平田オリザ・演劇展vol.6
青年団
こまばアゴラ劇場(東京都)
2019/02/15 (金) ~ 2019/03/11 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/03/09 (土) 18:00
『忠臣蔵・OL編』Bチームを観た。会社の給湯室(?食事を摂る部屋)が舞台。そこで、OLらしい言葉で「殿」が切腹された後の対応を相談する…、という物語。確かに忠臣蔵らしい展開になっているのに、会話や時折混じる無関係の話題がOL風という、ある種シュールな展開だが妙な説得力があったように思う。OLの会話らしく、まとめをホワイトボードに書くのだが、それの書き方や添えられているイラストなどが興味深かった。
平田オリザ・演劇展vol.6
青年団
こまばアゴラ劇場(東京都)
2019/02/15 (金) ~ 2019/03/11 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/03/05 (火) 20:30
『隣にいても一人』Cを観た。ある朝起きたら夫婦になっていた、という不条理劇。会話は普通に続くのだけれど、なぜ、夫婦になっていたと思っているのかが分からないままに物語が進む。不思議な風合いの作品だった。役者が変わると、その風合いが変わるのだろうと予想できるのだが、このキャストは不思議感が続くメンバーだったなと思う。他のバージョンが観られないのが残念。
平田オリザ・演劇展vol.6
青年団
こまばアゴラ劇場(東京都)
2019/02/15 (金) ~ 2019/03/11 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/03/05 (火) 18:30
『思い出せない夢のいくつか』を観た。夜汽車で旅する、芸能人(兵頭久美)とマネージャー(大竹直)と付け人(藤松祥子)による、平田オリザ流「銀河鉄道の夜」という雰囲気の芝居。心地好い感触が残る抽象性の高い劇。
音楽劇『母さん』
俳優座劇場
俳優座劇場(東京都)
2019/03/04 (月) ~ 2019/03/10 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/03/04 (月) 18:30
素晴らしい舞台だった。詩人のサトウハチローの生涯を、母との関わりを軸に構成された音楽劇で、何度もいろいろな所で上演されているそうだが、初めて観た。いきなり、晩年のフォーク・クルセダーズ「悲しくてやりきれない」で始まり、世代的にジャスト・フィットの私は心を捕まれる。詩人として名を為したハチローが息子を叱る戦時中の場面から始まり、時間軸を大きく前後させて、ハチローの生涯を描く。また同じ役者がハチローの息子と若き日のハチローとか、ハチローの娘とハチローの母とか、いくつもの役を演じるのは巧い作りだと思うのだが、芝居を見慣れていない人には分かりにくいかも知れない。しかし、時折はさまれるハチローが作詞した歌が見事に場面にフィットし、役者陣もバランス良く演じていて、とても素敵な時間を過ごすことができた。使用曲のリストがあるのだが、終盤でリストに無い「悲しくてやりきれない」の3番が歌われたときには、ちょっと泣きそうになってしまった。いい作品である。観るべし。
サンカイ
やみ・あがりシアター
サンモールスタジオ(東京都)
2019/02/27 (水) ~ 2019/03/03 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/03/03 (日) 16:00
面白い舞台だった。7階建てのマンションの1階に住む市村家では、父が念願のガラス職人になるため離婚するという。婚約破棄されて戻って来た長女が焦る中、次女がかっていたペットの蛇が逃げ出す。捜索するために、マンションの各階を訊ねるが、それぞれが何かの別れを迎えていた…、という物語。3階だけ空き部屋で、タイトルはその意味が一つ。それとは別に、散会という意味もあり、それぞれの階での別れが一種のハッピーエンドになる。同じ間取りという設定を活かして、同時にいくつもの階の人間が混じって会話する作りなど、巧みな作劇が楽しく、役者もしっかりと演じていたと思う。
『ワンダーランド、跡地』
遠吠え
王子小劇場(東京都)
2019/02/27 (水) ~ 2019/03/03 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2019/03/03 (日) 13:00
不思議なファンタジーの作品だった。元「南の島」だったワンダーランドにあった民宿を改装した、シェアハウス的下宿が舞台。長く飼われていた犬のぽつりが死んで、7日毎に供養にパーティーをやるという。ちょうどその頃、新たな入居者としてやってきた藤倉にだけ、ぽろりの姿が見える……。消えていくもの、消えていないもの、等へのさまざまな思いを描くファンタジーとして、変わった感触を残してくれる舞台だった。
毒モ
くによし組
「劇」小劇場(東京都)
2019/02/27 (水) ~ 2019/03/02 (土)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/03/02 (土) 12:00
くによし組『毒モ』を観た。「異常で、日常で、シュール」を謳う國吉咲貴ならではの物語と演技はいつもながら面白い。國吉は、このくらいの長さの作品で真価を発揮するようにも思った。
『逆柱 ―追憶の呪い―』
鬼の居ぬ間に
小劇場B1(東京都)
2019/02/28 (木) ~ 2019/03/04 (月)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2019/03/01 (金) 19:30
ひたすらダークな芝居だった。本劇団を観るのは3作目だが、いつも時代がはっきりしないで始まる。本作では途中で「第1次世界大戦」というセリフがあり、大正期の出来事を昭和20年くらいから回想しているのだと分かるが、時代は登場人物の言動の必然性を決める上で重要なものだし、何故そんなことするの?、という疑問がいっぱいで観ている芝居というのはややシンドイ。エンディングは希望と絶望がないまぜになる終わり方で、巧いと思った。
世界は一人
パルコ・プロデュース
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2019/02/24 (日) ~ 2019/03/17 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2019/02/28 (木) 19:00
不思議な舞台だった。最近、ハイバイなど岩井秀人作品を観ていないのだが、路線が変わったというより、今回だけのチャレンジだったのだと思う。田舎町に育った3人(松尾スズキ・松たか子・瑛太)の子ども時代から高校生くらいまで、そして2人(松尾・松)が東京に出て、偶然に出会い、結婚し故郷に戻って瑛太と再会する…、という物語は確かに流れているのだが、抽象的なセリフや時間軸が不明になる場面などがあり、正体が掴み難い。生演奏を入れて音楽劇としたり、時に音とセリフを被せる手法を取っているが、そのことでやや冗長感が増したことは否めないように思う。
エーデルワイス
ブス会*
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2019/02/27 (水) ~ 2019/03/10 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2019/02/27 (水) 19:00
ブス会らしい芝居だったけど、毒は少なかったように思う。鈴木砂羽演じるマンガ家は、一発ヒットで有名になったが、最近は書けなくなっている。編集の高野ゆらこにいろいろ言われるけれど、なかなか書けない。自分のマンガを読み始める内に、実はそのマンガが私小説的作品であることが分かり、藤井千帆が鈴木の若い頃に戻って、マンガ世界を再現する……。女子あるある的な作品だが、そこにリアルを感じるというより、40代女子の思いを込めているように思った。
莫逆の犬
神保町花月
神保町花月(東京都)
2019/02/20 (水) ~ 2019/03/03 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2019/02/25 (月) 19:00
ONEOR8の2008年の作品を、よしもとの役者も使ってリメイク。『ゼブラ』再演の直後の作品で、テイストが似ている。何か犯罪に絡んで(後半で事情は分かる)家に閉じこもる男と、その世話をするために一緒にすむ恋人の、10年に渉る物語。父が用意したアパートで一緒に繰らし始めるのだが、その関係が必然的に変わっていく流れを巧く描いてはいる。終盤の、恋人の「そういうのは思い出って言わない。出来事って言うんだ」というセリフは効いてる。ただ、ONEOR8らしさ、みたいなものが少し足りない気がするのは、役者が変わったことによるのだろうか。面白いけど喰い足りない気がした。
オルタリティ
TRASHMASTERS
駅前劇場(東京都)
2019/02/22 (金) ~ 2019/03/03 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/02/22 (金) 19:00
劇団員の6人だけで真っ向勝負の作品を作ったと言える。とある町の、「まちづくり推進課」窓口のある部屋だけが舞台。推進課と言いながらも、ただの苦情処理係と化しているような場所で、「正義・善」と「世の中・みんな」との対立を描く。極限状況の中でも正義や善は意味があるのか、を問い掛ける作品と言えるが、その答を出しているようで、実は出していない気もして、中津留らしい巧い戯曲になっている。最後は個人の感情を見せて終わるあたりが、私がトラッシュが好きな理由なんだろうな、と改めて思った。
休憩なし2時間35分という舞台は、本来は初心者に薦めるべきではないと思うが、演劇の持つ力を観てほしいという意味で、敢えて「初心者にお薦め」しておきたい。
平田オリザ・演劇展vol.6
青年団
こまばアゴラ劇場(東京都)
2019/02/15 (金) ~ 2019/03/11 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/02/21 (木) 20:30
『ヤルタ会談』を観た。元々は落語として書かれた作品を舞台化したものだということで、現実の「ヤルタ会談」がこんなだったらオソロシイ/面白いだろうなぁ、という30分。何だか不思議な感触に捕われる。
月に瞳のあこがれて。
perrot
王子小劇場(東京都)
2019/02/20 (水) ~ 2019/02/24 (日)公演終了
満足度★★★
初見の劇団。何だか面白かった(^_^;)。日本の過去/現在/未来を描く三部作の最後という位置付けの作品だそうだが、日本の話とも思えず、どこの何を描いたか分からないファンタジー作品として観た。ファンタジーなので、一応の設定はあるのだが、時折設定が破綻することがあったり、無理矢理な状況を描いたりもするのだが、エンターテインメントとして許せる範囲で一応は楽しく観ることができた。
ただし、Corichでは90分と書かれていて、Twitterでは120分と書かれていたが、実際は125分で、冗長感は否めない。
怜々蒐集譚 Reirei Syusyu Tan
Zu々
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2019/02/16 (土) ~ 2019/02/27 (水)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2019/02/19 (火) 19:00
瀬戸早妃、久々の舞台を楽しみに観に行った。大正浪漫風味を加えたミステリー仕立てで、なかなか面白かった。マンガが原作の、所謂イケメン芝居ということになるのだと思うが、併映の映画が前日譚としてセットになっているらしい(映画は観てない)という作り方も興味深い。久々の瀬戸は相変わらず美しく知的な役所をしっかり演じていたが、元カクスコの岸博之が渋い味を出していたのも面白かった。
ただし、「入水(にゅうすい)」「潔い(いさぎいい)」などのセリフを聞かされると、役者または演出家の力量を疑いたくなってくる。そう考えると、間を取りすぎてて長くなってる気もした休憩込み140分(-_-;)。
接点 vol.1
チーズtheater
新宿スターフィールド(東京都)
2019/02/13 (水) ~ 2019/02/17 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/02/16 (土) 19:00
カラーの違う3劇団が持ち寄った作品を、オムニバス上演するのではなく、シーン毎に交互に上演するという面白い形式にチャレンジした。3つの作品そのものはそれぞれに面白い題材を扱っているのだが、チャレンジが成功したかどうかはやや疑問である。というより、敢えて混在させる意味は何か、というのがポイントで、混在させて出てくる味と、損なわれてしまう部分のバランスが問題だろう。チャレンジそのものには敬意を表したい。
芸人と兵隊
トム・プロジェクト
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2019/02/13 (水) ~ 2019/02/24 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/02/15 (金) 19:00
トム・プロジェクトらしい実直な舞台だった。劇団チョコレート・ケーキの古川脚本/日澤演出だが、社会派として知られる同劇団のカラーを出すというより、トムに合わせた作品作りになっていて、戦闘シーンが出て来ない反戦劇というのはなかなか興味深い。同じく社会派として知られるトラッシュマスターズのカゴシマジロー・高橋洋介がいい味を出しているが、やはり村井国夫の貫禄は流石で、エンディングの独白は実に見事だった。
カーテンを閉じたまま
Ammo
シアター風姿花伝(東京都)
2019/02/14 (木) ~ 2019/02/19 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/02/14 (木) 19:30
かのカンボジアの独裁者ポル・ポトの若き日を描いた、興味深い舞台だった。フランスに留学中のカンボジア学生たちが集まるアパルトマンで、新人歓迎のため『リア王』を上演することになるが、その稽古での支配-披支配の関係作りが、後のクメール・ルージュの手法と重なるあたりは面白い。インテリで後にポル・ポトの妻となる役を演じた石井舞などが、いい味を出していたが、登場人物が多すぎて、キャラクターを描き分けきれていないように感じたのがやや惜しい。タイトルは実に秀逸である。
雨の夏、三十人のジュリエットが還ってきた
流山児★事務所
座・高円寺1(東京都)
2019/02/01 (金) ~ 2019/02/10 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/02/10 (日) 14:00
千秋楽に観劇。本戯曲は2009年にコクーンで蜷川演出を観たが、それとはまた違った味のある芝居になっていた。客演の松本紀保の存在感が軸になっているが、圧巻は30人のジュリエットを多様に揃えたことだと思う。ある意味でアングラテイストを濃くしたものと言えようか。優れた戯曲を優れた役者(とスタッフ)が演じれば、優れた舞台になるという典型だとも思った。
夜が摑む
オフィスコットーネ
シアター711(東京都)
2019/02/02 (土) ~ 2019/02/12 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/02/09 (土) 18:00
1974年のピアノ騒音殺人事件を扱った大竹野の作品というので、もっとシリアスなものを予想していたが、不条理劇だったのに驚いた(*_*)!。面白かった。もっとも28歳の時の作品ということなので、今までに観た大竹野の作品とは作風が違っていても、不思議はない。アフタートークによれば、ト書きが如何様にも解釈できるものらしく、演出家の解釈で多様な舞台になることが予想されるのだが、詩森はある意味、真っ向勝負しているように思った。