鴨川ホルモー
アトリエ・ダンカン
吉祥寺シアター(東京都)
2009/05/15 (金) ~ 2009/06/07 (日)公演終了
満足度★★★★★
京都を舞台にした爽やか青春群像+ホルモーとは?
映画版での異様なTVCMを先に観ていたので、あの変なのは何なのだろうと思い、とっても期待(心配)してましたが…
京都と京大を舞台にした、さわやかな青春群像でした。
中心になる京大生の登場人物は、素直で普通の主人公男子、コメディイリリーフ男子、モテモテのイケメン男子、マドンナ女子、メガネ女子…と、よく考えると昔から変わらないステレオタイプの組み合わせ。
これに京都の祭りと、オニを使った摩訶不思議な試合や儀式という「味付け」が強烈で、このため、普通の学園ものとは明らかに違う個性的な味わいの作品になってます。
オニの存在が、”京都”のもつイメージによって、単なる恐怖ではなく、彼らと共存しているような雰囲気が独特で面白い。
いがいなところで出てくる「レナウン娘」の歌とダンスが驚きで、思いっきりの良さも青春!
(今の人には「レナウン娘」は変な存在なのね。)
同じくアトリエ・ダンカンプロデュースの本屋大賞の舞台、「夜は短し歩けよ乙女」と似た雰囲気があって、若手俳優さんたちのこういう舞台で、単なる青春ものではない、個性的な雰囲気のあるお芝居は好きです。
僕たちの好きだった革命
サードステージ
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2009/05/19 (火) ~ 2009/05/31 (日)公演終了
満足度★★★★★
「シュプレヒコール!」1999年の高校生の心を変えた、甦った小さな革命の物語。やっぱり観て良かった。
学園闘争の最中に意識を失い、30年後に突然目覚めたヤマザキは、高校に復学し、果たせなかった「僕たちの革命」を成し遂げようとした!
今、君は何のために戦っているのか。
早くも再演。ほんとうはやめようかと思いましたが、
虚構の劇団の山崎雄介、小野川晶、高橋奈津季出演と聞き、
観ないわけにはいきません。
あーこんなこともあったなぁ…と意外と忘れていた場面など
を見ながらも、拓明高校有志たちの成り行きに知っているのにハラハラ。
いくつになっても変わらない、ガクランが似合う中村雅俊に
ぐいぐい引っ張られ、あっという間にエンディング。
また、この間は小劇場でも共演されていた武藤晃子と澤田育子、
特に武藤さんは独特のキャラクターで楽しませてくれます。
そして、この日は、東京千秋楽。
鴻上尚史、加藤鷹(この日はトークショーも)も舞台に上がり
GAKU-MCによるメンバー紹介、
何度も続くカーテンコールと「シュプレヒコール」!
劇場は興奮のまま舞台は終わったのでした。
やっぱり観て良かった!
江戸の青空~Keep On Shackin'~
北九州芸術劇場
世田谷パブリックシアター(東京都)
2009/05/24 (日) ~ 2009/06/07 (日)公演終了
満足度★★★
落語のエピソードをいくつかあわせた、気軽に笑える軽喜劇。
本作の鑑賞のきっかけは、劇作の千葉雅子さん、G2の演出、
出演者では、「KEAN」の須藤理彩さん、
深夜オリジナル版「クイズショウ」の戸次重幸さん、
「爆竜戦隊アバレンジャー」アバレイエローで
これまでもいくつか舞台を観た いとうあいこ さんなどなどでしたが、
観てみると、江戸を舞台にした、いくつかの「落語」のエピソードを重ね合わせた人情話というのが面白かったです。
誰かがなくした50両、誰かが拾った50両…
どこかで聞いた落語のネタを元につなぎ合わせてアレンジした話。
中村まこと さんが「珍しく」善人の役という超意外な配役!とか
戸次重幸 さんが意外と筋肉美とか
いかにも生真面目そうな柳家花緑さんとか
いとうあいこ さんの明るく気丈な浪人の娘とか
それぞれの役者さんを見るもよし、しかし笑いは
ユルい部分も多く、といった感じの気軽に見て笑うちょっとした喜劇。
終演後にはトークショーもあって満足。
そして西岡徳馬さんは、ごくごく自然にたくさんの観客さんと一緒に、握手したり雑談しながらエスカレーターで帰って行かれました。
さわやか!
それにしても、世田谷パブリックシアターの、2階席の椅子の座りにくさは、何だ!
きらめく星座 ~昭和オデオン堂物語~
こまつ座
天王洲 銀河劇場(東京都)
2009/05/06 (水) ~ 2009/05/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
作:井上ひさし自身の経験を元に、第二次大戦開戦1年前のレコード店「オデオン座」に集う人々の人間模様。
井上ひさし作のこまつ座公演、銀河劇場とは珍しいです。
ホリプロとの共同のためでしょうか。
昭和15から16年、浅草のレコード店「オデオン座」に集う、明るくたくましい、個性豊かな人々。
「紙屋町さくらホテル」にも通じる、一般市民の目線での戦争が題材です。
次々に描かれる騒動は、大きなことではないけれど、何が起きても明るく楽しく歌い飛ばしてしまう家族が楽しいです。
愛華みれ さんの元SKDのお母さんのおおらかさと明るさ、
最近立て続けに舞台に出ている前田亜季さんもよかったですが、
何といっても相島一之さんの生真面目な傷痍軍人の役。
まじめでコミカルな面と、国に対して一途なゆえの苦悩が良かったです。
この役が、当時の普通の日本人だったのではないかと思います。
容疑者χの献身
演劇集団キャラメルボックス
サンシャイン劇場(東京都)
2009/04/30 (木) ~ 2009/05/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
天才数学者の一途な愛。哀しい話なのに、なぜか温かい愛の物語。
キャラメルボックス・テイストにつつまれて、哀しい話であるのに、なぜか温かい気持ちになる。
不器用な中年男が、人を想う切ない気持ちが泣けます。
演じる西川浩幸さんの、無表情で落ち着いた静かな情熱が印象的です。
また、西牟田恵さん、刑事役の斎藤歩さん、ドラマ「相棒」でも刑事役の川原和久さん
この3人の客演で劇団以外の空気が入った感じで、現実的で地に足のついた雰囲気になった気がします。
関数ドミノ
イキウメ
赤坂RED/THEATER(東京都)
2009/05/08 (金) ~ 2009/05/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
SFファンタジー風味で描く,日常に潜む人の悪意が怖い。
SFやファンタジーの世界を借りて、人の心に迫る独特の世界が得意な、前川知大さんと彼の主催するイキウメの再演作。
「ドミノ幻想」では、世界はある特定の人間を中心にして回っていると考える。
本人が意識しなくても、周囲の人間の運命はその人物が思ったように回り始めるという…。
話の冒頭から、日常生活に「人の悪意」が静かに迫ってくるジリジリとした恐怖が感じられて、観ていて気が気ではありません。
これがあまり強いと、わざわざ観るのも嫌になってしまうところ、それでも好きになって次が観たくなるのは、そこに”救い”が用意されているからか。
意外なラストもまた面白い。
この話は、やはり舞台でしか、イキウメでしか、味わえない独特の感動です。
今回は、ともさと衣さんの狂信的な信念を持つ役が印象に残りました。
鴻上尚史主催の虚構の劇団所属・大久保綾乃さんも好演でした。
伊東四朗一座・熱海五郎一座合同公演「喜劇 日本映画頂上決戦~銀幕の掟をぶっとばせ!~」
アタリ・パフォーマンス
青山劇場(東京都)
2009/05/16 (土) ~ 2009/05/30 (土)公演終了
満足度★★★★
初日!青山劇場でしょうもないことをやる面白さ。コント赤信号も復活!但しS席10500円でも大衆演劇?
伊東四朗一座公演は大好きで、数回見てますけど、S席10500円では、もはや大衆演劇、軽演劇とはいえないかもしれません。
出演者も増えて、小林幸子を迎え、青山劇場になった時点で、規模が大きくなりました。
話は、日本映画黄金期、俳優・スタッフは契約映画会社以外の仕事が出来ない「五社協定」を軸に、映画に関わる人々の大騒動。
一言で言えば、従来路線に、コメディエンヌの中村メイコ、演歌歌手の小林幸子を客演に迎えて、スケールアップ。
小林幸子が出演すると決まった時点で、大掛かりな装置が組める舞台が必要になった?
歌は2曲しか歌いませんでしたが、観客の期待どおりのクライマックスを彩りました。
芝居は、年齢層にかかわらずに楽しめるわかりやすい「笑い」が特長。
客席には、かなりご高齢の方も見受けられましたが、満席の場内は大爆笑でした。
年代もまちまちの大勢の観客が集まって、みんなで笑いを共有しているような一体感。
こういう雰囲気は非常に楽しいですよねぇ。
見方によっては、昔ながらの笑い(よい意味でも悪い意味でも・・・)ではありますが、
気張らず力まず、しょうもないグダグダ感も含めた面白さを楽しんだと言えましょうか。
そして、私の最大の笑いのポイントは「コント赤信号」のコント!
3人が舞台に揃って、コントをやるのも何年ぶりか。
さすがにテンポが良くて爆笑してしまいました。
雨の夏、三十人のジュリエットが還ってきた
Bunkamura
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2009/05/06 (水) ~ 2009/05/30 (土)公演終了
満足度★★★★★
ノスタルジーでは終わらない女優陣の迫力!
前半は、元少女歌劇団のメンバーの30年ぶりの再会を果たし、ノスタルジーをうたう物語かと思えば、
いったん悲劇に転じた瞬間から、女優陣の存在感が、圧倒的な迫力をもって迫ってきました。
物語の軸となる三田和代さんは、真琴つばさ演じる女性に現実を突き付けられても、一切揺るがず、逆に論破するほどの力強さ、想いの強さにあふれている。
鳳蘭さんも当然の如く圧倒的な存在感。
中盤、実際に登場するまでに物語では先に彼女のことが語られてきているため、出たとたんにその人物の背景までも感じることができました。
驚いたのは、中川安奈さんの強さ。
いつの間にこんなに成長されたのでしょうか。
バンダラコンチャ ソロアルバム公演「相思双愛」
バンダ・ラ・コンチャン
紀伊國屋ホール(東京都)
2009/05/09 (土) ~ 2009/05/16 (土)公演終了
満足度★★★★
交互に進行する二つの原作・二人の脚本家・二つの愛の話。
ダンダンブエノの近藤芳正さんがまた新しいことを始めました。
新たな劇団バンダラコンチャ第一回公演です。
なんと二つの原作を二人の作家に依頼、
一人の演出家で一本の芝居に構成するという面白い試み。
ひとつは、横光利一「春は馬車に乗って」を
ペンギンプルペイルパイルズの倉持裕の本で。
戦前、病床の妻と作家の口論と愛の日々。
夫に対してわがままを言ったり、文句を言ったり
喧嘩をしながらも愛情を感じさせる、
妻を演じる坂井真紀さんの演技が光ってます。
もう一つは重松清「四十回のまばたき」より、
イキウメの前川知大さんの本。
こちらは現代、翻訳家の男と、まるで冬眠のような病気を持つ、
亡くなった妻の妹の「出産」をめぐる騒動。
こちらは姉妹二役を演じる辺見えみりさんの
奔放さがいとおしい。
そして、榎木孝明さんのこれまでのイメージと異なる
豪放で味のある作家も面白い。
ペンギンプルペイルパイルズの倉持裕も、
イキウメの前川知大さんも、
最近必ず観ている好きな作家さんです。
両方の物語の「夫」である近藤芳正さんは、
神経質な、繊細な、優しい夫を演じています。
やりたい芝居を自らプロデュースしている
近藤さんのスタンスを応援したくなります。
神様とその他の変種
ナイロン100℃
本多劇場(東京都)
2009/04/17 (金) ~ 2009/05/17 (日)公演終了
満足度★★★★
ケラリーノ・サンドロヴィッチ流サイコ・ミステリー?犬山イヌコ大倉孝二凄い!
いよいよケラさんの待ちに待った「ナイロン100℃公演」です。
ギャグを交えながらもシリアス、神様といじめを題材にミステリー調で
物語は進展します。
そして、意外な真相が明らかになり、泣ける展開になったかと思えば、
一転、まったく違った結末を迎えます。
この意外な展開だけでも十分面白いのですが、
もちろん一筋縄には、いきません。
最近のケラさんの公演では、パンフレットのインタビューに
毎回あるように、ウェルメイドに話がうまく収束するいい話が
多かったり、その反面でたらめな無意味な話にいきそうだったり
常にその間を行き来しながら書いているように感じます。
今回も、普通にまとめることもできそうな話ですが、
もちろんそうはならなくて、ナンセンスギャグをはさんで
別の高み?を目指して転がり始めます。
この辺が、さすがというか、味というか…面白いところです。
それにしても、犬山さんは難しい微妙な役を本当にうまく
演じられていて、凄い。
また、みのすけさん、峯村リエさん、山崎さんも芸達者です。
大好きな水野美紀さんは、手堅く好演。
山内圭哉さんは、いつもの勢いのある役ではなくて、
ダメな役。情けなさ加減がイイです。
そして!大倉孝二さん。変わらぬ大倉ワールド。
出てくると、一気に「持って行ってしまう」。
もっともっと観たい!!
人数の少ない座組みで「大倉ワールド」に存分に浸りたいです!
路地裏の優しい猫
“STRAYDOG”
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2009/04/29 (水) ~ 2009/05/05 (火)公演終了
満足度★★★★
今人生のゴングが鳴る。4度目の公演。ボクサーとしての人生を語る大内さんがイイ。
作演出の森岡利行の叔父である、メダリストで伝説のボクサー・森岡栄治の人生を描く。
去年、赤坂RED/THEATER公演に続く4度目の公演、劇場が広くなりました。
今回は前回から、特に女性の主要メンバーは、街田しおんさん以外は総入れ替えです。
さて、やはり、キャラメルボックスの大内厚雄さんの存在感・安定感は、当然ですが、さすがです。
エイジの娘ハルコは、前回の黒川芽以にかわり、岡本玲。
小柄ながら声も良く出ていて、自然な関西弁。
力強くへこたれない前向きなハルコになっています。
そして、劇中猫の親子が朗読する、まど・みちおの詩「もうすんだとすれば」がアクセントになっていて、非常に効果的です。
ただ前回は、主演・黒川芽以をはじめ、宮地真緒、佐伯日菜子、長澤奈央、村井美樹、古山憲太郎ほか、という布陣だったので、
それに比べると全体的に少しパワーダウンな感じは否めない。
また、猫の扮装でのダンスや、非常にベタなギャグとコント・シーン、前述のステレオ・タイプな栄光と挫折のストーリー展開などが、観る人によっては合わない人がいるかもしれません。
赤い城 黒い砂
松竹
日生劇場(東京都)
2009/04/11 (土) ~ 2009/04/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
馬渕英俚可さん目当てに観劇。繰り返す戦争に終わりは無いのか。殺陣と愛の表現が見もの。
赤の国と黒の国の長きにわたる戦争を背景に、繰り広げられる愛憎劇。
黒の国の「二人の貴公子」に片岡愛之助/中村獅童。
片岡さんは裏切りと陰謀、嘘を演じ、さすがにうまい。
獅童さんは、荒々しく逞しくひたすらまっすぐに。
赤の国の王女、黒木メイサさんは凛々しい戦士役が似合う。「あずみ」「何日君再来」と同様の役が続いてます。
戦争の繰り返しが両国にとって大きな意味があり、愛さえも闘いで感じるという、
獅童×黒木の関係も、迫力のある殺陣でよく表現されています。
他の殺陣・戦闘も迫力満点。特に3列目だったのもあって。
そして注目の馬渕英俚可さんは、やはりうまい。
今回は少しオーバー気味な感情表現で。
ただ出演時間は短い。もっともっと演技が観たくなります。
南沢奈央さん(長澤まさみに少し似ている)も、一幕と二幕では打って変わった演技で好演。
田口守さんの牢番は、その落ち着きが怖い。特に娘に対する態度がおぞましい。
中山仁さんは、津嘉山正種さん急病のための代役だったんですねぇ。心配です。
逆に、最近お見かけしなかった中山仁さんがお元気でうれしい。
飄々とした味がありました。
津嘉山さんの王も観たかったですが、きっと中山さんより強く逞しい王になったでしょうか。
(良い悪いではなくて)
最もキーになる役の中嶋しゅうさんも、その冷静さ、冷徹さが恐ろしい。
※中山仁さんは29年前に「ウルトラマン80」UGM隊長を演じてましたが、同じく、UGMイトウチーフをこの夜に観た「ミュージカルスターは夢を見る」に出演された大門正明さんがやってました。
ミュージカルスターは夢を見る
劇団とっても便利
博品館劇場(東京都)
2009/04/22 (水) ~ 2009/04/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
小劇団のオリジナル・ミュージカルでも高い完成度、感動作。
感激して同じ作品を3回鑑賞するという初の経験だった『complex』(1,2年前くらい?)、
その作・演出家でありチャップリンの研究者でもあるという大野裕之と、劇団とっても便利の新作オリジナル・ミュージカル。
なので観劇することに。
森の奥に隠れて暮らす往年のミュージカル・スターに出会い、彼女の作品を書くことになった脚本家とその小劇団の若者たちの物語。
またまた今回も、もっと観たいと思いました!公演回数が少なくて残念。
また観たくなった理由を考えてみると、ひとつは、アンサンブルの合唱が心地よくて感動してしまうところにありました。
オリジナルの曲はとても親しみやすくて、のりやすい。
小劇団製作のオリジナル・ミュージカルで、この完成度はすごいと思います。
作者の大野さんはかなりのロマンティストのようで、ときに照れくさいような表現もありますが、それもまた特長。
主役の小柳ルミ子さんのダンスはさすがです。
そのうえ彼女自身のイメージにかぶるような役をやらせていて、ときに自虐的な話題もはさみながら進行。
劇団四季出身の宇都宮直高さんも、当然ながら歌がすごい。
「complex」にも出ていた劇団所属の丹羽実麻子さんも、今回は出番少なめながらも、歌が良かった。
舞台装置はほとんどなく、奥行きもない狭い舞台では踊りで狭いようでしたが、踊りもあって楽しめます。
ただ、多少手垢の付いたようなストーリー、中だるみも感じるストーリー展開はすこし残念。
それと、博品館劇場は、エアコンはうるさいし、音が悪いし、前の人の頭が邪魔になる座席配置だし、舞台の奥行きも狭そうなのでいまいち。
その男
キョードーファクトリー
大阪新歌舞伎座(大阪府)
2009/05/02 (土) ~ 2009/05/27 (水)公演終了
満足度★★★★★
主演:上川隆也 原作:池波正太郎!の4時間に渡る娯楽時代劇!
池波正太郎の原作、上川隆也、平幹二朗の顔合わせ、殺陣も楽しめた4時間にもわたる本格的な娯楽時代劇!
ラサール石井の演出で、誰でも楽しめる内容がいい。
上川隆也演じる主人公は、動乱の時代も川の流れにたとえ、父代りの恩師の言葉に従って、生き抜きます。
キムラ緑子、池田成志、六平直政の芸達者な面々が脇を抑え、内山理名も好演。
波岡一喜は特撮作品では「ライオン丸G」主演、「幻星神ジャスティライザー」悪役レギュラー、他ゲスト多数の人です。
櫻の園
ネルケプランニング
青山円形劇場(東京都)
2009/04/22 (水) ~ 2009/04/29 (水)公演終了
満足度★★★★★
切ない女子高・演劇部の青春。 ゲキレンジャー福井未菜/ボウケンジャー山崎真実/仮面ライダーファイズ芳賀優里亜の競演!
女子高・演劇部の伝統公演“桜の園”の開演前二時間の物語。
部活、部室、恋愛、タバコ、外泊、パーマ … 青春です!!
原作は、吉田秋生の同名のマンガ。
中原俊 監督の1990年製作の映画で有名でしたが、去年も福田沙紀主演で再映画化。
舞台版のほうは、2007年6,7月に同じく青山円形劇場での再演を観ましたが、今回再々演です。
出演者は1人を除く全員が女性。
中心になる3人は新高校3年生という設定ですが、演じるみんなは22から25歳くらい。
福井未菜さん「獣拳戦隊ゲキレンジャー」(2007)宇崎ラン(ゲキイエロー)役,
山崎真実さん「轟轟戦隊ボウケンジャー」(2006)風のシズカ役,
芳賀優里亜さん「仮面ライダーファイズ」(2003)園田真理役,
…と東映特撮テレビドラマの元レギュラー出演者勢ぞろい。
ちなみに'07には佐藤寛子さんが今回の福井さんの役でしたが、放映中の「仮面ライダーディケイド」では八代さん2役を演じていました。
円形劇場の囲み舞台で、演技より、彼女たちの”今”を間近で感じます。
ムサシ
彩の国さいたま芸術劇場
彩の国さいたま芸術劇場 大ホール(埼玉県)
2009/03/04 (水) ~ 2009/04/19 (日)公演終了
満足度★★★★
現代に向け、いたってシンプルなメッセージ。ゆえに実現は難しい。ユーモアが多く共に楽しめる長時間大作。
武蔵と小次郎が再会、藤原竜也VS小栗旬の対決・・・と聞くと結構
ハードな内容を勝手に想像しておりましたが、実際はユーモアが多く、
結構優しく、いたって明快。
夜は短し歩けよ乙女
アトリエ・ダンカン
東京グローブ座(東京都)
2009/04/03 (金) ~ 2009/04/15 (水)公演終了
満足度★★★★
ほんわかと楽しい。一風変わった,京都恋愛メルヘン・ファンタジー。
なんか有名らしい森見登美彦の「夜は短し歩けよ乙女」が原作、劇団桟敷童子の主宰・東憲司が演出、ということで観劇することに。
なるほど、現在とはどこか違うレトロな京の町、乙女チックな中にも繰り広げられる独特(で強引)な世界が楽しくて居心地がいい感じ。
そして、初舞台の主演の2人がみずみずしい!!
田中美保は、個性的で天然が魅力の主役「黒髪の乙女」を見事に演じました。
特に巨大な緋鯉のぬいぐるみを背負って歩く姿は独特のかわいさです。
突き抜けた、まっすぐなセリフのしゃべり方が魅力的です。
渡部豪太は、どこかで見たと思ったらゼクシイTVCMの人ですね。
今風のイケメンとは微妙に違う、少し飄々としたところが持ち味。
いつも世間離れした神様や奇人変人を演じているベンガルは、今回も自然体で微妙な間のアドリブを。
綾田俊樹もちょっと変なスケベオヤジ、というこの二人は得意のキャラクターをほんとに自然に演じてます。
蜉蝣峠
劇団☆新感線
赤坂ACTシアター(東京都)
2009/03/11 (水) ~ 2009/04/12 (日)公演終了
満足度★★★★★
アウトロー古田がシブイ。笑い、涙、歌、殺陣と満腹の3時間。
「古田主演で、チャンバラがあって人間ドラマなら何でもいい」という、いのうえ さんの注文でクドカンが書いたという。
確かに、黒沢「用心棒」の二つの組が対立した宿場町を舞台に、記憶を失った流れ者の巻き起こす騒動の物語。
主役の記憶を失ったアウトロー古田がシブイ、カッコイイ。
セリフが少ないのがまたいい。少ないセリフでもしっかり笑わせる。
笑いに、歌を交えて、泣かせる話。
そして、なによりもクライマックスの、活劇、殺陣がダイナミックで素晴らしかった!
古田さんもうまいが、特に、堤真一さんの長身が舞う大きな身振りが気持ちいい。
これまでも殺陣のある舞台がいくつかありましたが、これだけ動きのスケールが大きいのも珍しいです。
いや(私の少ない観劇のなかでは)、これまでで一番だと思います。
さまざまな構成要素がうまく詰まっていて、満腹の3時間でした。
淫乱斎英泉
東宝
あうるすぽっと(東京都)
2009/04/02 (木) ~ 2009/04/12 (日)公演終了
満足度★★★★
幕末の江戸,20年の歳月にうつろい絡み合う人の心,男と女の話。
劇『淫乱斎英泉』あうるすぽっと(A-18)2009年4月4日(土)12:30 幕末の江戸,20年の歳月にうつろい絡み合う人の心,男と女の話。
幕末の江戸、蘭学者・高野長英と絵師・英泉の出会い、女たちの愛、逃亡とその末路を描く。
独特の味がある先日「しとやかな獣」の浅野和之さん、古くは「ゴジラVSメガギラス」からチェックし出した田中美里さん、小劇場から帝国劇場のミュージカルまで近年多数の舞台に積極的に出演し続けている高橋由美子さんの出演で観ることにしました。
浅野和之さんの高野長英は、生真面目ながら追いつめられ、変わっていく。
田中美里さんは、若い純粋な時はその秘めた思いのしぐさがまさに可愛らしく、そして20年後には多くのことを背負って生きている。
山路和弘さん演じる英泉は、昔の淫乱斎英泉が絶頂の時には破天荒で破滅的な性格、高野長英と逃亡後には至って真面目に変わってしまうという変わった役。
そして妹との関係、この距離感も微妙で難しい。
この逃亡した3人は、その過程を描かずに一気に流れ流れて変わっていった結果が提示されますが、観客はすぐにその空白の間のドラマを各自が補完して観れています。
それとは打って変わって、高橋由美子さんの娼婦お半は一貫して明るく素朴。
クライマックスでは母性、すべてを包み込む優しさを発揮して、終始、登場人物の中でも最も気持ちがまっすぐで素直。
高橋さんのこれまでのイメージにも近くて最も得意な役どころではなかったでしょうか。
木下政治さんは商人越後屋。こちらは同じく一貫しているのは何か常にはかりごとを考えている人物。
というように、江戸にいた人間は変わらない。
20年かけた、ほろ苦い、味わい深い男女の物語でした。
悪戦
今井事務所
吉祥寺シアター(東京都)
2009/03/27 (金) ~ 2009/04/05 (日)公演終了
満足度★★★★
濃い俳優陣に、上海マフィア、結婚詐欺がからむ悪戦苦闘の物語。
上海マフィアの結婚詐欺をめぐる、男と女、日本人と中国人の「悪戦苦闘」を描く。
水谷龍二さんお得意の、軽演劇風の人情悲喜劇。
水谷さんの「星屑の町」シリーズなども観ましたが、中国や沖縄、やくざ、夜の繁華街などの世界もお得意ですね。
ほんの数人の俳優で1時間50分、中国マフィアのバックボーン、中国での3人の友達関係、結婚詐欺の偽りの夫婦など盛りだくさんの内容で、人間ドラマをペーソスたっぷりに描ききるところはさすがです。
渡辺哲さん、浅野さん、みなさん個性的で存在感のある人ばかりで、非常に濃い舞台。
その中では若くてさわやかな、観客の立場をとる役目の福士誠治さんは、どこかでお見かけしたと思ったら「のだめカンタービレ」の黒木くんでした!