雨の一瞬前(再演) 公演情報 ユニークポイント「雨の一瞬前(再演)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    時代を生きぬいた光子の物語
    舞台セットといい、緑豊かな情景といい、照明、衣装諸々が素晴らしかった。
    難点は客入れの際のスタッフの要領の悪さのみ。

    以下はねたばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    昭和30年、光子が経営していた旅館は戦争の影響下、休館となっていた。ここに逃げてきた2人の朝鮮人と彼らをかくまう姉妹は、当初、お互いの人間性に対して疑心暗鬼だったものの、いつしか穏やかな家族のような感情になっていく。この4人が掃除する風景がとても心地良い。

    光子がこの旅館の土地を手放さず再開することに拘った理由は、片倉の死体が庭に埋めてあったからなのではないだろうか。
    それと同時に光子の心の中にパク・スサンへの想いがあったからなのではないか。とも思う。

    一方で一体感、連帯感の醸成を強いられた国民は朝鮮人に対して犯罪者を見るような感情を抱く。だから、渡辺文子先生のとった行動はきっと当時の日本では当たり前な感情なのかもしれない。日本人が朝鮮人に対して抱く感情、朝鮮人が日本人に対して抱く感情を見事に描いた作品だと思う。

    「大きな嘘のうつわの中で見えないものを見て聞こえないものを聞かされてる。」といった光子のセリフはずしん!と響く。

    パク・スサンが中立の立場にたって通訳を引き受けるが、その際に日本人とチョン・ヨンサンが険悪にならないように上手く言葉を濁す場面があり、その配慮にクスッとした温かい笑いが会場を包んだ。

    やがてチョン・ヨンサンは2人の日本人を殺した罪で逮捕され、パク・スサンは朝鮮に渡り一生独身を貫いた。光子と澄子は生涯二人きりで質素に生きた。
    時代に翻弄された人達の物語。

    ひじょうに素晴らしい作品だと感じた。キャストの自然な演技力はお見事で、まったく隙がない。ワタクシ大満足で拍手喝さいしました。

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    2009/08/18 20:08

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