魔法処女☆えるざ(30)
劇団だるめしあん
王子小劇場(東京都)
2016/09/15 (木) ~ 2016/09/19 (月)公演終了
満足度★★★★
明るいエロが可愛く光る
「処女」と「セックス」とかエロいキーワードが満載なのに、イヤらしくなくなるほど馬鹿馬鹿しい設定が見事である。役者陣の人物造形が少し不十分な印象はあるものの、とにかく男女とも可愛く描かれているのは、坂本鈴の脚本の勝利と言える。
DISGRACED ディスグレイスト 恥辱
パソナグループ
世田谷パブリックシアター(東京都)
2016/09/10 (土) ~ 2016/09/25 (日)公演終了
満足度★★★★
タイトな会話劇
人は自分の出自(民族・宗教・肌の色・文化)にどれほど囚われているのか、をしっかり見せる105分。アメリカという国の状況を肌で感じることができない自分にとって、どれだけリアリティがあるのかと言えば、アメリカ人が観るのと違う立場にはならざるをえないけれど、それを乗り越えてタイトな舞台になっていた。と同時に、イスラムだけが特別な差別の対象になっている、という主張もあるように見えて、これは作者がイスラム系の出自だからだろうか、とも思う。
明るい家族、楽しいプロレス!
小松台東
駅前劇場(東京都)
2016/09/06 (火) ~ 2016/09/11 (日)公演終了
満足度★★★★
淡々とエキサイティング?
80年代頃の宮崎の、ある家族の物語を、ある意味で淡々と表現する。それをプロレス好きの小6の弟の視点で語る。いろいろと事件は起こるけれども、何かの物語があるというより、日常を素直に語っているような感じ。異儀田の母親や瓜生の父親など、それぞれの年齢になったのだなぁ、と感慨が深いが、祖父役の永山の存在は大きい。
日々ルルル
泥棒対策ライト
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2016/09/02 (金) ~ 2016/09/11 (日)公演終了
満足度★★★★
芝居テイストのダンス
大西智子出演というので観に行ったが、予想を越えて面白かった。何で今まで知らなかったんだろう。基本は日常的な動きをベースとしたダンスなのだけれど、一部で芝居的要素も取り入れる。全体に面白かったが、主宰の下司尚実に負う所が少し多い気がした。
緋色の刻印
激嬢ユニットバス
ワーサルシアター(東京都)
2016/09/07 (水) ~ 2016/09/11 (日)公演終了
満足度★★★
一寸ばかり焦点が絞り切れない
激バス・メンバーの南かおりが初の脚本・演出に挑戦、ということで、一応の及第点は得られただろう。本文の説明とは少し違った展開ではあったが、剱伎衆かむゐの力を借りて、時代劇エンターテインメントとしての殺陣シーンにも見応えがあるし、実は、的な最後の展開も面白い。ただし、3つのグループの混在が、ちょっと分かりにくい面もあったとは思う。その分、焦点は絞りきれていない気がした。
泡雪屋浪漫譚
あんっ♡HappyGirlsCollection
ザムザ阿佐谷(東京都)
2016/09/11 (日) ~ 2016/09/11 (日)公演終了
満足度★★★
この世界観は
大島朋恵出演ということで観に行った。伝説の縄師・有末剛の緊縛夜話シリーズだが観るのは初めて。今回は芝居仕立てで観やすい作りになっていたのではないか。ただし、芝居としては、それほどクオリティが高いとは言えないようにも思うし、縄を見せるのには物足りない感じが否めない。
嘘より、甘い
タカハ劇団
小劇場B1(東京都)
2016/09/07 (水) ~ 2016/09/11 (日)公演終了
満足度★★★★★
面白く怖い
古い喫茶店に、何かを信じさせようとする人々が集まる、という設定は興味深く、展開も非常に面白い。次々に起こる出来事と、その中で平静を保つ女主人(齋藤とも子)がキーとなるストーリーは見事で、高羽の面目躍如となる作品と言えそう。追加公演も当然と思える面白さ。
あなただけ元気
箱庭円舞曲
ザ・スズナリ(東京都)
2016/09/08 (木) ~ 2016/09/15 (木)公演終了
満足度★★★★★
箱庭らしい
派遣会社が除染や傭兵に派遣する人間を探す、という表面的に観れば社会派っぽいテーマながら、そこは古川らしく、しっかり人間関係の機微を描き、相変わらずの感触を持ち込んできている。社員同士の好き嫌いの変化や、細かいセリフの端々にも気を遣った脚本はていねいで、しかも、新たな劇団員の2人をしっかり使い、エンディングを任せているのは興味深い。本当に面白い作品だった。
ひなあられ
演劇ユニット「みそじん」
シアター風姿花伝(東京都)
2016/09/07 (水) ~ 2016/09/11 (日)公演終了
満足度★★★
勿体ない
登場人物の造型は分かりやすく、3姉妹の関係や物語の展開は悪くはないが、結局何をテーマにしているのか、正直言ってハッキリしていない。3姉妹の関係というか、次女の抱える少しの寂しさをテーマにしているように思えるのだが、それにしては登場人物が多過ぎて、エピソードの回収も巧くいっていない。役者陣はしっかりしたもので、与えられた役割を確実に自分のモノにしていると思えるのだから、脚本の不足ということだろうか。中島らしくない作品だった。
娼年
ホリプロ
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2016/08/26 (金) ~ 2016/09/04 (日)公演終了
満足度★★★
三浦演出炸裂
石田衣良の小説をポツドールの三浦大輔が脚本にして演出する。松坂桃李・高岡早紀・佐津川愛美などが出演することでプラチナチケットとなったが、演劇には珍しいR-15指定。それもそのはず、全編セックスシーンの連続である。娼夫となった主人公(松坂)と数多の女性とのセックスシーンを通して、性と生の問題を考えさせるというテーマ性は良い。あれだけあからさまにセックスシーンを演じなくても上演できそうなものだが、そこは三浦らしい作品作りと言えよう。特にセックスシーンで笑わせる、という技は三浦以外には考えられない。とは言え、物語の底は見えているので、エンディングも含めての意外性は少ない。
SHAKESPEARE IN HOLLYWOOD~ハリウッドでシェイクスピアを~
加藤健一事務所
本多劇場(東京都)
2016/08/31 (水) ~ 2016/09/14 (水)公演終了
満足度★★★★
初日に観ました
ラドウィッグでカトケンなので面白いだろうとは思っていたけれど、これほど面白いドタバタ型バックステージ物とは思っていなかった。シェイクスピアや、その他演劇・映画への知識をある程度要求されるけれど、それがなくても十分楽しめる。カトケンらしい、ハイクラスのエンターテインメントである。芸達者な役者を揃えているが、昨年は、少しおっかなびっくりの登場だった瀬戸早妃が、堂々たる役割を演じて見事だった。
『ウェルカム・ホーム!』&『ばら色の人生』
イルカ団!
ウッディシアター中目黒(東京都)
2016/08/30 (火) ~ 2016/09/05 (月)公演終了
満足度★★
下らない(誉めています)
『ばら色の人生』を観たが、一種のジェットコースター・ストーリーで、その間に細かいギャグを入れる。全体としては、とにかく良い意味で下らない。ただし、もう少しキーを握る人間を絞るとか、工夫の余地はいっぱいある。宣伝のせいか、あまり客入りが多くないのは勿体ないが、ギャグがスベったりするのも残念。
この町に手紙は来ない
monophonic orchestra
3331 Arts Chiyoda(東京都)
2016/09/02 (金) ~ 2016/09/07 (水)公演終了
満足度★★★★
何となく感じる
いつもの monophonic とは少し違って、時代性を感じさせてくれる。登場人物が同じ役割ではないのだけれど、少しずつ繋がっているという作りとか、不思議な感触に、何となく感じるものが残る。
大型
3.14ch
すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)
2016/08/25 (木) ~ 2016/09/03 (土)公演終了
満足度★★★
分からんけどスゴイ
『チベット死者の書』をベースに、「死後の裁き」をエンターテインメント的要素も入れつつ、表現したものらしい。正直言って分からないのだが、スゴイことをやってることだけは分かる。それに意味があるかどうかは、これまた分からないんだけど。
月の海
日穏-bion-
「劇」小劇場(東京都)
2016/08/31 (水) ~ 2016/09/04 (日)公演終了
満足度★★★★★
スゴイ芝居を観た
物語はよくあるタイプなのだけれど、凄く丁寧に作り込まれていて、無駄が無いのがスゴイ。どのエピソードも回収し、重い話なのだけれども、笑いを適度に折り込み、清々しく終わる。巧みな脚本にまず脱帽。さらに、その本を書いた女優が主演をしているというのが凄く、他の役者陣も細かい部分までしっかりと演じきっている。いまいゆかり、を、観に行ったのだけれど、新たな出会いに感激した。
七転三起
かわいいコンビニ店員 飯田さん
RAFT(東京都)
2016/08/26 (金) ~ 2016/08/28 (日)公演終了
満足度★★★★
切れ味鋭い短編集
4編の短編からなっているが、どれも傾向が少しずつ違っていて、それでいてクオリティが高いのは見事である。ただし、プロットに頼る傾向があるのか、セリフが練られきっていないのは惜しい。さらに、作・演出を兼ねて出演する鈴木が、セリフを丁寧に喋れていないのは残念でならない。面白いのに3日6ステージというのは勿体ない。
のんのんさん
A.I.Yプランニング
サンモールスタジオ(東京都)
2016/08/21 (日) ~ 2016/08/28 (日)公演終了
満足度★★★
面白い企画とは言える
同じ脚本(事実上の2人芝居)を3組のキャストで上演して競うというのは、企画としては面白い。脇役の俳優陣もそれぞれに役割を変えて、全部で8バージョンあるそうだが、全てを観るのが難しいというのが難点である。物語は、過去にも上演したことがあるそうだが、「いい話」であるとは言える。ただし、細かい暗転が多かったり、と、観ている上でのストレスが大きい。何より、20:30という開演時間のせいなのか、客が少ないことは、残念でならない。周知の方法を検討すべきではないか。個人的には、10年ぶりくらいに観る小代恵子の真当な芝居に満足したし、脇の森口美樹も楽しい。
窓
ハイリンド
【閉館】SPACE 梟門(東京都)
2016/08/23 (火) ~ 2016/08/31 (水)公演終了
満足度★★★
巧みだが少し焦点が…
役者だけの集団ハイリンドは、今まで既存の作品を上演してきたが、今回は早船聡の書き下ろし。地方の小さなスポーツ用品店の店主とその妻、その弟と、従業員の女に、その妹、と5人しか登場しないのだが、丁寧な作り込みで複雑な人間関係を描いてはいる。ただ、初日で固かったせいか、2人ずつの繋がりは見えるのだが、その軸や相互の関係などが今一つ見えてこなかった。いい話ではあるのだが、何かが足りない感じ、と言えばよいだろうか。惜しい。
無情
MCR
ザ・スズナリ(東京都)
2016/08/24 (水) ~ 2016/08/30 (火)公演終了
満足度★★★★★
切れてる
再演だそうだが、初演は観てない。やや奇抜な設定の物語が2つ、交錯しつつ展開されるが、それに違和感はなく、見事な展開である。そして、櫻井の特徴である台詞の切れが実に素晴らしい。「SEXは?」「できません」という会話で泣かせるなんていう技は、櫻井くらいしかできないだろう。
カミグセ 短編集Vol.1
カミグセ
STスポット(神奈川県)
2016/08/24 (水) ~ 2016/08/28 (日)公演終了
満足度★★★★
良質の会話劇短編集
つくにうらら、という奇怪な(誉めています)名前の作家が主宰する劇団の初の短編集。3つの物語が紡がれるけれど、どれも少しずつ雰囲気が異なりつつも、通底する独特の感触が魅力的だ。ただ、今回は物語に重点を置いたためか、私の好みのエッジが効いたセリフが少ないようにも感じた。とは言え、3話とも観終わって切なくなるのは作家の力量が為せる技だろう。