夜をなめなめ
南京豆NAMENAME
エビスSTARバー(東京都)
2018/08/09 (木) ~ 2018/08/12 (日)公演終了
満足度★★★★
4本の作品からなる短編集
どの作品も27~30歳の世代を描いていて
特別若くもなくやり直せなくもない年齢において
浮いているわけでも沈んでいるわけでもない、楽しさより「楽」さを求めるようになり強がる人たちから、その世代なりの視点と感覚が伝わってきた
「終電は雨に濡れて」が良い出来で好みだった
生きるためにそうである自分を作り上げることを俯瞰してみたときの息苦しさや
結局みんな自分視点の解釈でしか他人に接することができない事実
加茂の存在が良い味だったけど、もう少しクリアに意味を感じたかったかな
果てっ、
中野坂上デーモンズ
王子小劇場(東京都)
2018/08/02 (木) ~ 2018/08/05 (日)公演終了
満足度★★★★
この劇団の作品は次元世界がいつもごった煮で、起こる事象に誰もエクスキューズしない
そして登場人物同士の間で完結した物語宇宙ができあがっている
それらが集まるさまはまるで銀河団でそういえば今回は暗黒物質もいる
観えているはずなのに捉えきれない
あと場面では井内さん演じる妻がかける電話が凄い好きだった
感情の流れとしてああいった折りたたみ方というのは本当に染みるように心に流れ込んでくる
作品は全般的にこれまでより笑わせると覚悟を決めた場面が多かった気がした
この劇団の作品では一番好きかも
トランジット・コメディアンズのコント集
トランジット・コメディアンズ
博品館劇場(東京都)
2018/08/01 (水) ~ 2018/08/05 (日)公演終了
満足度★★★★
一つ一つの作品も構成も凄くしっかりとしたコント集だった
客席は女性ファンが多く、役者のアクトに対する観客のリアクションや歓声・拍手なども含めて
「コントSHOW」がまさしく眼前に繰り広げられている!という感じだった
好みだったのは
小説家と編集のやつと、お母さん餃子と、ご挨拶シュミレーター
特にお母さん餃子は完全にシチュエーションコメディでスピードとパワーがあって
このジャンルをもはや斜めな角度から観てしまう自分でも真っ直ぐ笑わされた
会場の広さと観客の歓声でオチの台詞が度々聞こえなかったのが残念
役者が噛んだり、誘い笑いするのがかなり効果的に笑いを取れる雰囲気
それも役者の力量とキャラによるものだなと小劇場との比較で考えさせられることが色々あった
ねてもさめても
ゆるふ酒
スタジオ空洞(東京都)
2018/07/28 (土) ~ 2018/07/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
悔しいくらい面白かった
これは演劇という社会におけるサブカルチャーだなと
筒井康隆の「遠い座敷」的な雰囲気を感じるエスカレーターの話が好み
アリスのコントの金八は面白すぎた
最後の性的少数者の話は夢の中でありそれがあくまで理想であるからこそ悲しい
地蔵中毒にミルクを足してまろやかにし、コンプソンズにヤバい薬を盛った感じ
コントにおける塩顔イケメンの有用性を確認
梁瀬さんの「~でヤンス」のナチュラルさと似合いっぷりが素晴らしすぎた
コントが後半の演劇に効いてくるんだけど、コント部分に無理がないのが良い
演劇作品のLGBT表現は作者側と観客側の考えという部分で今一番溝ができやすい要素なのかなと
この前のホテミラでも男同士というだけで笑っている観客もいれば、別に男女カップルと同じような設定として見る観客もいる状況があって
正直観客側としても時々作者の意図がどちら側なのか考え止まる時がある
GARAZY
The Four of Mats
シアター風姿花伝(東京都)
2018/07/25 (水) ~ 2018/07/29 (日)公演終了
満足度★★★★
日本だし野郎たちだし修理工場なんだけど
90年台のアメリカドラマ、青春グラフィティのような要素がギュッと詰まってる印象を受けた
キャラとか設定に粗はあるんだけど、それを上回る楽しさで好きだった
役者さんが魅力的に見えるのは良い作品の証だと思う
それぞれの場面の振幅がもっと大きければ、さらに観客側の感情を揺らせるのになぁと
一方でそれぞれの役者さんの登場人物へのハマり具合は特筆するべきレベル
森谷さんの表情のデパートっぷりとか、従業員4人のポジションまんまの感じとか
良さが難点を覆い隠して埋め立てる
草苅事件
しむじゃっく
高田馬場ラビネスト(東京都)
2018/07/21 (土) ~ 2018/07/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
笑えるけどミステリーっぽいし、頭使いながらも馬鹿騒ぎな感じだし
役者さんそれぞれの見せ場を楽しみつつ、物語の解釈を頭ぐるぐる考えるような感じ
本作は小劇場にありがちな
「無内容でしぬほど退屈な作品」を関係者側や観客が無理やり意味を付け
面白いとする事への痛烈な皮肉を含んでいる
きっと作者自身も自分の作品に対し同じ懐疑を抱いたうえで
我々観客をもう一度信じて本作の結末を書いてくれたのだと思う
平成三十年のシェイクスピア
コンプソンズ
王子小劇場(東京都)
2018/07/18 (水) ~ 2018/07/22 (日)公演終了
満足度★★★★
とにかくネタをばんばんすごい数投げてくる作品
政治芸能ネット演劇2chツイッターまとめサイトWiki・TikTok
見ている側のGeek度合いによってだいぶ打率が変わり
大半のネタを理解出来してしまった後に残るのは平成を無駄に費やしてしまったなぁって気持ち
役者さんたちがとにかく芸達者、わかりやすく役者が構成する作品
梁瀬さんの歌とか普通にそれだけ聞いてたかったし
本田晴子さんのキャラ作りだったり、舞台上での表情含めた存在が凄く良かった
hocotenさんも見た目や存在そのものを活かされまくってった
城
劇団普通
新宿眼科画廊(東京都)
2018/07/13 (金) ~ 2018/07/17 (火)公演終了
満足度★★★★
誰かと聞かれたら、私だと答える
どこかと聞かれたら、ここだと答える
何時かと聞かれたら、今だと答える
それは全て事実となり、今ここに私がいることになる
私という者の思考は真実であって座標の0である
それが小説であり演劇である
観客は主観という城を明け渡したことに気付く
僕の好きな小説、筒井康隆の夢の木坂分岐点を思い出した
偏在する存在と浮遊する主観
そういうものだと言ってしまえばそういうものになる演劇の特性を活かした表現
個性的な役者さんが多く、根をはらない世界観に負けず自分の周りに自分の世界を作ってそれぞれの存在を守ってたイメージ
『コントロール・アン・ア・アン・アン・コントロール』『ギャル』『猫の呪い』『朝子さんと夕子さん』
遠吠え
SCOOL(東京都)
2018/07/13 (金) ~ 2018/07/16 (月)公演終了
満足度★★★★
本公演候補の4作品の冒頭15分を観て投票する企画
1本目「コントロール、、、」は本当に木村さんの脚本?と思うような空気
男性メインにするとこういう風な話を書くのかとあらたな驚き。日本のラジオみたいだった
会話のバランスの綱渡り感は好みだった
「ギャル」
バンギャルとかマンバとか見た目のインパクト強いけど
実際はかなりハイテンポでワードが凝縮された秀逸な会話劇
さんなぎさんの哲学を感じさせるマンバがキーとなるキャラで司令塔
あえて今マンバとかのギャルをやる意味を越えていけると思う
「猫の呪い」
短編として完成しているようにも見える作品
それぞれの関係性とか続きが見たくなる要素たくさんあった
「朝子さんと夕子さん」
これが一番遠吠えぽかった
誰が演じるかでだいぶ印象が変わるんだろうなと
ギャルに2票と猫の呪いに1票入れてきた
【東京公演】劇団壱劇屋「独鬼〜hitorioni〜」
壱劇屋
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2018/07/12 (木) ~ 2018/07/17 (火)公演終了
満足度★★★★★
小劇場でこのクオリティ!
凄いんだろうなと思って観てやっぱり凄かった
殺陣の場面はどれも凄かったけど刺客二との殺陣の場面が特にお気に入り
キチッと装填している細かさが好き
敵側の戦法も色々有って飽きなくて、そう思うと異形の存在に対する人側の対抗策も見ものなんだよね
Wordlessということで様々な表現方法で情報を観客に与えるんだけど
人間とは違う時間の流れで生きている事を表すところとか
夢の中の出来事を表すところとかどれも秀逸だった
適役がみんな格好良いのもポイント高い
関西の劇団ってのが悔しい(観に行きづらい)
死にたい夜の外伝
劇団献身
OFF OFFシアター(東京都)
2018/07/11 (水) ~ 2018/07/22 (日)公演終了
満足度★★★★
シチューションコメディ的な構造でカラオケの1ルームという閉塞性を見事に活用しきった作品。痛みながら笑った。
そしてこれだけ残酷で苦しい場面が続く作品もそうそうないなと
この世界は僕のための物語じゃないけど、誰かのドラマのために生きてるわけでもねえ
あれは面白いあれは面白くないとか
センスとか空気とか流れとか
お笑い芸人が考えてやるようなことに受け手側が勝手に縛られて窮屈になって
笑いってものが手元から離れていって
削り取っていった成れの果て、尖って痩せ細った主人公たち
好きなものが自分を苦しめる矛盾
トイレの花子さんの帰宅
やまだのむら
イズモギャラリー(東京都)
2018/07/07 (土) ~ 2018/07/11 (水)公演終了
満足度★★★★
あの3人は他者とのコミュニケーション手段がそれぞれ違って、それぞれ不器用で
特にマルヤマの手段はとても哀しくて
傷だらけの掌で相手を叩いている様な感じで
そして僕もまた見えない触れない事を言い訳にしてコミュニケーションを諦めてるのかもと
第十七夜『銀河鉄道の夜 -露-』
有末剛 緊縛夜話
ザムザ阿佐谷(東京都)
2018/07/07 (土) ~ 2018/07/09 (月)公演終了
満足度★★★★
精神的断面と肉体的断面に深い崖を感じる瞬間が訪れた時
肉体に触れることで解消してしまう事も有れば
その断絶の大きさに絶望することもある
心を固定しなければいけない、縛らなければいけない
音にして絵画にして吊し上げてそこに残して救おうとする物語
テキストの精神性を肉体表現で固定するという意味では
演劇も心と身体の間に感じる軋みに折り合いを付ける手段の一つと言えるのかもしれない
賢治の身勝手なロマンチックが生んだテキストも空に貼り付けばあんなにも美しい
エゴは身体から取り出して眺めると美しい
ホテル・ミラクル6
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2018/07/05 (木) ~ 2018/07/10 (火)公演終了
満足度★★★★★
今回も4本とも全部好き
あといつも通り好きな作品の役者さんを猛烈に好きになった
ホテミラって毎回、その役者さんの魅力の一番わかりやすい部分を感じられる気がする
役者さんの自己紹介と言うかPVというかショーウィンドウ的公演かも
Mad Journey
@emotion
ブディストホール(東京都)
2018/07/01 (日) ~ 2018/07/08 (日)公演終了
満足度★★★★
殺陣とダンスと音と光で、ハイライトとクライマックスがとめどなく溢れる様子はバレエのようで
跳ねっ返りの主人公と随所に含まれる笑いと憎めない敵役の配置は
小学校の頃に体育館で観た演劇のような懐かしさと憧憬とエンタメの原点を見せられたようだった
ビュッフェ
順風男女
しもきた空間リバティ(東京都)
2018/06/27 (水) ~ 2018/07/01 (日)公演終了
満足度★★★★
コント系の劇団では一番脂が乗っていて最高に楽しい空間
順風男女の作品は緻密さとかひねりがあるとかそういったタイプじゃないんだけど
楽しさの共有とか楽しい空気を楽しむと言った、笑うってことの一番根本的なものをしっかりと与えてくれる気がする
今回は電夏の道井さんも出演してて、ん?電夏、いや順風だ!って感じに一瞬頭が混乱したけど
流石の道井さんのキャラと味でめちゃめちゃ面白かった
「最高のゲーム」のノリとか「度胸の塊」とか好きだったけど
「ハッピーターンが止まらない」が白眉。もう最高of最高だった
THE BIG ESCAPE-大脱獄-
カカフカカ企画
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2018/06/27 (水) ~ 2018/07/01 (日)公演終了
満足度★★★★
物語性がいつもより高く感じられもしたが要所要所をバカバカしさでしっかりとしめて
物語からの振り幅もしっかり効いていて、本当にくだらなくて最高だった
しかもかなり細かい部分ぎっしり小ネタが詰まっていて、ハズしてるやつも含めて満腹感で幸福感
たすいちメンバーやたすいち常連メンバーもたくさん出てて、目崎さんがとち狂ったたすいち作品のようだった
THE小太刀賢って感じのキャラクターとか、笑いながら人を殺せそうな中田さん、デ・ニーロ・アプローチの目崎さんと美味しい役どころばっかり
《東京公演》新宿コントレックスVol.20
Aga-risk Entertainment
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2018/06/29 (金) ~ 2018/06/30 (土)公演終了
満足度★★★★
アガリスクの「切ない恋」が凄い好み
いうなれば凄いベタなんだけど、ジャンプさんという装置がいることで許容される世界
てかジャンプさん以外の人が凄い気持ちよさそう。自分もカラオケとかでやってみたいもんなぁアレ
あと鹿島さんのああいう使われ方大好き
東京にこにこちゃんのやつは観たことあったんだけど「笑to希望」でやってたやつかな?
相変わらず汗かくコント。帽子とった時に笑いが起きたのが可哀想ながらも面白かった
ピーチはいくつかセンスを感じるコントがあって好み
劇団んいいは溜めた分だけオチがめちゃ効いた
淺越さんの「ゾンビの伝来と戦国時代」でゾンビの話してる時に中野坂上デーモンズのゾンビくんが目の前を通ったのが個人的にヤバかった
淺越さんのネタは本当に授業受けてる感。背景の知識がしっかりしているんで
笑うと言うより知的な刺激を受ける場にいられた喜び
コーラボトルベイビーズ
第27班
駅前劇場(東京都)
2018/06/22 (金) ~ 2018/06/27 (水)公演終了
満足度★★★★★
間違いなく今一番のセンスと物語がそこにあって、言葉も哲学も笑いもカッコ良さも全部くれる
叙情的に引き付けてポップに弾け飛ばす、痛みで縛り付けて優しい光で狂わせる
もし2018年現在の小劇場作品とはどんなものか知りたい人がいればこの作品を見れば良いと思う
登場人物たちが持つ愛は全部自傷行為で
特に長女の望む愛や家族への思いが辛くて
望んで得られないならと実際は自分自身を縛り付けて痛みを自分に与えていて
そうして実はすでに自分の手の中にあったと気付いた時の姿に涙した
ワタナベの自伝
あひるなんちゃら関村個人企画
live space anima【2020年4月をもって閉店】(東京都)
2018/06/23 (土) ~ 2018/06/24 (日)公演終了
満足度★★★★
実はあひるなんちゃらよりも関村さん個人企画の方が自分には作品的相性が良かったりするんで
今回も台詞とか展開とか観ていて全部フィットし続けて、50分笑いっぱなしだった
団長さんの2回づつ否定するやつが表情とか含めてずるい程面白かった