アキラの観てきた!クチコミ一覧

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クレームにスマイル

クレームにスマイル

ニットキャップシアター

ザ・スズナリ(東京都)

2008/12/11 (木) ~ 2008/12/14 (日)公演終了

満足度★★★

狂気への駆け込み乗車&急加速はとっても面白い
後半の「狂気」ともいえる展開から、俄然面白くなった。
加速感もあり、なんか観ていて楽しいのだ。

よくあるパターンで、その状況を誰かが説明してくれたり、推測したりということはこの芝居には不要(なんとなく匂わせるところがあるだけでOK)だったので、そんなよけいな解説がスッパリないところに好感が持てた。
別に理由なんかないし、「だってそうなんだもん」でいいのだ(たぶん)。

すっきり、スマートじゃないところが、良いところかもしれない。
そして、次もまた観たい気はしている。

ネタバレBOX

大根〜人形が出てくるあたりから、加速していく感じはとても良いと思った。
ただし、隣の駅員の独り芝居的な対決〜サンマを食べるシーンで、他の役者がまるで人ごとのような「素」の状態で眺めていて、笑っていたのには、少々違和感を感じた。
全員がそういうスタンスでそのシーンに臨んでいるのならば、それは感じなかったのだが、1人、2人だけだと中途半端な印象しか受けないのだ。

それと、前半の、特に駅員を探すドタバタは、少々長く感じて、さらにそれ自体は、後半とはあまり関係がなさそうなので、そこは「なんだかなー」の感じだった。

そして、2人組のコントのあたりは結構好きかもしれない。

フジコFフジオと手塚治虫というのは、役者の2人が似ていたというところからの発想なのだろうか、それと出てきた漫画はやはりトキワ荘系の作家のものだったのだろうか(本のタイトルが見えなかったので)、少しだけ気になったりした。
破れ傘長庵

破れ傘長庵

江戸糸あやつり人形 結城座

シアタートラム(東京都)

2008/12/10 (水) ~ 2008/12/14 (日)公演終了

満足度★★★★

悪の存在が大きい
とにかく物語が面白い。
そして人形と串田和美さんの競演(絡み方)の違和感が楽しい。
サイズの違いが大きすぎるのだが、徐々にそれは気にならなくな・・りはしないが、アクセントとなり面白さが増している。小道具(まさに小道具)の使い方も面白い。
さらに高橋悠治さんの生演奏もよかった。

串田さんが、楽しげにのびのびと悪を演じていた。人形たちもそれなりに存在感を示すのだが、何せ、悪が強いし、大きすぎる(サイズ的にもでかいしね)ので串田さんが完全に中心にドンといる。

結城孫三郎さんの、声色による演じ分けはさすがだった。まるで変わらないはずの人形の表情まで見えたようだった。

ネタバレBOX

村井長庵(串田和美)が兄弟分(人形)を自らの手に持ち演じ分けたり、人形遣いのほうに絡んでみたりというところが面白く、ラストの立ち回りから最後の台詞までも人だけや人形だけでは表現できないものを観たような気がした。

残念だったのは、台詞を噛んだところが結構多かった気がしたところだ。
もっと見る (公演終了・御来場御礼)

もっと見る (公演終了・御来場御礼)

殿様ランチ

サンモールスタジオ(東京都)

2008/12/05 (金) ~ 2008/12/14 (日)公演終了

満足度★★★

ある意味メルヘンかもしれない
主人公を取り巻く人々の姿が
とても丁寧に描かれていて、最初から引き込まれた。
ただし、・・・ネタバレへ

ネタバレBOX

目の前に迫る死を巡る話なのに、
なんかきれいで、かなりすっきりしている。
死に行く作家の肉親が出てこないからだろうか。
(唯一の家族は亡き奥さんの連れ子だし)

死に対する恐れのようなものが感じられないことに、やや違和感を感じた。
「受け入れた」と言われても、やはり恐れがないとは思えないからだ。
ここまで、きっぱりと「受け入れることができた理由」が
判然としないからだろうか。
死にいく人自身やそれを取り巻く人のホンネが見えてこないように思えてしまう。
取り巻く人たちが、仕事での付き合いだけだからか。
例えば、ビジネスライクな感じがホンネなのであろうか。

最期に自分を見舞いにきた仕事の付き合いの人たちや病院の関係者に、
死を目前にして、なお作家である自分という「虚構」を見せたのであれば、
(・・そこが「からっぽな人生」だったのだろうか)
やはり、ホンネの自分を観客にどこかで見せてほしかったと思うのだ。
例えば、カメラクルーがカメラを回しているときと、
止めているときのような差のある姿が。
その、オン・オフの仕掛けが話の中にあるだけに、
それを利用してホンネを見せられたのではないかと思う。

娘も血がつながっていないとはいえ、
単に家政婦さんのように淡々と身の回りの世話をしているだけで、
感情が見えてこないのが不思議。
作家が舞台にいない時間もあったのにもかかわらずにだ。

そういう意味で、ラストは元の弔辞に戻るにしても、
何かもうひとつ欲しかった。

観終わり、客電が点いて、
さて、自分はこれを観て何を持って帰ればいいのだろうかと思った。

ただ、ひとつ言えるのは、年齢を重ねた今、自分のことを考えると、
あんなふうにすっきりと、スマートに、
そして達観したように死んでいくというのはうらやましいとも思う。
それはある意味メルヘンではないかと思ったのだ。

病室の西日の照明がとてもよかった。
冒険王

冒険王

青年団

こまばアゴラ劇場(東京都)

2008/11/15 (土) ~ 2008/12/08 (月)公演終了

満足度★★★★★

モラトリアムはうらやましいけど(たぶん)終わりがある
芝居が進むにつれて、一人ひとりが魅力的に見えてきて、
そんな彼ら中にいたいと思わせる。
こんな感じならば、旅をするのも悪くない。
悪くないどころか、とってもうらやましい。

彼らへのうらやましさは、モラトリアムのうらやましさだ。
旅というある種の「言い訳」の中で楽しくモラトリアムな時間を過ごす人たち。
観ていて、「ああ、若いときに旅に出ればよかった」と思った。
ま、言い訳があってもなくても、どこにいても
同じと言えば同じなのだが。

同時多発的に交わされる会話の中にいると、
まるで同じ安宿のこちら側に座っているような感覚が襲う。
それは、入口に立ち挨拶する人に、
うっかりしていると「行ってらっしゃい」と
声を掛けそうになるぐらいの感覚だ。

ネタバレBOX

安宿に集まる人たちは、若くて楽しげ。
しかし、かつての仲間が婚約者と現れたり、
仲間の妻が現れたり、という現実がジワジワとやって来て、
旅の中で忘れてきたつもりの、日本に置いてきたはずの
現実がイスタンブールのこの場所まで追いかけてきて、
自覚のある者の背中をヒリヒリとさせている。

それは、イスタンブールにいなくても、
ある時期に自分も感じていたヒリヒリ感。
「後がない」という感覚。

ラストの唐突の旅立ちは、
そこからさらに逃れたいという願望ではないだろうか。
しかし、どこに行っても
彼をどこまでも現実は追いかけていくのだ。

蛇足的に少し残念だったのは、
最後に訪れるカップルはかなり汗をかいていたのだが、
そのほかの人たちに、気温を感じなっかったことだ。
七人は僕の恋人

七人は僕の恋人

大人計画

本多劇場(東京都)

2008/11/08 (土) ~ 2008/12/07 (日)公演終了

満足度★★★★

35年後もこのままやっていってほしい
「普通に」と枕詞として書いてしまうぐらいに
普通に楽しんだ、笑った。

演じている自分たちが一番楽しんでいるように
見えているところ、
というか、楽しんでいるように
「見せて」いる(たぶん)ところが好ましい。

ネタバレBOX

デビュー35周年のズッキーとおんなじに
こんな感じでずっとやっていってほしいと思った。

ただ、ラストは、中学生コントに戻るのかと思っていたが
そうではなかったし、各コントのつながりは? 
なんて考えて観ていた自分がバカらしくなってくるぐらいの
どーでもいい感も好ましいと思ったりした。

ああ、でもズッキーの唄はちょっと長かったなあ。
鳥のまなざし

鳥のまなざし

ポかリン記憶舎

シアタートラム(東京都)

2008/11/27 (木) ~ 2008/11/30 (日)公演終了

満足度★★★

とても上品な怖さ
動きや台詞や衣装まで、なんか上品なのである。
照明も音響もかなり上品。
でも、舞台の上では辛い思いをしている人がいる。
そこの怖さを感じた。
黙って見つめる観客の眼の怖さも。

いろいろな場所で発せられるコトバの位置や、大きさなど、耳が敏感になる舞台だった。

とてもとても個人的な感覚なのだが、集中が途切れてしまうところがあった。
それが残念。

ネタバレBOX

舞台の周りにコの字のように座席が配してある。そこにはすでに役者さんたちがいるのだが、気になってしまうのは、自分の正面に座るお客さんたち。

芝居が始まれば、(照明の効果もあったりして)そのお客さんの気配も自然と消えていくと思ったのだが、気配が点いたり消えたりして、完全に集中できなかった。
もちろんこれは人が気になってしまうという、私の個人的な感覚のせいなのだと思うが、それが最後まで尾を引いてしまった。

ついてない女性と自分の記憶が正しいのかどうか不安になっていく男が並行して出てくる。この2人が、どうやって交錯していくのかということに興味を持ったのだが、結果的には「え?」だった。
その先にこそストーリーが待っているのではと思った。
沈黙の感じはとてもよかったのだが。

いろいろ刺激的だったのだが、劇場に足を踏み入れたときの期待はやや燻ってしまった。

入口付近は、客席や舞台よりかなり上の位置にあり、その位置から、客席の様子を含めて観劇できたら(まさに「鳥のまなざし」で)、たぶんもっと楽しめたのではないだろうかと思った。
すてるたび(公演終了)

すてるたび(公演終了)

五反田団

アトリエヘリコプター(東京都)

2008/11/15 (土) ~ 2008/11/25 (火)公演終了

満足度★★★★★

笑いながら(悪)夢を巡るたび
夢というのは、いろんな記憶が予期せずにやってくる。例えば、トイレに座っていると思っていたら教室の自分席だったとか、ずっと話をしていたのは、カトウくんかと思っていたら、サトウさんだったとか、一見脈絡なく空間や時間をネジ曲げながら続いていく。
熱っぽいときの夢だったりすると、それは速く目の回るような回転のようなときもある。

そんなことを観ながらフト思ったりした。自分にとっての悪夢は、他人から見れば、結構笑えたりするのではないかとも。

弟の(悪)夢のような体験は、観客からの視線だと笑ってしまう。本人は、全身に汗をかき必死なのに。
もがいてももがいてもどうにもならないような夢、暗い穴に落ちてくような夢なのに、笑ってしまう。
弟の(悪)夢の原因は、一体なんだったのだろうか。

他人が巡る(悪)夢を、爆笑しながら一緒に進むたびだった。たまに弟に同化して、やけに息苦しいときもあったりするのだが。

でも、汗をたくさんかいて目覚めれば、熱はひいているかもしれない。

五反田団は、これからもずっと観ていこうと雨の中思った。

ネタバレBOX

シンプルな舞台美術だからこそ見事にイメージが膨らむ。

黒い大きなタロウが出てきたあたりと、海の水が満ちてくるあたりは悪夢の絶頂期であった。

「海の中」から始まって、海で終わるサークルは出来過ぎのような気がしたし、ラストの台詞も、想定内だったような気がしないでもないが、悪夢は続かず目覚めたのだと、勝手に解釈した。
昭和島ウォーカー

昭和島ウォーカー

パルコ・プロデュース

東京グローブ座(東京都)

2008/11/02 (日) ~ 2008/11/23 (日)公演終了

満足度★★★★

笑いながら学ぶ生産管理の基礎
普通に(ちょっと豪華な)ヨーロッパ企画だった。
「インテル」は観てないのだが、ここまで美術などにお金をかけずに、チープな感じでもこの面白さは変わらないのでは、とも思った。

内容的には、「5S」だの「マジメ」だのといった生産管理や品質管理にかかわるような用語説明が、実に丁寧にされていて、このまま生産現場用の研修ビデオになるのではないかと思ったほど。そう思いながら観ているとちょっと苦笑してしまった。

そんな内容だったが、お客さん(ファン・・たぶんジャニーズの)のなんと温かいこと! 楽しむつもりでやってきて、きちんと笑ってくれる。一緒に観ているこちらも、肩の力を抜いてそんな温かい波に乗ることができれば、普通に笑える(爆笑ではなくて)のだ。

そんな、あくまでもヨーロッパ企画の舞台として観た。

ネタバレBOX

本末転倒かもしれないが、ヨーロッパ企画に今回初参加の新人さん(あえてそう呼ぶ)は、誰が演じてもよかったような気がした。「この人がこの役でないと、やっぱりダメだな」ぐらいな感じがあれば、かなりよかっただろう。

ただ、そのおかげで、劇場は満席で、毎回(たぶん)スタンディングオベーションが起こり、出演者たちのモチベーションアップにつながっているのではないかと思う。

でも、日経新聞の評(ひどいネタバレあり)や同新聞の別の日にあったコラムの「テレビ局でも注目」みたいな記事を読むと、そんな初参加の新人さんたちの力を借りずに、この規模の会場を連日満杯にできる日も(・・・連日は無理かな)近いのではないかと思った(・・・さすがに毎回スタンディンオベーションはないと思うけど)。

あうるすぽっとを結構一杯にしていた(全部の日かどうかはわからないが)「ゴーレム」と、この「昭和島」は、ひょっとしたらヨーロッパ企画のターニングポイントの年(演目という意味ではなく)の狼煙かもしれないとも思った。

このチケット料金はかなり高いと正直思う。その分★は減るところだが、それなりに楽しめたのでそのままにした。
さらにイトウさん(ex.ロボピッチャー)の音楽も楽しんだということも加味した上での★の数である。
黄金の猿

黄金の猿

劇団桟敷童子

ベニサン・ピット(東京都)

2008/11/21 (金) ~ 2008/12/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

観劇の快楽に溺れてしまう
かなり期待して劇場に向かった。
ベニサン・ピットに着いて、劇場内に入ってその期待はさらに大きく高まった。

そして、暗転&開幕。
いきなり最初からヤラれた。
後は、身も心も劇の中に、気持ち良くさらわれていった。
大きく膨らんだ期待を、さらに大きく上回る力強さが舞台から「どーん」と押し出してくる。それはたぶん演じている人や美術やそういった、すべての要素の気迫のようなものだ。

こういう素晴らしい舞台を見てしまうと、脳内に快楽物質が大量に発生し、それが全身に染み渡り、煮えたぎって「もっともっと舞台を見たい!」「またお芝居を見に行きたい!」という気持ちになってくるのだ。

観てよかった!

ネタバレBOX

冒頭にガラが登場する、タイミング、発声、これには「ああ、いい芝居になるな」とゾクゾクした。

演じる者の誰もがそこで生きている、そしてその絡みも、見事。
さらに、冬の舞台に似合わない、大掛かりな仕掛けと美術にも大満足。

ラストのもう一押しあった見事なシカケ。パアっと花開くような美しさ。若手公演で観た「ぱひよん」に近いイメージなのだが、美しいものは美しい。・・・できれば風車は全部回っててほしかったけど。
賊

劇団6番シード

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2008/11/14 (金) ~ 2008/11/24 (月)公演終了

満足度★★★★

熱く突っ走る3時間は長いか短いか
どんなにいい舞台でも、2時間半を超える上演時間のものは、観るのをちょっとためらってしまう。休憩を挟んでも、お尻が痛くなったり、観た後、どっと疲れが出てしまうという年齢なので。

そして、この「賊」の上演時間は、なんと3時間だと言う・・・。
それを聞いて、「うーーん」と少し思った。

が、実際に劇場で観たのは、緩急をリズム良く織り交ぜながら、場面展開スムーズな演出の見事さだけでなく、大人数の役者の誰もが全身を熱くたぎらせ、時間をまったく感じさせない素晴らしい舞台だった。
そもそも時間のことなんて気にするほうが間違っていたようだ。この感じだったら休憩時間なしでも突っ走ってほしいと思ったほど。

話の行方(決着)も気になったが、それより、この熱く濃い舞台自体に釘付けになった。面構えもいいし、役者が輝いてみえたのがこの舞台の最大の魅力だったとも言える。

そして観劇後の疲れはなかった。

ネタバレBOX

劇場内を所狭しと使い、それだけでも飽きさせない。
例えば、3つの場所で同時進行で起こる出来事は、舞台の下手・上手・奥の3つのパートに分けてスポットを当てることで表現することが多いと思う。しかし、この舞台では、それをスムーズな場面展開で舞台の全体を広く使っていた。大人数が舞台に出たり入ったりを繰り返すことは、下手をすれば、もたもた感が出てしまうのだが、最初から最後まで、隙なく観ていて気持ちがいいほどのスピード感だった。
そして、見せるところは、いいテンポにぐっと抑える。

劇中歌も流れを止めてしまうことがあるのだが、こちらもアップテンポとミドルテンポの曲が全体のいいアクセントになっていて、効果的であったと思う。

最後までポテンシャルが落ちず進むのだが、いい意味で魅力的に思える登場人物が多く、観ている側は、どこにどう感情移入してよいのかを迷うのではないかと思う。
それが、ラストの決着の仕方への感じ方の違いとなってくるのではないだろうか。
いいラストだと思うが、例えば、姫視点で物語を観ていたのならば(そういう構造になっていたのならば)、姫の決意がもっと迫ってきて、ラストの感じ方も違っていたのではないだろうかとも思った。

しかし、このテンションで今日は2公演というのは、凄すぎ。
蟻のごちそう~The Feast of the Ants

蟻のごちそう~The Feast of the Ants

劇団夢現舎

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2008/11/08 (土) ~ 2008/11/09 (日)公演終了

満足度★★

うーん・・・・・
・・・・・うーん・・・・・
何と言ったらいいのか・・・
一言で言うと、どうも私のところまで舞台で発せられているはずの「熱」のようなものが届いてこなかったようだ。
なんとなく、舞台の上だけでいろいろ起こっているだけで、ぼーっと見ていた。ちょうど音を消してTVを見ているような感覚。
始まるまでの高揚感は一体どこへ・・・。
全体(衣装・美術)から醸し出される雰囲気はいいんですが。

ネタバレBOX

あちらで上演するために、いろいろな工夫をしているのはよくわかるのだが、どうやらその「いろいろな工夫」が「主」になっているように感じてしまった。文字をいろいろな方法で見せたりとか。でも、特別、ストーリー的に「文字」にこだわっているわけでもないし、あくまで、ストーリーを追わせるだけの工夫でしかないように思えてしまう。
女性の翻訳ナレーションの口調とか声のトーンが、新幹線の車内で流れる到着案内によく似ていたのは、どうなんだろうか。
始まるまでに、役者たちがうろうろ、ブツブツつぶやいていたり、提灯が飾ってあったりという導入には期待感が高まったのだが、それは徐々にしぼんだ。全体の雰囲気からはもっとドロドロした猥雑さを期待したのだが、それはほとんどなく、かといって、スマートでもない。
広い舞台をわざわざ狭くして使っているとしか思えないのもイマイチ。それも、意図して狭く使っているようでもないし(もちろんラストは別、というか、そのラストのためにも奥行きや左右の幅を感じさせてほしかった)。
ただ、前のほうに座っていた観客の中には、実にいいタイミングで笑ったり反応をしている方が若干いたようだが、その人たちが関係者でないのであれば、この雰囲気に満足している人もいるのかもしれない。
最後まで見ててわかったのは、どうやらこの劇団は、たぶん狭い、役者の息や汗が身近に感じられるような、ギュッと詰まった空間で見ると、結構いいのかもしれないということだ。次回は、高円寺の狭い場所での上演らしい。それを見たらわかるかもしれないのだが・・・。
『リズム三兄妹』 / 『はやねはやおき朝御飯』

『リズム三兄妹』 / 『はやねはやおき朝御飯』

岡崎藝術座

こまばアゴラ劇場(東京都)

2008/10/30 (木) ~ 2008/11/10 (月)公演終了

満足度★★★★

えーっ!
えーっ!
えーっ!
えーっ!
ワハハ

えーっ!
えーっ!
えーっ!
ワハハ

これがリズム正しい生活だ。

ネタバレBOX

始まってから、「一体どんな展開になるのか」はたまた「このまま行くのか」とジリジリして観ていたら、[えーっ}という展開に。
時間や空間をネジるのは、舞台では当然あることなのだが、このネジれ方はえーっであった。巣恋歌が出てきたときにも「えーっ」と思い、その後のネジれにも「えーっ」というかワハハ。

ショウコの怪演ぶりと利頭夢子が素晴らしい。
だから、えーっとワハハが混在していた。

そんなこんなで、巣恋歌CD(500円也)を購入。

そして、アゴラのエレベーターがあそこにあるのを初めて知った。
0号

0号

ゲキバカ

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2008/10/30 (木) ~ 2008/11/04 (火)公演終了

満足度★★★

不覚にも涙
戦中の設定ということで、ややベタなストーリーで、先の展開も読めてきたのだが、やっぱり泣けてしまった。当方が年齢的に涙もろくなってしまった、ということもあるかもしれないが、言い訳を書くと、周囲でも目頭を押さえている人(若者でも)がいたよ、と付け加えておく。

初日だったせいか、なんとなく全体が固く感じられ、笑えるはず(たぶん)の部分でも笑えず、全体的には笑いが思ったよりもかなり少ないのが、非常に残念であった。結構笑うつもりで来ていたので。

また、いろいろと盛りだくさんで、飽きさせない工夫をしていたり、誰にでもわかるように丁寧に説明していたりしていたのだが、それによって全体が長く感じてしまった。

期待が大きすぎたのかもしれない。
ただ、「また、コーヒー牛乳観たい?」と聞かれれば、「うん、観たいかも」と答えるだろう。

ネタバレBOX

「やんす」とか「剣ちゃん」のキャラは、話を面白くするための設定だと思うのだが、どうもそれが見ていて少し「辛く」感じてしまった。コーヒーファンにとっては楽しいキャラ設定なのかもしれないのだが。
びっくり校長先生

びっくり校長先生

動物電気

駅前劇場(東京都)

2008/11/01 (土) ~ 2008/11/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

笑いの四十八手で責め立てられた
席のお隣さんやご近所さんとは違うタイミングで笑いが起こっていたところもあった、ということは、それぞれに違う笑いのツボまでも刺激されていたということで、ワンパターンの笑いの責めではないことがわかる。
役者さんたちの息もぴったり合い、それも気持ち良いし、さらに笑いにも結びついているのだが、「しょーもないことや」「お下品なこと」も含めて、なんでもアリアリな姿勢は、サービス精神以上の何かを感じる。その一生懸命と汗が見事に爆笑をもたらす。
これでもかというぐらいの波状攻撃に遭い、にやにや顔のまま劇場を後にした。
ああ楽しかった。

ネタバレBOX

「面白いこと」をやるコーナーでは、他の出演者もニコニコ見ているだけで、突っ込みらしき突っ込みもないまま、突っ走る校長先生の無鉄砲ぶりは、ある意味命がけでもある。
うっかりすると観客よりもずっと先に走り出してしまい、ひとりぼっちになる危険性もあるからだ。観客は他の出演者とそれをどきどきしながら見守る。そして見事にやり切ったすばらしさと無謀さに、私は思わず、笑いと拍手を送ったのであった。
プラスチックレモン

プラスチックレモン

アマヤドリ

吉祥寺シアター(東京都)

2008/10/31 (金) ~ 2008/11/05 (水)公演終了

満足度★★★★★

ひとりひとりの宇宙がある
導入部から取り込まれ、台詞、表情、動き、美術、照明、音効で、エピソードが紡ぎだされ、物語がうねっていくさまに、どんどん飲み込まれていった。
そして、終わったときに、「あー面白かった」と素直に感じた。

ありきたりな感想かもしれないが、自分だったらどう受け止めるのかといろいろ考えた。観ているときにも、観終わってから帰宅しながも、帰宅してからも、そして次の日にも考えた。1万年は無限と同じようで同じではないな、とも。

ネタバレBOX

ちびっこドーナッツの2人は徐々に魅力的に見えていった。特に羽化のポジティヴというか、すべてを受け入れるという、はじけるような生命感、そして、射的の台詞が届いてくる、存在感が届いてくる力に魅せられた。

それぞれの宇宙(空間)に行く彼らには、やはりそれぞれの宇宙(人生)があるのだな、という感想もちょっとありきたりかもしれないが、しみじみと思った。

これでラストだな、と思った後が少し長いなと感じたのも事実。ただ、その部分が長く感じたのは、作者としても、それ以上に「まとめ」たくなかったからではないだろうか、とも後から思った。

・・・ダンス的部分のところには、もう少しキレが出ると申し分ないのだが。
神社の奥のモンチャン

神社の奥のモンチャン

ゴジゲン

しもきた空間リバティ(東京都)

2008/10/25 (土) ~ 2008/10/29 (水)公演終了

満足度★★★★

ゴジゲン自体がモンチャンかもしれない
舞台で醸し出される雰囲気は、どことなくほのぼのしており、かなり波長が合ったかもしれない。
舞台の上で、ワサワサというか、モゴモゴというか、そんな感じの(それも面白かったのだが)前作「サムライキッチン」(短編だから比べようがないのだが)よりもこっちのほうが自分には合った。
ちょっと笑って、少ししんみり(爆笑&号泣ではなく)・・・そんな感じ。
なんとなく、次回も観たくなった。

ネタバレBOX

結末がどうしても納得いかない。もっと温かい終わり方もあったのではないかと思うのだ。それだけで星は確実に1つ減るはずなのだが、モンチャンの存在がなんとも言えず、星の数はこのままにした。
SePT独舞vol.19 東野祥子

SePT独舞vol.19 東野祥子

世田谷パブリックシアター

シアタートラム(東京都)

2008/10/23 (木) ~ 2008/10/26 (日)公演終了

満足度★★★

(ちょっとした)スペクタクルを感じた
静寂を一点に集めるような静と破裂するような動の切り替わりがいい。
熱く、ぐっと伸びる手足が美しい。
シンプルながらセットや照明がとても効果的だった。
できれば、全体を見渡せるような席でも観たいと思った。

ネタバレBOX

オープニングの鶏が気になってしょうがなかった。
セットがなくなってからのほうが迫力を感じた。
おわりのいろは

おわりのいろは

ホチキス

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2008/10/17 (金) ~ 2008/10/26 (日)公演終了

満足度★★★★

満足!
話の広げ方とその収斂のさせ方がなかなかだった。演じる役者もテンポよく、キャラの立たせ方が良い。
やや長時間だったがまったく飽きさせず、笑いも要所要所にちりばめられ、舞台に見入った。
観終わって、気持ちよく会場を去れた。そして、ホチキスは好きな劇団になった。

ネタバレBOX

チラシのイラストはあまりにも内容とかけ離れているように思えるのだが。
また、アフタートークがあったのだが、終演の時間を考えると(残った人の数を見ても)、やる必要があったのかな? と思った。
アポカリプス

アポカリプス

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2008/10/17 (金) ~ 2008/10/19 (日)公演終了

満足度★★★

呼吸が音楽
イズマエル・イヴォのすーはーという息づかいがホールに響き、これも音楽なんだなと。そして加古隆が立ち上がり、歩き回る様はダンスなのかもしれないと思った。
「アポカリプス」のCDを聞いていた者にとっては、アルバムジャケットに写っている写真を観て、どのような舞台だったのか気になっていたのが、観られただけでも満足だった。
終盤の激しさには結構ヤラレた。

ネタバレBOX

この内容に対して、場所が大きすぎではないだろうか。もっと小さいところで観るべきものと思った。
それとは別に、後ろのほうはガラガラといっていいほど空いていた。
from the notebook(東京公演)

from the notebook(東京公演)

いいむろなおきマイムカンパニー

こまばアゴラ劇場(東京都)

2008/10/21 (火) ~ 2008/10/26 (日)公演終了

満足度★★★★

ディティールへのこだわり、視点の変化
パントマイムというだけでなく、ダンスの要素も感じた。
幻想的であったり悪夢であったり、さらに笑いもあったりしてイメージが膨らんだ。

ネタバレBOX

机が消え、パントマイムが始まるというオープニングに感心。
手を使った文字にも。
金魚、家具、腕の輪の話が好みだ。

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