itomasa7の観てきた!クチコミ一覧

101-120件 / 173件中
Get a Life(ご来場ありがとうございました!)

Get a Life(ご来場ありがとうございました!)

613

劇場MOMO(東京都)

2014/07/16 (水) ~ 2014/07/21 (月)公演終了

満足度★★★★★

起承転結の起伏で見事な感動劇へ
日本国民総メンタルケア時代、
心の病気にかかったりカウンセリング技術に興味もったりという人は多いかと。

下手にそれらの知識をかじってた自分は起承の段階で
「心療内科として全然リアルじゃない!
というかブラック心療内科としてはリアル過ぎ」、
と脚本/演出/役者さんの演技すべてに
全く気持ちをのせられませんでした。

しかし(想像すれば分かる展開でしたが)いざ転じて結ぶ段になると
物語の王道といえる展開と演者の気迫のこもった演技とに
涙腺が開き涙を引き出され、それが閉じる間もなく次の涙へとつながり、

序盤の設定はすべて後半の感動を引き出す為のギャップとしての
誇張表現的なものだったのかと
脚本/演出の巧さと役者さんの「いい熱」に
はっきりいって感心してしまいました。


最近★5つのオンパレードだけど、
まあ自分がいいものもらったのは確かなので
まあいいかと( ´ー`)

ネタバレBOX

カウンセリングの基本は
「無理に聞き出さない」
「共感する」
「否定しない」
「自分の意見を押し付けない」
相手に相手のリズムでその気持ちを言葉や行動として吐き出させ
(吐き出さない事もまた相手の意志表示として認め)、
その中から悩みの解決策を共にさぐっていきましょう、という技術。


カウンセリングの仕事の忙しさにかまけて、
何度も自分に悩みの相談をもちかけていた後輩を放置し、
後輩はとうとう自殺、
そのトラウマからカウンセリングの仕事を辞めた過去を持つ主人公。

しかし、再び彼は(元いた)心療内科、カウンセリングの現場に復帰するが・・・

過去の仕事ぶりはかなり評判が良かったはずの彼ですが、
舞台が始まってみればこの医局、彼を含め
「無理やり話を聞き出そうとする」
「自分の意見をおしつけようとする」
「患者の感情を見ず、自分の感情ばかり表に出す」
などダメダメなカウンセラーばかり・・・

そしてそれを「自分で成長しなさい」とばかりに放置する上司。


はっきりいってカウンセリング/心療内科に関わり、
それらについての勉強もしていた頭でっかちの自分からすると、
「いや、こんなカウンセラーや医局、ダメだから!プロ失格だから!」

リアリティ0(ブラックとしてなら100%でしょうが)、
と感じてしまい、

早い場面転換の中、要所要所で各人良い事を
言っていたりはするのですが、

起承の段階ではまったく気持ちをのせられませんでした。

※ お芝居自体笑いその他を多く織り交ぜたものではない為、
  それこそまったく感情をゆさぶられず、
  ただ「観る」に徹してしまいました。


しかし過去のカウンセラー仲間に昔貸した
自分の学習ノートを返してもらった事をきっかけに
「カウンセリング」の本質を思い出す主人公。

そして転じて結ぶ展開にあたり、

・ ガン患者の終末医療の中、ストレス解消の為の
  カウンセリングを担当していた主人公は、
  とうとうガン患者の本当の気持ちである、
  「死にたくない!妻を悲しませたくない!」を吐き出させ、
  それに共感しつつもただ事実を本人に認識させる事で、
  ガン患者の抱えていたストレスを発散させ

・ 拒食症に悩み足繁く病院に通って来る患者に対して、
  「今の行動をやめましょう!」と意見の押し付けをしてしまい
  患者から「担当医を替えて!」と言われていた女性カウンセラーは、
  主人公のアドバイスから、
  それでも自分の元へ足繁く通う患者の本当の気持ちを捉え一緒に悩み、
  一緒に考えていこうという形で患者の心をつかむ事に成功し

  ※ カウンセラーは本来「相手の事は相手の事」と患者に共感しつつも
    一緒に悩んではいけない、一定の距離を置かなければいけないのですが
    (そうしないと自分もメンタルをやられる為)

と転結で見事に「真のカウンセリング」に成功します。


このガン患者が自分の本音を叫ぶ場面、
それをカウンセリングルームの外で待っていた妻にも聞かれるのですが、

主人公、ガン患者、ガン患者の妻とそれぞれの演技が急激に熱をおび、
その上前半からのギャップが見事に効いたのか、
とても大きなショックを自分は食らってしまいました。

いっきに涙腺が緩み目は涙に潤んでしまいました。


そして主人公の悩みが1つ解決したと思ったら、
次は別の(女性)カウンセラーの悩みも連鎖的に解決していく、

「何故そのような行動を取るのか、その理由を考えよう」
という主人公のアドバイスを見事に活かし、

そして更に患者にもその親が取る行動

※ 「毎日親と自分のお弁当を作れ!」と厳命していた

について、
「その理由を考え、聞いてみよう」と
患者の意志を尊重した形でのアドバイスを行い、
それが受け入れられていく、
という流れに

涙が乾く暇がないぐらい気持ちを引っ張られてしまいました。

そして、
「かつて放置し自殺してしまった後輩」と同様に
今回またも放置してしまいかけた恋人に対しても、
主人公が見事に締めくくります。


ここまで来ると、序盤全てを否定していた自分が嘘のように
このお芝居に引き込まれてしまいました。

序盤のブラック展開は、
後半の感動を生み出す為のスパイス的な要素として入れられていたのかなあ、
と。


今回のお芝居は、出演されている役者さん自身から誘われてのものでしたが、
思わぬ拾い物をした気分です。

ひさびさの正統派感動劇を観せてもらったと思います。
うちの犬はサイコロを振るのをやめた

うちの犬はサイコロを振るのをやめた

ポップンマッシュルームチキン野郎

駅前劇場(東京都)

2014/07/04 (金) ~ 2014/07/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

ある意味お芝居の「王道」を行く集団、それがPMC野郎( ´ー`)
2014/07/04(金)19:00 2列目観劇 ★5つ
ネタバレできないのでお話内容自体は書けないですが、
まずシュール&ブラックなネタの数々に
「”子供”じゃきっと笑えないんだろうなあ」と
他の劇団ではまずお目にかかれない「ダークな大人の笑いネタ」
&イロモノすぎるネタに笑いつつも
そこに悲しい話が組み込まれていく・・・


だけの普通のお芝居では終わらせない、
「普通」じゃないのがこの劇団Σ(゚Д゚

「お芝居」っていうものが観た人に対して
作者や演者の想いを伝えたり喜怒哀楽の感情を揺さぶったり、
という”心の操作”を楽しむ娯楽だとしたら
「娯楽の王道」(ジャンプ的展開?)しちゃってるので
ほんと驚かされました。


独特の狂気の色を持ちつつも、お芝居の「王道」を行くこの劇団、
今後も期待大です( ´ー`)


あと一部の人には共感得られるかな?って思うけど、
増田赤カブト姉さん見てて「誰かに似てるな??」って思ったら
全盛期の平野綾(声優)に顔のパーツパーツが似てるのでは?

今は癒し系イロモノガガ様だけど、痩せたら
本当にパーフェクト美人になるかも知れない・・・

と思ったけど、PMC野郎の中に「単なる美人」なんて必要ないし、
きっと本人もそんな事は望んでないんだろうなあ( ´ー`)
と思いましたよ。

ネタバレBOX

2014/07/04(金)19:00 2列目観劇 ★5つ
────────────────────────────
前作の短篇集から観劇し始めたこの劇団、
前作の感想には「いつもと違うPMC」のようなものが多かったのですが、
なるほど今回の観劇で「いつものPMC」というのを初めて体感しました。


人語を話す天才犬ゴルバチョフの存在から始まり、
最初太平洋戦争の頃の満州国での出来事として、
中国のあまりにシュール&ブラックなネタの数々
(農薬その他色々な毒素などの影響による奇形生物の存在や
列車事故を乗員ごと列車を埋めてごまかそうとする
イカレた政府の存在など)
を何気なく突っ込んで「大人」な(?)笑いをとっておいて
いきなりすぎるショッキング展開Σ(゚Д゚

一緒に暮らしていた飼い主(娘)とその家族を皆殺しにされた上、
日本の悪意の巣窟と言われる731部隊にさらわれ、
脳にある外科的手術を施す事で
「タンパク質などを取ると「計算」により未来予知を可能にするという」、
実験に使われるゴルバチョフ
(人間にこの手術を施すと皆すぐに自殺してしまうが
犬ならきっと大丈夫だろう、と)。


そしてそこを抜け出し敗戦後の日本に来たゴルバチョフ、
ここでOP映像が流れるので
「ここからが本当の始まり」とほんと騙されちゃいました。

同じく731部隊から逃げ出した仲間たち、
鋼を生む鶏や手足が無限に再生するトカゲ、
更にはなぜかマッサージチェアなんてイロモノまで引き連れて、
(戦後当時の)キャバレーの娘(飼い主にそっくり)に助けられ、
一緒に生活していく訳ですが、
潰れかけのこのキャバレー、起死回生の策として
ゴルバチョフの知り合いのツテを使って
「マッカーサー元帥」夫妻をお客に呼んで
この店の宣伝をしよう!というバカ展開。

そこに戦争で爆弾の破片を頭部に受けた娘の失明から、
更には「死に至る」と予言する謎の人物。


ここまではイロモノ、シュール&ブラックながら
「まあ普通にお芝居だな」とそれ以上の感想は持たなかったのですが、
ここでいきなり731部隊の実験直後へ場面が戻ります。


なんと今までの展開は全て外科的手術を受けた
ゴルバチョフの脳が「計算」により導き出した未来の姿
(実際この時点ではまだ何も起きていない)だったとは・・・


この大どんでん返しに、それまでの物語に
「普通に」見入っていた自分は、
「完全にやられた!」と思いました。
(途中までの物語が最後まで続いてしまったら★3つ、という所でしたが、
ここまで見事に観客をハメてくれる展開には間違いなく★5つ、と思います。)


そして、来るべき未来、娘が爆弾により命に関わる傷を負う事
自体に対してゴルバチョフはその「力」を使って
娘の命を救います、己の命と引き換えに・・・


ラスト、「何か食い物をくれないか」と助けた娘に言って、
おまんじゅうをもらい、これを食べて未来を予知し、
未来娘が失明などの怪我もなく、
キャバレーで立派にスターとして踊る姿に満足して・・・そして・・・




ほんと、シュール&ブラック&イロモノ、という部分は
「ファン」と「アンチ」を完全に分けてしまい、
・ 「気に入ってくれる人」
・ 「絶対に気に入ってくれない人」
を作ってしまうとは思いますが、
この物語の展開については、人を楽しませる「お芝居」としての王道を
感じました。


そして、最近のお芝居では多い演技の間のダンスパート、
それとはまた違う、キャバレーでのあくまでも物語としての
情熱的なダンス&歌唱がまた良かったですね、
昭和のあの時代を生きる人の「力」のようなものを感じました。


自分は完全「ファン」入ってしまった感じです、ツボに入りました。
次回公演も楽しみです。
────────────────────────────
耳があるなら蒼に聞け ~龍馬と十四人の志士~

耳があるなら蒼に聞け ~龍馬と十四人の志士~

企画演劇集団ボクラ団義

ザ・ポケット(東京都)

2014/06/25 (水) ~ 2014/07/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

フィクションという名の幕末/坂本龍馬暗殺の「真実の1つ」を目撃
2014/07/06(日)14:00 C列観劇 ★5つ
初の千秋楽観劇でしたが、何か演者側も観客側も雰囲気が
違うような気がしました。

前説の段取りがいつもと違う、というのもありましたが、
いざお芝居が始まってからも演者側の演技にしても
観客側の観劇風景(ざわつき、どよめき、と言っては悪いですが)も
どちらも「本劇はこれで最後」というのをよく味わうように、
いつもの「熱」を更に増しつつも丁寧に演じ、
またそれを受け入れ喜んで観劇していたように思いました。

そして終盤「これでほんと本劇も終わりなんだな」と
自分も思いましたが、
演者側にもそういう気持ちがやはりあるのでしょうか
(あって当然とは思いますが)、
気持ちの乗りようが今までよりの「熱さ」よりも
静かな「闘志」とでも言うべきかも知れません、
何か今日に至るまでの各公演とはちょっと違った、
昇華された演技をされていたような雰囲気を感じました。

そういう意味で、今まで「千秋楽=満席=混雑する」という
イメージで避けていたのですが
「千秋楽観劇はいいものだな」と思いまいた。
今後は狙っていこうかな( ´ー`)


2014/07/04(金)13:00 E列観劇 ★5つ
今回初のスタンプラリーという試みに少しは関わってみよう、という事での
5回目の観劇ですが、だいたい舞台の流れ/場面は頭に入ったのか、
今回は場面場面を知った上でそこにどれだけ気持ちが引っ張られるか、
気持ちをのせられるか、という視点で観ていました。
やっぱり龍馬や中岡について象徴的な「ある場面」「ある場面」が
一番気持ちを引っ張られますね。

あと、今回のイベント

・ 久保田唱一問一答
  「耳があるなら蒼に聞け」
  という象徴的なフレーズ/タイトルは物語を作る中で生まれたのか、
  まずこの印象的なフレーズから始めて物語を考えたのか?
  ⇒
  答えはなんと「フレーズが先」との事でした。
  他にもいくつか候補はあったが
  一番象徴的だったこのフレーズを元に史実を調べ、
  今回の物語を仕上げていった、との事です。
  (すごいな、脚本家の人ってみんなそうなんですかね?
  コピーライター的な物の考え方?)

・ 「龍馬伝」楽曲の「いちむじん」さんギターライブ
  龍馬伝って福山さんでしたっけ?
  自分観た事ないんですが、本劇を観て更にいちむじんさんの
  楽曲を聞いて、「あー、なんで観なかったんだー!!」って
  すごく後悔です。
  NHK大河ドラマでしたっけ、ああいうのは後から観る方法あるのかな(??)


2014/07/02(水)13:00 B列観劇 ★5つ
3日連続して観てから、少し間があいての本日の観劇、
まずは龍馬達をとりまく女性陣の演技、
自分の愛する人との関わりあいにかなり涙腺を刺激され、
そして最後には龍馬と中岡の瀕死の中での
あのやりとりに涙してしまいました。

間を空けて観劇する自分側の受け取り方に変化があったのか、
本劇公演10回目を越えて演者側に
かなり「いい熱」が入ってきているのか(役が降りる、でしたっけ?)
とにかく気持ちを引っ張られ涙なしには見れない舞台に仕上がっていました。


2014/06/27(金)13:00 B列観劇 ★5つ
初回観劇で「いつものボクラ団義と少し違う?」という感覚にとまどい、
その理由探しで粗探しをしてしまい、

2回目の観劇では「これは史実の謎に対するボクラ団義のフィクション
としての1つの”答え”、それを自分は観劇ならぬ目撃した」と感激し、

3回目の今日は上から目線の言い方で申し訳ないですが、
「ボクラ団義さんが劇団として一皮向けたというか
新たな物語/お芝居のスタイル/アプローチを見つけたのかな」
と感じました。

小さい感想としては
・ 龍馬その他の志士の所作をじっくり観てて
  「どうして今まで気付かなかった!」と驚いたけど、
  自分は今まで刀の差し方間違えてました(実際差してないけど)。
  「ノの形に腰に差して抜くのかな?」と思ってたのが
  実際は逆向き、への形に腰に差し、そして抜いていました。
・ ノブさんが「自分の役の史実らしき設定「お相撲さん好き」を度々
  演出している」ってトークショーで言ってたので、
  2人が一緒に舞台に上がるシーン観てたら

  ほんとに「ああ、相撲取りいいなあ( ´ー`)」

  って表現してて、これ丁度メインの方のいい場面とかぶるけど
  「こっち側見てても楽しいなあ」って思わせられました。


2014/06/26(木)13:00 B列観劇 ★5つ
─────────────────────────
二度目の観劇でアフターパンフ、豪華パンフも観て
(+歴史年表見直し)知識十二分とはいえ、今日の舞台は面白すぎた。

(久保田さん考察によるフィクションを含むとはいえ)
まさに幕末のあの時あの場所での真実を
観劇というより目撃している気分だった。
(頭の中の歴史知識がまさに目の前で現実化している感覚。)

※ 演劇舞台上の出来事なのに、映画以上の
  「リアルさ」を感じたのは
  自分が事前知識を全部得ていたからとかだけではなく
  演者の熱がまさに素晴らしい形で伝わってきたからかと( ´ー`)

初日感じた演者全体の熱が一方向へ引っ張られすぎる感じは特になく、
今日は本劇を本当に心から楽しめた(と感じている)。
(今回の初回観劇は、自分の観方に問題があったのかしら?)

3度目以降で更なる伏線回収するのが楽しみになってきました。
─────────────────────────


2014/06/25(水)19:00 B列観劇 ★4つ
タイトル:歴史年表ぐらいは見てから観劇に来たほうがいいと思います…
─────────────────────────
案内パンフで久保田さん自身が
「下手に勉強なんてしないで来たほうがいいかもとツイートした」
というネタがありましたが、初日初見を見終えた自分の感想としては
最低限(中学高校の日本史を完全に忘れてるなら)
幕末/明治始めぐらいまでの歴史年表
(龍馬暗殺の前後数年~のいくつかの出来事ぐらい)は
観劇前に目を通しておいた方がいいんでは?と思いました。

自分は学生時代全然勉強してなかったのもあり
今回ボクラ団義が「新選組/坂本龍馬ものをやる」と
聞いてからひととおり”猿でも分かる”系の本で
勉強しといたので大丈夫でしたが、その辺の裏付けがないと
観ている側にとってアレがアレする理由が弱くなって
しまったりしないかなあ、と(大体は説明されてるけど)。

あと、初日はちょっと演者の固さが目立ってしまいました。
翌日以降でこなれていくものと思います。
─────────────────────────

ネタバレBOX

2014/07/06(日)14:00 C列観劇 ★5つ
─────────────────────────
・ 西郷さん、大久保さんの(ちょっと悪者の入った)演技と
  台詞回しが特徴的で、
  (元々薩摩弁ってそういうものなのかも知れませんが)
  大物感と悪のラスボス感が出ていたように感じました。

・ 本劇はフィクションながらも「龍馬暗殺の真実に迫る」と
  いうものでどうにもシリアスになりがちな流れでしたが、
  そこに癒やしの紅一点、おていさんを演じる
  三田寺さんが本筋の流れを断ち切らない程度に
  入れてくるボケが、本劇をシリアス+「熱」の鋭さのみにはせず、
  うまいバランスで仕上げてくれていたんだなあ、と思いました。
  (そういう意味で佐藤ノブさん、竹石さんと
  良いストーリーテラートリオでしたね。)

・ ボクラ団義の今までの舞台では笑いを取る為の役、
  ボケなどを担当する第三者ポジションを主に演じていた
  大神さんが演じる中岡が、本劇では
  主役の龍馬を食ってしまうかも知れないぐらいに
  ・ 人間味あふれ
  ・ (一言も語れずとも)家族(妻)を愛し
  ・ 各悪役(?)の策謀に悩まされ
  ・ 非情になりきれないまま龍馬と対峙する
  という、
  「真実に迫る」(フィクションですが)ドキュメンタリー調になりがちな
  本劇の中にあって、「感情劇」として情熱にあふれたお芝居をしていて、
  「ああ、大神さんってこういうお芝居もいける人だったのか」
  と改めて思わされました。

  VividCafeの一人芝居での
  「真面目ボケ(ボケ役を真面目に演じきって笑いを取る)」
  などは元々すごい演技力を持った人だとは思っていましたが、
  今回はほんと情熱的な演技は中岡、今井、龍馬、千葉さな子さん、
  などがまずメインを占めていたのではないでしょうか。

・ 終盤、龍馬と中岡を助ける為に今井が飛び込む場面、
  今までの回だったら「熱」を帯びた演者(竹石さん)が
  飛び込んでくるんだけど、今回は何か「熱」とは違う
  静かな「闘志」みたいなものを感じました。

    最初冷房で汗が引いたとかそういう違い??とも
    思ったのですが、その後その空気が各演者さんにも
    伝染したように、皆の演技がピリッと引き締まった感が
    あったので、
    1.「千秋楽の終盤」にある何かの影響
    2.演者としての竹石さん~その他の皆さんの昇華
    いずれかなのかな、と思いました。

  単なる「熱さ」じゃなくて、何か一本芯の通った演技というか
  うまく説明できないのですが
  単なる「巧さ」の一言ではすまないものを感じました。

・ (演者さんにおべっかを使う訳じゃないですが)
  そういう意味でも竹石さんは
  昔のキャラメルボックスの上川隆也さんのように、
  何か次のステップへ進む段階に来ているのかな?
  (長編ドラマや映画だったり小劇場舞台の他の世界)
  というファンとしては嬉しいような、
  でも舞台を離れられてしまったら悲しいなあ、
  という気持ちを帰り道、ちょっと感じました。
  (実際、昨年後半あたりから映画関係などかなり活発に
  活動されているようですし)

・ ふと思い出しましたが、
  木本さん、虹鋼の頃はアイドル扱いの
  「客寄せパンダ」(言い方すいません)的な使われ方をしてる
  人なのかな、と思ってましたが、その後
  ・ 新耳袋でミステリの主人公を見事に演じてみせたり
  ・ 今回お龍として龍馬亡き後も威勢の良さを失わない、
    闊達(かつたつ)とした未亡人を演じてみせたり
  と、かなりな役者さんになっていたんですね。
  (自分はまだいくつかしか舞台観せていただいていませんが、
  新耳袋以降役者としてもかなりいいもの持ってるんだなあ、
  と思ってました。)

  今後もボクラ団義や久保田さんと関わっていってほしいなあ( ´ー`)

PS.今日結構見づらい席で観劇して初めて気付きましたが、
  (まっ平らに並べられた前席の方だけかも知れませんが)
  舞台版「天誅」の時と同じで
  前の人の頭で(※特に前の人の背が高いとかではありません)
  座って行われる演技がまったく見えない、というのがありました。
  
  既に自分は何回も前席で観せていただいていたので
  そこで何が起こっているのか、はわかっているので特に
  気持ちをそがれるような事はありませんでしたが、
  舞台最下段で「座る」「地べたを使う」演技をする場合は
  中野ポケットも観せ方に注意が必要なのではないでしょうか?
  ※ 今まで別の舞台などで5、6回は中野ポケットで
    観劇させていただいていますが、
    少し後ろの斜め席に座っていた事や
    舞台自体も立ってのものが中心だった事もあり
    気になってはいませんでしたが、
    今日の観劇では「この劇場も同じ弱点があるな(一部席のみ?)」
    と思いました。

  多分、自分が今日観た席でしか観劇できなかった方の
  評価は「舞台は面白いけど(観えない部分があるから)のりきれない」
  などになってしまうものと思われます。
─────────────────────────


2014/07/04(金)13:00 E列観劇 ★5つ
─────────────────────────
・ やっぱりまず龍馬の「争いを嫌う」「まっすぐな男」としての
  情熱的な姿がいい。

・ 物語中で「ほたえな!」と兼&龍馬が言うと同時に一度場面が止まり、
  そして龍馬側へ転換し、更に「ほたえな!」の台詞で兼&中岡側へ
  展開する、というこのストーリーテラー達、龍馬、兼&中岡、の3本に
  分岐した物語をうまく笑いをとりつつ展開させていく、
  この複数シーンの組み合わせ方の巧さはいつもながらのボクラ団義だなあ、
  と思いました。

・ まじめな、まっすぐな、気持ちのいい男たちはすぐ死んでしまう、
  ずる賢い奴だけが生き残る、
  という龍馬が姉乙女に吐露した心情、
  そして実際龍馬の最後、策謀を立てた男たちと
  それでも自分を曲げる事なく自分の意志を貫き通して死んだ龍馬、
  (あくまでもこれはフィクションとしても)
  なんだか悲しいですね、
  エンドロールで「2014年現在も時代/政界が混沌としている」事を
  語っていますが、ほんと「ずる賢い奴ら」だけがのさばる
  日本の政界はなんとかしなきゃいけないんだなあ、と
  改めて感じました。


PS.いちむじんさんと「龍馬伝」の監督も「中岡犯行説」派だったそうです。
  あと、土佐弁指導にいちむじんさんを呼ぶその繋がりとなった
  いちむじんさんと竹石さんの繋がりって一体なんだろう・・・
  (映画の事とかかな、すごく気になるなー)
─────────────────────────



2014/07/02(水)13:00 B列観劇 ★5つ
─────────────────────────
・ 龍馬と千葉道場の娘さなとのやりとり
  本気の竹刀稽古と「男だったら一緒に京へ誘っていた」という台詞

・ 乙女姉さんと、かお、中岡、兼のやりとりでの
  中岡、兼のお互い不器用な愛し方と
  それについての乙女姉さんの一言

・ 一度長州を落ちる所まで落とす、
  と自らも落ちた桂小五郎とそれを支え、
  新選組から桂を守って死のうとまでする幾松

・ 龍馬が乙女姉さんに送った手紙での
  「いい人はみんな死んでしまう、自分もずる賢さ?を
  身につけなければならないのだろうか」
  というつい漏らしてしまう本音

・ 国の舵取りをする偉い人間達がみんな策謀して、
  龍馬を死なせた、という事について
  お龍が物語中の桂、西郷、大久保や、
  真相を今まで語られなくて良かった、と言ってしまった
  板垣退助へ怒りをぶつけるさま

・ 最後、函館五稜に降った雪に龍馬との約束を思い出し
  「雪やなくてうぽや、約束通り龍馬さん
  うぽになって蝦夷へ来てくれたんや」というお龍

とにかく女性との関係の表現でぐいぐい気持ちを引っ張られ、
涙を誘われました。


その上でのラスト、龍馬、中岡ともに斬られ、
助けを待つ今井に対して
「静かにしてくれ、今かおの唄を聴いてるんだ」
と龍馬、中岡2人して、懐かしの土佐の地を思い出させる
あの場面、

今日はとにかく気持ちを引っ張られ、涙を誘われました。
本劇の演技が熟れて心に染み入るようになってきたのか、
あるいは観る側の自分の心の持ちようがまた変わってきたのか、
とにかく良い舞台でした。

PS.そういえば観劇中は気づかず、ふと今になって思いましたが、
  劇中では明るく振舞っている場面が目立ち、
  その正体も物語終盤で明かされる為そこに
  涙を誘われるほどには引きこまれませんでしたが、
  一番悲しい女性は
  自分の夫を龍馬暗殺を遠くない原因として無残に殺され、
  せめて龍馬暗殺の真相だけでも知りたい、と願った
  本物語のストーリーテラーの1人、三田寺さん演じる
  新選組近藤さんの奥さんなのかも知れないなあ、と( ´ー`)
─────────────────────────


2014/06/27(金)13:00 B列観劇 ★5つ
─────────────────────────
感想にも書きましたが、
元々過剰とも言える叙述トリックによる脳トレ芝居や
笑いと泣きとシリアス展開/ミステリで観客の感情と
思考を巧みに操る論理劇、感情劇ともに上手い劇団、
というイメージを持っていたのですが、
今回「史実を自分たちなりに考察し実際表現してみせる」という
「史実考察型時代劇」をとてもリアルに演じられていたと思います。
(自分が知らないだけかも知れませんが、
劇団として新たにお芝居の幅が広がったと感じました。)

今後も色々な時代の謎を残す史実に「独自目線の考察」で
挑んで、それをお芝居その他で表現していって欲しいです。


昨日の1時間トークショーや本日の舞台語り、聴いてよかったです。
その次の観劇で「観るべきポイント/楽しみ」が増えるし、
演者さんの演技や物語についての裏話などはそれ自体が
「(役にうちこむ)いい話」だったり、「笑える話」だったりと
お芝居自体と同じくらい楽しめました。

小さい感想としては
・ 近江屋にて龍馬のその佇まい、気持ちいい男ぶりに惚れてしまい、
  「必ず守る!」と約束しながらも守りきれなかった
  今井の無念がすごく伝わってきました。

  そして、中岡に斬られる事にした龍馬が夢を諦める瞬間の潔さや
  2人斬られた後、中岡が「助けを呼びに行く」と
  なんとか龍馬を助けようとあがく姿の必死さにも心打たれました。


追記.ふと思いましたが今井、板垣、テイの3人がそれぞれ
  ・ 近江屋での龍馬暗殺の1日の真実
  ・ 坂本龍馬の成し遂げた事
  ・ 坂本龍馬を愛した女達(恋人、妻、姉の説明は板垣さんかな?)
  それぞれのストーリーテリングをしていて、
  (龍馬の人生という意味では一本ですが)
  劇中3つの分かれた物語をそれぞれ混在させつつ
  混乱させる事なくうまく観せてるんだ。
  これはいつもながらのボクラ流だけどすごいな( ´ー`)
─────────────────────────


2014/06/26(木)13:00 B列観劇 ★5つ
─────────────────────────
初日初回の観劇では確かに
「全編通して各演者の熱が一方向へ入りすぎている感じ
(感情の起伏部分がいつもあるラインを越え続けていたような)」

「全編通しての悲しいラストへ引っ張られる感覚
(つまり笑いや泣きネタにうまく引っ張ってくれない)」
を観劇中ずっと受けていたと思います。


元々本劇は最近のボクラ団義作品の中でも笑いや泣きのテイストが少なく、
久保田さんが考察/想像(創造)した坂本龍馬暗殺の真実という
メインストーリーを中心に進む事もあり、

いつもの絶妙な物語の起伏などによる観劇側の感情の誘導(引っ張り/上げ下げ)を
受信できず、

(舞台上のありすぎる演者の熱に反比例して)
気持ちを引っ張られる事がなく、ほぼ客観的に観てしまう事になり、
その結果として
考察内容/物語/お芝居自体は素晴らしいが
「気持ちを持って行ってくれなかった」
という意味で★4つにしました。


しかし、感想にも書きましたが今日二度目の観劇では、
メインストーリー8割、脱線(笑いや泣きネタ)2割、といった
バランスでとてもうまく観劇側の感情に軽いゆさぶりを与えてくれた上で、

いつもとは違う、お芝居で喜怒哀楽の感情を引っ張るだけではない、

フィクションという名前の「真実の1つ」を目撃(体感)
しているかのような体験をさせてもらえました。
(頭の中の少ない歴史知識がまさに舞台上に顕現したかのような。)


その上で二度観の楽しみである、伏線回収
(ある演者の何気ない所作の中に隠された意味を知るなど)
も楽しめたので満点だと思います。


全18公演(?)という長期公演ですが、健康に気を付けて
これから来る中盤、そしてラスト/千秋楽まで突っ走っていってほしいです。


そうそう龍馬、「耳があるなら、蒼に聞け!」って2度言ってたんですね

・ ?弥太が切腹死してる前で、(彼らもまた一心に生きている)
  新選組を恨むな、その裏で暗躍している黒幕こそを恨め、という意味でと

・ 最後策謀にハマって近江屋で瀕死の重症の所で
  新選組に守られた事、新選組は決して犯人ではない事を
  大政奉還後の日本国民達に伝える為と

かっこいいフレーズですなあ。タイトルが生きてますね( ´ー`)


あとラストで今井が板垣退助と共に謀略を巡らせた西郷達を
なんとかしようと結託した後、
再び映像で史実の展開
(今井はわずか1年で釈放、しかもその決を下したのは西郷)を
見せられて、フィクションと史実の壁完全に忘れちゃってる自分は、
「どうしちゃったんだ今井!(まさかあそこまでの決意が翻った!?)」
って思ってしまいました。
(そういう所も引き込まれたなあ( ´ー`))


PS.最近「この劇団さんはこの観方で観るのが面白い」というような
  固定観念が自分の中に生まれてしまっているようで、
  そのせいで一番楽しみたい初見を楽しめていないのかしら(??)
  今回入手したゴーライその他過去芝居のDVDで復習
  +観劇の作法(頭からっぽにして受け止める)について再確認しとこ( ´ー`)


? そういえば初日OP映像が文字だけだったと思うのですが、
  2日目はちゃんと背景映像入りになってたような?
  勘違いかトラブルか(??)
─────────────────────────


2014/06/25(水)19:00 B列観劇 ★4つ
─────────────────────────
思った事、あった事
・ 感想にも書きましたが、帰り道
  「さっぱり分からなかった」という声をちらほら聞きました。
  物語の方か、あるいは史実の情報不足か。。。

  龍馬の実現した大政奉還のすごさと
  その後幕府を潰した新政府に何故龍馬が徳川慶喜を再度中心として
  組み込もうとしたのか(久保田さんフィクション)、
  その裏付け部分が歴史事実を把握してないと弱くなってしまうんでは?
  と感じました。
  あと長州藩の凋落(逆か)の流れも。
  (自分は「お勉強」しといたので良かったのですが)

  久保田さん的歴史解釈を取り入れたフィクションである、
  という所が本物語の面白さだと思いましたし、
  その部分は冒頭の史実説明でかなり文章で説明されていましたが
  史実部分を「全く」把握してないと
  どこが史実ではなくボクラ流フィクションなのかすら
  初見では分からないんじゃないかな?と思いました。


・ 演者としては開幕しょっぱなからいい熱が入っていたと思うのですが、
  初日珍しくほとんどの演者さんがちょっと固かったかな?と。
  (台詞が板についてない、口に馴染んでない、という場面をちらほら。)


・ いつものボクラ団義公演のように笑いや涙も織り交ぜていたのですが、
  何せ登場人物のほとんどが重要人物ばかりだったのもあって、
  物語の起伏が常時一定以上にあがりっぱなしと感じました。

  演者さんの熱が入りすぎて逆に観劇する側としては気持ちを置いていかれる、
  という感覚を感じました(史実を元にしたミステリ演劇、という事で
  少しシリアスさ(重さ)と熱がこもりすぎた?)。

  いつもは物語の緩急、熱の入れ抜きの巧さがボクラ団義流お芝居だと思っていたのですが。。。


・ 熱を受けすぎて逆に客観視してしまう、
  という珍しい感覚で初回を観劇させていただいた感じだと
  「面白い(笑い、泣き、怒りなど色々)」が盛りだくさん詰まっているのだけれど
  演者の熱が一方向(悲しみのラスト)に向きすぎて
  ・ 笑いに笑いきれず
  ・ 泣きに泣ききれず
  といった感じでほんと客観的に観てしまいました。

  いいネタいっぱいあったんですけどね。
  ・ 龍馬の未来への大きな夢、どこまでも争いを嫌う姿勢
  ・ 今井の「坂本龍馬、中岡慎太郎暗殺の命」を受けながらも
    その日1日で龍馬という人柄に触れすぎて、
    ついには龍馬を助けようとしてしまい、しかし結局は救えず。
    そして、せめて「坂本龍馬とはどういう人物だったのか?」と
    知ろうとする気持ち。
  ・ 近江屋で坂本龍馬が斬られるまでの1日の中から始まる、
    長州藩、薩摩藩、そして御陵衛士達のさまざまな策謀を知る流れ
  ・ 中岡慎太郎の妻との悲しい別れから、「龍馬を斬れ」という密命、
    そして葛藤や妻を人質に取られての悲しい展開
  ・ 今井が守ろうとし、新選組も助けようとしたが
    最後には見廻組衆の隠しだね(スパイ)により、
    結局龍馬、中岡ともに見廻組衆に殺害されてしまうまでの流れ。
  ・ その他男女/夫婦/姉弟の色々など

  初見では、ちょっと強すぎるシリアス(重い)熱に気持ちをのせきれず
  「ノリ」きれませんでした。

  涙腺は、さな子との竹刀稽古の場面で一度緩んだきり、
  あとはそこまで緩ませられませんでした。
  (いつもなら号泣レベル…)

  多分、複数回観る事で物語の深いピースを1つずつ
  ちゃんと当てはめながら
  面白さを知っていくタイプの舞台なのかな、と思いました。

  それも策略込みでの、スタンプラリーなのかしら?
  (多分、自分の予約数6回観るまでには★5つで「笑って泣けた作品」
  と感想してしまうのは、今の時点で分かっているのですが、
  それはあくまでも諸刃の剣で、
  今回初めての人や1回だけ観ようとしている人を
  置いていってしまってはいないか?と心配になります。


PS.小劇場が最近どんどん閉館してしまっていますが、
  中野ザ・ポケットは時間に非常に厳しいのでしょうか?
  感想すら書けずに帰るハメになってちょっと残念でした。
  
  中野ザ・ポケットは「スタンド花」がはえるいい劇場だと思ってましたが、
  今後主体として使っていくには厳しいのでしょうか?
  (ボクラ団義さん公演は基本3時間レベルの長舞台なので)


  そうそう、前説で添田さんが学生服かつすぐ登場する、との事だったので、
  修学旅行の学生達がタイムスリップ?
  みたいな展開を想像してしまいましたが、違いました。
  あれは自前の学生服でしょうか?( ´ー`)
─────────────────────────
ベニクラゲマン〜実験都市マーベラスの逆襲〜

ベニクラゲマン〜実験都市マーベラスの逆襲〜

X-QUEST

王子小劇場(東京都)

2014/06/11 (水) ~ 2014/06/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

王子小劇場が熱狂トランス空間に!
お芝居にも劇団にも色々な色/方向性がありますが、
客観的に「脳」で楽しむ論理劇に対して、
X-QUESTさんはまさに
主観的に「魂」で「体感」する物理劇
(対比になってる?感情劇、体感劇、かな?)。

王子小劇場のあの近さだからこそ、
ストーリーの大筋なんかよりもまず、
目の前で起こっている事象
(お芝居、ライブパフォーマンスその他)に

ダイソンのごとくすごい吸引力で気持ちを引っ張られ、
集中しどうしの2時間でした。

笑いツボ、引き込む芝居ツボ、引き込むパフォーマンスツボ、
なんのツボでもいいから一度ツボを突かれてしまったら、

もうX-QUESTなしじゃ生きられない、
そんな狂演ともいえる求心力もってますね、

今回の
「ベニクラゲマン~実験都市マーベラスの逆襲~」も。


ネタバレは書けないけど、あまりに興奮したので
観劇後の撮影タイム、スマホで2、300枚
写真連写し続けてしまいました(´∀`*)


PS.気持ちを引っ張ってくれる劇って、
  日常の嫌なことや深く考えなきゃならない事など
  すべて忘れさせてくれるから好きなんですよね、
  ほんと脳に溜まったいろいろなゴタゴタが
  全部まっさらにされる感じで。

ネタバレBOX

ベニクラゲマン~実験都市マーベラスの逆襲~は、
前の舞台「ベニクラゲマン~
なんとか母(せいこうぼと書いてなんて読むんだったかな?)の棺~」の
一応続編なんですかね?

その割に正義のヒーローベニクラゲマンがいきなり
悪者扱いされてたり、もう色々でした。

最初現れたベニクラゲマンが究極フォーム状態で
清志さんが「スリムなドラえもん」のように見えてしまいました。

まさか、究極フォームのまま2時間戦うかと思ったら、
錦野旦(あきら)ばりのベニクラゲフォームに
戻ったのでほっとしました( ´ー`)


フライヤーにあった塩崎さん×無限大が、
まさかロボ(=大量生産可能)を意味してたとは。


はっきりいって客観的に大筋のストーリーを
細かく追おうとしたら、舞台上の場面転換その他
流れの関係もあり難しいと思います(きっとその観方では楽しめないかと)。


自分はもう最初っから、舞台上で繰り広げられる
芝居と殺陣とライブパフォーマンス(ダンスその他)に
(自然と)気持ちを引っ張られて

※ 王子小劇場という小さい熱気空間と、
  四方を囲む舞台にうまく対応した観せ方とで、
  演者さんの発する熱が自然と自分にも伝わってきて

もう「ドラマ」に釘付けでした。


ぶっちゃけちゃうと短編集的な作りで進めて、
最後の最後にうまくそれらの断片の理由をオチで締める、
という感じでしたね。


前作であったベニクラゲマン変身(休眠モード?)が
なくなったのは残念ですが、その代わりに
・ ユグドラシルという存在
が出てきたり、

・ ベニクラゲマンを倒す使命を与えられながら、
  お互いにお互いの必要性を認め、
  共に生きようと決めたピノキオとベニクラゲマンの関係

・ 実験都市マーベラスという存在に隠された事実と、
  そこに生きる人たちの想いのドラマ

その他見どころいっぱいでした。


どこだったか涙腺引っ張られるシーンあったんですが
(多分マーベラスを出ようとしているドロシーのシーンだったかと)、
今回涙話はちょっと少なめでしたね、
笑いテイストを強調しつつ、実はシリアスなネタを扱ってる、
そんな感じでしょうか。


小ネタの1つ1つについても、よくよく考えると
進化論やら人工進化、自然進化その他
深ーく考えられそうなネタが沢山あるんでしょうね、
(僕はあまり頭良くないので、そういうネタを
深くは回収できないですが)

トクさんの書く物語は

人間自身の思考のように散漫でもあり、
そして結論を導き出す集約力もあり、

という人の思考に近い形で物語を描いている感じがして
好きになってしまいましたね。

※ 初めてX-QUEST演劇を見た頃は、
  まだ僕の演劇に関わるツボが突かれていなかったのか、
  お芝居に引っ張られる感覚が分かりませんでしたが、
  ほんとX-QUEST観劇を続けていると、
  だんだんと「自分の感情を持ってかれる感覚」が
  楽しい快感になってしまいますね( ´ー`)

次回は11月かー
朗読劇 私の頭の中の消しゴム 6th letter

朗読劇 私の頭の中の消しゴム 6th letter

ドリームプラス株式会社

天王洲 銀河劇場(東京都)

2014/05/31 (土) ~ 2014/06/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

1年に1度の定番、だけど「必ず泣かせてくれる」味がある
2014/06/06(金)19:00回
東山光明さん×高垣 彩陽さん回を観賞。
──────────────────
もう3年連続で観劇しているので、話の本筋は十分知っていて、
だからこそ序盤の笑いの場面から既に涙腺が緩みだしてしまいました
(パブロフの犬状態)。

でも、本筋以外の部分については、毎年いろいろ脚本を手直しされてるんですね。
物語自体の展開の仕方が「一昨年、去年と違うぞ!?」と、
本筋はきっと変わらない、と思いながらも
初めて聴く物語のように楽しむ事が出来ました。

きっとそれは脚本だけでなく、朗読劇を担当するペアそれぞれもまた
毎回異なるから、という事もあるのでしょう。

高垣彩陽さんは声優/アイドル活動以外にお芝居にも
結構力を入れているのをいくつかの舞台で把握はしていました。
また、その修練の賜物(あるいは声優自体=朗読劇のプロ?)
ともいえる良い演技をされていたと思います。

ただ、僕は東山光明さんに更なる良さを感じました。

最初、「私の頭の中の消しゴム」の男女ペアの男役を
少し笑いを取る為に「チャラく」演じられていたようで、

「今までにない形だけどどうかなー、物語のこれからの展開に合うかなー?」

と半信半疑でしたが、二人の馴れ初めから悲しい流れに展開していく中、
ハンカチで目をぬぐい、時に鼻まで垂らしての感情を込めての熱演ぶりには
観劇しているこちらも、もう主人公と同じ気持ちで
時に小さな事に喜び、
時に小さな(主人公にとっては決して小さくない)事に絶望し、
とまさに(自分が男だから、というのもありますが、男役の方に)
気持ちを引っ張り込まれてしまいました。

脚本も毎年の改変を経てなお「名作」であり続け、
そして、朗読劇の担当ペアそれぞれが変わるごとに
これまた違う「私の頭の中の消しゴム」を観せてくれる、
今回のペアも自分の中では最高の物語を魅せてくれました。


2014/06/08(日)12:00回
福山潤さん×山口紗弥加さん回観賞。
──────────────────
徹夜仕事明け、3階席真ん中(舞台からはかなり遠い)などから
朗読劇が始まったと同時に泣くほどすぐに感情移入するような
事はなかったけれど、毎年ながら福山潤さんの素に近い口調による
お芝居は観客の感情をひっぱるのがとてもうまいと思いました。

楽しい序盤から悲しみの後半、そして最後まで、
3階とはいえ真ん中席だったおかげもあるのかあるいは
(特に福山さんの)発声が良かった為か声がすごく良く聞き取れた事もあり
(前回ペアの観賞では1階間近席のわりに一部セリフが判別できず)、
眠気などすぐ覚めて素直に泣けてきて福山さんのお芝居の盛り上がりに
合わせて(自分では号泣レベルの)ハンカチが必要なくらいに涙が出た。
来年も福山さんに「私の頭の中の消しゴム」やってほしいなあ( ´ー`)


2014/06/08(日)17:00
田代万里生さん×沢城みゆきさん回観賞。
──────────────────
はっきりいって残念。
田代さん、沢城さんとも個々には本読みしっかりして
役づくりしてきたものと思われます(一番感情の起伏などセリフに生かしてたかと)。

本作はお互いがそれぞれの日記を読む形での掛け合い、
キャッチボールをする形で物語が進むのですが、
2人とも個々にはしっかりしているのに、

なぜか2人が組み合わされるとちぐはぐな印象を受けました(前半すごく)。


沢城さんパート→田代さんパート→沢城さんパート→・・・


でお互いの「読み(会話)」のテンポその他が噛み合っていない感じ。

もしかしたらですが、2人一緒に合わせの稽古をする
機会がほぼなかったのでしょうか?


通常の会話劇なら(沢城さんなど特に)即興でもうまく
会話のキャッチボールをこなすと思いますが、
本作のちょっと変わった特徴(ある程度長文を含んだ日記を読む)が入った時、
交互にそれを行った時お互いの「読み(会話)」について
その違和感が顕著にあらわれていたような気がします。


せっかくの1階ど真ん中の視野的/距離的に良席だった割に、
(それぞれが別のお芝居をしているかのような違和感のせいで)
自分は2人のいずれの演技にも感情を引きこまれませんでした。


しかし、中盤以降シリアスになっていくにつれ、
お2人とも(多分)前もって作っておいた「役」になりきり
(特に沢城さんは自分の声優としての芸幅/声幅も活かし)、
2人の「読み(会話)」もかみ合ってきて、最後には涙を誘われました。


沢城さんの朗読劇でよく「揃っての稽古があまり出来なかった」という
感想を聞きますが、それでうまく行った舞台はともかく
ちょっと今回は「もう少し2人で『合わせ』の稽古ができなかったのかな」
と残念です。

ネタバレBOX

2014/06/06(金)19:00回
東山光明さん×高垣 彩陽さん回を観賞。
──────────────────
ネタバレに書くような事は特にないのですが、

・ 序盤、東山さんの感情がこもりだすまでが少し長かったかな
  (笑いのパートでは、少し感情移入よりもウケ狙いに走っていたような)。

・ 高垣さんはほんと演技うまいな
  (少し噛んだっぽい部分もありましたが)
  (初の?)朗読劇であれだけうまくヒロインの心の
  明から暗からその苦しみからを演じ分けられるのは
  やはり声優業のたまものですかね?

という点ですかね。


物語自体を振り返ると
・ 10歳で母親(片親)に捨てられ人間不信(否、人生不信)に陥り、
  一匹狼で生きてきた建築業の男。

・ (男の務める)建築業の社長の娘として何不自由なく育てられたが、
  不倫した相手との別れを引きずっていた女。

・ 女は絵が得意で、色々な所で絵を描いている。

・ それぞれが最初いがみ合う形で出会い、やがて恋に落ちる。

・ しかし男の抱えるトラウマから2人が結ばれるまでは
  かなりの苦難の道が。

・ 自分にとって女をかけがえのない人であるという事を認めた男は
  女の親(社長)に結婚を認めてもらう為に「一級建築士」の資格を取り、
  やっと2人結婚しての生活が始まる。

・ 物語の展開中、たびたび女を襲う偏頭痛。

・ 男を捨てた母親が借金苦で追い立てられている、
  という事を知った女は、
  自分達の結婚を認めてくれた女の親と同様、
  男の母親も(どんな人間であっても)家族である、
  と男を説得し、自分たちの家を建てる為に貯めていた資金を、
  その借金返済にあてる。

・ 借金を負いながらも2人幸せに過ごしていたはずが…

・ 女の頭痛の原因はアルツハイマー病による脳に萎縮だった。

・ 女の奇行(病気のせい)が始まり、
  その原因が分からない男とその家族はとまどう。
  家族側、そして男の側とも「離婚」を考えるほどに。

  女自身も、意識が正常な時に自分の奇行を知り、
  どうして良いのかに悩む。

・ そしてとうとう病気の事を男と家族は知る。

・ 今までの女の苦しみを理解してやれなかった事を男は悔やむ。

・ そして、直る見込みもなく、新しい記憶から順に、
  そしていつか生活の為の行為すら忘れてしまう、
  という医者の説明にも諦めず、
  どんな苦労の中でも一緒に耐えようとする男

・ しかしいつしか女は男の事すら忘れてしまい、
  前の不倫相手の名前で男を呼び始める。
  苦しいがそれにすら耐えてみせる男。

・ ある日、いっとき記憶の戻った女は、
  自分の日記の内容から、
  どれだけ自分が男を傷つけてきたのかを知り、
  「愛しているからこそ」と置き手紙を残して行方をくらます。

・ そして男は数ヶ月、半年、女の誕生日を越え、
  「ただ会いたい」それだけを願い続ける。

・ ある日、女から一通の手紙が届く。
  意識がしっかりしていた時に書いたものであろう
  その手紙自体にまず男は喜ぶ。

  手紙の内容は、
  「男の事を愛している、
  だからこそ私の事は忘れて早く新しい人を見つけて、
  男は不器用だから最初は苦労するけど、
  きっと結婚に向いている、
  それは一緒になった自分が知っている」と。

  そんな事は考えられない男。

・ そして手紙の送り元から、女の居場所が
  静岡県の養護施設である事を知る。

・ 養護施設へ向かい、看護師の説明で知ったのは、
  ある日女の調子が良かった時に書いた手紙が
  あった事に気づき、看護師が手紙を送付した事、

  今では記憶はまったくなく、1日中寝ているか、
  絵を描いているか、で1日を過ごしている、という事。

・ 看護師から「ぜひ話しかけてあげてほしい」と言われ、
  男は女に話しかけるが、
  「初めまして」という一言に男はショックを受けてしまう。

・ しかし、女がスケッチブックを取り出し絵を書き始めると、
  その絵に描かれているのが自分の顔である事、
  スケッチブックのどのページにも自分の顔が描いてある事に、
  「新しい記憶から順に忘れる」というアルツハイマー病にあって、
  自分の事を覚えていてくれた事を奇跡として、
  男は涙する。

そして ~ Fin ~


この本筋に対して、細かいディティール部分などを
毎年新たに起こしている形のようです。

? 韓国映画原作だったかと思いますが、
  元からこういうお話だったのでしょうか?
  映画にもちょっと興味がわきますね。


2014/06/08(日)12:00回
福山潤さん×山口紗弥加さん回観賞。
──────────────────
福山潤さんの演技は、一昨年、去年と成長度合いは分からないけど、
素に近いお芝居で十分気持ちを引っ張られ、感動させてもらいました。

※ ただ、序盤に一部脚本上の(?)過剰演出があり、
  「この物語でそこまでして笑いを取りに行く必要はないのではないか?」
  と過去作品と比べると思いました
  (前回ペアの観劇ではアドリブかと思ってました)。


あと、山口さんの演技が(この方は演劇あがりなのだろうか?)
どうにもオーバーアクション(台詞の強弱つけすぎ、演技がコテコテすぎ)な
感があり、素で演じる福山さんとのコンビは合っているとは思えませんでした。

悲しみの場面で悲しみの演技をするのは分かりますが、
笑い、驚き、など序盤の明るいパートでその声の演技/リアクションの
オーバーぶりが目についてしまいました。

ただまあ、本劇はアルツハイマー病にかかるヒロインの方が、
喜怒哀楽(病気ゆえの理不尽な怒りなど)色々な演技を
求められると思いますが、その辺後半に移るに従って、
山口さんの少しオーバーな演技とマッチしてきた感はありました。

※ ★5つ変わらずですが、福山さん7割山口さん3割採点という所でしょうか



それにしても本当に感動させるけれども、男女ともに悲しすぎるお話ですね。

夫を傷つけたくないのに病気ゆえに傷つけつづけてしまっている事を
素に戻った時に知り、一緒にいる事をあきらめた妻。

アルツハイマー病の妻という、一緒に暮らすのはとても大変な状況でも、
愛一途に妻の面倒を見続け、妻の病気ゆえの奇行/言動などに
傷つけられてもそれを耐え、しかし妻の側の愛ゆえに自分の元を
去られてしまい、
更に再会した時には既に妻の中から自分の記憶は失われてしまっているという。。。

しかし妻の描く絵の中にはすべて自分だけが存在した、という悲しい感動の形。


物語としてはいいけど、自分の人生だったら悲しすぎて耐えられないな、
平凡に生きるのが一番いいや、と感情移入ついでに思ってみました。


PS.主題歌/曲を歌われているHoney L Daysさんのミニライブがありましたが、
2人のボーカルの片割れが先日の高垣さんとのペアだった東山さん
(しかももう1人も本劇に出演されているという)
に驚きました。
素人っぽさを感じたのもそのはず、本業は歌手さんだったんですね。


2014/06/08(日)17:00
田代万里生さん×沢城みゆきさん回観賞。
──────────────────
田代さんは最初、丁度前の回を演じた福山潤さんに近い張った声質で
演じ始めたので「素に近い演技をするのかな?」と思っていたのですが、

役についてかなり自分なりに考えてきたようで、
セリフの抑揚から何から、
結構「(自分なりに掘り下げた役になりきって)演技をしているな」
という感じでした。

同じく、沢城さんについても本をかなり読み込まれたのか
(あるいは「こういうキャラでいく」と決めていたのか)
自分なりのヒロインの設定を演じている感じでした。

先に2組の舞台を観劇していた自分にとっても、
かなり「キャラを作ってきてるな」と思わせ、
期待させられるものがあったのですが・・・


感想にも上げたように、2人の個性の出し方、朗読芝居の仕方が
うまく噛み合っていないような気がしました。
(本番2回以外でほとんど一緒に稽古できていない?)


その違和感のせいで、物語の冒頭から2人の恋愛が始まり、
そしてトラブルもあって結婚にたどり着くまで、という
中盤までのパートについて、どうも自分は気持ちを
(今までに観た2組よりも)引き込まれる事が出来ませんでした。

個々に見れば「いい芝居をしている」と思えるのですが、
なぜか2人芝居として観ると(??)と感じてしまうという・・・


中盤以降、シリアスなお芝居になるにつれ、
感情の込め方や2人の会話の微調整が出来てきたのか、
かなり朗読劇としてはかみ合ってきて良いものになってきたのですが、

今度は田代さんの噛み/トチリ(?)
(難しい単語などをさっと読み通せない、妙な間を作ってしまう)
が目立ち、最初思っていた「ちゃんと本を読んでいるな」という感じが、
勘違いで本当はあまり本を読み込んでいないのか?という
疑いに変わってしまいました。

そういうマイナス点が度々目立ってしまった事もあり、
前2組に比べ、せっかく「役を掘り下げてきている」のに
気持ちを持って行かれない、というちょっと残念な状況が
かなり後半まで続いてしまった感があります。

最後には、夫を傷つけたくない為に家を出る妻、
妻からの最後の手紙を元にやっと妻と再会できるが、
妻は既に夫の記憶を失っていた、、、しかし

という感動パートでちゃんと涙誘われましたが、
この2人だったらもっと観劇者を引き込めるお芝居が出来ると思うんですよね、
(普段SOUND THEATREなどで沢城さんの演技を見ている限りでは
沢城さんの本気はまだまだこんなものじゃないかと)
そういう意味で残念でした。

★だと4つかしら。
ディアボロス

ディアボロス

カプセル兵団

笹塚ファクトリー(東京都)

2014/05/29 (木) ~ 2014/06/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

サイキックファンタジー(これもSF?)ハードボイルドメンタリズム演劇!
2014/05/30(金)14:00
今日はセンター席(笹塚ファクトリー真ん中通路そば)だったけど、
ここだと通路を出入りする演者陣が迫ってきたり飛び出していったり
の迫力がまた違う。まあ、これもカプセル兵団ならではですな( ´ー`)


2014/05/29(木)19:30
うお!感想を書こうとしてCoRichページ開いたら
どなたかが書いた「観たい!」の方の「スタイリッシュ!」
という文言を見てしまった。

そう、なぜそのフレーズが今まで浮かばなかったんだろう、
あの「マトリックスばりの(回転型カット割のすごさが光る)ガンアクション」やら
「(前後左右にカメラワークする)ド派手なカーアクション」やら、
まさに「スタイリッシュ演劇!」って言いたかったんだ!
うわ、自分の感想をハッキングされた気分だ!

その上で

※ 少年ジャンプ黄金世代(25~45ぐらいって勝手に限定しちゃいますけど)

のツボにドストライクな笑いネタや、
吉久さんを始めとして映画通/映画好きが多い劇団だからこその
映画ネタをふんだんに、笑いだけでなく
そのビジュアルイマジネーション演出にまで活かしてしまうそのスゴさ!

(ネタに)笑って、(アクションに)燃えて、
そして(シナリオ展開に)涙してしまう、
映画「レオン」を観ているかのような
暗殺者の感情劇に感動してしまいました。
(冒頭では、まさかここまで涙腺に来る劇だとは想像もつかず。)

ネタバレBOX

2014/05/30(金)14:00
【思った事】
・ 昨日もだったけど、長セリフと立ち位置芝居その他覚える事が
  多々ありすぎるせいか何名かの演者さんがセリフ途中に
  (セリフ忘れかな?)不用意な間を開けてしまう事がありました。
  噛みよりも不用意な間の方が、それまでの物語の空気壊す感じが
  あるから怖いんですよね。

・ ディアボロス、ほんとハードボイルドな男だぜ、と思いました。
  セリフの一つ一つが厨二を超えた厨三以上の
  ハードボイルドセリフだらけでした。カッコイイ!
  (これは静のお芝居で培われてるものですね。)

・ やっぱりジンクスの死に際が可哀そうすぎました。
  ストリートチルドレンとして生きていこうと、
  悪い奴らに殴られたあげく発現した能力で
  そいつらを倒してしまい、そうしたら自分を助けてくれなかった警察に
  捕まえられ、そこを博士に「君が必要だ!」と
  初めて自分の居場所を見つけたはずが、
  最後博士に「おまえの代わりなどいくらでもいる」
  と殺されてしまうという・・・(´・ω・`)
  悲しきダークヒーロー感ただよってました


2014/05/29(木)19:30
全部お話書いちゃうのもアレなので

【思った事】
・ パンフを読んでの序盤は、スペースオペラシリーズに比べれば
  今回は少し大人向けの「ドラマ」モードという事もあって、
  いつものビジュアルイマジネーション演出多用というよりは、
  本格的な「特撮型」の殺陣/アクション場面が多かったかと。
  
  ビジュアルイマジネーション演出では、
  カプセル兵団と比較できる相手を知らない(そんな劇団いるのか?)
  な自分にとっては、
  いつもは「初めて観せられる演出」への驚きの気持ち沢山なのに対して、

  今回は他劇団との殺陣/アクションの見せ方を比較できる
  またとないチャンスでもありました。


  いやあ、吉久さん始め演者陣そして時に役者にもなる
  パフォーマーの皆さんのアクションがかっこいい!

  打撃に締めに投げ(あれだけはげしい投げをくらった演者さん、
  明日は大丈夫でしょうか!?)

  そして笹塚ファクトリーを最大に活かしたという
  音響演出でガンアクションもこれまたかっこいい!

  カプセル兵団は、独自の「ビジュアルイマジネーション演出」に頼った劇団、
  だけではなく「基礎力もこれまた高し!」と改めて思い知らされました。


・ 少年ジャンプ黄金時代の笑いネタ!
  ジョジョはアニメ化その他で今の世代にも通じるものがありましたが、
  その他のジャンプネタはほんと25~45ぐらいの
  ジャンプ黄金時代を知ってる人じゃないと通じないんじゃないかなー、と。

  序盤が殺しすら笑いで展開する場面が多かったのもあり、
  「お芝居は面白いけど笑いに偏りがあるから★4つかな
  (観劇中に採点するなんてナンセンスですが)」
  とか思ったりもしていました。

  あと、映画通/映画好きだからこその映画ネタもかなり多く
  取り入れられていますが、
  これについてはカプセル兵団ファンとして、

  カプセル兵団全員の映画遍歴などのプロフィールを知り、
  同じ情報を共有しておく事で「更にお芝居を楽しめるようになりたい!」
  という欲求も湧いてきました。

  演者陣(男女全員での)トークショーをぜひやってほしいです!


・ 今回、スペースオペラ的マクロ演出よりも、
  超能力を身につけてしまった少年/少女達の
  心理面についての演出(心理描写)について、
  ビジュアルイマジネーション演出/パフォーマーさんの演技、
  を活かした面が多かったかと思います。
  (漫画カイジでいう「ザワ…ザワ…」のような心揺さぶられ
  不安になってしまうような場面など)

  鶏が先か卵が先か、超能力ゆえに苦しむ子供と
  苦しんだ末に超能力を身につけた子供とのそれぞれの苦しみの場面演出に

  ビジュアルイマジネーション演出/パフォーマーさんの演技を
  使ってきたのは、これは「新しい表現だ!」と思わされました。


  ヒロインが周りの人間達の本当の心の声を聞いてしまう所や
  超能力少年/少女それぞれの苦しみの場面での演出に、
  「今回は心理描写がすごい!」と
  いつもならビジュアル=視覚的表現として受け止めていた自分が、
  今回は心の方で「悲しみ」「苦しみ」その他の気持ちを
  同調させられるとは思ってもみませんでした。


・ スペースオペラシリーズでは、大人数での舞台への出入りが多い為、
  そのボリューム感に圧倒されてしまう事が多かったのですが、
  今回は3、4人でのドラマパートに重きを置いた劇という事で、
  数人で1シーン演じたら、観客の気持ちが切れる暇を与えずに
  また次の場面へつないでいくという、
  まさにアスリート的な猛ダッシュ舞台出入り、あの激しさを見ていると、
  「ほんと、筋肉痛との闘いだな!」と思わされてしまいました。
  (日本一と言っていいほど「走る劇団!」なのでは?)

  その猛ダッシュでのシーン切り替えのおかげで、
  見ている側はカット割のつなぎが悪く集中を切らせてしまう、
  などという事はまったくなく、場面場面を、
  それこそ映画でも観ているかのように
  つながったドラマとして観る事が出来ました。
  (しかし、あれだけ走り回る演者さん達はほんと、
  千秋楽まで体力持つのかすごく心配です!)


・ (感想的な所)
  超能力者少年/少女の悲しい過去や
  (悪に染まってしまった)博士にすら悲しい過去があった事

  ※ 警察機構に対するアンチテーゼ的なものも感じました
    (確かに彼らは「事が起きてから」「証拠があって初めて」
    でしか動いてくれない集団ですから)

  序盤繋がらなかった
  「ヒーローを目指す少年と少年が恋する少女」
  「テレパシスト少女と心通わせる犬」
  までがストーリー後半でつながってくるにつれ、
  今回は「物語」でかなり攻めてきてるな、と感じさせられました。

  序盤、笑いが偏ってるから★4つなんて思ってた自分が、
  物語に引き込まれ、涙腺に涙を溜めながら舞台上を
  眺めている事は、予想すらつきませんでした。


・ あと、お父さんに連れられたお子さんが観劇しているのを見かけましたが、
  (雰囲気ですが)飽きることなく観れていたのではないか?
  と思いました。

  お芝居というと、「大人向けの難しいお話」として
  子供を遠ざけてしまう劇団が多い中、
  「超鋼祈願ササヅカイン」人気あっての事かも知れませんが、
  子供の心も演劇で引っ張れるカプセル兵団、素敵ですね。

  最後、ディアボロスと言われた殺し屋が少女を逃がすも
  自分は崩れた瓦礫に挟まれて身動き取れず、
  死ぬか生きるかどちらにオチてもおかしくない、と思わせる場面を
  「生かしてなお、殺し屋(決していい職業ではないですが)家業を続ける」
  しかし「今まで見えなかった心が少女に見えるようになる」
  という少女と殺し屋ともに救いのあるオチ、
  良かったです。
ウソの歴史のツクリカタ

ウソの歴史のツクリカタ

お遊びゆにっと【カラマル】

参宮橋TRANCE MISSION(東京都)

2014/05/22 (木) ~ 2014/05/25 (日)公演終了

満足度★★★

短時間の中、物語としての起伏をよく詰めたものだなと
劇団名/舞台名から時代劇コメディを想像していたのですが、
笑いだけでなくそれなりに物語に起伏のあるお芝居でした。

それだけに(もう少し時間を増やしてでも)
物語の主要部分にもう少し肉付け/細部を深堀りし
舞台上で表現してくれていたら、
後半の展開で演者さんの熱の入った演技に
気持ちをかなり引っ張られていただけに
きっと涙を誘う話になったと思います。
(元々涙のエンディングなんて狙ってない?)

あと数少ない殺陣、立ち回り場面など、
あの小劇場にしてかなりいいものを観せていたと思うので、
もう少しそういうシーンが欲しかったかな、と(時代劇だけに)。

ネタバレBOX

【思った事を箇条書き】
・ お芝居の始まりと終わり、被り物衆の長尾景虎/上杉謙信についての
  弁舌と足踏み(鳴らし?)は、かなり劇場内に緊張感を持たせる(引き込む)
  良い演出だと思います。


・ (元々笑いを得意としている座組/劇団なのかは分かりませんが)
  序盤から始まる笑いの取り方は「(自分は)ちょっと…」と
  思うものが多かったです。
  (1/3ぐらいしか自分は心から笑う事が出来ませんでした。)

  ・ 時代劇なのに「アイドル」や「現代歌謡」などの
    現代ネタを持ってきたのはどうかと。
    ※ そういうネタも舞台上の雰囲気と合えばいいのですが、
      時代劇部分を真面目に演じれば演じるほど
      どうも合っていなかった気がします。

  ・ 言い間違いのネタなどをあまり引っ張りすぎるのもどうかと。

  自分は、物語の進行に関る形で「単発で出された」笑いネタのみ笑えたかと思います。


・ 1時間25分という短い時間の中に、
  ・ 被り物衆の弁舌/足踏み(始まり)
  ・ 物語日常(笑いパート)
  ・ (少ないですが)殺陣、立ち回り
  ・ 物語の転じ(家臣の1人が怪しいと見せておいて、
    実は実兄が黒幕というどんでん返し)
  ・ 物語クライマックス(シリアスパート)
  ・ 被り物衆の弁舌/足踏み(終わり)
  と、よく盛り込んだものだと思います。


・ 日常部分の笑いネタには(自分は)あまり反応できませんでしたが、
  実際着物姿にお酒をかけたり
  (他劇団なら水自体なく全て演技で済ませてしまう所、本当に水をかけてしまう)、
  この劇団ならではの演出は良かったと思います
  (そしてそこから派生する笑いネタも面白かったです)。


・ あの小劇場の使い方もかなり上手かったと思います、
  日常、見回り、忍びの登場、殺陣、立ち回りなど。


・ 刀の取り扱い/その手際について、ボクラ団義の殺陣稽古で
  修行している福田さんを始め、
  その他の方々もかなり良かったのではないかと思います。

  また、刀自体も殺陣主体の竹光ではなく、
  ちょっと上質なものを使っていたのではないか?
  と観ていて思いました(美術刀のたぐい?)。

  こういう小道具やその扱いのおかげで、
  派手な殺陣/立ち回りが少ない本舞台でも、
  上手くその時代感を出せていたかと思います。


・ 前半、笑いに時間を多く割くよりも、

  景虎とちよの関係についてその過去などの背景を
  もう少し深堀りして欲しかったです。
  (想像で補え、というのであれば別ですが、
  もう少し実際舞台上で表現して欲しかったかと。)
  
  同様、景虎が家臣の1人に「自分にもしもの事があったら」と手紙を託したり
  (何かを悟っていた?、あるいは心に決めていた?)、

  ちよとの会話で「自分を斬れ」と言ったり、

  といった場面にも、景虎の気持ちをもう少し垣間見えるような表現が欲しかったです。
  (自分が家督を継いだ事への負い目、裏切り者であろうとそのお家を断絶させるなどしては、
  争いが争いを呼ぶだけだ、という景虎の「優しさ」のようなものは見えたのですが…)

  その後、忍び(加藤)に抵抗する事なく景虎は斬られますが、
  「何故抵抗しなかったのか?」
  (単に敵わないと思った、ではなく、斬られようとした理由がある?)
  この部分が、その前段階のお芝居の内容から、
  (自分は)上手く読み取れませんでした。
  (自分より格上の戦術家である、ちよに景虎の名を託したかった?)


  ちよとの関係やら景虎の想いやらがもっと深く見えていたら、
  実際ちよが景虎の代役を引き受ける
  (漫画「影武者 徳川家康」のように、影武者が本人になるという展開)
  部分について、きっと単なる

    景虎→ちよ

  の気持ちの引き継ぎではなく、観客にもその気持ちが伝わり、
  きっと泣けたと思います。


  なにより、景虎とちよの子供の頃からの関係が見えていたら、
  「2人の間には恋心その他があるのでは?」
  など、他の展開についても想像をふくらませる事が出来、
  物語がよりいっそう面白くなったかと思います。

  そういう意味で「もったいない」お芝居だと思いました。
  (あくまでも自分の認識ですが)
  物語部分にもう少し深みとその表現を出せていたら★5つぐらいの
  面白さだったと思います。
宵闇よりも速く駈けて

宵闇よりも速く駈けて

演劇企画ハッピー圏外

TACCS1179(東京都)

2014/05/09 (金) ~ 2014/05/13 (火)公演終了

満足度★★★★

前半と後半で評価がガラっと変わるお芝居
最前列にて観賞。
前半の日常パート、3組がそれぞれ「家を貸してくれ」と
言ってくる設定には興味を惹かれながらも、
物語としての起伏のなさや各役の演技(技量ではなくお芝居内容)、
そして何より笑いの取り方(演出)にセンスが感じられず、
まったく感情移入できず。

しかし後半、感情劇となってきた時(ネタバレ禁止なので簡単に)
「義賊ネズミ小僧」の義賊たるその所以(ゆえん)を魅せられた
その時からいっきに感情を引っ張られ、涙腺も緩みまくりました。

そして、オチの付け方については秀逸、と言って良い
(脚本/演出家の)センスの良さを感じました。

※ やっぱりどこの劇団も「日常」パートの描き方に苦心してるのかしら?

ネタバレBOX

ネズミ小僧とその子分、悪徳大名屋敷から千両箱をせしめるも、
頭の切れる同心ナカジマ?に追い詰められ、
小判を撒いて町人達に騒ぎを起こさせて、
その隙になんとか逃げおおせる。


家にて親分(ネズミ小僧)は、同心ナカジマ?の頭のキレなどに
「そろそろお縄になってしまうのでは?」と恐れをなし、
「この家業をもう引退したい」と女房、子分に打ち明ける。


そんな親分の家へヤクザ者の集団が現れ(女房は奥に引っ込んでいる)、
「若頭の逢引きに静かなこの家を使いたいから
3日後に貸してくれ、そうしたら今月来月のショバ代はいらん」と言ってくる。

家を完全に空ける事、を条件に出されるが、
「まあ若い衆の恋の為なら」と条件を飲む親分と子分。


そして今度は女房だけがいる時に、越前屋が
「この家から見える下の家(空き家)である商談を行う、
大事な商談を覗かれたくないので3日後に家を空けてくれ」
と言ってくる。
小判をちらつかせられ、女房はこれを承諾してしまう。


そして同心達、ネズミ小僧捕縛の任があるもののそれよりも重要な事項
「幕府の公的米(幕府から支給されるお米?)を
私的に売り払っている(内部の)者とそれを買い付けている商人を捕らえよ」
というお達しが下る。

そして、その商談の現場と考えられる場所を見張れる場所として、
またしても親分の家に、ナカジマ?が町人姿で現れ、
「ここから下の家を見張らせてくれ」と願い出てくる。


ここまでの流れ、三組がそれぞれ同じ日を目処に
「家を貸してくれ(空けてくれ)」と申し出てくる所、
「いったいその日に何が起こるのか?」という興味は湧きました。


※ しかし、その流れ/その後に繰り広げられる「日常」の中の笑いネタが、
  ちょっとセンスなく強引過ぎると感じ、
  自分にはまったく笑えませんでした。

  例.歌舞伎役者(いかにもな派手衣装)が現れて、
    聞き取りづらいダミ声で「ネズミ小僧に会わせろ!」だったり、
    (ナカジマ?に)お前も役者だったら「うまく演技してみせろ!」
    と演技指導をしようとする場面など、
    はっきりいって笑いのセンスが全く感じられない、
    強引さだけで笑わせようとする「卑怯なネタの振り方」とまで感じました。

  例.(下の空き家に隠れ住み)親分の家まで崖を登ってきて
    大根その他を盗んで帰る女、もう観客にどんな気持ちを
    与えたいのかすら分かりませんでした。


そして、更には
・ 卵売りの娘が現れ、またその恋人が現れ
・ あさり売りの少女(子役)が現れ
などと登場人物はどんどん増えてくるのですが、
物語がいかんせん起伏もなくテンポも悪く、
興味をまったく惹かれる流れではありませんでした。


前半はもう、間延びというか中?だるみというか
単に長いだけで「つまらないお芝居」と自分は感じました。




しかし、後半三組にそれぞれ家を貸す日がとうとうやってきて、

・ ナカジマ?が自分が今いる家の親分達こそ
  ネズミ小僧ではないか?と疑いを持ち、
  先日の千両箱の小判には仕掛けをしておいた、
  彼らが家を出る際にその持ち物を改め、
  その小判が見つかれば「間違いなくネズミ小僧」として引っ捕らえる、
  と同心やその上司と捕縛の準備をする。

・ ヤクザ者達が現れるが、若頭が恋していたのは、
  先に現れた卵売りの娘で、
  無理やり仕組んだ借金のカタに娘と
  (更にその妹であるしじみ売りの娘まで)を
  強引に連れだそうとする。

・ 親分の家の下の家で公的米の取引がとうとう始まる。

という畳み掛けるような場面がやってきて、

そこでネズミ小僧である事がバレた親分が、まず
「自分がお縄になるのは構わん、ただし妻と子分はまったく関係ない、
そしてちょっとだけ時間をくれ」と
先日の千両箱から抜き取っておいた百両(ナカジマ?の目印入り)を取り出し、

ヤクザどもに「どうせ牢獄入りする俺に金はいらん、
その借金代わりに払ってやる!」と50両を投げて渡し、

更には「もうこんな借金などするな」と卵売りの女、恋人の男、しじみ売りの少女に
50両をポンと渡して義賊ぶりを魅せる。


そして、今度は「家を空けてもらうという約束が違う」と
家に現れた越前屋、そして公的米を売り払っていた悪の元締めの
正体が老中と分かり、(証拠もない為、権力に逆らえず)
捕縛も下の家への立ち入り捜査も出来ず、証拠の帳面を手に入れられない
ナカジマ?達に代わり、
「ネズミ小僧が出ちまえば、それを追うしかないでしょう」
と、最後の仕事とばかりにホッカムリをかぶって、
下の家へ押し入るネズミ小僧(まさにネズミ小僧としての正義を通した)。

※ 説明はありませんでしたが、その後越前屋および老中は
  捕縛されたのでしょう。




そして最後、親分と妻が家で茶をしている所に現れるナカジマ?に、
親分「妻と子分の2人は関係なし、でお願いします」と言うと、
ナカジマ?「そしてお前もな、証拠がない。
  ただし今後ネズミ小僧が現れればその時は絶対捕まえる!」
と、お縄なしのハッピーエンドで終わらせるのか、
とちょっと定番的ですが、それもまた良い話、と終わるかと思いきや、

しじみ売りの少女が現れ、姉と恋人が「ネズミ小僧」として捕まってしまった、と。
そして、ナカジマ?の上司が現れ、
「例の目印のついた小判を持っていたので捕縛した。誰かから貰ったものかと尋ねたが、
”恩人は売れない”と頑なに口を開かない。
もし、お前がこの小判を持っていたら、それこそあの2人は無実となるのだが…」
と(先日助けておいてもらいながら)なかなかの悪役ぶりを見せる。

そして、親分は小判を受け取り、ネズミ小僧としてお縄につく事に。
それを悲しげに見送るナカジマ?に、
「時代が必要とすれば、ネズミ小僧はまた現れまさあ!」と一言告げて連れて行かれる。

そして、独り佇むナカジマの後ろ、塀の上にかつての子分がネズミ小僧として現れ、

~ Fin ~


・ 義賊として困っていた町人を救い、その上で悪の老中捕縛の手助けまでした
  ネズミ小僧を捕まえない、というハッピーエンド

で終わらせず、

・ ネズミ小僧はやはりお縄になってしまう、というちょっと悲しいエンド

と見せた上で、

・ その意志を継いだ子分が、新しい「ネズミ小僧」となって現れる
  というハッピーの一言では片付かないエンド

まで持っていった、脚本/演出家には、「上手い!」の一言を贈りたいです。




※ 色々な劇団を観て思いましたが、やはりどこも
  「日常」「笑いの取り方」で結構悩み迷走しているように思えます。
  「日常」パートを観ていてまったく気分がお芝居に引っ張られない、
  「笑いネタ」を観せられても、その観せ方次第で
  完全に爆笑や失笑を誘われるか、逆にひいてしまいクスリとも出来ない、
  などよくあります。

  この部分、今回客演した高橋雄一さんの所属劇団「ボクラ団義」とその劇団員が
  最も得意とする所だと思いました。

  そういう部分について、高橋さんがアドバイス出来る立場だったら、
  前半部分もまたひと味違ったものになったかな、など考えてしまいました。

  「日常パートで笑いその他に客をのせ(気持ちを掴み)、
  転じて感情劇で客を泣かせて匠なオチで芝居を締める」
  それが出来ていたら、このお芝居、100点満点だったと思います。


・ (関係ないけど)
  初めて子役(小学校ぐらい?)の女の子の演技を観ましたが、
  演技の上手さは自分には判断つきませんが、
  セリフその他はしっかりしたもので、
  ちょっと親のような気持ちで「しっかりした子だなあ」と
  感心してしまいました。


採点としては3.5点(前半いい所まったくなし、後半80点)と思いましたが、
まあ泣かせて上手い落としをもらったので、☆4つとさせていただきます。
舞台版天誅

舞台版天誅

ACRAFT

シアターサンモール(東京都)

2014/05/07 (水) ~ 2014/05/11 (日)公演終了

満足度★★★★★

2度観/前席の為か立ち回りのド迫力/演者の演技熱がフルに伝わってきました、はっきりいって「面白かった!」(1回目の感想は「見方」によって感想が変わるのでは?、でした)
5/11(日)13:00観劇 A列
────────────────────
最前列で、アクロバティック+優美/細やかなやりとりあり、
そして刀のみでなく鎖鎌?鉄扇、更に何よりしなやかなる体術など
色々な殺陣/立ち回りを沢山観れて大満足。
(戦闘シーンはまさに子供に夢を与える方の「忍者」でした。)

既に2回観てストーリー/背景的なものは全て把握している
状態だったのもあり、突出しまくった(キャラ立ちまくった)
役者陣のアクション演劇はまさに「ヒーロー大戦」的なものに見えました。

前回上げた劇場/座席による難点さえ取り除ければ、
「シリーズ化」してもいいのではないか?と思えるぐらい
この超ド級立ち回りは気に入りました。




5/9(金)19:00観劇 C列
────────────────────
1回目の感想で「ゲーム感覚」で観ないと楽しめない
(お芝居として「演技」「物語」を追ってはいけないタイプの舞台?)、
と書いたのですが、そんな事はありませんでした(感想見た人すいません)。

今回、2回目は席が前の方だったので1回目のように
・ 前席の人の頭で舞台中央で何が起きているかがまったく観えない。
・ 距離的に「超ド級立ち回り」の迫力、および演者の演技の熱が伝わってこない。
という事はないよな、その上で楽しめなかったなら
「自分には合わないお芝居/座組だった」という事だろう、と考えていました。


そして観劇したのですが、

※ 1点だけやはりアレはいらないのでは、、、と今回も悩みました。

・ 超ド級立ち回り(あやめの回転技、力丸/鬼陰の1.5m級ジャンプ/バク宙、
  殺陣+体術の戦闘シーンなど)に、はっきりいって気持ち持ってかれる
  レベルで興奮しました。
  (高さや斜め舞台などを使ってのダイナミックな立ち回り(アクション)は、
  他劇団でも観た事がありません。)

  ハプニングで、舞台が耐え切れず一部壊れてしまうほどのアクションは
  まさに「ダイナミック!」

・ 演者の演技のその熱を感じる事が出来、かなり集中させられました。
  (コメディ要素など、どの方向のお芝居なのだろう、と迷う所はあれど
  演技は「良い!」と思えました。)

・ 「笑い」に距離が関係あるのかは分かりませんが、
  1度見て笑えなかったはずの「笑い」ネタにもかなり笑わせられました。

・ (2度観だから、というのもあるのでしょうが)
  演者の演技/所作の中に隠された伏線に、
  「久保田テイストがちゃんとある!」と感激しました。

  また、物語/演出についても「企画演劇集団ボクラ団義」公演レベルの
  「脚本と演技/所作の深さ(と一言で言えるものではないのですが)」
  まではなくとも、少なくとも
  「筋は通っていて、ちゃんとストーリーの波/どんでん返し/盛り上がりはある」
  と感じられました。

そういった意味で、今回は自分は「面白かった!」と言えるレベルで楽しめました。
(物語の深みなどはともかくとして)
観た事がないレベルの忍者アクションのすごさ、ゲーム的な面白さ、には
☆5つ(1回目は3つ)つけたいと思います。

※ DVDも予約してしましました
  (1回目の観劇ではアンケートすら書く気がしませんでした)。


※ ただ1つ、自分が非常に残念に思うのは、
  「座席位置(距離)」「隣客(前後左右)」次第で、
  この舞台を観る人の感想がかなり左右されてしまうのではないか?
  という事です。

  ・ H列まで?の、平席配置ははっきりいってあの高さの舞台を
    観るのには不利です。
    (段差式座席の劇場を選ぶべきだったのでは?)
    ※ 自分の後ろの人が、自分の頭が邪魔で
      観劇を楽しめないかも、と今回出来るだけ頭下げるようにしてました…

  ・ このアクション劇については、その熱を感じられる距離がかなり
    制限されてしまう(近さが必要)のではないか
    (もう少し小箱で公演した方が良かったのでは?)

    ※ いつもの「ボクラ団義」劇は、演者の熱よりもまず
      「物語」自体が観客の楽しみになる為(?)、
      距離に左右されにくい、とは思うのですが…

  今回、前席で観劇する事が出来た自分は「満足」しましたが、
  (特に後ろの方で客観的に)観劇された人たちの中では
  「不満」がかなり残ってしまうのではないか、と思わせられました。




※2度観で感想が180度近く変わったので、以下下に移動します。
5/7(水)19:00観劇 H列
タイトル:「見方」次第で評価が変わってしまうタイプの舞台かと…
────────────────────
PVのイメージから「アクション主体のシリアスストーリー(お芝居)」
という先入観を持って見始めてしまいました。

(アクションはほんと最初から"スゴイ!"の連続だったのですが)
序盤からあるシーンにかけて「物語」の方に集中しようとしてしまったのか、
冒頭からの展開の仕方に自分には何か違和感のようなものが湧いてしまい、
どうにもお芝居に没入/引き込まれる事が出来ませんでした。
(まず、ボクラ団義さん=物語に集中、という気持ちで
観てしまっていたのかも知れません。)

しかし、場面変わって主人公のあるセリフ以降、
この舞台は元々がゲーム原作で、
単に元ネタとしてゲームを使ったというよりも、

「ゲーム感覚」で観るお芝居なのでは?と考えなおし、
そういうイメージで観るようにしたら、
人の動き(殺陣や体術など)、物語の設定など、

見事ゲーム「天誅」を再現している!と感嘆し
舞台上の芝居から殺陣から(※アクション、の方がしっくりくる?)を
楽しむ事が出来るようになりました。
(「何も考えずに観て」というお話がよくありますが、これはまた
それとは違うのかな、と思いました。)

今回は自分の「見方」が変わるまで、面白みを感じる事が出来なかった為、
☆3つとさせていただきますが、あと2回観る中で
自分の中で評価がどう変わるのかが楽しみです。

ネタバレBOX

※ 5/13(火)、誰も見ないだろうけど思った事1点追記
  今回の舞台版「天誅」、集客的には大成功だった(と思う)けど、実際
  ・ あの大劇場で少ない日数公演するのと
  ・ もう少し席数/舞台との席の距離おさえた小劇場で長期公演するのと
  観せる側/観る側の両方にとって、どっちがWin - Winな
  関係になれたのだろう?

  ※ 「商売」としてではなく、演劇を志し「観てもらいたい」と思った側と
    演劇を「楽しみたい」と思ったその双方にとって

  ※ まあ、あそこまでのアクロバティックさについては
    演者さんの肉体的な限界も考慮しなければいけないとは思うけれど…




5/11(日)13:00観劇 A列
────────────────────
ツイッターで「火影が一番際立ってた」という意見を見ましたが、確かに
(ゲーム主人公とは出来るだけ個性を消して、プレイする人間と
意識を同化しやすくするモノ、という基本ルール(?)はあるにしても)

主役力丸が、ゲーム主人公に姿がそっくりで、
ダイナミックなアクション/立ち回りの迫力を見せつけていても、

(役者としての)物語面でのセリフ廻しの上手さや
登場の仕方/物語自体を動かす人物としては、
どうしても火影の方が目立ってしまう(主役を食ってしまう?)
面はあったな、と自分も感じました。

あやめの方は、登場場面の違いなど(あるいは性別の違い?)から
「食われた」感はありませんでしたが…


主役が食われた(?)という事よりも、もっと気になるのが
主役を中心とした物語、というよりゲーム式物語

※ 各面にボスがいてそれを倒していく、
  もちろんボスはそれぞれキャラが立っている

として構成させようとしたのか、
舞台版「天誅」は主役以外のキャラが起伏少なく
みんな(キャラが)立ってしまっていたように思えます。

3度観の自分にはそれぞれ全ての設定が分かっていた事、
また最前列で演技/アクション自体に引きこまれた/はまり込めた事から
それについてのマイナス点は感じませんでしたが、

本来のお芝居ならば主役含め主要なキャラ数人のみキャラを大きく立て、
あとはあくまでも脇役として主役達+物語自体を盛り上げる/引き立てる為の
サブ的な立ち位置でないと、物語としての起伏が感じられず
(観る側にとっての視点をどこに持っていけば良いかが定められず)、
これもまた「面白みに欠ける」ものになってしまうのではないでしょうか?

※ ボクラ団義舞台では、それぞれの舞台で
  メインキャストとサブキャストをちゃんと分けて
  それぞれのメンバーが自分に与えられた役割を
  メイン、サブ関係なくしっかり背景設定など
  掘り下げた上でこなす為、起伏があって面白い物語であり、
  その上で初回メインを中心に観てよし、
  二度観以降サブの方に注目してもよし、
  と何度でも楽しめるヒット作が何本も産まれているのだと思います。


そういう意味でも、本劇は全員主役の「ヒーロー大戦」的なものに見えました。

もしかしたらですが、1回だけ本劇を観賞した人にとっては、
やはり物語面に何か難点(誰がメイン(主役/悪役)かよく分からない、など)が
感じられてしまったかもしれません。


【その他】
・ 最前列で見たおかげかもしれませんが、
  ・ OPのダンスがめちゃくちゃかっこいい、BGMとすごく合っている
  ・ OPの映像もこれまたかっこいい
  と、今回の観劇では思いました。


・ あと、関係ないですが大音さんの巫女の
  「キエエエエエエエエエエエエエエ」がかなり喉に負担を
  かけているようでちょっと心配でした。
  (残す千秋楽、がんばって乗り越えてください( ´ー`))

  あの笑いの取り方はかなり上手いですが、
  かなり大音さんに女優力に負荷をかけているような…


・ もう1点、最前列で分かりましたがやはり舞台が低く感じます。
  矢が武士(大神さん)に刺さる場面など、
  最前列で観て初めて実際にどういう場面だったのかが見えました。
  C列ですら見えません(多分そういう状況だろう、と想像して観てはいましたが)。

  昔シアターサンモールで別のお芝居を見た時は、
  そのお芝居自体がアクションものではないという事もありましたが、
  階段型舞台で基本下部分には立っている人間以外を置かないという形を
  用いていた為、「見づらさ」を感じる事はありませんでした。

  しかし、本劇「天誅」では、ダイナミックなアクションや
  前転/側転などの地を這うような動き、実際に人が倒れる、など
  かなり低い位置まで使ってのお芝居をしている為、
  やはり席位置などによって「見づらさ」が発生してしまうものと思われます。

  同様、舞台上の(アクションや演技などの)熱を感じられる距離は、
  観客それぞれの感受性などによって変わってくるとは思いますが、
  あの広い劇場の遠目で舞台を遠く眺めたとして、
  はたして本劇の「面白さ」が本当に伝わっているのかな?
  というのが、自分には疑問として残ってしまいます。

  劇場として「シアターサンモール」には合わない
  (というか感激できる距離が限られる)のでは、と思いました。




5/9(金)19:00観劇 C列
────────────────────
だいたい感想の方に書いちゃいました。
あとは、

・ 「アレ」=ゲーム映像であやめとその兄の背景設定を伝えている部分
  (どのタイミングで出てくるのか忘れていたので、
  「もしかして削ってくれた!?」と「自分に良い方に」想像してしまいました。)

  2度観ると、映像に合わせ演者がうまくセリフをのせているなど、
  いい部分も多々観えてきたのですが、やはりPS1/PS2画質の映像は
  観劇/感情移入の邪魔かと…
  (ただ映像後半は今回用に作られたのでしょうか?映像がきれいに感じました。)

・ あやめの回転技、すごく優美な動きですね、
  体操関係をやられていた?

・ 力丸と鬼陰の1.5mジャンプ、特に力丸はバク転も混ぜてくる、
  その迫力がすごかったです。
  (セットまで壊してしまいましたからね。)

  鬼陰やその他ボクラ団義メンバーの殺陣/立ち回りの良さと、
  体術にすぐれる他の方々のアクションが噛み合って
  「これはすごい!観た事ない!」と思えるような「ド迫力立ち回り」でした。

・ 物語については、伏線などを少々盛り込んだ程度で
  「久保田テイスト」を感じるほどではなかったと思いますが、
  「天誅」という忍者ゲームのストーリーとしては、
  真の黒幕は菊姫の潜在意識、更に鬼陰が裏で糸を引いていた、
  裏切った忍者の頭領のただ1つの願いは「愛しき人」の復活、
  など、結構悪くない物語だったと思います。

・ 伏線で「蘇った者達の妖術は、同じ蘇った者には効かない」が、
  2度観するとちゃんと凛達には効いていない、
  また火影が「なんだ、お仲間なのか」?と言っているなど
  「ああ、ちゃんとここで伏線張ってるのか」と、
  1回目ではまったく気づかない良点でした。

  2度観で楽しめる部分があるのは、
  「久保田テイスト/ボクラ団義テイスト」だと思います。

  ※ あと細かい部分では、大神さんが
    度々演者陣の足を引っ張って笑いをとってたり、
    あれはアドリブでしょうか。
    (久保田さん脚本に対して、更に演者陣が背景設定を掘り下げていったり、
    「面白さ」を追加する為のアドリブをいれるなど、
    (1人だけの考えではなく全体脳で考える)のが
    ボクラ団義の良さだと思っています。
    それは今回どこまで活きてるのかなあ( ´ー`))

・ はっきりいって劇場の選択(あるいは舞台セット構成(高さ))の部分で
  ミスしているのではないか、と思いました。

  ・ (平席部分について)席/隣者(前後左右)により舞台自体が見えにくい。

  ・ ボクラ団義のいつもの深くテンポの良い物語/演出では、
    物語自体の理解/推察などが重要な要素である為、
    観劇距離の影響はそれほどないのか、と思いますが
    (まあ、近いほど演者の熱が感じられてうれしいのですが)、

    今回の「天誅」のように「アクション!」を全面に押し出す劇では、
    その熱を感じられる観客との「距離」こそが重要だったのではないか?
    それにしては大箱だったのではないか?と思います。
    (後ろの方の人は、舞台の熱を全く感じる事なく、
    ボクラ団義テイストとの違い、アラ探し、
    に走ってしまうのではないか?と思いました(自分もそうでしたし)。)

・ (今回が面白かったので、はっきり言いますが)
  ACRAFTさんとの合同舞台については、前作から心配がかなりありました。

  TVドラマや映画などの映像ならば、きっとうまいカット割りで
  いいシーンや展開を観せてくれるものと思います。
  (今秋から来年に公開される映画は楽しみにしています。)

  しかし、舞台には舞台ならではの物語の作り方/カット割り/演出(観せ方)がある、
  という事について、前作では「分かってないな」と思いました。

  TVドラマ/映画のカット割りでは、観せたい場面をそれぞれカット割りし、
  そこをカメラを通して映してつなげていく形になると思います。

  しかし、生舞台では同じ事はできません。

  前作は、単に2場面を繰り返し移動するだけの
  テンポの悪い紙芝居(完全な二次元舞台)のようでした。


  そして、企画演劇集団ボクラ団義の演出の良さは、
  舞台を多段(あるいはそれ以上)に分け、
  ・ 現代
  ・ 過去(回想)
  ・ ここと違う場所
  などをその多段上の人々の会話の組み合わせや照明などでうまく
  表現する事で、(人の移動などに時間を取られず)
  TVドラマ/映画に負けない「上手いカット割り/場面転換をテンポよく」
  実現している事だと思っています。
  (紙芝居でいえば、1枚目のシーンと10枚目のシーンのキャラが
  3次元的につながって新たなシーンを生み出す、
  というようなイメージでしょうか(例えが分かりにくいですね( ´ー`)すいません))


  しかし、今回の「天誅」では、舞台セットの構成や、シーンの展開について、
  舞台演劇(ボクラ団義)の良さが(完全に、かは分かりませんが)、
  かなり活きていたと思います。

  そういった意味では、やっとACRAFTさんとボクラ団義が
  かみ合ってきた、と感じました。

※ 1回目観劇時の印象で☆3つをつけた時、かなり悩んだんですよね。
  (いつもの事なのですが、公演中の舞台なので集客に影響してしまわないか、
  という点で。)
  チケット完売/満席の舞台や、あまりに不誠実な劇団/舞台であれば
  こんな事を気にはしないのですが…

  「自分が(あまり)楽しめなかった」理由について、

  ・ 自分の見方や隣席の方々との組み合わせの方に問題があったのではないか?

  ・ 今投稿するのはやめておいた方がよいのではないか?
    (公演終了後が良いのか?)

    (自分が否定要素を感じる舞台については)
    他の観客の方も同じ気持ちなのか、
    皆さん感想を書かないんですよね。

    その為自分のマイナス印象の感想だけがポツンと残ってしまい、
    それを観た方は「感想が少なく、評価もいまいち、じゃあ観るのやめよう」
    という方向に動いてしまわないかどうか。

  しかし、申し訳ないのですが、「ファン」であっても
  「えこひいき」はしたくない(意志は曲げない)、
  というのが自分のモットーです。
  
  「いいモノにはいい!」、「悪い(と感じてしまった)モノには悪い(と思った)!」
  という事を、そのタイミングなど考えずに書く、
  という自分ルールには逆らえませんでした。

  ただ、あまりにストレスを感じてしまい、夜も眠れずに考えた末、
  「観る距離で演技の熱が伝わる/伝わらない、というのはある」とCoRich掲示板にあげ、
  更にはCoRichでかなりの観劇数をほこる観劇者の方に相談までしてしまいました
  (温かい回答をいただけたので、気が楽になりましたが)。

  しかし、演者の竹石さんから、
  「評価は観る側のものなので、ちゃんと思ったままの評価をそのままくだしてほしい」
  というものをいただき、何か心の重石が降りたような気分になれました。

  やっぱり熱い劇団ですわ。゚(PД`q。)゚。 出会えて良かった…


長々書きましたが、「天誅」、可能なら1回目の僕同様
マイナス評価を書いた方も、前席で一度観劇し、
その熱を感じていただければ、と思います。
(ほんと、自分同様評価が変わるのではないか、と思います。)

※ 今後、劇場選びなどは考えるとして、これだけのアクション舞台は
  「また観てみたい」と正直思います(もちろんできるだけ熱の感じられる距離で)。





※2度観で感想が180度近く変わったので、以下下に移動します。
5/7(水)19:00観劇 H列
────────────────────
序盤から真のOPに当たるダンス/OP映像が流れるまでの間、
(ちょっとどういう気持になったのか自分でも忘れてしまいましたが)
「物語」としてお芝居を観ようとしてしまったのか、
短い時間の中に展開していく内容に何か
(いつもと違う、と言っては変ですが)
違和感のようなものを感じてしまい、
どうにも「このお芝居は楽しめそうにないかな?」と
思ってしまいました。


その後、くノ一の背景設定に当たる物語を
過去のゲーム「天誅」の映像
(PS1かPS2か、とにかく現代のクォリティではない)で
5~10分流されている間も、

「この背景をわざわざゲーム映像で説明する必要はあるのだろうか?
お芝居でやってくれた方がまだ分かりやすい」など

(自分もゲーム「天誅」は当時プレイしていたのですが、
ストーリーの方は完全に忘れていた事もあり)、
演出にちょっと不満を抱いてしまいました。


しかしその後、主人公達が実際敵に乗っ取られた仏殿?に忍び込む場面で
「集団で戦った方がいいと思うよ!」という仲間に対し、

力丸「しかし1人で戦うのが”天誅”!」、

など、「そうそう、天誅ってそういうゲームだったよな」と
思わせくれる場面/セリフがいくつか出てきて、
やっと自分がこのお芝居の「見方」「楽しみ方」を勘違いしていたのかな、
という気持ちにさせられました。


単にゲーム設定を背景にした「物語」ではなく、
「ゲーム感覚」で観てこそ楽しめるお芝居なのかな、と。


それからは、ゲームそのまま(あるいはそれ以上の)
・ 舞台の高低差を利用してのアクション
・ 殺陣というより体術とも言える主人公その他の動き
  主人公やくノ一など体術に秀でた人が多く、
  殺陣やバク転側転などのアクションが
  非常にかっこよく、かなり見栄えがしました。
  (ここも本物の忍者というより、ゲームの忍者ですね)

・ 忍者ならではの変わり身(?)その他

・ まんまゲームの設定(隠れていれば相手は見失う、など)
  あとあの君主のシナリオ説明セリフも確かゲーム「天誅」だったかと

・ あまり深くはないがゲームとして楽しめる「物語」設定

などを、自分もかなり楽しめるようになりました。


ただ何点か難点
・ 初日ゆえか、昔言葉ゆえか、長セリフゆえか、
  何人かの方がセリフ途中で不要な間をあけてしまってたかと…
  (セリフがなじんでない?)

・ シアターサンモールは舞台に対して席が平(たいら)に配置され、
  かつ碁盤の目(前が見えるように席がズレている、などの配慮がない)の為、
  前に長身の方が座ってしまった時点でもう舞台下段中央が全く見えませんでした。
  これはかなりがっかりさせられました(舞台中央で何かが起きてても自分だけ分からない為)。

・ (これは演劇の質、劇場とは全く関係ありませんが)
  ・ セリフにかぶる奇声(大声)で笑う人(周りの笑い声に対して、あまりに異質だと
    本人気づいてないのかな?)
  ・ 飴の袋か何かをビリビリ破る音多々
  ・ 指をポキポキ鳴らす人
  ・ 席を立ってトイレへ行ったのか、何度も何度もドタドタという音が後ろから聴こえる
  など、(遠目の席だった事もあり)セリフや楽曲など、
  「音」を聞き漏らさないようにしていたら
  異音が沢山でちょっと残念でした。


あと素朴な疑問として、
・ ゲーム「天誅」について実際プレイした事がある人やゲームをする人などについては、
  OPの歌から何からに非常に懐かしさや「ゲーム感覚」というのも理解でき、
  本お芝居が面白く感じられたと思いますが、
  まったくゲームをやらない、「天誅」なんて知らない、
  という人(特に演者さんや劇団などの方のファンの方々)
  にとっては、はたして「親切」なお芝居だったのかなあ、
  というのがちょっと心にひっかかります。
  (単にすごいアクション!しか楽しめなかったかも・・・)


PS.最初から最後まで楽しめなかったら「パンフいらないかな」と
  思っていたのですが、自分なりの「見方」(ゲーム感覚)で
  観たら楽しめた、結構面白い、という事に気づいたので
  パンフ購入し背景設定(ゲーム当時の内容など)を確認して、
  次は最初からこの世界観にハマってみたい思います。
  ⇒
  パンフレット読みましたが、キャラの背景設定の記載はほぼなしなんですね。
  ボクラ団義さんのアフターパンフレットみたいに、
  それぞれのキャラの背景/思考なんかをもっと教えてほしかったです。
  (それこそ各役をゲームのキャラとすればその背景知ってこそ
  次観る時の面白さが増すと思うのですが…)
風雲!チキン野郎城3~そして伝説へ

風雲!チキン野郎城3~そして伝説へ

ポップンマッシュルームチキン野郎

ステージカフェ下北沢亭(東京都)

2014/05/05 (月) ~ 2014/05/06 (火)公演終了

満足度★★★★

他劇団では決してできないようなシュール/ブラック/ハレンチなショーも
大人の笑いとして引き込まれてしまえばオールオッケー。

どういうイベントなのか分からず申し込みましたが、
次回公演の宣伝を兼ねたファン感謝イベント、という感じでした。
男裸相撲やら参加型うどんこね会やら粘土遊び
(もう何十年ぶりだな、粘土さわったの)やら色々でしたが、
PMC野郎というちょっとお下品もありな集団の熱にやられて
こっちも楽しくなってしまったので良かったのかな( ´ー`)

前回上演した舞台から「2人は永遠に」を上映してましたが、
やっぱりこの短編お芝居には必要最低限の情報量で
涙腺緩ませるような、必要なものが全て詰まってる、
という上手さを感じました。

ネタバレBOX

色々あって全部は覚えてないんですが、
ほんとの裸男子(股間は色々なもので隠す)の
相撲大会(ちん○んが見えたら負け)とか、
他劇団だったら、
「俺は役者だ!」とプライド持って断ってしまうようなネタでも、
笑いの為なら身体を張って行くPMC野郎な面々は、
大した度胸でこなしてました
(特にイケメン?さんの裸相撲では女子の黄色い声がすごかった)。

某劇団さんとはこれまた別の、違う身体の張り方に、
「劇団ひとり」さんを思い浮かべました。

間近で観てたおっさんな自分も、まさか男子のちん○ん「モロ出し」
(ふんどしが脱げたら負け、という相撲の決まり手でしたね、確か)
に興奮してしまうとは(ノ∀`)

こういったネタでファンを楽しませつつ、
前回公演の短編の1つ「2人は永遠に」(タイトル違ったらすいません)で
じじいとばばあ、ロボじじいとロボばばあ、
それぞれの優しさのあり方に何かホロリとさせられ、

レディガガ様の歌に(和訳歌ってもらって)
「おお、ガガ様はそんな事言ってたのか!」と
何か活目させられたような気もします。

イベントはイベントなのでお芝居と同列には考えませんが、
次回のお芝居もとても楽しみです。

PMC野郎は正統/邪道でいうと邪道なサイドに染まってる
感じがないでもありませんが、そこがまた何か自分の心をくすぐります。
(大人になって、大人の笑いを見せてもらったような)
オレンジ新撰組 リターンズ

オレンジ新撰組 リターンズ

劇団6番シード

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2014/05/02 (金) ~ 2014/05/11 (日)公演終了

満足度★★★

コメディとしては面白いがお話をもう少し深堀りしてもいいかなあ、と
シアターKASSAIの小舞台の上で繰り広げられる、
女にモテたいが為に”オレンジ”新選組を名乗る仲間たち、
笑い8割涙2割、演者の演技に引き込まれ涙腺も緩みました。
しかし、いい座組でいい演技をしているだけに
ちょっとお話/展開の方にもう少し深堀りが欲しいかな、と思いました。

ネタバレBOX

シアターKASSAIの小舞台の上、
開始そうそうの群舞(殺陣にダンスに色々と)が繰り広げられる様は
「見事にシアターKASSAIを使いこなしているな!」
と思わせるものでした。

※ この後すぐ観客全員が拍手するのをみて、
  ミュージカルのようにパートパートで
  拍手をいれるタイプのお芝居なのか、
  と今まで観てきたお芝居とは
  「少しノリが違うのかな?」
  と自分には違和感のようなものがありましたが。


女にモテたい、ただそれだけの為に
今京で大流行している、モテる新選組に入ろう、
と応募するも落選してしまい、ならば
オレンジ羽織で「オレンジ新選組」を名乗ろう、
という流れ。

名乗りモテたはいいが今度は京から逃げてきた
攘夷派浪士達に本物の新選組と間違われてしまい、
というドタバタ劇、とても楽しかったと思います。

ただ、
・ 演者さんの一部につたなさが残る
  噛み噛みの演者さんが場面場面で
  物語の流れをころしてしまっていたかと・・・
  (ただでさえ主要メンバーに早口のセリフが多く、
  聞き取りづらかったのでそこで集中がとけてしまいました)

・ ドイさん(本物の岡田以蔵)の存在が、
  コメディタッチの物語に対して
  1点雰囲気の全く異なる良い違和感を出していたのに、
  その設定を使いきれていなかったかと。

  何故、池田屋から主人公とドイさんが一緒に出てきた後、
  斬られる芝居をした上で「階段落ち」する事になっていたのか、
  「生き別れの妹」の話に対してドイさんは実際どう感じていたのか、
  など、それらの説明だけでももう1場面欲しかったと思います。

・ 同様、借金のかたに女郎屋へ売られようとしていたお鶴さん、
  主人公達が池田屋から救い出したのはいいですが、
  借金は消えていないのでは?
  最後のオチにメロン新選組のお父さんが出てきたはいいですが
  その点帳消しで京へ行く、
  はちょっとモヤモヤの残るオチだったかなあ、と。
  何かもう少しうまく幕引きをしてほしいな、と思いました。


まあ、ドリフ的なコメディお芝居としては
シアターKASSAIの小舞台の上、
見事なお芝居だったと思います。

主人公の親友が、へっぺりが浜?に立ち、
子供の頃の主人公達親友との出来事を語るシーンは
かなり涙腺に迫るものがありました(演技上手)。


ただ、通してお芝居を観て思うのは、やっぱり最初の
群舞の上手さ、そこだけが印象に残ってしまいました。
(出来れば物語の方に名場面が欲しかった。)


次の舞台に期待したいです。
しゃっふる

しゃっふる

ソラリネ。

ギャラリーLE DECO(東京都)

2014/04/22 (火) ~ 2014/04/27 (日)公演終了

満足度★★★★

切れ味勝負なお芝居に自分も斬られた・・・
スペード回「見栄も強欲も不安の顕れ」を観賞。

ギャラリー(20畳ほどのビルの1フロア)内に、
観客席(折りたたみ椅子)に囲まれる形で仕切りもなく
真ん中にソファやテーブル、お酒のたぐいなどが用意されている。

そして、大学のゼミで一緒だったメンバー達が
同窓会としてレストランに集まり、
食事も終わってそれなりにお酒の回っている状況、
でスタート。

劇場型の舞台とはまた違う、同じ目の高さ、
同じ部屋の中でのお芝居に、
まるで「本当の同窓会」を、
見ているというより壁の花として自分も
参加しているかのような空気感。

そして・・・

「物語」としてのお芝居ではなく「同窓会」という演技、
そこから30分以上をかけて演じられるメンバー達の
(表面上の)大人としての自分たちの
「今」についての語り合いから、
一気に主題に迫る怒涛の流れ、
主人公(なのか?)の最後の締めに、
自分もズバッと斬られてしまった、という感覚でした。

ほんと「何を見せたいのか」というオチひとつで
勝負するタイプのある意味すごい空気感を持ったお芝居でした。

ネタバレBOX

同じ大学のゼミ生だった仲間達が数年ぶりに同窓会に集まり、
ゼミ仲間の1人の旦那のレストランを貸しきって、
食事も終わりそれなりに酔いも回って話もはずむ
(一部メンバーは遅れていてまだそろっていない)。

ゼミ生時代の昔話やそれぞれの今の生活
(仕事、結婚、子供、お店を出した、夢を追っている、など)に
ついての語り合い、それがギャラリー中央7,8人の
演者達の間で繰り広げられます。

まさにほんとに「同窓会」、
・ 酔いが回って話がはずむ者
・ 車で来たから、と酒は飲まず落ち着いている者
・ (雰囲気的に)みんなからちょっと浮いた
  (というか距離を作って)連中を見ている者
などで、

・ 「同窓会」に新しい人が登場する度にその人が話の中心になったり

・ それぞれ数人の会話のグループ(2グループ)に
  分かれてバラバラにリアルな会話を始めたり

と見ているこっちは誰を主軸として追ってよいのか、
誰の話を聞いたらよいのか分からず混乱してしまう、
まさに「同窓会」という空気を同じ部屋で
(自分も距離を置いて)見ている、という感じでした。

この時点では「この後どういう形に展開する?」と少々の不安も。


その中で
・ 公務員生活も大変
・ 結婚して幸せ
・ 子供も生まれて幸せ
・ 震災で「大切な人」について考え、結婚を決意した(レストランの店主)
・ お店を出してなんとかがんばっている
・ 役者/芸人としてたまにTVに出たりお芝居もしつつ、
  アルバイト生活を続けている
など、それぞれの「今」が明るい方向で語られます。

しかし、フリーのカメラマンを続けているという1人の男が、
その輪からどうにも浮いた雰囲気を出しています。


そして、同窓会の主催者だったゼミ生仲間の男性と女性が
「実は自分達は付き合っていて今度結婚する、
それをみんなに報告する為に今回この同窓会を開いた」
というお話にみんなが更に盛り上がります。

※ この後、またグループに分かれて会話している中で
  フリーのカメラマン(多分主人公的な立ち位置)に対して、
  「○○と付き合ってたんじゃないの?」と
  話しかける女性など少し不穏な会話が聞こえてきますが、
  それも「同窓会」の演技の中でバラバラに繰り広げられる
  会話の中にまぎれてしまい、重要な話だったのか、
  それとも単なる昔話の1つだったのか、
  この時点ではまだ判断がつきません。


そして、
・ 酔いつぶれて眠ってしまう女性
  バイト疲れで眠ってしまう男性
  それを介抱するメンバー

・ 子供が熱を出したと心配し、家へ帰る事にした男性と、
  「自分は酒を飲んでないから車で送るよ」と、
  「後でまた戻る」といって出て行く男性

そうやって同窓会の場から人がほとんどいなくなった時、
フリーのカメラマンが1人、楽しい雰囲気に混ざらず距離を
置いていた理由が分かります。

結婚を発表した男女の女性の方は、
このフリーのカメラマンの元恋人でした。

まず、結婚する男性(友人)の方が部屋に戻ってきて、
カメラマンと「(カメラマンの)昔の彼女と結婚する事」について
少し話をしますが、カメラマンは「気にしてない」というそぶりを見せます。

次に入れ替わりで部屋に戻ってきた彼女とカメラマンとの会話で、
・ 当時彼女はカメラマンとの結婚も考えていた
・ 「何故あんな事をしたの?(浮気か何かをされた?)」と
  彼女から別れを決意、実際に別れた事
・ 「あんな事をした」理由としてカメラマンは
  「フリーでこれから起業など色々な事を考えている自分に対して、
  ”結婚”する事で”(足)カセ”がつくのが怖かった」

  ※ 自分も「結婚して女房子供を養ってく自信なんてないし、
    自分のやりたい事をやるだけで精一杯」と常日頃から思っているので、
    この”(足)カセ”という言葉がなんとなくしっくり来ました。

と、さっきまでの喧騒が嘘のように段々と場の空気が暗い方向に向かいます


そして、遅れてやってきた通称おっさん
(ゼミ生の中で1人だけかなり年長だった為このアダ名がついた模様)。

結婚の話に喜び、カメラマンの勧めでお酒を飲みますが、
おっさんは「絡み酒」で有名な人物でした。

そこへ車で友人を送った男性が戻ってきて、
おっさんに「ひさしぶりじゃないか!」など親しげに話しかけますが、
おっさんの方は「お前俺に謝る事があるんじゃないのか!?」などと
激昂します。

カメラマンに「言うべき事は腹に溜めずに言った方がいいぞ」などと
更におっさんは煽られ、
かつてゼミ生時代自分(おっさん)の研究成果を男性が盗用した事
(雰囲気的には事実のよう)について怒り、
男性と取っ組み合いの喧嘩をしようとして仲間たちに止められます。

そして男性は「どっちにしろ過去の事だろ、付き合いきれない!」と帰ってしまいます。

そしておっさん自身も帰ってしまいます。


周りのメンバー達はカメラマンに「なぜ、おっさんを炊きつけた!」と怒り、
おっさん達の後を追います。

そして自ら同窓会をぶち壊し、最後に残されたカメラマンが1人、
「みんな誰かのせいにしてるじゃねーか!」とつぶやくとともに
場が暗転して終劇。




まず、自分もフリーで仕事をしている身なのもあり、
フリーのカメラマンの心情が少し分かるような気がしました。


そして、前半「同窓会」の中で
・ 結婚しての幸せだったり
・ 生まれた子供の可愛さを語り、
  熱を出した子供を心配して帰る者だったり、
・ 震災で大切な人についての事を本気で考え結婚し、
  一緒にレストランを始めた者だったり、
・ 花屋を経営するだけで精一杯で結婚なんて考えられない、
  と言う者だったり、
・ 夢を追って芸人を続けていたが、田舎の両親が心配で
  もう故郷に帰ろうか迷っていた者だったり、
というそれぞれのいい話部分についても
(全部が全部ではないと思いますが)

このカメラマンの「みんな誰かのせいにしてる」が
引っかかってくるんじゃないのかな、という気持ちにさせられてしまいました。


表面上の「今の幸せ」について語るゼミ生仲間達に対して、
「本性(ほんとにそうなのかは分かりませんが)」的な部分を
指摘したカメラマン、
自分自身、このオチにざっくりと斬られてしまったような気がします。


場所的な条件からも「物語性」のあるお芝居は難しいと思いましたが、
こういう形の演技で「雰囲気」を観客と共有し、
伝えたかったメッセージをオチとして斬りこんで来るお芝居、
これはこれでかなり「上手い」んじゃないかな、という気がしました。
POLYMPIC TOKYO!

POLYMPIC TOKYO!

天才劇団バカバッカ

吉祥寺シアター(東京都)

2014/04/09 (水) ~ 2014/04/13 (日)公演終了

満足度★★★

結局あの「ノリ」を受け入れられるかどうか
後半物語が急展開し、各演者ともお芝居に熱が入り
しっかり「演技」し始めてからは、
この物語のテーマと多国籍劇団ゆえの特色とがマッチして
非常に気持ちを引っ張られる部分もあり、
泣けた部分もありますし、
その後は笑いのネタにも反応出来、
歌やラップにも良さを感じられましたが…


確かこの劇団は
「物語の筋を追うより感じるままに観た方がいい」んだよな、
と前作観劇時の事を思い出し、
その方向で見始めたつもりなのですが
前半から中盤にかけて、物語とそのお芝居よりも
大人数によるパフォーマンス(群衆の騒ぎ)的なものに
力点を置きすぎているように見え、
観ていてまったくお芝居に引き込まれないし
ゴチャゴチャした中での笑いのネタ振りにも
まったく笑えませんでした。


終演後、絶賛していたお客様もいたので、
多分自分はこの「ノリ」が合わないんだろうなあ、と( ´ー`)

ネタバレBOX

前作観た時も思ったんですよね、
この劇団は「お客様を楽しませよう」という気持ちは
すごく持っているが
(1人1人がそれぞれ独特な特技を持っている事もあり)
演者というより自分は「パフォーマー」的な
ノリでお芝居をしている、
だからこの「ノリ」に合う人には面白く、
合わない人にはまったく面白くない、と。


多国籍だから、という事ではなく、それぞれが
パフォーマンスの方に力点を置いている、
その上物語の筋よりもまず全員舞台にあげてしまえ、
という急ぎすぎ感があるかと。

その為か、普段普通のお芝居を観ている身としては
その演技その他の所作に「拙さ」を感じてしまいます。

例.平舞台上である群の演技中、カットインする形で
  別の群が入ってきて別のシーンを演じようとした時、
  何人かの演者さんは入ってくるその集団を普通に
  目だけでなく身体自体で追ってしまっていました。

  ※ その場面、あなたからはその連中は
    「見えてない」前提ですよね?

    その所作により、舞台上につくりあげていこうと
    している物語の空気がはっきりいって壊れます。
    (ああ、この人は「役者じゃないんだ」という気持ちで…)

上記1例以外にもそういった、
「お芝居といえない」所作が多々見られました。

特技としてのパフォーマンス、群衆的なパフォーマンスを見せる気持ちが
強すぎて、なんだか物語/芝居がないがしろになっている気がします。




この劇を「パフォーマンス」として楽しむ人達にとっては、
いきなり全員勢揃いして行われる
(はっきりいって会話すら聞き取りづらい)
大人数の会話劇の中での笑いのネタ振りも
面白いのかも知れませんが(雰囲気で笑っている?)、

自分にとってはいきなり大量の情報が降ってきた上に
それぞれの設定をドバッと出されても
理解するのがやっとでそこに
面白さなどを感じる余裕も気持ちを引っ張られる
「引力」も感じませんでした。

※ 結局何も考えず体感しようとしても、
  出てくる情報自体は見て、聞いて、理解しようとしてしまう、
  というのもあります。


そうした時、この劇団の物語の展開の仕方は、
どうにも自分には「上手い」どころか「普通レベル」とも思えず、
はっきりいって前半から中盤までは
全く感情移入できずに設定だけ理解して眺めている状態でした。


後半になり、仲間の1人が誘拐された件を追うと
同時に別の仲間は仕送りしていた弟が既に死んでいて、
仕送りしていた金は仲介屋に騙され巻き上げられていたという
事実に絶望し、「日本人なんて嫌いだ!」と怒りがこみ上げる場面で、

・ 外人、日本人、中卒だなんだ、という差別

・ 再び東京にやってくるオリンピック、
  オリンピックとはそもそもどういう人達が集まるモノなのか

などの(タイトルにもなっている)メインテーマが出てきて、
物語がシリアスに転じた所で

やっと・・・待ちに待った「お芝居」が観られた気がします。


それぞれの立場や心情などに共感して舞台上の出来事に
感情を引っ張られ、涙腺も緩みましたし、
その共感があって初めて度々投入される
笑いのネタにも笑えるようになり、
この劇団の特色である「歌」「ラップ」にも
素直に良さを感じられるようになりました。


だからこそ残念です。


この劇団の舞台について、
「後半にはいつも感動が待っている」と分かっていたとしても

それまでの前半から中盤を「大人数による適当なノリ」で
演じられてしまうのなら、そんなお芝居は観たいとは思えません。


もう少し普通のパートのお芝居について、
「パフォーマー」型でやられている方も
演技をちゃんとされた方がよいのではないでしょうか?
(観ていて「適当さ」を感じてしまいます。)



PS. あと、劇場の関係か分かりませんが開演までの何時間か、
  近所のコンビニ数店それぞれの演者さん達がたむろって
  喫煙しながらだべっている姿が…

  これから観る舞台を楽しみにしている観客側にとって
  あの雰囲気はあまり目撃してうれしいものではありません。
今度は愛妻家

今度は愛妻家

東宝芸能

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2014/04/04 (金) ~ 2014/04/19 (土)公演終了

満足度★★

豪華過ぎるセットが浮いてしまうような粗いお話
舞台上にちょっと高級めな一軒家2階建内装を完全再現、
さてどんなお芝居になるかと思いましたが…

物語が展開した時、まわりからは花粉なのか感情移入ゆえか
すすり泣くような音がかなり聴こえまくりましたが
自分はまったくお話として面白くないな、とかなりガッカリしていました。
演者さんのお芝居に悪い所はないと思いますが、
お話とその演出に徹底的に「良さ」が見られない。

ネタバレBOX

奥さんが実は1年前に亡くなっていた(今まで舞台上にずっと出てきていたのは
旦那の幻覚だった)とネタばらしされ、
周りは感情移入で泣いてる人も多々いたようですが、
「どうすればこのお芝居に感情移入できるんだろう?」
と自分は(??)状態でした。


タイトルの「今度は愛妻家」の「今度は」とはどういう意味だろう?
と開演前に考えてて、大方の予想はついてました。
・ 奥さんが死ぬ(or 旦那が死ぬ)
・ 奥さんと離婚する
いずれかが入るな、と


ただ、それにしても

序盤.
それなりに夫婦仲は良いがセックスレスで子供を作る気もなく
浮気癖もある旦那とそれに不満がある女房
そして女房が旅行へ行く、と言い出してからの1年間
(元有名カメラマンの旦那はある写真展で酷評されてから写真が撮れなくなった
(今思えば、女房が亡くなってから、が真相?))


から


女房は夫婦で行った沖縄旅行で事故で亡くなってしまっていた。
今まで舞台上で夫婦の会話として演じられていたのはすべて旦那の幻覚
※ 実際オカマさんが確認する形で「いつからさくら(女房)の幻覚を見るようになった?」
って聞いちゃうのがこれまた観劇する側として夢も希望もない話
(「幻覚」の一言で今までのやりとり片付けるなよ)。


というネタばらしに至るまでで、何が自分的につまらないかと言えば、
「伏線」が全然効果的に貼られてないし使われていない。

・ 奥さんのポートレート(どうやら遺影だったらしい)

・ 浮気しようと呼んだ女性に旦那が「女房が亡くなったばかりで」と言うには言うが
  その後の流れで普通に女房が現れそして
  その他の演者とも絡んでしまう為、

  ? 思い返してみると絡んだ時はまだ生きてて、
    その後は靴を拾ってきて投げたたけ?(であれは幻覚?)
    起伏のない話だったのもあって、
    その辺がどうも記憶あいまいですが…

  「単なる嘘だった」としか観客側からは認識できない

・ たまに場面が暗転、照明が暗くなった部屋に旦那1人のシーンがあって、
  「あ、もしかして奥さん亡くなった?」とか思っても
  すぐに(幻覚だかの)奥さんが出てくるので伏線としてちゃんと成立していない


その流れでいきなりといっていいタイミングで幻覚の女房に
旦那が「おまえ、なんで死んじゃったんだよ」と言って、
初めて物語の真相が分かる訳ですが、
それまでの女房と演者との絡みなどから
(これも含めて全て旦那の幻覚、と言い切ってしまえばすごいけど)
ちゃんとここで場面が転換するには物語がちゃんと
つながっていない(演出面の問題かと)。


だから理不尽というかよく分からない形のまま、
なんとか感動劇に持って行こう、とする演者陣のお芝居を観ても
ちっとも気持ちを持って行かれませんでした(粗だらけ)。


あと、序盤無駄に「セックスセックス」と下関連のネタを
振って笑いを取りに行く姿勢も、
まあ「大人向け」とも取れますがどうにも面白く感じられません。



無駄に豪華なセットに対して物語/演出の方にまったく「良さ」がない。
舞台やるならまず脚本といいお芝居を用意した上で
必要なセットを作るべきなのでは?
とそういう部分に対しても批判的になってしまいました。


席が最後尾とかなり舞台から遠かったのも、演者の熱に
引っ張られなかった理由かも知れませんが、
いくら近かったとしても
あのお話/お芝居で「泣かせたり」「感動させたり」というのは
無理じゃないかな、と思います。


今まで入野自由君関連の舞台はそれなりに
情熱的だったり泣かせたりと何かしら心の琴線に触れる部分があり、
だからこそ役者「入野自由」君の舞台を追ってきましたが
今回は非常に残念な気分です。
舞台 新耳袋3

舞台 新耳袋3

タンバリンステージ

ザ・ポケット(東京都)

2014/04/02 (水) ~ 2014/04/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

怖くて面白い、怖面白い(こわおもしろい)作品(それも物凄く)
4/4(金)観劇。
ボクラ団義久保田唱さん作/演出+団員多数出演という事で、
僕自身まったく不得意なジャンルである
「オカルト/ホラー系ミステリ」の舞台に初めて手を出してみました。

原作小説「新耳袋」は超有名らしいですけど
そもそもこのジャンルを避けてた自分は全く知らず。
(耳袋(みみぶくろ)と耳朶(じだ)を間違えてたくらい。)

このジャンル、自分の人生でほんと数回ぐらいしか手を出した事がありません。
(多分「世にも奇妙な物語」が自分のハードルの限界(だと思ってました)。)

それでもラジオその他で久保田さんが
「自分自身怖いのが苦手だからただ怖くはしない」と
言ってたので信じてみたら

「なにこれ超怖い!」

「スゴイじゃなくて凄い!」
って凄惨な方の漢字を使いたくなるような怖さの残る作品でした。

(終わった後原作者木原先生と演者数人の笑いあり恐怖ありの
トークショーがありましたが、自分は今観たばかりの物語の
実感が頭よりも身体に残っていたのか小刻みに震え続けていました。)


しかし、メインは恐怖体験話ながらも
各演者のキャラ(役どころ)がほんと全員立ってる上に

シンプルなセットに対して音響/照明などの演出も凝りまくっていて、
そして物語自体もスゴク(こっちはカタカナ)面白くて
小ネタで笑わせ、泣かせ、そして癒やし(これは自分の勝手な感性?)まで
含んでいて、本当に盛りだくさんな恐怖体験でした。
やっぱり怖い(((( ;゚д゚))))

久保田さん作品といえば初見で驚き、二度見で更に驚かされる、
そんな噛みごたえがあると思っている自分は、
ツイッターでネットの評判を聞いてすぐ追加予約しましたが、

今日観たこのお芝居をもう一度観れる
(しかも今日がかぶりつきで明日は全体俯瞰)という事で、
「いやあ、今回かなりの当たり作品で二度見出来るなんて
これまた最高だな!!」と怖いながらも思います。

ほんと怖いんだけど面白い、怖面白い(こわおもしろい)、
としかいいようのない作品、

ジャンル初体験、という事もありますが、
☆でいったら5つじゃなくて6つか
それ以上の体験をしたと思います。
───────────────────────
4/5(土)18:00観劇(ソワレ、でいいんだよな)

ネタバレ以外の特記事項としては、
今日はちょっとミスが目立った(昨日はミス0ぐらいに思えたけど)。

軽い噛みぐらいならともかく、
一度演者さん2人の会話で完全に(どちらかの)セリフが
(頭から)飛んだようで、下手すると舞台が壊れる
(+観客側も集中切れる)かと
ちょっと違う怖さを味わった。。。

まあ、その後挽回出来たので問題なしかな。

ネタバレBOX

4/4(金)観劇。
──────────────────────────────
新耳(3/3)袋なのに獅子(4/4)の日!
関係ありませんね。


オチで救うのがボクラ団義、
オチで救わないのが新耳袋、
この言葉を書きたくてずっと帰宅中頭の中で復唱してました。


ネタバレでしかも今回物語がすごく濃厚/濃密な感じで展開したので、
感想だけを散文詩(感想ポンポン書くのは散文詩って言わない?)的に
書いちゃいます。


どの物語にもオチに必ず泣きや救いを持ってくるのが
企画演劇集団ボクラ団義の舞台公演だと思ってます。


しかし、今回他劇団参加した作/演出久保田唱さんは
どの物語にも救いじゃなくて「救われない…」を持ってきた
(というか原作者木原さんが、ですかね?)。


1.ある女性のマンションでのエレベータ恐怖体験から
  そのマンション内で起こっていた連続失踪→殺人事件を
  発覚させ解決した、と思わせて最終的にそれだけで
  物語は終わらず女性(姉)でなく妹を救えなかった、という事件
  (いったいあのマンションには更なる何があったんでしょう(((( ;゚д゚)))))


2.海岸崖での恋人同士の痴情のもつれによる

  彼→彼女の突き落とし事件、

  から始まる彼女の霊の登場、
  そして突き落とし事件の真相、

  更にそれでも成仏しない彼女について

  「彼女は彼に伝えたい事があるのでは!」
  という希望的観測(?)に基づいて
  上司の指示を振りきって独走したヒロインに対して、

  事実は彼女に取り憑き死に至らしめた霊と全く同じで
  (同じ感情を持っていたからこそ取り憑かれた)、
  彼女自身も自分の彼に対しての浮気の疑念と恨みつらみ、
  裏切りに対して共に死のうとしていたのを、
  (先に同じ場所で殺されていた霊に)
  邪魔された事、そして彼と浮気相手に対しての怒りから成仏しなかった、
  という救いようのない事件


3.ある家に同居する姉妹夫婦に対して、
  転落死殺人の被害者女性の霊の理由不明な呪いによる
  「男達」(亭主/同居人/子供)の呪い殺し(呪殺)、
  そしてそんな被害者女性の霊にも救いを、
  と願ったヒロインの衝撃のラスト


ほんと、本来なら本舞台を観て「スッキリした!」とは
まったくいかないオチの連続だったと思います。


でも物語として面白い、各演者のお芝居が面白い、
小ネタで笑わせられ、小ネタに驚かされ、小ネタに泣かされ、
そして癒やしまで感じてしまったという。。。
その上で骨太の本筋が面白いからこそ、最後まで集中して観れた(ハマれた)、と。
(新耳袋は今回初めて観劇しましたが、
この絶妙な配分があったからこそ、新耳袋3は
心に残る名作になったのだと思います。)


・ 三田寺さんの生前説(「せいぜんせつ」じゃなくて「なままえせつ」)に
  「萌え」という感情をひさしぶりに感じました。

・ 進撃の巨人林野さんの寡黙なようでいて、
  ボケの多い特殊課警視キャラに笑わされた上で、
  霊に対してのヒロインへの警鐘に
  色々なものを考えさせられました。
  (結局の所、この世に怨念を持つ霊と分かり合うなんて無理だ、
  という締めなのでしょうか?)

  同時にストーリーテラー的な立ち位置でもあり、
  「新耳袋」(小説)に対して
  「本には”扉”はあっても”出口”はない」
  が印象的でした。

・ ヒロイン木本さんの「オカルトを否定」しながらも
  それを実際体験して捜査を進めていく自分(その熱血ぶり)、
  そしてそれぞれの霊達に対して上司の静止を振りきってまで
  「善意」でもって向かっていって
  それが全て裏目に出てしまうという
  恐ろしくも悲しい物語展開に恐怖と涙しました。

・ 恒松あゆみさん(警視正)の役柄ゆえの落ち着きと
  美声に癒されました。

・ 沖野さんの独特すぎる霊媒体質キャラに笑わされ、
  引かされ、驚かされました。

・ 三田寺さん&ヤマケンさんコンビの喫茶店での
  三田寺さんの萌えメイドぶりにこれまた癒されました。

  三田寺さんと沖野さんの「ホットティー or コーヒー」についての
  やりとりに笑わされました。

  何作品か三田寺さん観てますが、「こんなに可愛いのか!!」
  という驚きを持ったのは本作が初めてですね。

  そして、コーヒーへのこだわりすぎるまでのこだわりと
  いつまでも塗りたてペンキの匂いの残る店、
  のその理由がやっぱり新耳袋。。。

・ そして、演者全員の笑いの小ネタに笑わされました。

・ 霊とそれに関る人たちの物語と衝撃の展開に
  驚かされ、恐怖させられました。

  ※ すごいのは観客への恐怖のあたえ方、観せ方が1つじゃなく
    いくつものバリエーションに富んでいた事です。

  (あれ?さっきと同じ事書いてるな)

  1.では、マンション殺人事件でそもそも
    存在しない地下へ降りるエレベータには
    女性だけでなく男性も乗っていた、という事、
    それが伏線となり
    事件解決と思わせておいて
    更なる霊事件で妹が殺されてしまう、という後引きの悪さ。

  2.では、霊に取り憑かれ彼を殺そうとした為、
    彼に崖から突き落とされた女性、
    しかし実は霊に取り憑かれる以前から
    彼の浮気に疑念を持ち、彼を殺そうとしていた、
    そして霊になった後もその浮気相手である仕事の同僚の元を
    49日間ずっと離れなかった、という物語の締め方

  3.では、たまたま姉妹夫婦の同居人が、
    殺人犯に殺された女性が「彼(殺人犯)」にあげようとしていた(?)櫛を
    拾ってしまったが為に

    殺された女性の霊を呼び寄せ、
    単に男というだけで旦那、同居人と次々と呪い殺され(呪殺)、

    ※ 同居人が実際霊に飛びかかられ殺される際の照明演出
      (あの演出の呼び方は「フラッシュバック」で良かったんですかね?
      あるいは「フラッシュライト」?)
      がすごく怖かった。
      本物の怨霊のようでした。


    それに対して、殺された女性の霊の気持ちを理解しようとするヒロイン、
    その善意につけ込んで女性の霊はヒロインに取り憑き
    「本当の思いの丈」を振りまき、
    彼を最後に殺した女性をも殺そうとした所を
    霊媒体質の沖野さんに止められる。

    そして、更に物語は進み、
    ヒロインは捜査一課へ戻り更に出世するが、
    「オカルト」の存在を認め、
    「また特殊課へいつか戻りたい!」と警視に伝え、
    物語としての(一応の)ハッピーエンドを見せるのか、

    と思わせた所で、更にオチのオチに、
    姉妹の子どもたちもその後殺されていて、

    更にはヒロインのバックに入っていた櫛、

    そしてヒロインに襲いかかる(本当に恐怖の)怨霊、
    という救いようのないオチ、締め

・ 物語の恐怖とその他のネタ比率、
  8:2ぐらいですかね、
  しかし、苦手だと思っていたジャンルも
  物語が良く出来ている上で
  演者、演出も良いと
  「面白い物語」として観る事ができた事に驚きました。
  
  怖いんだけど面白い、また観たくなってしまう、
  ほんと何度も言いますが
  怖面白い(こわおもしろい)
  物語でした。

  最初は物語自体は恐怖もの、という事でそこにはほとんど期待はなく、
  久保田さんの伏線たっぷりの脚本/演出と
  その回収の流れさえ観れれば良いかな、
  程度に思っていたのですが、
  見終わった感想としては

  「今年度No.1作品」
  「☆をつけるなら5つじゃなく6つ以上」
  「ジャンルに関わらず良いものはやはり良い」

  という事を見せつけられました。

・ DVD買おうっと( ´ー`)


以上、散漫な感想でした。
明日も楽しみだーヽ(´ー`)ノ
───────────────────────
4/5(土)18:00観劇

・ 二度見して思ったのは、1日目は「全部いい!」の一言で
  アンケート終わってしまったが、全体的に何よりも
  お芝居ならではの「音」全般(BGM、SEそして演者さんの大絶叫)、
  それに合わせての暗転がとても怖さを煽ってるな(上手い)、と思った。

  2度使ってたけど、2度とも(知ってても)
  身震いするようなシーンだった。
  (木本さんも言ってたけど)


・ 物語として、上司の静止を振り切ってまでの
  ヒロインの善意と熱意が
  逆に負の連鎖を産んでヒロインを苦しめていく展開は
  シュールというかダーク、まさに救いのない怪談話だと思った。


※ 前回の感想で1つ間違えてたけど、「櫛」じゃなくて「髪飾り」、
  それを崖から突き落とされ殺された彼女が呪いを込めて
  彼(犯人)宛てに流したものが渡りわたって
  彼女自身を呼び出し悲劇を生み出していたのだった。。。


・ 恐怖とその他の比率8:2とか思ってたけど、
  展開を知った上で恐怖慣れしてくると
  久保田さんの「ただ怖くはしない」の説明通り、
  結構笑いと癒やしも織り交ぜていたように思えた。

  特に各編の始まりは必ず喫茶店から展開し、
  三田寺さん+ヤマケンさんの癒やしキャラが
  絡んできてたし。

・ トークショーで沖野さんが言ってたけど、
  芝居の流れで自分メインのパートじゃない時の行動は
  アドリブで色々やっていた、との事。

  以前もヤマケンさん竹石さんそれぞれが
  色々久保田さんのメイン脚本の範疇外で
  「観客を楽しませる工夫」を試していた、
  という話を聞いたけどやっぱり
  その脚本任せでなく「どこまでもお客様を楽しませよう」と
  更に上を目指すスピリットはとても重要だなあ、と思った。

・ トークショーで三田寺さんのトーク時以外の挙動を観ていて
  お芝居含め「天然キャラ」なのか、
  と何か納得した。
  今度発売するDVD第二弾、というのがHな感じでなければ
  ぜひ購入したいなあ、癒やしだなあ( ´ー`)

  あと、恒松さんの癒やしボイスな朗読会もぜひ行きたいなあ。


最後に
新耳袋1、2では、怪談ものを取り扱うTV番組やお芝居特有の
トラブルが本当にあったらしいけど、
このまま何事もなく千秋楽を迎えられますように(-人-)

そしたら4も観に行こうっと。
ちょっと待って誰コイツ!こんなヤツ知らない

ちょっと待って誰コイツ!こんなヤツ知らない

ポップンマッシュルームチキン野郎

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2014/03/14 (金) ~ 2014/03/23 (日)公演終了

満足度★★★★

なんともウケを狙った団体名と舞台タイトルですが
ツイッターで盛んに「PMC野郎」の名前を見つけ、
CoRichでも急激な盛り上がりを見せていたのでついつい観劇。

短編集的な事が書いてあったので
「まあコント集だと思うけど、それなりに笑えればいいや」
ぐらいの気持ちだったのですが、メインは笑いを取りつつ
・ 考えさせられる話
・ 泣かせる話
・ 笑わせる話
・ シュールすぎて置いてかれちゃう話
など、ほんとショートストーリー多数ありすぎて
かつ、内容もそれなりに濃かったりして
ちゃんと記憶しきれたかどうかすら
分からないぐらいにボリューミー。

思い出して「観劇後に読んだ方がいいよ」とあったパンフ
見てみたら各短編名があったので把握し直せて
思いだせて良かった良かった。

あと脚本の方が
「たった1つでも、あなたの心の中に生き続けるものがあれば」
と書いてるけど、そういう意味では半分以上はドストライクだったと思う。

こういう短編集だと1本ハズレがあったとしても
全然気にせず次の1本行こう!って気になれるのも、
お芝居を気楽に楽しめて「いいね!」ボタンを押したい所。

ネタバレBOX

各短編を想い出す為にもパンフにあった各短編名を並べちゃいます。

●客入れパフォーマンス『星になったガガ』
●幕間『振り向くな。そして君の手で掴み取れ、黄金を』
●第一話『魔法使いの苦しみは彼にしか分からない』
●第二話『私の彼は甲殻類』
●第三話『ふたりは永遠に』
●第四話『触り慣れた手のひら』
●第五話『頭空っぽの方が』
●第六話『悪魔のパンチ』
●最終話『What a Wonderful World』


各話振り返りつつ感想など。




●客入れパフォーマンス『星になったガガ』
開演30分前の開場時から、舞台上で1人の学生が
独り本を読んで勉強してる(言ってる内容はちょっと馬鹿っぽい)。

で、「帰ろ!」と立ち上がると不良達に囲まれ、
貧乏暮らしの中母親が無理して貯めてくれたという
修学旅行資金を奪い取られ途方にくれる学生。

そこにレディ・ガガ様が。。。

ガガ様「諦めちゃだめ!ガガが本公演終了までにあなたの
名前入りマフラーを編んで見せるから!」

で曲に合わせてダンスしながら、マフラー編みながら、
が舞台開始直前「今回(マチネ)はここまで!」って言うまで続く。

イッツ シュール・コメディー   って感じ。


●幕間『振り向くな。そして君の手で掴み取れ、黄金を』
メインストーリー的に各短編間のつなぎとして入る物語。

担任教師「野球部のエースのお前が、なんで万引きなんてしたんだ!」
と怒る教師、そして怒られる生徒。

校長ともう1人の教師(医療系の服着てるのでばけ学教師?)が現れ、
生徒に「おまえの金玉もませてくれ、おまえが入学した時から
我ら3人それだけがずっと夢だった!」と迫りだす。

いきなりの物語転換に訳ワカメだけど、「金玉」連呼に会場爆笑。

で、校長が(次に化学教師が、次に担任教師がそれぞれ)
「俺の知っている話をする、それに感動したら金玉もませてくれ」
と各短編へ入っていく。


このお芝居見てるとタイトル通り、
「ちょっと度を越したパンク or ファンキーな
お馬鹿お芝居野郎どものコメディ」と想像通りの展開だな、
と思いましたが・・・


●第一話『魔法使いの苦しみは彼にしか分からない』
有名整形外科医、どんなブスでも美人に生まれ変わらせる
その技術はさながら魔法のよう。

友人に「おまえの手で整形した女性と結婚した男はさながら
詐欺にあったようなものでは?」と聞かれ、
「知らなければそれは2人だけの物語」
(のような意味合いだったかな?忘れちゃった)のような返事を。


整形外科医の家は元美人の妻とイケメンの息子、という美形揃い、
先の友人の娘について
「エレファントマンと呼ばれるほどのブスで本人も家族も悩んでるらしい」
と話していると、次の場面でイケメン息子が「できちゃった結婚」。

「できちゃった」はどうかと思うが相手の娘も美人なので安心した整形外科医。


そして親族一同が集まる場に、なんと嫁の父親として先の友人が・・・


そう、イケメン息子の嫁は「元エレファントマン」だった。

そして、友人が先に「詐欺」の話をし、
それに対して回答した自分の言葉が浮かぶ・・・


確かにこりゃ葛藤するわ、自分で大量生産してた整形美人が
自分の息子の嫁になった、となりゃ・・・

そして産まれる我が孫。
鳴り響く電話を取ると
整形外科医「どっちだ!」
  「だから、どっちなんだ!」
  「どっち似なんだ!」


~ 終幕 ~


笑いよりまず考えさせられる内容だなあ、と物語の上手さを思いました。


●第二話『私の彼は甲殻類』
(ある女性が)ティッシュ配りのバイトで知り合った女の子の話。
女の子の彼氏は西洋種のロブスターらしい(レッドロブスターではない所を強調)。
彼はお金持ちの息子らしく
自分もいい所のお嬢様と偽って付き合っているらしい。

で、彼氏にティッシュ配りの場面を見つかってしまい、、、
しかしそこで指輪を渡され

~ 終幕 ~


書けなかったけど、1人の女性(実在しない、観客の視点)と
ティッシュ配りを一緒にしてる(ロブスターと付き合ってる)
女の子との会話+顔芸で笑わせるコント。


ただし本作については、彼が甲殻類である必要性と
彼が甲殻類だとどういう苦労があるか、など
「甲殻類」を題材に選んだメリット的なものが
見えなかったので佳作かなあ、と。。。


●第三話『ふたりは永遠に』
まったく姿の同じおじいさん2人(片方は口が悪く、片方はやさしい)。

口の悪い方「わしが死んだらちゃんとわしの代わりに
  妻の面倒を観るんだぞ、ロボじじい」

どうやらおじいさんの片方(本物)は病気で、
もう片方はその代役として作られたロボットらしい。


おばあさん登場、すぐ町内会のハワイ旅行(1ヶ月)へ向かうという。

おばあさん「それでは行ってきますね」
本物じじい「うるせえ、ばばあ。さっさと行け!」

再び戻ってきたおばあさんに
ロボじじい「気をつけていくんだぞ、、、いや、さっさと行け、ばばあ」


そして本物じじいは入院し、ロボじじいが後を引き継ぐ。

旅行から戻ったおばあさんとロボじじい。

おばあさん「・・・なんだかおじいさんが変わったような気がするのだけど」
ロボじじい「・・・うるせえ、ばばあ。気のせいだ、寝る」


そこへ本物じじいの死を(おばあさんに内緒で)ロボじじいに
だけ伝えに来る訪問者(そういう約束が取り交わされていた)。


そして、おばあさんとロボじじいの生活がこれから続くのか
(これだけでも十分優しい話)、と思わせて実は・・・


本物じじいの墓参りをする訪問者
「10年ぶりに会えたかい?
・・・まったくもってほんとどこまでも似たもの夫婦だったよ、あんたらは。
2人そろって全く同じ事考えるんだもんな。」


そう、おばあさんはもう10年も前に他界し、ロボばばあに入れ替わっていた。
そして今度はおじいさんがロボじじいに。


~ 終幕 ~


なんだか口は悪いが本物じじいの優しさと、
その10年も前に入れ替わっていたという本物ばばあ、
そして残されたロボじじいとロボばばあの
「優しさ」のようなモノにちょっと心の琴線に触れられた感じが・・・


●第四話『触り慣れた手のひら』
最近連絡にも出ない弟を心配して会いに来る兄夫婦。

そして兄嫁が買い物に行っている間に、兄から
「何があったんだ?」と尋ねられると
弟「恋人が出来たんだ。・・・でも彼女は死んだんだ。」
兄「そうか・・・」

しかし話はそれでは終わらない、
弟「しかし最近寝るとずっと彼女の手のぬくもりを感じるんだ、
  彼女は生きていたんだ!」

弟が1人ベッドに入るたびに現れる片腕、
それは彼女の幽霊なのか(??)

と思わせて、
1本の電話
弟「彼女のガンは完治した、彼女は死んでいない!」
 「・・・じゃあ、あの片腕は!」

そこへ帰宅する兄嫁
「なんだかこのマンションの駐車場で事故だか事件があったみたいよ、
なんか片腕を切断された女の人の遺体が赤い車の下から見つかったとか」

赤い車は弟の車だった・・・片腕の持ち主は・・・


~ 終幕 ~


こういう怖い話は苦手だなー、まあベッドでの片腕演出とか
温かい方面の話に見せて(片腕の動きが最初やさしい)、
実はホラーとか上手さはあるかと


●第五話『頭空っぽの方が』
妻と息子、「おじいちゃんがボケちゃった」。

でも、とうとう「アレを見つける事が出来た」という。

そして集まってくる親族(?)達。

メンバーの1人に
「ベジータ!アレはあったの!?」と言う所から、
なんと物語はドラゴンボールらしい。


そしてボケたのは孫悟空。


ボケの余りに世界中を破壊しつくし、元気玉を作って
人々の元気を吸い取ったりと悪(悪気はない?)の限りを
つくしているという。


その時、
「オッス、おら悟空!」
「オッス、おら悟空!」
「オッス、おら悟空!」
悟空が目を覚まし暴れ始めた。


それを止めに行くZ戦士達、
なんとか眠らせたが、
1人(一番強そうだった)X-QUEST塩崎さんが戻ってこない。


プーアル「ヤムチャは?」
一同「(黙って首を振る)」

やっぱりヤムチャが一番弱かったのか・・・


そしてチャオズ達も揃い、7つの玉で神龍を呼び出す。


神龍「なんでも1つだけ願いを叶えてやろう」


そして願いを言う悟飯
「お父さんをこ・・・」
「お父さんをころ・・・」

どうしても言えない一言。

ベジータが代わりに
「カカロットをころし・・・」
やっぱり言えない。


そして、
プーアル「ギャルのパンティ、おーくれ!」

空から落ちてくるパンツ。

プーアル「こんなのいるか!(投げ捨てる」


プーアル「悟空がいたから、悟空がいたから、
今のみんながあるんじゃないか!!」


そして
「チチ、腹減ったぞ!」
「チチ、腹減ったぞ!」
再び目を覚ます悟空。

チチ「もう今日5回目でしょ!」


~ 終幕 ~


反則すぎる反則だよなー、ドラゴンボールド直球で使ってくるとか。

でも実際悟空もうおじいちゃんだしありえない事はないんだろうな。。。
でも神龍は自分の力を超える願いは叶えられなかったはず・・・
悟空倒せなかったんじゃなかろうか?

タイトルの『頭空っぽの方が』は、
ボケるぐらいなら何もかも忘れて、って事かな?
あるいはボケてもやっぱり悟空生きてて!って事かな?


●第六話『悪魔のパンチ』
全ての記憶を失い、とある世界へ落とされた烈風(という名の男)。
そしてこの世界では人々がそれぞれの集団に分かれ争っていた。

はじめはジャンケンだったという。
ある集団の者がキック(悪魔のキック、と呼ぶ)を知り、
その集団が勝ち残った。
そして次にある集団の者が投げ技(悪魔の投げ技、と呼ぶ)を知り、
その集団が勝ち残った。

そうやって次々に技を編み出すごとに各集団が敗れ去り、
残ったのは2つの集団だけ。

その片割れ、「悪魔の卑怯」(卑怯な技を使う)を使うたった1人が
集団に襲われている所をパンチで助けた烈風。

そしてそのパンチは「悪魔のパンチ」と呼ばれ、
卑怯の集団のおじいさん「これで我らの闘争も決着を迎える」と。

烈風から「悪魔のパンチ」を教わり、最後の戦いに望む若者(おじいさんの孫)。

そこへ烈風が「みんなの争う心を破壊するパンチ」を放つ。

みんなの闘争心が消えて、そして烈風は次なる世界へ向かう・・・


~ 終幕 ~


「烈風」という名前とか、元ネタがなんかあるのかも
知れないけど分からなかった。

そうするとこのシュールすぎるストーリーもその展開も
まったく理解不能だった。

自分にとってはハズレかなあ、、、
せっかくX-QUEST塩崎さんがめちゃかっこよく
ファイトするシーン用意したんだから
物語の方も少しシュールさから離れて、
起承転結的な完結のさせ方をさせて欲しかったなあ、もったいない。


●最終話『What a Wonderful World』
最愛の妹を失い、生きる目的を見失った若者は、
「宇宙の果てを目指す」というプロジェクトにたった1人参加する。

そして10万年もの眠りの中、宇宙船のメカに起こされるが
そこには最愛の妹の幻影が。

消える妹。

メカに訪ねるも「生命反応は船内に1つです」との事。

そして宇宙の果て(と思われる場所に)辿り着いた時、
船の前後で大爆発が。

若者「これはどういう事だ?」
メカ「たった1つ今の状況を説明できる仮説があります。」
と、かつてのアメリカの科学者の出した仮説、
「宇宙が終わりを迎える時、生と死の関係もあいまいになり
その境目は失われるという」

そして、メカに歌を流してもらい酒を飲み、
失われた境目から現れた妹と2人、
宇宙の終わりを待つ兄。


~ 終幕 ~


ちょっとストーリー的に短い(まあ短編なので当たり前だけど)、
と思えた話。

設定がいい感じ(本物の科学論文?)なので、
もう少し長い物語として作ってほしかったなあ。残念。




そして、再び世界は金玉にぎりの物語へ。
宇宙の終わりの日、アメリカは既に元から何もなかったかのように
消えてしまったという。

そこで出会った元校長と元学生(今は成人して結婚もしている青年)。

元校長「宇宙の終わりか、もう思い残す事もないよ」
青年「・・・ほんとにないんですか?」(金玉に視線を)

そこへ元担任教師と(何故か)自転車化してしまった元化学教師も現れる。

青年「もんでください、俺の金玉を!」

そしてパンツ脱いで半ケツ晒す青年。
(ちょっとイヤン(/ω\)だった、やっぱり馬鹿集団だ)

手で股間を隠しつつ前を向き、元校長と元担任教師、
そして元化学教師(だった自転車)に股間を握らせると・・・




元校長は物語冒頭の勉強していた学生だった、
そしてガガが現れる。

「希望を捨てないで」とかそんな事を言うんだったかな?
そこは忘れちゃったけど

今までのメンバー全員と
レディ・ガガの曲に乗せてダンスを始める。


お芝居といえばダンスパフォーマンスだけど、
X-QUEST塩崎さんのガガダンスがかなりかっこよかった。
? もう1人、PMC内でマッスルボディな人がいたけど
  なんか塩崎さんの筋肉は目立つんだよなあ( ´ー`)


そして終了。


【思った事】
・ 単なる馬鹿コント集を想像してたら色々な方面の短編集だった。
  笑い、泣き、考えさせられる、怖い、シュール、その他。
  なんかお正月の福袋みたいな作品集、って感じなのかな。
  当たりもあればハズレもある。
  ただ、1つでも当たりをひいてもらえたら「制作側は満足!」
  と言った感じの。

・ 役者数から考えて、各短編ごとのメイクその他の早替えがかなり
  上手かった、と思う。
  さっきと同じ人だよな、これ、って思う場面多々あったし。

・ 上でも書いたけど、ラストのガガ様の歌に合わせての全員ダンス、
  X-QUEST塩崎さんのダンスがマッスルで「すごくカッコイイ!」って思えた。
  ぜひX-QUESTのダンス要素にガガ的なものも取り入れて欲しい。

・ 思わぬ形で知った思っても見ないような演劇/パフォーマンス集団だけど、
  かなり面白いんじゃないかな、
  今回は短篇集だったけど、長編もやるらしいので、そっちもぜひ観てみたい。


PS. あと手書きブログが団体名、舞台タイトルなんかと全然合わないんだけど
  あたたかみがあってよかったです。
サ・ビ・タ~雨が運んだ愛~

サ・ビ・タ~雨が運んだ愛~

東宝

青山円形劇場(東京都)

2014/03/20 (木) ~ 2014/04/06 (日)公演終了

満足度★★★

お芝居というよりファン感謝祭イベント(ファン感)
そっか、青山円形劇場のあの円席って
普通の劇場に比べて観客/ファンに一番近い場所と
考えればこういう客いじりの仕方が出来る場だったんだなあ、と。

韓国ですごくウケたミュージカル、との事でしたが
本物もこんな感じなのかな・・・

自分は、、、
「声の演技の上手い声優さんはいったいどういうお芝居が出来るんだろう?」
そういう興味で観に行ったので
終始(?△?)ポカーン状態でした。

他の「ファン」の皆さんは楽しそうでした。

ネタバレBOX

パンフに書いてあったんでした。
「観客参加型のミュージカル」って。

観劇開始そうそう雨の音鳴らしたり色々を観客が手伝う、
そのくらいのものかと思ってたら
演者による過剰なまでの円席最前列の観客いじりが始まります。


それでもなんとか兄と弟役のお芝居(歌、ノイズものってたのか
それほど上手いとは思えませんでしたが…)が続きますが、
戸松さん登場後は(多分観客の半数以上は単なる戸松さんファン?)
その客いじりがどんどん過激化(スフィアのコンサート行った事あるなら、
あの戸松さんのテンションです(盛り上げなきゃ!って頑張りすぎる))


もうお芝居とか演技とかそういうのは「ないんだな」、と
( ゚д゚)ポカーン状態が止まりませんでした。


途中途中に3人それぞれが入れる歌も、
なんだか中途半端な感じ(観客の気持ちを上げていくのか、
下げていきたいのか、どっちへ持って行きたいのかすら
分からないような微妙な歌が多く(韓国原産でしょうか?))

正直、観客を舞台上へあげたりして色々してた事からも、

これは「お芝居」ではなく単なる「ファン感(ファン感謝祭イベント)」

としか思えませんでした。


多分ほとんどの人にとってはそれで満足なんでしょうね。。。
(円形劇場の演者と観客の距離の近さゆえ、
自分の表情には出しませんでしたがはっきりいって
自分は「何を見せられているのかよく分からず」泣きたかったです。)


最後の場面、兄弟でひくピアノのシーンと
そこから始まる3人の歌、そこぐらいですかね、
雰囲気と合っていて良かったな、と思えたのは。


あとは、2年前初演のサ・ビ・タで告白し、
今日のサ・ビ・タで結婚1週年を迎えた方の
お祝いしたりと「リアルいい話」とかは良かったですね。


結局、寿さんといい戸松さんといい、
本気で「芝居にシフト」なんて考えはないのかな…

声優さん系のお芝居の開拓はもういいかな、って本気で思いました。

PS. 自分の席の周りにも完全声優ファンの人がいたんですが、
  開幕前もそんな話ばかりで始まってからも
  平気で携帯(電源切らずに)いじり続けてたり
  手持ち無沙汰に(特に戸松さんが出てくる前)持ち物ガサガサ続けてたり
  とマナーがない客ばかり目立ちました。

  少なくとも「お芝居」のファンではないですよね…

  集客目当てにこういう層狙った舞台は嫌いなんですよね、
  客質も悪いし演者の熱意も微妙な感じがするから

  ※ 戸松さんのやる気は十分あったとは思いますよ、
    ただ「お芝居」というより「ファン」に対しての
    感謝的な気持ちにあふれていた、というか…


戸松さんの本気の「お芝居」が観たかったなあ…(ガクッ
『他人の目』『自分の耳』2つの愛+2つの孤独

『他人の目』『自分の耳』2つの愛+2つの孤独

T-PROJECT

小劇場B1(東京都)

2014/03/13 (木) ~ 2014/03/23 (日)公演終了

満足度★★★

「静」の会話劇は思った以上に難しい劇だと思いますよ
3/13(木)19:00 「他人の目」観賞

はっきり言ってしまって「まあまあ」という評価しかない。
会話劇(それも少人数)は思った以上に
演者の技量が要求されるモノだと思います
(笑いを取るにも泣きを誘うにも)。

小劇場B1改装記念公演に当ててくる以上
それなりにレベルの高い作品で来るものと
思っていたのでちょっと残念でした。

まあ、それとは別にアイドル声優「寿美菜子さん」が
お芝居デビュー(既にデビュー済み?)を果たす、
という事でそっちへの興味が先に立ってしまったのですが…

ネタバレBOX

アイドル声優ユニット「スフィア」の高垣さんは
数年前から舞台活動をしてるとして、
それ以外の3人(戸松さん、寿さん、豊崎さん)、
それぞれがそれぞれ2014年に違う劇団/お芝居に参加する、
舞台デビューを果たす、という事で気になってはいました
(財力が尽きて豊崎さん舞台は取れませんでしたが…)。

ただ、
・ 小劇場B1は初観劇なのですが「小さい箱」かつ
  それ以上に観客との距離が本当に近い接近舞台
  (慣れない人にはそれ自体がハードル)

・ くの字

  │
  │観 舞台
  │客   
  │ 観客
  └────

  という(もう1つの小劇場と同じ)特殊な構成

・ (劇場を見て分かりましたが)会計士のオフィスを主とした
  3人の会話劇、という「静」の舞台

という事で、舞台歴の長いベテラン勢

※ ベテラン勢も声優/脚本家などマルチタレントの集まりだったのですね

はともかく、寿さんはそこに「ちゃんとついていけるのかな?」
という不安はありました。




冒頭、会計事務所に何故か忍び込んでいる探偵
(前の探偵がエレベーターから落ちた為後を引き継いだという)、
そこへ帰り支度をしに来た会計士。


会計士は、若さと美貌にあふれる妻と結婚したのは良かったが、
それから数年、当初は自分から教わるもの全てに感動してくれていた妻が、
今では自分への興味を失っているのが態度に現れ、
「浮気をしているのではないか!?」という疑念に
探偵を雇って調べさせていた、との事でした。

この2人の会話劇が冒頭20分近く続くのですが、
申し訳ない話、探偵役の方の噛み/トチリが多すぎます。
(元々それなりの勢いを持ってしゃべるその口調と
合わさってのものなのでしょうが…これは最後まで続きました。)


そして、観客の方も(自分と同様?)単に寿美菜子さんの
初舞台を観に来た、演劇自体に興味がない、という人達が
多かったのではないでしょうか?

※ 拾うほどではないネタにも過剰に笑い、
  舞台の空気について「妙なテンション」だな、
  と感じていました。


そして、探偵は「奥さんには気になる男性がいる、その方はすごく
紳士的でかっこよく~云々~」のセリフを残して、
妻の登場により追い出され、
次は妻と亭主(会計士)の2人の会話劇です。


最初は旦那に「花を飾ってあげようと思ってきたの!」
などテンション高くふるまう妻ですが、
旦那から「気になる男がいるんだろう」などと問い詰められ、
それを白状する流れに。


この内容が先の探偵が言っていた人物像とはまったく異なり、

もうずばり『さっきの探偵の事じゃん!』

と小さな盛り上がりを見せた時、会場は爆笑の渦になりました。


そしてドアの外に探偵が隠れていた事から、
とうとう3人そろっての修羅場舞台が始まります。

・ 自分が気になっていた人が実は「旦那に雇われた探偵」で
  あった事に怒り、そして悲しむ妻

  ※ この場面、妻は悲しみにソファへ飛び込みますが、
    ソファへ飛び込むまでの寿さんの表情は
    はっきりいって「笑い」入っちゃってました。
    多分お芝居的に感情の切り替えについていけなかったのかなあ、と。。。

・ 自分が雇ったはずの探偵に妻の心を奪われていた事に怒る亭主(会計士)。


そして、場面は探偵と妻の2人舞台に。

・ 妻は元々フィーリングだけで生きる友達達と共に生きてきた。
  そこへなんでも「新しい、自分の知らない事/世界」を
  教えてくれる旦那が現れた。それはとても幸せな事だったが、
  いつの間にか妻自身が教養その他を身につけ、
  旦那との関係が先生と生徒からそうではない関係に
  なってしまったのが今回のすれ違いの原因、と。

・ 探偵の語る「他人の目」(探偵としての自分を外に置いた第三者の目)。

・ 言葉はかわさないまでも、
  妻とそれを追う探偵、
  そして時に逆転し探偵とそれに案内される妻、
  その関係に探偵は今まで欲していたものを手に入れた気分だと言う。

・ 自分は探偵として人を悲しませるような仕事ばかりしていた、
  この仕事もきっともう終わりだろう、
  最後に「他人を幸せにしてみたい」という探偵。

  そして、亭主の事をまだ愛しているのなら、
  自分(探偵)と妻とでこの3週間やってきた事
  「追いかけっこやらなんやら」と同じ事を旦那にやってみるんだ!、と。


という事で、
・ 妻は部屋を飛び出し

・ 旦那(会計士)も秘密のネタから探偵の指図に従わざろうえず
  妻を追う

という形でこの物語は終了します。




(海外ベースと思われる)お話自体はきっと”それなりに”面白いものなのだと
思います。

しかし、

・ 探偵役の噛み、トチリが多すぎる

・ 寿さんが声はともかく、表情その他お芝居に入りきれていない

という事で、一人孤軍奮闘する会計士をよそに
このお芝居は「まあまあ」という感想しか、
自分には抱けませんでした。


※ はっきりいってしまえば、
  いきなり「静」の3人芝居、という難しい舞台に立つよりも
  寿さんにはまず、普通に大人数で物語が動く「動」の芝居に
  立ってもらいたかったかな、と思います。
  (自分はアイドル活動はどうでも良い派なので
  今後の舞台活動に期待したいです。)


※ あとは、3人全員、これが会話劇である、という事をもっと念頭に置いて
  「表情」による芝居に注力すべきではないか?
  と思います。
  動かない分(かつ演者と客席が近い分)、
  観客は3人のその表情の移り変わりから物語の展開を
  感じ取ります。


そういう意味で、
・ 寿さんの舞台デビューに向いた舞台ではない
  ※ 単に朗読劇などやってればそれこそ1000人それ以上でも
    すぐに感動に引き込めたと思いますが、
    あえて「お芝居」を選んだからにはお芝居としての成立が第一だと思います。

・ 小劇場B1の改装記念公演として向いた舞台ではない

と自分は思ってしまいました。


PS. 舞台が終わって前説担当が
  「Tシャツ販売してます、色は紫です!(紫はスフィアでの寿さんカラー)」
  と言った時、会場はめっちゃ湧いてましたが、
  自分は「盛り上がりのない舞台」を観た後でめっちゃテンション下がってたのもあり
  今更アイドル声優売りで盛り返そうとかやめた方がいいんじゃない?
  とちょっと情けない気分でした。


つまんない舞台は書く事ない、といいつつ結構書いたな( ´ー`)
いやあ、寿さんの可愛さはとんでもなく伝わってきましたけどね、
目も合わせられないレベルで。
でも、舞台ってそういうもんじゃないですから。
美より何より演じる事で何かを伝えるもんですからー!
ロストマン ブルース

ロストマン ブルース

GENKI Produce

笹塚ファクトリー(東京都)

2014/03/11 (火) ~ 2014/03/16 (日)公演終了

満足度★★★★

3/16(日)二度見でまったく印象が変わりました
3/12.謎解きパートにもう少し時間が欲しかったかと…

(完全固定の)ライブハウスのセット内にて

「ライブハウスを閉める」という店長と
「このライブハウスは閉めさせない!」と息巻くロッカー、

そして集まってくる色々なものを失ったという人々、
そしてロッカーとその他のメンバー達の(何故か)咬み合わない会話、

波乱の幕開けに「これから一体どう展開しどうしめてくるのだろう」
という期待があったのですが、

(自分が上映時間を2時間40分と聞き違えていたのもあり)
いざ後半戦謎解きが始まったと思ったら
あまり大きく膨らまずにしめに入ってしまった感があります。
(もう少し時間使って謎解きの背景深堀りを
してくれてたら満点だったんですが…)

でもあのオチにはちょっと心が救われた気分です( ´ー`)


3/16(日)夜回

本劇については、初見の際「(物語について)色々といいパーツが
集まりながらも何かその配分/バランスが悪いなあ」
という印象を抱いてしまっていたので、当初☆3つ
(夢にまで出てくる形で翌日までもやもやと気になり、
後半結構細部にこだわり観せてたしなあ、などの点から3.5で☆4つ、
と修正しました)と凡作以上だけど名作まではいかない、
ぐらいに考えていました。

しかし、本日二度見したら、まったくそれらについての印象が変わりました。
(千秋楽終えたのでちょっとネタ出しちゃいますが)
治療→ネタバレ→1点気になる点→オチ
までのバランスについて
(自分が展開を知っているからなのか、1度目でちゃんと把握できなかったのか)
今回そのバランスは非常に良く感じられました。

それぞれのパート、
3:3:2.75:0.25ぐらいのバランスでどこかが不足/間延びしてしまう、
という事なくちゃんと保たれていたかと。

また、(自分は初見時も気になりませんでしたが)
冒頭一部メンバーのぎこちなく見える演技については、
ちゃんとあとの物語につながる伏線であり、
「そういう演技」だと言う事が2度見だからこそ分かりました。
例.ロッカーに対してぎこちなく反応するドラマーが、
  その対応の都度ベースに指示を仰ぐように視線を送っていたり、
  と細かい演技が入っていました。

そういう意味で文句なし☆4つの作品だと思います。
(ちょっと物語自体のスケール的な所、泣かせ所の量的に
☆5つ届かず、って感じですかね。)
とてもいい物語/お芝居だと思いました。

ネタバレBOX

3/12観賞
──────────────────────────────
「このライブハウスはもう閉める、買い手も決まった」という店長と
「このライブハウス”シェリー”は閉めさせない!」と息巻くロッカー、

そしてそのやりとりの間にも

・ バンドメンバー(ベース)

・ バンドメンバー(ドラマー)結婚で婿入りし姓を失った
  +その女房

・ 亭主を失った未亡人

・ 歌を歌えなくなった歌手

・ ビルを失ったビルオーナー

・ 記憶を失った女性

・ 恋人を紹介してくる(ロッカーの)女房

など色々な人達がライブハウス”シェリー”に集まってきます。

※ これはそれぞれ何かを失った人達が
  「それを取り戻す」あるいは何かの区切りをつけていく、
  そういう物語なのかな?と想像しました。


しかし、それぞれのメンバーとロッカーとの会話がなんだか
咬み合わないまま、物語は進んでいきます。

※ これは演出なのか、物語として破綻しているのか、
  ちょっと迷わされました。
  (この部分は上手かったですね。)


しかし、

・ 女房が恋人を紹介、というとても正気でいられないような場面

・ 歌手が昔憧れた人の歌を元に歌を歌ったらブレイクしたという話

などから、いっきに真相が明かされます。




実はライブハウス”シェリー”が閉店したのは22年も昔、
今までのやりとりはその当日の場面をロッカー以外の全員で演じていた、

ロッカーは22年前(※尾崎豊の享年でもあります)、
当時同じやりとりの後、

ロッカー「金ならなんとかする、俺にも知り合いは多いんだ!」

と、ライブハウスのバーテンダーとバンドメンバー(ドラマー)と
一緒に車で出かけた際に
(当初バンドメンバー(ドラマー)の女房として紹介されていた女性)
の母親の車との事故により、バーテンダーとバンドメンバー(ドラマー)は死亡
(冒頭から出ていたドラマーは、ただ顔が似ていた、というまったくの別人)、

そしてロッカーは事故当日以降「1日しか記憶が持たない」という
障害を負ってしまった、という事でした。


そして
・ 1年間のほとんどをボーっと過ごすロッカー

・ 事故当日だけ何故か記憶が戻り、
  既に閉店しているライブハウス”シェリー”を訪る

・ 年を取り老けていく妻(未亡人を名乗っていた)について、
  ある日を境に妻だと認識できなくなった、
  また2人いた娘の1人(恋人を紹介してきた方)を
  同じ時から妻だと思い込むようになった

という事でした。


それに対して、「記憶を失った女性」を名乗っていた医者が、
事故当日にロッカーと同様に色々なものを無くしたメンバーが
集まり繋がっていく中で、何か症状を改善できるのでは、
と始めたのが毎年のこのライブハウス”シェリー”でのやりとりだったという。


結局今年もロッカーの記憶にはなんの変化もなく、
「何がなんだか分からない!」と混乱するだけのロッカー。


しかし、歌手(自分の娘の一人)が歌った歌について
それが「自分の作った歌」だという事を思いだせなかった事で、

実は「事故以外にも記憶を抑えこんでいる何かがあったのでは?」
と医者は考えます
(記憶障害になる前に作った歌なので、それも覚えていて
当然のはずがロッカーはそれを覚えていない為)。


そして、ライブハウス”シェリー”の名前の由来が

・ ロッカーがシェリー酒が好きだった事

・ 当時尾崎が「シェリー」という歌を歌っていて
  それをロッカーがアコースティックで歌った時の感動

から店長が名づけた事、などから

当時尾崎といえばピアノとの弾き語りが多かった、
ライブハウスでは「ピアノなんか嫌いだ!」と言っていたロッカーですが、
女房いわく亭主(ロッカー)はピアノが実は好きだった、

などから、ピアノが好きなのに、自分ではピアノが弾けない、
というもどかしさなどからピアノが上手くマッチするこの曲
((歌手の娘が)ピアノを当てる事でこの曲は大ヒットした)
についての記憶を失ってしまったのでは、と。


そして、ビルオーナー、バンドメンバー(ベース)、
歌手(娘の1人)でかつてロッカーが作った名曲を歌います。


そして「伴奏が足りないな」とケチはつけつつも、
「いい曲だ」と認めるロッカー。


そして、、、


ライブハウス”シェリー”だったはずの店に1人、
「小さな奇跡は起きませんでした」という(元)店長。


場面変わって
事故の日が終わり、また1年自分の事を覚えていない
亭主(ロッカー)との生活が始まる妻、


しかしそこで老けた妻の事を
「何を言ってるんだ?○○」とロッカーが妻の名前で呼びます。


「もしや記憶が戻ったのか!?」と妻は、
「今は何年?」と聞くと「1992年(事故の年)だろ、何言ってるんだ」
と返すロッカー。


全部の記憶は戻らないまでも、たった1つ
妻である事すら忘れられた女房に対して
「本当に小さな奇跡」が起こったのでした。




物語としてはすごく良いと思いました。
ライブハウス1場面のみにしても繁盛していた頃やさびれた後など、
色々な場面を観せてくれた事や

最初の観客をうまく混乱させつつ進むパートから、
ある時いきなり種明かし/謎解きが始まる部分など。

しかし(自分が2時間40分だと間違ってたのも原因なのですが)
謎解き部分がちょっと背景設定薄いかなあ、と感じてしまいました。

※ 自分の作曲した歌についてだけ思い出せない部分など、
  当初「盗作なりしてしまったが為に思い出したくない」
  などの強い設定を想像しまいましたが、ちょっとネタとして弱かったかと。


あと、メンバーで歌を歌ってそれで何か変わるか確かめる、
など、謎解き部分がかなり短くまとめられてしまっていた感があります。
(前半のロッカーの記憶の時代のパートと同じくらい、
謎解きにも時間をかけて丁寧に物語を綴ってもらえたら、
かなり満足できたのですが…)


あとは「ロストマン ブルース」のあらすじにある、
色々なものをなくしてしまった人達、という事で
それぞれがそれぞれに何かを取り戻す/自分なりに決着をつける、
という物語かと思っていたら、

結局はロッカー1人の物語に集約してしまった、という事で
世界観が小さくなってしまったのかなあ、と。


きっともう少しいじって再演したらかなり面白くなるお話だと思います。


3/13.
一晩経って思い返してみると後半のしめへの集約する場面で
演奏その他含め結構凝っていたような気がします。
例えば、「尾崎使うんならもっと使ってかなきゃ!」と思ったけど、
思い出してみると2度も伴奏して尾崎の歌をロッカーから
引き出したり結構ちゃんと使ってたり、と。

本当なら3.5ってとこかな、と思いつつ、☆1つプラスします。
(物語、お芝居としては分からない事だらけの前半から
後半メンバー全員のお話が集約してのオチまで良くできてたとは思うので)


PS. (かなり気になったのでここに書かせていただきます)
  演劇関係のお知り合いなのか知りませんが、
  観客の中でひときわ騒がしい集団がいました。

  演者の噛みにまわりの客の空気を読まず大爆笑を繰り返したり
  舞台がシリアスな場面になるにも関わらず
  金物(キーチェーンか何か)をジャラジャラと鳴り響かせ
  (ガキじゃないんだからそのくらいの迷惑気づけよ、とつっこみたい)

  その他色々観劇の迷惑としかならないような
  「舞台クラッシャー」とでも呼んだ方がよいような集団でした。

  知り合いなら、せめて「観劇マナーを少しは守って」と
  言ったほうがいいと思います。

  顔も見てませんが、はっきりいってこの連中が
  お芝居を行っているとしたら絶対に観に行く事はまずありえませんし、
  はっきりいって「こんな(マナーのない)連中がやってる舞台は観に行くな」と
  周りには警告します。
──────────────────────────────

3/16(日)夜観賞。

普通の感想に全てと言っていいぐらい今の気持ち書いちゃったので、あとは

・ お芝居終了後の楽曲提供バンドの生歌+ロッカー演者さんの
  歌唱が「ロッカー」って感じが出ていて良かった
  (劇中の演奏もやっぱり生演奏だったんですね、すごく良かったです。)

・ 笑いの部分が入りつつ、はっぱりネタバレを知った上で見ると
  22年もの間「事故当日のみ(元の)シェリーを訪れる孤独なロッカー」、
  そしてその毎回に記憶が戻るのでは?と淡い期待を抱きつつ
  当日を演じ続けた仲間たち、家族達  
  (セリフの端々に仲間たちに「お前老けたか?」と言っていた点に
  時間の流れを感じました)
  生き残りはしたものの、「ロッカー」にとっては(人生、家族、そして音楽の)
  「ロストマン」としての悲しい物語だったのかなあ、と感じました。


初見では久保田さん脚本について、自劇団には「鬼」と呼ばれるほどのものを
要求できる人も、他劇団に対しては、物語など追求しきれなかったものがあったのか、
と残念な気持ちがありましたが、2度見したら
やはり物語の序盤から張られまくった伏線とそれを回収していく流れは、
「久保田ワールド」脚本なのだなあ、と納得できました。

PS.今回はかなりGenki Produceのいつものお芝居とは異なる、という話を聞いたので、
  次回は「いつもの」Genki Produceの舞台も観てみたいですね。


【3/17考察】

●どうして初回はバランスを悪く感じてしまったのか?

舞台セット(+立ち位置ほぼ)固定かつ
ロッカーの会話中心の劇で場面の転換が分かりにくかった。


  治療→ネタばらし→ピアノの件→オチ


について、初回ではいつ頃その場面の転換が行われたかが
時間経過的に正しく把握できていなかった
(記憶に残るイメージ的ではずっとロッカーと周りの人々、
という同じ場面/やりとりが続いていたと思えてしまう為)。


2回目は、場面の転換については把握している為、
時間経過のどのタイミングでその場面が変わったか、が良く理解できた。
そして、バランスについて、悪い印象が払拭された。


●演技についてのイメージ
初回、何も知らずに見ると確かに(序盤)つたない演技をしているように見える。

しかし、2回目に見直すとそれらが(ほぼ全て)伏線としての演技であった事に気づく。
そういう意味でもまた、悪い印象が払拭された。




脚本久保田唱さん作品といえば

・ 1回目ではメインストーリー(の構成)に感動

・ (その多すぎる伏線/細部の演技などについては)
  2回目以降で更に驚かされる

・ 物語の見せ方、場面の転換がうまい
  元々舞台上をいくつにも分けて色々な場面を重ねて同時進行させたり
  映像/ダンス/殺陣/笑いと泣きの挿入などで
  その場面の空気も分かりやすく切り替えてくる
  (物語のバランスを把握しやすい)

があって成り立っていると思うのですが、今作については

・ メインストーリー(の構成)自体が1回目で正しく理解されない
  ⇒いつ頃からネタばらし、ピアノの件に移ったかが観客側として
  よく分からなかった為、バランスの悪さ、など悪印象をもってしまう

・ 伏線についても、(これは元々ですが)それが伏線と1回目では理解されない
  ⇒今回は物語の都合上演技での伏線がそのまま演技の拙さと見えてしまう

という事だったのかなあ、と。


多分ですが、やはり本劇は2回目見て初めて
「本当の良さに気づく」
1回目で「脚本/演出意図」などに気づくのが
難しすぎる作品なのではないか
(1回目ではおおよその物語を把握するまでにとどまる為)、

「いい物語なのだが(その本当のバランスにまで気づけない為)、
何かもやもやとした気持ちが残ってしまう」

ものと思いました。
「彼の地」

「彼の地」

北九州芸術劇場

あうるすぽっと(東京都)

2014/03/07 (金) ~ 2014/03/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

北九州/九州演劇界の実力を思い知らされ号泣。゚(PД`q。)゚。
「彼の地」、冒頭に膨大な情報量(演者数など)、
そして少なすぎる説明から来る混乱/混沌に始まり、
それを少しずつ少しずつ段階を踏むように
やさしく観客にその背景/物語を理解させていく。

そして最後にはそれぞれの人間ドラマに涙しつつ
九州小倉の地について、なんだか自分もその地に
いるような感覚にまでさせられてしまう、
とても上手い脚本/演出/構成そして演者さん達のお芝居でした。

(はっきりいって最初パニクった時点では
最後に自分が全て理解して号泣しているなど想像もつきませんでした。)

はっきりいって、上手い!!

※ これから観劇される方は、開演前にパンフレット中の
  脚本/演出担当の方が手書きされた
  「彼の地から見た北九州」チラシだけはぜひとも
  読んでおく事をお勧めします。
  これがあると物語のそれぞれの箇所で
  「ああ、これがあの・・・」と東京者など特に
  九州小倉独自の文化などを理解しやすくなる上、
  「この背景設定は事実に基づくものだったのか」、
  などという妙な感動もありますので。

ネタバレBOX

ボクラ団義大神さんが故郷の九州にて、
本劇団のルールである1ヶ月半に及ぶ北九州へ滞在しての
芝居準備に参加してまで出る舞台、という事で
その熱意に興味が湧き観劇する事にしました。


しかし、当初パンフの北九州芸術劇場の5箇条?
(北九州の劇場/劇団/演者/裏方による、北九州の物語(つまり北九州づくし)など)
などを読んで
「いわゆる北九州復興の為の宣伝/アピール的な位置付けの(中身のない)お芝居なのか?」と
ちょっとマイナスのイメージを持ってしまってもいました。

(もちろんそれは大きすぎる勘違いで、
本当に「素晴らしい!」と言える物語が展開していったのですが。。。)




本物語は20人超えの演者陣による、いくつもの人間ドラマが
複雑に絡み合って構成されています。
その物語/お芝居をうまく流れで説明する事はできないので
(元々普通のお芝居だって上手く説明できませんけどね、文才ないので・・・)
感動に至る大まかな流れの方を書きます。




舞台左右にドカンと配置された建物/高台などのセット、

冒頭その舞台上に20人超の白い衣服の男女が
何組にも分かれて色々な会話をしながら通り過ぎ通り過ぎ、
その真ん中には1人だけ奇妙な衣装
(男性なのにハイヒールやゲイっぽい、という印象を与える奇抜な
ファッション、染めた髪)のみんなからから「中山君」と呼ばれる青年。

挨拶されたり応援されたりそしてキレられたり、
中山くんとその他全員の関係がさっぱり分かりません。

※ この部分が他劇団で言うダンスその他、
  物語の始まりを示す(先制パンチのような)演出なのでしょうか。


そして物語が始まりますが、背景的な説明なしに
いきなりそれぞれの演者がそれぞれの関係のドラマを展開し始め、
またある組み合わせの1人が別の組み合わせにも関係していたり、と

※ 人間関係の相関図を書くとしたらとても複雑な線になるのではないか、
  と思われます。

その情報量と不明点の多さに自分の頭は混乱/混沌としてしまいました。


その中でも、度々登場する「中山君」
(誰の敵にもならなそうな人当たりの良い青年ですが、
実際他人との間にかなり大きな壁を作って
本心は全く語らない、そんな感じの青年です。)

彼が少しずつ少しずつ各組み合わせに関わっていきます。

※ ちなみに物語の舞台は、九州小倉の地です。


そして段々と物語が進むうちに、序盤と異なりやさしくやさしく
それぞれの組み合わせとその関係、背景設定が自然と見えてきます。

※ ただし中山君についてだけは、重要な部分は最後の最後までずっと秘密のままで
  (隠れた?)メインストーリーとして引っ張り続けられます。


そして
※ 色々勘違いあります。パンフレットで物語再確認したかったのですが、
   今回作ってないそうです。残念(´・ω・`)


・ 同じ野良猫にエサをやっていた、その猫が行方不明になってしまい探している、
  という事からつながる九州へ転勤になったばかりの
  サラリーマンとヤクザの奇妙な信頼/友情関係。

  最後の最後、よさこい祭りに参加中のサラリーマンと
  他組織と抗争中でボロボロになったヤクザの2人が、
  猫を思わぬ所で見つけます(猫は赤ちゃんを産んでいました)。

  ヤクザ「おまえ、この猫一家の面倒を見ると約束してくれるか?
     そしたら俺にはもう猫の事連絡しなくていいから。
     そうだ、俺が猫缶買ってくるからお前は様子見ててくれよ。」

  とヤクザは舞台上を去りますがそのまま消えてしまいます。
  (多分、タマを取られてしまったのかと・・・)


・ 父を早くに亡くし、弟はヤクザ(猫の件の)の舎弟になってしまい、
  自分1人でバーを盛り立てて母の面倒をみてきたが、
  バーの客の相手として酒を飲み続け肝臓をやられて
  アルコール中毒がひどくなり、
  脳にまでダメージを負って車いす生活となった兄、

  母や弟が何度も病院ヘ入院させようとするが
  「自分の店を守る」とそれを断り続け、
  病院を逃げ出したりと母/弟に
  逆に迷惑をかけまくるようになってしまう。

  ※ 弟は兄のトラブルの度にかけつけていて、
    ヤクザからしかられ、「もう、この家業から足を洗っちまえ!」と
    破門されます。

  そして母も過労で倒れてしまったりしますが、
  最後の最後には
  母「もうあの子が死ぬ事も諦めた。あんた(弟)だって
  ヤクザでいつ死ぬか分からないものね。」

  と、全てを許した上で、閉店する事になったバーの後片付けを
  母兄弟の三人で始めます。


・ 東京で住んでいた寮が火事になった際に
  友人ともどもレスキューに助けられ、
  そのレスキューの彼と恋仲になり、
  彼が九州小倉の実家のたけのこ屋?を継ぐ為帰省する事になり、
  結婚する為一緒に九州に来た女性と、
  その式に出席する為2日前に九州小倉へやってきた友人女性。


  しかし、女性は九州小倉に来たのはいいが全く馴染めない街その他に
  もうホームシック状態で「結婚をやめて東京へ帰りたい」と友人に打ち明ける。

  そして、ある高台のロープウェイ上にいる占い師「○○の父」
  (ロープウェイ係員のはずが占いで有名になってしまった)に
  相談して結婚をやめて東京へ帰るか決めるという。


  そして相談後更に1人で1日考えてみたいから、
  彼の事を頼むと友人に無理やり彼の相手を頼んで
  出かけるも九州の街をさまよって迷子になってしまう。


  その間、友人は「彼の結婚相手」の代役として
  街の長老(おばあさん)に紹介されたり、
  彼のお母さんと山菜摘みにいったりと
  まるでこっちが嫁のよう。

  ※ 九州小倉へ来てからの彼との会話の噛み合いぶりや
    九州小倉についての豊富な知識、
    そして彼の家族とすぐに打ち解けていく場面などを観ていて
    「最終的に友人と彼が結婚する展開になるのでは?」と妄想しました。


  そしてある高台の上、ついに彼にも
  女性が「結婚を辞めようと思ってここ数日行動していた」事が
  分かってしまい、
  彼「なら結婚など辞めて東京へ帰ればいい!」
  となじられてしまいます。


  しかし、ここで友人が
  「自分が何故こんなにも九州小倉に詳しいか分かる?
  いつかこの地に来ていくつもの観光地を回って、
  彼のたけのこ屋の部屋のたけのこの香りすら慣れてしまうぐらい
  一緒に暮らす事にずっと憧れていたからよ!(つまり彼が好きだった。)

  しかし、彼が選んだのはあなた!
  あなたは九州に何をしに来たの?
  九州小倉の街とちゃんと向かい合おうとしたの?」と諭します。

  そして彼と、そして女性も気持ちを鎮め、
  「もう一度九州小倉でやっていこう」という気持ちになります。


・ 先輩は千葉で結婚生活を送っていたが、妻が内緒で仕事をして
  実家に仕送りしていた事実を知り怒ろうとしたが、
  先に妻に離婚されてしまい九州小倉へ帰られてしまった。

  そして妻は九州小倉でストリッパーをやっていて巡業で千葉へ来た際、
  先輩の同僚にそれを見られてしまった。

  そういった色々な葛藤から先輩は精神を病んでしまい、
  心療内科で薬をもらいつつ妻に会う為九州小倉へ来て、
  昔の後輩の家に泊まり続ける事に。

  後輩の彼女は「はっきりいって迷惑よ!」と言いながらも
  先輩の元妻を追っての行動を心配し、
  後をつけたり病院へ連れて行ったりと世話をします。

  (ストーカー同然で妻につきまとっていた先輩は)
  ヤクザ(猫の件の)に叩きのめされ(ドロップキック)、
  その上で病状が悪化してしまい病院へ運ばれます。

  そして後輩の彼女に諭された事もあり、
  最後に3つだけ質問させてくれ、直接話すときっとまた興奮してしまうので、
  と元妻に手紙で

  1.何故離婚したのか?

  2.何故結婚したのか?

  3.もう戻ってこないのか?

  と質問します。

  「1.何故離婚したのか?」
  自分はこの生活を(今はストリッパー)辞める事は出来ない為。
  そしてそれに苦しむ彼を見たくない為。

  2.は飛ばして、
  「3.もう戻ってこないのか」
  戻らない、ときっぱり言われてしまいます。

  そして、「2.何故結婚したのか?」教えてくれ、と先輩に言われ、
  きっとその生活は出来ない、とは分かっていても
  彼が好きになってしまったから、と。

  (確かそれで納得した彼はよさこい祭りの方に戻ります。)


・ 北九州のバイブレーター機器の工場へ東京から単身就職してきて、
  それから40年、とうとう定年を明日にひかえた父と娘。
  そして出稼ぎでメーカーで研修を受けているベトナム人。

  時代は過去に戻り、東京から単身就職した頃、
  「スーダラ(植木ひとしのスーダラ節から)」「よそ者」などと
  アダ名され同じ工場の誰にも相手にされず、
  それでもいいモノを作りたいと努力していた父。

  そして、いつの日か同じ会社の女性との結婚、
  そして発明にも成功し、みんなからよそ者ではなく仲間として認められて
  今に至る。


  きっと明日の定年祝いではみんなでアーチ(手でアーチを作る)など
  されて見送られるはず、と内心喜んでいたが、
  皆から「明後日よさこい祭りに会社で参加するので、○○さんの送別会も
  その後合わせてやりましょう」とついでのような扱いを受けてしまい、
  がっかりし怒り、ベトナム人に「飲みに行こう」と2人街へ消えていきます。

  そしておでん屋さんで「送別会をちゃんとしてくれなかった事」を愚痴りますが、
  ベトナム人から「自分はそんなものをやってもらった事はない。
  何故ならビザが消えたら次の日にはその会社から消えてきたから」と
  出稼ぎならではの悲しい話を聞き、
  父「送別会ごときで怒っていた自分が恥ずかしい」
  と立ち直ります。

  そしてよさこい祭りの日、定年で退職した会社の連中のよさこいを見る為に
  祭りにベトナム人、娘と参加していると、
  アナウンス「次は○○製作所さんの出番です。えー、今まで40年
  会社の為に頑張ってくれた○○さんの定年を祝って
  このよさこいを捧げます、との事です。」
  との説明を聞き、父は皆の行動の理由を知って涙します。


各人間ドラマがまとまりを見せた頃、
高台の「○○の父」のロープウェイに乗る「中山君」、
○○の父は中山君のお父さんでした。

※ これまでの話で「中山君」のお母さんは精神的に参って自殺してしまった事、
  それから何故か母の好きだったハイヒールなどを履いたらしっくりきて
  更に奇抜な格好をするようになったら人が距離を置いてくれるようになって
  すごく楽になったんだ、という事などが分かっています。


中山君「お父さんの(○○の父としての)話で自殺しようとしていた人を
   助けたってほんと?どうやったの?」
お父さん「とにかく必死でどうやって説得したのかも覚えていない。
   もうあんな想いはしたくないから。」

中山君「お母さんの自殺は僕のせいだと思ってる?」
お父さん「そうじゃない、お母さんは元々出産や子育てに耐えられるだけの
   強い心を持った人じゃなかったんだ。それを自分が分かって支えてあげる
   事が出来なかったから・・・」

中山君「実はこの街を出たいと思ってるんだ。この場所には僕の居場所がない気がするんだ。」
お父さん「そうか。どこへ行ってもお前のいる場所がお前の居場所だ。」

と父と中山君が和解します。


こうして
・ ある人はこの地(彼の地(かのち))で死に
・ ある人はこの地(彼の地(かのち))で死ぬ事を決意し
・ ある人はこの地(彼の地(かのち))で結婚して暮らす事をやっと受け入れ
・ ある人はこの地(彼の地(かのち))から自分の街へ戻り
・ ある人はこの地(彼の地(かのち))で定年を迎え
・ ある人「中山くん」はこの地を離れ、
  自分の居場所「彼の地(かれのち)」を探す
事を決意して物語が終わります。


長々と書いてしまいましたがこんな感じのお話が

・ とても上手い構成で

・ とても泣けるそれぞれの物語として

・ とても凝った舞台で
  (ステージ上の建物/高台が回転式にになっていて
  色々な場面で素早く切り替わっていきます)


「彼の地」九州小倉での出来事として繰り広げられます。


なんと言っていいのか分かりませんが、
「彼の地」に関わった九州小倉その他の人々の人情味に
涙が止まらず、そして「九州小倉っていい街だなあ」と思わされてしまいました。


毎回このレベルのお芝居をやっているのだとしたら
ものすごくいい劇団だな、と思います。
こんな質の高さで北九州をアピールされたら、それこそ北九州まで
舞台観に行きたくなってしまいます。



舞台公演後のアフタートークでのお話でも
いい話いっぱい出たのですが、それはちょっとすぐに思いだせそうにありません。。。
なんか主催および脚本の人ともにとてもいい事言ってたんだけどなあ( ´ー`)

3/9(日)何点か想い出しました。
・ 演者紹介のパンフを見ていて、北九州出身在住、という方以外にも
  九州→東京→また九州や「他の地」で活動されていて
  今回本舞台に応募された方など、本当に色々な方がいるんだなあ、と。

  そしてそれは、劇団主催されている方、劇団に所属されている方、
  フリーとしてやっている方、
  更には(フリーはフリーでも)劇団などには所属した事はなく、
  各ワークショップで技術を磨いて各お芝居に応募している、
  という自分などからするとまた変わった道から入ってきたと思える方、
  など、こちらもまた色々な方がいるんだなあ、と感心させられました。

・ 今後も「彼の地」のように北九州を舞台にして、北九州演劇界と
  北九州自体を活性化させていくようなお芝居をされると思いますが
  その他北九州活性化の為にどんな取り組みをお考えですか?
  と質問したら
  ・ まず、演劇自体として1回本シリーズはお休みします。(残念だなあ)
  ・ 今取り組みとして変わったものでは
    モノレール演劇(モノレール内での演劇?)
    シャッター街になってしまった街、そのお店などを使った
    演劇などを行っています。
  ・ 更に色々と考えているので、ぜひホームページをご覧ください。
  との事でした。

  モノレール演劇は気になるな、いつか舞台を観に北九州芸術劇場を
  本当に訪れる気がしてきた・・・

このページのQRコードです。

拡大