緑地-ryokuchiの観てきた!クチコミ一覧

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If you don't know ai

If you don't know ai

皇帝ロックホッパー

上野ストアハウス(東京都)

2025/03/26 (水) ~ 2025/03/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

真田林佳さん出演。29日のBチーム、30日のAチームを観劇。

先日、3月16日に開催された事前イベントにも行きました。行っておいてよかったです。何人かの方、とくに永石匠さんと倉本琉平さんの素に近い感じを知った上で観劇することで、より楽しめた気がします。倉本さんが演じた「ユウタ」は素とあんまり変わらない、というのは言い過ぎでしょうか。事前イベントで感じたイメージにぴったりの役でした。

事前イベントでは舞台に関することはあまり話題にならなかったです。何を言ってもネタバレになりそうで、とのこと。そんなこともあって、複雑なシナリオなのかなと想像して観劇に臨みました。

主演のテジュさん演じる真白ユジンは、絶妙でしたね。諺の意味を知らないという条件を自然にクリアしてます。まっすぐな好青年を見事に演じられてました。実は最年長。そうは見えないですよね。
去年の「真夜中のオカルト公務員 The STAGE」でアザゼルという悪役を好演されたのを覚えてます。今回は180度違った役どころでした。

真田さんがいつもと違う雰囲気で出演されるということで注目してました。想像以上にいつもと違って驚きました。すごく良かったので、こちらの路線もぜひお願いしたいです。

ネタバレBOX

真田さんの演じる可愛らしくも薄幸な人妻は「新妻 愛」。不自然な名前だと思ってましたが、マッチングアプリのための偽名だったということで納得です。本名は小百合。
ユジンと関わる3人がヒロイン級で、よく見るとほかの2人も「真愛実」「結愛」というように愛の字が入ってます。

***

舞台の内容について。大きく2つのテーマがあると理解しました。
ひとつは人間の感情・欲求・幸福の追求が、「ボタンのかけ違い」で悪い結果を招くこと。
もうひとつは「AI」。エーアイです。

冒頭のカチャカチャというキーボードの音はコンピュータを象徴するもの。これはAIの伏線。
「ai」は「アイ」と読まれ、エンディングだけ「エーアイ」と読まれました。最後に種明かしをしたわけですね。

4人が「別の世界線の過去」に行ったところから先は、語り部(アラタ)による「AIモデルのトレーニング」と解釈しました。AIすなわち人工知能を育てるためのシミュレーションです。

ユジンは幸福度を上げるよう行動します。小百合(愛)と関わった。ユジンも小百合も不幸になってしまいました。
ユジンはやりなおして、真愛実と関わった。もっと悪くなってしまいました。
再度やりなおして、結愛と関わった。もっと悪くなって、ユジンも結愛も死んでしまいました。

最後の語り部のセリフ。「なかなか上手くいかないものですねえ。(中略)もっと色々な感情を覚えさせ、人間を超える完璧なものを作り上げなければ」。AIモデルのトレーニングは、たった3回なわけはありません。膨大な回数のシミュレーションが行われることでしょう。

最後に登場人物全員が出てきて、機械のように前を向いてお辞儀をしました。カーテンコールではありません。劇中です。最悪のバッドエンドに見えるけど、それはシミュレーションのひとつに過ぎない、ということを確認させてくれました。見ている方は救われます。

過去に戻らなかった世界があるはずです。ユジンとカレンがくっつくと良いですね。最も良い結果になるような気がします。良い結果とは「みんなの幸福度の合計が高い」かな。ノゾミの幸福度は下がるでしょうけれどもね。

以上はあくまでも私の解釈です。この解釈にも矛盾はたくさんあるでしょうが、それはそれで。

***

小百合の夫「タイシ」の永石匠さん。いい人とは言えない役回りでしたが、事前イベントで永石さんを拝見していたことで「きっと本当はいい人なんだろうなあ」と思ったり。

冒頭のダンスでは、みなさん裸足で素敵な踊りを披露されていました。思い返すと、栗原大河さんの「ノゾミ」がみんなを人形に見立てて糸で操る様子を表していましたね。

空港のシーン、旅立つ2人が手ぶらなのはかなり違和感がありました。飛行機に乗るようには見えません。

ユジンが倒れているところ「救急車呼んでくる」「私も行く」でどこかに行くのは不自然だと思います。携帯で呼ばない理由が見当たりません。呼んだうえで「人を呼んでくる」とか「AEDとってくる」とかにするのが良かったのではないかと。
九龍の玉漿

九龍の玉漿

ENG

六行会ホール(東京都)

2025/03/19 (水) ~ 2025/03/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

持田千妃来さん出演。

九龍城と呼ばれるところは、イギリスの支配下にあった香港地区の中でも清国の飛び地だったところで、のちに清国が倒れ、イギリスの法も中国の法も及ばない状態になり、そこに大量の人が入り込んできて、どこの法も及ばないので建物も無計画に増築され・・・と理解してます。

持田さんはENGさんの常連ですね。クレプトキング、メイカ、ハイドクナイフ、gagap。これまでは強かったり元気だったり、武器をもって立ち回ることが多かったですね。さて今回は。

中村龍介さんは13年前の「体感季節」が強く印象に残っています。そのイメージで見ていたので、個人的には今回の役がとても新鮮でした。風格を感じました。

演者さんは総勢24人、大迫力でした。セットもすごいですね。全体から細かいところまで、複雑な九龍城の雰囲気を感じることができました。
ダンスの迫力もいつもながらすごいです。振付はフーグー役で出演もされている中野裕理さんですね。最初に拝見したのは2017年のTHRee’S だったと思います。その時も出演されつつ、振付にお名前がありました。先日の「CHICACO」でも拝見してますが、いつも大活躍で。

ネタバレBOX

「杨劉帆」という表記に強い違和感がありました。簡体字にこだわるなら「杨刘帆」というように「劉」も変わります。香港ならば普通は簡体字は使わないので「楊劉帆」になると思います。

舞台の内容について。ストーリーはよく分かりましたが、納得感はありませんでした。

シミズアスナさんと舞川みやこさんの熱演、最高でした。高田淳さんも。それだけにもったいなかったです。不可解なところや混乱を引き起こすところは、脚本としては狙った結果だとは思いますが、個人的には合わなかったです。

火事の真犯人は、ストーカー的な地下の人だった。クインの父親を燃えるランタンで殴って、燃え広がった。それが演劇のエンディング。うーん。
「それが真相だったのか、あの伏線はこれだったのか」とかなればいいんですけど。そういうわけでもなかったです。

舞台『CHICACO 2025』

舞台『CHICACO 2025』

Alexandrite Stage

中目黒キンケロ・シアター(東京都)

2025/02/14 (金) ~ 2025/02/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

真田林佳さん出演のTatami(畳)チームを観劇。

Alexandrite Stage さんと言えば2019年の「どうしても、妻が死ぬ。」です。結末にほんとびっくりしました。こりっちにエントリーが無いので感想書けないのが残念なのですが、今からでも登録してもらえないですかね。

それはさておき、今回の「CHICACO」。何度も再演している人気シリーズなのですね。観劇して、納得です。チーム初日の2/16に行ったのですが、すでに台本が売り切れてました。

3チームそれぞれ専用の、厚くて立派なチラシ(フライヤー)が用意されてました。嬉しいご配慮です。

真田さんは衣装からセクシー担当かなと思いきや、想像以上に面白キャラでした。獅子の如くで初めて拝見したときを思い出しました。
中野裕理さん山崎恭輔さんと3人組で息ぴったり。SNS情報では「なかなか息が合わなかった」とのことしたが、ぴったりだったと思います。
その山崎さん、プロフィールを見るとまだ23歳と。2人に負けない面白さだったので、これからが楽しみです。

古野あきほさんは最近拝見したところでは昨年末の「星空ハーモニー」で、24歳の先生役でした。いつまでもお若いです。

大力さんは「空の匣庭」のサンダルフォンでしたね。その朗読劇版では複雑な暗い過去を表現し、演劇版ではその過去を踏まえた心情を表現されてました。どちらもメイクがすごい役だったので、今回、素のお顔を初めて拝見できました。

翔太役の松田浩毅さん。出てきてすぐ「この端正な容姿と元気なお声は最近どこかで」と思ったのですが思い出せず。あとから気づきましたが、去年「シオンの眠るとき」で開演前の案内をされていた方でした。アンダーキャストで参加されていたのでした。

ネタバレBOX

ちか子が息子の翔太の名前を何度も呼ぶところ。泣きました。いちばん涙が出ました。

大力さんの声「むすめ!」が突然聞こえて驚きました。どうやら屏風の裏に隠れて顔を出してたらしいのですが、僕の席からは見えず。ちょうど、「差し入れの花」がかぶっていました。

「7年後」に「もうすぐ七回忌」と言われましたが、七回忌は満6年なので変だな、と思いました。
魔法少女育成計画 F2P the STAGE

魔法少女育成計画 F2P the STAGE

オッドエンタテインメント

博品館劇場(東京都)

2025/02/06 (木) ~ 2025/02/10 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

持田千妃来さん出演。
2回朗読劇を上演したこのシリーズ、満を持しての演劇舞台化ですね。これまでとは独立したストーリーのようです。
オッドエンタテインメントさん製作。所属の持田さんはこれまでアンサンブルとして参加されてました。今回は「もな子」役で。ひとりだけ名前が特徴的ですが、特に意味は無さそうです。

原作の漫画の無料部分(全21話中第2話まで)を読んで臨みました。最初のシーンはそこを読んでたおかげで分かりました。読んでないとちょっと難しかったかも。

ネタバレBOX

最初のシーンは、結界の中に「すぴのん」が入ったあとで。ともに行動していた主人公の「アルマ」が入ろうとして、弾かれているわけです。人数に上限があるため、ということはあとで分かります。

あらためて、原作の漫画を全部確認しました。舞台での変更箇所はけっこうありますが大筋は同じのようです。

「ファン」は原作ではもっと短い命です。舞台ではキャストの出番を考えて話を変えたのかも知れませんが、生かされるところと再登場のところ、不自然に感じました。
人事部門に「ジェリーマリー」というキャラがいますがこれも短いです。舞台では省略したようです。
「ミース」は原作でも存在感薄いですが、舞台では名前が出てくるだけでした。

ちょっと驚いたのですが、原作では「もな子」が登場してこれから戦うという時に連載打ち切りになってるんですね。舞台でも登場はほぼエンディング寸前ですが、ひとりでレジスタンス全員を相手して段違いの強さを示しました。持田さんの特技でもある殺陣。錫杖を使った大立ち回りでした。
最後は「ステラ・ルル」の「ルルクラッシュ」という技を受け止めてエンディングです。さあ、どうなったんでしょうね。連載再開を期待します。

結界の中の人数に上限がある、だれか死んだら次が入れる、というのはいいですね。分かりやすいです。
レジスタンス以外のキャラは人事部門と研究部門と監査部門があってそれぞれ所属しているのですが、残念ながら分かりにくかったです。部門の対立があるので所属がけっこう重要だっただけに。原作でも分かりにくいので、舞台としては仕方ないかもしれません。
花と龍

花と龍

KAAT神奈川芸術劇場

KAAT神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)

2025/02/08 (土) ~ 2025/02/22 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

森田涼花さん出演。
KAAT 神奈川県芸術劇場。4年前の「王将」での1階アトリウム特設会場は衝撃的でした。今回は5階のホール。そう、普通はホールですよね。

前方を占める桟敷席は早々に売り切れ。一階席と値段同じなのでそうなりますね。自分は当日券で行ったところ残席から選ばせてもらえました。後ろの方の下手端になりました。

Xで写真投稿しましたが開場中開演までは舞台上に屋台があって、買って飲み食いできます。縁日そのものです。マッサージまであるのは驚きました。
食べ物はパン、焼き鳥、焼きそばなどありますが私は売り切れで買えず。そこは残念でしたが300円のケーキ2個買って食べたのでなんとか大丈夫。

一階席までは座席で飲み食いして良いのです。椅子にカバーがかけてありました。お酒やラムネなども売っていて劇場との調整は大変だったと思いますが、演劇界収入アップの可能性を示す試みだと思います。

神奈川公演は昨日終わりました。これから富山、兵庫、福岡と。各劇場でも屋台があるのでしょうか。あれば良いですね、いい雰囲気なのでおすすめです。

なお、休憩込み3時間の演目なので、屋台で食べるつもりで空腹で行って売り切れだと厳しいでしょう。「持ち込みはご遠慮ください」とのことですが、売り切れ時は許してもらいたいですね。

ネタバレBOX

新ロイヤル大衆舎さんは2017年と2021年の「王将」、そして今回3本目。全てに参加している客演者は森田さんだけだと思います。ありがたいことです。
今回は遠目でしたが、変わらぬ森田さんらしい演技がよく見えました。舞台の地域としては関門海峡あたりですが関西弁の役で、ちょうど良かったですね。

主演の福田転球さんは前作王将でも今回でも、流石でしたね。龍の彫り物を得たあとの感情の高まり、間男とマンを(劇中演技で)激しく追い込むところ、素晴らしかったです。

ちなみに屋台と演目はほとんど関係ありませんでした。
WORKER ANTS と 働かないアリ

WORKER ANTS と 働かないアリ

五反田タイガー

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2020/03/18 (水) ~ 2020/03/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

高橋胡桃さん出演。
2020年の3月。結果として高橋さん、引退前の最後の舞台になりました。

五反田タイガーさんの第7弾。高橋さんは4つ出演。あとの3つは「花街花魁クロニクル」「Casket」「OH MY GODDESS」。

ミュージカルのように、ときおり歌唱ライブのシーンが入ります。そういえばサイリウムを売ってました。客先にも出張販売してて、けっこう買う方がいましたね。

蟻、キリギリス、蜂、カタツムリなど。それらを表現する衣装はまるで学芸会のようですが、それはそうなりますよね。「Casket」と同じテイストでした。

昆虫の物語、なのに涙を誘うのはさすがですね。リーダーの東ななえさん、いつもながら良かったです。

ネタバレBOX

引退する高橋さんの集大成、にはなりませんでした。役はガーディアンのひとりであるアゲハチョウ。大事な役とは言えず。
3番目に名前があるのは集客力のなせる業だったと思います。分かる人には分かりますが、2016年の「雪のプリンセス」を思い出しました。
冥途遊山(めいどゆさん)

冥途遊山(めいどゆさん)

片肌☆倶利伽羅紋紋一座「ざ☆くりもん」

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2025/01/03 (金) ~ 2025/01/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

外岡えりかさん出演。

1月5日の予定が空いたので、何かないかな・・と、こりっちの「上演中の公演」を眺めてました。たまたま見つけて、当日券で観劇しました。剣チームです。

この時期の舞台公演は年末年始に稽古や準備をすることになるので、たいへんだと思います。必然的に少ないですよね。

「ざ☆くりもん」さんのサイトを見たところ、グループ会社のところにシアターグリーンがありました。なるほど、そういう事情もあるのかな、と。空きがちなところに埋めたいですよね。

シアターグリーンはお寺の隣にあります。パンフレットを読んで知ったのですが、くりもんさんの主宰はそのお寺の方なんですね。輪廻転生とか七日ごとの審判のこととかの説明が書かれていて、とても分かりやすかったです。なんとなくしか知らなかったことを、舞台と照らし合わせて理解することができました。

外岡さんを舞台で拝見するのは2016年8月以来でした。その「歩いてみやがれ」ではかなり特殊な役なので横におくとして、初舞台の2010年「桃色書店へようこそ」から「ゴジラ」「ペロン」「レプリカ」「シュタインズゲート」「見よ、飛行機の高く飛べるを」「兵隊日記 ツムグ」「読モの掟」「明るいお葬式」と、今回も同じ系統の外岡さんでした。良い意味でお変わりなかったです。

7人の男女混合のダンサーさん。鬼だったり花魁だったり、華やかでダイナミックで、見入ってしまいました。

ネタバレBOX

善六が地蔵の前で息絶えるところから始まります。その後の鬼との会話で、「鬼滅の刃の〜」といった、時代を超えたギャグが入りました。このおかげで雰囲気というか舞台の見方を掴めるので良かったです。その後のスマホを鳴らすところやジブリネタのギャグなども、すんなり受け入れられるのです。

冥官の使った文言に「手練手管(てれんてくだ)」というのがあったのですが、その言葉は知りませんでした。人をだます方法、といった意味だそうです。嘘に関することだとは雰囲気で察しましたが。

外岡さん演じる葛城が猫というのは、よく考えればヒントがたくさん出ていましたが、気づきませんでした。勘太からあっさり去っていくところ、猫らしくて良かったと思います。

最後、勘太は畜生道に行って猫になったのかなと思いましたが、台本によると犬なんですね。猫の葛城と仲良さそうで、こちらもハッピーエンドでした。

善六が鬼としてあきを迎える。両名とも悲しい人生ではありますが、最大限のハッピーエンドでしたね。良いお話でした。

田業はバッドエンドなわけですが、生まれが貧しいということで同情してしまいます。はっきり、可哀そうです。

ところで、善六と田遊は刺し違えたのでどちらも同時期に死んだはずです。でも冥途遊山に田遊はいないんですね。というのは野暮なツッコミでしょうか。
星空ハーモニー2024

星空ハーモニー2024

Poppin'Shower

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2024/12/25 (水) ~ 2024/12/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

持田千妃来さんが日替わりゲスト。♭(フラット)チームを観劇。

いつもながら、出演者をあまり把握せずに臨みました。

シミズアスナさん出演されてたのですね。「失創セブンスプレイ」「gagap」で拝見してますがメイクが強烈だったので素顔を存じ上げず、今回はじめて拝見できました(遠目ですが)。

横道侑里さんは役のイメージにぴったりな、見事な主演でした。「ゲズントハイト」ではじめて拝見したとき、なんかすごい役者さんだなあと思った記憶があります。

藤代海さんは10月の「歌舞伎町ビターナイト」で強烈な演技を拝見したばかりで。自分としてはその目で見てたので、誘惑に取り乱すところは「これぞ藤代さん」でした。違和感ゼロです。

持田さんはいつ出てくるのかな、と思ってずっと見てました。舞台に見入って忘れかけてた頃、いつの間にか自分の近くに立ってらして、びっくりしました。上手(かみて)のG列の後ろです。

ネタバレBOX

舞台の「日替わりゲスト出演」というのは、多くはワンシーンのコメディの時間だったりします。今回まさにその王道で。役名が「ながれぼしひかる」というところからして。
「本当に高校生ですの?」「ええ、17才ですわよ」のやり取りは笑って良いのかどうなのかですが、とにかく笑いの絶えない時間でした。
日替わりゲストの方々の中では、持田さんと池澤さんがいちばん若いんですね。他の方はどんなやりとりだったのでしょう。

終盤の合唱のシーン。直前に階段を登ってハケた演者さんたちは、実は上手にある階上席に座って合唱を見守ってました。蜂須さんも。自分が後方席なので気づきましたが、多くの人は知らなかったでしょう。
本気の合唱。演者さんたちも鑑賞する。素敵な時間でした。

龍人(たつと)の「この距離ならギリギリ聞こえる」という発言。終盤の父との会話の距離はそれより明らかに遠く、声量も小さかったです。こちらはまず「聞こえないはず」と思いますので、矛盾を感じざるを得ませんでした。
B面〜煙が漂うその先は〜

B面〜煙が漂うその先は〜

JUNK!

萬劇場(東京都)

2024/12/18 (水) ~ 2024/12/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

真田林佳さん目当てで観劇。Bチーム。

B面とはどういう意味かな、と。A面に対してのもの。表と裏、それとも善と悪?
フライヤーに働き蟻の話が。必ずサボる蟻が2割ほど存在する。取り除いたら他の蟻がサボる。割合はともかく実社会でもそれに似たものは感じます。

舞台はちょっと複雑なストーリーだとあらかじめうかがっていたので、最初から集中しておおよそ理解できました。パンフレットの相関図がありがたかったです。

風間役の小栗諒さんはいろんな舞台で何度も拝見してます。白狐丸や迦具土神遊児のイメージが強かったですが、今回の真面目な刑事役も似合いますね。

猪越役のちむらゆーりさんは2017年の「GHOST MIX」で拝見して以来でした。当時は千村佑陸さんで、ぶっ飛んだ主人公がすごく印象に残っていました。今回の出演を把握しておりませんでしたが、出てこられて間もなく「あの人だ!」と分かりました。

真田さんの黄菊雛乃。登場シーンはそれほど多くなかったですが、しっかり存在感がありました。Xのプロフィールに「声が低い」とありますが、それを生かしたセリフに重みがあります。舞台センターで目立つところがありました。そこはご自身によるアレンジだと思いました。目の前で見られてよかったです。

変わった役名ですが、花札からとったのでしょうか。猪と蝶はいるけど鹿はどこに・・・と思ったら「ディアー」がそれですね。

ネタバレBOX

立花が日向に「3人」でカマをかけるところ。のちに風間が種明かしをしますが、ちょっと難しくてロジックが分からなかったです。

焼き肉店の店主とバイトが、白龍会の二人なのか役者さんが兼任しているのか、登場時には判断できずに迷いました。舞台あるあるだとは思いますが。正解は終盤で分かります。
リア女王

リア女王

イノセントギアカンパニー

サンモールスタジオ(東京都)

2024/12/11 (水) ~ 2024/12/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

持田千妃来さん出演。

原作の「リア王」はシェイクスピアの17世紀の作品。日本語訳にはいろんなパターンがあります。今回はクレジットに「訳:小田島雄志」と。いくつかの訳書で確認したところ、今回舞台の言い回しは確かに小田島版でした。「その愛は言葉を貧しくさせ、唇を閉じさせます」とか、いいですねえ。

もともと「リア王」は3~4時間かかるそうです。セリフの量がとても多いんですね。それを2時間に収めるためでしょう、セリフも動きも目まぐるしく。演者のみなさんの努力のたまものですね。

小田島氏はある本のあとがきで「父と子の問題は、永遠のテーマかも知れません」と結んでいます。王は娘たちの本心を見抜けず。グロスター伯も同様でした。その行き違いが悲劇を生んだというわけです。

「リア王」では王の3人の娘は女性ですが、ほかはほぼ男性です。今回の「リア女王」ではほとんどが女性という設定になっています。女性同士の婚姻や恋愛が話に登場しますが、それは物語にはあまり影響なかったと思います。脚色の狙いがあったとしたらすみません。くみ取れませんでした。

持田さんのエドマンド。女性として描かれましたが、悪党としての表現がすごかったからでしょうか、自分には原作と同じ男性のエドマンドに見えました。それが違和感を消してくれたのかも知れないですね。

ネタバレBOX

今回舞台は公式に「ネイハム・テイト風」とされています。シェイクスピアのオリジナルと「テイト版」は、実はかなり違います。

たとえば冒頭の順番が違います。今回はテイト版と同様、いきなりエドマンドのモノローグでただならぬ先行きを予感させます。悪党として描かれるエドマンド中心の話であることが強調されることになります。実はオリジナルのシェイクスピア版では冒頭は王宮で三女を追放するまでのシーンで、エドマンドはいません(訂正:いますが目立ちません)。エドマンドのモノローグは2番目のシーンなのです。強調したいところが違うのですね。

オリジナルでは、主要な人物で生き残るのはオールバニ公とエドガーのみです。エドマンドは兄エドガーとの決闘で。兄弟の父グロスター伯はその少し前に息絶え。王の次女リーガンは長女ゴネリルによる毒殺。ゴネリルは自死。フランス王妃になっていた三女コーディーリアはエドマンドの刺客により。リア王はその悲しみのなかで。ケント伯は王の後を追うことを宣言して終幕します。悲劇ではありますが、悪党はみな死ぬ、生き残ったのは一部の善人というわけです。

テイト版は「悲喜劇」とも言われるように、ある程度ハッピーエンドになっています。フランス王は登場せず、コーディーリアとエドガーが恋仲で、最終的に結婚します。リア王、ケント伯、グロスター伯も生きています。ただしエドマンド、ゴネリル、リーガンは死にます。やっぱり悪党はみな死ぬ、というわけです。

そして今回の「リア女王」は。上に書いた人物が全員生きているんですね。悪党も改心したことになっています。「喜劇」と銘打っていて、悲劇をできるだけなくしたんでしょうか。自分の感想としては、都合がよすぎるなあ、というのが正直なところです。

コーンウォール公と、刺し違えた名もなき衛士はどの版でも死んでしまいます。公爵の妻であるリーガンが未亡人になることがポイントのひとつなので、そこは変えにくかったでしょうね。

ちなみにテイト版には道化はいませんが、今回は採用したのですね。小田島氏の訳書に子供向けの本があり「道化は実は賢くないとできない仕事」と解説されています。道化のセリフに含まれる多くの皮肉には、本を読んでやっと分かるものもありました。頭がよくないとできないのは間違いありません。
 コネクト・ライフ

コネクト・ライフ

ぱすてるからっと

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2024/12/04 (水) ~ 2024/12/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

後藤郁さん出演の星チームを観劇。
ぱすてるからっとさんの舞台に出演されるのは2本目。そもそも出演が意外でしたが、2本目はさらに意外でした。もちろんありがたいことです。

後藤さんはやさしすぎると言ってもいいくらい、穏やかな声をお持ちです。今回はシャーロックホームズ役ということで、男の役は難しいだろうな、と思ってました。序盤で「私は最先端の女なのよ」とセリフに入っていたのは良かったです。男だと思って見る必要はない、という分かりやすさがありがたかったです。

ぱすてるからっとさんはいつもダンスシーンがあります。いつもながら激しいダンス、素晴らしかったです。初日は終演後にその撮影会もあり。自分はカメラに疎いのでスマホで撮るだけではありますが、ありがたいですね。

ネタバレBOX

ツバメが言う「ジュネーブ発の特別列車を経由して船に向かう」の意味が分かりませんでした。ジュネーブはスイスです。イギリスから行くにはそもそも船で渡る必要があります。こちらの頭の中は「???」です。

ホームズとワトソンが列車で移動しているときの会話も「???」でした。「港で大陸への船を待つ間に追いつかれる」と言って、やり過ごすために降りた駅が「ストラスブール」。大陸の都市です。「いったいどこにいるの?イギリスにストラスブールがあるの?」と大混乱です。

答え合わせ。

列車移動のあたりはシャーロックホームズの「最後の事件」から借用したもの。では「最後の事件」ではどうなっていたかというと。ホームズはカンタベリーでモリアーティ教授をやり過ごす。その後ニューヘイブンから船で大陸に渡り、ブリュッセルを経由してストラスブールへ、という流れ。

借用する際に誤解したのでしょうね。「最後の事件」のくだんの部分を読んでみたのですが、かなり分かりにくかったです。誤解しても仕方ないかも知れません。しかしジュネーブとストラスブールが大陸なのは調べればすぐ分かることなので、そこは残念に思います。
シオンの眠るとき

シオンの眠るとき

縁劇ユニット 流星レトリック

サンモールスタジオ(東京都)

2024/10/30 (水) ~ 2024/11/04 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

持田千妃来さん出演の花チーム。
月チームを観劇済みなので、複雑な人物関係は頭に入っています。余裕を持って楽しむことができました。

主役の蛍火(けいか)役の鈴木翔吾さん。月チームの岡さんとは表情がぜんぜん違って見えました。表情の作り方が違うのかな。どちらが良いということはないですが、それぞれ個性があって良かったです。

劇団6番シードの椎名亜音さんと藤堂瞬さんが夫妻の役ということで息ぴったり。
椎名さんは何度も拝見していますが最近では5月の「ほぼほぼ心霊スポット」での豪快な演技が印象的でした。激しい感情表現がほんとにお上手で、今回もさすがでした。
藤堂さんも何度も拝見しています。もっともお気に入りは2019年の「熱海殺人事件」の「水野朋子物語」で、冒頭から迫力に圧倒されました。今回も期待通り、迫力ありました。

花奏和音さんは3年前「おいてきぼりの桜の園」での主演が強烈でした。今回は秘密を知っているお医者さん。袖の下のお金の受け取り方が月チームの清田さんとはだいぶ違って、さりげないけど嬉しそう、でしたね。

優希クロエさんは「将棋無双第30番」の伊藤宗看がすごかったです。今回は進藤静香の娘のレイラ役。月チームの葵さんとは180度違う印象でした。優希さんは葵さんと比べると明らかな大人に見えるので、葵さんと同じセリフに少し違和感を覚えました。見る順番が違えば逆だったのかもしれません。

持田さんは相続権をもつ貴依子(きいこ)。安井先輩という、相思相愛の彼氏がいる役。ご本人もおっしゃってましたが、持田さんが恋愛に絡む役は珍しいです。朗読劇では「Unknown」がありましたが、演劇としては60本以上見てますが記憶にないです。新しい持田さんを拝見・発見できました。

夕莉(ゆうり)役の黒木美紗子さんは2018年「音楽劇ヨルハ」のリリィでした。その後も何度か拝見していますが、やはりなんといってもリリィの印象が強く残っています。

その夕莉。花チームには最大の見せ場がありました。

ネタバレBOX

幼馴染で蛍火を家族と思っていた夕莉は「良かったね」と去ります。蛍火は取り繕おうとしますが拒絶されます。

ここからが月チームと違うところ。

蛍火は追いかけます。夕莉は蛍火を抱きしめて言います。私だけのものでいてほしい、不幸なままでいてほしい、と。さきほどの銃を取り出し、蛍火の背中から自分に向けて押し当てます。もし撃てば貫通して二人とも、という位置です。
蛍火は抱きしめたまま「いいよ」と言います。夕莉は銃の位置を変え、自分の首だけに向けます。そして再び、蛍火の背中に押し当てます。
暗転して数秒後、銃声が響きます。

沢田美佳さんがSNSで「Flowerの分岐脚本を担当」「正直、完成した台本の別パターンを考えるのはめちゃくちゃ難しかったです」と書かれています。つまり、花チームの方があとから考えられたところなのですね。

もし花チームを先に見て、月チームを見たらどうだったでしょう。個人的には、月→花の順でラッキーだったと思いました。
シオンの眠るとき

シオンの眠るとき

縁劇ユニット 流星レトリック

サンモールスタジオ(東京都)

2024/10/30 (水) ~ 2024/11/04 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

麻衣愛さん出演の月チーム。
両チーム見ましたがこちらを先に見ました。結果としてこの順で良かったです。理由は花チームの感想で書きます。

日替わりゲストが藍菜さんでした。そのわりにはずいぶん役割が多いなあと思ってましたが、アフタートークでご本人もそれを訴えておられました。

主役の岡延明さんの表情がとても印象的でした。27年の人生でずっと辛い思いをしてきた背景をもつ役です。笑顔はありません。その悲しみや怒り、あるいは絶望でしょうか。よく伝わりました。

葵千瑠さん。2年前同じ星レトさんの「黄泉の国でも愛してる」に人型の猫の役で出演されてた「るん」さんですね。今回は麻衣愛さんの娘役。アフタートークで「この親子のビジュアルがすごい」と演者さんに称賛されてました。

クシダ杏沙さんは2012年の「世界は僕のCUBEで造られる」で拝見しましたが、なかなかすごい恰好の役だったので、お顔はよく分かりませんでした。今回はストレートプレイ。12年越しに普通のお姿を拝見できて良かったです。

仁藤あいのさん。麻衣愛さんの2018年の初舞台「モデラート」で共演された日生愛乃さんです。たしか歌手として参加されていて、ほとんど演技はされていなかったような。今回演技を拝見できて良かったです。

ゲストを除く14人がほとんど常に舞台上にいる会話劇。表情含めて常に演技しているわけなので、演者さんの負担は大きいものと思います。しかしみなさんそれを感じさせず、流れるように演技をされてました。

ちなみに安井先輩役の小野寺雫さんは、初舞台だったそうです。アフタートークでその話になり、他の演者さんの多くが驚いてました。

ネタバレBOX

序盤にいくつか伏線が張られます。貴依子の彼氏である安井先輩が序盤になぜか頭を抱える。実は国税局の職員で、桜庭の脱税疑惑を知っているから、といった具合。

麻衣愛さん演じる進藤静香は子のレイラが相続権利者ということでやってきます。最終的に取引して2億円で手を引くことになります。最終盤のセリフで「2億」と念を押しました。「全部智則に」という総意に対するものとして、さりげないけど大事なセリフだと思いました。

主役「けいか」を「蛍火」と書くことは、あとで印刷物(いわゆる当日パンフレット)を読んで知りました。名前はけっこう大事な要素だったと思うので、どんな字を書くのか劇中で明確にして欲しかったですね。どんな思いで実の両親が名前を考えたか。こちらは字が分からないので分かりませんでした。

蛍火が銃を持っていることが唐突だと感じましたが、のちに警察官ということが分かったので納得できました。夕莉が銃を構えるところはどうかと思いましたが、よく考えたら「復讐屋」。所属の3人が銃を扱えることも分からなくはないですね。

蛍火の「結局不幸なのは俺だけか」という思い。雅之と貴依子が血縁が無いことを暴露したが、期待に反して雅之は不幸にならなかった。智則が桜庭への復讐に燃えていたことを知って仲間と思ったが、妻への思いからその矛を収めていた。蛍火は「不幸であれ」という思いからか銃を取り出すが、桜庭の遺言書でその思いを知り、矛を収める。血族姻族含めた5人のきょうだいの、家族としてのつながりを確認する。

幼馴染で蛍火を家族と思っていた夕莉は「良かったね」と去ります。蛍火は取り繕おうとしますが拒絶されます。最後、蛍火は希望がある未来をほのめかし、物語は終わります。最後の最後のここだけが、チームで大きく異なるところです。

さてさて。花チームは。
道雪

道雪

THE☆JACABAL′S

シアターX(東京都)

2024/10/30 (水) ~ 2024/11/04 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

関谷真由さん出演。
「死んだ筈の立花道雪」と、大友家を中心とした九州の戦乱の物語。チラシ(フライヤー)でそれだけ把握して会場に。いわゆる当日パンフレットに関係図がありました。
あとから言えることですが、「よしひろ」は姓だということだけは把握しておきたかった。名前っぽいので大友氏の身内かと思ってしまいましたが、家臣なのです。

2部構成で、10分の休憩をはさんで2時間50分。会場についてからその時間配分を知ったので、ちょっと驚きました。長いかなあ、と。でもいらぬ心配でしたね。目が離せなかったです。

シアターχ(カイ)は座席の勾配が緩やかです。通路は緩やかな坂で、段差がありません。だからこそできるのですが、その通路を「デンレーーー!!!」と、すごい勢いで伝令が走ります。階段だったら無理ですね。
伝令以外でも、2つの通路を存分に活用します。私はほぼ最後尾の席だったので、そのすべてを見ることができてラッキーでした。

関谷さんの「誾千代」(ぎんちよ)。自分は知らなかったのですが、極めて希な女性城主で、ゲームなどでは女武将として表現されたり、とても人気が高いようです。
5年前の「YOSHITSUNE」で徳子(安徳天皇の母)を演じられたとき、戦国もの・歴史ものでもいける!と思いました。そして今回、みごとにハマっていたと思います。
関谷さんの特徴のあるお声。私は聞きなれているのでさておき、初耳の方はどのように感じたか、興味があります。

野村龍一さんは朝劇の主宰をされている方。関谷さんはロングラン公演「恋の遠心力」のレギュラーだったので、共演回数はかなりの数になります。
田原親賢の役、私のイメージする野村さんそのものでした。憎たらしく、かっこいいのですが、結局は三枚目になるところ。2014年の天才劇団バカバッカさん舞台「POLYNPIC TOKYO!」で都知事に「5千万!」と叫んでいる野村さんを思い出しました。

由布惟信役の森谷勇太さんも朝劇のレギュラーで。関谷さんはSNSで、3人で「朝劇チーム」と呼んでましたね。ここまで激しい演技を拝見するのは初めてでしたが、強いお声と風ぼうが、戦乱ものにピッタリだと思いました。

田畑潤弥さんは2018年「BURRRN!!! 〜無稽・本能寺〜」で拝見していました。感想はネタバレBOXにて。

ネタバレBOX

冒頭、観劇者の目に飛び込んでくるのは、足軽たちの尻です。強調されているわけではないですが、間違いなく目に飛び込んできます。これから戦というところで、貧弱な武器とふんどし姿。この舞台の本気度、足軽の現実についてある意味での「リアリティ」を感じることができます。

十人ほどの足軽。きっと辛いことが起こるだろう、みんな死ぬだろうと想像します。実際、第1部で道雪以外全員死にました。家族含めて。
そのクライマックスで、臼杵が道雪(権兵衛)の妻と2人の子を殺すところ。鬼気迫るというのでしょうか。とてもとても大事なシーン。臼杵の二反田雅澄さん、母の長谷川かずきさん、子のいち君じろう君。お見事でした。

第2部で、誾千代に婿入りして道雪の後継ぎになる立花宗茂が初登場。最初頼りない感じだったのが、道雪の秘密を知って怒り、その後道雪に感銘を受け、最後に道雪の亡骸を守るべく突進していく姿。田畑潤弥さん、すごくかっこよかったです。

突進できる通路、それを存分に使った演出。とても良かったです。
重ねる秋物語

重ねる秋物語

男澤企画

ステージカフェ下北沢亭(東京都)

2024/10/24 (木) ~ 2024/10/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

森田涼花さん出演。初日のC班を観劇。

ステージカフェ下北沢亭。つくりが劇場ではないこともあって客席とステージがとても近いです。なので、とても近くで観劇することができました。客席の椅子は18個用意されていたかな。開始時点で客は9人、途中で2人入って11人でした。

森田さんは去年の「マッチングアプリ:アップルボム」が12年ぶりの朗読劇だったと思います。今は声優さんですものね、どんどん出演されることを期待しています。もちろん舞台も。

今回の朗読劇。森田さんはクライマックスで本当に涙を流されました。2011年と2012年の舞台「女の子ものがたり」で、涙を流した姿を思い出しました。今思えばですが、私が本格的に舞台好きになるきっかけのひとつでしたね。

台本を読むと分かるのですが、はっきりと3章に分かれています。しかしそれは配られたフライヤー(チラシ)には書いてない情報です。

SNSの情報をよく読むと「三つの物語」という情報はあったようですが、気づいておりませんでした。というわけで、物語が3つに分かれているということを知らずに臨みました。私以外も、そういう人多かったのではないでしょうか。

ネタバレBOX

以下が3つの話のタイトルです。便宜的に3つの「章」と呼ばせてもらいます。

・カクテル
・血流
・アシタアタシはジカンがトまるコトをシっていて

森田さんは主人公のコトハ。
以下は、観劇中の私の理解の流れです。

冒頭。主人公、友人N、友人Fの3人が親友。うちひとりと思われる夏海の結婚式が始まる。主人公が語りを進める。「主人公も結婚式に出ているのだろう」と思う。話が進む。夏海が化粧室にいるシーンを主人公が語っている。「そこにいないのに様子を語っている、つまり主人公は結婚式に参加している人物ではない」と想像する。
夏海中心の物語が終わったようす。主人公ひとりだけになってモノローグ。病室にいることが示唆される。それにより「主人公は結婚式より前に死んだ」と想像する。「主人公が夢に見たことかな?」と。
その次。どうやら友人Fである冬香が中心の話が始まったようす。学生時代なので、過去の話ということ。主人公のコトハは会話に参加しているので、そこに存在していることは明白。話が進み、コトハは冬香に、まるで全てを知っているようなアドバイスをする。「この時のコトハとしては不自然だ。つまりアドバイスしたのはこの時のコトハとは違う?」と、漠然と考える。
冬香中心の物語が終わったようす。コトハの語りで、コトハ中心の物語が始まったことが分かる。ここではじめて、全体が章立て風になっていたことが分かる。夏海が1章、冬香が2章、コトハが3章だろう、と。
物語の流れで、これが終章だろうと想像する。朗読内容が複数の時間を行き来しているが、こちらの理解は追いつかない。どうやら病で倒れて病院に運ばれたところと、危篤状態のところがあるらしい。葬式のシーン、子供のころのシーン、それらを経て、1章の冒頭すなわち危篤になる少し前と思われるところで終わる。

あとから台本を確認すると、終盤は「病で倒れた」進んで「死の直前の危篤状態」戻って「病で倒れて運ばれた病室」進んで「危篤状態」戻って「運ばれた病室」というように朗読内容が行き来したようです。どっちも病室なこともあり、これは難しかったですね。

さてストーリーですが。大満足です。台本何度も読んでます。3つそれぞれ、題材としてはよくある話です。それをいかにからめて、観劇者の心を引き込むか。朗読劇の醍醐味ですね。

冬香の中島佑香さん、すごく心がこもっていたことが伝わりました。鼻の下が光ってました。
男性陣の中では、秋平役の高岩泰声さんの声がいちばん印象的でした。SNSを探したら25歳と。お若いのですね。
Spirit Seek Story

Spirit Seek Story

Superb Sick Squad

萬劇場(東京都)

2024/10/02 (水) ~ 2024/10/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

真田林佳さんを目当てに観劇。木曜ソワレ。
Superb Sick Squad さんは、7月に「ドウトク」を上演した !ll nut up fam (イルナップファム) さんと姉妹団体なんですね。

イザベラ役の沼舘ミオさんはドウトクで迫真の演技を拝見してました。その役は40代で募集されていたはずなのにずっと若く見えるなあと思っていました。Superb Sick Squadさんに所属されていることを知って、なるほど、と。ちなみに、雰囲気があまりにも違うので中盤まで分からなかったです。前回は死刑囚、今回は魔女ですものね。

真田さん演じるアクアは「誰かを何かしらに導く伝道師」。私の知ってる ザ・真田さん でした。劇中劇「こいのぼれ!」では持ち前の強い声を張り上げて、イメージ通り。ダンスでは私の知ってるイメージを超えた動きを見ることができました。ダンスシーンは台本によると9回で、その半分くらい参加されてたのかな。前の舞台から2週間しか経ってないところなので負担は大きかったと思うのですが、とても良かったです。

リリ役の松本梨菜さんはどこかで拝見したような・・・と。2年前の「黄泉の国でも愛してる」でした。人の姿をした猫の役で、可愛い感じでしたね。

広くはない萬劇場のステージ上、18人のダンスは圧巻でした。自由席でたまたま最前席だったのですが、みなさんの迫力に圧倒されました。

ネタバレBOX

主役の松岡里奈さんのセリフの量はすごかったです。とくに序盤の、本編に入る前の「つかみ」のところは台本2ページ近くの長セリフ。「噛まずに走り切ったら拍手」。ちょっと噛んでしまいましたが、拍手を惜しむことはありませんでした。

4つの劇中劇は以下の通り。それぞれ3,4人が参加する、作家である主人公が作ったショートストーリー。

(1)テーマは友情、タイトルは相対性理論
(2)テーマは自分らしさ、タイトルはブレイクザルール
(3)テーマは成長、タイトルはこいのぼれ!
(4)テーマは悪、タイトルはトゥーフェイス

私の理解した内容は以下の通り。

(1)未来からのロボットとタイムトラベルして仲良くなってお別れする
(2)3人の淑女が舞踏会に行ってフィーバーして規則や伝統に変化をもたらす
(3)大人を見返すために鯉が滝を登る
(4)人間に裏切られた魔法使いが復讐して何が正義か何が悪か

書いてみると、(3)がいちばん単純ですね。しかし映画「アルマゲドン」の曲「ミス・ア・シング」で鯉の滝登りを無理やりにも盛り上げ、最大限やり切った感じが良かったです。

余談ですがイルナップファムさんの「イル」のところは公式サイトで「!ll」「ill」「♪ll」と複数の表記があります。メモとして書いておきます。
降臨SOUL~風燐火斬~

降臨SOUL~風燐火斬~

降臨SOUL製作委員会

六行会ホール(東京都)

2024/09/25 (水) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

倉田瑠夏さん出演。
先日ご結婚された倉田さん。アイドリング!!!歴代35人のうち16人が結婚を公表、その後舞台出演されたのは1号加藤沙耶香さんだけでした。倉田さんが2例目になります。

その2015年、同じく武将を降臨させる舞台「新・戦国降臨ガール」のサイン会で加藤沙耶香さんに「おめでとうございます」とお伝えしたことを思い出します。

そんな歴史ある「武将降臨!」でおなじみのシリーズですが、加藤さんや玉川来夢さんが出演されていたころとは異なるストーリーみたいですね。見てないですが前作は昨年で、来年5月に続編があるそうです。なかなかにぶっ飛んだ設定、降臨時にはなぜか欧米訛りの武将紹介、嫌いじゃないです。声がどなたか知らなかったのですが、パフレットによると 桜町たろ さんという方なのですね。

ネタバレBOX

タイトルから武田信玄がメインになると予想して臨みました。その雛形羽衣さん、個人的には「強い」というイメージを持ってなかったので新鮮でした。

アリスインプロジェクトさん系の舞台(戦国降臨、魔銃ドナー、デッドリーなど)の過去の観劇では、舞台経験の少ない演者さんにハラハラすることもありました。個人的にはそこの期待は小さめです。

しかし栞菜さんや舞川みやこさんといったベテランの存在は、どっしりとした安心感がありますね。雛形さんにもその風格を感じました。経験豊富な方々が、全体を引っ張ってくれたという印象です。

予告によると、次回作では六文銭の真田幸村、徳川家康が。羽柴は豊臣に昇格し、ますますぶっ飛んだ楽しいものが期待できそうです。
 橋の下のショコラティエ

橋の下のショコラティエ

ぱすてるからっと

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2024/09/19 (木) ~ 2024/09/23 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

持田千妃来さんと真田林佳さんが出演のケーキチームを観劇。
金曜ソワレと日曜マチネの2回。

ぱすてるからっとさんの観劇は演目で5本目。2.5次元ならぬ「2.8次元」、いつも楽しいです。

前々回「悪役令嬢イミテーション」、前回「The Witch」と三作つづけて観劇したことになります。振り返ると3つとも魔法が出てくるんですね。

7月の「The Witch」では命のやり取りが激しいストーリーでしたが、今回はコメディ寄りで、そういう心配はありませんでした。戦いのシーンでも、ある意味安心して見ていられました。

去年の「水上のゴンドリエーラ」の続編とのこと。それは観劇していないので知らなかったのですが、劇中でなんとなくどんな話だったか分かってきました。その匙加減というか配慮がありがたかったです。

ネタバレBOX

数人がそれぞれ何かをかき混ぜているところから始まります。小泉花恋さんの鼻にはホイップクリームが。なるほどケーキを作るんだな、と。ほうほう、フローラという名前。話が進んで、あれ?まだホイップクリームが。・・・実はなにもついてませんでした。鼻が光って白く見えるんですね。

持田さんは主演のリーチェ。ぱすてるからっとさんの舞台に出演されるのは3本目ですが、持田さんの集大成を見られたような気がします。
「時計塔のレイラ」で主演、今回また主演に選ばれたということは運営さんからも評価されたということですね。
去年あたりから主演される機会が増えてきましたね。嬉しいことです。

真田さんのジュスタ。予想以上に特徴的なキャラでした。あとから台本を見て確認したところ、かなりアレンジされてたようです。真田さんにかかればどんなキャラでもスペシャルなものになるような気がします。

アレンジと言えば鮫嶋樹さんのイザベロはとても面白かったです。登場シーンのセリフが金曜と日曜で違ったので、きっと日替わりでネタを入れているのですね。

余談ですが「インヴォカチオーネ!」のたびに「あびらうんけん!」を思い出してました。前々回舞台「悪役令嬢イミテーション」での呪文です。

ヴェロニカの序盤のセリフ「この子の能力があればあの件ももしかしてと思って」が何の伏線なのか分かりませんでした。あの件とは?

劇中では梅がとても酸っぱいものとされていました。漬けた梅だったのか、かなり熟したものだったのか。実際の青梅は酸っぱくないはずで。

辞書によると、ゴンドリエーレ(男性)、ゴンドリエーラ(女性)。ショコラティエ(男性)、ショコラティエール(女性)、らしいです。もちろん分かっていて「ショコラティエ」を採用したのだとは思います。
商店街グランドリオン

商店街グランドリオン

劇団バルスキッチン

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2024/09/11 (水) ~ 2024/09/16 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

目当ての演者さんはとくになし。
バルスキッチンさんの舞台観劇は7本目、再演を除くと5本観劇してます。いつも笑いが絶えない、楽しい時間です。

3年前の初演と同じ役は劇団員の尾上恭平さんとズドンさんだけ。勇者だった河合健太郎さんが主人公の浩太に。精霊リオンだった井坂仁美さんは魔王側の魔法使いに。その他は劇団員の方が別役で出られているくらいで、ほぼガラリと変わってました。

当日配布のチラシ(白黒コピー)に演者さんの役名が書いてあったのが嬉しいです。初演を思い出しながら今回と比べることができました。

勇者側魔法使い役の五十嵐かいと さん、5月に「BAN&COLORS」という舞台で拝見しました。そのときは演目の内容のせいかもしれませんが、アイドル的な方と思ってました。今回あらためて拝見するとかなりしっかりした演技をされていて、印象が変わりました。

ネタバレBOX

前回30人で今回31人。増えたのは「渡辺」ですかね。

若松春奈さん、まともにビンタされてましたね。演技に対する本気度を感じます。ガングロは衝撃的でした。あらかじめ把握してないと誰だか分からなかったでしょう。
なお、ズドンさんが「昭和」と表現されてましたがさすがに平成かと。細かい話ですが。

これまた細かいかも知れませんが。公式のイントロダクションにあるこの一文。

>勇者は偶然の事故から時間を移動する手段を発見し、時を越えて様々な時代を行き来する中で、自分達に降りかかる問題を解決していく。

「時間を移動」「時を越えて様々な時代を行き来する」が舞台の話と無関係だったのでちょっと合わないと思いました。
ドウトク

ドウトク

!ll nut up fam

studio ZAP!(東京都)

2024/07/30 (火) ~ 2024/08/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

朧チームを観劇。
最近よく拝見している真田林佳さんが「死刑囚489号」。出演6人全員死刑囚の「ワンシチュエーションの会話劇」ということで、シンプルながらも面白そうと思いつつ観劇しました。

3チームのトリプルキャスト構成。何度か再演されているとのこと、人気の演目なのですね。

52号、313号、159号、23号、043号、489号の6人です。劇中では番号が出てこないので意味は無いですが、台本では先頭の数字すなわち 0,1,2,3,4,5 だけで表現されています。この6個の数字が先にあったのでしょうね。043だけ3桁ゼロパディングなのは何故だろうと思ってました。

313の森田和正さんが、SNSで考察をされてるのを見つけました。とても深く考えて役作りされているんですね。役者さんからの発信のおかげで、観劇後もまた楽しめます。ありがとうございます。

ネタバレBOX

4月にキャスト募集が公開されてて、以下のような条件が書かれていました。
・死刑囚52:主人公(男性30代〜)
・死刑囚313:暴力的な殺人鬼(男性20代〜)
・死刑囚489:純粋な殺人鬼(性別問わず20代〜)
・死刑囚23:猟奇的な殺人鬼(性別問わず20代〜)
・死刑囚159:芸術的な殺人鬼(性別問わず20代〜)
・死刑囚043:望まない殺人鬼(性別問わず40代〜)

043が40代以上なのはある程度大きな子供がいる設定だからかな。でも朧チームの沼舘ミオさんはもっと若いように思いました。

489は一人称が「僕」。チームによっては男性だったようです。6人の中でもぶっ飛んだクレイジーな役どころで、女性の方がハードル高かったのかもと思いました。真田さん元々のキャラを感じさせつつの振り切った演技が素晴らしかったです。

52は実は死刑囚ではなく、自分の関係者を殺した5人の殺人鬼に復讐するために、権力でこの場を作った。
52曰く。個人的な復讐が認められるべきであり、将来の社会はそのようになる。これはそのための、国が認めた実験である、と。

52は159、043、23をナイフで刺し、清々しいと言い放つ。313と揉み合いになり、ナイフを失う。489が313を刺して52を助ける。489は52に自分を刺させる。52は489の純粋さに、複雑な心境となる。

舞台セットはまったく無しで、とてもシンプルでした。それでも観客を引き込む、会話劇の力を見ました。再演を繰り返すほどの人気なのも納得です。

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