満足度★★★★★
それでも感動!
宅間さんの最高傑作。タクフェスのお祭り騒ぎには閉口、期待外れのシーンもありましたが、それでもグッと来ました。
ネタバレBOX
高橋薫と塩谷健太郎がずっと上手くいっていたら良かったのにね。
三上夕は告白する機会が高校時代から何度もあったのに、自分のことを妹のようにしか見ていなかった相川元弥に結局告白できませんでした。元弥と薫の結婚式前日、彼女はデザインの勉強と称してフランスに逃げました。逃げて何が悪いと妹の波に激白した様子を元弥が聞いてしまい、病気で倒れたこともあって薫との結婚式は中止にしました。それから三年、元弥が亡くなり、葬式には間に合いませんでしたが、初七日の法事に間に合う形で夕が帰省したところから話は始まり、ラスト、夕は自分に対する元弥の気持ちを知ることになり、改めて今は亡き元弥に告白するのでした。
冒頭シーンの元弥の白ずくめ、特に絹でできたような光沢のあるショートパンツは如何にもでした。前回の赤だかオレンジだかのアロハシャツを着てチャラチャラしていた方がもっちゃんらしかったです。
ラストの夕顔いっぱいのシーンは、前回よりも舞台が大きくなったせいか、ライティングのせいか、リアルに作りすぎたせいか、花が小さく、緑の葉ばかりが目立って、あまり感動できませんでした。むしろ、勘違い無視され男の坂田がチラシの裏に書いたもっちゃんと夕の結婚おめでとうの走り書きが宝箱から出てきたときにグッと来ました。
フランスから戻ってきたときの夕のワンピースが牛模様のハンカチを連想させ、牛模様にハートマークをアレンジした柄だったところなど、元弥に対する気持ちがデザインに現れていました。
ところで、最近のタクフェスというお祭り騒ぎは好きではありません。純粋に『夕』を楽しみたい身にとっては、始まる前の撮影タイムや途中の撮影タイムは避ける事はできませんが、余韻を感じたかったので終演後のダンスタイムは参加しないで退出しました。
夕には透明感のある女優さんを使ってほしかったです。夕の妹三上波役の神崎れなさんが素敵でした。
満足度★★★
振り下ろすとは
そういうことでしたかと。
ネタバレBOX
問題を抱えた雇い主に仕えて、その都度問題を解決する完璧なる執事鎌塚アカシ氏の活躍談を描いたシリーズ物の第三弾。
妄想するご主人の原因を究明して治し、以前のお屋敷に仕えていた時にも出会った堂田男爵夫妻の陰謀をくじき、同じくその時一緒に働いていたアイドル女中上見ケシキとの結婚を意識する話。
題名の振り下ろすとは、ケシキとの大切な時間を作るべく、金物屋に持っていけば修理できるかもしれないスコップを振り下ろして壊してしまうという完璧な執事のちょっと咳払いして済ますような遊び心を表したものでした。
ド派手な化粧や衣裳の堂田男爵夫妻でしたが、陰謀自体は貴族特権法を国会で通すというもので、全体にパンチ力に欠け、子供向け童話のようでした。
回り舞台を巧みに使って色々な部屋を表現し、また部屋から部屋へ移動する様は見ものでした。そして、アカシのお父さんが病気で倒れる緊迫した状況下でケシキが回り舞台の仕切りの上に上がって脳天気にアイドル女中らしく一曲歌うというシーンがありましたが、ともさかりえさんご自身の曲を歌えばいいのに、いっそのこと薬師丸ひろ子さんを使えばいいのにと思いました。
満足度★★★★
甘粕事件
甘粕が語りました。
ネタバレBOX
2013年11月に上演された『さらば八月の大地』(新橋演舞場)で描かれた満映理事長甘粕正彦は、日本人と当時満人と呼ばれていた中国人を差別せず、満人のための映画製作を標榜していたため決定的な民族対立なども無く、お芝居自体は逆に盛り上がりに欠けるものでした。
それくらい甘粕はいい人でした。今回本作品を観て、満州で諜報活動をして夜の帝王と呼ばれていたという部分はさて置き、甘粕本人の口から大杉栄や伊藤野枝を虐殺した甘粕事件の首謀者ではなく、身代わりで服役していたことが語られました。『さらば八月の大地』で、満映解散式のようなパーティの後に自殺した事情が、甘粕事件や諜報活動の真相を闇に葬るためだったということも理解できました。
配役がオモテとウラで二人ずついて誰が誰だか分かりづらく閉口しましたが、甘粕から真相を訊き出すことによって公表された歴史と真実の歴史を統合する趣旨ということが分かり一応納得しました。
それにしても、思想というより恋愛と嫉妬で結びついたり離れたりの人間関係、大杉を刺した神近市子が戦後国会議員を努めていたとは何とも凄まじいイヴたちでした。
満足度★★★★★
素晴らしい!!!
目頭が熱くなりました。
ネタバレBOX
南京陥落の前辺りから少しずつ勢いがなくなった氷屋を営む吉永園の当主一家や奉公人たちの話。
戦時色が濃くなると贅沢品が排除されるようになり、氷屋という商売が次第に成り立たなくなっていくことは分かっていても、日々の仕事を真面目にこなしていくしか方法がなく、結局は有事を乗り切ることはできませんでした。
初演も観ており、そうだったそうだったと筋立てを思い出しながら観ていましたが、今回の方が感動したように思います。次第に没落していく様や、経理担当の榎本が出征するシーンなどはジーンと来ました。
みんなどうなったんでしょうね。
「お味噌汁の具を買いに」、同じネギの入った買い物かごは戦前には女中さんが持っていたものです。晩御飯のメインディッシュのはずなのに、魚や肉が買えないことを味噌汁の具という言葉で見栄を張ったとすれば、戦後のこの状況が完全には受け入れられない静子の心境が窺えます。
ストーリーテラーも兼ねた福寿奈央さん、大活躍でした。ストーリーテラーを使う手法はあまり好きではないのですが、すぐに梅子やその叔母さん役に戻っていくのでさほど気にはなりませんでした。「星の流れに」を地で行ったような時を経ての幸せに本当に良かったと思います。
荒井志郎さん演じる次男信雄が初代甚五郎を演じたところは跡取り問題の難しさを垣間見せてくれました。長男に家督を相続させるのはお家安泰のためには当然のことですが、外で生ませた次男が長男よりも自分に似ているとなると、一瞬の迷いぐらいはあったのでしょうかね。
5月に観た『殺風景』で、大倉考二さん演じる長男が20~30年前の売春バーに出入りしていたお客とそっくりで、父親からすると実の子でないことが一目瞭然にも拘らずフツーに長男として扱っていたのを思い出し、二役の妙を再確認しました。
奉公人の桂吉に我が子として育てられた吹雪と、芸者の小雪の二役を演じた小瀧万梨子さんは、脳天気な動と無口で艶っぽい静の使い分けが素敵でした。
戦争で死んだ人もいれば生き残った人もいるでしょう。本当に気になります。せめて静子と榎本ぐらいは幸せにしてあげたいと願います。
満足度★★★★
サービスショットあり!
ろくでもない男なのにモテ期が続いていて羨ましい限りです。
ネタバレBOX
着席してからの30分弱、ホワイトボードに貼ってあった0から100までの数字と記号が書かれた模造紙をジーっと見ていたので、ある記号のある法則について理解できていました。ケータイなどで時間を潰さないことも少しは意味があることが分かりました。
プータローのろくでもない男が同棲中の彼女との結婚に踏み切るまでの話に、手回し自動計算機開発の歴史的エピソードを交え、(a+b)(a-b)=a²-b²などを応用した計算法や数字にまつわるダジャレで味付けした話。
引き算は足し算であること、割り算は引き算であること、筆算における足し算は頭から足していく方法が教えられていることなど勉強になりました。嫌よ嫌よも好きの内を数式で説明したのは面白かったです。
秋月愛さんと藤田彩子さんのサービスショットはありましたが♉、帯金ゆかりさんのサービスショットが無かったのはちと残念でした。
一時間強の上演時間かと思っていましたので二時間弱はとても長く感じました。そもそもの話になってしまいますが、手回し自動計算機開発の話が本当に必要だったのか疑問でした。
満足度★★★★
ほのぼの
ゆるーい話にゆるーい構成、楽しませてもらいました。
ネタバレBOX
ぬれ煎餅の話をしたり、醤油たらしという妖怪がいたり、道路から離れた室内でテーブルクロスのお店を開いたり、眉毛の話をしたり、不思議な、世間からずれたような、ショートコントとも言えないゆるーい小さなエピソードの連続。
ヘタウマ棒立ち風雰囲気で、座ったシーンも多かったですが、飄々としていて好きでした。
全体でも一時間程度、前半と後半で役が変わろうが変わるまいが特に意味があるとも思えませんが、そして前半と後半でテンポが変わったわけでもありませんでしたが、AとBの二本立てというのも何ともトボケたゆるーい構成でした。
満足度★★★★★
全員が個性的
女子校に対する思い入れや憧れがあってのことだと思いました。
ネタバレBOX
女子校演劇部の夏合宿において、先生と生徒、生徒同士の恋愛、疑似恋愛のもつれなどから起きた複合大量殺人事件。
真面目だと思っていた施設管理人が密かに毒草や大麻を栽培していたことも一つの要因でした。
とにかく全員が個性的。多くの女子高生が登場するため、上ジャージとか下ジャージ、大きいキノコ頭とか小さいキノコ頭など外見でも特徴付け、個人や仲良しグループを分かり易くしてくれる配慮があり助かりました。
それにしてもそこまでかというくらいの疑似恋愛、疑似恋愛による嫉妬オンパレードでした。顧問の先生役を演じた吉岡そんれいさんのやる気のなさはお見事でした。現代社会をデフォルメして描く面白さに満足しました。
満足度★★★★
客
引っ掛けなのか本音なのか、気になった一ヶ所だけを除いて良く出来た脚本だと思いました。
ネタバレBOX
ああ言えばこう言う、友人を巻き込んでのドタバタはあるものの、カップルの喧嘩と仲直りに終始するのかと思っていましたが、彼氏のお姉さんと彼女のお父さんという具体的な家族が絡んでくることによって、何となくの絵空事から俄然地に足の着いた展開に移行して面白くなりました。
彼はお姉さんに一人暮らしをして自立するための引っ越しだと言い、彼女はお父さんに結婚を前提に同居するとそれぞれが嘘をついていたことからのドタバタコメディは見どころがありました。
彼女のお父さんはすぐそこまで来ているのに、舞台上に登場させることなく話に絡ませたのは上手い手法だなと思いました。
パヒュームに似ているというネタがありましたが、彼女が似ているのは矢口真里さんだと思いました。
ところで、隣人の黒人を説明するシーンがあり、黒人の身体的特徴について色々挙げ、最後に「黒人は黒い」という台詞がありました。そして即座に若い女性客の笑い声が響きましたが、私は笑えませんでした。
人種差別に対する作家さんの認識が甘いのか、客を試そうとしているのか分かりません。あるいは黒人は黒い自体全く気にする必要がないのかもしれませんが、少なくともそこで笑うのは、塩村都議の発言に対するセクハラヤジに同調して笑った他の都議会議員と同じで、差別に対する認識が甘いのではないかと思わざるを得ませんでした。
満足度★★★★★
男の器量
キコには因習に満ちたドロドロという印象がありましたが、現代SFであったことが臨場感溢れる作品に繋がったのだと思いました。
ネタバレBOX
自社斎場で葬儀をしている最中の葬祭会社社員控え室シーンでスタート。どじな将太が霊柩車の手配を忘れたとして大騒ぎ。もろ最近あった観光バス手配忘れ事件のJTB 社員と同じじゃんと思いつつ、時間稼ぎに僧侶の頭をスリッパで叩き、後にこれが僧侶に対する枕営業にまで発展するとは、この業界にそんな裏事情があったとは知りませんでした。
急に葬儀依頼が殺到する異常事態が発生し分かったことは、男は射精すると死に、女はキスをするとスイッチが入って、受精あるいは精子を体内に受けない限り死ぬということ。
研究学園都市ということで研究施設からウイルスのようなものが漏れたのか、原発事故の影響なのか、少子化の風潮に謀反を起こしたDNAのせいなのか、あるいはケイゾウへの執念が生んだ浦井の左手の超能力によるものなのか原因は良く分かりませんでしたが、この土地だけでなく現象は東京にも及んでいました。ただ、全国的なものなのか全世界的なものなのかまでの説明はありませんでした。
自分の命を守るのか、相手に命を託すのか、あるいは殺人にも利用できる現象です。特に女にスイッチが入った時に男がどのような行動を取るかで愛情の強弱が分かります。将太と社長の対応の違いなど、男の器量は仕事の能力とは別物でした。
満足度★★★★
虚しい
自業自得の成れの果て、笑えませんでした。
ネタバレBOX
新しい奥さんと結婚して6年、前の奥さんともドラマ作家の仕事を共同でしている男が、ふとしたことがきっかけとなり、そのうち調子こいて、隣家の夫婦と時々夫婦交換をするようになり、結果、隣家の奥さんは自分の子を妊娠し、自分の奥さんも妊娠したものの自分の子と信じられず、最終的にはみんなが自分から離れて行ってしまい孤独に陥るという話。
舞台には三ヶ所の場所が設けられ、男の部屋と隣家の部屋で絶妙な掛け合い会話がスピーディに行われるのはいつもと同じでした。
どうしようもない方向に向かっている二組の夫婦に、それでいいのと口を出す前妻役の名嘉友美さんでしたが、ちょっとー、自分が創作しているんやんってツッコミたくなりました。
初っ端、カントリーミュージック風な楽曲に合わせて、繋がっていると思っていたのにこんなはずではなかったみたいに歌っていました。スタートとラストの男の格好はカントリー風で、ラストシーンの何とも言えない寂しい雰囲気の中から、真夜中のカーボーイのテーマソングが聞こえてくるようでした。
満足度★★★★
コアファン
コスプレ会場みたいな。
ネタバレBOX
SMっぽい快楽に溺れる女性らによって昭和初期の退廃した雰囲気を醸し出し、菊の家という牛丼屋の若き124代当主、即ち昭和天皇を登場させて226事件に結びつけ、謀反兵を銃殺して血しぶき放水の場を設けることでアングラ色を強調するものでした。
前方中央の3×3から4×4ぐらいの範囲でしょうか、宝塚でいうところのSS席と言うような辺りが血しぶきが掛かる席でした。血糊が掛かっても良いか否かを聞かれ座席を選択したのですが、実際は血糊べっとりではなくシャーシャーした血しぶきでした。さらにはもっと四方八方に撒き散らすのかと思っていましたが意外と狭い範囲への一点集中型赤っぽい水の放水でした。
女子高生の格好をした人や浴衣を着た人などがびしょ濡れになっていました。終演後役者さんに拭いてもらうのが嬉しいのでしょうか。
昭和の雰囲気、アングラ、ケバケバしさ、コアなファンの存在などからレティクル東京座を思い浮かべました。歴史的には虚飾集団廻天百眼の方が古いのですが、最初に観た方の手法が印象に残るもので、自分にとっての早い者勝ちについてはいつものことながら申し訳ない気持ちになります。
満足度★★★★★
カッコいいぜよ
坂本龍馬。板垣退助も桂小五郎も特徴が似ていました。
ネタバレBOX
竜馬暗殺の謎解きをスピーディーに展開していく手腕はさすがでした。
見廻組も龍馬暗殺を計画していましたが、大政奉還させた後の国家運営を徳川家抜きで考えていた薩長にとっては、徳川家も含めた形で推し進めようとした龍馬が邪魔で、薩長の意向を受けた中岡慎太郎によって暗殺されたというのが真相でした。
門閥にとらわれることなく、適性のある人が活躍すればいいと思いつつ、そうも行かないのが人間社会であることを理解していた龍馬でした。
いつものことですが、2時間半は少し長過ぎると思います。
満足度★★★★
【Aチーム】観劇
伏線の回収はお見事でした。
ネタバレBOX
行き先がバラバラで乗り合いタクシーではない、どんな設定かと全く想像も付きませんでしたが、始まってすぐにあっち方面の話だということが分かり、興味が薄れました。
普通タクシーで立ち上がることはできませんから、彼がまだ死んだと明らかにされていない段階で後部座席で立ち上がったのは早計だと思いました。
他の乗客が呪縛霊になるとか守護霊になるとか言い出してげんなりするところもありましたが、伏線が上手い具合に回収され、最終的に彼はRH-の血液を提供して自他共に認めるヒーローになれました。
ボランティア部員なんですから日頃から道端に落ちているスーパーの袋を拾ってさえいれば、袋が川に飛ばされて杭に引っ掛かり子猫と勘違いすることもなかったかもしれず、川に飛び込んで死ぬこともなかったかもしれないわけで、傍から見ると単に酔っぱらいがドブ川に落ちて死んだお馬鹿な話に見えますが、彼にとっては子猫を助けたヒーローとして満足できたという面もあり、人の生き様を勝手に判断するなと言われたようでした。
満足度★★★★
リズミカルゥー
こどもと観る演劇プロジェクトによるお客さんよりも佐藤佐吉演劇祭2014+によるお客さんの方が多かったのでしょうか。意外に子供が少なく、あまり子供の騒ぎ声が聞けず残念でした。
ネタバレBOX
「注文の多い料理店」が元になったお話。正味30分強の作品ですが、子供を対象にしていることを考えるとちょうどいい時間です。
リズミカルな動きが何度も繰り返されて、最後には紳士たちが茶々を入れるようになりますが、そのときの一回ぐらいはメイドさんも出掛かってずっこけるくらいの遊びがあっても良かったのではないかと思いました。
イギリスの兵隊のかたちということでついイギリスの話かと思いましたが、イギリスの兵隊の格好をした日本人の話でした。それが分かったことが収穫でした。
満足度★★★★
Let it go
ありのままでー的な感想は今回初めて感じましたが、多くは前回と同じように感じました。
ネタバレBOX
女優とは言ったもん勝ち、あるいは収入の半分以上が女優業による人のことなのか、女優の定義はいずれでもいいですが、せめて女優さんなら箸使いぐらい何とかならないものなのかと前回同様今回も思いました。
割った割り箸をまたくっつけたようにして持ち、先っちょだけをわずかにずらしてそうめんを挟む、酷いにも程があります。今回、作演さんが少しは指導するのかと思いましたがそんなことは全くなく失望しました。次回は女優さんを代えた方がよろしいかと思います。
不条理劇風に見せるためなのか、えっえっーと噛み合わない会話が多用されていましたが、わざとらしく、しつこく、辟易しました。
フラクタル性の発想によって、流しそうめん機から宇宙にまで思考が広がり、そして宇宙の広がりから一気にありのままの自分を受け入れようとする個人レベルまでフォーカスするのはさすがだと思いました。
ただ、書けない自分をありのまま見つめ、小説化、舞台化するのはありですが一回限り許されることであり、書かないことには食って行けないのも事実です。
西蛙井というバス停における全ては夢オチなのか現実なのか、ゴミ箱がなくなり、ぺーちゃんが卓上にある光景は心地良い不思議感覚を残してくれました。
満足度★★★★★
楽しくて切ない
モラルがモラルを越えたと思いました。
ネタバレBOX
相思相愛だったケイスケとマイコでしたが、マイコが身を守るためにケイスケに小噺を想像させることから始まったのがエロビアンナイト、千夜一夜物語でした。それ以後、ケイスケは局面に応じて物語を創作することですっかり冷静になり、マイコがの肉体を求めることはなくなりました。
何年か経ち、ケイスケも可愛いアホ川と付き合って新しい人生を歩んだらいいのにと思いましたが、あーあ、結局は一線を越えてしまいました。
プラトニックな兄妹の愛から、全てを受け入れる愛に行っちゃいました。モラルがモラルを越えたと思いましたが、何が起こっているかも分からないのがこの現実です。5年を掛けて導き出された結果なら、それでもあーあという気持ちはありますが、見守るしかないなと二人を許容しました。二人を心の底から祝ってあげられないところが切ないです。
役者さんたちは皆素晴らしかったです。マイコ役の服部容子さんは肉感的でいて、清楚なお顔立ちでした。綾乃彩さんのアホ川も本当に可愛かったです。目は許せても鼻は許せない、鈴木アメリさんへの顔いじりも強烈でした。私は彼女の目こそが田舎風美人を醸し出す根源だと思っています。
ところで、最初の腋おにぎりは吐き気がするほどにひどい発想で、客いじりで食べろと迫られたらどうしようと思うくらいのあまりにも衝撃的な、不衛生的な内容で、本日一番の最高に面白いコントでした。
あまりにも最初が強烈過ぎたため、あとのコントが霞んでしまったのが残念でした。メインディッシュの出しどころは難しいです。ただ、汗をかいてからあれをやると、石澤さんもさすがに口にすることはできないでしょうから仕方ないのかもしれませんね。
ラストの雨降らしですが、初っ端天井から水が数滴落ちてきてオヤッとは思っていました。彩の国さいたま芸術劇場でも最前列で観たことはありませんので、あんな風に舞台と客席の間に溝があることが水を使うことのお知らせだとは気付きませんでした。まだまだ修行が足りないなと思いました。
満足度★★★★★
くさーい
だから演劇は面白いと思いました。
ネタバレBOX
洋物臭い台詞回しと大げさな身振り手振り、リーゼント頭に暴力的なシーンや激しい性描写、如何にもアメリカのちょっと古臭い青春学園物のパロディかと思いきや、すぐに念力のような超能力が飛び出し、自らを心優しいと称するポヨポヨ族と食肉族との長い歴史を踏まえた争いが今もなお続いているという展開になりました。
日常と非日常。日常の中に非日常が垣間見えると、感性が刺激されたり不思議な感覚に陥ったりする面白さがありますが、最近は日常の中に非日常が入り込み、そのまま一気に非日常の世界に移行してしまう作品を観る機会が多くなったような気がします。
本作品は、早い段階で日常から非日常に切り替わる上にくさーい芝居が加わり、大いに笑わせてもらいました。ただ、途中で慣れてしまうという要因があるのかもしれませんが、願わくば最初のくさーい芝居が最後まで持続していてくれたらなと思います。
山わさびが超能力を開花させるキーアイテムでしたが、お寿司でも食べて脳がツーンと刺激され、このアイデアが思い付いたのかもしれませんね。
満足度★★★★
ビックリ!
思わぬ展開にまあビックリしました。
ネタバレBOX
少しは科学的思考をするはずの大学生がパワースポットもクソもないだろうとは思いましたが、まあそれは導入部だけで、途中からの展開には目を見張りました。
ちょっとおバカな連中はなぜ出口が見つけられず遭難したのか、なぜ穴は塞がったのかと思っていると、地底人が登場してきて先ず驚き、さらにはロールプレイングゲームならぬロールプレイングリアルゲームに参画することになろうとは、またまた驚きでした。エロ勇者のエロDVDを持っていたのが災いでした。
個性的な面々、個性的な体質は強みです。
地底人の若者の声が高音だということを初めて知りました。洞窟内での音響の影響による進化かもしれませんね。
満足度★★★★
二人芝居
役者やのう、と言った感じでした。
ネタバレBOX
黒子がもう既に満開の桜なのにさらに花びらを取り付け、桜の木の脇の仄かな光を放つ灯明を下手前面と上手前面に移動させる、こんな行為を長々と行い、本編でも男役を演じて言葉を発する、それはもう黒子ではありません。黒子の格好をして特徴を隠しただけの山賊であり、要するに一人芝居の形式と言うよりは鬼と山賊の二人芝居と言った方がより正確だと思いました。
都へ行こうとする件と桜の木のところを通る件が錯綜したような印象は確かにありました。ちょっと間が長いなと感じるところもありました。客席から女性の美しい声で台詞が発せられ、それに続き、山のこだまに呼応するかのような女優さんの台詞回しは素晴らしく、三人芝居かと思ってしまうくらいでした。
舞台挨拶で恐縮されていましたが、本編中は何があっても態度に表さないこと、男優さんも台詞や動きを合わせていたことで、そういう演出かと思ってしまうほどの出来でした。
リンを叩いたような音楽は法要のような厳かさがあり素敵でした。
満足度★★★★
ファンタジー
パフォーマンスは素敵でした。
ネタバレBOX
見た目は世間から疎まれるような異形の存在、内面的には精神を病んだ弱い者たちが集まって、みんなで見世物興行を行うことで生計を立て、心を穏やかに過ごすことができるようにしようとするのがフリークボックスというカンパニーでした。
フリークボックスの中では、自分の本当の過去を話さないのが決まりで、自分の過去が話せるようになるということは心が強くなり、自立して社会復帰ができるということを意味しています。
そんな温室の中で仲間内の確執が大きくなり、それぞれが隠していた過去次第にが明らかにされ、カンパニーが崩壊するストーリーでしたが、全てはちょっと精神的に疲れた男子がゲイの友人と一緒にお人形さんごっこ、妄想していただけだったとは確かに驚きました。
驚愕のラストシーンではありましたが、うわああ、様々な登場人物は多重人格的な妄想の産物でした、シャンシャン、という感じで、良く分からない話を一気に終わらせるファンタジーにありがちな展開だなと思いました。
手品、ダンスなど見世物のパフォーマンスは素敵でした。