Naoki007の観てきた!クチコミ一覧

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キネマの大地―さよならなんて、僕は言わないー

キネマの大地―さよならなんて、僕は言わないー

椿組

新宿シアタートップス(東京都)

2025/02/10 (月) ~ 2025/02/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

インフル感染者が出て何公演か中止になったけど、追加公演をやった
内容はさすがは椿組と言いたい
外波山文明最後のプロデュース
満洲映画協会の存在は知らなかった
満州での映画製作を通して強く反戦を訴えながら、それが押し付けではない感じがする
「俺たちの映画に乾杯」
全編笑いがあふれる
そして常に映画を意識
夜の照明などというところで、中学生の頃の映画『アメリカの夜』を思い出した
最高に笑えたのは、役者澤田が寒い中ランニング姿でジョウロで降らす雨の中を、ヒロインの部屋に這い登ろうとするシーンを何度もやり直させられるところ
10分の休憩の間の物販も、踊り子役三人が「左にワンステップ、ツーステップ、ハイこちらの皆様」と言いながら踊ったりと実に楽しく観客を飽きさせない
舞台もさりげなく作りこまれており、特に満映の門のところは良くできていた
音楽が良くマッチして巧みな使い方だった
椿組のために書いた曲は5作目という山崎ハコの歌でのエンディングは、さっと紗幕が降りてそこにコーリャンの畑の写真に映画のエンドロール風のキャスト・スタッフが映し出され、最後は「終幕」が出て止まる
宣伝美術はずっと黒田征太郎
「退館時間の都合で面会はありませんが、外波山は10時頃からゴールデン街の『クラクラ』にいますので、感想などお聞かせください」というのも椿組ならでは

アンナの銀河

アンナの銀河

演劇集団nohup

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2025/01/22 (水) ~ 2025/01/27 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

異星人に占領される地球を逃れてシェルターで暮らす家族のお話しで、セットもほとんどスツールだけだったけど、なかなか面白かった
「地球大統領」になった小泉進次郎がポリ袋ネタとかいろいろいじられてて最高だった
演技で目を引いたのは主役アンナ(「アンナの日記」意識してるんだろうな)の山田ざべすだった
また反抗期の13歳からスタートした今井裕也が弾けてて良かった
最後の種明かしもなるほどと思わせた

なまえ(仮)

なまえ(仮)

劇団夢現舎

新高円寺アトラクターズ・スタヂオ(東京都)

2025/01/08 (水) ~ 2025/01/13 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「なまえ」を題材にしたオムニバス
夢現舎らしいひねりが加わり、時事問題の皮肉も入ったショートストーリーの連続で飽きない
まあいつもながら現実離れしているのだが
ギャグとしては最初の『ゴッドハンド』のふたりの医者藪(やぶ)と上手(かみのて)、患者の井出(いで!)が面白かったかな
この劇団らしい『私の伯父さん』(チェーホフ「ワーニャ伯父さん」)や『中華満珍楼』、『ぐっち』なども笑った
題名はすべて(仮)で、「観劇後お好きな名前を付けてみてください」

いつもここの階段を下りて行くのは何かが起こりそうと楽しみだ
今宵も『行燈パブ ろびっち』(受付)にてキャストの劇団員大川さんがお出迎え、飲み物を渡してくれる(当然ビールをチョイス)
いつも悪いのでわずかながらの差し入れを
後から客席でお菓子ももらう
渡されたプログラムは幼稚園か小学校1年の名札のデザインで、既に予約者個々の名前が書いてある(チケット代わり)
会場への両側の壁から名前、名前、名前!
会場は床も
そしてフィナーレで奥の幕が開くとそこにも名前、名前、名前

終演後には益田さんによる獅子舞で観客ひとりひとり邪を払ってもらった

そうか、日本の名字は世界一多い30万以上もあるのか

冥途遊山(めいどゆさん)

冥途遊山(めいどゆさん)

片肌☆倶利伽羅紋紋一座「ざ☆くりもん」

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2025/01/03 (金) ~ 2025/01/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

いやー、面白かった
This is the Entertainment‼️
のっけから照明と音響に掴まれ
ベテランと若手がかみ合ったキャスティングや 笑いと涙の塩梅も良い話の運びに
歌や踊りも自然に収まり、カーテンコールの 挨拶も素晴らしく、その後の影アナによる
「お裁き」の物販も嫌味なし

ネタバレBOX

開幕、ステージを照らしていたダウンスポットがサーっと客席を駆け上がると、雷鳴
いきなりこれに掴まれたが、その後も照明と音響素晴らしかった
セットは基本パイプと階段、両脇の彼岸花だけ、あとは移動する地蔵と吉原のシーンで登場する可動式赤格子(ダンサーの使い方上手かった)なのに、火事のシーンなど下手なセットよりリアル
途中の常套手段の布による川なども何気なく凝ってた
舞台中央でセリを使った(?)ドラえもんのポッケのようなスーツケースとか温泉(2階の湯もみもも良かったな)といった笑いの道具
観るうちにキャスティングにも関心
ベテラン(おつう(川手)、黄鬼(谷口)の笑い最高!)と若手が噛み合って、皆いい表情だった
話の運び(繋ぎ、場面転換)に感心、笑いと涙の塩梅も👏
他の舞台で良く違和感を感じる歌や踊りも自然に収まって効果的
衣装も時代考証などは関係なく華やかさも加わって舞台映えした
カーテンコールの挨拶も素晴らしく、客を誘っての一本締めも良かった
その後の影アナによる「お裁き」の物販も嫌味なし
強いて難を挙げれば花魁の言葉と所作(特に歩き方)かな
久しぶりに台本買ってきたけど、これを楽しむには視覚と聴覚動員しなきゃダメだね
冥途遊山(めいどゆさん)

冥途遊山(めいどゆさん)

片肌☆倶利伽羅紋紋一座「ざ☆くりもん」

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2025/01/03 (金) ~ 2025/01/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

いやー、面白かったなぁ😄
珍しくほとんど文句のつけようがない、これぞザ・エンターテインメント‼️

のっけから照明と音響に掴まれ
ベテランと若手がかみ合ったキャスティングや 笑いと涙の塩梅も良い話の運びに
歌や踊りも自然に収まり、カーテンコールの 挨拶も素晴らしく、その後の影アナによる
「お裁き」の物販も嫌味なし

ネタバレBOX

開幕、ステージを照らしていたダウンスポットがサーっと客席を駆け上がると、雷鳴
いきなりこれに掴まれたが、その後も照明と音響素晴らしかった
セットは基本パイプと階段、両脇の彼岸花だけ、あとは移動する地蔵と吉原のシーンで登場する可動式赤格子(ダンサーの使い方上手かった)なのに、火事のシーンなど下手なセットよりリアル
途中の常套手段の布による川なども何気なく凝ってた
舞台中央でセリを使った(?)ドラえもんのポッケのようなスーツケースとか温泉(2階の湯もみもも良かったな)といった笑いの道具
観るうちにキャスティングにも関心
ベテラン(おつう(川手)、黄鬼(谷口)の笑い最高!)と若手が噛み合って、皆いい表情だった
話の運び(繋ぎ、場面転換)に感心、笑いと涙の塩梅も👏
他の舞台で良く違和感を感じる歌や踊りも自然に収まって効果的
衣装も時代考証などは関係なく華やかさも加わって舞台映えした
カーテンコールの挨拶も素晴らしく、客を誘っての一本締めも良かった
その後の影アナによる「お裁き」の物販も嫌味なし
強いて難を挙げれば花魁の言葉と所作(特に歩き方)かな
熱海殺人事件 モンテカルロイリュージョン

熱海殺人事件 モンテカルロイリュージョン

KURAGE PROJECT

シアター711(東京都)

2024/11/06 (水) ~ 2024/11/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

月海舞由がプロデュースするKURAGE PROJECTは一昨年第1弾の「売春捜査官」を観ているが、その時以来のつかこうへい「熱海殺人事件」シリーズ
モンテカルロヴァージョンは初めてだった
まあ定番の作品だから、ほとんど役者の技量が試されているようなものだが、木村伝兵衛の岡田は表情が良くなかなかの迫力だった(もう少し前で観たかったな)
この役は阿部寛がやってたんだなと
月海は婦人警官水野としてよりも山口アイ子の方が良かった
このホンは相変わらず終盤迫ってくるものがある
セットはなかなか高級感ある机と椅子だった
月海がホワイトボードに書いていく名前の文字が下手で、「わざと?」と思ってしまった(笑)
音楽の音量が大きすぎてセリフ聴き取れないところが結構あったのは残念
しかしいろいろうるさいご時世にこのNGワードだらけの戯曲が上演されるのは嬉しい
こういう舞台も「セリフ変えろ」とかいう連中クソくらえ!
つかを知らない若い人はこういう舞台をどう思ってみるんだろうね

ジキルの告白

ジキルの告白

ISAWO BOOKSTORE

サンモールスタジオ(東京都)

2024/11/06 (水) ~ 2024/11/12 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

昭和に起こった実際の事件を元にした舞台シリーズ
かすかに記憶にある1973年の立教大学の事件で、最初の場面のナレーションでその頃のことを思い出す
開演前からかかる曲も懐かしい
中央の舞台で演じるのは1人~4人で、転換のたびに誰かがその前に立ってナレーションし状況が分かりやすかった
周囲に数名が座る演出も面白い
最初と最後は主人公大迫が「ジキルとハイド」のスティーヴンソンの詩を読む完全な反復で呼応していたが、そのとらえ方は異なってきていた
カラスの声や雨の音などの音響が絶妙だったのだが、最後の一家心中の前の回想シーンの井上陽水の歌はやかましすぎた
この場面は対比を狙ったのだろうが唐突な明るさでやりすぎという感じがした
これがせっかくの雰囲気を壊して残念だった
教授の「どう負けるかだ」というセリフがすべてを語っていたかな
キャストは皆好演で、大学職員阿久津役の清水ひとみがなかなかいい味を出していた

La Memoria del pueblo ~民族の記憶~

La Memoria del pueblo ~民族の記憶~

ARTE Y SOLERA 鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ舞踊団

渋谷区文化総合センター大和田・さくらホール(東京都)

2024/11/06 (水) ~ 2024/11/07 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

フラメンコ舞踊団ARTE Y SOLERA(アルテイソレラ)が、スペインでフラメンコ伴唱家に送られる最高賞を2度受賞しているアントニオ・デ・ラ・マレーナ氏をカンテに迎えて新しい舞踊作品を披露
これまで観たフラメンコで一番カンテが活躍、音楽の要素が強かった
なるほどこれが本当のカンテかと改めて認識
個々の舞踏も素晴らしかったが、群舞が良くまあこれだけ揃うものだと感心して観ていた
衣装替えの速さも驚き
表題のテーマはどじょうすくいのような動きが出てきたけど不明

江古田通りを曲がって

江古田通りを曲がって

劇団二畳

FOYER ekoda(ホワイエ江古田)(東京都)

2024/10/30 (水) ~ 2024/11/05 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

本当に狭い古民家だから、役者と面と向かう感じだが、皆いい表情をしていた
旅行の思い出はお母さんがひとり思い出作りに奮戦する感じだが、家計の事情など今の若い人には「そんなに?」という感覚かもしれないものの、自分らの子どもの頃には「そうだよな、なかなか家族旅行なんてね」というところもあって大いに共感できた(特にお父さん)
たきざわちえ象さんが分かっているのかいないのかのとぼけたおばあさんを好演
お母さんのイライラの様子も良かったな
その最初と最後の呼応もなるほどと思わせた
早坂君は訪ねてきた昔の教え子を思い出せず、昨今の事件のような詐欺か強盗と勘違いしてひと騒動
ちえ象さん早坂君でも良かったが、設定の年齢、病状からするとちょっと動きが俊敏過ぎたかな
丸山小百合さんは「おっ、いつもと違っておしとやかじゃん」と思ったが、途中でちゃんといつもの感じになった(笑)
やっぱり四方田さんの世界は、さりげない日常の中で起きるちょっとしたハプニングを温かく描いて、ほんわかした気持ちで会場を去ることができるから好きだな

さようなら、シュルツ先生

さようなら、シュルツ先生

MODE

座・高円寺1(東京都)

2024/10/18 (金) ~ 2024/10/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

フカ小説の舞台化などしてきた延長戦上にある今回のブルーノ・シュルツ
ポーランドのユダヤ系作家・画家でホロコースト犠牲者であるが、カフカの翻訳もしているから、「変身」などに雰囲気は似ているが、より退廃的であり、エロティックな雰囲気も色濃い
その短編小説6つを選んだオムニバス
最初の「年金暮らし」以外は話が連続していてわかりやすい
その「年金暮らし」はなんか身につまされるところがあった
退職したシムチオが年金をもらいついでに昔の職場で元の仲間とお喋りするのを楽しみにしていたのを、新課長に追い出され、小学校に入れてもらって子どもたちと楽しんでいたが・・・
あとの5話は脈絡はあるがよりシュール
お父さんは世界中の鳥の卵を集めて孵化してどうにもならなくなったり、ついにはザリガニになったり、死んだはずの後は息子にサナトリウムに探しに来られたり
お父さん役の榎本純朗がベテランらしい演技、息子の小谷真一も
若手の中嶋真由佳、松下美波、山本燿らは無表情の表情が印象的だったが、下着姿にもなっての快演
要は画家としてのシュルツが描いた「絵画」だったのかな
最初は皆で記念写真を撮るところで始まり、最後は退廃的な三幅の絵を形作って終わる(かなりの時間よく皆微動だにせずにいられるなと感心)
哀愁を帯びた音楽が印象的だった

遺失物安置室の男

遺失物安置室の男

劇団夢現舎

新高円寺アトラクターズ・スタヂオ(東京都)

2024/10/04 (金) ~ 2024/10/14 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

あなたがあなたであることを証明せよ
言われてみるとなんと難しい課題であろうか
それと「過去」をどう捉えるのか

簡素な舞台だが、遺失物の棚を描いた壁(幕?)の絵が、まるでパースのお手本のように実に上手く設定したバニシング・ポイントの遠近法が用いられ、しかも中央が明るく、光がさしているように描かれていることから、奥行きが感じられた
鈴の音が印象的
男の空虚な表情がなんとも言えない
古物商はじめ他のキャストもそれぞれの役の性格描写が良かった
ある意味シュールな演劇だが、なかなか楽しめた(証明の話は少しうすら寒くなった)
ミニビールのサービス付き
浴衣姿のひな役の久保さんに渡してもらうとちょっと縁日か浅草の演芸に来た気分になった

海のない島

海のない島

劇団B♭

テアトルBONBON(東京都)

2024/10/02 (水) ~ 2024/10/06 (日)公演終了

実演鑑賞

正直もったいない気がした
趣旨や良し、ガマの中で50年間時間が止まっている(同じ毎日が繰り返される)という発想も良し、キャストの演技も悪くない
終盤にかけて一応コンセントレートしていくが、つまらぬギャグなど多すぎて、こちらの感情移入も途絶えがちになる
報道番組とのシンクロという設定は悪くないとしても、そこにああもギャグが多くては・・・
特に「筑紫」絡みのギャグはシラケることが多かった
暗くならないようにというのであれば、いくらでも他のやり方があろう
いや、ギャグのレベルがもっと高くても救われたかもしれない
30年前の作品の再演というが、初演はどんなだったのだろう
全体的にも粗さが気になるところが結構あった

白魔来るーハクマキタルー

白魔来るーハクマキタルー

ラビット番長

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2024/09/26 (木) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ラビット番長は将棋ものばかり観てきたが、こういう世界もあるんだと驚く
大正4年に北海道で起こった日本最大の獣害事件である三毛別熊事件を下敷きにしている
巨大な熊に次々と襲われる村の人々の恐怖
惨劇の有様はなかなか生々しくおどろおどろしかった
下手なホラーよりはるかに背筋が寒くなる
途中失神した観客がいてしばし中断
この恐るべき自然の驚異に「差別」「侵略」といった社会派的要素が加わる
キャストは皆好演だったが、子役二人が可愛い
今回も松沢英明がいい味を出していた
元キーチェーンの北澤友梨枝の「死に方」も凄かった
障子が実にうまく使われていて、その開け閉めで場面の切り替えもスムーズに行われていた

るつぼ

るつぼ

演劇ユニット King's Men (キングスメン)

座・高円寺2(東京都)

2024/09/25 (水) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2024/09/26 (木) 18:30

久しぶりのアーサー・ミラー
アーサー・ミラーに初めて出会ったのは半世紀近く前の大学の教養の英語の授業で「A View from the Bridge」だった
「るつぼ」はその2年前の17世紀末の魔女狩りを素材にマッカーシズムへの警鐘を鳴らした作品だ
中心となるアビゲイルとプロクターの妻の二役の絵里とプロクター役の平澤智之、それにその召使メアリー役の山本麻祐が熱演だった
簡素なプロジェクションマッピングのみのセットで会話劇を引き立たせていたのだろうが、さすがにそれて休憩なし2時間40分は長かったな
それと多様な起用という趣旨はわかるものの、キャストの力量に差がありすぎた
台詞のない時には棒立ちの者や、男優陣には滑舌が悪い役者も

スープラに乗って

スープラに乗って

東京マハロ

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2024/08/30 (金) ~ 2024/09/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

開演前から舞台にはスポットライトを浴びた赤い自転車
「生き物で逃げたら怒られるのは人間だけや」と人には逃げろと言っておきながら、自分は逃げない主人公スープラ
源氏名が車の名前の大阪のソープランド
ポルシェ、アウディ・・・
子連れの男に逃げられ、風俗で働きながらそのなさぬ仲の娘を育て・・・
それでもみんなに愛想をふりまきつつ胸を張って生きている
常に明るく生きるから周りは味方だ
まあ悪人は登場しない
弱みを持った人間がほとんど
時々阪神ネタのギャグが笑いを誘う
赤い服の主演福田ユミが赤い自転車に乗って、舞台の4本の建設鋼材の周りを走る
セットはこの鋼材と枠だけの箱状のもの
鋼材は途中大阪万博のパビリオン建設現場で上に鋼材を橋渡されるが、出展中止で取り壊される
キャスティングが良い
福田はある意味突っ張って生きているスープラを上手く表現していた
娘役の若い佐竹桃華も世界最年少ハリポタを演じただけのことはあって福田にあうんの呼吸で絡んでいた
個人的には寮母役のベテラン小林美江の演技が好きかな
しかし自転車で狭い舞台を走るのも大変だろうが、母娘の4本の柱の周りの追いかけっこは速かったな
ラジオ体操のダンスは皆良く揃ってた
スープラに元気もらったよ

おかしな二人 女性版

おかしな二人 女性版

劇団つばめ組

池袋シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2024/08/22 (木) ~ 2024/08/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

いやー、面白かった‼️
オリジナル観てないけど、見事な女性版リメイクでまるでこれが元みたいだった
キャスティングの妙で、お キャストそれぞれいい味を出していた
セットも良く作られていて、窓が効果的
段ボールが「散らかし」と「片付け」の象徴に使われているのもなるほどと思えた
特筆すべきはライティング
微妙な調光、時間の経過を表わす窓の光の色、ふたりの決別の際の赤と青のライティングは見事
その服の色の演出も効果的だった

ゴシック

ゴシック

風雷紡

小劇場 楽園(東京都)

2024/08/14 (水) ~ 2024/08/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

風雷紡はこのところ連合赤軍ものばかり観ていたので新鮮だったが、「社会派的視点」は時代を変えても「ゴシック」になってもゆるぎない
不要なものとは?
社会にとって、コミュニティにとって、「家」にとって・・・
一昨年の演劇ユニット鵺的の『バロック』のオマージュだという風雷紡版「姨捨て」だが、「姨」よりもハンディを負った娘繭(吉水)と旧弊を背負った「名家」の滅びに主眼があるように思われた
「六道」での「謎解き」のプロットも上手かった
あの扱いにくい楽園の空間が実にうまく使われていた
基本的に役者動線は対角線、通常の入り口まで使われる
途中「壁」が変化するとそこを出たり入ったり(「六道」の輪廻転生)
中に入るとまず目につくのはステージの奥に設置された大きな鳥居(先日の「小夜の月」の意味も明るい鳥居とは正反対)、そこに下がる提灯、そして壁が不気味
何と言っても提灯の点滅を含め暗めの絶妙な照明がその様を倍加させていた
相変わらず祥野獣一の存在感は凄かった
出てくるだけですごい迫力
吉水雪乃の変化も素晴らしかった

雑種 小夜の月

雑種 小夜の月

あやめ十八番

座・高円寺1(東京都)

2024/08/10 (土) ~ 2024/08/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

あたたか~い気持ちになって劇場を後にしたよ
家族って大切だよな
徒歩5分の駆け落ち(笑)
みんなおせっかいで温かいよ
確かに背伸びせず、手の届く範囲の幸せって大事かもしれない
「田舎びと」になるのもいいかな
37年変わらない化け猫小夜はどこにいったかな
ひょっとして我が家の長老猫ヤーちゃんに会いに来てるかな
相変わらず空間の使い方が絶妙
両側に客席を配置
ステージの上高く神社の屋根の骨組みが下がっているのだが、ライトが当たるまでほとんど気づかない
そのステージ上を目いっぱい使い、時にキャストが走り回る
そのため場面転換は素早く、テンポよく進む
キャスト皆感情表現も良く、キャスティングも頷ける
音楽はいつも通り生バンドで
カーテンコールの演奏もいつものように
ギター以外は浴衣姿
ピアノとパーカッション担当は忙しいが、ひとり浴衣が短いと思ったら、狭いところで結構動き回るから(笑)
上の屋根の照らし方含めライティングが絶妙だった
団子屋の客として現れた日替わりゲストの山崎バニラの白石市観光大使ぶりが面白かった
ステージ降りたところの観客に観光大使の名刺渡してた(笑)
しかし、演出・脚本の堀越くんが6年間実家の団子屋で修行してたとは知らなかったよ

白き山

白き山

劇団チョコレートケーキ

駅前劇場(東京都)

2024/06/06 (木) ~ 2024/06/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

昨年の「ブラウン管」でおや?と思った劇チョコがフェアウェイに戻ってきた
やはり彼らの永遠のテーマは観る者に戦争(に向かわせる「体制」)という不条理を再認識(あるいは若者にとっては認識か)させることだと思う
今回は歌人斎藤茂吉もその軛から逃れられなかった状況を描きながら、戦後間もない混乱の中で国民がいかに多大な苦労を背負わされていたか、どんなに大きな傷跡(心の)が残っていたかを浮き彫りにしていた
村井國夫が体調不良により降板し、緒方晋に交代したが、そんなことはみじんも感じさせない演技だった
彼が演じる斎藤茂吉は当時今の自分と同世代
戦時中に「戦争詠み)」と呼ばれる戦意高揚の短歌を詠んだことで、敗戦後「戦犯歌人」と罵られることになり、歌が詠めなくなっている
そのジレンマや、息子たちへぶつける怒りを味のある演技で描いていた
いつも客演女優が素晴らしい演技を見せてくれるが、今回の柿丸美智恵は流暢な山形弁(途中突然標準語に切り替え爆笑)を操り痛、秘めた悲しみを明るさでかき消したくましく生きる農婦を飄々とした演技で見事に表現していた
劇団員3人は安定の演技
特に心に残る場面2つ
〇 西尾が父である緒方(茂吉も医師)に、軍医として行った仙台の病院で、赤ん坊を背負った傷だらけのお母さんに背中の子が死んでいると告げてしまい、気が付いたら母も絶命していたことを告白するシーン
〇 柿丸が自分の息子たちを「万歳、万歳」と叫びながら戦地に送り出してしまったのだと悔恨の表情で語るシーン
駅前劇場という狭い空間の中で、蔵王連峰を描いたパネルの美術が秀逸だった
それをうまく生かすライティングのおかげで、朝昼夕夜を見事に表現できていた(劇団公式Ⅹ舞台写真参照)
アフター・アクトは今回は浅井伸治だけがシリアス
ある意味双方から見捨てられた「ウェーク島の戦い」での戦友の死は会場がシーンとなっていた
西尾友樹はなんとお料理教室(笑)
劇中話とシンクロしているのだが、味噌汁を作りながらの軽妙な語りは笑いの渦だった

いつかの交差点で、僕たちは異次元の希望を探す

いつかの交差点で、僕たちは異次元の希望を探す

kazakami

スタジオ空洞(東京都)

2024/05/05 (日) ~ 2024/05/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「当事者」と言って良い30前後の登場人物の視点から、現下の少子化問題の諸要素を網羅していた
細かい場面をうまくつないでいおり、転換のテンポが良かった
リーディングでも一々前に出て「演ずる」ので変化もあり、 キャストの表情もはっきり見えて良かった
そのキャストの表情、リーディングにはもったいないくらい生き生きしていた
花火のメタファーが効いていた
第2場が説明的になりすぎていたのと、井口と江の会気で不自然に「正直」が多すぎたこと、飲食店での注文がやや唐突だったことが引っかかった点かな
当該世代が「これが問題」と思うのがどういう点かは浮き彫りにされて、シングル貫きそうな30代娘ふたりの親は耳が痛い点もあったが、やっぱり解決策は分からないねぇ

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