実演鑑賞
満足度★★★★
横山拓也作、松本祐子演出の信頼できるメインスタッフと、文学座の安定したアンサンブルで、時間を短く感じる舞台だった。老舗豚カツ屋を継いだ長男琢己(林田一高)が、リニューアル工事にかかる前日に突然倒れてしまう。そこから歯車が狂っていく。
モンゴル人の留学生(奥田一平)が「ジャンガリアンハムレット」をネズミ退治(ナワバリ意識を使う)に持ってきたのだが、琢己の入院中に、雇ってくれという。妻の愛(吉野美沙)が雇うと決めるが、自分のいない間に決められた琢己は面白くない。必要以上に意固地になって、「外国人なんて胡散臭い奴らだ」と差別意識をむき出しにする。
急にいろんな軋轢が起き、言わないでもいいことを言ってしまい、傷つけたり自己嫌悪に陥ったり。人間関係と内心の機微を丁寧に描いてよかった。
琢己と愛の夫婦の衝突と和解が心に響いた。