もっと見る (公演終了・御来場御礼) 公演情報 殿様ランチ「もっと見る (公演終了・御来場御礼)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    ある意味メルヘンかもしれない
    主人公を取り巻く人々の姿が
    とても丁寧に描かれていて、最初から引き込まれた。
    ただし、・・・ネタバレへ

    ネタバレBOX

    目の前に迫る死を巡る話なのに、
    なんかきれいで、かなりすっきりしている。
    死に行く作家の肉親が出てこないからだろうか。
    (唯一の家族は亡き奥さんの連れ子だし)

    死に対する恐れのようなものが感じられないことに、やや違和感を感じた。
    「受け入れた」と言われても、やはり恐れがないとは思えないからだ。
    ここまで、きっぱりと「受け入れることができた理由」が
    判然としないからだろうか。
    死にいく人自身やそれを取り巻く人のホンネが見えてこないように思えてしまう。
    取り巻く人たちが、仕事での付き合いだけだからか。
    例えば、ビジネスライクな感じがホンネなのであろうか。

    最期に自分を見舞いにきた仕事の付き合いの人たちや病院の関係者に、
    死を目前にして、なお作家である自分という「虚構」を見せたのであれば、
    (・・そこが「からっぽな人生」だったのだろうか)
    やはり、ホンネの自分を観客にどこかで見せてほしかったと思うのだ。
    例えば、カメラクルーがカメラを回しているときと、
    止めているときのような差のある姿が。
    その、オン・オフの仕掛けが話の中にあるだけに、
    それを利用してホンネを見せられたのではないかと思う。

    娘も血がつながっていないとはいえ、
    単に家政婦さんのように淡々と身の回りの世話をしているだけで、
    感情が見えてこないのが不思議。
    作家が舞台にいない時間もあったのにもかかわらずにだ。

    そういう意味で、ラストは元の弔辞に戻るにしても、
    何かもうひとつ欲しかった。

    観終わり、客電が点いて、
    さて、自分はこれを観て何を持って帰ればいいのだろうかと思った。

    ただ、ひとつ言えるのは、年齢を重ねた今、自分のことを考えると、
    あんなふうにすっきりと、スマートに、
    そして達観したように死んでいくというのはうらやましいとも思う。
    それはある意味メルヘンではないかと思ったのだ。

    病室の西日の照明がとてもよかった。

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    2008/12/11 16:05

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