ミュージカル『タイタニック』
梅田芸術劇場
日本青年館ホール(東京都)
2018/10/01 (月) ~ 2018/10/13 (土)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/10/06 (土)
日本青年館ホールにてミュージカル「タイタニック」を観劇。
1912年4月10日、豪華客船タイタニック号の悲劇の処女航海の様子をミュージカル化。一体どのような作品になっているのだろうと興味深く拝見させて頂きました。映画版の「タイタニック」は何度も観たことがあり、あまりにも悲惨な沈没のシーンが脳裏に焼き付いていましたが、ミュージカル「タイタニック」は同じく沈没までの様子が描かれてはいるものの、それ以上にあの日あの時間あの豪華客船に乗船していた様々な人々の考え方、生きざまに重きを置く形で作られており、自分を含む人間の生涯について改めて考えさせられた深い作品でした。
多くの人々の夢と希望を乗せて出港した豪華客船が大西洋に沈んだ事故。映画版ではあまり感じることが出来ませんでしたが、同じ乗客でも一等、二等、三等によって対応が大きく異なっていた事実には憤りを感じる部分あり、当時の時代背景を考慮すると致し方ないと感じる部分あり、、複雑な気持ちになりました。現代社会においても格差や差別などが存在するのは悲しい限り。やはり誰もが同じ人間であることを理解し、お互いをリスペクトし合える世の中にしないといけないと改めて感じました。また、タイタニック号の沈没は人災だったのか天災だったのか、防がなかったのか防げなかったのか、などについても考えさせられました。結論的にはやはりトム・サザーランド氏が仰っている通り「誰かに非があるのではなく、それぞれが自分の出来るべストを尽くした結果、偶然が重なりあって起こった悲劇」であったのかなと感じています。途中20分間の休憩を挟む2時間30分の公演。可動式の舞台装置や照明の使い方、多彩なミュージカルナンバーによって時間が経つのがあっという間でした。とても贅沢で上質な2時間30分を過ごせて大満足です。
僕が嫌いな音
さるしばい
萬劇場(東京都)
2018/10/03 (水) ~ 2018/10/07 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/10/03 (水)
大塚萬劇場にて猿芝居「僕が嫌いな音」を観劇。2015年の公演から連続して拝見させて頂いているお気に入りの劇団さんの一つ。毎回笑いの中に人情味溢れる優しいストーリーが詰め込まれていて温かい気持ちになれる素敵な劇団さんだと感じていますが、今回の作品にも同様の感動がありました。
まず猿芝居さんの一つの特徴だと感じる趣向を凝らしたオープニング。今回はプロジェクションマッピング?での光を駆使したカッコいいタイトル&メンバー紹介で、始まって早々から見応えがありました。本編はこれまでの公演以上に笑いのシーンが多く、一つ一つのやり取りが面白いと感じる反面、無理に笑いを取りにいくようなシーンはやや不要であったかなとも感じました。その笑いのシーンがストーリー進行上重要なポイントとなるのなら良かったのですが、断片的な面白さが多く、何となくショートコントを連続して観ているような感覚になりました。とはいえ、終盤にかけての涙を誘う感動的な展開はさすが。親子(特に今回は頑固親父と息子という設定)の複雑な心情が上手く描けており、とても心温まるストーリーだったと思いますし、今回のタイトルの意味をようやく理解しました。細部までこだわった舞台セット、劇中歌も素晴らしい。カーテンコールでのポンコツぶり?も含め猿芝居さんならではの公演でした。
蜜柑とユウウツ~茨木のり子異聞~
グループる・ばる
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2018/09/13 (木) ~ 2018/09/23 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2018/09/21 (金)
東京芸術劇場にて グループる・ばる「蜜柑とユウウツ-茨木のり子異聞-」を観劇。折込チラシを見て気になった作品。32年の歴史がある団体さんのようですが、個人的には今回が初見でした。
大正から平成までを生きた女性詩人・茨木のり子さんの人生と遺された1冊の詩集をめぐる物語。と言っても恥ずかしながら茨木のり子さんのこと自体ほとんど知識がない中での観劇。会場の客層も年配の方が多く、物語の世界に入っていけるのか若干心配な部分もありました。しかしベテランの役者さんの巧みな演技もあり、序盤から物語の世界に引き込まれました。現実と死後の世界が入り交じる不思議なシーンは描き方が面白く、その後も異なる時空シーンが度々登場し、物語に深みが増している印象。緩急の少ないやや単調なトークシーンも多かったような印象もありましたが、3人の“のり子”が登場する複雑な展開は頭をグルグル動かし見応えがありました。茨木のり子さんの遺した言葉は深い。今回の観劇を機に茨木のり子さんの詩集や資料を少し勉強してみようかと感じています。
かのような私
文学座
文学座アトリエ(東京都)
2018/09/07 (金) ~ 2018/09/21 (金)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/09/14 (金)
文学座「かのような私 -或いは斎藤平の一生-」を観劇。折込チラシを見て気になった作品。信濃町の文学座アトリエも初めて訪れました。
1948年(過去)~2018年(現代)、さらに2028年(未来)までの変化し続ける日本とその時代を生きる斎藤平という一人の人物の生きざまを描いた作品。各時代を彩ったスターや主要な出来事などがスライドで紹介される場面はなかなか興味深く、まさに激動の日本といった印象。そしてその激動の日本を生き抜く主人公・斎藤平の生きざまがとてもカッコいい。時代の移り変わりとともに平の価値観や考え方も変化していく部分がある一方で変化しない部分もある。どちらも正解であり、やはりどんな時代であっても真面目に柔軟に向上心や信念を持って力強く生きることが大切だということを改めて感じました。もちろんこれは物語の主人公だけでの話はなく、全ての人間に当てはまること。自分のこれまでの人生、これからの人生についてなど色々と考えさせられる部分が多くあったような印象です。本当に人生いろいろ。2時間を超えるやや長めの公演でしたが、最後まで飽きることなく夢中になって拝見させて頂きました。欲を言えば年を重ねたときの役は見た目の変化だけではなく、話し方や仕草などにも年相応の変化が欲しかったと思うのと、ストーリーなのか各時代の掘り下げ方なのか、あと一捻りあれば尚良かったと感じました。ただ、現代で終わりではなく未来までも描かれていた点や家電などの小道具の変化もリアリティーがあった点などは良かったです。
にっぽん男女騒乱記
トム・プロジェクト
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2018/09/05 (水) ~ 2018/09/12 (水)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/09/07 (金)
東京芸術劇場にて トム・プロジェクト「にっぽん男女騒乱記」を観劇。
敗戦から7年後の昭和27年。米国キャンプ地から程近い花街と、当時子供達の娯楽であった紙芝居をテーマとした作品。登場人物は5人と少ないものの、それぞれに複雑な事情を抱えており一人一人が主役の印象。どの登場人物も一癖も二癖もある人物像でありながら、決して憎らしくない、むしろ共感を覚えるくらい愛しく感じるのは、皆共通して人情味溢れる素敵な心を持った人物像であることが要因かもしれない、、そんなことを感じながら拝見させて頂きました。
音無美紀子さん演じる千鶴、高橋長英さん演じる源之助の双方の言い分、言い回しが絶妙で、お互い何でこんなに罵り合っているのだろうとも感じましたが、物語が進むに連れて明らかになった真実を知り、なるほどと納得。と同時に、上原理生さん演じる陽太の存在が一段と大きく感じました。やはり仮にどんな理由があったとしても、子を憎む親はいないと思いますし、逆に子も親をもっともっとリスペクトし大切にしなければならないと再認識したような気がします。中でもクライマックスシーンでの千鶴と源之助の夫婦ならではの会話はとても重く、心に響きました。今ではすっかり見なくなった紙芝居屋さん。自分も実際に街で紙芝居屋さんを見たことはありませんが、どこか懐かしい感覚になるのは不思議なものです。テレビやインターネットなどの普及により人々の暮らしは格段と便利になったと思いますが、庶民が紙芝居という娯楽で盛り上がっていた時代も決して悪くはなく、反って便利になる一方で失っているモノも多いのだということを改めて感じました。個人的にはもう一度紙芝居で沸く世の中に戻っても良いのではないかと思います。約110分の公演の中に様々な要素が複雑に絡み合っていてとても奥深く見応えのある作品でした。エンディングでは昭和27年だけでなく、その後の時代背景やそれぞれの生き方をナレーションしていた点も素敵な終わらせ方だなと感じました。
星の砂
日穏-bion-
「劇」小劇場(東京都)
2018/08/24 (金) ~ 2018/09/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/08/26 (日)
下北沢「劇」小劇場にて日穏-bion-「星の砂」を観劇。
先月に上演された「月の海 2018」の続編、、という訳ではなく、前作の主人公たち(望月静と豊の姉弟)の両親の出会いを描いた作品。時代設定は昭和44年。日穏-bion-さんが得意とされる昭和の物語。冒頭シーンこそ前作の望月静さんが登場するものの、ナレーションが終わると一気に昭和44年にタイムスリップ。質屋兼定食屋という舞台設定が面白い上に、店主役の剱持直明さんの演技が面白さに拍車をかけている印象を受けます。質屋兼定食屋という珍しい形態のお店になった経緯も紹介されますが、とても自然な感じで違和感がなく、むしろよく出来ているなと感じました。劇団主宰の岩瀬晶子さんが栃木県のご出身ということもあり、日穏-bion-さんのお芝居には栃木の豆知識的な要素がさりげなく登場する点も特徴に感じます。以前の作品「夕顔」で登場したかんぴょうの歌が再び登場したのは笑いました。今回も随所に心地好い笑いを感じる一方で、終盤の涙を誘う感動的なストーリー、前作とのリンク感は素晴らしいの一言。今回も上質な心温まる作品を観劇することが出来て大満足です。望月稔役の内浦純一さんはどんな役でもハマり役に感じられるのは凄い。定食屋の娘役の井上希美さんの好演も印象的で、剱持さんとの親子役をずっと見ていたくなりました。その他の役者さんも皆さん素晴らしく、あーこういう人いるいる、と思いながら拝見させて頂きました。
志村魂 「一姫二太郎三かぼちゃ」
明治座
明治座(東京都)
2018/08/17 (金) ~ 2018/08/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/08/19 (日)
志村けん一座 「志村魂13 一姫二太郎三かぼちゃ」を観に明治座へ。今年で13回目の公演。総合演出のラサール石井さんがコメントされているように、すっかり夏の風物詩になった印象があります。個人的には昨年に続いて通算5回目の観劇。
ダチョウ倶楽部さんによるオープニングから始まり、バカ殿、ひとみ婆さん、変なおじさん、志村老人、子供けんなど志村けんさんの名物キャラクターが登場するコント、さらに志村けんさんによる三味線の生演奏、1時間を超える長編の松竹新喜劇といった基本的な流れはこれまでの公演と同じで、演目自体も見たことがあるものが多い内容ではあったものの、何度見ても新鮮な笑いが生まれるのはやはり少しの間の変化やアドリブなど、志村さんを始めとする出演者さんの技量の高さだと感じます。テレビで見るのも良いですが、生の笑いを体感出来るのは舞台ならでは。会場に集まった小さな子供から年配の老夫婦、茶髪にピアスのイケイケのお兄ちゃんまでもが大笑いするような舞台はなかなかないと思います。どこまでが台本でどこまでがアドリブなのか。チケットが完売でなければ何度でも観たい公演です。これこそ究極の国民的エンターテイメント。志村ファミリーの方々と同じ会場で同じ時間を過ごせたことが幸せです。今後も長く続くことを願っています。
デイドリーム・ビリーバー
ジグジグ・ストロングシープス・グランドロマン
上野ストアハウス(東京都)
2018/08/01 (水) ~ 2018/08/07 (火)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/08/06 (月)
上野ストアハウスにてジグジグ「デイドリーム・ビリーバー」を観劇。個人的には初見の団体さんでしたが、“旗揚げ以来1000人規模の動員を続ける噂のユニット”という紹介文が示す通り、とても心温まる見応えのある作品を上演されている団体さんでした。
大型台風の被害に見舞われた田舎町において、様々な試みで街の復興に向けて奮闘する人々の物語。登場人物一人一人の設定がしっかりとしており、演じる役者さんも全員がはまり役と感じました。様々な人物像、様々なストーリーが複雑に絡み合う奥深い展開も面白い。相関図を整理しながら、どんな展開が待っているのだろうと想像を膨らませて拝見させて頂きました。マイナス面、ネガティブな考えをプラスに捉える逆転の発想というか、同じ事象に対しても考え方一つで大きく変わる、変えられるということを再認識させてくれるような素敵なお芝居でした。皆さんの演技力が高く、本当に実在する町の様子を見ているかのような感覚になったのは素晴らしい。全員が憎めない良いキャラクターで、舞台上の2時間だけでなくずっと見ていたくなる衝動にも駆られました。劇中歌の選曲、入れるタイミングも優れていると感じました。他の作品も観てみたいです。
清らかな水のように~私たちの1945~
ドラマデザイン社
新宿シアターモリエール(東京都)
2018/07/24 (火) ~ 2018/07/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/07/29 (日)
ドラマデザイン社「清らかな水のように~私たちの1945~」を観にシアターモリエールへ。毎年夏は戦争をテーマとした作品を観劇するようにしていますが、戦後73年の今年はこちらの作品を観劇。
修学旅行で沖縄を訪れていた2018年の女子高生2人が戦争真っ只中の1945年にタイムスリップしてしまう物語。モノに溢れ平和な現代ではまず考えることが難しい“濁った水”や“蛙”を食べなければならなかった様子、銃弾が腕に当たり生きるためには腕を切断する選択をしなけばならなかった様子など、戦時中の悲惨さをリアルに伝えるシーンが幾つかあり、全体として当時の状況をよく研究し作り込まれている印象を受けました。シリアスな場面が登場する一方で、皆で楽しく歌う歌唱シーンが上手く盛り込まれていたのも秀逸。作品全体が重くなりすぎず絶妙なバランスを取っていたと感じました。どんな苦難にも負けず懸命に生きる学徒たちの姿には感銘を受けましたし、今の平和な日本があるのはこうした過去があるということを絶対に忘れてはいけないと再認識しました。若い役者さんが多い公演でしたが、皆さん演技力が高く、内容の濃い80分だったと思います。オープニングで存在が登場する“平和講話をする高齢女性”がクライマックスシーンでリンクする伏線回収もお見事。このような良質な作品だけに無理に笑いを取りに行く細かいシーンはやや不要であったという印象も受けたものの、戦後73年を迎えた2018年夏にとても意義のある素敵な公演だったと感じました。期待通りの満足度です。
幕末地球防衛軍
劇団 演劇らぼ・狼たちの教室
劇場MOMO(東京都)
2018/07/25 (水) ~ 2018/07/29 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/07/27 (金)
劇場MOMOにて 劇団 演劇らぼ・狼たちの教室「幕末地球防衛軍」を観劇。坂本龍馬、沖田総司、海舟などが登場する幕末の物語。ただ、それら幕末に活躍した歴史上の人物の中に何故か戦国時代の武将・織田信長も登場。幕末の人物6名が結成した地球防衛軍vs織田信長が戦うという構図で進んでいくストーリーが斬新且つユニークで面白い。独特の発想だと感じました。また、劇中歌のチョイスも個性的。場面に合っている曲もあれば、そうでもない曲もあったと感じますが、何となく中毒性が生まれてくるような脚本、演出の作品だという印象を受けました。小劇場ということもあり、何人かの役者さんの甲高いボリューム感のある台詞はやや聴こえにくさ(不快感)もあったものの、最後までどのような結末になるのか分からず興味深くワクワクしながら楽しめた点は良かったと思います。去年拝見した「キャプテン★浅草」のときも感じたような記憶がありますが、劇団主宰のうちやま きよつぐ氏は戦隊モノのヒーローに憧れた少年がそのまま大人になったような方という印象を受けます。世界観が面白いので、他の作品も観てみたくなります。役者さんでは坂本龍馬役の新美さんの演じ方が特にカッコ良く映りました。こだわりが感じられる凝ったフライヤーも◎です。
LOVE LETTERS
アートユニット ナイトフライトシアター
赤坂CHANCEシアター(東京都)
2018/07/21 (土) ~ 2018/07/22 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/07/22 (日)
アートユニット ナイトフライトシアターによる朗読劇「Love Letters」を観に赤坂CHANCEシアターへ。初見の団体さん。朗読劇というスタイルの作品を観るのも初めてでした。男女2人の役者さんによるおよそ110分の朗読劇はとても深い深い幼なじみの恋の物語。朗読劇なので特に舞台セットもなく役者さんも座ったままの進行でしたが、2人の役者さんが読み上げるお話をじっくりと聴いていると頭の中に自然と浮かび上がる登場人物像。同じ話を聴いていても捉え方は人それぞれなので、この頭に浮かぶ登場人物像も人それぞれなはず。そう考えるととても奥深く、これこそが朗読劇の魅力の一つなのかもしれないと感じました。電話ではなく手紙という原始的な方法を通して繰り広げられる2人の恋愛ストーリーは波乱万丈の展開であり、お互いの心情の変化や環境の変化、年の重ね方など細かい設定がとても凝って描かれていて非常に見応え(聴き応え?)がありました。登場人物2人のとんでもない愛情と切なさを感じた印象。おふたりの読み上げ方やさりげなく変える表情、仕草なども絶妙でした。朗読劇ってこんなに奥深いのかという発見があった素晴らしい作品。目線を動き回す必要もなく、ゆったりとした雰囲気で集中して楽しめた作品でした。
降臨ハーツ
アリスインプロジェクト
新宿村LIVE(東京都)
2018/07/11 (水) ~ 2018/07/16 (月)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2018/07/16 (月)
アリスインプロジェクト「降臨ハーツ」を観に新宿村LIVEへ。こちらの団体さんの作品観劇は2010年の「Alice in DeadlySchool」以来8年ぶり2回目。今回は坂本龍馬、西郷隆盛、沖田総司など歴史上の人物が登場する時代劇モノ…と思いきや、そうした名だたる武士達の子孫?や管理官、降臨phoneなど未来的な要素も登場する不思議な世界観。このような世界観の作品は普段あまり観ないためか、とても斬新に映りました。一方でややストーリーの中に入っていけない部分もあり。。とはいえ、殺陣やダンスのシーンなどは皆さんとてもカッコ良く、なかなか見応えがある作品であったと思います。“降臨”シーンに相応しい照明の当て方やオープニング、エンディング時に流れていた主題歌なども印象的でした。
月の海 2018
日穏-bion-
「劇」小劇場(東京都)
2018/07/11 (水) ~ 2018/07/17 (火)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/07/15 (日)
下北沢「劇」小劇場にて日穏-bion-「月の海 2018」を観劇。2014年から連続で観劇させて頂いているお気に入りの劇団さん。今回の作品は2年前の再演ということで2回目の観劇でしたが、初演時の感動が蘇ったうえ、更に細かい部分までじっくりと拝見させて頂くことが出来ました。“笑って泣ける”とはまさにこのような作品にピッタリと当てはまる言葉であり、敢えて狙いにいく笑いではなく、ストーリーを進めていく中で自然と生まれる心地好い笑いと、ジワジワと込み上げてくる感動的なお話にとても感銘を受けました。登場人物のキャラクター、それぞれの関わり方、ストーリー展開、物語の終わらせ方などなど、全てにおいて上質な作品。この作品を観ていないと人生損をしている、と言えるくらいの名作に感じます。自信を持ってオススメ出来る素晴らしい作品。日穏さんの作品を観劇させて頂くと、毎回色々なことに気付かされます。10周年記念公演の2本目(来月)も楽しみです。
Episode of 西遊記
激弾BKYU
駅前劇場(東京都)
2018/06/13 (水) ~ 2018/06/19 (火)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2018/06/14 (木)
激弾BKYU「Episode of 西遊記」を観に下北沢駅前劇場へ。昨年同時期の「カンプラチンキ」に続いて2回目拝見の劇団さん。長く続いていらっしゃる劇団ということもあり、全体的に役者さんもベテランの方々が多い印象。前作も今作もコメディーがベースとなっており、取っ付きやすい作風であると感じました。ただ、笑いの質・内容的には思わず「なるほど!そうきたか」と唸るような巧みで上質な笑いというよりは、子供受けしそうな誰もが分かりやすい笑い(よく言えば王道な笑い、悪く言えばやや幼稚な笑い)であると感じました。それでも前説の段階から会場を温め本編でも笑いを誘っておきながら、最後は心温まる感動的なエピソードに仕上がっており、ストーリーは良かったと思います。有名な「西遊記」とは一味違うオリジナル作品で楽しめました。
動き出すカーテン
TAIYO MAGIC FILM
ウッディシアター中目黒(東京都)
2018/06/07 (木) ~ 2018/06/11 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/06/10 (日)
TAIYO MAGIC FILM「動き出すカーテン」を観にウッディシアター中目黒へ。前身の太陽マジック名義の頃から何度も拝見させて頂いている大好きな劇団さん。とにかく毎回緻密に計算された天才的な脚本と様々な仕掛けに感動するのですが、今回も期待を裏切らない素晴らしい作品でした。本公演とは異なる番外公演という形で上演された今回の作品は旅館を舞台に繰り広げられるシチュエーションコメディー。同じ旅館、同じ部屋という共通点はあるものの、序盤から二つの異なる世界が展開され、いきなりのTAIYO MAGICワールドに。少し見逃すと「?」という事態に陥りがちな複雑な展開も、ナビゲーターのような案内役の登場によって非常に解りやすく創られており、夢中になって観劇させて頂きました。ストーリーの詳細は割愛しますが、コメディー仕立てでとことん盛り上げておきながら、感動を呼ぶクライマックスシーンへの持っていき方が秀逸。幾つもの伏線回収もお見事でとても良質で素敵な作品でした。
アニー
日本テレビ
新国立劇場 中劇場(東京都)
2018/04/21 (土) ~ 2018/05/07 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/05/06 (日)
ミュージカル「アニー」を観に新国立劇場へ。2010年以来8年ぶり3回目のアニー観賞。舞台セットは勿論、ストレートヘアーのアニーやストリートチャイルドが見られなくなったり、タップキッズ役に代わり新たにダンサー役が登場したりなど、様々な面において“進化”を感じました。オープニングの孤児院シーンから、エンディングのクリスマスシーンまで全てが上質で圧巻。30年以上も繰り返し上演されているのが納得の国民的なミュージカル作品だと思います。孤児院暮らしから一転し、不自由のない華やかな暮らしを迎えたものの本当の幸せは両親を見つけ出し一緒に暮らすことだと訴えるシーン、両親が残したネックレスを離さす大事に持ち続けようとするシーン、両親の死を知らされるシーンなどなど、アニーの心情が上手く表れる見所を挙げたらキリがありません。実際の犬サンディとの相性もバッチリ。「あさが来ればトゥモロー♪あしたは幸せ♪」というお馴染みのミュージカルナンバーは何度聴いても素晴らしい。今年も数々の感動を与えてくれたアニーにあっぱれです。
Starting Over
“STRAYDOG”
ワーサルシアター(東京都)
2018/04/29 (日) ~ 2018/05/06 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2018/05/06 (日)
10年前の2008年に他の劇団さんで上演され、とても印象に残った大好きな作品を、今回STRAYDOGさんで上演されるという情報を知り八幡山ワーサルシアターへ。過去を捨て新たなスタートを切ろうとしている一人の男の物語。原作のユニークさ、メッセージ性の強さは10年前も今回も満点だと思っていますが、同じ脚本でも演じる人や演出が違うとこんなに変わってしまうものなのかというのが率直な感想です。役者さんのエネルギッシュな熱演は素晴らしかったですが、やはりこの劇団さんの数々の公演に共通して言えるのは、不必要なダンスシーン、カラオケのような歌唱シーンが盛り込まれていることでイマイチ何を伝えたいのかが分からなくなる部分があることかと感じます。特に今回のようなスピード感のあるコメディー作品において、流れを断ち切るようなシーンが幾つか見られ残念でした。劇団の特徴なのかもしれませんが、個人的にはあまり好みの演出・脚色ではありません。初見の役者さんですが、武田義武役の赤羽一馬さん、荒木輝役の聖あきのさんはバカップル役を好演されていたように感じました。ただ騒ぐだけではない面白さがありました。
メリー・ポピンズ
ホリプロ/東宝/TBS/梅田芸術劇場
東急シアターオーブ(東京都)
2018/03/18 (日) ~ 2018/05/07 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/05/04 (金)
世界最高峰のミュージカルと言われている「メリー・ポピンズ」の初めての日本公演を観にシアターオーブへ。世界各国で上演され、世代を問わず愛されている名作。とは言え、個人的には映画版を観たことが無く予備知識が乏しい中での観劇でした。しかしながら、オープニングから舞台装置の凄さに圧倒され、生演奏で次々に繰り広げられるミュージカルナンバーの数々に終始感激。星5つでは足りないくらい大満足のいく観劇となりました。仕事に打ち込むあまり妻子との関係性が疎遠になってしまった父親。その家族の関係性がメリー・ポピンズの不思議な魔法によって改善していくという心温まるストーリー。仕事中心社会の日本においても十分に重ね合わせることが出来、メリー・ポピンズのような存在こそが日本の社会に必要なのではないかと感じました。「私は何も説明しません」というメリー・ポピンズの淡々としつつも真の通った言動がカッコイイ。役目を果たし飛び立つクライマックスシーンは実に感動的で、会場中が大きな拍手に包まれていました。この作品を通じて気付かされたことは決して一つや二つではなく数え切れないくらいあるように感じます。非常に内容の濃い見事なミュージカルでした。文句なしの満点評価。
日本の悲劇
劇団 脳細胞
OFF OFFシアター(東京都)
2018/05/02 (水) ~ 2018/05/06 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2018/05/04 (金)
劇団脳細胞「日本の悲劇」を観に下北沢OFF-OFFシアターへ。初見の劇団さん。最初タイトルを見て、これまでに日本を襲った或いは日本を襲うであろう悲劇(歴史的な事件、天災など)を題材とした作品かと勝手に想像しておりましたが、実際は"13人の日本人による13の悲劇"という様々な悲劇・不幸を抱えた個々にスポットを当てた作品で、想像とは大きく異なりました。これまでに“悲劇”と思われる事態・現象などは何度も目撃したり、自分自身でも遭遇したりしている気がしますが、その捉え方は人それぞれであり、一言では片付けられない深い言葉だということを今回の作品を通じて改めて考えさせられたような気がします。序盤から終始重い雰囲気のお芝居でした。何人かの役者さんの演技中の目線(客席をチラチラ見ている様子)が気になったのと、終盤の追い詰められてるシーンにも関わらずそれがあまり感じられない演技・演出が少し残念でした。
砦
トム・プロジェクト
シアターX(東京都)
2018/04/10 (火) ~ 2018/04/15 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/04/14 (土)
両国シアターXにてトム・プロジェクトさんの「砦」を観劇。ダム建設を巡って1958年から13年に渡って繰り広げられた“蜂の巣城闘争”という実話に基づいた社会派ドラマ。世の中に大きな影響を与えた歴史的な闘争なのかもしれませんが、恥ずかしながらこの作品を観るまでは知識を持ち合わせておりませんでした。トム・プロジェクトさんのお芝居は実話を題材としたものが多く、とにかく色々と勉強になる生きた教科書だと感じています。今回はダム建設反対を訴え続け命を懸けて闘った一人の男とその妻、夫婦を取り巻く様々な人々の物語。時系列で一連の動きが紹介されていましたが、ただ単に歴史を紐解いていくだけではなく、故郷を守りたいという男の強い想いや夫婦愛などがジワジワと伝わってくる素晴らしい作品でした。ダム建設だけではなく、このような大規模な公共事業を行うときは何かとスムーズに進まい印象があり、今回の作品においても断固反対を訴え続ける主人公に対して、同情したい感情とそうでない感情が生まれたものの、観終わった後は何とカッコいい生き方をされた男性なのだろう、という感情が一番強く沸いている気がします。村井國夫さん藤田弓子さんの夫婦役は勿論でしたが、複数の役をこなされた3名の役者さんもお見事。今回の観劇をきっかけにこの闘争についてもっともっと調べてみたいと思っています。