OJINが投票した舞台芸術アワード!

2017年度 1-9位と総評
Short story's

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Short story's

演劇商店 若櫻

見て来ました。今回も旗揚げ公演と同じ3本のオムニバス+骨董店でのプチストーリー。個人的には3本目の幽霊の話とラストの骨董品店での兄弟の下りが好きでした。とにかく全話笑いと思いやりが一杯の、優しいほっこりとした舞台でした。次回作にも期待。

君の名前を藍色の空に呟いた。【ご来場ありがとうございました!】

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君の名前を藍色の空に呟いた。【ご来場ありがとうございました!】

劇団えのぐ

心が痛くなるような、なんとも切ないストーリーでした。誰かを守りたい、大切にしたいという純粋な思いをみんなもっているのに、その想いを素直に伝えられなかった、受け止められなかった為に、すれ違い・・・そして思いが強かった分傷つけてしまい、誰もがつかめたかも知れない本当の幸せを逃がしてしまう、そんなシリアスな話でした。母親(弥生さん)役の奥富さんが舞台に安定感を与えていたのと、いつもはオカマだったりちょっと色もの的な役が多い松下さんが、今回はがっつり等身大の若者を演じていたのが、印象的でした。
個人的には、ラストはハッピーであって欲しい派なので大絶賛とはいきませんが、心に残るいい舞台でした。ただ、これまでキーマン的な役どころを演じていらした谷さんが脱退された穴は大きい印象はぬぐえず、えのぐのカラーも少し違って見えました。谷さんの姿を今後えのぐの舞台で見られないのは、本当に残念です。

えのぐ恒例の、客入れ時の松下さんの写真OKのパフォーマンスには、いつもなごまされます。それと、今回は大きなホールで椅子もゆったりで、リラックスして見る事が出来ました。その分大道具などは準備が大変なのでしょうが、ぎゅうぎゅう詰めの小劇場より、やっぱりちゃんとしたホールでの観劇はいいですね。

Fehdeー針の尖ー

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Fehdeー針の尖ー

ZERO BEAT.

残酷なシーンもありましたが、旗揚げ公演とは思えない上質で濃い内容の舞台でした。音楽も最高。ラストは意外で切なすぎます。ZERO BEAT.の今後に期待します。

手を握る事すらできない

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手を握る事すらできない

劇団時間制作

笑い的要素0、ファンタジー要素0、ワクワク感0、楽しさ要素0の、超シリアスで見ているだけでこっちの心がやられそうな本当に辛い内容でしたが、いじめの問題に直面している人にもそうでない人にも是非見て何かを感じてほしい…とにかくそんな舞台で、これまでの観劇人生(数えるほどしかありませんが)で、一番衝撃を受けた舞台でした。
リアルな脚本もさることながら俳優の演技力も抜群で、ついつい感情移入してしまい、私も含め多くの観客の方が途中からすすり泣いていました。特に、いじめられて死にたいという気持ちを徐々に共有していく二人を全身全霊で演じていた二人の俳優さんは、本当にすごいとしか言えません。できればカーテンコールで、素の心からの笑顔を見せていただければ、よかったのに・・・(なんだか感極まって涙を流しているように見えました。)
そのほかのキャストの方も、妥協なく役になりきっていらっしゃいました。途中、「それでもお前たち人間か」と舞台にあがり、つかみかかりたくなるほどでした。
この劇をみて、1人でも自分の未来に光を感じられれば、1人でも自分の利己的な行動が相手を死を考えさせるほど傷つけていることもあるということに気付いてもらえれば、この「手を握る事すらできない」という演劇の存在意義は十分あったといえると思います。とにかく救いのない展開でしたが、最後にほんの少しだけ光が見えたのが、せめてもの救いでした。
ダブルキャストなので、逆のBキャストも見てみたいと思える舞台でした。見るべき舞台、つらくても見なくてはいけない舞台だと思います。

青い空の下で

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青い空の下で

貴楽屋

何か大きな事件が起きるわけでもなく、アクションがあるわけでもありませんが、前向きになることができる、そして心に残る優しい舞台でした。3度目の再演というのも納得です。キャストも印象的で、役にぴったりでした。ただ、70代の老人を演じていた女優さんが、少女も演じていたのは、ちょっときつい所もありましたが(笑)。
それと劇中のダンス・音楽がとても印象的で、頭の中で音楽がリフレインしています。とてもいいアクセントになっていました。
見終わった後、家族の事を大切にしたくなる、私にとってはストライクな公演でした。

池田屋裏2炎上

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池田屋裏2炎上

グワィニャオン

いろんな意味で圧倒された素晴らしい舞台でした。重厚でありながら、時々はさまれる軽妙な笑いの切れの良さ、激しい殺陣があったかと思えば、会話のやり取りも面白い。男の話かとと思えば、女性は強いな~と思わせたり。登場人物も若手から、年配の方まで。久しぶりにすごい舞台を見たという余韻がのこりました。
個人的には座席が前から3列目だったということもありましたが、終始「すもも」さんの??が気になってましたが。それと山口勝平さんのいいお声を生で聴けて、心地よかったです。とてもいい役どころでした。
すでにチケットは売れ切れだとか。再演に期待です。

時代絵巻AsH 其ノ拾壱『朱天〜しゅてん〜』

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時代絵巻AsH 其ノ拾壱『朱天〜しゅてん〜』

時代絵巻 AsH

今作が初めてでしたが、主催の灰衣堂愛彩さんの世界感がしっかり感じられました。セットもよし、キャストもよし、演技もよし、音楽もよし、照明もよし、当日パンフもよし、客入れなどの運営もよし…といろいろなところまで気配りが感じられる素晴らしい舞台でした。
なぜ人は戦うのか、人を差別するのか、一番怖いものは何か、いろんなことを問いかけている、とても深い内容でした。難しい時代設定でしたが、すんなりと入り込めて、最後は感情移入して見入っていました。男性だけの舞台でしたが、とても心に残る舞台でした。

青の鳥 レテの森

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青の鳥 レテの森

ハグハグ共和国

重たいテーマの割にはコメディー要素が強過ぎなシーンがあり少し気になりましたが、最初のダンスでぐっと引き寄せられ、ラストに近づくにつれ舞台に引き込まれ、ラストには涙が出ていました。役者さんの人数も多く豪華で迫力もあり、舞台もしっかりと世界観を表していて、舞台演劇をみたという感じの2時間でした。あの表現は舞台でないと成立しないでしょう。
個人的には、(以前から)なんといっても伊喜真理さんの声が大好きです。本当に魅力的な声の持ち主です。今回は伊喜真理さんの声をしっかり姿をみながら聞ける、いいポジションに座れてラッキーでした。

犬神家の反則

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犬神家の反則

演劇ユニットちょもらんま

犬神家の一族のパロディかと思いきや、がっつりミステリーで大きく予想を裏切られました。ミステリー要素も、サスペンス要素も、コメディー要素も、人情物の要素も兼ね備えた、見応え充分な内容でした。また出演者が若者から中年まで層が厚く、皆さん役になじんでいたといった印象でした。劇場がちょっと古かったせいか、場末感が漂っていて演劇を見に来たというワクワク感があまりわかなかったのと(これは劇団さんや劇自体には無関係ですが)、ラストシーンで死体のそばで主人公の探偵の親子が、些細な原因で場違いな感じではしゃいでいた演出にちょっと違和感を感じたこと以外は、本当に素晴らしい公演でした。

総評

新しい劇団さんとの出会いが多くあり、刺激的な一年でした。

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