にっぽん男女騒乱記 公演情報 トム・プロジェクト「にっぽん男女騒乱記」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2018/09/07 (金)

    東京芸術劇場にて トム・プロジェクト「にっぽん男女騒乱記」を観劇。
    敗戦から7年後の昭和27年。米国キャンプ地から程近い花街と、当時子供達の娯楽であった紙芝居をテーマとした作品。登場人物は5人と少ないものの、それぞれに複雑な事情を抱えており一人一人が主役の印象。どの登場人物も一癖も二癖もある人物像でありながら、決して憎らしくない、むしろ共感を覚えるくらい愛しく感じるのは、皆共通して人情味溢れる素敵な心を持った人物像であることが要因かもしれない、、そんなことを感じながら拝見させて頂きました。
    音無美紀子さん演じる千鶴、高橋長英さん演じる源之助の双方の言い分、言い回しが絶妙で、お互い何でこんなに罵り合っているのだろうとも感じましたが、物語が進むに連れて明らかになった真実を知り、なるほどと納得。と同時に、上原理生さん演じる陽太の存在が一段と大きく感じました。やはり仮にどんな理由があったとしても、子を憎む親はいないと思いますし、逆に子も親をもっともっとリスペクトし大切にしなければならないと再認識したような気がします。中でもクライマックスシーンでの千鶴と源之助の夫婦ならではの会話はとても重く、心に響きました。今ではすっかり見なくなった紙芝居屋さん。自分も実際に街で紙芝居屋さんを見たことはありませんが、どこか懐かしい感覚になるのは不思議なものです。テレビやインターネットなどの普及により人々の暮らしは格段と便利になったと思いますが、庶民が紙芝居という娯楽で盛り上がっていた時代も決して悪くはなく、反って便利になる一方で失っているモノも多いのだということを改めて感じました。個人的にはもう一度紙芝居で沸く世の中に戻っても良いのではないかと思います。約110分の公演の中に様々な要素が複雑に絡み合っていてとても奥深く見応えのある作品でした。エンディングでは昭和27年だけでなく、その後の時代背景やそれぞれの生き方をナレーションしていた点も素敵な終わらせ方だなと感じました。

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    2018/09/07 23:31

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