ヨミガエリ
演劇ユニットスーパーコンプレックス
アトリエフォンテーヌ(東京都)
2009/11/20 (金) ~ 2009/11/23 (月)公演終了
満足度★★★
ラストの逆転は鮮やか
「自殺した人間は即座に転生し再び同じ人生を歩む」というルールが不服でゴネるヤクザに、その直前の「誤認召喚(まだその時期でない者を天に召す過ち)」問題をも同時に解決する策を思いついた天使たちは当事者2人にある使命を与えて別人として地上に戻すが…な物語、若干の既視感と教訓臭、それに浅田次郎臭(笑)がするものの、ラストの逆転が鮮やか。
一方、難病により臓器移植手術が必要な息子を救うべく「金のためなら何をやっても構わない」母親の姿を半ば肯定的に描いているところに「ザラつき」を憶える。
また、彼女の餌食(?)となる男たちがたとえば不採算により小児科を閉鎖する病院経営者だったり、児童ポルノビデオ制作者だったりと、いろんな意味で「子供の敵」であるのが教訓臭のモトか?(笑)
inside out, inside out
演劇集団アーバンフォレスト
SPACE107(東京都)
2009/11/18 (水) ~ 2009/11/23 (月)公演終了
満足度★★★
4,200円はちょっと高いなぁ
おカマを嫌って10年前に家出した息子が結婚を前に婚約者とその堅物の両親を連れて来るにあたって従業員(この場合はホスト?ホステス?)たちに普通の男のフリをさせようとする(ばかりか建設会社の社長を演ずることになる)おカマバーのオーナーを中心とした、設定にしても展開にしても基本中の基本な王道ドタバタコメディ。そんな中に父親が息子の幸せを願う気持ちや、婚約者の両親の不器用な夫婦愛なども織り込んで手堅く仕上げてハズれるワケがなく、キレイだったり見苦しかったり(爆)するおカマちゃんたちもお約束?(笑)
ただ、4,200円はちょっと高いなぁ。
装置だって、バーのオーナーの自宅と言うよりはそこで殺人が行なわれる無人島にある別荘のロビーみたいな見覚えのあるものだし…(謎笑)
ブロークン・セッション【公演終了・ありがとうございました】
elePHANTMoon
サンモールスタジオ(東京都)
2009/11/18 (水) ~ 2009/11/23 (月)公演終了
満足度★★★★
文字通りの「ブラックユーモア」
まさに文字通りの「ブラックユーモア」、思いっきりブラック(かつ不道徳?)なのに妙にユーモラスで笑えてしまうのが不思議~、みたいな。
中には眉をひそめる(どころかタイミング的に拒絶反応を示す)方もいらっしゃるとは思うものの、個人的には支持。
最近多いスプラッタ系コメディホラー映画の「んなワケねーだろ!」な可笑しさとはまた違った可笑しさが独特。ある意味アレよりもコワいしブキミでもあり…。
最初の場において、その家で何が行われているか大体はワカるものの細部が見えずにやきもきしていると、次の場以降の会話で薄紙を剥ぐように(←病気じゃないんだが)それがワカってくるのが巧い…と書いていて気付いたけれど、説明台詞がないんだな。台詞でそのものズバリを説明するのでなく、会話の中にヒントを潜ませて観客に知らしめる、な感じ。
そう言えば、舞台装置(これがまた前作に続いてリアルで、そこから生活のニオイや生活音が流れてきそう)の外(=別室とか廊下とか)で起こっていることを効果音(や聞こえてくる会話)だけで想像させるというのもこのバリエーションと言えるかも?
で、「解体」シーンは4分くらいにわたって舞台上に誰もいない状態だったと後日言われるまでそのことに気付かず。これってスゴくね?
ストイックだよ全員集合!
Theatre劇団子
ザムザ阿佐谷(東京都)
2009/11/18 (水) ~ 2009/11/23 (月)公演終了
満足度★★★★
キャラクター合戦の様相
禁欲修行をする「ワンスモア学園」の100を超える(!)クラスから選抜された8人が会議室に集められ、校長立会いのもとに卒業すべき1人を決める話し合いをする…な物語、さながらキャラクター合戦の様相。(笑)
結末はお約束と言おうか定番的と言おうか予想の域を出ないものではあったが、そこまでのキャラ及びネタによって十分に満足。
まずはキャラクター。1番、2番、5番は自己紹介の時に、他(8番を除く)はそれよりも前の時点で誰なのか判るほどの有名人たち、中では4番、6番、7番それに校長、マリモンが形態模写的に抜きん出ていたか。なんたって登場した瞬間に誰だか判明するってくらいで。(衣装とメイクによる部分もあるが)
また、ネタについてはハナ肇の銅像(@「新春かくし芸大会」)や「ダダン」のCMを知っている世代としておそらく全部ワカったのではないかしら。しかし、他も含めて若者にはワカらんネタが多くないか?(ちょっぴり優越感(爆)
贋作 人形の家2009
劇団ドガドガプラス
浅草東洋館(浅草フランス座演芸場)(東京都)
2009/11/12 (木) ~ 2009/11/16 (月)公演終了
満足度★★★★
ポップかつ華やかで楽しい
※ 座席は「く」列:かなが入力できないのはいかがなものか?
映画監督としてのキャリアが長い望月六郎主宰(&作・演出)の劇団の第6回公演(初見)。望月監督、今まで撮ってきた映画とか強面っぽいプロフィール写真(笑)から受けるイメージとは裏腹に実際は当たりの柔らかそうな方で、内容的に2~30代の小劇場系作家(ったって様々だけれど)を思わせる作風だったのはちょっと意外。
たとえばアングラっぽいとか、あるいは“STRAYDOG”に近い感覚(森岡利行脚本の望月監督作品もあるのでなおさら)とか、そんな風に思っていたわさ。
が、考えてみれば同世代である野田秀樹の作品も小劇場っぽいワケで、そういうこともあるんだな、と。(といっても本作が野田チックというワケではない)
野田といえば、コチラは「がんさく」と普通に読むのだった。
で、「にせさく」と読ませないことから(ではあるまいが(笑))、イプセンの作品とはほぼ無縁、強いて言えば女主人公の名前が「ノラ」ならぬ「オラ」で、男主人公の名前が「井伏マリオ」(イプセンのもじりというのは深読み?)なことくらいか?
失業したマリオはふと人形ギャラリーに立ち寄るが、気付くと錦糸町の踊り子キャバレー「人形の家」の新人ボーイとして働いており…な物語、オラをめぐる彼女の夫とマリオの対決やナンバーワン踊り子・江島と人気役者・生島(笑)の挿話(ここだけ台詞が時代劇調だし)に歌(ハンドマイク使用)やダンスを伴うミュージカル風のシーンも交えてポップかつ華やかで楽しい。
また、この小屋の特徴である客席上手にある照明ブースと舞台横からそこへ続く階段(まるで「立体花道」)も使うのもイイ。
あと、序盤と終盤の人形ギャラリーの場面で大半の出演者が人形に扮しているそのポーズや、鏡の見せ方も良かった。
NINPU
ロスリスバーガー
RAFT(東京都)
2009/11/13 (金) ~ 2009/11/15 (日)公演終了
満足度★★★★
倉多江美の短編をも想起させる
「理想の生活」についての文章を書かなくてはならないのに筆が進まない主人公が「具体的に思い浮かべてみれば?」という夫の助言に従ったところ、「勝手にしやがれ」を歌う太めのジュリー(笑)に続いて1万円をせびる妹やどう見ても全裸の人間なチワワ(爆)も現れ…という物語、『ジュマンジ』のように実際に現れるというよりは主人公が妄想の中に入り込み過ぎたってところか?
前回公演のリアルなタイプとは対照的な、倉多江美の短編「物語をコントロールできなくなった漫画家の悲劇」(「一万十秒物語」所収)をも想起させるシュール系、これも愉快。
特に主人公の気の弱そうな表現が、いかにも妄想の中の人物たちに手を焼きそうで、ある意味リアリティを与えていた、みたいな?
あと、ラストは原稿用紙が乱舞して散らかされ、その散らかり具合は前回の冒頭同様、他人事ではなく身につまされる(爆)。
御霊祭御祭騒【トリプルキャスト公演】
虚飾集団廻天百眼
シアターPOO(東京都)
2009/11/07 (土) ~ 2009/11/22 (日)公演終了
満足度★★★★★
狂喜乱舞
自分の出生時の因果か身籠った子供を出産する際に命を落とした少女が、現世に残した娘を心配してあの世を仕切る大僧正にすぐにでも転生することを願い出て…という物語、約60分という上演時間もあってか非常にシンプルかつストレートでわかりやすい物語をコテコテのアングラ風味にユーモアも添えて楽しく、アンケートで出演者・脚本・演出・音楽・照明など各項目とも選択肢の中の「狂喜乱舞」に○を付けてしまったくらいで。
開場後、客席に入るとすでに牛頭・馬頭・鵙・鈴鬼なんてあの世の住人が舞台や客席にいて「お客様のお成~り~!」と迎えたり小芝居をしたりしており、石井主宰のユーモラスな前説を経て開幕すると、真っ暗な中、懐中電灯のみの照明からスタートするという。
以降、少女をそそのかして実は自分が転生しようとする御祭男や、少女が転生する子供の親となるハズの少年と少女なども描きつつ、ラストは中央通路を舞台から客席後方に去る亡少女の図、そうか、あの通路は産道だったのね、みたいな。
産道と言えば、胎児は産道を通る時にそれまでの記憶を失う、なんて台詞に夢野久作の「ドグラ・マグラ」を連想し(この頃多いな…)、衣裳・メイク(大僧正が特に○)などヴィジュアル面からは佐井好子(←本業はシンガー)の絵(イラスト?)も連想。
また、その産道…いや通路際の比較的前方に座ったのでメガネをかけさせられたり膝に腰かけられたりして、それもまた楽しからずや。
あと、終盤で流れる「とおりゃんせ」のロックバージョン(by Ray Ascroft)や、パなく降りしきる(←当たると痛いくらい:終演後に片付けるのはさぞや大仕事だろう(笑))紙吹雪&金銀モールも印象的。
白キ肌ノケモノ【満員御礼!次回は三月!】公演写真up中!
ACTOR’S TRASH ASSH
笹塚ファクトリー(東京都)
2009/11/14 (土) ~ 2009/11/15 (日)公演終了
満足度★★★★
ギリシア悲劇かシェイクスピアか(笑)
副題にある通り、この4月と7月に上演された『刻め…』の前日譚にあたる物語で、負のオーラ満載!(笑)
運命の糸に絡め取られるように悲劇的な結末に向かうさまはさながらギリシア悲劇かシェイクスピアの如し。
が、その悲劇のすぐ後に現代の母娘のエピソードで緩和するのが上手いっちゅうかズルいっちゅうか…(笑)
また、「盗っ人にも三分の理」ではないが土蜘蛛がああなったのもそもそも謂れのない差別を受けた上にあんな悲劇まで経験したから、としているのが巧い。(兄妹愛が絡んでいるので余計そう感ずるのかも?)
さらに、冒頭と終盤の外道丸のポジションが正編とカブっているのもシリーズとして◎。あの盲目の男なんて、出てきた途端に「あ、外道丸!」なんてワカっちゃうもんなぁ。
あと、3つの時制(メインパート、十数年後、現代)を組み合わせて使い分けたのも上手い…って、思い起こせば正編もそうだったっけ。骨組みは同じでありながら違った物語を紡ぐというのは正編と外伝を語るのに適したスタイルかもなぁ。
夕焼けのカナタ*アカツキの手前-2009邂逅-
SHAFT
新宿シアターモリエール(東京都)
2009/11/13 (金) ~ 2009/11/15 (日)公演終了
満足度★★★
テーマがよりハッキリ見えた気がする
突然のトラブルで列車が全線運休となり、山梨県内の小さな駅で運転再開を待たされることになった人々を描いた群像劇系。
その中には強盗殺人事件を起こした者もいて…というサスペンス風味もありつつ、劇団四季の『夢から醒めた夢』や深夜ドラマ「奇妙な出来事」(←「世にも奇妙な物語」の前身)の1挿話「待合室」を連想。この系統って好きなんだなぁ。
で、3年半前の初演(@麻布 die platze)を観ており、詳細については記憶が風化していたものの、大筋や全体の構造は覚えていたので、ストーリーを追うことに気をとられた初演と違って、テーマがよりハッキリ見えた気がする。
また、映像や音楽などグレードアップされており、終盤の1シーンだけのために客席前方の天井に仕込んだ豆球(こういうのがあるから後方で観る方を選ぶのさ)には感心。
『アユタヤ順風伝』
ひげ太夫
萬劇場(東京都)
2009/11/12 (木) ~ 2009/11/16 (月)公演終了
満足度★★★★
照明効果の細やかさにも感心
毎度お馴染みの庶民的英雄(?)伝、中国が舞台になることが多い中、今回は現代のタイを舞台にしながらもイイ意味でマンネリで、お約束と言おうか同工異曲と言おうか、基本的なストーリーは毎回同じなのにその見せ方(組体操だけではなく、ね)でグイグイ引っ張ってしまうのがスゴい。
あ、でも終盤で明かされるカルダモンがタムタムに与えたペンダントの由来は「いいハナシ」だなぁ。
また、今回は水に落ちた瞬間に青になり水面に顔を出すと白っぽくなったり、窓を開けると微妙に明るくなる照明効果の細やかさにも感心。
ヒーローズ
劇団Spookies
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2009/11/11 (水) ~ 2009/11/15 (日)公演終了
満足度★★★
小坂逸流のヒーローコメディ
黒服の謎の2人組がヒーローたちを辞めさせようと、かつてヒーローたちの教官であった女性カウンセラーも担ぎ出し…という物語、改造人間兄弟(性転換した弟を「ある意味改造人間」などと言うのが愉快)、5人組の戦隊、普段は地球防衛隊員である光の巨人という3大ヒーローの顔合わせ(笑)。
TEAM 発砲・B・ZINがかつて得意としていたものとも、今年6月の劇団 勇壮淑女の『チキュウノミカタ』ともまた異なるアプローチで、小坂逸流のヒーローコメディ…ってか、ヒーローに限らず、かつて抱いていた夢と現在の自分とのギャップに悩む(?)人たちへの応援歌にもなっているところが巧い。
ほたえな
ソラトビヨリst.
阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)
2009/11/11 (水) ~ 2009/11/15 (日)公演終了
満足度★★★★
着実に力をつけてきている
慶応4年1月3日、龍馬の四十九日に近江屋を訪れた千葉さな子、というシーンをプロローグに、その前年11月15日夜に起きた襲撃事件の顛末を回想・証言・再現で描いたソラトビ初の時代劇で原作・総監修の西村太佑がグワィニャオン用に構想をあたためていながら実現しないまま半ばお蔵入りだった作品とのこと。
うん、確かに(ちょっと前の)グワィっぽい(笑)。当日パンフでそういう事前情報を得たこともあって、時々「グワィだったらあの役はあの人か?」などと思いながら観ていたり。(でもこちらの方が若々しいか…(爆))
で、時に笑いで緊張感をほぐしながら「その夜」やさな子とおりょうの鞘当て、それに明治に至る関係者のその後までを見せる構成の脚本と演出・演技がキッチリかみ合って観応え十分。従来とは異なる路線ながら、こっちでもイケるじゃん! もともと個性が際立っていた上に、公演ごとに着実に力をつけてきているのがうれしい。
また、戊辰戦争の鳥羽・伏見の戦いが龍馬の四十九日に起きたということを初めて知り、その偶然…いやむしろ縁にビックリ。
ところで終盤での「京に大砲の音は似合わない、鐘の音が似合っている」という台詞を反戦メッセージと受け取ったのは深読み?
終盤といえば盆を使わずに視点(映画で言えばカメラアングル)を90°回すのも、そのシーンでの龍馬を喪った中岡の慟哭とともに見事。
それにしても龍馬を扱った芝居はこれで今年5~6本目、近江屋絡みも3本目って、生誕あるいは没後*年というキリのいい年でもないのに何故?
肖像の残滓
劇団パラノワール(旧Voyantroupe)
ザムザ阿佐谷(東京都)
2009/11/11 (水) ~ 2009/11/15 (日)公演終了
満足度★★★
不道徳どころか猛毒?(笑)
副題にある通り、対象者が快い自殺を遂げられるよう教唆する(!)会社が手掛ける仕事を描くシリーズの第1作(になるらしい)、中盤あたりまでは緩慢な感あるも終盤は息詰まる展開で先が全く読めず。
途中までは「不道徳どころか猛毒?(笑)」などと思いながら観るも、そういうオチなら納得。
鈴木が正体を明かして(←当日パンフの人物紹介をすっかり忘れていた)からは、鈴木と伊東の真意はどちらなのか読み取ろうとしながら観ていたが鈴木については結局読めず、そのあたりは今後に期待か?
また、伊東については当日パンフの人物紹介で「何故そういう人物がその会社に?」というひっかかりがあったものの、そこまで止まり…って、ここのところこんな風にヒントに気付きながらも詰めが甘くて読みきれないというパターンが多いな。
で、毒を以て毒を制すと言おうか猛毒も使いようによっては薬になると言うか、あのやり方は際どく、たまたま結果オーライだったからイイようなものの、一歩間違えば何人か死んでないか?(笑)
今後、結果的に自殺させてしまうなんてケースもあるのかしら?(実は極悪人だったことが判明して…なんてのはあるかも)
庭
箱庭円舞曲
nakano f(東京都)
2009/11/10 (火) ~ 2009/11/15 (日)公演終了
満足度★★★★
絶妙の配球で三球三振
友人の披露宴当日の昼前、二次会前、二次会の最中の男女を描いた2人芝居3本(各20分程度、合間にそれぞれ5分間の休憩あり)、一球目は直球、二球目は思いっきりの変化球、三球目はスローな直球という配球で三球三振にとられた感じ?(笑)
通常公演でも実際の現場を覗き見しているように感ずるほどリアルな会話が、2人芝居だと濃縮されたと言うか凝縮されたと言うか良い意味でこってりしており、しかも演者が2人なのでそれぞれの心理まで読める、みたいな。
第1話「男の庭」はオーソドックス。男女とも新郎新婦のかつての同級生で、男はどうやら女に(まだ?)気がある様子。オチも「あ、そうか」と大いに納得。
第2話「女の庭」。これは謎だらけ? 女の行動が不審だし、2人の関係もなかなかわからず、あれこれ想像をめぐらせながら観ることに。
しかしあのオチってことは、かなりの偶然だったってことなのね。
第3話「二人の庭」は再びオーソドックス。それまでの2話に出てきたモノを使いリンクさせて締めくくる感じ。
最近は室内なのでトスではなく「ブーケプル」だなんてことも知る。ありゃ、でも第2話では「すぐ目の前をポーン」とか言ってなかったか
飯縄おろし
世の中と演劇するオフィスプロジェクトM
タイニイアリス(東京都)
2009/11/06 (金) ~ 2009/11/11 (水)公演終了
満足度★★★
中盤あたりから失速気味?
時は昭和40年代の早春、信州の高校で季節外れの大雪により校舎から出られなくなった生徒数人…という状況の物語。
木造の旧校舎でやっと油の入っているストーブがある教室を見つけたという設定だし、置いてある椅子や机も当時の木製のものだし、交わされる会話も最近のコギャルからは考えられないウブなじょしこーせーだし、レトロな感覚満載。
ただ、相米慎二監督の『台風クラブ』(84年)にも似た昂揚感(あるいは小学生の頃、外が暗くなるまで居残っていた時のトキメキとか?)の中、卒業を目前にした不安をつい吐露してしまうという前半はなかなか良いが、中盤あたりから失速気味で中だるみ、というか坂を転がり下りていた球が登りに差し掛かって次第に速度を落として止まってしまうような感覚で、なんだかもったいないような…。
そういえば、オリジナルである男子高校生版は出演者が1人多いようで、どう違うんだろう?
拝啓、絶望殿
ペテカン
駅前劇場(東京都)
2009/11/06 (金) ~ 2009/11/15 (日)公演終了
満足度★★★★
本田誠人の父親となった喜びや実感
主人公(と言えるのか?)の妻が分娩室に入ってからの6時間ほどの産科病棟ロビーでの出来事をスケッチ集風に描いたもので、本田誠人の父親となった喜びや実感が「戯画化」という照れ隠しでは隠しきれず、これでもかと言わんばかりにあふれ出て、優しさとあたたかさがテンコ盛り…みたいな。
ま、それもそのハズ、子供が生まれた後に帰京する飛行機の中で構想ができたそうで…。
また、主人公のモノローグの語り口やタイトルから倉本聰作品も連想。
印象的だったキャラは若いのに実は4人目、な元ヤン夫婦。ベタ気味な言葉使いと共に強烈で、看護士コンビとともに名コメディリリーフぶり?
一方、事故で妻(と生まれる直前の子供)を亡くした(と後半で明かされる)男は全体の中で異質。敢えて湿っぽくしたりしないで、全部ほのぼの系でまとめた方が良くはなかったか?
総じて満足ながら、95分という上演時間に加えてエピソードの積み重ねというスタイルから、若干の喰い足りなさがなき西も非ず。
いらない里
ホチキス
吉祥寺シアター(東京都)
2009/11/07 (土) ~ 2009/11/15 (日)公演終了
満足度★★★★
宇宙規模の壮大なナンセンスぶり
埼玉のド田舎から「そろばんアイドル」としてデビューするため上京したもののなかずとばずで、その後コストカッターとして働くも経費削減のためにクビにされ帰郷した主人公が巻き込まれる地元の再開発騒動…なおハナシ。
「鴻池」の正体にしても「抜け殻殺人事件」の真相にしてもバレバレな上に、クライマックスも「地球の危機」系SFではコテコテの古典的なネタであるにも関わらず「温故知新」と言うべきか、古着を新たなセンスで仕立て直したファッションの如く斬新。
環境問題に絡めて「地球は汚染しすぎているので宇宙から抹殺」なんてのはありがちだが「収支計算(どういう基準だよ!(笑))をすると赤字だから」などという宇宙規模の壮大なナンセンスぶりには脱帽。
さらに「愛」さえ出せば何とかなるという確信犯的なチカラ技の解決までされたんじゃあもう「恐れ入りましたっっ!!!」とひれ伏すしかない、みたいな?(笑)
また、終盤で明かされる物語全体の根幹を成す部分が、序盤で出てきた比較的身近なネタと奇しくもカブるところに北野ひろしの『沈黙の自治会』も連想。
あと、オープニングとエンディングの「四季かっっ!!!」なミュージカル風のパートも楽しかったなぁ。
黴と鉄道
地球割project
pit北/区域(東京都)
2009/10/29 (木) ~ 2009/11/08 (日)公演終了
満足度★★★
装置は使わずにロープ4本のみ
B兵器的な黴によって壊滅的な被害を受けた町を描いたもので内容はワカり辛かったものの、表現方法が非常に面白い。
いろんな催しがあるイベントの中の1作ということもあり装置は使わずにロープ4本のみであれやこれやを時に具体的に(例えば冒頭で十字路だったのが十字架になったりとか、最後はハンギングロープだったりとか)時に抽象的に見せるスタイル。
まっすぐに置いたロープに縦の波を送るなんて「あぁ、そういえば子供の頃やったっけ」なんて懐かしかったなぁ。
アーティシャフト2009
アーティシャフト
pit北/区域(東京都)
2009/10/29 (木) ~ 2009/11/08 (日)公演終了
満足度★★★★
『モギ裁判』発汗トリコロール
父親を殺害したとされる青年(少年?)の審理、事前に観客参加型との情報を得ており、前説気味のパートで演者と目が合った時点で「キターーー!」みたいな(笑)。予想通り裁判員(6人)を観客の中から選ぶというもので、舞台上で観ることに。
検事、弁護士、裁判長は役者が演じ、被告は「精神的動揺により口がきけなくなった」という設定のもとに人形(全身真っ黒のマネキンっぽいもの)を使うアイデアにまずは感心。
さらに、被告の日記の再現シーンで検事、弁護士それぞれが人形のメガネをかけて被告役を演ずるのに「ヤるなぁ」と。
あと検察側、弁護側の主張のたびにコロコロ態度を変えるハイテンションな裁判長も印象的。
トランスフォーム、ゴーホーム
tsumazuki no ishi
ザ・スズナリ(東京都)
2009/11/04 (水) ~ 2009/11/08 (日)公演終了
満足度★★
ギクシャクした感が払拭できず
近未来系・バックステージ系の個々のパーツはそれぞれ面白く、こういった構成も好きなのだが、何か全体的に木に竹を接いだようなギクシャクした感が払拭できないのが残念。
上演時間が135分もあるのだから、バックステージの部分を入れずに未来のタワーマンションロボだけで2時間弱にまとめても良かったような気がする…。
それだけだといつもと作風が違うのでテレ隠しにバックステージネタ(これとて通常とは異なるが)も盛り込んだのか?
一方、遠景にある別のタワーマンション、まずは腕が出て動くのに笑わせられたが、その後ちゃんと巨大ロボットにトランスフォームする(!)のには感服。
事前情報からは惑星ピスタチオの『Believe』における「大阪城ロボ」の現代版かと思ったが、どちらかと言えばマクロスのトランスフォーメーションに近い感じ?