
喜怒哀楽がしっかり
地方の山奥(?)にあるサンダル工場に欠員補充と寮母的な役割とで新たに2人の女性が加わった夏から翌年の春までの四季それぞれの出来事を綴った物語、ブラックチョコ(←「カカオ○%のチョコ」と書きたいところだが食べたことがないので)の如くホロ苦いペーソスとスウィートな優しさ(と笑い)が絶妙のバランスでブレンドされ、そこにアクション…もとい、殴る蹴る引きずるの暴力シーン(バラさんってばハードボイルド(笑))まで添えて130分ほどがアッと言う間。
短編連作だとメリハリが付くので体感時間的に有利というのもあるが、本作の場合は人間の喜怒哀楽がしっかり盛り込まれていることによるものが大きいかと思われ…。
特に秋の場(第三場)で、茜と訪れた姉との口論をキッカケにかの子や虎杖までがそれまで抑えていた感情を爆発させるのが印象的。
また、月替りか何かで掲示される「サンダルはヒール(癒し)とソール(魂)が大切」などのスローガンも楽しい。
ONEDAY~さよなら、リーダー~
u-you.company
サンモールスタジオ(東京都)
2009/10/27 (火) ~ 2009/11/03 (火)公演終了
満足度★★★★
シリーズ完結?
女性だけの劇団のリーダーが妊娠し結婚することになり、そのパーティーでサプライズの余興をしようと劇団員のみならずOGも集まって稽古をしているところに「結婚はなくなった」との情報が入り…というコメディ。
シリーズ3作目とのことながら毎回完結のスタイルのようなのでいきなり観ても全く問題はなく「ベタ、クサい、アツい」の三拍子(笑)が揃った、小学校時代の道徳の時間に観ていたNHK教育テレビのドラマ(♪口笛吹いて~、空き地へ行った~♪ のアレ)に似たニオイもする物語を大笑いしつつ堪能。
一言で表現すれば「バランスがイイ」。基本的にはコメディながら、劇団員たちがギクシャクすることでハラハラさせ、仲間の1人の事故(?)により再びまとまり、しかしそれはドッキリだった(素直なσ(^-^) はシッカリ騙された:いやしかし「事故」の場面で急ブレーキのような音と衝突音が聞こえていなかったか?…って、急ブレーキは偶然同じタイミングでかけられたもので、衝突音はまんま「ネコ」とぶつかった音と解釈すればOK?)というオチを付けるなんざ見事。
また、各登場人物がハッキリ色分けされてそれぞれ個性的なのも○。アテ書きではないものの、配役が決定してからその個性に合わせて変えていったそうで「準アテ書き」といったところか。
ところで副題から推察するにこれでシリーズ完結なの?
であれば前二作も含めていつか再演して欲しいし、むしろ「最後の事件」の後に「帰還」したホームズの如く理屈をつけて(笑)継続して欲しいモノです。