1
ホリデーワーク
演劇商店 若櫻
Aチーム、Bチーム両方を連続で観劇。それぞれ2つのメインの話があって、最後に意外な形で結びつくという展開は、若櫻のショートストーリー形式と同じ。いずれのチームもラストにうまくまとまり心地よい。
リメイクの2作はいずれもオリジナルを見ているので比較しながら観劇。同じキャストの方が別な役で出ていたりと比較しながら見ても面白い。2つの新作も、意外な形でリメイクの作品と関連をしていて楽しい。
決して大掛かりできれいな舞台があるわけでもないし、有名なキャストの方の出演もないですが、誰も傷つけないほんわか温かいストーリーは、計算された照明、音響、個性的な出演者の演技も相まって、笑いあり、涙あり、前向きな希望ありの、心地よい時間を過ごさせてくれます。いずれのチームの話も、学生時代の友情話がベースになっていて、若い人にも昔若かった人にも、何かしら思い出させてくれる話に仕上がっていました。
Aチームは女性キャスト中心、Bチームは男性キャスト中心ですが、いずれも個性豊かなキャラばかり、楽しみ方はそれぞれだとは思いますが、誰かに共感できるのではないかと思います。
残念なのは、若櫻では毎回のお楽しみの前説という名の雑談が、今回はいつも担当の武田さんが他の舞台に客演中のためかなかったということでしょうか。楽しみにして早めに行ったのですが…。それと、共同主宰の松下さんも他の舞台に客演中で出演がなかったということ。次回以降に期待です。
2
Along
演劇商店 若櫻
これまでの公演と違い骨董品店が舞台ではありませんでしたが、独立したドラマが最後につながる心に残る舞台展開は、やっぱり若櫻らしい。笑いあり、ドタバタあり、心にしみる展開あり、誰も傷つけない落ち着いてみることができる後味のいいストーリーは、個人的に毎回ストライク。トイボ、えのぐといった若手の実力ある劇団との連携も今回は魅力。前説を兼ねたフリートークも楽しい。お客に楽しんでもらいたいという意欲が感じられてGOOD。これまでスタッフで参加だった三上さん、栗原さんの出演も目が離せないポイント(これまで出演の久山さんがスタッフで活躍なのは少し寂しいですが…)。こんな魅力的な方々がスタッフだったとはもったいない。違うタイプの女性を魅力的に演じていました。全体を紡ぐ重要な役どころを託された若櫻の若手の二人の今後も期待。
3
Short story's
演劇商店 若櫻
いつもの骨董店の品物にまつわる短編という構成ではありませんでしたが、バラバラの短編が紡がれて最後に1つの話になるという構成は、テンポもあって心地よい。
途中、「シャー少佐ゲーム」という笑い要素もいれながら、話は意外なラストへ。一番気になっていた、なぜ画家が記憶喪失になったのかについては明確なシーンがなく、個人的には少しもやもや感が残りましたが、登場人物が皆優しく、全編を通じて舞台にここちよさが漂っているのは、これまでの公演と同じで若櫻らしい。
目を引くような派手なシーンや過激なシーンがないのも好感が持てます。また今回は出演者の人数が少ないので、一人一人の演技を十分に見ることができ、それぞれの演者がとても印象に残ります。
東小金井から徒歩10分とちょっと劇場が遠いという難点はありますが、会話中心の心にしみる優しい舞台が見たい方には、本当におすすめです。
これまでは若手劇団の「Toy's BOX」や「えのぐ」とのコラボ色が強かった部分がありましたが、今回は純粋な若櫻としての舞台という印象でした。
客入れ時の前説という名の雑談もとても楽しいです。是非30分前に劇場に足を運ぶことをお勧めします。
4
スナップ・アウェイ
ZERO BEAT.
全体的にはコメディーテイストでありながら、ちょっと切ない家族愛あり、(本当の?)オカルト要素もあり、シリアスなサスペンス的な部分もある、見どころがてんこ盛りのエンターテインメントでした。
出演者の方々の演技も素晴らしかったですが(特に女性キャストのキャラの立ち方が強烈過ぎてびっくり)、とにかくストーリーと脚本が素晴らしい。今年のゴシップ的な話題も随所に取り入れつつ、全ての出来事が伏線となり、ラストに全て回収されてすっきり。
大笑いしてハラハラして大感動、ラストはちょぴり涙で希望!。個人的にはZERO BEAT.の公演の中でも一番好きな舞台になりました。
少し残念だったのは、カーテンコールのあと感動で観客の拍手がなりやまなかったのですが、ダブルカーテンコールがなかったこと。最後にもう一度キャストに出てきていただければ、大いにわいたのではと思いますが、いろんなキャストの方にお見送りをして頂けて、本当にいい1日の締めくくりでした。
間違いなく今年見た舞台の中で(さらに言えばこれまで見た舞台の中でも)ベスト3に入る印象深い一本です。純粋に心から楽しめる舞台です。
5
想咲の結〜そらのむすび〜
ZERO BEAT.
ラストはちょっと出来過ぎの感がありますが、全編通して感動の連続。親って、家族って、って改めて考えさせてくれる感涙必至のとても良い舞台でした。
6
ZERO BEAT.特別公演『女子会×男子会=□□□□』
三栄町LIVE
とにかく笑いっぱなしの1時間半でした。男性視点のシーンと女性視点のシーンが交互に繰り広げられて、それぞれの感じ方のギャップを楽しめます。
Bチームを見たのですが、男性チームのアドリブかなとも思わせるような熱いやり取りは、終始笑いを誘っていました。
女性陣も、全員個性爆発で、かわいくもあり、面白くもあり。小さいスタジオでの公演なので、舞台と客席が近く、ビシビシとキャストの熱量が伝わって来ました。
笑いたい方、すかっとしたい方には、最適の舞台でした。ZERO BEATは、ハンムラビではしびれるようなサスペンスを、想咲の結〜そらのむすび〜では涙々の家族愛を、そして今回の舞台では極上の笑いを見せてくれました。どのような舞台もこなせるユニットとして、今後にも期待です。
7
ハンムラビの箱庭
ZERO BEAT.
最初から最後まで15人のキャストが出っぱなし(ただ、だんだんと実質的なキャストは減っていきますが)で場面も地下室のみでしたが、最後まで緊張感が漂う90分でした。
だれが本当の仕掛人・主催者なのか、だれが本当の意味での悪人なのか、最後の最後まで目の離せない舞台でした。確かに万死に値する悪人もいましたが、中には死をもって償うほどの罪は犯してないのではという参加者もいて、本当にあそこまでする必要はあったのかは意見が分かれそうです。正直TV・映画のラ〇ア〇ゲームを連想させるシーンが多かったですが、お金だけでなく命を懸けたゲームということで、一層人間のエゴだったり醜さだったりが目立つ問題作だったと思います。
前説もこれから始まる舞台のムードに合わせた口調でよかったですし、舞台のムードを壊さないために、開演前の物販もなし、終演後のダブルカーテンコールもなしと、舞台づくりに徹底しているところは、Zero Beat.のこの舞台へのこだわりが感じられてGood。
8
紅姫物語【ご来場ありがとうございました!】
劇団えのぐ
舞台、衣装、メイクなどがとても艶やかで、登場人物も個性的。
お話も妖怪と人間の物語ではありながら、40年にもわたる純愛の物語で抒情的でした。
最初の踊りもカッコよくてGood。今回特に、照明と音楽・音響がとても印象的で、不思議な空間をとても印象的に描いていたと思います。
前説を兼ねた写真撮り放題の雑談も、早く着いた観客にとっては、とてもお得な感じでした。
9
時代絵巻AsH 特別公演『水沫〜うたかた〜』
時代絵巻 AsH
毎度まずは客入れなどの運営や、当日パンフがこの劇団さんは素晴らしいです。落ち着いてみることができます。開演前の音楽も気持ちを盛り上げるのに一役かっていました。
時代が壇ノ浦の戦いの時代、言葉も今風でない言葉使いでわかりにくい、(また個人的に)歴史に詳しくないため時代背景や人物の関係性がピンとこないなど、いくつもの敷居がありましたが、現代劇にはない、あの時代ゆえの人々のつながり、武士の心意気、男たちの熱い思いでラストはジンときて涙が出そうでした。
時代絵巻となると、ぱっと見ちょっと敬遠しそうになりますが、是非見ていただきたい劇団さん・舞台です。来週はじまる「しののめ」にも期待です。初めての観劇でも楽しめること間違いなしです。
10
エンゼルウイング シングルウイングズ
Sky Theater PROJECT
二人の「夏子」が地震が起こるたび入れ替わるというストーリー。震度4程度の地震で入れ替わるというのは微妙な設定かとは感じましたが、入れ替わるたびに思い出の品が1つずつ壊れるという仕掛けで、想像していなかった意外な事実にたどり着く夏子。そして微妙に交錯する2人の夏子。混乱するかと想像していましたが、最後までのめりこんでみていました。
キャストの皆さんも魅力的な方ばかりでした。個性の全く違う二人の夏子の印象が、話の展開でどんどん変わっていくのがとても印象深い。
入れ替わりがきっかけで自分と家族が抱えている問題に気づき、解決していこうとする二人の夏子。最後は気持ちが温かくなる、でもちょっと切ないとてもよい家族の話でした。