Takashi Kitamuraの観てきた!クチコミ一覧

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THE BEE

THE BEE

NODA・MAP

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2021/11/01 (月) ~ 2021/12/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

再演以来の二度目の観劇。冒頭の、井戸(阿部サダヲ)が何も知らないうちに報道陣に(ゴムで)もみくちゃにされ、メディアの欲しい言葉がないと捨てられる演出が面白い。警察と報道陣を帽子とメガネで切り替える早変わりも。

警察官(川平)にパトカーで犯人宅に行く道中もユーモラスで露悪的で面白い。川平が、警官から子どもに、黄色い帽子ひとつでスッとすり替わるのも面白い。等々、前半の転換に新たな興趣が湧いた。
その後の暴力のエスカレートは、前に見て知っているせいか、それほどの怖さを感じなかった。一種、必然の道行で、一旦入ったら一直線である。

キャスト一新は成功だったと思うが、野田秀樹の主役も捨てがたい。9年前は、英語版などわざわざ見ることないと思い込んでいた。字幕で見る演劇なんて、と。今思うと見ておけばよかった。悔やまれる。

ザ・ドクター

ザ・ドクター

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2021/11/04 (木) ~ 2021/11/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

現代社会の様々な問題がおりこまれているが、アイデンティティー・ポリティクスのことを考えさせられた。人種、ジェンダー、宗教など人の属性(アイデンティティー)による差別・利害を政治的課題とすることをいう。ブラック・ライブズ・マターやミー・ツーなど今大変盛んである。しかし、そういう属性で線を引くと、見えなくなるものがあるのではないか。

医師ルース(大竹しのぶ)が「人間である前に私は医師です」というセリフの意味はそこにある。白人、ユダヤ人、女性etcという範疇で「神父の入室を拒んだ行為」を批判されるが、医師として医療として考えなければならないという訴えだ。2幕のテレビ討論番組ではこれが焦点になる。
1幕は病院の役員会での議論場面がつづき、少々疲れる。しかし2幕でいろんな仕掛けがなされて、舞台の奥行きがぐっと広がる。

1幕では、死んだ娘のカトリックの父(益岡徹)が「中絶という大罪を犯した娘が、罪の許しを得ないまま、地獄の業火で苦しみ続けているんだぞ」と泣き崩れるところが心に響いた。カトリックのまじめな信者は、そう考える灘、だからルースの行為が大問題なんだと。私も宗教に疎いので、その場面でようやくことの意味が分かった。

ネタバレBOX

神父(益岡徹=2役)は黒人という設定だが、元戯曲は白人が演じるように指定している。これはうまい。観客はルースが黒人だから拒否したのではないのに(事件が起きた時は白人が演じているので)、あとで「黒人差別だ」という非難が的外れであることが明瞭にわかる。今回は当然、黒塗りなどしないで演じている。

討論番組で、よく遊びに来る大学生サミ(天野はな)のことを、「トランスジェンダーの子がいて」とお語るのもちょっとした驚きだった。それまで普通の女性としか見えないので。しかし、このアウティングにサミ自身が傷つくと後でわかる。本人とはわからないように語っているのに、近しい人にはわかるから。難しい問題をうまく提示している。

冒頭で流れるルースの声の録音の意味が、最後にわかる。かたくなで杓子定規とも思えたルースの、心の奥の深い喪失感がわかり、舞台の見え方が変わる。

イギリスではこの芝居の提起する問題が刺さるが、日本に持ってくると、どこか実感が薄く感じられる。特に階級の違いは、舞台から感じられなかった。これは仕方のないことではあるが。
ジャンガリアン

ジャンガリアン

文学座

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2021/11/12 (金) ~ 2021/11/20 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

横山拓也作、松本祐子演出の信頼できるメインスタッフと、文学座の安定したアンサンブルで、時間を短く感じる舞台だった。老舗豚カツ屋を継いだ長男琢己(林田一高)が、リニューアル工事にかかる前日に突然倒れてしまう。そこから歯車が狂っていく。

モンゴル人の留学生(奥田一平)が「ジャンガリアンハムレット」をネズミ退治(ナワバリ意識を使う)に持ってきたのだが、琢己の入院中に、雇ってくれという。妻の愛(吉野美沙)が雇うと決めるが、自分のいない間に決められた琢己は面白くない。必要以上に意固地になって、「外国人なんて胡散臭い奴らだ」と差別意識をむき出しにする。
急にいろんな軋轢が起き、言わないでもいいことを言ってしまい、傷つけたり自己嫌悪に陥ったり。人間関係と内心の機微を丁寧に描いてよかった。
琢己と愛の夫婦の衝突と和解が心に響いた。

ネタバレBOX

板前の大将(高橋克明)が、最初は家族の口論に、どっちつかずの生返事の責任回避が笑いを誘った。最初はモンゴル人を嫌がっていたのが、次第に昔の自分と同じじゃないかと、考えを変えていくのがいい。

ベテランたかお鷹が、家を出て行った父親役として、いい味を出していた。ジャンガリアンも店のリニューアルも彼が知恵を出していたというから、裏のキーパーソンだ。70歳の設定だが、「店はどんな人も、いらっしゃいませとうけいれなきゃだめだ。客も従業員も同じだ」という教えに説得力があった。
更地

更地

KUNIO

世田谷パブリックシアター(東京都)

2021/11/07 (日) ~ 2021/11/14 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

演劇のあり方をとことん考え詰めた太田省吾らしいシンプルで抽象的とも言える二人芝居。そこを杉原邦生は、あの手この手の変化をつけて、80分飽きずに見られる芝居に仕上げた。更地になった昔の家のあとに来た夫婦が、自分たちの過去を思い出し、語り合う。言葉と俳優の存在だけで、そこにないものを現前(リプレゼント=ミメーシス)させる。

不倫や失業倒産や子供の非行や、そんな不幸な話はなにもない。赤ん坊の頃、思春期の性の目覚め、出会い、出産、子育て…。ほんわかした彼女彼氏の平凡だがかけがえのない出来事。女(南沢奈央)が半泣きで懇願する「本当にあったことがいっぱいほしい。なんでもない日のなんでもないことがいっぱいあって、そうなれば…。黄金(おうごん)の時がほしい」というセリフが主題を表している。
夫婦で見るのにいい芝居だ。「屋根がなくなったから見ることのできた月」のように、過去になったから全てが美しく見えてくる。実はこういう芝居は珍しい。だいたい不倫だなんだと、生臭くて、大なり小なり身に覚えのある夫婦で見ると気まずくなるのが多い。相手の話している間にあくびをして、平謝りするなど夫婦あるあるが面白かった。

戯曲の初老の夫婦の設定を、今回は若い俳優(男役の濱田龍臣は21歳!)でやったのが新機軸である。これは大成功だった。なんてことない若い頃の思い出話が、若い俳優の肉体と声を得て、リアルに立ち上がった。動きも多く、メリハリが付いた。現在より、過去を現前させる芝居なのでかみあっていた。初老より若い俳優のほうが見目麗しいので、視覚効果だけとってもいい。

見る前は、動きの少ない地味な芝居でつまらないだろうなと危惧したが、完全に杞憂だった。予想をいい意味で裏切られた。

ネタバレBOX

変化としては、開幕前の超スローモーから(大変珍しい演出)、ロックの音楽、白い舞台にいくつか小道具をおき家を再現。スパゲッティを指(!)で食べたあと、舞台全部を黒字に白抜きの更地幕でおおう。そのうえで過去を演じならが、出会い場面のラップでは帽子とサングラス(男)と、マイクも使う。時折小道具を黒幕の下に潜り込んで探したり、照明もスポットライトだけにしたり、霧のピクニック場面では男自らスモークマシーンを引っ張り出したり…。古いカセットレコーダーでクラシックも。

そして、みたことのないような星空と、雨上がりの「虹」が舞台に立ち上がる。若い俳優を選んだのは「未来を感じてほしいから」と杉原氏はいっていた。そのとおりに、前向きな気持になれる芝居だった。
パ・ラパパンパン

パ・ラパパンパン

Bunkamura / 大人計画

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2021/11/03 (水) ~ 2021/11/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

最初から笑えて、最後まで素直に楽しめる舞台だった。作家と編集者の松たか子と神木隆之介のコンビがボケとツッコミの役割を果たしていて、神木のツッコミで松の天然ぶりが笑いになる。二人の執筆活動と、作中劇「クリスマス・キャロル殺人事件」の登場人物たちの相互作用関係も、影に陽に演技に出て面白い。松たか子の作家の、創作の苦しさと八つ当たり、破れかぶれには作者の実感が感じられる。そこから飛翔して、見事に伏線を回収するラストの大団円は、最後まで書き上げた充実感が重ねられて、満足感も2倍になった。守銭奴スクルージの優しさを示したのも、ハートウォーミングであった。

廻る礎

廻る礎

JACROW

座・高円寺1(東京都)

2021/11/04 (木) ~ 2021/11/11 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

前回の田中角栄評伝劇もそうだが、こういう著名な歴史的人物を演じる場合、形から入るのが常道だ、今回の吉田茂も基本、よく似せているのが良い。吉田が首相就任を最初に辞退したときに、「それでも、てめえ男か」と内縁の妻のこりきが啖呵を切る場面がすごく良かった。思わず拍手が出た。あとは議論が続くので少々ハードな芝居である。

自主憲法制定派の鳩山、岸に対して、吉田は護憲派だったというのは、単純化してはいるが、多分そうだろう。憲法は変えずに警察予備隊=自衛隊をつくる、アメリカの改憲・軍拡要求には、要求を値切り値切り付いていくというのが吉田の敷いた路線だった。ただ、吉田の護憲は日米安保=米軍基地温存とセットだということがよく分かる。米軍基地撤去と自力防衛の改憲派に対し、再軍備反対(後に軽武装)の護憲派は日本防衛は米軍の力を借りる考えだった。これは憲法1条と9条がセットであるのと同じ、暗黙の了解事項であり、平和憲法が抱えるアポリアである。

この芝居に出てくる戦後を舵取りした宰相たちにくらべ、90年代の竹下登以降の顔ぶれの小物ぶりはいかんともしがたい。小泉純一郎は例外的な一種の傑物と思うが、安倍晋三に至っては。この芝居に、岸信介の長女と安倍晋太郎との縁談話が出てくる。それにしても、安倍晋三のような中身のない人間が戦後最長の政権記録を立てるとは。先の縁談を持ってきた佐藤栄作が草葉の陰で泣いていよう。

ぽに

ぽに

劇団た組

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2021/10/28 (木) ~ 2021/11/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

いわく言い難い芝居だった。松本穂歌演じる決断のできない弱い女と、藤原季節演じる身勝手男の関係が軸である。「まじ?まじ?」「ていうか」「全然、いいから、いいから」等々、現代若者の口調をそのままコピーしたような会話のリアリティーが高い。最初はグダグダした会話でしまりがないと思ったが、地震の事件から、緊迫感がぐっとます。二人の会話も同じで、男の本能的な責任回避の責める言葉と、女の次第にすがりつくように変化していく心理を示す言葉が非常にリアルだった。

幼児れんの両親が、連のシッター活動を放棄した円佳を責める言葉も、同様にリアルだった。実際はもっと激するだろうが、感情を抑えに抑えて、それでも抑えきれない言葉に人を刺すものがあった。

平田オリザ、岡田利規の現代口語演劇の系譜にまた新しい才能が登場した。

白鳥の湖<新制作>

白鳥の湖<新制作>

新国立劇場

新国立劇場 オペラ劇場(東京都)

2021/10/23 (土) ~ 2021/11/03 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

古典バレエを初めて生で見た。チャイコフスキーの音楽はもちろん、ダンサー、衣装、美術などあいまって見事なダンスパフォーマンスであった。ワルツ、ソロ、デュエットetc、なんといってもバレエの多彩なダンス表現を堪能。言葉を使わない、セリフを遠くまで聞かせる必要がないので、マイクのない時代の大劇場でも、これなら楽しめたとわかる。

物語は別にすじを教えてもらわないと、舞台を見ただけではわからない。それは仕方のないところ。大きな枠組みがわかった上で、場面場面のダンスを楽しむのが良いのだろう。

前に男だけによるマシュー・ボーン版「白鳥の湖」を見たが、物語は大分違っていた。あちらは魔法使いの娘がオデット姫に姿を変えて現れるなどなく、舞台も現代。拝金主義や通俗的享楽への批判があった。

いのち知らず

いのち知らず

森崎事務所M&Oplays

本多劇場(東京都)

2021/10/22 (金) ~ 2021/11/14 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

いわく言い難い芝居で、見ながら終始スッキリしないもやもや感がつのった。中学からの親友で一緒にガソリンスタンドを経営する夢を持つロク(勝地涼)とシド(仲野太賀)。ある施設の門番をしているが、先輩門番モウリ(光石研)から、「この施設では死者を生き返らせる研究をしている」といわれ、戸惑う。モウリの話だけで、観客もそんなことは信じられない。当然、アリもしない話をもとに、ああだこうだともめる舞台をうさんくさい思いで見ることになる。

すると見えてくるのは男たちのマウンティング合戦。モウリとロク、ロクとシド、シドとモウリ、という二人組の会話を軸に(「二度目の夏」と同じ)腹のさぐりあい、非難のぶつけ合い、優位の競い合いになる。ここらへんは話の不条理性といいピンターのよう。不条理といえば、来るかどうかわからない何かを待っている「ゴドー」のようでもある。

「しょせん言葉じゃないか」が口癖の高校時代の共通の友人は、言葉の裏など探らない、ストレートな言葉の使い手だった話。学ランを木に引っ掛けて、これからの夢を、過去にあったことのように語り合い、みんな死んでしまったあとのフリをする「学ランごっこ」の思い出。ロクとシドがそれぞれに相手には隠している問題。施設で療養していた双子の兄を探しに来たトンビはどうなったのか。などなど、互いに関係ないようなこれらが、最後にパッと結びつく。

ネタバレBOX

何が本当かわからない不条理劇的テイストが、ラストで意外な結末になる。冒頭と同じ、所長に呼ばれたシドが帰ってきた夜の続き。シドが録音したはずの声が、テープには録音されていなかった。この結末自体、どううけとるかは単純ではない。素直に取れば、それまでの疑いが一気に晴れ、こちらの解釈が全部ひっくり返るような驚きだった。
Home, I'm Darling

Home, I'm Darling

東宝

シアタークリエ(東京都)

2021/10/20 (水) ~ 2021/11/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

外に出たくない女性の、現実逃避から、どうやって抜け出るか、の芝居である。ジュディ(鈴木京香)の花柄ワンピースのかわいい奥様ぶりにおどろく。甲斐甲斐しい主婦ぶりとあわせて、倍賞千恵子に似ていると思った。時間が立って思い返すと、前半はかなり図式的な気がする。後半、夫ジョニー(高橋克実)が「君は夢の世界に住んでいる。僕にはこんな生活はいらないんだ」と本音を言い始めるところからが見どころ。もう一つは、母シルヴィア(銀粉蝶)が娘の勘違いに腹を立てて、50年代の混乱と家父長制と女性のいきにくさを語る圧巻の長台詞。びっくりした。

シルヴィア「あんたのやっている(専業主婦)ことは男が望むことよ」
ジュディ「どうして家事は評価されないの」
シルヴィア「男がやらないからよ」
ジュディ「働け、働けって、それって、資本主義的すぎない?」
男の保護家から抜け出ようとすれば、資本主義の賃金奴隷になってしまう。自営業は別だが。その矛盾をサラリと示したセリフで、注意を惹かれた。

ネタバレBOX

隠しておいた銀行の督促状が夫に見つかって、幸せの拒食が剥がれるところ、「人形の家」みたいと思った。パンフによれば、作者もイギリス初演の俳優陣も現代版「人形の家」と十分意識していたそうだ。ただ、家に閉じ込められていたノラと違い、ジュディは必死に家に閉じこもっているのだが。

最後「まだ愛しているわよね」「愛しているよ」と確かめ合う。「愛している」と日本人は普通あまり言わない、日本人の戯曲にもあまりない。「紙屋悦子の青春」は「迎えに来る」「待っている」と行為に託すし、「フタマツヅキ」も父母は「家族じゃない?」「続けてほしいの」といい、息子カップルは「今告白する?」「同棲しよう」「入り浸るよ」など。工夫である。
フタマツヅキ

フタマツヅキ

iaku

シアタートラム(東京都)

2021/10/28 (木) ~ 2021/11/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

売れない芸人と、それを支え続ける妻(清水直子)、父親が嫌いな息子。何を言われても決して怒鳴らないでユーモアある話芸風に返す父親(モロ師岡)の飄々とした生き方に感心する。息子のカラク(杉田雷麟)もいい。小学校で父親の高座を体育館で開いたとき、舞台で父が息子をいじったためにクラスで笑われて以来の積もり積もった父への嫌悪を、20歳の、思春期ではないが大人でもない、少ない言葉とあからさまな態度で表していた。

なかなかシリアスな舞台だが、息子にモーレツアタックするバイト仲間の女性(幼馴染らしい=鈴木こころ)の天真爛漫な明るさが救い。この二人も支え、支えられる関係になりそうで、父母の関係とだぶるのは心憎いつくりである。

装置は、舞台中央の4畳半の畳の部屋とテーブルを置いた板の間の、ふすまで接した「二間続き」のセットだけ。くるくる回転して、この二間の家以外の場所もあらわす。

ネタバレBOX

若いスグル(長橋遼也)とマサコ(橋爪未萌里)が、沢渡小劇場のあるビルの屋上で出会ってから付き合うようになる場面が同時並行で描かれる。これが現在の父母の若い頃とは最初はわからない。(劇場の名前や「笑うカド」の企画、スグルの名で、注意していればわかるが)が、なぜ妻がそこまで夫を支えるのかが、死のうとしていたときに救われたからと言う過去があるからとわかってきて、納得できる。

落語「初天神」を父と息子で演じるクライマックスも良かった。あれ、短いなと思ったら、この落語は「凧揚げ」のネタが続くそうで、その前に息子が下げてしまったということだそうだ、

友人は「どんなときでもやめないで頑張れと応援してくれるのは励みになる? 重荷になる?」と、そこを気にしていた。私は息子の「支えてもらう生活だって、自分で選んだものじゃないか。だったら最後まで貫けよ」というセリフが刺さった。ロビーで作者の横田さんに「つらぬくことがだいじですよね」と感想を話したら、「それで苦しんでいる人の話なんですけどね」と返された。それはそのとおりだ。苦しいからこそ、貫くことは重みがあるし、迷いも起きる。

横山拓也の芝居は私のお気に入り。「エダニク」「熱い胸さわぎ」など笑いと痛みに満ちた傑作だった。今回も秀作である。
藤田嗣治〜白い暗闇〜

藤田嗣治〜白い暗闇〜

劇団印象-indian elephant-

小劇場B1(東京都)

2021/10/27 (水) ~ 2021/11/02 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

藤田嗣治(間瀬英正)の、世に出たい野心と自己宣伝、画力、茶目っ気と憎めない可愛げがいい。フランス語もできない不遇の渡仏当初から、パリ画壇で認められ、帰国して戦争画で国民の喝采を浴びるまで。「北斎のような大波に飲み込まれる」様を現前する興味深い2時間10分だった。トレードマークのおかっぱ頭が、50代になると白髪交じりに、日米開戦後は刈り上げの73分けに、と髪型の変化で年齢と時代を描いていた。

パリ時代は娼婦でモデルで恋人のナタリア(廣田明代)との出会いと別れを軸に、「乳白色の肌」誕生秘話(多分フィクション)も描く。
パリの後輩日本人画家村中青次(泉正太郎)が、ニセ藤田を語っていい思いをするという展開は面白い。

朝日新聞の記者住喜代志(二条正士)が「大衆は戦争を見たいんだ」と、藤田が「裸婦と猫の画家の自分には合わない」としぶるのに「ノモンハン事件」の絵を聖戦美術展に出品させる。藤田は時々現れる村中との対話で、戦争画で得る名声への期待と、自分が自分でなくなるような不安を示す。

脇役たちも的確に選ばれた人物配置で、物語を膨らませていた。短期のパリ滞在で、控えめな和服女性からわがままな女優のように変わってしまう4度目の妻君代(山村芙梨乃)、絵が下手で下男のようにこき使われる「一番弟子」の山田秋平(片山仁彦)、戦争体制に批判的な、敗戦後は藤田の戦争協力の責任も「あったことをなかったコトにはできない」と指摘する多聞土郎=つちろう(小柄で活発な女優の杉林志保)。藤田の父嗣章(井上一馬)が軍医で、軍医総監にまでなったと走らなかった。
人物相関図はこちら
https://twitter.com/inzou/status/1452959920727355393/photo/2

ネタバレBOX

藤田の戦争「協力」をどう見るか。敗戦後、戦争責任を指摘する声や、手のひらを返したように冷たい画家たちに対し、「俺は画家だ」「(「アッツ島玉砕」で)誰もつかめなかった底知れない闇を俺は初めて掴んだんだ」と自分の絵への自負を語る。藤田の意識としては自分は画家として求めに応えただけというものだったろう。

ちなみに帰国後の藤田のアトリエに、時々現れる村中は、藤田の分身である。そしてアトリエに銃剣を抱えた戦場の兵士たちが幻出する。

藤田は「これが罪と言うなら、罪を見てくれ」と最後繰り返す。ここに作者の評価は凝縮されている。軍部から依頼を受け、戦時下の日本で評価された絵ではあるが、そうした歴史的文脈を超えて絵自体は「100年も1000年も残る」ものだと。たしかに絵自体を見ると、その力に圧倒される。単純に戦争美化、日本軍美化と言えないような気がしてくる(そこが絵のレトリックかもしれないのだが)。あらためて藤田嗣治は実に複雑な存在であることを考えさせられた
ジュリアス・シーザー

ジュリアス・シーザー

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2021/10/10 (日) ~ 2021/10/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

シェイクスピア歴史劇らしい堂々とした朗誦セリフが耳に心地よい。吉田羊のブルータスの融通の効かない正義漢ぶりと、松本紀保のキャシアスの弱さと可愛さを醸す人情家ぶりが対照的である。特に二人が戦場のテントで諍う場面。

そうは言っても1番の見どころはやはりアントーニオ(松井玲奈)の「ブルータスは公明正大の人である」とクリア返して、次第に人身を反ブルータスに導く演説場面。最後の決め手として、シーザーが遺産分配を遺言していたと話が、民衆の歓心を買うためのばらまき政治はここにもあったかと感心した。

女性だけでどうなるかといと、男のようにギラギラしたり派手に激高したりということがない。けんかしても比較的落ち着いている。まあそういう演出のせいもあるだろうが、美しい、整然とした舞台という印象。

シェークスピアには珍しく、寄り道や副筋がほとんどなく、シーザー暗殺からブルータスの死まで一直線。もともとそういう戯曲である。テキストレジーでブルータス邸の謀議を縮めたり、フィリッポの戦いで敗れる最後の5幕を大胆に圧縮したので、それがいっそうきわだった。そのなかで、ブルータスの小姓ルーシアス(高丸えみり)が笛をふき居眠りする場面は、ホッと息が付いた。すぐシーザーの亡霊が出てくるのではあるが。

ブルータスの最初のセリフにヒントを得た、くすんだ鏡をいくつも組み合わせた背景装置が示唆的。2時間15分のコンパクトに収めた演出も良かった。

オリバー!

オリバー!

ホリプロ / 東宝 / TBS / 博報堂DYメディアパートナーズ WOWOW

東急シアターオーブ(東京都)

2021/10/07 (木) ~ 2021/11/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

連載大衆小説の祖ともいうべきディケンズの代表作の舞台化だけに、曲折ある展開に飽きさせない。特に、金持ちの老人とビルサイクス、フェイギンがオリバーを奪い合う後半は、時間を感じないあっという間の65分だった。冒頭の救貧院の歌、フェイギン(市村正親)一家の「ポケットからチョチョイ」の歌など、コーラスのたのしいがっきょくもいっぱい。一方、人生の哀感の歌はフェイギンの曲「こんな年でも人生はやり直せるか」にとどめをさす。ソニンの葉すっぱだが情のある演技も素晴らしく、悪い男ビル・サイクスに「あんたのためならなんだってする」と歌うのも、その後の悲劇も含めて哀切だった。

ドラマというよりショーとしてみれば最高。その中で市村正親のユーモアと哀しみを併せ持った存在感は絶品だった。休憩込み2時間40分

天井が高く舞台袖も空いているシアターオーブの舞台機構を生かして、リアルなロンドンの街の風景や救貧院、フェイギン一味のねぐらなどをササーっと転換する。この美術も良く、とくにセントポール協会が背後にドーンと控えている場面はいい雰囲気だった。

扉座版 二代目はクリスチャン ―ALL YOU NEED IS PASSION―

扉座版 二代目はクリスチャン ―ALL YOU NEED IS PASSION―

劇団扉座

すみだパークシアター倉(東京都)

2021/10/21 (木) ~ 2021/10/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ヤクザの神竜組を率いる亡き組長の愛妻石田ひかりと、喜寿を迎えた!木村伝兵衛(岡森諦)元部長警部(現運転免許証更新センター相談役!)を軸に、決め台詞に彩られたつか版歌舞伎ともいうべき2時間。まず第一に音の芝居。つか芝居に音楽は決定的だったというように、キメ場面では、カッコいい曲がジャンジャーンとはじまる。次いで効果音。蹴り、殴る音、チャンバラの刀の音がいい。そして七五調に近い、カッコいいセリフの数々。石田ひかりはさすがの人気女優らしく、派手な感情表現はせず、抑えた演技で、そのかっこいいセリフを話すことに集中していた。ジャージ姿、シスター姿、そしてラストの襲名の艶やかな真っ赤な着物姿と、衣装も見事だった。
神竜一家と警視庁の刀を持った斬り合いのクライマックスは忠臣蔵のようだった。その意味でもかぶきを彷彿とさせる舞台である。

物語はあるのだが、筋を追うよりも、その場その場の台詞のぶつけ合いがかっこいい。ヤクザの仁義を切る所作指導の砂田桃子に、伝兵衛に引退を迫る熊田留吉ジュニア(新原武)。法務大臣逮捕という花道の提案に、伝兵衛は「公文書偽造なんて、そんな魂のこもってない犯罪で俺の花道にできるか」と拒む。組員の恋人は、愛の証に自ら指を詰める。組員もそれぞれ見せ場があって、シスター今日子をしたった少年の日思い出や、俺の血を体に入れてくれた組長への恩義、今日子に本当は恋していた秘めた想いの告白も。

皆が、格好よさを競う中、しのぎのために原発廃炉作業で1000ミリシーベルトを浴びて、次第に弱っていくボケのカン太(野田翔太)が地味に笑いと悲しみを醸していた。

紙屋悦子の青春【9月28日~29日公演中止】

紙屋悦子の青春【9月28日~29日公演中止】

(公財)可児市文化芸術振興財団

吉祥寺シアター(東京都)

2021/10/20 (水) ~ 2021/10/28 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

静かな演劇、というが非常に笑いも多く、その奥からじんわり人生の切なさ、悲しみが立ち上がってくる。枝元萌さんはお節介でお喋りでお茶を出すだけで笑いが起きるし、長谷川敦央は口下手の不器用ぶりで逆に笑いを起こす。人物配置もわかりやすく、それぞれの心情も痛いほど伝わる。いぶし銀の舞台だった。

裸舞台に最初、車椅子の老夫婦が現れ、なんてことない話(寒くないか、毛布がいるか、カーディガンをとってくるか)から、思いやりと頑固さの、長年連れ添った夫婦ならではの関係性が見えてくる。「戦争、多くの奴らが死んだ。どうして俺は生き残ったんだ…」そして、戦争中へ。

昭和20年3月30日、見合い話が持ち上がり、31日に悦子(平体まひろ)は、兄夫婦が熊本工場へ派遣された留守の家で、明石の紹介で永世(ながよ)と見合い。お茶とおはぎと弁当箱の電気回路が笑える。
4月8日、明石が出撃前の別れにおとずれ、12日、永世が明石の遺した手紙を届けにくる。
たった2週間のドラマ。庭の桜が蕾から満開になる間に、一つの愛が死に、新しい愛が育ち始める。
悦子役の平体まひろのピュアで真っ直ぐな純情が切なく健気に輝いていた。休憩なし2時間

ネタバレBOX

特攻で死んでいった恋人がとりもった二人。普通、わだかまりがありそうだが、永世と悦子は、死んだ明石への思いは胸奥に秘めて、二人の愛を大切なものとして育てた気がする。それは小林多喜二亡き後の伊藤フジ子と森熊氏のようでもある。
一方、映画「ホタル」の高倉健と田中裕子の夫婦は、死んだ親友・恋人を思い続けて、体の関係を持たない夫婦であり続けた。「ホタル」より、「紙屋悦子の青春」の二人の方がわたしにはこのましい。

夏の夜の夢

夏の夜の夢

演劇集団円

吉祥寺シアター(東京都)

2021/10/02 (土) ~ 2021/10/11 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

この作品は今までは野田秀樹版とブリテン作曲のオペラをみただけ。初めてオーソドックスな舞台を見て、思った以上に面白かった。大公の婚礼という大きな枠組みが強調されているが、恋の糸がもつれた4人の貴族の若者、オーベロン夫妻の痴話喧嘩にふりまわされる森の妖精たち、大公の婚礼の芝居の稽古に励む職人たちという3層構成がクッキリ見えた。

媚薬でかく乱された恋人たちの罵り合い。とくにずっと「なんのことかわからない」と戸惑っていたハーミア(平田舞)が、ついにブチギレるあたりは傑作。職人たちの中の、ボトムのいろんな役をやりたがる、出しゃばったおどけも傑作。客席も始終クスクス笑いがもれ、楽しんでいた。
そもそもこの芝居はお節介の喜劇といえる。ハーミアとライサンダー(近松孝丞)が森に逃げたのを、ヘレナ(藤好捺子)がディミートリアス(平野潤也)にチクるのが始まりで、これがおせっかい。妖精王のオーベロン(石井英明)が、ヘレナにつれないディミートリアスを見て、惚れ薬で改心させようというのが混乱の始まり。これが最大のおせっかい。パック(玉置祐也)がボトム(金田明夫)をロバの首にしちゃうのも、おせっかい。全然そんな必要も必然もないことが今回のテキストレジーでよくわかる、事前になんの脈絡もないから。

金田明夫の堂々たるとぼけぶりがよかった。俳優たちの、シェイクスピアの細々したセリフを、立て板に水でまくし立てていくのは、感心した。特に恋人たちの女優がうまかった。演出では職人たちの芝居も最後にきちんとやるとは意外だった。大いなる蛇足だ。最後までバカバカしくも陽気な気分に満ちた、堂々たる祝祭劇を楽しめた。たまにはこういう頭空っぽになる古典があってもいい。

舞台も二階建てにしてバルコニーを設け、空間に上下の変化をつける。二階の下を奥の通路まで見通せるように奥行を生かして、狭い空間を広く使っていた。森を走り回る場面などに生きていた。上下に移動する階段を舞台の左右と、はしごを組み合わせた逆立ちしたくまでのような中央のオブジェにもうけている。舞台の出入り口も左右、上下、手前奥の8箇所もあり、変化に富んだ出入り。シンプルだがよくできた美術だった。
休憩なし2時間とコンパクトなシェイクスピア

ヒ me 呼

ヒ me 呼

流山児★事務所

ザ・スズナリ(東京都)

2021/09/24 (金) ~ 2021/10/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

古代、人々は恋を知らなかった。はやり病(胸が苦しい、味がしない等コロナっぽい)で卑弥呼が死ぬ。地下の墓所で、ヒ(火)族、ミ(水)族、コ(木)族が通夜の宴会。すると、部族を超えてよく似た別のはやり病(=恋)がみるみる広がり、男と女、男と男、あるいは女と女が「胸を痛め、食事の味も感じない」ほどの恋に落ちる。と思うと、墓所の出口が大石でふさがれて出られなくなり、恋患者は伝染性があるとして隔離される。救護班が結成され、未来に発明されるスクリーンで、離れていても会話ができるようになり…。

奇想天外、荒唐無稽な物語で、よくもこんなバカバカしい話をと思う。見どころは5元多発同時ループの宴会場面や、インチキ言語の伝言ゲーム、短いコントの連続のようなギャグ、ダジャレ、愉快なマッピング映像等々を舞台で目撃・経験することにある。様々な仕掛けを、おもちゃ箱をひっくり返したように盛り込んで、唯一無二の天野天外ワールドを作り上げる。3年ほど前に新国立劇場で初めて見てびっくりしたが、二度目の今回は少しなれたのと、舞台の条件が新国立ほどよくないので、少しアナログ的でおとなしい。

換気のためと称して、流山児祥氏が3度乱入。最後はヒ族の長と師弟対談を始める。「青山の全共闘副議長がいまや演出家協会会長。トップになって、あんたも変わったね」というやり取りは楽屋ネタだが面白かった。2時間10分休憩なし

ネタバレBOX

最後は火と水と木が協力して暮らしていく、サスティナブルを提示する。天野天外には珍しいメッセージということだったが、これは最後のご愛嬌のようなもの。舞台の本体はあくまでばかばかしいステージングにある。
灯に佇む

灯に佇む

名取事務所

小劇場B1(東京都)

2021/09/24 (金) ~ 2021/10/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

いい芝居だった。内容紹介にあるように丸山ワクチンのこともあった。が、それだけではない。がんとどう付き合うか、治療方針を巡って家族と対立したらどうするか、何が患者本人のためなのか。それを考えさせる芝居であり、納得の行く結末だった。

小さな舞台に小さな診療所の待合室と診察室。先代院長(田代隆秀)は患者との時間を大事にしすぎて、経営は苦しかったが、息子の今の院長(加藤頼)は経営優先で効率的。そこに、先代の古い友人(山口真司)ががんと分かってやってくる。ベテラン看護師(鬼頭典子)が丸山ワクチンをこっそり勧めたことから、患者の息子(岩崎正寛)が怒鳴り込んでくる。「治療の邪魔をするな」と。先代と現院長は、医療への姿勢の違いが、丸山ワクチンへも容認派は否定派と態度が分かれ、議論が起きる。

MR(製薬会社の営業マン=歌川貴賀志)が、舞台回しとして面白い潤滑剤になっていた。丸山ワクチンについても怒涛のトークをする。専門用語を立て板に水にまくし立て、まさに寅さんの啖呵売。先代とがん患者の抗癌剤治療の現状を話し合うシーンも、せりふをよく間違えないものだと思うくらい、知らない薬や専門用語のオンパレードで、とにかくその滑らかさに感心した。話芸である。こういうところは生の舞台の面白いところ。MRの話し相手となる現院長の妹の医療事務(谷扶柚)は、良い緩衝材だった。

小さい医院の一杯舞台のオーソドックスなリアリズム演劇。小劇場でじっくり見るのに丁度良いサイズで、小劇場の味わいを堪能した。

Traumatic Girl

Traumatic Girl

関西演劇集団 Z system

駅前劇場(東京都)

2021/09/25 (土) ~ 2021/09/28 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

最初は顔を半分ペイントした女子高生集団の空騒ぎ。ギャグも滑りまくる。次第に本編に入っていき、何でも手に入る店のこども店長が現れ、3人の若い女性の過去の心の傷が明らかになっていく。ダンス、身体表現が巧みでダイナミック。若い女優人の勢いはすごい。ウルトラホストクラブで楽しませる趣向も面白い。他人に傷つけられるのが怖い、いい子を演じる自分が嫌いという内面の切なさが、心に残った。

ウルトラマンシリーズをパロったホストクラブは、扮装も凝って、ぶっ飛んでてインパクトある。過去切ない話になると、しんみりと見せる。過去の自分をブースカ人形に例えたり、別俳優が出てきたりと、演劇的仕掛けとメリハリで飽きさせない。

3人の過去は、ハリポタの魔法の音楽がバックに流れ、ノスタルジックでメルヘンチックなオブラートに包みつつ、かなりベタにシリアス。見終わって、心に残るものがあった。

ネタバレBOX

自分が冷たくした友人が死んでしまった、好きな男の子に告白したら、ブスと言われ女友達にもハブられた。いい子を演じているのに耐えられなくなった、というのは、珍しくない話。こども店長が、なぜ環をこの店に招いたのかがわかるくだりには、ドキッとした。「子供は親を選んで生まれてくる」という言葉に、温かい救いを感じた。

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