ふじたんが投票した舞台芸術アワード!

2018年度 1-7位と総評
2月文楽公演

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2月文楽公演

国立劇場

女ころし油地獄は、とても魅力的な場面が多い。楽しめました。
文楽を国立劇場で観た。近松門左衛門は,『女殺油地獄』というひどくショッキングな作品を残している。金銭を強奪するために,お吉との油まみれの殺害現場は,人形劇の方が少し落ち着いて見られるだろう。そのために,歌舞伎でなく,人形浄瑠璃でヒットしたのだろうか。今回のその情景は,確かに見事だったと思う。

『女殺油地獄』のはじまりでおもしろいのは,泥だらけになった男をお吉が親切心で,家に入れる。女が一人になった家で,男が裸同然になっているわけで,たまたま帰って来た亭主が子どもから,かかさまが男の人を連れ込んでいると告げられる。言われてみれば,確かにお吉にもどこかスキがある。後日そのことが悲劇につながる。

お吉は,どうして男をもっと警戒しなかったのだろうか。男は俺と不義をしてくれ,俺が相手をしてやるから,家の金を残らず出せとすごむのだ。もっと潔く金でもなんでも渡せば命は助かったかもしれない。そもそも男の方は,事件を表ざたにしたくなかったに過ぎないのだから。なにも可愛い子どもたちを残して惨殺されることもなかったのだ。

作品の最後は非常におもしろい。どのように隠蔽されたウソもなにかのきっかけで暴露される。そのことが私はこの作品の魅力だと思う。今回の演劇では,ネズミによって天井から落ちて来た血だらけの証文にだけ男は追いつめられたわけではなかったようだ。その手のウソつき野郎はいつも土壇場まで往生際が悪いのだ。

卒業式、実行

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卒業式、実行

Aga-risk Entertainment

美術の先生が、たいへん面白いキャラクターでした。最後に来て、ややまとまりがなくなって来たような感じもします。
『卒業式、実行』を,新宿サンモールスタジオで観た。

テーマは,国家とか,国旗とかなので設定からして工夫がいる。なぜかというと,治安維持法のあった戦時中でなく自由な戦後の,平和な日本とはいえ取り上げ方に多くの問題が起こってしまう。演劇のテーマが,あまりに政治色が強くなると,どこぞの政治団体の集会に参加しているかの錯覚が起こって,演劇そのものが楽しくなくなる。

といったことからであろうが,おそらく教職員組合を,生徒会に置き換え,さらに,本来なら,教育委員会によって,あまりに酷い結末があったかのようなシーンをどうしても回避したい。そのために,結論としては,一貫して反国家,反国旗,反君が代,となったであろう流れを,終盤でグダグダにして作品そのものを良くわからないものにした。

といったような,カモフラージュはあったので,十分には楽しめなかったが,演劇としてはハイレベルだった。口角泡を飛ばし,つばぜり合いをする。そのような議論また議論,さらに白熱する駆け引きは見事だった。中におもしろおかしく挿入されるコントとか,まぬけな教員たちの口からの出まかせ,などたいへん興味深かった。

『卒業式、実行』は,スゴイ」作品だ。幼馴染みで,秀才で高校教員になった人がいた。彼は,この作品のような世界で就職したばかりから闘争を繰り返して,人生がめちゃめちゃになっていった。彼に,この演劇がどう理解されるか心配である。もしかしたら,あまりに重い問題なので,彼は酷評するかもしれない。しかし,私はこんな演劇も好きだ。

埋没

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埋没

TRASHMASTERS

礎のときより、わかりやすかった。ふたりの女性のののしりあいが迫力満席だった。社会派演劇に、政治的な背景、子どもたちも多かったが、理解できないと思いました。
『埋没』を,高円寺で観た。この劇団は,前に『虚像の礎』を観劇したことがあった。

この作品は非常にインパクトがあった。作品の中で,一番すごいのは,非常に近い関係にある女友だちの間に,ダム問題で亀裂が生まれたところだ。ともに戦っていくが,より賢明な選択をする。そもそも反対運動というのは限界があって,金銭闘争に変質する。しかし,精神論としては,自然環境を守りたい。どこまでも子ども時代の故郷がなくなって欲しくない。そういった観点が確かに一方にはあった。

ところが,今回の四国で起きたこの事件の背景には,別のことがあった。それは,一県からすれば自分たちの自然を壊してまで作るダム問題はほとんどメリットのない話だった。しかしながら,これが四国の他の三県の水不足問題を解決するという大義があったので,自分たちの方が県エゴをつらぬいているのかもしれないのだ。

この演劇を注意深く観察していると,ローカルスタンダードというものが,田舎にはあるという問題点だ。私が思うのは,田舎の視点が非常に大局を見ていないことが多いのだ。そのような人間は,この作品の中で訴えるようななんらかの内省みたいなものすら全くない。ただ自分たちの世界が満足したいとか,自分中心に小さなメリットを構築するが,その近くにいる別の集団を無視し,酷使して,のうのうとする例が多いということだと思う。

この劇団がとても表現を得意とするのは,人の心理。喧嘩し,相手を追い込む。近親憎悪みたいなものがあると,さらに相手を説き伏せないと気がすまない。気がつくとお互いに殺意まで芽生えた。そのような関係になる前に,刃傷事件にならないうちに関係が悪化したら逃げたい。喧嘩は買わない,パワ・ハラもできるだけブロックすること。と私は思う。それができるのは,ガンジーのような無抵抗な姿勢とか,法華経のような仏ごころだ。

それにしても,人間はどこまでも喧嘩をすることがある。親が子どもを規格にはめる場合でも起きる。進学などにおいても,お金を出す側の親は,スポンサーだから子どもはある程度は親の無理難題に抵抗できないだろう。気がつくと,教育虐待が発生する。子どもが親によってつぶれていく。逃げ場がない。不幸中の幸いで,親殺しの破滅にならないまでも心に傷が残る。トラウマが人生の後半に残る。世の殺人事件の大半は親族事件だろう。

デスペラードを知ってるか?

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デスペラードを知ってるか?

ボクらの罪団

加護亜衣が出るというので,池袋シアターグリーンに行く。

冒頭映像が流れ,出演者の名前などを紹介したなどビデオが流れたが,全体に時間をどうしても二時間におさめたい。観客は,映像を観に来たのでなく少しでも早く誰かの顔を確認したいのだからだ。なんのための映像だったのかよくわからない。全体としてはとてもよくまとまっていたので,冒頭のつかみがかえって惜しかった。

刑務所から脱走する五人組の演劇はずっと見ていてあきなかった。五人のメンバーがそれぞれに個性的でいい演技をしていたと思う。

いくつもおもしろい傑作の場面があった。その中で,加護亜衣らが父親の葬式に立ち会うところ。葬式の場面を不謹慎にも演劇でコントにするのはややモラル違反。しかしながら,棺桶の中から,死んだはずの父親が,真実のすべてを語りかけている息子に,飛びついた場面には唖然とした。わらいがマックスになった。

デスペラードの歌は良かったと思う。女刑事のキャラも面白かった。有名女優が出る演劇にはあまりいい思い出がないが,これは良く出来ている。どこが,どうおもしろい。良く出来ていた。そういうのが,多かったので語り尽くせない。素晴らしい。この劇場で観たものの中でも最上の出来だと思う。

ブラジル山下ヤスミン来日

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ブラジル山下ヤスミン来日

天神三丁目親不孝通り昭和音楽祭実行委員会

素晴らしい熱唱でした。内容は、ハウルジルで優勝したものと、あいさんさん。感動的なカラオケ。最後に、ブラジルで練習したのか、梅谷心愛とご当地ソングも上手に歌ってました。

小公女セーラ

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小公女セーラ

Japan Art Revolutionary

子ども向き作品だと思ったが、結構よく出来ていた!名作を堪能出来た。

会津藩家老  西郷頼母

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会津藩家老 西郷頼母

劇団め組

幕末史で会津の事件は、幕臣であり過ぎたので悲惨です。薩摩にしては、途中まで盟友であったので悲しい結末になりました。非常に心打たれる演劇でした。

総評

東京から,やや離れてしまった!

地方ではあまり演劇は見ないけど,みんながんばってね・・・

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