アポポポポポポキシー・モニカ
劇団ハーベイ・スランフェンバーガーのみる夢
駒場小空間(東京大学多目的ホール)(東京都)
2010/01/29 (金) ~ 2010/01/31 (日)公演終了
満足度★★★★★
そして鉄塔がお辞儀する
物語理解力のある子供から老人まで、万人向けではないが万人に開かれていると言っていい作品。
一冊の本の体裁を模した構成をとる「言葉」の舞台。そこに朗読とリアリスティックの間を行き交う静かな演技や、シンプルながら広がりがある演出が加わりきちんと舞台を立体的にしている。
題材や展開こそよくみられる、そしてわかりやすいものだが(ここで具体的に内容やあらすじを述べるのはとても無粋だ)、何せ切り口が滑らかで巧妙。一見不可解な作品説明の文学的な文章も、観ればなるほどすんなり納得できる。むしろこの文の雰囲気を壊すことなく、想像もしていなかった地に足着いた世界観をも展開し、かつ物語としてもしっかり纏めていたので、いい意味で裏切られた。
舞台としての総合力が高く、作品としてもザラザラとした感触を存分にみせる。なにしろこれが旗揚げ公演というのだから驚き。劇団名が長過ぎて覚えにくいのが難点だが、覚えておきたい、劇団ハーベイ・スランフェンバーガーのみる夢。
真・侍ヘンドリクス
おにぎりスキッパーズ2
テアトルBONBON(東京都)
2010/01/27 (水) ~ 2010/01/31 (日)公演終了
満足度★★★★
「野暮だねぇ」
手法とか思想ではなく、風味としての現代エキスがほんの少し入っている「お江戸でござる」とでもいうか、懐かしいベタさ。セットや着物や小道具の入念さと豪華さといったらない。
西方の人
4RUDE
シアターX(東京都)
2010/01/29 (金) ~ 2010/01/31 (日)公演終了
満足度★★★★
恐らく
自殺に至ることとなる晩年の芥川の生活や精神と作品の交差を描いてる。
つまり作品を含めた「芥川論」なので、芥川龍之介に詳しくない自分は半分ぐらい寓意を掴み損ねてるんだろうなと思いながらぼんやりと観劇。
でも確かに「舞台」を上手く使いこなしており、その使いこなしによって生まれる一つ一つの空間構成が美しい。
しかしとにかく緩慢。「これはあれかな」と考えながらぼけーっと観ている分には非常に魅力的なのだが、めくるめく展開の物語性を期待しているとやきもきじれったくなる。危なく寝てしまう所だった。
The Stone Age ブライアント『胸に突き刺さった5時43分21秒』
The Stone Age ブライアント
サンモールスタジオ(東京都)
2010/01/27 (水) ~ 2010/01/31 (日)公演終了
満足度★★★
まあまあ
ぼちぼち楽しく観た。でもある程度整ってはいるのにどうも印象に残ってない。
お笑いという観点で観るなれば、面白く観ることはできるけれど、絶対的に面白いというわけではないという感じ。
アンチクロックワイズ・ワンダーランド
阿佐ヶ谷スパイダース
本多劇場(東京都)
2010/01/21 (木) ~ 2010/02/14 (日)公演終了
満足度★★★★★
スマートな迷宮
ひたすら実存的な言葉(しかも現実虚構の実存入り乱れた言葉)で会話がなされるので、頭を全力で開いていないと置いてかれる。コメントを参考にずいぶんと気合を入れて臨んだのだが、一瞬気がそれたらだいぶ置いてかれかけた。
けれど内容はといえば、虚構と現実についての考察と実践という点からみて、その入り混じり具合も台本上での言葉と演劇の仕組みと組み合わせバランスも非常に上手いことやっており、似た試みをしてきたあまたの作品の中でもかなり成功してると言えるもの。虚構と現実らしきものの境目にあるラビリンス。少なくとも自分はワクワクしっぱなしで2時間みれた。
小説に書かれた言葉は必ず物語とかかわりがある、みたいな言葉(詳細不確か)をどっかで聞いたことがあるが、みていてその言葉を強く想起させられた。物語、特に文字で書かれた物語というものは常に恣意的。それをひっくり返して考えた所にこの舞台の始点があるように思う。
バベルノトウ
国道五十八号戦線
サンモールスタジオ(東京都)
2010/01/20 (水) ~ 2010/01/25 (月)公演終了
満足度★★★★★
安心してハラハラできる
面白い。言い方変だが普通に面白い。
物語のフレームもワードも隙がない。そして口語的な演技力水準の高さが台本の本質的なシニカルさをがっちり支え、メッセージが人を喰った角度から突然ガツンと入ってくる。
世の中を斜めから観る人ためのスタンダード。
私が踊るとき
珍しいキノコ舞踊団
世田谷パブリックシアター(東京都)
2010/01/22 (金) ~ 2010/01/25 (月)公演終了
満足度★★★★★
見える音楽
音楽がそのままダンスになっている。
それも高尚な「音楽」ではなく、「ここでピロピロピロって音が入ってドーンドーンと」というような「ピロピロ感」をもった音楽をそのまま身体で表現したという感じ。言うなれば幼稚園や保育園のお遊戯会の延長にある楽しさ。
それでもダンスとしての身体性は確かで、構成の妙も効いてるので笑いさえ起こる。
クラッシックから歌謡曲まで、品がありながらも味のある選曲の触れ幅もいい。音楽を聴いていて楽しいそのままに、観ていてたのしい。
肩の力を抜いて素直に楽しめた舞台。
十三月の男 -メメント・モリ-
無頼組合
テアトルBONBON(東京都)
2010/01/20 (水) ~ 2010/01/24 (日)公演終了
満足度★★★★
男
男好きする芝居と言えばいいのか(ミリタリとか政治)オタク好きする芝居と言えばいいのか。あまり触れてこなかった類いのジャンルなのでどうも何とも言い難し。これがハードボイルドというものか。
物語構造の渋さなど好きな要素はあったものの、説明や直接的な教訓台詞が多く、そこはかとないとか醸し出されるといった言葉にぐっとくるタチの自分は「ひゃー」という印象の方が強く残り。いまいちそのカッコよさの美学が自分には馴染まなかった。
MEはすごく好み。
美しいヒポリタ
世田谷シルク
小劇場 楽園(東京都)
2010/01/13 (水) ~ 2010/01/17 (日)公演終了
満足度★★★★
シェイクスピア×モバゲー
「夏の夜の夢」はガラスの仮面レベルの知識しかないまま観劇。
知ってないよりはおおまかなキャラクターと関係と流れだけでも知ってた方が楽しめる、けど知らなくても楽しめる。シェイクスピアは一小節引っ張ってくるぐらいが丁度いいという事実に眼から鱗。
だけどこの舞台、状況が身体に浸透してくるのに大分時間が要った。なんだろう。MEの音量?
EKKKYO-!(公演終了!次回3月[家族の証明∴]は1/30より発売)
冨士山アネット
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2010/01/14 (木) ~ 2010/01/17 (日)公演終了
満足度★★★★
越境
ダンスから、美術から、文学から、音楽から、ジャンル越境は各分野からアプローチされてるけど、演劇属性からのアプローチが一番皮膚感覚に合うなと実感。
一つのライブとしては、ノれないやらイケイケやらノらせないやらスマートやら団体によってみさせ方の触れ幅が大分あったので、観客テンションの持ってき方難しい、という点が残念。
スポーツ演劇「すこやか息子」
柿喰う客
王子小劇場(東京都)
2009/12/25 (金) ~ 2009/12/27 (日)公演終了
満足度★★★★★
短く長い家族史
人が生まれ、育ち、縁を結び、「さようなら」をするまでの、約3世代の家族を廻る大河ドラマ。
エアロビのリズムに乗せられた記号的な言葉の中でふとむき出しになる生き生きとした人間性に、思わずボロボロ涙。
なんとも心地も気持ちもよかった。
Under Water Over Revival
GOKAN。
銀座小劇場(東京都)
2009/12/24 (木) ~ 2009/12/27 (日)公演終了
満足度★★
微笑ましいが・・・
言葉のチョイス、キャラクター、演技、演出、残念ながらコメディとしてのセンスと完成度は学生演劇の域を出ていないように思う。何人か面白く観ることができる人はいた。
田園に死す
流山児★事務所
ザ・スズナリ(東京都)
2009/12/10 (木) ~ 2009/12/23 (水)公演終了
満足度★★★★★
尻の痛さを
補って余りある面白さ。平成しか知らない自分にとって「テラヤマ」は歴史の文脈に位置付けられるものという認識で、何本かの映像と文章も資料の感覚でみた覚えがある。映画「田園に死す」もその中の一つだったのだが、今回この舞台を観て、思わず「テラヤマってこんなに観やすいのか!」とカルチャーショックを受けた。
テンポが現代的で、笑いを取ることに迷いがないというのがその大きな要因だろうが、表現しようとすることとしていることの符合が高く実に明解。
「テラヤマ」をリアルタイムで体感してきた人がどう観るのかは知らないが、エッセンスしか知らない身から観れば、端的に「テラヤマ」だと感じた。
とても面白かった。
モンキー・チョップ・ブルックナー!!
アマヤドリ
シアタートラム(東京都)
2009/12/15 (火) ~ 2009/12/23 (水)公演終了
満足度★★★★
タダ見でゴー!
で観劇。ありがたい。不謹慎かもしれないが、正直な所トラブルの前の状態がどんな作品だったのか、みてみたかったという意味を込めて☆4。
ロミオの代わりはいくらだっているし、ジュリエットの代わりだって腐るほどいる
掘出者
ギャラリーLE DECO(東京都)
2009/12/15 (火) ~ 2009/12/20 (日)公演終了
満足度★★★★★
無名性
この舞台への印象の分かれ目は、関係性の気持ちの悪さに気付かず生きる数多くの登場人物と、心理的な距離が取れるか取れないかではないかと思うのだが、
観客という、暴力的に覘き観るられる関係の観る側という、これまた気持ちの悪い関係にひたすら徹し、人物達との距離を持つことができたのでとても面白く観ることが出来た。
渋々
親族代表
新宿シアターモリエール(東京都)
2009/12/12 (土) ~ 2009/12/20 (日)公演終了
満足度★★★★
笑えるかどうかを基準にすると
期待しすぎたか。残念ながら前説から、あと一歩痒い所に手が届かない。
展開や面白い要素はあって、演技も出来ている。
なのにこの歯痒さ。
それは自分の笑いの琴線が究極台詞や演出ではなく、役者の演技に対する意識に反応するためだろう。
どうも結果的に笑わされてしまう演技というものには、普通の演技力とはどっか一個違う回線の存在を意識した上で(それは多分客体化と密接に関わっている行為のように思う)それを無意識レベルにまで見えないようにしてるように感じる。
今回それを感じたコントは2つほど。
あとはフッと笑えるものに留まった。
truth truth truth
カラスカ
明石スタジオ(東京都)
2009/12/10 (木) ~ 2009/12/13 (日)公演終了
満足度★★★
コメディという謳い文句だが・・・
台詞に笑える要素はあるのだが、演技が笑える沸点には届いてない・・・というシーンを多く感じでしまい、観ている最中に妙に冷静に。
めくるめく展開というにはあまりにチープすぎる、コテコテのベタコメディというには演じ切れていない、中途半端さが残る舞台に見えてしまった。
エレクトリック:サーカス∴デイズ
エムキチビート
萬劇場(東京都)
2009/12/10 (木) ~ 2009/12/14 (月)公演終了
満足度★★★★★
熱い演劇
会場の入りかけに張られたアイドル的なルックス揃いの写真に一瞬、来る所を間違えたんじゃなかろうかと若干のびびりを覚えつつ初観劇。
結果的には杞憂。
若々しい勢いもあり、かつ、まだ劇団を初めて2、3年ほどというのがとても信じられないほど抜群に安定感のある舞台だった。
シャッフル・ルーム
東京おいっす!
「劇」小劇場(東京都)
2009/12/01 (火) ~ 2009/12/06 (日)公演終了
満足度★★★★★
上等なシチュエーションコメディ
東京おいっす!初観劇。
前評判も何も見ずコメディだという事だけ頭に入れて行く。
始めこそ役者にも観客にも緊張感が漂っていたが、よく練り込まれた脚本、演出、演技、切り返す一つ一つの言葉の妙に自然に笑いの波が大きくなっていく。
意味の食い違いや状況の勘違いのパーツが複雑に絡み合い変容し続け、かつ舞台という空間のトリックも相まってワクワクかつスリル満点。
キャラクターや展開の派手さに頼らない真っ当勝負のコメディでこんなに楽しめたのは久しぶりかも。
社会派すけべい
毛皮族
駅前劇場(東京都)
2009/11/19 (木) ~ 2009/12/01 (火)公演終了
満足度★★★★
毛皮族初観劇
全体的にいまいちポカンとした印象を受けたのは、大部分は世代の問題だろうと思う
80年代の終わりから90年代にかけてってこんな感じだったのかな