最新の観てきた!クチコミ一覧

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デカローグ7~10

デカローグ7~10

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2024/06/22 (土) ~ 2024/07/15 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/06/29 (土) 13:00

E(9・10)を観た。最後に観る方がいいとは思ったし、Aとは大分雰囲気が違う。57分(20分休み)54分。
 9「ある孤独に関する物語」性的不能と診断された医師の夫が、妻と離婚を話し合うが、実は妻は若い大学生と不倫をしていて…、の物語。不能が分かったことで、妻の態度が変わるあたりが面白く、展開はドキドキするものになり、エンディングが見事だと思う。元が映画だと思うと、エンディングの演出は当然なのだけれど、感動する。
 10「ある希望に関する物語」父の死で疎遠になっていたサラリーマンの兄とパンクバンドのヴォーカルの弟が父のマンションに行くと、そこには莫大な価値を持つ切手のコレクションがあり…、の物語。父と疎遠だったがゆえに、残された切手コレクションの価値が分からない、というのもありそうだし、切手コレクターたちの挙動も良く分かる、と思ってみていた。最後は一応ホッとするエンディングで良かったなと思う。
 都合で、Dより先にEを観ることになったが、Eが最後を意識した作品になっていて、Dを先に観たかったなとは思った。

トリビュート1/3

トリビュート1/3

劇団太陽族

ウイングフィールド(大阪府)

2024/06/27 (木) ~ 2024/06/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

いろいろと問いかけられているような気がした。
人類このままでええんか?明日は真っ白かも知れへんでと!
お芝居観られてありがとう

まぬけなリュウの話

まぬけなリュウの話

ISSO演劇PROJECT

あとりえミノムシ(京都府)

2024/06/29 (土) ~ 2024/06/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

初演拝見
題目とのミスマッチは感じながらも(まぬけではないような…)、内容はとても良かった‼️
人間の身勝手さを分からせてくれます‼️童話も読んでみたくなりました‼️
イイムロナオキさんの実家ということも驚き👀‼️

迷子

迷子

WItching Banquet

Half Moon Hall(東京都)

2024/06/27 (木) ~ 2024/07/03 (水)公演終了

実演鑑賞

演者さんと近い距離で生演奏もあるミュージカルは新鮮でした。

「囚・囚・囚!(トラ・トラ・トラ!)」

「囚・囚・囚!(トラ・トラ・トラ!)」

Oi-SCALE

サイスタジオコモネAスタジオ(東京都)

2024/06/10 (月) ~ 2024/06/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/06/16 (日) 16:00

【SIDE B】
4作品すべて脚本担当が異なった SIDE A に対してこちらは(原作ものはあれ)すべて灰二さんの脚本なので(照明による印象もあるが)劇中設定とは別に(普段の「真冬の」とは違えど)「夜」のイメージで統一された印象
そして「囚」感が薄いものもありつつ4編目「固執」はまさしく「囚」(笑)だし「そっちの「こしつ」かい!」なところ(とメタな部分)に頬が弛む。ダークな部分もある全8編の締め括りがこれなのは巧いなぁ。

ファジー「theirs」

ファジー「theirs」

TeXi’s

アトリエ春風舎(東京都)

2024/06/09 (日) ~ 2024/06/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

「加害性」について考える1年間のプロジェクト/三部作の一作目。今作では「男性が背負っている加害性を表面化し、その先にある人間として誰もが持ち得る普遍的な加害性を描」くとのことだったが、作品が特に焦点をあてていたのは「家」の制度や家父長制だったように思う。上演において複数の異なるレイヤー(多くの場合、大人/子供/現実の三つのレイヤー)が重なり合うTeXi'sのスタイルを巧みに使い、俳優の身体に異なる方向を向いた複数のベクトルを宿らせることで「家」をめぐるアンビバレンツや男性が抱く屈折した感情を身体化してみせることに成功していた。三部作の一作目ということもあってかテーマを示すにとどまってしまった感はあり、ここからプロジェクトがどう展開していくのか見守りたい。攻撃的・暴力的言動が続くので見ていてしんどい時間が長く、TeXi'sに限らずこのようなテーマを扱う際にそれをどう処理すべきかというのは考えるべき点なように思う。上演自体が撃つべき暴力の反復になりがちなので。

迷子

迷子

WItching Banquet

Half Moon Hall(東京都)

2024/06/27 (木) ~ 2024/07/03 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

皆 迷いながら人生を生きている 家族愛を見ました

2024ゴースト

2024ゴースト

ミュージカル座

あうるすぽっと(東京都)

2024/06/26 (水) ~ 2024/06/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

人生を学べる壮大なステージです 最後には気持ちが清々しい気分になりました

二十一時、宝来館

二十一時、宝来館

On7

オメガ東京(東京都)

2024/06/26 (水) ~ 2024/06/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

●チームを観劇しました。
女性の心の奥底が垣間見えて、こういう人いるよな、いたよなと思いながら観ました。
とてもリアル感がありました。
約55分の舞台でしたが、面白くてあっという間で、欲を言えば、もっと観ていたかったです。
役者さん達の演技も良く、魅力的な役者さんだと思いました。
楽しい時間を過ごせました。

火の方舟

火の方舟

名取事務所

小劇場B1(東京都)

2024/06/14 (金) ~ 2024/06/23 (日)公演終了

実演鑑賞

堀江安夫戯曲は以前一度拝見した程度でほぼ未知数だったが結局観た。完成度云々で語れない迫力がある。原発擁護論を一身に担う父役と反対論の二人(新人新聞記者の娘とその伯父=父の兄)が拮抗し、父が養子入りする格好になった妻と兄弟の過去そして反原発運動を担った妻の亡父の存在も絡んで語りに語られる。奇しくも2011年3月10日、たまたま沖縄から所用で出てきた兄との何十年ぶりの再会を機に、原発の是非からジャーナリズム、人生を語り尽くす一夜の劇だ。
演出桐山知也の名を突如?頻繁に見るようになったが、数年前にも観ていた。所属はなく実力で伸して来た新鋭のよう。

『リベルテ Vol.27』

『リベルテ Vol.27』

END es PRODUCE

本所松坂亭(東京都)

2024/05/24 (金) ~ 2024/06/30 (日)公演終了

実演鑑賞

面白かったです。

還暦にピアス

還暦にピアス

こはるともえ

アトリエ春風舎(東京都)

2024/06/28 (金) ~ 2024/06/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

30歳のカホがマッチングアプリで知り合ったマコは「手当てで生理痛を和らげることができる」と言う。その正体は実は300歳の魔女で、二人はいっしょに暮らすことになるのだが...。

奇しくも誕生日翌日に、PMSと肌荒れを引っ提げた心と体でこの演劇に辿り着けたこと。
祝福だったし、まさしく手当てだった。
30歳の女性の言葉も、300歳の魔女の言葉もいずれも私の内側にあるものを吸収していったし、浸透もしていった。300年一緒に過ごしたい大切な友人たちにすっごく観てほしいし、300年経っても分かり合えないと思っている男性の知人にも観てほしいと思った。理由はまだ説明できないけれど。
以下ネタバレBOXへ

ネタバレBOX

いつだってバースデーケーキのろうそくが消えたその時から願いは現実に向かっていくこと。また一歩死へと確実に近づきながら、たまらなく生の瞬間であること。ささやかであろうと、偉大であろうと目標は生きる上での目印になること。
ああ、思い出したら泣いてしまいそうだ。
他者の痛みの源に手を当てること、存在への肯定と祝福、ありがとうとごめんねを思ったその時に言い合うことの大事さ。37歳になってもブラジャーの締め付けや赤すぎて黒い経血に慣れずにいることや、自分の産んだ子への愛情や願いが呪いに転じてないかの不安...一つ一つ口にはできないけど、怖いな、嫌だな、違うな、わかんないなって思ってること。そういうことに静かに頷き、時折ずばりと言い当てる様な物語で演劇だった。37歳はじめての演劇がこれで、私は本当にうれしい。

いいへんじの中島梓織さんの戯曲はほんとうにそれぞれが漢方の処方箋みたいにゆっくり、しかし長く広く染み渡ってくる。今回は生理痛を柔らげるために飲んでいたのに、緊張や不眠も緩和されていた、みたいな感じだった。南風盛もえさんと田崎小春さんのムードもすてきで配役もすごく合っていた。岩井由紀子さんのコメントも含め名企画。

もちろん台本も処方してもらった。明日位に私のPMSは終わり、そして月経が始まるだろう。涙とバトンタッチでやってくる血量と痛みは壮絶。お腹痛くなったら横になってこれを読もうと思う。おまけの写真2種類あって、私が選んだのは少し褪せたセピアっぽい方。もしかしてこの写真も300歳?だったらいいな。
更地

更地

ルサンチカ

戸山公園(東京都)

2024/03/22 (金) ~ 2024/03/25 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

『更地』は太田省吾作品の中でも人気が高く、これまでも複数の演出家が取り上げている。元々太田自身による上演が話題となった作品に挑戦する精神はそれだけで評価に値するが、ルサンチカの本公演はテキストへの誠実さが窺え、名作の新演出という点について考えさせられる作品となっていた。

ネタバレBOX

まず、本作品が上演されたロケーションが優れていた。『更地』の内容と一致するかのように、歴史(舞台は陸軍学校があった場所の跡地である)と日常(周囲を歩く近隣住民が常に目に入る)が入り混じっていたため、本作の舞台背景として優れていた。加えて二人の俳優の演技は、このようなロケーションと同じように、過去と現在を行き来するような、すなわち過去への郷愁と未来への希望を感じさせるようなものだった。自分たちのかつての住居と生活を見ているのか、それともこれから住む場所の未来の像を描いているのか、いずれとも窺える二人の関係性は、太田省吾のテクストの普遍性をも観客に感じさせる、極めて優れたものだったと評価できる。
他方で、その普遍性ばかりが感じられたために、本作の固有性は今ひとつ感じられなかった。ルサンチカのウェブサイトにも書いてあるように、現代において『更地』は、戦争や巨大地震の跡地を連想させる。それはある特定の戦争や地震ではないが、今あるいはより身近な過去のカタストロフも連想させるものであろう。しかし、本作は非常に普遍的、匿名的であったために、「いつか・どこか」のものとして捉えることはできても「今・ここの」ものとして捉えるには、周りの風景にしか頼れなかったと言える。
制作面については、CoRich舞台芸術まつり!2024春の最終選考に選ばれた際の賞金を観客に直接的な形でバックする(しかも「これまでにチケット代を理由に観劇を諦めてしまった方」を対象とする)というアイデアは画期的だったと言える。他方で、戸山公園に入ってからの案内などがほとんどなかったためにかなり迷ってしまったのと、(私が見た時は晴れていたので不自由なかったが)雨天や風の強い日の観劇環境はさぞや厳しいものだっただろうと思われたし、バリアフリーとはおよそ程遠い客席だったことは気になった。
さるヒト、いるヒト、くる

さるヒト、いるヒト、くる

ポケット企画

扇谷記念スタジオ・シアターZOO(北海道)

2024/05/03 (金) ~ 2024/05/06 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

拠点とする北海道を主題とし、その土地と人の足どりを登場人物とともに観客も辿ることができる、短編ながら重要な意義を持つ意欲作である。

ネタバレBOX

本作の特徴は、二つの世界を描いている点にある。一方は、現在の北海道の森で生活を営む彫刻家をめぐる世界であり、他方は北海道の歴史について学ぶ学生をめぐる世界である。この二つの世界はやがて、戦時中の北海道の一家を描いた漫画を軸に混ざり、劇場全体を巻き込む。
二つの世界を交錯させる手法もさることながら、観客もその世界に引き込む劇作術は見事である。北海道の歴史について不勉強である私でも、学生に感情移入することで、作品が描く国による北海道の搾取の問題を理解することができたし、背景を知りながらその土地に住むということについて思いを馳せることができた。特筆すべき点はその描き方である。アイヌ民族の住む土地を強制的に統合した日本への恨みや責任を糾弾するわけではなく、その土地の背景を知り、知りながらその土地に住むということにフォーカスした本作は、歴史と共に生きていくことへの誠実さと尊さを克明に観客に伝えていた。
ただ、あまりに短時間であったために全体が駆け足であった印象が否めず、また舞台装置や衣装がややファンタジー的造形だったことは作品にとって効果的だったとは思えなかった。さらに、音響が大きすぎて台詞が聞こえない箇所があったことは決定的瑕疵となってしまっていた。
しかし、上記のような欠点があったにせよ本作は良作と言える出来であった。加えて、昨今のヨーロッパを中心に注目されているエコロジーやサステナビリティを意識した演劇作品として、本作を評価することもできるだろう。折角作中でそれらを実践している実在の人物(作中では彫刻家たち)を取り上げているのであれば、公演自体もその試みが見られるとより良いのではないだろうか。
天の秤

天の秤

風雷紡

小劇場 楽園(東京都)

2024/03/29 (金) ~ 2024/03/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

2022年に新型コロナウイルスの影響で中止となったためリベンジ公演となった本作は、風雷紡「よど号」ハイジャック事件を題材にしたスリリングな密室劇である。複数の勢力の利害及び影響関係が、それぞれの視点から取り上げられて見事なドラマへと編み上げられていた。

ネタバレBOX

会場となった小劇場楽園の密閉感は、ハイジャックされた「よど号」の密室感を観客に伝えており、加えて描かれる状況の閉塞感、どうにもならない息苦しさをも感じさせていた。そのような狭い空間で演じられる熱量の高い演技は、緊張感を一層高めていたと評価できる。
実際に起きた出来事を非常に綿密に調査し、一つの群像劇へとまとめた劇作能力には驚かされた。これだけの人数の人物の思想や感情だけでも大変なのに、その人物間の変化まで緻密に描かれていた。そのため観客は本作品を通じて、また劇場を出た後も、「正義」について問い続けることができた。
そのような構造の複雑さに比して、「正義」とそれを脅かす存在の掘り下げ方がやや安直だったことが気になった。国家や法の「正しさ」を問うのであれば、ハイジャックを行った赤軍派が信じる「正しさ」も問う必要がある。だが、彼らの思想や行動については(ストックホルム症候群的に同調してしまうアテンダントが描かれている割には)あまり言及されていなかったように思う。少なくとも、私は彼らが盲信者であり問い直す必要もなく「悪」であるように受け取られた。
また、これは恐らく風雷紡の演技スタイルなのだと思うが、狭い空間に比して演技と声量がやや大きすぎるように感じられた。ひょっとしたらより大きな劇場だったら適切だったかもしれない(しかしその場合は閉塞感を手放さなければならず、悩ましい)。
1123GO8

1123GO8

!ll nut up fam

萬劇場(東京都)

2024/06/26 (水) ~ 2024/06/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/06/28 (金) 14:00

見応えのある作品だったが、見てる側にとってもかなりの精神修行。悪魔の角がカワイかった。

還暦にピアス

還暦にピアス

こはるともえ

アトリエ春風舎(東京都)

2024/06/28 (金) ~ 2024/06/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/06/28 (金) 15:00

青年団系の作品で何度か観た女優2人が立ち上げたユニット。気持のいいファンタジー。58分。
 劇団「いいへんじ」の中島梓織が書いた脚本を2人が紡ぐ。30歳のカホ(田崎小春)は300歳のマコ(南風森もえ)と一緒に暮らしているが、今日はカホの誕生日で…、な物語。300歳という設定(見掛けは30歳くらいだと言う)からしてファンタジーだと分かるが、展開は微妙だけど気持がいい話。すごく大きな出来事があるわけではないが、丁寧に描かれ気持ちよく帰れる芝居。

迷子

迷子

WItching Banquet

Half Moon Hall(東京都)

2024/06/27 (木) ~ 2024/07/03 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

土砂降りの中、お昼の回、「夕陽の丘side」を観劇しました。
こんなに近くていいのか!と恐縮する会場。
素晴らしい歌と演技、生演奏。小劇場で観れて感激!

POPなナンバーで盛り上がり、心の奥底に隠していた想いの語り歌に涙しました。
どんな家族にも起こりうる事象に、空回りするそれぞれの思いやりに突然現れた女性の事情が、ぐりぐりと胸をえぐってくる作品。

スーパー家政婦さんと混乱をチャラにする次男君。
助けてと言えない母二人と甘えん坊の長男君。
みんな心優しい人たちでした。

ナイロン100℃ 49th SESSION 「江戸時代の思い出」

ナイロン100℃ 49th SESSION 「江戸時代の思い出」

ナイロン100℃

本多劇場(東京都)

2024/06/22 (土) ~ 2024/07/21 (日)公演終了

実演鑑賞

笑いの手法がさらに多様化されて、常時面白い
ドントフレークアウトで生みだした手法を崩して笑いに変えている

迷子

迷子

WItching Banquet

Half Moon Hall(東京都)

2024/06/27 (木) ~ 2024/07/03 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

迷子は、道に迷った そのままの意味であり、心の迷い 人生の迷いでもあるような物語。
梗概は、説明にある通りだが、ストレートプレイに歌唱シーンを挿入し 敢えてミュージカル風にしたことに違和感を持つか否かで評価が分かれるかもしれない。自分は、前作「AIRSWIMMING-エアスイミング-」も観ており、この団体の特長と好意的に捉えている。

初めて行った劇場-Half Moon Hall-下北沢駅 徒歩数分にある豪邸の地下にあるホール、音響設備が整っているため 使用したのだろう。生演奏が心地良く響き 優しく包み込むようだ。当日パンフにオリジナルのMusical Numbers 16曲が紹介されていたが、それとは別に最初と最後は「家路」(ドヴォルザーク交響曲第9番第2楽章)が流れ哀愁が…。勿論それにともなって照明の諧調を行い印象付ける。

苦悩や悲哀によって自暴自棄に、そんな時に偶然出会った人の縁によって…。この人々の心情の衝突と寄り添いが物語の肝。物語はストレートだが、演出は舞台美術を始め音楽・照明といった舞台技術に工夫を凝らす。全体的に丁寧な創作をしているといった印象だ。
(上演時間1時間40分 休憩なし)【夕陽の丘side】6.30追記

ネタバレBOX

舞台美術は、平板台を変則的に積み重ね その段差によって情景・状況の変化を表わす。同時に役者の動きに躍動感が生まれる。演奏者は上手にReed、下手にPiano。ちなみに演奏者の衣裳は黒衣のようで、まさに黒子に徹している。

見知らぬ街をさ迷い歩いた末、現在地が分からなくなった女 真紀、その彼女に声を掛けたのが香子、この2人の偶然 いや必然的な出会いから始まるヒューマンドラマ。
香子の家族は、夫は出奔、長男 堅一は東京で働き、次男 智哉は軽度の知的障碍者、そして自身は統合失調症に悩まされ 皆バラバラで崩壊寸前。壊れそうな家族を繋ぎとめようとする長男の苦悩、そして打開策を模索するが…。
一方、真紀は夫の浮気で離婚、一人息子を必死で育ていたが仕事のストレスでアルコール依存症になり、元夫に親権を奪われ 孤独と自責に苛まれていた。

1人ひとりが抱えた悩み、しかし1人では解決できない問題も 寄り添い 労わり合う、といった優しい気持で乗り越えようとする。予定調和のような気もするが、そこは人の心根を信じたい。
家族をサポートする家政婦 登紀子(歌唱)、香子の脳内で囁くVoice(ダンス)、その次元の異なる存在が 現実と虚構を表しているようで面白い。精神的なバランスを崩しかけた家族、その渦に一石を投じる形となった真紀…愛情・孤独・優しさを主題にした珠玉作。

観(魅)せる演出は、第一に音楽・歌唱(スタンドマイクも使用)、そしてヒーローの映像、椅子を逆さにして花瓶に見立て花(金木犀)を活けるといった工夫と小物等で楽しませる。このホールならではの至近距離ゆえのサービスか。
ちょっと不自然に思えたのが、Voice以外の役者は全員同じ白靴(ゴム底)を履いており、滑らないため(観客もスリッパに履替えるのと同様)か?
次回公演も楽しみにしております。

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