コナンの観てきた!クチコミ一覧

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『だけど涙が出ちゃう』

『だけど涙が出ちゃう』

渡辺源四郎商店

こまばアゴラ劇場(東京都)

2020/01/23 (木) ~ 2020/01/26 (日)公演終了

満足度★★★★

人が人を裁くという行為が如何に難しいかガッツリ考えさせられる公演でした。
裁きを被害者家族に委ねるとなると尚更に悩ましい。

被害者家族が死刑執行人として一任される架空の制度「死刑員制度」が物語の軸となった人間ドラマ。
被害者家族が本当に加害者に死の制裁を下すのか、それとも辞退して無期懲役とするのか、正にどちらかを確定する日が舞台であり、前者の判断であれば即死刑決行。

もしもこういう制度があったら・・・それをリアルな芝居に乗せる事で漂ってくる制度に対しての妙な違和感だったり、上手く色付けされた地方性だったり、各登場人物の性格の妙だったり、要は腕が良いのでしょうが、とんでもなく重い空気になって然りの状況なのだけれど、思わず笑いが起こったりするのですよ、これが。

そして加害者が犯した罪をどう捉えるか。
本作の加害者がそもそも極刑を下されるべき悪人とまでは、自分にはどうしても思えず。
この立場にして決して感情的にならない彼の剥き出しの心の内を覗いてみたくなります。

とにかく考えさせられる事でテンコ盛りの中、遂に運命のラストシーンが・・・う~む そうか、そうなるか う~む。

ネタバレBOX

本家族の被害者女性は、加害者とされる彼の安楽死行為を望んでいたのではないかと、むしろ彼の手によって…本望だったのではないかと。

そうであったとしても、いやそれならば尚更にやりきれない被害者夫の感情は充分汲み取れるとして、加害者に手をかけてしまった場合、夫にとってまた新たな苦しみが加わるだけではないかと思えてならない。
残された家族間で埋まる事のない溝もきっと生まれるはず。
かと言って死刑を断念すれば、彼は一生その事を悔やむのだろうか。

「死刑員制度」少なくともこのケースでは被害者にとって何を選んでも苦しみしか生み出さない制度。
とんでもない制度だと思えました。
はみだしっ子~White Labyrinths~

はみだしっ子~White Labyrinths~

Studio Life(スタジオライフ)

シアターサンモール(東京都)

2020/01/08 (水) ~ 2020/01/19 (日)公演終了

満足度★★★★

原作は「全く知らない」での観劇でしたが、原作に対して本当に本当に真摯な劇団さんである事は重々承知。
なので「はみだしっ子」の世界観、しっかり伝わったと思います。
更にStudio Life独自のビジュアルもミックスされるので、浮世離れした確固たる世界がそこに生まれていた というか。

再々演ではなく続々編(パート3)という事で、その支障もほぼ感じる事なく観進められましたが、やがて立ち位置が今一つハッキリしない大人の登場人物が2名ほど。
気になる存在でしたが、混乱する程では無く、ここは憶測で我慢。

少女漫画というジャンルは、ほとんど読んだ事がありませんが、四人の少年を主人公にして驚くほど壮絶な展開。
おそらく本作が全体のストーリーの中でも、少年たちの運命が大きく混乱する激動のパートだったのでは。と思わせ 強盗殺人犯を発端にした皮肉な連鎖、それでっ、その先どうなるっ!の道半ばにてto be continued・・・あぁ~そんな無体なっ
つまりはパート4につづく、か・・・パート4って!
やっぱり「原作に忠実なStudio Life」 本当に真摯な劇団さんです。

「朝日のような夕日をつれて」

「朝日のような夕日をつれて」

株式会社STAGE COMPANY

本所松坂亭(東京都)

2020/01/14 (火) ~ 2020/01/19 (日)公演終了

満足度★★★★

M verを拝見。
本当だ!つかこうへいスピリッツがビシバシ、案外鴻上作品と相性が良いのですね。
かなり自由度の高い作品と思われ、最近の時事ネタやアイテムがふんだんに。
なるほど演出の手によって器用に容貌を変えながら、いつの時代になっても現在(いま)の作品として生き続けていく事のできる作品なのだなぁと。

そうそうっこれこそ鴻上ワールドの…と納得したところで終演。
予定調和ガン無視の展開、ストーリー説明は自分なんかにはとても無理!という手強い公演でしたが、とにかく役者さんのパワーたるや。
思わずバッカでぇ~な笑い、ゴトーをこんな風にしちゃっていいの?(笑)約2時間の荒波を泳ぎ切った役者さん達に拍手です。

たまたま、お話しできたお客さんは何と今日の公演を観るために大阪から。
交通費、宿泊費、時間だってバカにならないだろうに。
しっかり楽しめたようで良かった。
簡単な移動で観劇できてしまう環境に感謝しなくてはとつくづく思いました。

雉はじめて鳴く

雉はじめて鳴く

劇団俳優座

俳優座劇場(東京都)

2020/01/10 (金) ~ 2020/01/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

生徒、教師、親、それぞれ縦や横のコミュニティーが織りなす人間模様。
清濁合わせ持つその鮮やかさたるや。
まるでスポンジになったかの様に舞台から溢れ出る感情が、紡がれる言葉が沁み込んできました。

男子生徒の女教師に恋焦がれる頑なさにピッタリ張り付いた涙したくなる痛み。
ごくごく普通の37歳でもある女教師の、一人の女として、常識ある教育者として、人生の先輩である大人として一体何が正解なのか、悩ましい心情。
もう切なくて切なくて胸が締め付けられます。

登場から速攻でこちらのペースをも掴み取ってしまうカウンセラー女性の人間力、
代表者として真価を問われる校長の立ち振る舞い、
ある意味台風の目でもある母親の目が離せない言動、
調子に乗って全て挙げてしまうとネタバレになってしまいますが、もう出演されていた人たち全員が(時には厄介ながら)とても愛おしい。

ことごとく教頭先生には笑わせて頂きましたが、これは油断すると同じ穴の狸になりかねないので気を付けなくちゃ(笑)

確実な総合力で心揺さぶられる極上の人間ドラマでした。

寓話のゴーグル

寓話のゴーグル

Pave the Way

劇場MOMO(東京都)

2020/01/13 (月) ~ 2020/01/19 (日)公演終了

満足度★★★★

TeamBを拝見。

誰もがよく知っている寓話の中に次々と入っていく悩める若者達。
主役じゃなくそっちかっ!だったり、見知った物語と彼らが抱える現実とがないまぜになったりで、なるほど~ニンマリ笑わせてくれるコメディーですね、と思いきや…
その先(奥)に、また一味違う熱量を持った、ホントウの物語が待ち受けていたのですね。

何というか、若い人達が運営する結婚式にお呼ばれした様な、一青窈のハナミズキが似合う 色々あっても幸せになってね感と、ちょっとくすぐったくもある友愛の連帯感を感じました。
内容形態がそうというわけでなく湧きあがってくる感情として。

十二人の怒れる男 -Twelve Angry Men-

十二人の怒れる男 -Twelve Angry Men-

feblaboプロデュース

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2020/01/10 (金) ~ 2020/01/20 (月)公演終了

満足度★★★★★

10年以上前に同作品を観劇した特は、ほぼ議論の流れに気を取られていた気がするのだけれど、今回の本作ではその議論を生み出す個々の“人物”そのものも充分堪能できたと思えたので、すこぶる良かった!

ぞろぞろ入場してきた12人の陪審員たちをちょっと見ただけでも、太っちょ 痩せ型 がっしり型…神経質タイプ いい加減タイプ 決めつけタイプ…もう見事に様々!ホントいろんな人が集まったものだ。
その人達が意見するほどに自ずと内面も露わになっていくのだから、これは面白くないわけがない。

陪審員の見る角度によって、証拠に対しての信憑性が変わっていく会話の流れも、自分も一緒になって考えられて面白いのだけれど、何より面白いのが迫力の“生” そのダイレクトなライブ感。
「流れが変わる」と言いますが、変わるのですよ、空気が。
それは一斉に変わるという単純なものではなく、登場人物ひとりひとり、意見の受け取り方によっての反発や同調、ひとつの空間に12人が生み出す空気。
見るべきは発言している人だけとは限りません。
固有の迫力や説得力だったりに、もうそこ一点に釘付けになってしまう事もままありますが

どこを見るのかは自分次第・・・あぁこれは、まさに忙しいタイプ(笑)

ちなみにみなみさんと同じく、自分も思わず「のど飴なら持ってますよ」と、もう反射的に声をかけそうになっていました、あぶないあぶない(笑) ㊟咳込みは劇中の演出です、念のため

昭和歌謡コメディVol.12

昭和歌謡コメディVol.12

昭和歌謡コメディ事務局

ブディストホール(東京都)

2020/01/10 (金) ~ 2020/01/13 (月)公演終了

満足度★★★★

舞台は、築地のお寿司屋さん。
仲の良い江藤夫婦に娘さんと出戻り妹まるみさん。
お見合いを ぶっこわ~す!作戦に別の処では三角関係?
第2部の歌謡バラエティショーは哀愁も漂う歌いっぱいのお楽しみ会といった感じでしたが、イイではないか。
なんともお正月らしい。
ゲストのムーディさんも闇営業いじられまくりのうえ、1部2部ともにしっかり使い倒されていましたね(笑)

ドストライク世代のお客さんは楽しみ上手。
しっかりその波に便乗させて頂きました。
何だか終演後のお楽しみもあって盛り沢山。

つかの間の道

つかの間の道

青年団若手自主企画 宮﨑企画

アトリエ春風舎(東京都)

2020/01/08 (水) ~ 2020/01/13 (月)公演終了

満足度★★★★

小さい劇場だからこそ可能な声量。
本当に普段日常レベルに近くて、もしかすると前説案内の方が大きい声だったかも(笑)
最初だけビックリしましたが、結構すぐに馴染んでいくものです。
それならば会話内容も日常レベルかと思いきや、かなり吟味されていたと思われる台詞たち。

東京で暮らす人々をランダムにピックアップしたかの様に描かれる日常のささやかな出来事。
「物語」とは何ぞや…をとことん追求した場合、導かれるこれはひとつのカタチなのだろうし、観る側にはその中に含まれる示唆の匂いを嗅ぎ取って欲しい。っていう感じに思えました。
同一の舞台スペースで個々に存在し生活する人々、それを自然に見せる美術や動線、更には演技、何と言っても空間の使い方が特筆もの。

ポポリンピック

ポポリンピック

ゴジゲン

こまばアゴラ劇場(東京都)

2020/01/03 (金) ~ 2020/01/21 (火)公演終了

満足度★★★★

ゴジゲンさんの必殺技“イケてる”の波に決して乗れない男達の可笑し味と哀愁はしっかり健在。
ただ今回ちょっと異例だったのは東京オリンピックという具体的でタイムリーな題材がストーリーの軸になっていた事。
そのせいかリアルとおふざけの平衡感覚がいつもと違ってきて、世界観に馴染むため時間を要したところもあったけれど、構成はすごく凝っていた気が。
これだけしっかり一人の主人公を際立たせた作品というのも珍しかった気がする。
結成して10年以上、いまだ成長しようとしている新鮮味は、今後の楽しみにも繋がります。
ジャケット買いならぬタイトル買いで初めて観たゴジゲンさんが、ここアゴラ劇場だったのも感慨深かったです。

ものすごい覚せい剤

ものすごい覚せい剤

宇宙論☆講座

JOY JOY THEATRE(東京都)

2019/12/28 (土) ~ 2020/01/01 (水)公演終了

満足度★★★★★

家族に呆れられながらも、だってお正月スペシャルバージョン この日にしか観られない!
「ものすごい覚せい剤」は確か自分にとって初めましての公演だったと思うが、それから回を重ねて観劇させて頂くうちに、宇宙論☆講座さんを楽しむ為の心構えというか観方が随分と分かってきたように思う。
普段の観劇での脳内刺激とは別の処が喜ぶというか。
シェイクスピア「夏の夜の夢」の結婚式シーンで職人たちが披露する劇中劇の面白味にも通じている気がする。

元日バージョンを差し引いても初演から大幅リニューアルと思えた本編。
加えて各役者さんが持ち寄った、お正月企画パートが随所に挟まれ、それでも本編に何ら支障をきたさない?というメガ盛りハチャメチャ感が凄い!

この日、役者さんの方が観客数より多かった事や、夢の特別企画 宝くじ合計110枚を皆で当選確認してみようコーナーで、とても残念な結果だった事も宇宙論☆講座さんであればしっかりビタースパイス。
(いや、満席になって欲しいし、宝くじも何とか当たって欲しかったけれど・・・)
劇場で何コレ!?の数々にひっくり返っていた一方、家では家族が正月に一体どんな公演を観に行っているのかインターネットで調べ見て、何コレ!とひっくり返っていたとは。
あ~今年も平和だ(笑)

高校演劇サミット2019

高校演劇サミット2019

高校演劇サミット

こまばアゴラ劇場(東京都)

2019/12/27 (金) ~ 2019/12/29 (日)公演終了

『てくてくかけてく』都立駒場高校

女子8人が繰り広げる学園もの。
最初女子高設定かと思ったけれども、どうやら共学らしい。
8人もの同年代が揃うと役の区別が・・・の心配も無くキャラがしっかり成立。
この子には好意がある・この子は興味ない の相関図で笑わせてくれます。
魅せ方上手、さすが東京!と思ってしまうのは色眼鏡でしょうか。

普段の賑やかしい学校生活をそのまま反映させた様な現役JKの強味と、ストーリー・人物相関図で魅せるエンターテイメント性の高さで両方いいとこ取り。
終盤は勢いを優先させていた感こそありましたが、劇団さながらの心揺さぶる力量を見せてくれました。

高校演劇サミット2019

高校演劇サミット2019

高校演劇サミット

こまばアゴラ劇場(東京都)

2019/12/27 (金) ~ 2019/12/29 (日)公演終了

『#神』都立日野台高校

どうやら高校演劇は女子が優勢らしいというイメージのところ本作では男子も大いに健闘。
ベケットの「ゴドーを待ちながら」がモチーフだそうだけれど、うん、確かにそんな感じ。
舞台は校内の一角でしょうか。
辺り一面の散らかり具合や散らかってるモノからして何気に不条理(笑)
苦手な不条理劇もあったりしますが、本作は奇妙な風味を楽しみつつ、ごく日常の出来事が舞い込んでいる仕様になっているので、とても受け入れやすい。
「男子学生の日常」の物憂さと、お馬鹿な感じがイイ感じにブレンド。

高校演劇サミット2019

高校演劇サミット2019

高校演劇サミット

こまばアゴラ劇場(東京都)

2019/12/27 (金) ~ 2019/12/29 (日)公演終了

『あゆみ(3人Ver.)』徳島市立高校

有名な戯曲の3人バージョン。
ごくごく平凡にて善良な女性「あゆみ」の生涯。
グルグル廻る回転フィルムのような魅せ方で、何気ない日常風景をショーアップ、テンポ良く楽しめました。

本作ってある意味、演劇の教科書的な性格を持った演目なのではないかと。
健全で着実な演劇活動をされているのだなぁと、しっかり地に足がついている感じ。
3名の演者さんは愛嬌も良く余裕すら感じました。

Crime - 1st  -

Crime - 1st -

Sun-mallstudio produce

サンモールスタジオ(東京都)

2019/12/21 (土) ~ 2019/12/27 (金)公演終了

満足度★★★★★

女性犯罪3編。
3種3様の演出にして心の闇を炙りだすトーンが一貫しているのでとても観やすかったです。
再現映像とは全く異なり、同じ空間での息遣いも生々しく、犯罪の匂いが立ちのぼっているやり取りをダイレクトに体感、気迫ある舞台。


「松山ホステス殺害事件」
福田和子in北陸。
彼女の突出したインパクトは長年に渡る逃亡生活にあり。
常にギリギリ駆け引きの人間関係、生活生命力がめちゃ強い
何だか動物的な匂いがする女性だけれど、深い関係にある男の前で突然の人間臭さを目の当たりにすると
開き直りも見事で不謹慎な言い方だけれど、やっぱりこの人 業が深く興味深い。

「佐世保小6女児同級生殺害事件」
加害者・被害者ともに少女だった故に起きたと思える事件。
SNSで育まれた友情の破綻。
亡くなった少女が常に寄り添い、意思表示も見せるのだけれど真実は如何に。
親としてのやり切れなさで充満していました。

「新宿・渋谷エリートバラバラ殺人事件」
三橋歌織という女性の性格が一番理解しがたい。
被害者同僚の目線が印象として残っていて、それが何というか一番座りが良いのだけれど…
夫婦であれば確かに一方だけ悪いという事は無い、それは見ていてもよくわかる。
DVを受けていたなら一刻も早く別れてしまえばよかったのに。
夫婦してどんどん抜けられない迷宮に入り込んでいく様相が哀れ過ぎます。

玉川大学芸術学部パフォーミング・アーツ学科 2019年度秋学期演劇公演『画家と尼さん もしくは見せかけのゲーム』

玉川大学芸術学部パフォーミング・アーツ学科 2019年度秋学期演劇公演『画家と尼さん もしくは見せかけのゲーム』

玉川大学芸術学部パフォーミング・アーツ学科

玉川大学 大学3号館 演劇スタジオ(東京都)

2019/12/20 (金) ~ 2019/12/24 (火)公演終了

しっかりとした解説の入った当日パンフを開演前に読んでいて確信しました「きっとストーリーとか全く分かんないヤツ!」
本作で取り入れられているのはフィジカルシアターという新しい演劇スタイルだそうで特に本作で意識されているのは「戯曲を元にした翻案」「視覚的なステージ作り」「様々な芸術素材の融合」
もう観てみるしかないのだけれど、自分の中で『内容に関しては理解不能上等!』と腹を括ってしまえば気が楽というもの。

結果、それが効してか(!?)非常に楽しめる公演でした。
特に視覚的に訴えてくる力は大きく、言葉のチョイスも絶妙。
次に何が起きるのか予想もできないハラハラ感、予想できないままに訪れ来る場面の流れも案外乗っていきやすいじゃないですか 笑いも随所に(幾つも包含されたテーマの示唆は、恐らく取りこぼしまくっているのでしょうが)

奇抜な世界観を若い演者さん達が、よくぞここまで体現されているなぁと感心しきりの舞台。
観劇後に残ったのは総合芸術を創り上げるうえで必要な人材が豊富に揃った贅沢感。
観る前と打って変わって、この贅沢感をたっぷり味わうのに非常に適した演目だったなぁと思えたのでした。
人が結集した表現の力って本当に素晴らしい。

libido:青い鳥

libido:青い鳥

libido:

こまばアゴラ劇場(東京都)

2019/12/19 (木) ~ 2019/12/22 (日)公演終了

満足度★★★★

メーテルリンクの「青い鳥」は、てっきり知っている話だと思っていたのに実は知っていたのはラストだけだったと今頃になって気付きました。
探しもの(青い鳥)を通じて、こんなにも幻想的な冒険の数々が描かれたた物語だったなんて全然知らなかったです。
しかも皆が心浮き立つ、このクリスマスの時期にピッタリな作品であることも。

手作りの刺激でいっぱいの舞台。
人が亡くなった後の「思い出の国」や生まれる前の「未来の王国」
そして「夜の御殿」等々、チルチルとミチルが次々と導かれていく世界は「未知」と「再会」のワクワク感と、途方もない生命の道のり、闇と光、奇妙な味のダーク感。

貧しさの中、クリスマスの綺麗な御菓子に焦がれる2人の兄妹にも、これから沢山の「初めて」が
物語からそんな幸せを実感でもって感じられるのは、やっぱり大人になってからだろうなと。

lost memory(東京)

lost memory(東京)

劇団1mg

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2019/12/18 (水) ~ 2019/12/22 (日)公演終了

満足度★★★★

1周年記念公演、その第一弾(なんと第三弾まで予定されているそう)
1年のうちにこれまで3公演もこなし、今回4公演目になるのだから、かなりエネルギッシュな劇団さん。
その怒涛の勢いはそりゃもう公演にもしっかり表れ、めっちゃパワフル。
めくるめく場面転換に、ふんだんに繰り広げられるアクションの数々。
「これってどう見ても旗揚から1年のクオリティーではない!」と訝しくすら思えたので作演出の伊達シノヒコ氏を調べてみるとやっぱり只者ではなかった。
演劇のみならず映像構成作家でもあるっていう経歴は、やっぱりそうでしたか!と思わず頷いてしまいました。

主流の登場人物だけでなく、どの役者さんも前面に出て、もはや一つのストーリーの枠に納まりきっていないと思えた程、何というかあり余っています(笑)
いっその事、より群像劇的に彼等のサイドストーリーも…と思えましたが、実際約2時間もある公演だったのですね。
何だかあっという間でした。

一瞬より青春

一瞬より青春

猿博打

ひつじ座(東京都)

2019/12/12 (木) ~ 2019/12/15 (日)公演終了

満足度★★★★

パンツを見ればそのパンツをはいている人の「好きな人」が分かってしまう能力、そんな能力いらねぇ~(笑)
いやいやっ、高校時代なら・・・

笑いだけに留まらない振り切った演技を目一杯。
なので観る事ができて良かったと思う一方、魅せ方に関しては我流オンリーでなく熟練の演劇人もしくはプロのノウハウも取り入れてみてはどうかと。
きっとその方が、より効果的に伝わると思うのだけれど。
まだ本公演2回目の若い劇団さん。
個性炸裂はどうかそのままに頑張ってほしい。

Butterflies in my stomach

Butterflies in my stomach

青☆組

アトリエ春風舎(東京都)

2019/12/08 (日) ~ 2019/12/17 (火)公演終了

満足度★★★★

7人の女優さんのフォーメーションがめちゃ繊細で綺麗。
生を受けてから亡くなる77歳まで、7人が10年を節目に交代しながら演じていく一人の女性は、柔らかに広がっていく擬音に紛れ空中分解を繰り返しながら、その度毎に歴史を重ねていっているようで面白い。
親だったり、恋人だったり、夫だったり、主人公以外の人物も各女優さんが自在に演じられている事もあってか写実的な描写というより、主人公の記憶・意志でもって慎重に繊細に形成していったような世界観の印象。
例えば、現実はあまりにも鋭利に尖っていたモノであっても脳内でほろ苦く輝くモノに変換しているような。

こうして女性の一生を拝見していると、瑞々しく華やかな騒めきを伴った年代というのは本当にあっという間なのだなぁと儚いものを感じますが、年を重ねていく事自体の美しさと力強さ、そして決して消える事のない記憶の断片たちに「生」の素晴らしさをしっかりと見せてもらった気持ちになりました。

新作短編『藤川修二ひとり芝居 -越冬蝶々-』の特別上演回。
こちらは、本編での女性特有の柔らかな賑やかさに包まれた世界観とは一変、武骨で男っぽい作品。
本編が名前こそあるものの「在る女性」的な印象だったのに対して、こちらは藤川修二氏そのままの自分語り(正真正銘の身の上話)を聞いている感覚に。
だけど本編と同じく作・演出 吉田小夏さん になっているのですよね。
ホントに創作なのかなぁ、めちゃリアルに響いたのだけれど。

セミの空の空

セミの空の空

コトリ会議

こまばアゴラ劇場(東京都)

2019/12/11 (水) ~ 2019/12/16 (月)公演終了

満足度★★★★

初・コトリ会議
制作さん(出演者でもある)の事前の作風説明にて、観劇前の心づもりが。
確かにそれだけの独自性ある演出作品。

例えば照明。
他劇団の公演で多く真似されるとキツイものがあるけれど、舞台全体を照らさず、いくつものスポットライトを組み合わせた独特の見せ方は、どこか浮世離れした感覚をもたらすと同時に、ヒトが息づく生々しさを敏感に こちらの集中力がめちゃ上がっていくのが分かります。
それを見越してか「動き」や「発声」、感覚に訴えてくる手法に対してのこだわりがヒシヒシと。

奇々怪々 不思議ちゃん なストーリー。
不条理な現象をそのまま受け入れていくと、展開のひとつひとつが理にかなっていて、何とも独特な味わいが広がっていくのが面白い。
例えば不条理劇を観た時にありがちな「よく分からなかったけど・・・」のエクスキューズを感じなかったのは何よりでした。

感想として…芸術性の高い、季節外れのお化け屋敷を楽しんだ感覚に近いような。
それも「ギャ~ッ」と絶叫してしまう類ではなく、興味深くジンワリ怖くなってくるタイプ。う~ん、そんなお化け屋敷は 無いか(笑)
作者さんと近い感性なりを持ち合わせていれば、もっと感じ入るモノは多かったのではないかとも思えるのですが、うん自分なりに楽しめました。

期待のオパンポン野村さんもしっかり怪演…のみならず、もうどの役者さんも見事に怪演、強弱のバランスが引き立って大きく奇怪なのも良かったです。
余韻を充分楽しんだ後は、不思議にまとわり残る「死者」の香りをポンポンッと振り払って眠りたいと思います。
お願いだから夢には出てこないでおくれ。この世界に迷い込むのはやっぱ怖い!(笑)

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