黴と鉄道
地球割project
pit北/区域(東京都)
2009/10/29 (木) ~ 2009/11/08 (日)公演終了
満足度★★★
装置は使わずにロープ4本のみ
B兵器的な黴によって壊滅的な被害を受けた町を描いたもので内容はワカり辛かったものの、表現方法が非常に面白い。
いろんな催しがあるイベントの中の1作ということもあり装置は使わずにロープ4本のみであれやこれやを時に具体的に(例えば冒頭で十字路だったのが十字架になったりとか、最後はハンギングロープだったりとか)時に抽象的に見せるスタイル。
まっすぐに置いたロープに縦の波を送るなんて「あぁ、そういえば子供の頃やったっけ」なんて懐かしかったなぁ。
アーティシャフト2009
アーティシャフト
pit北/区域(東京都)
2009/10/29 (木) ~ 2009/11/08 (日)公演終了
満足度★★★★
『モギ裁判』発汗トリコロール
父親を殺害したとされる青年(少年?)の審理、事前に観客参加型との情報を得ており、前説気味のパートで演者と目が合った時点で「キターーー!」みたいな(笑)。予想通り裁判員(6人)を観客の中から選ぶというもので、舞台上で観ることに。
検事、弁護士、裁判長は役者が演じ、被告は「精神的動揺により口がきけなくなった」という設定のもとに人形(全身真っ黒のマネキンっぽいもの)を使うアイデアにまずは感心。
さらに、被告の日記の再現シーンで検事、弁護士それぞれが人形のメガネをかけて被告役を演ずるのに「ヤるなぁ」と。
あと検察側、弁護側の主張のたびにコロコロ態度を変えるハイテンションな裁判長も印象的。
トランスフォーム、ゴーホーム
tsumazuki no ishi
ザ・スズナリ(東京都)
2009/11/04 (水) ~ 2009/11/08 (日)公演終了
満足度★★
ギクシャクした感が払拭できず
近未来系・バックステージ系の個々のパーツはそれぞれ面白く、こういった構成も好きなのだが、何か全体的に木に竹を接いだようなギクシャクした感が払拭できないのが残念。
上演時間が135分もあるのだから、バックステージの部分を入れずに未来のタワーマンションロボだけで2時間弱にまとめても良かったような気がする…。
それだけだといつもと作風が違うのでテレ隠しにバックステージネタ(これとて通常とは異なるが)も盛り込んだのか?
一方、遠景にある別のタワーマンション、まずは腕が出て動くのに笑わせられたが、その後ちゃんと巨大ロボットにトランスフォームする(!)のには感服。
事前情報からは惑星ピスタチオの『Believe』における「大阪城ロボ」の現代版かと思ったが、どちらかと言えばマクロスのトランスフォーメーションに近い感じ?
おんな
劇団虎のこ
萬劇場(東京都)
2009/11/04 (水) ~ 2009/11/08 (日)公演終了
満足度★★★★
昭和の大映映画のようなオモムキ
遊郭を舞台にそこの「おんな」たちのプライドや嫉妬、ズルさや哀しさをクローズアップした物語、昭和の大映映画、あるいは最近なら山田洋次監督作品のようなオモムキ(「格調」と言っても良いか?)あり。
「悪人(あるいは悪役)」はいず、「おんな」たちのみならず登場人物全員がそれぞれどこかしら哀しい部分をもっているのがイイし、終盤に仕込まれた親子ネタはトドメ?(爆)
また、唐傘をアクセントに使った装置もステキ。
GHOST SEED ~ゴースト シード~ (再演)
カプセル兵団
ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)
2009/11/04 (水) ~ 2009/11/08 (日)公演終了
満足度★★★
全体的に整理された印象
世界を護る5本の「世界樹の木」のうちの1本が朽ちる際に射出する直前の種が盗まれて3年が経ち、そのままではそこから世界が崩壊しかねない、というジブリ(ってか宮崎?)アニメ的な世界観に鉄腕アトム的な設定(亡くなった肉親を技術によって再生するとか)も加えた物語、2年前の初演に比べてスンナリ理解できたのは1度観ているからというのもあるだろうが、全体的に整理された印象によるものが大きいんだろうな。
で、初演時同様、ギクシャクした動きとクリック音のS.E.による自稼動人形の表現と、根底に流れる生命の尊さや環境問題というテーマがイイ。
ちなみに今回は得意のライダーネタは控えめで「降臨、満を持して」くらい?
勧善懲悪ならともかく、こういう系統だとやはり入れにくい模様。
それにしても友情出演の某座長ってば自由だなぁ…(笑)
ラフカット2009
プラチナ・ペーパーズ
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)
2009/11/04 (水) ~ 2009/11/08 (日)公演終了
満足度★★★
笑いと涙の第4話がイイ
第一話「職員会議」 脚本:G2 演出:堤泰之
いわゆる職員会議ではなく劇中での呼称は「学年会」。生徒会執行部代表も出席する会議で、執行部代表の代理が緊急動議としてセクハラ教師を告発し…という内容は(最近の)G2らしからぬ作風がちょっと意外だが、ラフカットらしいニオイがして悪くない。
なお弁護士が教師を糾弾するシーンに『夜の来訪者(Inspector Calls)』を連想。
第二話「真夜中の太陽」 原案・音楽:谷山浩子 脚本・演出:工藤千夏
意図はよくわかるし、好きなタイプであるのに(と言うよりも「であるがゆえに」か?)「過去の友人たちと触れ合う生き残った女性」が今ひとつ活かされていないのがもどかしい。
第三話「アンデスの混乱」 脚本:鴻上尚史 演出:堤泰之
もしも日本人が「アンデスの聖餐」(映画『生きてこそ』を観て知っていた)の状況になったら、という着想に『12人の優しい日本人』を連想するもテーマとしては苦手。
そういえばこのテのハナシだと武田泰淳の「ひかりごけ」も思い出すが、アレに対してそんなに抵抗がないのは「食べること」そのものが主題なのではなく、その後に重点が置かれているからか?
第四話「父を叩く」 脚本・演出:堤泰之
うん、さすが名手堤泰之、文句ナシ。
入院している父を見舞った息子を中心にした笑いと涙の短編、的な。
息子がサインした色紙を見た父「何て書いてあるか読めんな」
息子「楷書だよ」
なんてところも上手い。
あと、「おっぱい~!」のシーンに映画『寝ずの番』を連想。
リフラブレイン
MCR
駅前劇場(東京都)
2009/10/29 (木) ~ 2009/11/03 (火)公演終了
満足度★★★★
根底に流れる姉弟の肉親愛・絆
極貧で二人暮らしをするの姉と弟の十数年間を描いたナンセンス系コメディ。
彼ら(や周囲の人物の一部)の状況や降りかかる災難は悲惨そのものなのに笑い飛ばせてしまうのは根底に流れる姉弟の肉親愛・絆ゆえか…ナンチャッテ(爆)
いやホント、そんな使い古された表現がよく似合うと言うか、逆に言葉では語りつくせない(←レビューの書き手としての逃げじゃん!(爆))と言うか、両極端なモノが同居して調和さえしているのが独特。
で、冒頭とほぼ同じ「パンとミルクセーキ(笑)」の食事を挟んだ姉と弟の会話で締めくくるのは、高校生と中学生であった頃から十数年を経ても変わらぬ姉弟愛の象徴であり…(゚_+)☆\バキ!(-_-;)モウエエワ
また、装置の床や壁に使われている畳表・包帯巻き・人工芝を対になる2面に貼った正六面体の「中道具」(基本は椅子、時としてテーブルに使われる)もなかなか。
暗闇シークエンス
赤堤ビンケ
OFF OFFシアター(東京都)
2009/10/28 (水) ~ 2009/11/03 (火)公演終了
満足度★★★
リアルタイムの会話劇
交通事故で急死した大学生のアパートに彼の実家にはないという遺影用の写真を探すために所属していたテニスサークルの仲間が集まり…という物語、装置を目にした途端に「なるほどやっぱり!」みたいな。
鈴木優之が演出したLE-TUBOの『fermata』同様、異様なほど(笑)細部に凝って創り上げた散らかし放題な男子学生の部屋で繰り広げられる、流星雨も降るという一夜(未明)のリアルタイムの会話劇。
いや、時間だけがリアルなのではなく、「あ~いるいる、そんなヤツ」な人物設定や彼らが交わす会話もリアルだし、暗黙の了解で故人が付き合っていた相手は呼ばないことにしていながらもそれに気付いていないヤツが連絡してしまっていたり、なんて設定もいかにもありそう。
そうこうしての終盤、故人の父が訪れ、息子についてサークル仲間たちに語るシーンではその胸中を察してホロリ。
また、それによって友人の死をやっと実感する仲間たちとか、映画サークルから返送された写真の入ったピンク色の箱の在り処とか、一気に収束してエンディングに向かうのが鮮やかで、その中で「カノジョ欲しい」発言をしていた男子が理想の相手(?)を見つけることによってちょっぴり笑わせ、女子たちの思いやり(+α:パチンコで狙うのも含む)で余韻を残して締めくくるのも上手い。
ということで、満足度は高かったが、10分ほど開演が押しながらもそのことについて一言も触れなかったので☆1つ減点
なお、友人の死によって集まる仲間たち、ということで行定勲監督の『ひまわり』(00年)も連想。
甘い丘
KAKUTA
シアタートラム(東京都)
2009/10/30 (金) ~ 2009/11/08 (日)公演終了
満足度★★★★
喜怒哀楽がしっかり
地方の山奥(?)にあるサンダル工場に欠員補充と寮母的な役割とで新たに2人の女性が加わった夏から翌年の春までの四季それぞれの出来事を綴った物語、ブラックチョコ(←「カカオ○%のチョコ」と書きたいところだが食べたことがないので)の如くホロ苦いペーソスとスウィートな優しさ(と笑い)が絶妙のバランスでブレンドされ、そこにアクション…もとい、殴る蹴る引きずるの暴力シーン(バラさんってばハードボイルド(笑))まで添えて130分ほどがアッと言う間。
短編連作だとメリハリが付くので体感時間的に有利というのもあるが、本作の場合は人間の喜怒哀楽がしっかり盛り込まれていることによるものが大きいかと思われ…。
特に秋の場(第三場)で、茜と訪れた姉との口論をキッカケにかの子や虎杖までがそれまで抑えていた感情を爆発させるのが印象的。
また、月替りか何かで掲示される「サンダルはヒール(癒し)とソール(魂)が大切」などのスローガンも楽しい。
ONEDAY~さよなら、リーダー~
u-you.company
サンモールスタジオ(東京都)
2009/10/27 (火) ~ 2009/11/03 (火)公演終了
満足度★★★★
シリーズ完結?
女性だけの劇団のリーダーが妊娠し結婚することになり、そのパーティーでサプライズの余興をしようと劇団員のみならずOGも集まって稽古をしているところに「結婚はなくなった」との情報が入り…というコメディ。
シリーズ3作目とのことながら毎回完結のスタイルのようなのでいきなり観ても全く問題はなく「ベタ、クサい、アツい」の三拍子(笑)が揃った、小学校時代の道徳の時間に観ていたNHK教育テレビのドラマ(♪口笛吹いて~、空き地へ行った~♪ のアレ)に似たニオイもする物語を大笑いしつつ堪能。
一言で表現すれば「バランスがイイ」。基本的にはコメディながら、劇団員たちがギクシャクすることでハラハラさせ、仲間の1人の事故(?)により再びまとまり、しかしそれはドッキリだった(素直なσ(^-^) はシッカリ騙された:いやしかし「事故」の場面で急ブレーキのような音と衝突音が聞こえていなかったか?…って、急ブレーキは偶然同じタイミングでかけられたもので、衝突音はまんま「ネコ」とぶつかった音と解釈すればOK?)というオチを付けるなんざ見事。
また、各登場人物がハッキリ色分けされてそれぞれ個性的なのも○。アテ書きではないものの、配役が決定してからその個性に合わせて変えていったそうで「準アテ書き」といったところか。
ところで副題から推察するにこれでシリーズ完結なの?
であれば前二作も含めていつか再演して欲しいし、むしろ「最後の事件」の後に「帰還」したホームズの如く理屈をつけて(笑)継続して欲しいモノです。
走馬灯秋麗
Nojimaji
d-倉庫(東京都)
2009/10/29 (木) ~ 2009/11/01 (日)公演終了
満足度★★★★
なるほど三大戯曲の1本
長谷川伸三大戯曲のうちの1本と言われる「中山七里」をほぼそのまま(←関係者談)上演したそうで、しかし古さを感じない…と言える一方でいかにも昭和の時代物、な雰囲気(様式美?)もアリ。
まず表面的な部分では、前半の江戸での物語は基本的に前面のみを使い(下手後方の紗幕を使ってイメージショットを見せるのも効果的)主人公が逃亡した高山を描く後半はすべて屋外(峠かな?)ということもあり奥まで使うというステージの使い方や、大工である主人公が仲間と普請をする場面で柱を立てたり障子戸を設置したりして次のシーンの装置を組み立てるのが面白い。
そんな演出で語るストーリーは全体に切なさが漂い、ヒロインが自らの命を絶つのは哀しいが、元凶たる男は殺されるし(ちょっと過激)、その手先となった岡っ引きは根は悪いヤツではないことが判明する(どころか気の毒な一面もある)し、一旦は逃亡した主人公が最終的には自らお縄にかかる結末も道徳的だし、なるほど三大戯曲の1本だけによくできている、みたいな。
ドラゴノクエスト
ノーコンタクツ
シアター風姿花伝(東京都)
2009/10/30 (金) ~ 2009/11/01 (日)公演終了
満足度★★★★
時間の経つのがアッと言う間
奇しくも月初にこの劇場で上演された芝居もバーチャルリアリティ系RPGゲームのデバッグにゲーム経験のない主人公が(「も」の方が的確か)起用されるという基本部分がカブっており、その偶然にビックリ。
もちろん学園ものとアドベンチャーものというゲーム内容はもちろん、テーマや表現もかなり異なっているワケなのだが。
で、タイトルにもなっている元ネタ及び関連ネタの「お約束」を使って思い切り遊びたおした(笑)内容はもちろん、細かいギャグとツッコミによって生み出されるリズム感とテンポの良さによって、時間の経つのがアッと言う間。
また、そのツッコミが間髪をいれず的確なので、噛んだことへのツッコミも演技に見えてしまうのは流石!(爆)
また、その開発中のゲームには「手紙を処分する」「指輪で封印する」などのミッションがあり、そのバックグラウンドには開発者の乙女ゴコロがあるという発想もイイ。
さらに、主要キャラ以外を…いや、一部の主要キャラでさえ(!)出演者が早替えで演じ分けるという演劇ならではの手法や「カメハメ矢」などの表現、それにダンスシーンも◎。
父産(とうさん)
劇団印象-indian elephant-
吉祥寺シアター(東京都)
2009/10/30 (金) ~ 2009/11/03 (火)公演終了
満足度★★★
ここの特色なの?
惹句には「ドタバタコメディ」とあったものの前作に比べればそちら系とはいえ、やはりシュールな感覚が前面に出されており、ここの特色なんだろうなぁ、などと思いながら観る。
そんな中で先に逝ってから20年(あるいは25年)もの間、遺した娘のことが気になって成仏できない父親、なんてσ(^-^) の弱点を突くキャラがいて「ヤられたぁ」みたいな…(笑)
ただ、その成仏できない父親たちの件が放置されたまま終わるので若干の消化不良感は残る。
また、連れ子のある母と再婚して父になった男の血がつながっていない息子に対する愛情(どちらにも解釈できるが…)にもホロリ。
セブンピーポー
チェリーブロッサムハイスクール
劇場MOMO(東京都)
2009/10/28 (水) ~ 2009/11/01 (日)公演終了
満足度★★★★
前日に続き夢野久作を連想
気がつくと出口のない部屋に閉じ込められた7人の男女が、あるルールに従って1人を選ばなくてはならない、という出だしの状況こそ劇団BOOGIE★WOOGIEの『REVOLVER』(04年)にちょっと似ていながら(そういえば銃が1丁あるのもそうだな)アチラのサスペンス系とは異なり、コチラは時としてユーモラスであったりもする不条理系。
もちろん何故閉じ込められているのかという謎もあり、しかも真相は一般的な想像を遥かに超えるもので、それが明らかにされた時にはその発想に度肝を抜かれ口アングリ。
で、後からいろいろ考えていて、「ドグラ・マグラ」に出てきた(んだと思う)“胎児の夢”説(胎児は生れ出るまでの間にそれまでの生物の進化を夢で体験する…的な?かなり記憶が曖昧で、そもそも本作とは発想が逆だし)も思い出す。
それにしても「この劇場ってこんなに間口が広かったっけ?」な使い方にちょっとビックリ。
水になる郷 ミズニナルクニ
SPIRAL MOON
「劇」小劇場(東京都)
2009/10/28 (水) ~ 2009/11/01 (日)公演終了
満足度★★★★
2日目と楽前日に観劇
上手側1/3弱ほどが室内、残りは「分岐点」を表す装置内で繰り広げられるシュールな物語はσ(^-^) の好きな「胡蝶の夢」やメタフィクションの香りも漂わせていろいろと解釈ができそう。
そのメタフィクションっぽさに夢野久作の「ドグラ・マグラ」を思い出しただけでなく、エッシャーの「版画画廊(Print Gallery)」やクラインの壷も連想。また、終盤での編集者の「世界観はイイ。で、どう終わらす?」という台詞はそのまま観ている側の気持ちだったりもして…(笑)
31日の二度目はオチを知っているだけに、景の姿が1人を除いた他の人々には見えていないことに改めて気付き『ファンタスマゴリア』での「オチを知った上でもう1度観ると…」という想いをここで果たせた、みたいな?(笑)
ちなみに楽前の席はD列7番。
ファンタスマゴリア
少年社中
座・高円寺1(東京都)
2009/10/28 (水) ~ 2009/11/01 (日)公演終了
満足度★★★
ヤられたぁ
パリ万博でのショーの最中に忽然と消えたハリー・フーディーニ(中学校の英語の教科書で知ったような…)の行方を彼の友人であるコナン・ドイルたちが捜索するストーリーをメインに、そのハナシを英語から英語に(!)翻訳して読み聞かせることを依頼された現代(2000年)の女性翻訳家のエピソードも加えた物語。
捜索にあたるのがドイルだけでなく、ホームズとワトソンまで加わる(ドイルは彼らの出版代理人というホームズ実在説系の設定なのだ)という着想にヤられたぁ、と…(笑)
また、女性翻訳家が依頼された仕事にまつわる謎は言われてみれば「あ、そのパターンか!」と思うくらいありがち(かつ大好き)なのだけれど、全然気付かず。知った上で再見するといろいろ納得できる演技をしているんだろうなぁ。
さらに、終盤でのフーディーニの亡くなった妻に対する心情が表現されるシーンにはホロリ。
甲賀の七忍
劇団三年物語
ザ・ポケット(東京都)
2009/10/24 (土) ~ 2009/11/03 (火)公演終了
満足度★★★★
一人も死なず、殺めず
服部半蔵の対甲賀策により追い詰められ、甲賀の里を出ることにした一行と彼らを狙う伊賀者及び甲賀の下忍、な構図の物語。
もともと『七人の侍』に代表される「メンバーが集まりまとまってゆく」タイプの展開が好きな上に程よい笑いもまぶしたストーリーとあっちゃあたまりませんわな。しかも「初めて観るトコに弱い」σ(^-^) のことですからなおさら…(爆)
そこにラブコメの要素まで混ぜ込んで(「マクロス」かっっ!!!)、追われる側と追う側が刀を合わせた途端に一目惚れだとか、ベタ気味の表現も楽しい。
また、分身の術での分身たちは当然姿カタチの違う役者たちが演ずるワケで、しかしそれを逆手にとり別人格として、コクることに消極的な二番目に他の二人が発破をかける、なんてアイデアには脱帽。
さらに終盤で一行が掲げる「一人も死なず、殺めず」というコンセプトも◎。
- JUN AI CODE -
ATTENTION, PLEASE!
王子小劇場(東京都)
2009/10/22 (木) ~ 2009/10/27 (火)公演終了
満足度★★★
改訂版での再演を熱望
交通事故により全退行性記憶喪失(だったっけ?)となった男と画廊でゴーギャンの「我々はどこから来たのか、我々は何か、我々はどこへ行くのか」のレプリカを200万円で買うことになる男の話を同時併行的に描くのは悪くないが、その2つの関連がなかなかわからないのがちょっともどかしく、まとまりに欠ける感無きにしも非ず。
とはいえ、かつては家庭もかえりみないビジネスあるいは利益至上主義だった男が、言葉さえ失った状態から知識をつけてゆくのにしたがって無垢な気持ち・考え方となり感ずる疑問を通して利益重視の現代社会に対して警鐘を鳴らし批判する狙いやよし。ちょっとディッケンズの「クリスマス・キャロル」を連想したりもして。
そこに文明社会からタヒチへと活動拠点を移したゴーギャンの生き方も重ね合わせているのが巧い。
さらに、癌で亡くなる患者や記憶喪失の男の妻の出産など「生命賛歌」的なモノも加味されて、このテに弱いんだよなぁ…。
また、門奈理沙・美玲・五宝(漢字表記は推定)など、絵画や画家の名を人物名に使っているのにニヤリ。(ちなみに記憶喪失の男と妻の名は「純」と「愛」)
ただ、前述のまとまりに欠ける感に加えて病院内(病室を含む)で携帯を使うナースがちょっと引っかかったので、いつか改訂版での再演を熱望!
カラクリヌード
演劇カンパニー”東京の人”
シアターブラッツ(東京都)
2009/10/23 (金) ~ 2009/10/27 (火)公演終了
満足度★★★
惑星ピスタチオを連想
若干粗削りだったり未整理だったりする部分はあるも、SFメルヒェン的なストーリーは好みだし、その世界観や表現方法、群読の巧さなどで惑星ピスタチオを連想。(パワーマイムはなかったけれど(笑)
冒頭でクライマックスの一部を見せておくので、終盤でそのシーンが再現された、というよりはそのシーンに辿り着いた時にロクスケがずっと走り続けていたように感じられるというシカケにも感心。
ナノ クライシス ポルノグラフィティ
演劇集団 砂地
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2009/10/21 (水) ~ 2009/10/26 (月)公演終了
満足度★★★★★
芝居って総合芸術なんですねぇ
「なるほどロンドだわ」な構造で、不条理でワケのワカラン恋愛やセックスを浮き彫りにする戯曲そのものの面白さに加えて、翻訳臭を全く感じさせない演出(翻案?)、黒い舞台と白い布を使っていろんなシーンを見せる装置、場転時に見せる本編に関する短い映像、臨場感あふれるS.E.などが相俟って時の経つのを忘れる。いやぁ、芝居って総合芸術なんですねぇ、などと今更ながらに再認識。