kikiが投票した舞台芸術アワード!

2023年度 1-10位と総評
人魂を届けに

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人魂を届けに

イキウメ

実演鑑賞

ほとんど静かな会話だけで綴られる物語に惹きつけられ、会場中が息を呑んで成り行きを見守った。日々魂を削られ続けるこの世界。寓話風な雰囲気なのに奇妙なほど身につまされた。観ることができてホントよかった。

未開の議場 2023

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未開の議場 2023

萩島商店街青年部

実演鑑賞

2020年のオンライン版がとてもよかったので楽しみにしていたが、期待を余裕で上回る面白さでテンションが上がった。
そりゃあ、よく出来た戯曲をあの魅力的な顔ぶれでやるんだもの、面白くないワケがない。
それぞれしっかり見せ場のある会議劇でキャスト皆さんの魅力が十分に生きた。

笑の大学

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笑の大学

パルコ・プロデュース

実演鑑賞

本当に面白かった。たくさんの笑いをテンポよく見せる2人芝居の呼吸が気持ちいい。たくさん笑ったあとで、温和そうに見えた椿の真意の吐露と翌日の向坂の言葉の切実さが胸に響いた。
戦争に奪われる大切なもの。困難なときにも人々が物語や音楽や笑いを求めること。登場人物に託した書き手の矜持と意志が客席にもしっかりと伝わっていた。

漂流する万華鏡【10月公演】

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漂流する万華鏡【10月公演】

ムケイチョウコク

実演鑑賞

イマーシブシアターというタイプの作品で、登場人物または黒子として物語の中を主体的に生きる体験が大変に刺激的だった。
一度だけのつもりがついつい追いチケして計4回。物語の雰囲気もキャストも魅力的で、病みつきになる作品だった。

六英花 朽葉

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六英花 朽葉

あやめ十八番

実演鑑賞

無声映画からトーキーへ。時代の波に逆らうのか、流されるのか。それぞれの芸と矜持に迷う人々の葛藤に巻き込まれる。
物語の構成も台詞もキャスト陣の魅力も楽隊の活躍も、あやめ十八番の真骨頂。あー私はコレが観たかったんだ、と思った。

15 Minutes Made in本多劇場

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15 Minutes Made in本多劇場

Mrs.fictions

実演鑑賞

6つの団体による15分の短編6つ。どれも身体に沁みわたる芝居たちだった。
15mm初めてという観劇仲間が「すごく面白かった!豪華過ぎ!」とおっしゃっていてうれしかった。あと6団体の上演順が絶妙だった。
ロビーのポスターやステージ美術を見て、主催の挨拶を聞いてる時点でもう感無量だったのは、15mm自体に思い入れがあるからだろう。そういう観客も多い気がする。マチネとソワレでお目にかかれた方も残念ながらお会いできなかった方もたくさん劇場にいらっしゃったらしい。お芝居が好きな我々のお祭りだと思った。

兎、波を走る

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兎、波を走る

NODA・MAP

実演鑑賞

チケット確保で散々振られまくったNODA・MAP『兎、波を走る』を当日券で観た。
野田氏らしい疾走感と遊び心、メリメリに詰め込まれた多彩なガジェットが、中心となる題材を取り巻き揺り動かしていくのを振り落とされないよう見守る約2時間10分。
「ここでこの話を終わりにしないで」というフレーズの意味。詩的な言葉遊びの底に切れ味鋭い刃物のように仕込まれた事実。
高橋一生さんの軽やかな悲劇性が物語を牽引した。

無駄な抵抗

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無駄な抵抗

世田谷パブリックシアター

実演鑑賞

電車の停まらない駅。芸をしない大道芸人、占いをやめた占い師。円形劇場めいた駅前広場の美術。登場シーン以外も傾斜面の段差に腰掛けて物語を見つめる登場人物。夜ごとの夢。悲劇の合間に綴られるユーモアとペーソス。
様々な寓意を重ねて描く小さな街の物語は、行き交う人々の誇りや決意を細やかに映し出していく。本当に抗うべきは運命ではなく人間の理不尽さなのかもしれない。
そして何よりキャストが皆さん本当に魅力的だった。

『泉鏡花の夜叉ケ池』

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『泉鏡花の夜叉ケ池』

花組芝居

実演鑑賞

劇団の代表作のひとつである作品で過去公演も何度か拝見しているけど、変わらないところも変わったところも愛おしい。万年姥に諭され眷属たちも去ったあと、白銀の鱗を翻して一人舞う白雪の美しさが印象的だった。
学円だけがBGMが流れるたびに訝しそうな反応するのを見て、つい笑ってしまうけど、あれは彼だけが物語の外から来た存在だからなのかな、と思った。そう考えると晃ももう物語から抜けだせないんだな、などと、戯曲の行間に詰め込まれた花組芝居らしさを堪能した。

ブレイキング・ザ・コード

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ブレイキング・ザ・コード

ゴーチ・ブラザーズ

実演鑑賞

Twitterで見かけた感想を読んで急遽チケットを予約した。
に観に行ってよかった。ホント面白かった。チューリングって、あのチューリングか!と途中で気がつく(まあ、あの、というほど詳しくはないけど)。
なんていうか、共感するとかしないとか以前に(ああ、人間がいるなぁ)と思った。彼の目指したものの実現が近づいているなぁ。

総評

家庭の事情やその他の都合であまり劇場に出かけられない時期もあったが、それでも多くの魅力的な作品と出会えたことに心から感謝したい。
先のことはわからないけど、できることなら好きな舞台を見に行ける日々が続きますように。

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