Get a Life(ご来場ありがとうございました!) 公演情報 613「Get a Life(ご来場ありがとうございました!)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    起承転結の起伏で見事な感動劇へ
    日本国民総メンタルケア時代、
    心の病気にかかったりカウンセリング技術に興味もったりという人は多いかと。

    下手にそれらの知識をかじってた自分は起承の段階で
    「心療内科として全然リアルじゃない!
    というかブラック心療内科としてはリアル過ぎ」、
    と脚本/演出/役者さんの演技すべてに
    全く気持ちをのせられませんでした。

    しかし(想像すれば分かる展開でしたが)いざ転じて結ぶ段になると
    物語の王道といえる展開と演者の気迫のこもった演技とに
    涙腺が開き涙を引き出され、それが閉じる間もなく次の涙へとつながり、

    序盤の設定はすべて後半の感動を引き出す為のギャップとしての
    誇張表現的なものだったのかと
    脚本/演出の巧さと役者さんの「いい熱」に
    はっきりいって感心してしまいました。


    最近★5つのオンパレードだけど、
    まあ自分がいいものもらったのは確かなので
    まあいいかと( ´ー`)

    ネタバレBOX

    カウンセリングの基本は
    「無理に聞き出さない」
    「共感する」
    「否定しない」
    「自分の意見を押し付けない」
    相手に相手のリズムでその気持ちを言葉や行動として吐き出させ
    (吐き出さない事もまた相手の意志表示として認め)、
    その中から悩みの解決策を共にさぐっていきましょう、という技術。


    カウンセリングの仕事の忙しさにかまけて、
    何度も自分に悩みの相談をもちかけていた後輩を放置し、
    後輩はとうとう自殺、
    そのトラウマからカウンセリングの仕事を辞めた過去を持つ主人公。

    しかし、再び彼は(元いた)心療内科、カウンセリングの現場に復帰するが・・・

    過去の仕事ぶりはかなり評判が良かったはずの彼ですが、
    舞台が始まってみればこの医局、彼を含め
    「無理やり話を聞き出そうとする」
    「自分の意見をおしつけようとする」
    「患者の感情を見ず、自分の感情ばかり表に出す」
    などダメダメなカウンセラーばかり・・・

    そしてそれを「自分で成長しなさい」とばかりに放置する上司。


    はっきりいってカウンセリング/心療内科に関わり、
    それらについての勉強もしていた頭でっかちの自分からすると、
    「いや、こんなカウンセラーや医局、ダメだから!プロ失格だから!」

    リアリティ0(ブラックとしてなら100%でしょうが)、
    と感じてしまい、

    早い場面転換の中、要所要所で各人良い事を
    言っていたりはするのですが、

    起承の段階ではまったく気持ちをのせられませんでした。

    ※ お芝居自体笑いその他を多く織り交ぜたものではない為、
      それこそまったく感情をゆさぶられず、
      ただ「観る」に徹してしまいました。


    しかし過去のカウンセラー仲間に昔貸した
    自分の学習ノートを返してもらった事をきっかけに
    「カウンセリング」の本質を思い出す主人公。

    そして転じて結ぶ展開にあたり、

    ・ ガン患者の終末医療の中、ストレス解消の為の
      カウンセリングを担当していた主人公は、
      とうとうガン患者の本当の気持ちである、
      「死にたくない!妻を悲しませたくない!」を吐き出させ、
      それに共感しつつもただ事実を本人に認識させる事で、
      ガン患者の抱えていたストレスを発散させ

    ・ 拒食症に悩み足繁く病院に通って来る患者に対して、
      「今の行動をやめましょう!」と意見の押し付けをしてしまい
      患者から「担当医を替えて!」と言われていた女性カウンセラーは、
      主人公のアドバイスから、
      それでも自分の元へ足繁く通う患者の本当の気持ちを捉え一緒に悩み、
      一緒に考えていこうという形で患者の心をつかむ事に成功し

      ※ カウンセラーは本来「相手の事は相手の事」と患者に共感しつつも
        一緒に悩んではいけない、一定の距離を置かなければいけないのですが
        (そうしないと自分もメンタルをやられる為)

    と転結で見事に「真のカウンセリング」に成功します。


    このガン患者が自分の本音を叫ぶ場面、
    それをカウンセリングルームの外で待っていた妻にも聞かれるのですが、

    主人公、ガン患者、ガン患者の妻とそれぞれの演技が急激に熱をおび、
    その上前半からのギャップが見事に効いたのか、
    とても大きなショックを自分は食らってしまいました。

    いっきに涙腺が緩み目は涙に潤んでしまいました。


    そして主人公の悩みが1つ解決したと思ったら、
    次は別の(女性)カウンセラーの悩みも連鎖的に解決していく、

    「何故そのような行動を取るのか、その理由を考えよう」
    という主人公のアドバイスを見事に活かし、

    そして更に患者にもその親が取る行動

    ※ 「毎日親と自分のお弁当を作れ!」と厳命していた

    について、
    「その理由を考え、聞いてみよう」と
    患者の意志を尊重した形でのアドバイスを行い、
    それが受け入れられていく、
    という流れに

    涙が乾く暇がないぐらい気持ちを引っ張られてしまいました。

    そして、
    「かつて放置し自殺してしまった後輩」と同様に
    今回またも放置してしまいかけた恋人に対しても、
    主人公が見事に締めくくります。


    ここまで来ると、序盤全てを否定していた自分が嘘のように
    このお芝居に引き込まれてしまいました。

    序盤のブラック展開は、
    後半の感動を生み出す為のスパイス的な要素として入れられていたのかなあ、
    と。


    今回のお芝居は、出演されている役者さん自身から誘われてのものでしたが、
    思わぬ拾い物をした気分です。

    ひさびさの正統派感動劇を観せてもらったと思います。

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    2014/07/19 21:51

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