みさの観てきた!クチコミ一覧

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風水七味女

風水七味女

タッタタ探検組合

シアターブラッツ(東京都)

2009/08/20 (木) ~ 2009/08/23 (日)公演終了

満足度★★

今回はハズしたなぁ・・。
「タッタタ探検組合」ってネーミングだけでも勢いがあるのに、今回はちょっと違った。前作「超人スリムスリムマン2」が面白かっただけに、すんごく残念。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

毎回、超満員状態で桟敷席が何列も!(@@!)

改めてここの劇団の招待枠の多さを思い知る。応募した全員にとにかく招待券をだしちゃってる様子。そんなだから子供づれが多くて、公演中にも関わらずグズッテ外に出たり入ったり。
明らかに親のエゴですなっ。
3歳位のガキんちょに黙って座って観てろ!っつってもねー、無理だしょ?

まあ、それでも今回はガキんちょが、ぐずろうが泣こうが、でんでん気になりません。だって面白くないんだもの。
更に隣の人が寝てようが、大きなアクビしようが、はぁ~・・なんつって深い溜息付こうが気になりません。だってワタクシも溜息ついてましたもん。

そんでもって大人は大人で携帯メールをチェックしだす有様で・・・、こうなったら公演ではなく祭りに来てるような感覚ですなっ。
そ、そうだ!次回からは綿菓子、リンゴ飴、焼きそば、たこ焼きの出店などいかが?
劇団の副収入になるし一石二鳥です。

そのうち「超人スリムスリムマン3」でもやっちゃってください。
したら、観に行かせて頂きます。


サダオのサダメ

サダオのサダメ

劇団たいしゅう小説家

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2009/08/19 (水) ~ 2009/08/25 (火)公演終了

満足度★★★★

面白いのに空席が目立つ
ってことは、やっぱチケ代が高いんじゃね?なんて思う。

同性愛と友情をテーマにその家族をめぐるコメディー。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

「ディレクション」での曾世海司、元発砲で「ソラオの世界」での平野勲人と萩野崇、岩永洋昭。「SHURABA」での渡邉秀夫、「7 Color Candles」の永岡卓也と揃いも揃って眺めてきました。(^0^)なつかしー。。

同性愛者のサダオ(曾世海司)とブービー(平野勲人)が暮らし始めて約3年。二人の家には毎週開かれてる金曜会という名のもと、気のおけない男たちが集まってくる。すると外からこちらを眺める視線を感じたサダオは不審に思ったが、その正体はかつての同級生ジャイアン(萩野崇)だった。
彼は長く生きられない自分の運命を知って、40歳になったら開けるはずだった6年2組の時に埋めたタイムカプセルを掘り起こしてしまう。
ジャイアンはタイムカプセルの中のサダオの「一生憎む」という手紙を読んで過去の自分の過ちを謝りたい、と考えたのだった。「自分を守ることしか考えない人の痛みの解らない子だったんです。」と。

しかし、当のサダオが書いたその手紙は、両親の離婚でおばあちゃんの家に預けられていた境遇を嘆いての父親へのメッセージだったことが解り、ほっとするジャイアン。

一方でジャイアンの限りある命を知ったブービーは、ジャイアンが密かにサダオを好きなのではないかと思い込み、身を引いて出て行ってしまう。
しかし、出て行っても何かとサダオの身の回りを世話したいブービーは家政婦を装いサダオの留守を見計らって、家事全般をそつなくこなしている。笑

いあいあ、こんなブービーならワタクシが欲しいところです!笑

同性愛と友情をテーマにその家族をめぐるコメディーだったが、ひじょうに楽しめた。キャストの演技力もさることながら、舞台でのアドリブもかまし余裕の力量(^0^)

人と人ってまんざら捨てたもんじゃないかもな。
なんつって、新たな旅路に繋げるストーリー展開もお見事で、イケメンを目の前にして萌えーたのでした!笑


ハンドメード ハートビート

ハンドメード ハートビート

文月堂

阿佐ヶ谷アートスペース・プロット(東京都)

2009/08/21 (金) ~ 2009/08/23 (日)公演終了

満足度★★★

手芸部での人間模様
幼稚園の倉庫を借りて「あいおい手芸部」のバザー出店の為に集まった過激とゆるさを混同させた人情劇。

以下はネタばれBOXにて。。


ネタバレBOX


男勝りの道玄坂しほりが主軸になって「あいおい手芸部」は今日もミシンを踏み込む。しかし、手芸部とは名ばかりで部員たちは勝手にそれぞれやりたい放題だ。しほりだけがバザー出店の為に部員を集中させようと頑張るが、そこは人が集まれば集まるほどそれぞれの感情と雑多な思いが生じる。
恋愛感情、過去の思い、結婚、これからの行方、そんな描写を織り交ぜながらもしほりが考えるような軌道修正にはならない。

何をやっても上手く生きられない篠原は「この手芸部には暇つぶしに来ているだけ」と豪語し急にキレて鋏で部員を襲うシーンもあるが、闇を抱える根っこは弱い。何も主張出来ず、他人と同調する事でしか生きられない性格が自分自身を苦しめる。結果、自主性がないと己を判断する。
要するに自信がないのだ。その鬱積したものが溜まりに溜まって自分の心でせき止めていたダムが溢れ濁流してしまう。

そんな弱い人間の情景と笑いの部分も織り交ぜながら、人は結局薬局、孤独で寂しいものなのだと納得する。それでも篠原が過去の過ちに気づいて人道修正するあたり、小気味良いではないか!(^0^)

それにしても3人の女子部員のミニパーティーは面白かった!


巨人は熟睡中(ご来場ありがとうございましたっ!!)

巨人は熟睡中(ご来場ありがとうございましたっ!!)

贅沢な妥協策

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2009/08/20 (木) ~ 2009/08/23 (日)公演終了

満足度★★★

前半だるだる後半成る程
だからか・・・公演の半分ほど経過すると爆睡してらっしゃる観客がいらして・・・ww

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX


20歳を過ぎた童貞男4人と処女2人が大仏の被り物をしてやってくる。どうやら妖精どころか大仏になったようだ。彼らの後ろには大きな巨人の足だけがある。彼らは被り物を取ってこの巨人が起きないように話し始めるのだが・・・これが実にどーでもいいようなネタで、でんでん笑えない。クスリ!とも出来ない。コメディじゃあないんだろうか?とか考えながらも時間を持て余してしまったワタクシ。
しかしここは我慢ですぞ。ここで退場しちゃって後半がとんでもなく良かったら、後悔するからーーー!なんつって自分に自分で言い聞かせる。つまり、一人芝居!

やがて芝居の後半、なぜ皆はそれぞれがセックス未経験だったのかをカミングアウトする場面から動く。その理由がとんでもなくバカバカしいのだけれど、皆がスーツに着替える為に一度舞台をはけてからの場面展開が面白いのだ。頻尿のゆきおが巨人の足裏に隠れて放尿してるのかと思いきや、それはゆきおではなく、あきの彼氏のトモヒコだったのだ。
要するに大仏を被ってスーツ姿だから、誰が誰なのか解らないんだよね~。

トモヒコが裏に居る事を知らないあきとシンヤは「あき、いつトモヒコと別れるんだよ。」なんてキスをする。あきのフタマタが解る。
しかし、それだけではない。
場面は変わって今度はあきとトシが付き合っている事実も見せる。
要は三股なんだけれど、シンヤとトシはお互いにお互いがあきと付き合ってる事を知らない。
ところが巨人の足の裏に隠れて事実をしってしまったトモヒコはショックを隠せない。しかも役者としての才能が無い。との友人の言葉も聞いてしまう。

トモヒコは皆の前でこれを暴露し、「もうお前らの顔は見たくない。俺は一度に3つも失ったんだ。」と吐く。
つまり彼女と友達と夢の3つという訳だが、この出来事は全て巨人がみている夢の中の出来事で、その巨人がトモヒコ自身なのだった。そして皆はトモヒコの足元に居る小人。

前半の芝居はキツイ。後半でなぞ解けしても、前半の内容が薄かったならやはりそれは芝居として問題があるように思う。前半で飽きてしまった観客は乗れないまま終わってしまう事が多いからだ。
せめて観客を眠らせないほどの公演を打って欲しい。

レストラン ル・デコ

レストラン ル・デコ

角角ストロガのフ×elePHANTMoon×犬と串

ギャラリーLE DECO(東京都)

2009/08/18 (火) ~ 2009/08/23 (日)公演終了

満足度★★★★

狂気の面白さ
角角ストロガのフ「食皮俗」はテンポがよくて楽しめた。どちらかというとホラー。elePHANTMoon「アイノユクエ」は狂気を装った正気の世界。犬と串「ロマンス」は30分という制限の中、カシスと比較するとどうしても物足りなかったが、相変わらずの楽しい世界。

以下はねたばれBOXにて。。


ネタバレBOX


☆角角ストロガのフ「食皮俗」

冒頭、皮を食べるシーンから始まる。馬の皮、魚の皮、大蛇の皮、河馬の皮、男性器の皮。特に動物の包茎の皮は最高の珍味とされ、それに魅了された人たちが行き着くところは人間の包茎の皮を食す「食皮俗」となる。狂気と化した食皮俗となった会社の部下と部長とのやりとりが面白い。舞台上で二つの場面を同時に見せるのもハイテンポで楽しい。

包茎部長と事務員のイシイは付き合っていたが、ある日イシイの出演しているAV「ほうけい天使」を部下たちが見つけてしまう。イシイが包茎好きだと勘違いした狂気な部下たちは次々とイシイを強姦してしまう。それを知った部長はイシイが好きなのは包茎なのか、自分なのかと疑心暗鬼になってしまい、包茎を切ってしまう。そしてイシイに事を話すと、「男の人ってダメね。こんなものがあるから、つまらない事に振り回されるのよ。」と言って、ペニスを食いちぎってしまう。正に「食○俗」
結構、過激!笑



☆犬と串「ロマンス」

どうしてもカシスと比較してしまうが30分では独特の劇団の味が出せなかったように感じる。特に今回の主役はマリリンという女体大根が主役だった為、ちょっと幼稚だった。だからか、大人な女性のワタクシには物足りなかったのだ。小学生でこれを観たらきっと物凄く楽しめたと思う。笑
それでも、マリリンの奪い合いでトンファーを武器にするもの、鮫のDNAを持った戦士、桃太郎侍、ナギナタ女、ジョーカー、死を呼ぶ音色のヴァイオリンなどの登場は相変わらずで面白かった。この劇団はファンタジーな要素が満載なのに、それに反して破壊や不条理を持ち出す世界が好きだ。
あんなに引っ張りだこだったマリリンが、「ちわわに似たさつまいも」の登場であっけなく忘れ去られる終わり方も世の常を意識していて流石。



☆elePHANTMoon「アイノユクエ」

夫と実の妹(加奈子)の情事が原因で水死してしまった子供(俊介)を失ってから狂ってしまった妻。ミルク缶を抱えてあやしながら毎日を過ごす。しかし、妻は狂ってはいなかったのだ。それを知るのは妻が入院する当日、あの日の二人の情事を暴露する。そして、「私はもう子供の生めない体だから、加奈子、貴女が俊介を生んでくれる?貴方たちしかいないでしょ。俊介を生めるのは。」といって加奈子の口に骨を押し込む。
妻は二人の情事を全て知っていて長い間狂人のふりをしていたのだと思う。じわじわと復讐するために。そうして骨を二人に食べさせることでその復讐は完結に近づく。本当に末恐ろしい物語だと感じた。もしこれで二人に子供が生まれたなら、俊介の身代わりを生んだことで、二人の罪の意識はずっと続くのだ。その子は地獄の底から這い出てきたような悪魔の子のように・・。
情事を犯した二人に精神的に圧迫させるという暗の世界。
30分という制限の中、よくぞここまで演出したと思う。秀逸な作品だと改めて思う。ひじょうに素晴らしい。
ちなみに骨はから揚げを食べた後の骨だった。ほんのりと揚げ痕が残っていたから。笑
次回はペットショップで売ってる白い骨を使って欲しい。食べられるし。笑


全体的に楽しめた舞台。

サマーゴーサマー

サマーゴーサマー

あひるなんちゃら

OFF OFFシアター(東京都)

2009/08/19 (水) ~ 2009/08/24 (月)公演終了

満足度★★★

これは好みの問題かと
物語に深い意味はない。ふるい、言い換えればどーでもいいような物語なのだ。
だからこの芝居を観て感動するとか、涙が出るとか、生きる気力を貰ったとか、大爆笑したとか、そういった類ではないのだ。

以下はねたばれBOXにて。。

ネタバレBOX

映画館を経営しているアダチは映画のチケットを売りながら夏休みの宿題をしている。甥っ子の宿題だ。しかし、アダチは中々宿題が終わらない。
「ああ、夏が終わらなければいいのに・・。」そんなアダチの独り言が効いたのか効かなかったのか、それから夏は終わらなくて秋が来ない。

相変わらず寂れた映画館にはこれまたどーでもいいような人たちが休憩しに集まってくる。彼らは暇だから集まってくるが決して映画は観ようとしない。
暇つぶしに集まって来る人たちのどーでもいい日常を描いた作品だが、観たからどーってことないし、観なかったからどーってことない作品だった。

劇中、指で扇風機の廻ってる羽を止めるパフォーマンスがあったけれど、危ないからちっさい頭した大人はマネしないでね。
昏睡

昏睡

青年団若手自主企画 山内・兵藤企画

アトリエ春風舎(東京都)

2009/08/17 (月) ~ 2009/08/26 (水)公演終了

満足度★★★★

エロバカ接合(^0^)
舞台は戦場・文明・退屈・接合・時刻・夢想・遺骨と区切りながらも流れるように繰り広げられていくのだが、なんといっても接合のエロバカさ加減を取り上げたい!笑

だからネタばれには接合しか書かないが、これだけでも観た甲斐があるというもの!吐血するほどサイコーでした!(^0^)

ネタバレBOX

いきなり兵藤公美がお尻のロングスカートをめくって山内健司の前とくっつく。前というのはどうやらペニスらしい。笑
くっついて離れない。キツイ。二人は離そうともがきながら左右に身体を捻るが離れない。キツイ。

「あなた、終わった後はすぐにちっちゃくなっちゃうじゃない。どうして今日に限って。」と女。
「ちっちゃいとはなんだ!君こそゆるゆるなのに」なんて異議を申し立てる男。
そんなやりとりをしながらもいっこうにキツくて離れない。爆

そのうちあまりにも長い時間くっついて離れないものだから、くっつきながら移動したり水を飲んだりするのだけれど、その体制がなんつーか本中華、男と女の形がリアルで大爆笑なのだよ、諸君!(^0^)

ワタクシ、不謹慎にも大爆笑してしまったっ。
しかし、よく考えたら不謹慎なことをしてるのはそっちのほうでワタクシはただただ観てるだけだから、まったく不謹慎じゃあないのだけれど、やっぱ大抵の女性は笑いたいのを堪えながらも心の中では大爆笑しているに違いないのだ。

そのうち男も女もそれぞれに夫と妻がいて不倫の関係だってのが解る。
「いつ奥さんと別れて私と結婚してくれるの?」とキツクくっつきながら質問する女。
「君が離婚したら僕も離婚するよ。」と男。
「いっそのこと今、ここへ二人に来てもらう?そのほうが話が早いし。」と女。
それにキツクくっつきながらもビビル男。


基本腐ってるのかもしれない。笑
ユパ様から
「行こう、、、、直にここも腐海に沈む、、」
と旅立たれるぐらい。

坂本先生から
「生徒達は腐ったミカンなんかじゃありません!!
 、、、腐った人間です!」
と突き離されるぐらい。

ナウシカ「汚れているのは魂なのです、
     綺麗な魂であれば腐海は毒をだしません」



まあ、世の中は奇麗事では済まされないくらいキツくて緩いお話。(笑うしかない)
BLACK COMEDY

BLACK COMEDY

SAME∞LINEプロジェクト

d-倉庫(東京都)

2009/08/19 (水) ~ 2009/08/23 (日)公演終了

満足度★★★

暗闇が明るくて明るいときが暗闇
最初BLACKBLACKのように真っ暗闇の中で芝居をするのかと思ったらそうじゃあなかった。

殆どが明るい舞台での芝居。そうじゃあなきゃつまんないよね。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX


冒頭舞台は暗闇だけれど、真っ暗ではない。
ぼんやりとした薄明かりの中、舞台上の人物は何不自由なく動き回る。
突然照明が入ると同時に舞台上の人物達は暗闇の世界へ。
つまり、舞台上に照明が入ると役者たちは真っ暗の世界になって手探りのお芝居をする。真逆に舞台が暗闇になると、役者たちは明るい設定の下、演技をするという仕組み。

世界中で大ヒットしたピーターシェーファーの傑作喜劇を日本風にアレンジしての上演らしい。
まあ、設定は面白いけれど、それが目を見張るほど愉快か?っていうとそうでもないんだよね。
ドタバタ喜劇っていうほど面白くはない。

強いて言うなら劇中、ミス・ファーニヴァル(川手ふきの)のヅラが落ちるというアクシデントがあった!(^0^)
床に落ちたヅラをどうするのか観ていたら、黒いスリッパで踏んづけながら目立たないようにスリスリしながら退場したんだよね~(失笑!)
その仕草がおもろいの、なんのって!
一番ウケタ場面でした。

物語そのものよりも、案外こういった失態をした時のキャストのさまが面白いのです。
この芝居でこの価格、高いよね。
雨の一瞬前(再演)

雨の一瞬前(再演)

ユニークポイント

ザ・スズナリ(東京都)

2009/08/14 (金) ~ 2009/08/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

時代を生きぬいた光子の物語
舞台セットといい、緑豊かな情景といい、照明、衣装諸々が素晴らしかった。
難点は客入れの際のスタッフの要領の悪さのみ。

以下はねたばれBOXにて。。

ネタバレBOX

昭和30年、光子が経営していた旅館は戦争の影響下、休館となっていた。ここに逃げてきた2人の朝鮮人と彼らをかくまう姉妹は、当初、お互いの人間性に対して疑心暗鬼だったものの、いつしか穏やかな家族のような感情になっていく。この4人が掃除する風景がとても心地良い。

光子がこの旅館の土地を手放さず再開することに拘った理由は、片倉の死体が庭に埋めてあったからなのではないだろうか。
それと同時に光子の心の中にパク・スサンへの想いがあったからなのではないか。とも思う。

一方で一体感、連帯感の醸成を強いられた国民は朝鮮人に対して犯罪者を見るような感情を抱く。だから、渡辺文子先生のとった行動はきっと当時の日本では当たり前な感情なのかもしれない。日本人が朝鮮人に対して抱く感情、朝鮮人が日本人に対して抱く感情を見事に描いた作品だと思う。

「大きな嘘のうつわの中で見えないものを見て聞こえないものを聞かされてる。」といった光子のセリフはずしん!と響く。

パク・スサンが中立の立場にたって通訳を引き受けるが、その際に日本人とチョン・ヨンサンが険悪にならないように上手く言葉を濁す場面があり、その配慮にクスッとした温かい笑いが会場を包んだ。

やがてチョン・ヨンサンは2人の日本人を殺した罪で逮捕され、パク・スサンは朝鮮に渡り一生独身を貫いた。光子と澄子は生涯二人きりで質素に生きた。
時代に翻弄された人達の物語。

ひじょうに素晴らしい作品だと感じた。キャストの自然な演技力はお見事で、まったく隙がない。ワタクシ大満足で拍手喝さいしました。

赤とうがらし帝国【東京公演】

赤とうがらし帝国【東京公演】

劇団鹿殺し

駅前劇場(東京都)

2009/08/12 (水) ~ 2009/08/23 (日)公演終了

満足度★★★★

ライブのノリ
今回も観た丸山厚人。丸山の最近の役柄は東京ギンガ堂からプロレス役にはまってるようで。笑

ちなみに公演中に、1+2+3+4+5+6+7+8+9X0=0なんて計算してたけれど違うよね。答えは36でしょ。0にするには(1+2+・・・・・9)X0にせんと。(苦笑!)

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

覆面レスラー右近と元宝塚女優の娘に生まれた少女タエ。
タエはちっさな頃から「タエの中には沢山の小人が住んどって、その小人に願いをすると願いを叶えてくれるんや。その小人が住む国の名前は赤とうがらし帝国ちゅーてタエはその帝国のお姫様や。」と父に励まされていた。
タエの母はタエを生んで直ぐに亡くなってしまい、父は勝つことが出来ないプロレスラーだったことから、タエは学校で苛められ友達も居なかったからだ。
タエはそんな父の教えに対して「じゃあ、タエは死なんようにお願いする。タエが死んでもうたらお父ちゃんが一人になってしまうやろ。」と。

タエが大きくなるうちに環境はどんどん変化して友達も出来るようになるが父親からの虐待も受けるようになる。タエはグレて血みどろの戦いも交えるが、しかし、タエは死なない。赤とうがらしの効き目なのか?(失笑!)

やがてタエは舞台の主役になりたいと思うようになる。その間、学芸会の脇役やら卓球やらで名を上げ友達の彼氏を奪ってはちゃめちゃぶりを披露するが交通事故にあってしまう。彼女が生死の境で見た自分の体。その体を形作る骨。その一本一本をよく見ると、父親右近をはじめ、彼女が人生で出会ってきた男たちでできていた。そう、この物語は彼らと歩んだタエの人生の旅。

一命を取り留めたタエは気が付くと記憶喪失になっていた。
タエの記憶喪失を利用してタエを好きだった男がタエと結婚し、子供が生まれるが運命に翻弄されながらのタエの人生に、チャンスが訪れる。「ハゲザイル」というユニットで売り出すという。タエはボーカルだった。目指すは東京武道館という夢のような話に家庭を顧みずタエはがむしゃらに働く。そうしていざ東京武道館での公演の日にマネージャーの恨みをかって刺されてしまう。
そんな経緯の中、タエはやっと気付く。子供の傍で生きるのが幸せなのだと・・。彼女が求めつづけた「赤とうがらし帝国」はここにあったのだと・・。

しかし、父親のあとを継いでプロレスラーになったタエの子供は試合の最中に死んでしまう。それでもタエは生き続ける。赤とうがらし帝国の願いは生きているのだ。


勝つってのは自分が人の心に残っていればそれで勝ちや

そんな響きとともにハイテンションなはちゃめちゃぶりで大いに楽しめた舞台。ライブと芝居の融合だと考えて気楽に観るとすんごく楽しめる。運命に翻弄されながら生き抜いた彼女の人生の物語にオリジナルでロックな劇中ライブパフォーマンスが加味し、そのスパイスの効き目は充分だった。

タエの一生の物語を綴った作品でドラマのような怒涛の人生なんだけれど、ドラマだけに面白い。笑
身内の死に対しても悲惨な状況は見せないであくまでもカラッとした描写に収めてる風景も観ていて、やっぱり昼ドラじゃあない!笑

おしゃべり

おしゃべり

Rising Tiptoe

小劇場 楽園(東京都)

2009/08/12 (水) ~ 2009/08/16 (日)公演終了

満足度★★★★

Rising Tiptoe の魅力は言葉にある
今回の芝居は「カフェ」「成沢家のリビング」「コミュニティールーム」「教室」という場面でのおしゃべり。

ものすっごく面白かったのは」「成沢家のリビング」「コミュニティールーム」

ネタバレBOX

「成沢家のリビング」では、教師をしている母親と高校生の娘の会話劇。

母親は娘の1回のテストの偏差値が70だったことを褒めながらも、そんなに頭良く生んでくれた親に感謝しなさいと、言う。
気を良くした娘は大学で経済学を専攻してマスコミ関係の仕事に就きたい、と相談すると、母親は「無理無理無理。女なんて使い捨て。ましてやマスコミなんて完全なる男社会。内定が出てもお茶汲みコピーとりで社内結婚させられるだけよ。バッカじゃない。サラリーマンは仕事が忙しすぎて会社の外でお嫁さん探せないから人事が手ごろなお嫁さん候補に内定出すの。大学で何専攻したかなんて関係ないわ。経済学部なんかに入って御覧なさい。その顔でしかも頭が良い女なんて誰も貰ってくれないわ。どうしても経済志望するんだったら、責任持って卒業するまでに学内で誰か見つけなさいよ。在学中が勝負。卒業したらもう知らない。自分より頭が良い女なんて男にとっては面倒なだけなんだから。」

それを否定するようにマリコは、「それって昭和の話じゃないの?」とちょっとは希望を持ちながら言うが、

母親は「バカね。男は男だって言ってんでしょ。面倒臭がられるだけで済むのはその小鼻の横っちょのが「ニキビ」って言われるうちだけよ。毛穴が詰まって核化し始める頃には自分よりも出来の悪い男が男だってだけで出世して劣等感いっぱいの上司になって、ここぞとばかりにパワハラしだすの。女なんて所詮、職場ではセクハラされるかパワハラされるかモラハラされるかセクハラ・アンド・パワハラ・アンド・モラハラされるかで、プライベートでは独身貫くか結婚するか結婚して離婚するか結婚して離婚して愛人になるか結婚して先立たれるか自分が先に死ぬかで、どう転んだって最後は皆一人で死ぬの。死ぬときにはね、白装束と老人性のイボしか纏えないのよ。」と締めくくる。

そしてマリコは需要と供給のバランスを考えて大学受験はせずにアダルトビデオの女優になる事を決心する。


「コミュニティールーム」では団地に住む4人の女の会話劇。
4人の女は表面上では仲良さそうにしている。団地前の広場に「リサイクル運動市民の会」指定のフリーマーケット会場に反対して自分達の閑静な環境を守ろうと「リサイクル広場反対運動」を開催するのに集まった主婦達だが、入江が来ない。電話をかけても出ない様子に、4人はあっさりと「出かけてるのね。それじゃあ、次回にもちこしましょ。」なんて入江にたいして無関心さを露呈する。その次の日もその次も入江は来ない。それでも4人はコミュニティールームで「入江さん、どうしたのかしら?」と言いながらも、やはり無関心に井戸端会議に花を咲かせる。
やがて入江がバスタブの中で死んで2週間も放置されたままだったことが解る。清掃屋がバスタブの中の入江の死体の様子を語る状況がおどろおどろしい。
「腐って剥がれた皮膚が水面に浮かんで、まるでスープのようだった。(あまりにもホラーなので一部のみ掲載)」などとリアルに説明する。

それにしても・・「貴女方は入江さんと連絡がつかなくてオカシイと思わなかったのですか?心配じゃなかったのですか?」と刑事。

それでも4人は何も変わらなく入江が死んだ様子を語りながら日常を過ごす。



「カフェ」「成沢家のリビング」「コミュニティールーム」「教室」の場面を絶妙に繋げ、表と裏の言葉を使い分け観客を魅了する。
60分弱の公演だったが、あっという間に終わって、ちょっと物足りない感があったものの、セリフのセンスに魅了された舞台でした。
主婦4人を演じた男優の中に、肌の美しい役者がいて化粧がのっていました。じーっと見てるとドキドキしたっ。笑



【明日16日、新宿にて反省会ライブ!】赤ペン瀧川先生のエロメール添削スライドショー!VOL.4 HALF JAPAN TOUR!!

【明日16日、新宿にて反省会ライブ!】赤ペン瀧川先生のエロメール添削スライドショー!VOL.4 HALF JAPAN TOUR!!

エロメールスライダーズ

新宿LOFT/PLUS ONE(東京都)

2009/08/16 (日) ~ 2009/08/16 (日)公演終了

満足度

報告会のみ3時間!
ひじょうにつまらなかった。
報告会だから添削エロメールとは全く違う空気。


以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

福岡から大阪、新宿までのツアー反省会ライブ。
公園で仮眠をとったさまや、移動中の車の中での様子。

何が面白いのか、後の席でぎゃははh--!!とちょっとのことで騒ぐ軽頭の女子。赤ペン瀧川が公園で髪を洗うシーンでもぎゃははh--。

画像を見ながらも、何が面白いのか不思議でした。
ぎゃははh--女子の大きなお口の奥の虫歯に挟まった、鳥のから揚げを見ていたほうが余程面白くて、この残念な子は次は何を食べるのか?なんつって予想しながらも、予想と反して次々に頼むアルコールの数にびびりながら、ワタクシ、途中退席しました。

無駄な時間を過ごしてしまった。
ここに来なければ、芸術劇場でイベントを観られたかと思うとホント悔しいですわ。
マリー・ド・ブランヴィリエ侯爵夫人

マリー・ド・ブランヴィリエ侯爵夫人

DULL-COLORED POP

新宿シアターモリエール(東京都)

2009/08/14 (金) ~ 2009/08/17 (月)公演終了

満足度★★★★

商才もある谷賢一
これだけの観客動員数を集める商才には秘密がある。それはチケットプレゼントに応募した方にはご存知だと思うが。

ただ惜しむらくは役者の立ち居地に配慮がなかった為、ほぼ中央に座らないと観えない箇所があったこと。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

マリーが貧民を労わりぶどう酒を飲ませる場面では、マリーの目の動きがひじょうに気になった。優しい微笑の上で時折見せる視線のぶれ。
その視線の先には空虚な、怪しい光が輝いていた。その視線が気になって、清水那保はどうしてあんなに視線が彷徨うの?なんつって、その演技力に不満だったけれど、終盤になってその視線のゆくえがはっきりしてくると、今度は清水の演技力の緻密さに驚き仰け反った。

要するに、かりそめの優しさ、慈愛の裏にはわざとらしい笑みや自己演出しか意識していないマリーが居て、世の中の何かをさも信じているような素振りで、そのくせ目に見える世界の全てを疑っている。だから、マリーは世の中というものに何も期待していない代わりに、金に執着する。
それでも悪人と呼ばれる大抵の人々はある境界で身内をも殺す行為にまで及ぶと精神を破綻するはずだが、彼女はそんなこともなく淡々と日々を過ごしていた。いつものように怜悧な目をして。

だから、彼女の落ち着き払ったその視線には、およそ何の感情も浮かべていないように見えた。乾いているわけではない。むしろひんやりと濡れている。

いったいこの物語はどんな風に落ち着くのか?そんな先の読めない後半では背筋にぞくりとするものを感じてとにかく見入った。
地の底から湧き出てくるような悪魔的な、それでいて静謐な磁力のあるマリーに対比してマリーの家族の、現実に目を閉じて生きている人間の滑稽さが露見する。はっきりと見えている絶望的な現実を敢えて見ないようにしている。見たいものしか見ない。気付かないふりをする。本当はマリーを疑いながらも、そうやって自分を誤魔化し続けて問題を先送りにしてしまう。そうして奈落の底に落ちる。

やがてマリーの悪行はフランソワーズによってばれてしまうのだが、この少女自身も自分の立ち居地だけは意識しているようで、風見鶏のように大人の隙間を渡り歩いていく。
こうしてマリーは処刑されるのだが、「全ての人が罪を生きているのに、どうして私だけが命を落とさなくちゃいけないのかしら・・。」と、ずけりと言う。

素晴らしい本と演技でした。フランソワーズがマリーとゴオダンに弄られるシーンが役者の立ち居地でまったく観えなかったのが今でもストレス!
酒呑童子

酒呑童子

演劇集団呼華

武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)

2009/08/14 (金) ~ 2009/08/16 (日)公演終了

満足度★★★

ワンマンショーのごとく
オリジナル作品らしいが、主役の酒呑童子だけがやたらと目立った公演。
なんだか、元宝ジェンヌばりばりの風貌で、いあ、実際は宝ジェンヌではないのだけれど、歌を歌い前面に押し出て、「脇は下がってろい!」みたいな声が聞こえてきそうな程で、宝ジェンヌのような動きが目立ちすぎるくらい目立ってました。

以下はネタばれBOXにて。。


ネタバレBOX


とにかくものすっごくベタなお芝居。
いあいあ、ワタクシ、元々ベタで分かりやすいお芝居は好きなんどす。
しかも時代劇さながらの農民と公家、西京村という西京漬けみたいな村名が出てきちゃうんだから、場所は京都でっしゃろ?

でもって・・・あれれ~、ワタクシ、宝塚に来ちゃった?みたいなナリの役者陣。ワタクシが宝塚と勘違いするほどだから、そりゃあ豪華絢爛なお衣装で、観甲斐はひじょうにあります。
でもって、どうみたって主役の貴杏あずまの為の公演だよね?と周りの観客に同意を求めたら、こぞって縦に首を振る民衆。笑

物語は農民の為に働いた慈悲心の強い名主が農民に裏切られ殺されてしまった。その名主の子・宗吾は後に酒呑童子となって復讐の鬼と化し農民や公家に制裁を与える。しかし、酒呑童子は一人の盲目の少女によって、鬼と化した心を解き放たれる。

衣装、演技、物語、どこをとっても卒の無い公演だったけれど、あまりにもベタすぎて古い。主役の目立ちすぎも頂けない。舞台はチームなのだから。


刺青/シセイ【ご来場ありがとうございました!!】

刺青/シセイ【ご来場ありがとうございました!!】

劇団印象派

タイニイアリス(東京都)

2009/08/14 (金) ~ 2009/08/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

エロスと狂気と愛
今回の公演は秀逸です。芸術的にもレベルは高い。
曼荼羅のような香りとアジアンちっくな音楽。インドやタイを思わせるような空気感に圧倒されます。

ものすっごくお勧め!

続きはネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

まず、今回の戯曲を観て感じたことは米山航平は谷崎潤一郎の『刺青』の小説から舞台に不必要な文面をそぎ落とすのが巧みだと言う事だ。
小説を舞台化するとき、その原本をどの位そぎ落として、出来上がった戯曲に今度は何度も批判を繰り返して完成させるのだと思うが、そんなとてつもない時間と労力をかけてもなお、ふつうの感動だけでは納得できない観客に対してアジアンチックなダンスと音楽、そして笑いというスパイスを振りかけて独特の世界観を作り出していたと思う。

オープニングも素晴らしかったし、実際にお香を焚いていたのだろうか?
いい香りがしていた。

物語はSの失踪の謎に包まれながら、その恋人・華澄美の異常で絶対な愛の下に、次々と解明されていくが、一方で、Sの育った環境や孤児となって未亡人に引き取られた経緯、その未亡人には異常な性癖があり、Sがその対象となっていた事実を表現する。
暗く陰険になりがちな物語だが舞台は随所に笑いのソースがふんだんに仕込まれており、とにかく楽しかったのだった。

華澄美のSに対する愛は絶対だけれど、その愛は自己中心的で傲慢で時に冷酷ゆえにSに近づいた女を次々と殺してしまう。
まるで全世界を敵にまわして一人で戦おうとしている戦士のように。
やがて華澄美は自分の目にも刺青して盲目となってしまう。「この行為こそが貴方に対する絶対の愛の証」と言って。

そうしてSは失踪した。華澄美の絶対の愛に、歪んだ愛に、見えない鎖に繋がれた自分自身に怯えたのだ。

絶対の愛は美しい、けれどそれは破滅に向かう。

-改訂版-汚れなき悪戯

-改訂版-汚れなき悪戯

劇団桟敷童子

西新宿成子坂劇場(東京都)

2009/08/12 (水) ~ 2009/08/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

1955年スペイン映画を題材に
「汚れなき悪戯」という映画をご存知だろうか?世界名作映画シリーズで観た事があるような記憶はあったが、今回の芝居を観てふと「観たな・・。」と記憶を甦らせる。
物語は殆ど覚えていないけれど、導入音楽やときどきの色あせた情景を覚えていて、懐かしくも切ない感情が溢れてきたからだ。

以下はネタばれBOXにて。。


ネタバレBOX

相変わらずオープニングが素晴らしい。
マルセリーノの歌と共に郷愁を感じさせるような音楽。
その音楽だけで、二次元の世界を彷徨う孤独な異邦人が、丘陵から眺める土色の風景や湿った銅のような臭いを嗅ぐさまや、赤茶けて錆びた鉄橋を見つめる情景を思ってしまう。

映画での孤児マルセリーノは孤独だったが空想の世界での友達・マヌエルを作り彼と空想の世界でおしゃべりをすることで、マルセリーノの毎日はとても楽しくなった。そんなある日、屋根裏でマルセリーノはキリスト像の大男を見つける。彼の元に通ってるうちにマルセリーノは友情を感じるようになり、その少年の感情を読み取った大男は少年に願い事を尋ねた。マルセリーノは考えて「天国のお母さんに会いたい。」と答えたところ、十字架の大男はその願いを叶えてマルセリーノを永遠の眠りにつかせた、という筋。

今回の芝居は、子供たちが10円玉をレールの上に置いて列車に轢かせて、ぺちゃんこにし、それを磨いてピカピカになった銅で、映画の中のマルセリーノが願いを懸けた大男を作ろうという遊びから始まったちょっとした悪戯だった。その大男をマルセリーノと呼んで制作に取り組む日々だったが、ある日、山崎は丸尾が欲しがっていた山崎のブリキの水上飛行機と引き換えに、大きなボルトをレールの上に置いて車輪にはじき返されないように見張るように丸尾に命じる。丸尾が乗せたボルトによって大きな列車事故に繋がってしまう。二人は考えもしなかった大事故に後悔と共に苦悩し、丸尾はボルトを探しながら次の日、ひまわり畑で死体となって発見される。

そんな20年前の少年時代の「汚れなき悪戯」を山崎と丸尾が死んだ今でも、その思いを引き取ってマルセリーノの制作を続けていた重田を軸に世代を超えて旧弾薬庫で起こった物語。

重田が狂気じみてもマルセリーノに拘る理由や二つのマルセリーノの謎が解かれていくうちにひじょうに良く練られた脚本だと感服します。初代マルセリーノとブリキの水上飛行機に似せた翼のマルセリーノ。
更に物語に美しく寄り添うように吐かれるセリフの数々。その魅惑的なセリフによって観客に想像力を働かせるように呼び水をたっぷり与えながら、舞台セットでも魅せる。

弾薬庫の裏山での爆発事故によって引き起こされた人身事故。
爆発と共に大きな穴から10メートルの光の爆風が出たかと思うと、サーッと引っ込むさまは、竜の舌のような情景を多い浮かばせ、重田の狂気と重なり合い、山崎が空想と妄想の世界でしか生きられなかったように、重田もまた現実の世界で生きられない心の闇を持つ。その闇とは「汚れなき悪戯」だったはずなのに人の死によって、思わぬ大きな悪戯になってしまったかつての少年たちの心の動揺だった。

手塚治虫の「火の鳥」という漫画があったよね?
永遠の命を求める人間の悲しさと愚かさを描いた作品だった。
あの中に年老いて死の床に伏しながらもなお、最後の望みを託して不死の薬・・・火の鳥を捕らえさせようとした王さまの話があったけれど、今回の物語も永遠の遊びと願いを求める人間の悲しさと愚かさがあり、そこに狂気や傲慢さや冷酷さ、人間味、笑いが加味し、独特の桟敷童子の世界観が広がっていた。

芝居を観終わった後に感じる、みぞおちに苦味が張り付いてるような感覚。
テーマを不意に目の前に突きつけられて、しかし、そのテーマは懐かしさの甘みに包み込まれて目の前に出されます。

そう、トロッコから差し出された白い手のひらに乗った飴玉のように・・。

リチャード・イーター

リチャード・イーター

劇団銀石

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2009/08/12 (水) ~ 2009/08/16 (日)公演終了

満足度★★★

現代版のシェイクスピア
リチャード・イーターのテーマは残して現代風にかなり書き換えてる。演出家はあれもこれも言いたいのだろうけれど、2時間30分はちょっと長すぎる感が・・・。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX


母親の愛情を受けずに育ったリチャードは、愛を知らずに心身ともに歪んだ人間として成長する。世界の全てを憎んだリチャードは権力を手に入れる為に王国を支配する事に己の人生を捧げる。その間、リチャードの賛同者を得て二人の実兄を次々と殺しついに王冠を手に入れるのだが、天下は長く続かなかった。
バッキンガム宮殿が反旗を翻し、敵に討ち取られリチャードは死んでしまう。

愛を知らない孤独なリチャードの半生は信長に似ている。
母を慕いながらもその母からは愛を貰えなかったリチャードと信長。
天下を取るために実の兄弟を殺したリチャードと信長。
そうして、かつて殺した人たちの亡霊をみて良心の呵責にさいなまれるリチャードと信長。
こう考えると信長はリチャード・イーターの日本版と言ってもいいかもしれない。

現代版のシェイクスピア、リチャード・イーターは一人のリチャードに二人の悪魔が巣くっているさまや、リチャードの良心をもう一人のキャストに演じさせるなどして黒と白のカラーで対比させながら舞台を魅せる。
時の娘と母親を混同させアン皇女が居たからこそ、リチャードは生きている実感があったのだと考えると、リチャードを哀れに思う。

今回の演出は前作ほど絶叫系ではなかったものの相変わらずのハイテンションで独特のテンポがあり、面白い。しかしその奇抜さが万人に受けるかどうかは微妙だが、公演時間をもうちょと濃縮して短くして欲しかった。

今回の衣装が普段着っぽいのと衣装に付いてた花の色にセンスがない(失笑!)
"Are You Experienced?"

"Are You Experienced?"

CASTAYA PROJECT

こまばアゴラ劇場(東京都)

2009/08/10 (月) ~ 2009/08/25 (火)公演終了

満足度

はっきり書きます!
つまらない。

面白かったのは冒頭の字幕のみ。
後は期待はずれ。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

冒頭の字幕はハイテンションな音楽とともに、「ネタばれは自由に書いてください。そのかわりこっちの態度も自由です。全演目公演の内容が違う、なんていわれていますが嘘です。それと同時に演劇も自由です。」なんちゃってお茶目な字幕にワクワクドキドキだったわさ。笑

しかし、いざ本編が始まると、一人の女性がじっと佇む事数分。この時点で観客は我慢大会みたいな空気感が漂う。
じーっと・・・じーっと・・・じーっと・・・・、眠くなる。(苦笑!)

そのうち数人が合流してパントマイムみたいなナリでセリフは発せず、座ったり立ったりの繰り返しでコミュニケーションらしき風景だけれど、何だコレ。(@@!)

そうこうしているいちに音楽と共にダンスを踊りだす。観客はクラブの片隅でへたくそな踊りを見ているかのような錯覚に陥る。ついでにワタクシの気分も陥る。だから、観客の表情を見ていたほうが余程面白く、寝ている観客。つまらなそうに唖然としている観客。やれやれ状態の観客。これらが一つになって一種の小康状態!(失笑!)

要するに私感としては演劇ではなくパフォーマンス。
つまりはワタクシの好みとかけ離れちゃって、こっちの感情はずんずん向こう岸に遠のいて、意識は遠いところから中央のパフォーマンスを眺めるような状況になってしまう。
顔が遠ざかり身体が遠ざかり、中央のダンスが遠ざかり、観客全体が遠ざかり、アゴラ劇場が遠ざかり、駒場東大前駅と樹林が遠ざかっていく。そのスピードはより速く、より加速していくようで、空の上から見下ろす風景は空虚だった。

六月燈の三姉妹

六月燈の三姉妹

パディハウス

赤坂RED/THEATER(東京都)

2009/08/05 (水) ~ 2009/08/11 (火)公演終了

満足度★★★★

誠実で仲のよい関係なら○
鹿児島で家族経営している和菓子店「つるの屋」が舞台。
父母は離婚、しているが同じ家で暮らす。長女と三女は出もどり、次女・ナミは離婚調停中という家族が結婚という形にとらわれない新たな愛の形を見出していくお話です。

以下はネタばれBOXにて。。



ネタバレBOX


鹿児島へ帰ってしまったナミを追ってナミの実家「つるの屋」に訪れた夫・平川のシーンから舞台は始まる。
不器用で優しくて誠実だけが取り柄の妻と歳が離れた夫は、ナミとよりを戻したいがために、説得に来たのだが、上手く言い出せない。とにかく不器用な仕草というか、癖というか、行動がすんごく面白い。
ナミはナミでそんな夫と離婚する原因は、表向きには姑との折り合いにあったが、実のところはナミに好きな男が出来たのだった。

「つるの屋」の母の元夫との間にできた子供が長女と次女、現在離婚しているが同居中の夫との間に出来た子が三女という家族構成だが、離婚しているけれども父母は案外仲良く「つるの屋」を回してる。
他人だけれど家族を営んでる、という感じの家族。

三女の不倫問題や、ナミの離婚の危機に家族がそれぞれの持ち味で力になるという家族以上の家族の信頼関係や絆が伺える。

一方で平川は妻のナミに一緒に東京に帰ってくれと、最後の説得をしながら、実母には一人で住んでもらうようにするから、との条件を約束する。その言葉を聞いたナミは「お義母さんの問題だけじゃないの。私、出版社の人を好きになってしまったの、キスもしたの。」と告白してしまう。
それを聞いた平川は、落胆するも「それならそれでいい。だけれど戻ってきて欲しい。僕はナミじゃなきゃ駄目なんだ!」と悲痛にも哀願する。

それを聞いたナミの心はぶれて元の鞘に納まりそうな余韻を残しながら舞台は収束してしまうが、コメディ満載の人情喜劇で、ちょっぴりホロリとさせられる場面もあり、素晴らしい舞台でした。

形だけの家族でも家族といえない家族はいっぱいあるから、これから先の世界はもっともっと色んな形の家族があってもいいと思う。どんな形でも誠実な関係ならいいよね。(^^)


玉響(たまゆら)に… <能「班女」を原作として>

玉響(たまゆら)に… <能「班女」を原作として>

香瑠鼓

恵比寿・エコー劇場(東京都)

2009/08/06 (木) ~ 2009/08/09 (日)公演終了

満足度★★★

能「班女」を題材に
今回の「玉響に・・・」は有名すぎるお能の「班女」を題材として描いた作品だったからひじょうに興味はあった。「班女」は源氏物語の夕顔の恋と同じような純粋さがあって元々好きなネタだ。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

今回の芝居・第一部「玉響に・・」は現代能といっていいと思う。

宿の遊女・花子は、ある時宿に泊まった吉田少将と契りを交わし、その折に取り 交わした形見の扇ばかり眺め入り、他の座敷へは一向に出ようとしない。遊女として働かない花子を宿の女主は追い出してしまう。 東国からの帰りに宿に立ち寄った少将は花子の不在を知り、戻ったならば都へ来るよう伝言し、都へ戻って下賀茂 神社に参詣にいく。そこへ班女と呼ばれる物狂いがやって来るが、それは少将への恋慕がつのり狂女となった花子 だった。
花子は契りを交わしたはずなのに少将に扇と共に捨てられたと思い込み、その悲しさと少将のつれなさを恨み狂おしく舞う。扇に気付いた少将は自分の扇を出してお互いを確かめあい、 再会を喜んでもとの契りを結ぶ。 という筋だがこれを現代的なダンスと能を融合させた舞台だった。
衣装共々幽玄な情景も加味して美しいさまだった。
他の小劇団の芝居でも「班女」を現代的に書き換えて上演している芝居を何本か観ているが、「班女」や「源氏物語」は題材としては神秘的な恋物語になるのだと思う。

第二部
日本舞踊X現代舞踊のコラボは意外にマッチして面白かった。どちらかというと緩やかな日本舞踊とヒップホップダンスは融合するのは難しいのでは?なんて素人目には感じたが、二つの二面性は合わさるとポップでコミカルな楽しさが露出してコメディ的な要素もあった。古賀の歌の上手さには脱帽。

第三部
即興ライブ
これはちょっとぐずぐずな面があってワタクシには合わなかった。
芝居やダンスを観に行く時、舞台は完成されたものでなくてはいけない。みたいな私的な要求があって、だからこそ、「即興とは」という題材を投げかけられていわば役者が教室でご教示されてるような風景は好みに合わなかったのだった。

総合的には第二部までなら☆4つ、第三部までなら☆3つといったところ。


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