満足度★★★★★
鑑賞日2019/03/04 (月) 18:30
素晴らしい舞台だった。詩人のサトウハチローの生涯を、母との関わりを軸に構成された音楽劇で、何度もいろいろな所で上演されているそうだが、初めて観た。いきなり、晩年のフォーク・クルセダーズ「悲しくてやりきれない」で始まり、世代的にジャスト・フィットの私は心を捕まれる。詩人として名を為したハチローが息子を叱る戦時中の場面から始まり、時間軸を大きく前後させて、ハチローの生涯を描く。また同じ役者がハチローの息子と若き日のハチローとか、ハチローの娘とハチローの母とか、いくつもの役を演じるのは巧い作りだと思うのだが、芝居を見慣れていない人には分かりにくいかも知れない。しかし、時折はさまれるハチローが作詞した歌が見事に場面にフィットし、役者陣もバランス良く演じていて、とても素敵な時間を過ごすことができた。使用曲のリストがあるのだが、終盤でリストに無い「悲しくてやりきれない」の3番が歌われたときには、ちょっと泣きそうになってしまった。いい作品である。観るべし。