コナンの観てきた!クチコミ一覧

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SAKURA no SONO

SAKURA no SONO

平泳ぎ本店/Hiraoyogi Co.

OFF OFFシアター(東京都)

2019/04/18 (木) ~ 2019/04/22 (月)公演終了

満足度★★★★★

古典作品「桜の園」を踏み台に、華麗にジャンプの抱腹絶倒コメディー。
踏み台が「桜の園」である必要があるのか?(というのは途中までの疑問)・・・いや確かに味付の一部として活かされておりました・・・配役はこれでいいのかなぁ
結論的には「桜の園」を知らなくっても全く問題なしです(笑)

それにしても劇団バックステージものは劇団さんにとって、よほど扱いやすいのでしょうか、これまでの作品を振り返っても当たり作品しか観たことがない。
たとえ似た感じのシチュエーションがあったとしても、それぞれの劇団カラーが実に良く出ているから新鮮で面白い。
平泳ぎ本店さんの本作は、劇団あるあるの枠をピョ~ンと飛び越えておりました(笑)
そして困れば困るほど面白い。

同年代の役者さんのみならず、仕事や何かに頑張っている人には突き刺さる“笑い”がここにはきっとあるはず。

ネタバレBOX

「桜の園」公演を終えた後、急に現実の素に戻った感じの一連がとても良い。
このシーンが有るか無いかで、観劇後の印象がまた大きく変わったと思う。
(改めて思いっきり拍手はしたかったけれど)
喫茶ティファニー

喫茶ティファニー

ホエイ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2019/04/11 (木) ~ 2019/04/21 (日)公演終了

満足度★★★★

かなり昔の記憶だけれど確かにあった!ありました。
入店しなくても外観から既に違法の臭いがプンプンするゲーム喫茶。
なるほど、こんな感じでしたか。
重要な回想シーンが数か所挿まれるものの2時間弱ほぼリアルタイムにてその内部を大公開。
もう心憎いくらいディテールが細かいところまで。

賭博とは関係ないのだけれど、中央のテーブルでは何やら怪しいやり取りが繰り広げられており、思わず耳がダンボ。
というのも、この香ばしい切り込み口調、私にも過去経験アリ。
私のケースではこの手にハマっていたのが男の学友なので、本作のシチュエーションとは多少異なるものの舞台上で創り出されるベクトルはあの時の彼とソックリ!
いや、ずっと用意周到(?)なので、グイグイ笑っちゃったり、あ~ぁそうなるかと笑えなかったり。
今でもはびこっているのでしょうかうか、この商法。

ある1日のある時間を切り取っただけで自然と浮き彫りになってくる幾つもの人生。
報道等でちょっとは情報を持っていたとしても個人的にはほとんど縁の無い生い立ちの人々。
非常にデリケートな問題も含有しているのでコメントしづらいですが、思うところは多かったです。

YESTERDAY ONCE MORE

YESTERDAY ONCE MORE

劇団アルファー

武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)

2019/04/11 (木) ~ 2019/04/15 (月)公演終了

満足度★★★★

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を筆頭に、タイムスリップするのは大概若者が相場なところ、定年退職を迎えたオジサン2人が30年前にタイムスリップしてしまうところが絶景ポイントだなぁと思えた作品。
60代の方々にはドストライク!何かと感慨深いシーンが多かったのではないかと。
そういう意味で自分とはちょっと世代的にはズレていたものの、若い頃の自分と直面するというシチュエーションには何かと心ざわつかせて頂きました。
大人の意見よりも自分の自信みたいなものを主張する青さが何ともくすぐったい。
それにしても若い時って大人の言う事、なかなか聞かないものですね(笑)

バブル時代といえば「株高」を真っ先に連想してしまう自分にとっては、そこをしっかり押さえた内容だったのもツボ。
「友情とお金は絶対切り離しておいた方がいいのに」とハラハラしながら見入っておりました。

自身を含めて人が歩んできた歴史を何だか愛おしく肯定してくれるような優しさが残り香の心温まる公演でした。

半永久的なWIFE

半永久的なWIFE

劇団NLT

オメガ東京(東京都)

2019/04/12 (金) ~ 2019/04/19 (金)公演終了

満足度★★★★★

新人さんの戯曲ゆえに「少々荒削りな部分があっても致し方なし」という心配は一切無用、それどころかあまりの高い完成度に思わず「マジで!?」
いやなるほど、原作の良さを壊すことなく、ちゃんとベテランの地ならしがなされていた様で「そうじゃなきゃ巧すぎるよね」納得です。

見事なほどに気持ち良く追っていけるストーリー。
少し先の未来を思わせる無国籍な感じ(何故か関西弁も登場)は、星新一をちょっとだけ彷彿。
観劇初心者にも優しい「分かりやすさ」を全然浅いものと感じないのは、心のひだに触れてくる言動,、滲み出る可笑し味と・・・これ自分ちだったら・・・と思いが巡る状況展開の面白味があったから。
お洒落な小劇場、役者さんの演技スキルはその枠に納まりきらないほど堂々たるもの。
全くもって贅沢な時間を過ごす事ができました。


「奥様に永遠の命を与えましょう」と持ち掛けるセールスマン。
「笑ゥせぇるすまん」に出てくる喪黒福造みたいのを想像していましたが意外にも美人セールスマン。
自分だったら「う~ん何かが違う。やっぱり契約しないな」・・・しかし油断すると心が揺らいできそうな絶妙トーク(笑)
もちろん契約成立するわけですが、さあどうなる!?その先への期待を膨らませる冒頭の手腕からしてお見事。
連れ合いを失うかもしれない、どうしようもない気持ち。そこに一石を投じる感慨深さと共に、しっかりコメディーな作品でした。

ネタバレBOX

せっかく妻が半永久的に生きるのなら・・・若くしてほしい。憎めない夫の言い方ッ
ノーコメントですが(笑)です


検事と犯人のフィクション術

検事と犯人のフィクション術

東京パイクリート

Geki地下Liberty(東京都)

2019/04/10 (水) ~ 2019/04/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

予算的制約のある中、舞台装置のアイデアや音響・BGM等相当工夫がなされていたので演劇作品として勿論楽しめましたし、何より生の魅力は絶大! しかし映像化されるとより一層輝くのではないかと思えた作品。
特に映画化が良さそう。

開演前に当日パンフを読んで面白い文章を書かれる作者さんだと思いつつ幕が開いたのですが、その印象通りそこはかとなく漂う面白味が台詞ひとつひとつにコーティングされており、笑うのも忘れ(?)思わず聞き入ってしまいました。
初日の硬さは若干感じたものの皆さんセンスの良い演技をされています。
そして逐一先の展開が予想外な方へと転がっていくものですから、もう2時間全くの退屈知らず。

関連業界の人とかって小劇場に足を運ばれないのだろうか。
「探偵はBARにいる」張りに面白い作品なのだけれど。

ハイライト

ハイライト

うさぎストライプ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2019/04/03 (水) ~ 2019/04/08 (月)公演終了

満足度★★★★

観劇前、感想欄に「良かった」の書込み以外に酷評が載っていたりすると「自分はどっちなのだろう」とちょっとドキドキ、そして観た後「なるほど、そういう捉え方もあるんだ」と改めて読み返してみるのは面白いものです。
とりあえずは、じべ。さんの感想を参考に、そうか「ロデオ演劇」か、振り落とされないようにしないと・・・

観てきました! なんとも都会(東京)らしい関係性を感じさせる4人(+1人)の出会いと言動が面白く、結構余裕を持ってイイ感じのままラストへと流れ着きました。よかった
廃墟へと向かう東京とサヨナラなんて、おどろおどろしさや哀しさも漂いますが、なんかバカやってる彼等を観ていると清々しさの方が印象としては勝ち。

もし自分だったら東京が大好きなので、人気が無くなる東京(とても想像できませんが)と一緒に朽ちていくのも悪くないかな。と思ったり、
人それぞれ「東京」に対しての思い入れや捉え方で見る角度も変わってくるのではと思えた公演。

ネタバレBOX

もし家族の関係等でやむなく次の首都移住やUターンしなければならないのであれば、自分もロボ子と同様、東京にちゃんとした「さようなら」と心からの「ありがとう」を言いたい。
ロボ子は東京のラストで本当に良い人達と巡り合ったものだ。
もちろんアゴラ劇場制作の人も(笑)
桜歌

桜歌

ラビット番長

演劇制作体V-NETアトリエ【柴崎道場】(東京都)

2019/04/05 (金) ~ 2019/04/07 (日)公演終了

昨年一度拝見している作品。
また「桜歌」の世界に浸ってみたいと思い観に行ったのですが、う~ん 良いところは沢山あったし感動的な公演ではあるのに、どこか引っかかる処があったり、あれ?こんな感じだったっけ・・・前回はこのシーン辺りでもう波に乗っていたはずなのに、まだ乗れてない・・・とか、どこかモヤモヤしたものが。
何だろうファーストインパクトを超えられなかった。
もちろん今回もカンパ公演の域は超えていましたね。

蘭と夏の終わり ~ねえママ、例えばさ~

蘭と夏の終わり ~ねえママ、例えばさ~

東京カンカンブラザーズ

ザ・ポケット(東京都)

2019/04/03 (水) ~ 2019/04/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

デリバリーヘルス・・・想像よりディープな風俗業界にスポットを当てた作品。

とは言え、華と個性を持った風俗嬢(女性達)の逞しさや、絶妙な常連客(男性達)の下心など、人間味から滲み出る可笑しさに溢れまくって、下手するとコメディーより笑えてしまったり、サスペンスフルなストーリーベースがもたらす緊張感もあったりで、知らず知らずのうちにこの風俗店の世界へと引き込まれてしまうこと必至!
立ち入った経験はないにせよ何故にこんな説得力あるデリヘル待機所の空気感を創り出せるのか、全くもってリサーチと表現の力量には感心してしまいます。

先月最終回を迎えたばかりの深夜ドラマ「フルーツ宅配便」も同じくデリヘル内での人間模様が描かれており、制作上何の因果関係もなくストーリーだって別物、なので作者さんにはゴメンなさい不本意かもしれませんが「光と影」共通した面白味も含有しており、このドラマが好きだった人には断然一押しです。
いや,、ちょっとまった訂正。程よい想像力を掻き立てられながらの分かりやすい展開は演劇初心者、演劇通問わずの全方位型作品。
男性目線から思いっきり楽しみましたが、女性目線では更に味わい深いものがあるのではないかと。
1時間40分に沢山詰まったテンポの良い意外なドラマのうねりと個々の人物像が活き活きと伝わってくる生舞台の醍醐味は全ての人にお薦めしたいです(但しお子様にはちょっと早いか)

クラカチット

クラカチット

東京演劇アンサンブル

ブレヒトの芝居小屋(東京都)

2019/03/20 (水) ~ 2019/03/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

自ら発明した爆薬暴発の憂き目に遭ったプロプフ、まさに混沌とした意識の中からの幕開けがとても印象的な物語でした。
現在の核兵器をすぐに連想する原子爆薬「クラカチット」
それ故に人知を超えた発明がもたらす底知れぬ不気味さが常に横たわっているものの、決して重いトーン一色でなかったのはプロプフの人柄のせいか。

研究目的があからさまな名声や金儲けではないプロプフ。
今まで女っ気が無い生活だった反動からなのか、やたら惚れっぽいプロプフ。
この無邪気な惚れっぽさに女性の方々は一体どう思うのか(笑)
いたって善人、むしろ人間臭いと思えるプロプフが問題の「クラカチット」を発明し、一連の人々を突き動かした全ての張本人である事が、何とも悩ましい物語だと思いました。

破天荒にうねる展開、同作者による「R.U.R.」に比べると消化しにくい原作と思え、なかなかすんなりとは入ってこない台詞が多かったにも関わらず、最後までしっかり楽しめたのは役者さんの力量や、目を見張る演出の数々があったからこそ、今まで味わったことのないSF超大作と出逢えたことに喜びを感じました。
的確な暗示とも捉えられる人間の欲望の行方はノストラダムスの大予言よりずっと怖いです。

開演前の喫煙場所でご一緒した非常に気さくな役者さんが舞台上ではめちゃダンディーで凄みあるデーモンを演じられており、もう全くの別人。
「さすが役者さん、参りました!」それを終演後、直に伝えられなかったのが唯一心残りでした。

ラビトン-rabbit on-

ラビトン-rabbit on-

時速246億

駅前劇場(東京都)

2019/03/27 (水) ~ 2019/03/31 (日)公演終了

満足度★★★★

演者と観客との間で“共有”する時間と空間を「一緒に楽しみましょう」の精神がこれでもかっ!と伝わってくる演出。
終始、音楽と笑いに包まれた公演でした。
ウサギキャラクターがちょっとビター風味なファンタジーとナイスマッチング。

キラッと輝く台詞を随所に感じつつ、思春期の息子(懐かしい感情で素直に共感できる)と困ったちゃんな父親(めちゃ笑える)のホロ苦い関係を軸に・・・おやっ 楽しい脱線か、と思いきや、ちゃんと次のシーンへと繋がっていく展開が面白い!と思いました。

宴もたけなわ。【当日券あり〼】

宴もたけなわ。【当日券あり〼】

ひとりぼっちのみんな

王子小劇場(東京都)

2019/03/20 (水) ~ 2019/03/24 (日)公演終了

満足度★★★★

若者達の心の内がストッパー無しにダダ洩れしている感が面白い。
特に女子が集団になると姦しさがハーモニーになって、何というか面倒くさくて大変そう(笑)
可愛い主人公なっちゃんの選ぶ行動はツッコミいれたくなるほど、なにかが間違ってるし、案の定傷ついてるし・・・思うがままぶつかって、怪我して、泣いて、やがて賢い大人の女性になっていくという事か・・・う~ん賢くなれるのか?
作者さんは人の人生を俯瞰で描く思考でもって賢いのでしょう。

テーマ曲が世界観を巧く表現していて歌詞もイイ。
(コリッチの動画にもアップされてます)

殺し屋ジョー

殺し屋ジョー

劇団俳小

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2019/03/20 (水) ~ 2019/03/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

桁違いの衝撃、まるで全身に電流が駆け巡った様。
おかげで終演後、ず~っと痺れた状態から抜ける事ができず困った事になりました。
脚本(翻訳)と演出に演技、さらには美術・音響・照明、もう全ての優れた歯車が見事に合致した公演。その歯車達の回転がもたらす感動たるや!
演劇にハマった人には、きっときっかけとなる作品が存在すると思うのですが、とても言葉では言い表せない、その空間、その時間でしか得られない生々しい感動・・・突き抜けた感動がそこにはありました。

5人の登場人物に命が吹き込まれる序盤、だらしない家庭の中でおぞましい駆け引きの火蓋が切られ、事態がどう転がっていくのかどうにも目が釘付けの前半。
休憩を挟んだ後半、プロが全身全霊で挑む怒涛の展開にもう完全ノックアウト状態です。

暴力的表現が苦手な方には不向きかとも思えますが、そういう自分も暴力は大嫌いですし、もし必要とは思えない暴力的シーンがあれば嫌悪感を抱くでしょう。
しかし人生崖っぷちの人間や殺し屋という特殊な人間をしっかり描き切った作品の前では嫌悪感など全く感じませんでした。

ネタバレBOX

じりじりと、やがて自我が暴発した人間同志のぶつかり合い、生きるか死ぬか渦巻く緊張感。そんなとんでもない処へと心は完全に引きずり込まれてしまい・・・後に残ったのは途方もないカタルシスでした。
見知らぬ乗客たち

見知らぬ乗客たち

猿博打

ひつじ座(東京都)

2019/03/22 (金) ~ 2019/03/24 (日)公演終了

満足度★★★★

旗揚げ公演 初日にして、躊躇いを微塵も感じさせない堂々とした芝居。
既に公演前からYouTube等で精力的に活動をされているそうで、人を楽しませる事にえらく長けたユニットという印象。
本公演では合コンに女子はやって来ないけれど、そんなシーンがあればさぞかし全力ノリノリで面白可笑しい合コンが繰り広げられるだろうなと・・・何というか女子を笑わせるのがメチャクチャ上手そうですね師匠(笑)

おっぱい大好き3人組のおバカなノリからのサスペンスタッチ。
天国かと思ったら地獄?ジョークのような悪夢と浮彫りになる劣等感。
要所要所でのメリハリをしっかりきかせながら物語はラストまで一気に駆け抜けていきました。
今回のチケット半券が次回公演の割引券として使用できるそうで、これはお得!

第27班 本公演9つめ『蛍』

第27班 本公演9つめ『蛍』

オフィス上の空

萬劇場(東京都)

2019/03/20 (水) ~ 2019/03/24 (日)公演終了

満足度★★★★

将棋盤をセットの中心に縦横無尽の群像劇。
気になる人物、気になる関係、気になる秘密があちこちに点在して忙しいほどに目が離せない!

哀しい少年の物語であり、もう一人の男の物語であり、彼等を取り巻く家族や仲間達の物語であり・・・沢山の人生が丁寧に描かれているので相当な見応えがありました。
何らかの志を持った人物が多く、最初のうちは見え隠れする“影”を気にしながらも、真っすぐなエネルギーの波長が心地良いと思って観ていたのですが、まさか後半にこんな繋がりや展開が待ち受けているとは想像もしていませんでした。
先に「哀しい少年」と書きましたが、そんな簡単な括りで人生を表せるものでもなく、全ての登場人物が紡いできた道のり、年月の流れ、清濁合わせもって押し寄せてきます。
その取れ高の余りの多さに、ラストから逆にストーリーをなぞって、ひとつひとつを噛みしめながらの帰り道でした

キャンパーズ シークレット

キャンパーズ シークレット

Oi-SCALE

サイスタジオコモネAスタジオ(東京都)

2019/03/19 (火) ~ 2019/03/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

まるで秘密基地、地下へと降り通路を通り抜けて、目の前に出現した会場は、
舞台スペース、広っ!まさに「キャンプ場」という異空間。
スタッフさん(後に役者さんと判明)の誘導を必要とする手間をもっても、徹底したこだわりを優先させる姿勢が思いっきり楽しい!

キャンプ場に続々と集まってくる慣れ親しんだ仲間達を観客が取り囲んで観る舞台。
一歩踏み出せば自分も参加できそうな空間。
そこは都会の喧騒から遠く離れた「特別な場所」であり、不便とリラックスを楽しむ人達が創り出す空気が程よく流れ込んできます。
最初のうちこそアウトドアの空気感や都会から持ち込まれた会話を参考に登場人物達を傍観する面白味をじっくり楽しんでいたものの時折ピリッとくる緊張感のせい?徐々に作品の奥部へと引きずり込まれていく不思議な感覚に。
冷たい風が吹き抜けていったような錯覚。
本物の炎は当然使用されていないにもかかわらず、まるで闇夜を妖しく照らす炎の魔力に一緒になって惑わされてきた後味が残ります。

パンフレットに掲載された「銭亀の滝キャンプ場」MAPだけを取っても、どれだけ練りに練られた賜物であったか想像に難くない作品であり、その手腕の流れにただただ身を委ねられる幸せ。
キャンプ場を舞台にした人間模様を臨場感たっぷりに鑑賞する作品であったとしても満点な質の高さでしたが、更にその先・・・炎の奥に見えたモノ・・・作者の内面世界にまで引き込まれてしまったかの様な体感を得られるなんて、うなされるにも似た燃え広がっていくミステリアスな時間、まさに身をもってゾクゾクっとしました。

AnOthEr R/LIghtS

AnOthEr R/LIghtS

有限会社がらんどう

APOCシアター(東京都)

2019/03/16 (土) ~ 2019/03/17 (日)公演終了

テロ事件など日常茶飯事の混乱した社会。
壁にしっかりと囲まれた世紀末感漂う街の中で、人を、社会をじっと見つめる少年の視線。
僅か2公演。この日の為に結集し制作された公演には若者達が今どうしても表現したかったのであろうメッセージが詰め込まれていて胸が熱くなりました。

仕組まれた窮屈な容器、腐敗した雨風にさらされた状況下でも育っていく青い芽。
翻弄されるだけでは留まったままではいられない大切なこと・・・どこか懐かしい香りがしました。

THE Negotiation

THE Negotiation

T-works

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2019/03/13 (水) ~ 2019/03/17 (日)公演終了

満足度★★★★★

代表同志が繰り広げる、お互い負けを許さぬ交渉劇。さぞかし頭を使いまくる作品であろうと鼻息荒くして行きましたが、何ともウイットに富んだ「駆け引きエンターテイメント」でした。

格調高きホテルが「交渉」という名の戦いの舞台。
何としてでも相手方をマウンティングしたい両チーム。
時には用意周到に、時には臨機応変に・・・経営陣らしいインテリジェンスでキレッキレな人達、そのキャラクターがギャップとなって狡猾な策略の数々に逐一笑わされてしまいます。
時には格調高きホテルマンまで巻き添えに(笑)
第一ラウンド⇒反省会⇒第二ラウンド⇒反省会⇒・・・の如く交渉の合間に入る、双方の出方に対する咀嚼と次なる攻略作戦会も面白かったです。

笑いを誘う切れ者な雰囲気をまとった登場人物ばかり。
どちらかに肩入れしたくなるというより、どちらも応援したくなってくるのが作品の魅力だと思えました。

WHATEVER?

WHATEVER?

劇団てあとろ50’

早稲田大学学生会館(東京都)

2019/03/08 (金) ~ 2019/03/10 (日)公演終了

当日パンフの挨拶文には本公演の主宰さんが今回主宰初挑戦であり、同時に脚本・演出も初めて手掛けられているとの情報が。
「おっとー、これは暖かい目で観たほうが良さそう」と、どこか一段高い所から考えていましたが、とんでもない思い上がりでありました。
これって初めての人間が創り出すクオリティー?!
タイムトリップという数多あるシチュエーションでありながら、やたら面白い。
早稲田女(ワセジョ)の男前な芝居、いやいや男性陣も大健闘。
何より演技スキルの高い2名を中心にした役割配分、バランスが絶妙。
学生演劇の瑞々しさも活かしながらの笑い満載な人生選択ストーリー。
もし本作品に演劇を志す決意表明の意味がこめられていたのであれば、良質なエンターテイメントを手掛ける才能は充分備わっていると思わせる完成度でした。

名前を呼んで、もう一度

名前を呼んで、もう一度

ウィークエンドシアター

Arise 舞の館(東京都)

2019/03/09 (土) ~ 2019/03/24 (日)公演終了

満足度★★★★

前回、結婚式場として拝見した「大安不吉日」の同会場が、今回は男女5人を閉じ込める謎の密室に。
ウィークエンドシアターさんは会場(Arise 舞の館)の使い方がとにかく巧い。
全席がVIPシート(テーブル付)の贅沢な空間。
観客はさしずめ密室の(透明な)壁のすぐ向こう側から監禁された彼等を取り囲み、その動向をお茶まで楽しみながら優雅に観察している、そう!性格の悪~い富裕層のよう(笑)
ただそんな呑気な想像も一気に吹き飛ぶ展開に・・・終演後は唖然としたまま暫し言葉を失うことに。
監禁モノだからといって、決して大げさなヒステリック芝居には走らず、流れと共に繊細な演技の変化が見て取れる演出が見事です。

欲を言うなら「もっと観たかった!」の一言。
濃厚な時間でしたが、ホントもっと観たかったです。
納得の3度目の再演作品、将来的には4度目も期待できそう。
次回は是非ボリュームアップを。

One Situation Four Texts

One Situation Four Texts

舞台企画 斜楽生

萬劇場(東京都)

2019/03/06 (水) ~ 2019/03/10 (日)公演終了

満足度★★★★

毛色も内容も全く異なる個性的な4作品共通の舞台セットはシックでダイナミックでどこかファンタジック。
開演までの間、しげしげと見惚れてしまいました。

『アミューズ・ブーシュ』作・演出「7%竹」主宰
笑わせる事に長けたノリでもって、何かと自己アピール上手。
そのアピール上手が心憎いです。
例え親が亡くなったとしても、こんな賑やかに見守ってくれるなら寂しくないなぁと素敵に思えたホームコメディー。

『コミックストーリー』作・演出「マリーシア兄弟」主宰
今回お目当てだった劇団マリーシア兄弟さんの作品。
タイトルからコメディーを連想、ところがどっこい がっつりヒューマンドラマでした。
落語の世界、真摯に取り組む熱意が伝わってくるのは非常に良かったものの、本来の持ち味が何故か封印されている気がして、どこか勿体ないと思ったのが正直な感想。

『クライマックスに向かってる』作・演出「青色遊船」主宰
群像劇・・・元々4つに切り分けられた3番目の蓋を開けると、更に切り分けられているというまさか・・・できれば単独で観た方が効果的ではないかと思えた、ほろ苦い旨味の広がってくる作品。

『ツルのハ』作・演出「劇団時間制作」主宰
3人組の大学生が、ある姉妹を誘拐監禁・・・始まった一瞬にして身が凍り付き、取り込まれてしまう圧倒的な手腕。
一体この事件は彼等のどの時間までさかのぼれば防げたというのか・・・このパートの時間だけ妙に濃厚に感じられたのが不思議。
今回のセットを最も効果的に活用されていたのも大きかった。
過去に一度作品を拝見させて頂いた時には「自分とは相性が良くないのかも」と思ってしまったのが嘘のようでした。

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