時をかける稽古場
Aga-risk Entertainment
サンモールスタジオ(東京都)
2014/06/07 (土) ~ 2014/06/15 (日)公演終了
満足度★★★★
笑えた!
説明文にある「時間移動もの × 演劇現場もの で描く“劇団という青春”!!」を読んで、なんて安直なと思ったが見事な公演であった。確かに「時間移動」は何でもありの好き勝手が描けるが、その面白さを十分引き出せるかは別問題だ。
本公演は、「時間移動」といっても本人たちが記憶している範囲の近未来または過去のこと。そういう意味では客観的に自分という存在を認識できるし、俯瞰した状況にある。なんら違和感のない舞台設定は素晴らしい。この種のプロットは破綻しがちだが整理されていたように思う。
2時間超の公演であるが見応え十分である。
今後の公演も大いに期待しております。
救いを求める女たち
劇団新和座
要町アトリエ第七秘密基地(東京都)
2014/06/06 (金) ~ 2014/06/08 (日)公演終了
満足度★★★★
魅せることは成功か
暗幕で囲った素舞台で、身体表現とセリフ(詩の朗読のよう)だけで状況説明を行う。脚本もさることながら、演出が難しい、と思う。舞台上を神殿以外の場所とし観客席を神殿と見立て、常に視線は正面に向けられる。ギリシャ神話を題材にしていることから、極端(明確)に女性☞平和、男性☞戦争、と象徴的に描くことで感情移入がしやすかった。
また、必ずしも予定調和でなく不条理も…上手な演出で面白かった。演技は、セリフと言うよりは詩を朗々と読んでいたようだ。それが時として哀願、悲哀、歓喜を表現しており見応えがあった。シンプルながら、観客に伝わる公演だと思う。
今後の公演も期待しております。
私は愛する家族のもとへただ早く帰りたかっただけなのだ
劇団ザ・スラップスティック
タイニイアリス(東京都)
2014/06/05 (木) ~ 2014/06/08 (日)公演終了
満足度★★★
不条理でしょうが…
同じような場面、セリフが繰り返され単調なテンポで、正直辛かった。ストーリーは、予定調和で新鮮さに欠けていた。
脚本は、確かに不条理を描いていたが、あまりに直接的過ぎて、プロットの妙味が生かされなかったようだ。
演技は、主役の清水大敬サン、MaiKaサン(初舞台)が好
演していたのが良かった。
テ-マ性のある公演は好きです。今後の公演に期待しております。
透明な箱の中の王様【ご来場いただき、誠にありがとうございました!】
劇団えのぐ
上野ストアハウス(東京都)
2014/06/05 (木) ~ 2014/06/08 (日)公演終了
満足度★★★★
個性的なおもちゃ
ファンタジー”色”強い公演だが、その根本には鋭い社会批判が潜んでいるような気がした。
さて、本公演に関して、「なぜ君たちは僕の知らない場所へ行ってしまったの?」という説明文を読むと純真無垢のように思われるが、はたしてそのまま成長できるだろうか。多くの人は成長するうちに、幼い頃に遊んだおもちゃを捨ててしまう。少なくとも自分はそうだった。この公演でも成長とともにおもちゃでの遊びはなくなる(触れ合いというのが適切な表現かも)。”おもちゃ”からの自立は成長の証とすれば、自立出来なければどうなる?社会生活に支障が生じるのだろうか。そんな暗示場面もあった。”おもちゃ”を”ゲーム”に置換えると、現代社会に鋭く迫るものがある…と勝手に深読みしてしまった。
印象的なのは、”おもちゃ”たちの個性豊かで楽しいところ。実に活き活きとして心温まる演出だった。
今後の公演、ますます期待しております。
SELVA!
風雲かぼちゃの馬車
小劇場B1(東京都)
2014/06/05 (木) ~ 2014/06/09 (月)公演終了
満足度★★★★
骨太さが…
「風雲かぼちゃの馬車」の公演は、軽妙な演出だがその内容は骨太なところが好きだ。今まで観てきた公演は、ポップ調だが、脚本の底流には物事を冷静(冷たいと言う意味ではない)に眺めつつ、実は温かい眼差しを向けている、という印象を持っている。だから心に響き印象深いものになっていた。
しかし、本公演は何を訴えたいのか?単に冒険活劇では勿体無い(場面毎は面白いが)。
確かに、衣装やメイクは凝っていたが、もっと本質的なところでの面白さ、楽しさを期待していた。実力劇団と思っているので、もう一段の高みを目指してほしいと思います。
「風雲かぼちゃの馬車」としては☆3.5かな。
嘘つきアポロジー
9-States
OFF OFFシアター(東京都)
2014/05/28 (水) ~ 2014/06/01 (日)公演終了
満足度★★★★
視点をしっかり…
持たないと見ていても難しい。一見ミステリーのような仕上げ方だが、終盤に明かされる事実は、序盤のうちにその伏線が張られる。そう「誰の視点で見ているの」というセリフ。目まぐるしく変わる誰彼の視点…、そして2つのストーリーが交わることなく展開される。実は交錯しているのかもしれないが、自分には解らなかった。ただ、それぞれのストーリーは人間性を観察した物語のようで、身近な社会で見かけるような気がした。だからこそ、単純に目に入ってくる芝居を眺めているだけでも十分楽しいし、面白かった。
しかし、最後はやはり「見事!」と言わせてくれた。公演全体の印象は、見事な脚本に凝った演出、そして役者のコミカル、シニカルな演技が素晴らしかった。
今後も見応えのある公演を期待しております。
パラライズ
イカロス・プロジェクト
萬劇場(東京都)
2014/05/29 (木) ~ 2014/06/01 (日)公演終了
満足度★★★★
脚本が…
難しいというか、理解し難いところがあった。先に難点を記載するが、ストーリーとしては、最後は強引な終わらせ方という印象である。次に舞台設定であるが密室空間ということだが、おばちゃんが簡単に入って来るなど、「コメディ」といえど、もう少し工夫した見せ方をしてほしかった。また、公演時間が2時間弱だが、途中休憩を入れたこと。構成上必要だったのか?休憩間際の、それこそ「ホラー」風で、少し怖い演出はそのまま見続けたかった。
しかし、人間性を深堀して、その悪意、エゴを魅せてくれた。人間の二面性のうち、暗部を突きつけられた感じがした。人間は「悪」や「恐怖」にも順応するんだろうな。その意識すら麻痺するという、本質的な恐ろしさ。人間(登場人物)のバックグラウンドを十分説明し、高額なバイトに応募してくる。そこには、表面的で単純化した演出だが、逆に観客(自分)には納得しやすかった。
公演全体としては、脚本は難があるが、その演出「コメディホラー」の試みは実りがあったと思う。役者は総じて若く、熱演だった。もう少し脚本と演出がかみ合った公演だったら、と残念でならない。
今後の公演に期待しております。
流れる雲よ2014-天山チーム-
演劇集団アトリエッジ
ザ・ポケット(東京都)
2014/05/28 (水) ~ 2014/06/08 (日)公演終了
満足度★★★★★
テーマ性を…
重視した公演である。その内容は、人間が紡ぐ歴史は、その生きた時代とどう真剣に向き合い生きるか、または逝き切るか…そんな問いを投げかけられたと。訴えるセリフからその主張は明らかである。そう、「命」と「平和」は重要だということ。その言葉は、表層的に描いてもその重みは伝わらない。
しかし、本公演では、「69年前の太平洋戦争末期の特攻基地で、突然ラジオから2014年の未来からの不思議な放送が聞こえてくる。」という奇抜な演出で魅せてくれた。69年前、死を目前にした若者が、その時代から未来が感じられるのだから。自分はテーマの重さを感じつつも、それに振り回されず一芝居として公演を続けていることに敬意を表する。
その芝居に関して言えば、脚本・演出、そしてなによりも役者の熱演が素晴らしい!
今後も良質な作品の上演を期待しております。
少し気になった点はネタバレへ
四角い箱
劇団ステア
中野スタジオあくとれ(東京都)
2014/05/30 (金) ~ 2014/06/01 (日)公演終了
満足度★★★
中途半端かも…
脚本はテ-マ性を持ち社会批判も鋭い。その表現は荒削りだが面白さはある。そういう意味では、潜在的には演出力もあると思う。しかし、現時点ではそれを十分描き切れていない。役者は熱演だが空回りしている感じである。見た公演では、相手役の名前を間違え、その相手役からツッコミが入ったり、滑舌が悪く聞き取り難い。演技力は経験を積めば良くなると思う。
公演全体は、まだまだ粗いが楽しみな劇団だと思います。当日配付したパンフレット?に「初稿を書き、それからはディスカッションの連続。何度も何度も台本が書き換えられ…」と記している。どこの劇団も同じだと思いますが…真面目さは伝わります。個人的には、狭い空間での濃密な会話劇が好きです。今後の公演を期待しております。
PS:呪文を解くほうも呪文にしてはどうか。
想い出のテラス
座キューピーマジック
「劇」小劇場(東京都)
2014/05/28 (水) ~ 2014/06/01 (日)公演終了
満足度★★★★
しみじみと…
「妻と死に別れた初老の小説家。 突然の喪失感に彼は戸惑います。 そして三人の娘たち。」の説明から、映画・小津安二郎監督作品を彷彿させる。
実際、物語に大きな起伏はなく、日々の生活が淡々と描かれる内容・雰囲気であった。平凡な日常の中にこそ、小さなドラマがあるのだろう。そんな断片を切り取った瑞々しさに好感を持った。人生の経験を積んだ”大人向け”の奥行きのある内容だが、父親と娘の心情交流がもう少し描きこまれても良かったと思う。あくまで父親の身の回りと娘三人の置かれた状況に対する悩み・葛藤という別々の流れになっていたようである。もう少しリビング(書斎か?)という舞台設営を利用して父とそれぞれの娘が向かい合う場面を見たかった(二女が恋人を連れてきたのが唯一の場面)。
本当に清々しい公演で好感が持てました。
ディアボロス
カプセル兵団
笹塚ファクトリー(東京都)
2014/05/29 (木) ~ 2014/06/01 (日)公演終了
満足度★★★★
楽しめた!
SFハードボイルドアクションと言う設定だろうが、演出はコミカルでそのギャップが面白い。説明文「スタイリッシュなアクションとセリフで綴る、カプセル兵団流アンダーワールド! 」に誇張はないように思う。
また、ストーリー展開は突飛でありながら観客(少なくとも自分)の心を鷲掴みにする面白さがあった。約2時間の公演時間はアッという間で、飽きさせることはなかった。また、演技(特にアクション)は見応え十分で、見入ること間違いなし。強いて難を言えば、役者間の演技力に差が見えたような…。
ぜひ、次回もすばらしいエンターテイメントな公演を期待しております。
ご観劇ありがとうございました♪ ミュージカル♪マリオネット♪
ミュージカル座
六行会ホール(東京都)
2014/05/28 (水) ~ 2014/06/02 (月)公演終了
満足度★★★★★
子供から大人まで楽しめる
心温まるファンタジー作品。そう、タイトル「マリオネット」通りに人間じゃない登場人物がそれぞれ個性的に描かれている。そこが最大の魅力かもしれないが、実はこの作品の最大の見所は、主人公(人間ピエール)が、その生き様に苦悩しマリオネットに支えられ成長するところ。
主役(田村良太サン)のブログで「みんなはユニークなキャラクターたちをどんどんと磨きあげていく中で、自分はピエールという繊細な役に悩む。」と記載しているが、本当にそうなんだろうなと思った。しかし、舞台はそのキャスト全員のチームワークで素晴らしい公演になっていた。本公演は子供から大人まで楽しめる公演です(途中休憩を入れ3時間弱)。
天使は瞳を閉じて-インターナショナル版-
Projectスナフキン
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2014/05/22 (木) ~ 2014/05/25 (日)公演終了
満足度★★★
どんなテ-マかな
感想を記すのが難しい、というのが第一印象である。どの視点からみるのだろうか。一定の居住区に閉じ込められた人々の側、それとも天使の側か。たぶん両方からの視点を通して訴えるテーマがあったのだろうが、欲張りすぎたのか演出不足なのか、観客に十分伝わってこない。だから場面ごとは面白いと思うが、上演後に感じるものが…。
天使も含め登場人物のバックボーンを描き、人間界の社会性か、人自身の深淵か、はたまた天使の苦悩か、テーマ(伝えたいもの)がもう少し明確であってほしかった。
役者の演技は素晴らしいだけに残念でならない。
PS:指を怪我し記載が遅れてすみません。
夜ノ森/チェレンコフノ光ニツイテ
EgofiLter
シアター711(東京都)
2014/05/21 (水) ~ 2014/05/25 (日)公演終了
満足度★★★★
心配かも
私事だが、住んでいる市に福島県双葉町から多くの方が避難してきていた。週末にはボランティアにも通っていた。
さて本題だが、中盤まではテンポも緩くはがゆい感じであったが、終盤になるにしたがい盛り上がってきた。「山か」が色々な関連”要素”を持たせているのか、少し複雑になった感じもする。「山か」を民俗学的な面と警察的な面の両方の要素を描くにはストーリーをもう少し整理しないとわかりにくい。特に学生運動を知らない世代にはなお更だろう。
さて、「山か」はどんな捉え方をしようと定住できない、ということであれば双葉町の避難住民は…。
そんなことを暗示するかのようで、心配になりました。自分の勝手な杞憂ですが。
陽だまりの樹
劇団俳協
TACCS1179(東京都)
2014/05/28 (水) ~ 2014/06/01 (日)公演終了
満足度★★★★★
さすがは…
俳協である。コメディタッチながら流底には、人としての生き様を鋭く問う骨太なテ-マを据え見応えがあった。タイムスリップはよく見かけるプロットで、目新しさはないが、そんな目先の舞台技術ではなく、人としての生き様を正面から捉えたテーマ性を重視した。人としてどう生きるか、それは誰もが一度や二度は考えるのではないだろうか。それをセリフの応酬で十分表現した。侍として一瞬でも生きがいを見出したい、一方日々の生活の中に幸せを感じる生き方…どちらが正しいかではない。どう自分と真剣に、または正直に向き合えるか。
その熱き思いは、時に重厚な作風となり重々しくなる。しかし、本公演はアップテンポにすることで、長時間にもかかわらず飽きさせることはなかった。
脚本・演出はもちろん、役者の演技が素晴らしい!
今後も俳協らしい魅せる公演を期待しております。
スーザンナ・マルガレータ・ブラント
オフィス再生
APOCシアター(東京都)
2014/05/23 (金) ~ 2014/05/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
見逃せない
小空間に耽美的、幻想的な雰囲気が漂い、既に魅せられた。舞台美術・衣装はもちろん、小道具にも工夫が施されていた。哲学的要素の強いテーマながら、その演出力は卓越しており、訴求力は素晴らしい!人間の悪意に満ちた行為、それを法という制度枠では御しきれない不条理。証明(特に悪事)が必須であるが、それを成す事の難しさ。人の悪意を際立たせることで、その対極にある善意または慈愛が鮮明になった。それだけにもの悲しい気持になった。その心理描写は見事で、2時間の公演時間を飽きさせることはなかった。
今後の公演…更に期待しております。
「エッちゃん愛してる」 公演終了。ありがとうございました!
Sky Theater PROJECT
劇場MOMO(東京都)
2014/05/20 (火) ~ 2014/05/25 (日)公演終了
満足度★★★★
切なさが…
今一つ伝わらなかった。妻にもう一度会いたいと思っている心情が弱いようだ。また、死神が現われた理由、約束を反故にされても、今回は見逃すという優しさなど、腑に落ちない。
芝居全体を包む温かみは感じるが、感情移入は出来なかった。
料亭老松物語
劇団芝居屋
ザ・ポケット(東京都)
2014/05/21 (水) ~ 2014/05/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
見事でした
心のストライクゾーンに速球が投げ込まれたぐらい気持が良かった。今回も「芝居屋」らしい手堅い脚本・演出だった。また演技も上手く、安心して観ていられる。自分的には申し分ない公演だった。
次回公演が楽しみです。
55Av(Fifty-Fifth Avenue)の戦慄
メガバックスコレクション
ART THEATER かもめ座(東京都)
2014/05/17 (土) ~ 2014/06/01 (日)公演終了
満足度★★★★
面白かった!
トンネル崩落事故現場に見立てた舞台セットは見事だった。薄暗いから細部までは見えないが、劇団員総出の作業だったと上演後に聞いた(鈴木優美サン)。
さて、本題だが、なぜ主人公がその現場まで連れてこられたのか、そして本人がその理由を知るまでに相当の歳月を要したのか?そのプロローグ、エピローグがわかり難い。よく用いられるシチュエーションであるが、キャスト数からすれば違和感ない描き方だと思う。しかし、極限状態に陥った場合の演出…経験していないから難しいとは思うが、もう少し狂気を強調してほしかった。「正・邪」「善・悪」という短絡的な表現は面白みを半減させるだろう。だが本公演では、あえてメリハリを付けて感情移入をさせてほしかった。それによって、タイトルにある「戦慄」が倍加したに違いないと思う。
公演全体としては見応えあったが、密閉空間での緊張・緊迫感に緩みが見えたのは残念だった。
劇団かさぶた終始公演『凡』
劇団かさぶた
シアター711(東京都)
2014/05/15 (木) ~ 2014/05/18 (日)公演終了
満足度★★★
記憶が…
上演直後は、確かに見応えがあった…と思ったが、書き込みを始めると何を書こうか。自分の記憶力のなさを嘆く。
冒頭、青年が自分の棺桶作りをしているシーンから始まり興味を持ったが、その後は誰の視点で進展したのだろうか?色々な場面があり、多くの視点が錯綜し感情移入がし難かった。確かに虚無・懐疑・嫉妬・羨望・狂恋・倦怠・絶望などを描いた場面はあったが、上手く関連付けられていたか疑問である。脚本・演出はもちろん演技も良かったかもしれないが、印象が弱いのだ。強いて残っているシーンは最後の「!」である。
やはり、モチーフのようなものが大切だ、ということを改めて感じた公演でした。