満足度★★★★★
自ら発明した爆薬暴発の憂き目に遭ったプロプフ、まさに混沌とした意識の中からの幕開けがとても印象的な物語でした。
現在の核兵器をすぐに連想する原子爆薬「クラカチット」
それ故に人知を超えた発明がもたらす底知れぬ不気味さが常に横たわっているものの、決して重いトーン一色でなかったのはプロプフの人柄のせいか。
研究目的があからさまな名声や金儲けではないプロプフ。
今まで女っ気が無い生活だった反動からなのか、やたら惚れっぽいプロプフ。
この無邪気な惚れっぽさに女性の方々は一体どう思うのか(笑)
いたって善人、むしろ人間臭いと思えるプロプフが問題の「クラカチット」を発明し、一連の人々を突き動かした全ての張本人である事が、何とも悩ましい物語だと思いました。
破天荒にうねる展開、同作者による「R.U.R.」に比べると消化しにくい原作と思え、なかなかすんなりとは入ってこない台詞が多かったにも関わらず、最後までしっかり楽しめたのは役者さんの力量や、目を見張る演出の数々があったからこそ、今まで味わったことのないSF超大作と出逢えたことに喜びを感じました。
的確な暗示とも捉えられる人間の欲望の行方はノストラダムスの大予言よりずっと怖いです。
開演前の喫煙場所でご一緒した非常に気さくな役者さんが舞台上ではめちゃダンディーで凄みあるデーモンを演じられており、もう全くの別人。
「さすが役者さん、参りました!」それを終演後、直に伝えられなかったのが唯一心残りでした。