1
クチナシと翁
ホエイ
(ああ、人間がいるなぁ……)と思った。
ロマンスもアクションも音楽もなく、ただ人と人が言葉を交わす、それがこんなに面白い。
観ているうちに、言葉にならない思いがじんわりと胸を満たす。芝居の醍醐味とはこういうものかもしれない。
拝見できて本当によかった。
2
雑種 小夜の月
あやめ十八番
このシリーズを観ると、とりあえずお団子が食べたくなる。それくらいあのお団子屋さんの人々が素敵なのだ。
懐かしい曲とともに始まる小堀家の朝のルーティンにも8年の月日を経てさまざまな変化があり、その様子だけでもう胸が熱くなる。
舞台上で交錯する現在と過去。描かれる人の暮らしの確かさがじんわりと身にしみる。
3
明晰夢
ムケイチョウコク
六本木の本屋さんで出会う不思議な物語。イマーシブシアターならではの驚きと感動を味わえる作品だった。
形式や場所だけでなく、物語の中で生きる人々(や人ならざるもの)との関わりの深さにより、自分にとって大切な時間となった。
4
ドリル魂2024
公益社団法人日本劇団協議会
14年ぶりの轟組に、最初の曲からテンションだだ上がり。
工事現場で描く不器用なヤツらの汗と愛とエネルギーに最前列でどっぷり浸った。それぞれのパフォーマンスも見事で見どころ多く、あっという間の約2時間。
オススメです。
5
オデッサ
ホリプロ
いやぁ、ホント面白かった!
言葉とコミュニケーションを真ん中に据えて、こんなに笑える舞台になるなんて。
いや笑いだけでなく伏線も緊張感もキレイに折り込まれて、しっかり楽しめる1時間45分だった。
追加席の補助席で前方下手側の端だったけど、舞台が近くキャストの表情もよく見えて大満足。
6
ミセスフィクションズのファッションウィーク
Mrs.fictions
それぞれテイストの異なる3つの作品を「ファッション」をテーマにつないだ約130分。3団体ともに笑い多めだけどテイストはそれぞれ違って、キュートだったり不穏だったり切なかったり。
3つの短編だけでなく全体の構成や美術、グッズ展開に至るまで「ファッション」へのこだわりを感じさせて楽しい。
そして自分はやっぱりMrs.fictionsが好きなんだなと改めて思った。
7
はんなま砦は夜更けまで
大統領師匠
不穏なラストを含め、めちゃ面白かった。
中世ヨーロッパっぽい雰囲気のファンタジーかと思えば、まったく異なる世界観の枠組が見えてくる。奇想に溢れた物語、愛すべき登場人物たち、意表をつくガジェット、さまざまな仕掛け。細部まで作り込まれ、ついリピートしたくなるような作品だった。
8
ピローマン
新国立劇場
観てきた方々の感想を読んで足を運んだ作品だが、観に行って本当によかった。あらすじとか感想とか読んでもたぶん観なくちゃわからないヤツ。残酷さとダークなユーモアと、そして生きることの痛みも希望もそこに確かにあった。
そしてこれもまた物語についての物語だと思った。
戯曲とキャストが上手過ぎてちょっと腹立つくらい(!)だった。
9
て
ハイバイ
繰り返し上演されている名作だが、自分としては初見。拝見できてよかった。
重めの内容かと思ったら、いや重めではあるんだけどそれを軽やかにある種テクニカルにそして細やかに描いていて引き込まれた。笑うどころではない切実な話のはずなのに、本当に面白かった。以前の演出がどんなだったか観てみたくなった。
10
Proof
カヌーは川の上
好きな戯曲なので異なる演出で(今回含め)5バージョン拝見しているが、もしかしたら1番好みかも。
ハルが今まで観た中で一番数学者っぽかったりと、全体に解釈一致という印象だったことや、こじんまりした会場の使い方もよかった。翻訳も今っぽくてすんなり入ってきた。