満足度★★★★★
優秀でかつ、ぶれのない演技!
演技といいストーリーといい優秀な作品でした。特攻ものというのはいつ観ても涙せずには観られない。今回もそういった意味で観客を裏切らなかった。ついつい重くなりがちなテーマだけれど、コメディ部分も織り込みながら、笑いあり涙あり、感動ありの素敵な舞台でした。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
説明にもあるように舞台はオヤジ狩りのシーンから。
瀕死の状態での老人は薄れ行く意識の中で見た回想を主軸に物語は始まる。
物語のほとんどが特攻隊に志願した若者たちと飛行機の整備士、中尉や伍長の特攻隊員への関わり方、行く末を案じる家族や恋人の人間関係を描く。
国全体が理性を失い全ての国民が同じ方向を向いてた時代にも、彼ら特攻隊の中にも「自分の大切な人の為に命を捨てることは無意味な事ではない。」と考える派と、「あまりにも飛行機が古すぎる。これでは敵陣まで持たない。死にに行くようなものだ。」と考える派の意見がぶつかり合う。
それでもお国の命令なら出陣するほかないのだ。
そんな特攻隊員にも彼らの身の回りの御世話する女学生3人がやってくる。彼女らと特攻隊員の中で淡い恋心が芽生えるという関係の描写がいい。
これから死んでいく彼らにとっては束の間の癒しだ。それでも別れの時には「心をこの世に残したくはない。自分自身の為に生きて欲しい。自分は君の為に死ぬ。君の未来のために戦いに行く。それが自分の大儀だ。」と話す。
彼らが出陣する前夜には宴会が催され家族や伍長、整備班、少尉、中尉らも合流する。そこでは皆が明るく振る舞いながらも明日という日がやってこない特攻隊らを思いやりながらも、それぞれが言葉に出来ない、してはいけない心の内を表情で演技する。実に悲しい場面だ。特に自分の一人息子を戦地に行かせる父親の演技が物悲しい。女学生らは「歌うローレライ」を。その後全員で「同期の桜」を歌う。
そうして飛ぶ当日、彼らは「靖国神社の3本目の桜の下で逢おう。約束を忘れるなー。」を合言葉に飛び立つ。その時、特攻隊員の川崎の飛行機は整備不良の為に飛べなかったのだった。「どうか自分たちを忘れないでください。」と言っていた仲間たちを思うとき、川崎は63年もの間、悔悟の中にいた。しかし今、果たせなかった「約束」を果たそうとしている。
こうして老人は暗い夜空に浮かんだ3本目の桜の下で、やっと仲間たちに逢えたのだ。川崎の魂が特攻隊員となって仲間の元に行く。元仲間たちは直立不動の姿勢で川崎を迎える。そうして川崎の抜け殻には桜貝のような花びらがはらはらと舞い落ちるのだった。この場面の情景が美しい。絵画のように優美だ。だからこそ、冒頭の常軌を逸した若者の行動と、ひとりの老人の生きざまの対比が生きるのだと思う。
とても素敵な舞台でした。導入歌もジーンときたし、照明もさながらキャストの演技力は秀逸で泣きながら観たのでした。。
満足度★★★
白鳥麗子でございます!の世界
かつては富豪だった蓮如家の女4人を描いた作品。ご令嬢たちは、非常に高飛車で思い込みが激しい性格らしい。笑
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
だいたい蓮如という名字からして庶民じゃあないわけよね。そんでもって4人の高貴な女たちの名前だってアニメキャラ!(笑)
女たちは純情可憐でか弱かったり、そうかと思えば健気で傲慢な乙女であったりする。特に二女は「白鳥麗子でございます!」のようなキャラ被りまくりで口癖は、「おーっほっほっほ」と笑う。(苦笑!)高飛車な性格とプライドが富士山よりも高い反面、けっして理想は高くない。
蓮如家ではO型の血を受け継ぐ、という訳の解らない思想のもと、三女たちは他の濁った血の男性を排除していく。笑
そんな折、長女が政治家活動を始めるが、その目的は政治家と結婚したいがための婚活だったというオチ。
ここでは鈴木花子という専属メイドを従えているが、「白鳥麗子でございます!」はうずまきというメイドを従えていた。笑
公演時間1時間弱。楽しめたけれどちょっと物足りない感はあったかなー。。
オムニバス5編ではなく、ストーリー立てても良かった気がする。一つの物語としてならもっと充実した内容になったと思うんだよね。
満足度★★★★
た、た、楽しい!(^0^)
31日はハロウィンということもあって「出演者から観客にお菓子が手渡される。」なんて情報が飛び交った為か、満席状態。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
ああ、今年のハロウィンも一人かぁ・・、なんてさっびしい思いもつかの間、*pnish*に出演する永山たかしのファンだという彼女と一緒に観劇。まあ、この際女でもいいわけよね、一人じゃなければ!笑
*pnish*ユニットのメンバー佐野大樹・森山栄治・鷲尾昇・土屋裕一の存在感は流石!そんでもって仮面劇団座長役の小手伸也と同劇団主宰役の森山との絡みが最高!とにかくゆるくて楽しい!かつて小劇団だった頃の笑ネタも盛り込みワタクシ、ハマル!笑
物語は祠に閉じ込めたニガンダという魔物が復活してしまい、城主に乗り移り国を滅ぼそうと企む。全てはニガンダ一族の新たなる繁栄の為に闇の世界を復活させる目的があったのだった。これを食い止めようともがく城主の弟・シヴァらが奮闘する。この戦いに巻き込まれてしまった仮面劇団が一手に笑いを担当する。「演劇の99%は愛で出来てる。残りの1%はお前が探すんだ、舞台でなっ。」とか「自分たちは相手が権力者だと知っても態度を翻したりしない。」と言って土下座したりとか、演技の小細工がベタだけれども、何故かオカシイ。(^0^)
最後はめでたしめでたしで終わるのだが、きちんとハロウィンの手渡しもあって、実に楽しい一日でした。芝居とは関係ないけれど、街のあちこちで演じる大道芸人も多かったりして一日中遊べた日だった(^0^)
満足度★★★★
「風の谷のナウシカ」のフカイを連想す
とある町の化学者と黴と近くにいた人たちの目線で観ると解り易い。
以下はねたばれBOXにて。。
ネタバレBOX
舞台のセットは何もない。セットを作ることが出来ない空間だからだ。今回の催しがセットを許さない。そこで高橋は白いロープを使って、キャストの4コマの立ち位置や汽車の車輪、線路、縛りに見立てて演出する。相変わらず上手い。そうして意外にも高橋の役者としての演技力にも圧倒された。あんなに上手かったんだね。笑
物語は平和だった町が戦争の被害を受けて爆発した。それによって発生した雪黴が町を覆い尽くし、その日を境に町は力を失いフカイの町となる。化学者たちはこの状況を何とかするべく雪黴を排除する為に研究を重ねるが、この化学者・きのえ君をとりまく3人の人間関係の描写が面白い。
一方で爆発によって視力を失った鉄道職員と先輩鉄道員の絡みも面白い。視力を失った鉄道職員は町の人々が最後の一人まで乗り終えるまで職務を全うするが、先輩鉄道員は「人を呼んでくる」と詭弁を吐きながら、さっさと逃げる。こういう人間の闇の部分の描写は相変わらず上手い。
雪黴を排除する力を持つのはきのこだが、雪黴はきのこから遠ざかりながらも勢力を増して一つのコロニーを作り出す。ここでの雪黴の擬音を発するような言葉(音)が異次元の世界を思わせる。「ムーミン」に登場する白いニョロニョロのような言葉(音)だ。笑
やがて世界は雨が降り注ぎ一人のぼうやが生まれる。ぼうやには今は亡き母親の声が聞こえ、自分たち一族の先祖が世界を支配していた事柄や、きのこという化け物の話を伝え、自分の仲間を探すべく旅をするようにと、教える。
そこに、きのこが現れ友達のふりをしてぼうやの仲間がいる場所まで誘導させる。ぼうやを利用して雪黴を排除しようとしたのだ。それでもぼうやは「君も僕の仲間だよ」と言いながら死んでしまう。きのこはぼうやの心にふれて号泣するが、やがて雨が降ってぼうやはまた生まれる。目の前にいるきのこに「あなたは僕のお母さんですか?」「そうだよ。君のお母さんだよ」と目を光らせながらにやりと悪魔のような笑いでぼうやを見つめる。歴史は繰り返されるのだ。
ぼうやが鉄道職員にだだをコネながら鉄の道を進んでいくシーンは、キャストのキャラだろうか?それともこういう演出だったのか、ちょっとセリフが幼稚に思えたものの、まあ、年端もいかないぼうやという設定だから仕方がないのかも知れない。
きのえ君をとりまく場面は面白かったし、こずるい先輩鉄道員の言動も絶妙だった。キャストは4人だったがそれぞれの役割をきちんとこなして、素晴らしい舞台だったと思う。何よりも二人の女優が自分たちを綺麗に見せようなんて露ほども思ってなくて演技力で勝負したのがこの舞台の醍醐味だ。
満足度★★★★
ルーシー&ニコ(ストリップ)を拝む!
いあいあいあ、これはもう観るというより拝む!の域。
とんでもなくすんごいものを拝みました。日本の神々。
以下はネタバレBOXにて。。
ネタバレBOX
はっきり言ってルーシー&ニコは知らなかった。まあ、当然のことだよね、ワタクシ、仮にも女だし。だし・・。
しかしながら会場の前列と桟敷席はストリップコアが陣取るという熱い席取り。しかも、ミサイルの幕間の客いじりにも、あっけらかんと対応しながら「自分はストリップコアなんで・・」という自称も見た目もコアの男性諸君ら。しかも彼らが妙に明るい!ハイなのだ。入場してから既にハイ。そんでもってコア同士が顔見知りのようで、「熊さん、何時に来た?」とか「はっちゃん、お久しぶり」なんて落語のようなコミュニケーションをとっちゃってるものだから、会場の陣地はすでにコアらの縄張り!笑
そこでワタクシたち女性陣は精神的にも縮こまってコーナーの端っこの隅っこの前列にちっさくなって座ってた。
こんなときは見知らぬ隣の女性に応援歌も兼ねて自分を奮い立たせる為にも、お声をかけるわけよね?「お茶でも飲みませんか?」みたいなトーンで、「ストリップは初めてですか?」と。
そしたらさ、そしたらよ?(@@!)
「いえ、ニコのファンなので、ストリップ劇場にも行ってます!」ときっぱり。
ワタクシ、一瞬、彼女の爪先から頭まで見ちまいました。「カマ風味?」なんつって心で呟くワタクシ。しかし、彼女は正真正銘の女性のようで、何の悪びれもなく、あっけらかんとしてる・・。東京ってところは恐いねっ。そんな妄想と現実を交差させながらもショーは始まったのでした。
まずニコのショー。彼女はまだ20歳ソコソコではなかろうか?身体の線が、幼く熟してない桃のよう。演技は未熟だけれど、アニメに登場するような裸体キャラで魅せる。魅せる。魅せる。その脱ぎっぷりといったら、正に勝負に挑む武士のごとくな脱ぎっぷり。しかも、とことん見せる。そんなだから密林ももその奥に潜む秘密だって、本来の人間の歴史を潔く見せられてる気分になって、イヤらしく感じない。
そしてストリップとは感じないルーシーの芸術だー。
床体操の選手がヌードで踊ってるような舞台。ヌードに赤いテープを巻きつけて、登場し、少しずつ解いていく。彼女の踊りはもう芸術そのもので完成された美しさだった。元々の身体の作りが柔らかいのだろう、体操選手が平均台の上で踊るような美しくも優美な姿勢。そこに照明と音楽で独特の世界を作り出す。踊ってる最中にルーシーと視線が合ってしまって、悔やまれる。きっとやりづらかったのだろう、ワタクシが座った場所ではついぞ見せてくれなかったのだった。
人生初のストリップは決して嫌らしさを感じない芸術的ではありました。たぶん、演じてる彼女らに恥じらいがないのと、その脱ぎっぷりに嫌らしさを感じないのだと思う。
男性にも女性にもお勧めしたい舞台。
満足度★★
兎団「おぎん」を観た
作:芥川龍之介の本の朗読劇。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
兎団(演劇)の主宰・斉藤かなこの朗読だったが、実は朗読ほど観客を引き込ませるのに苦労する芝居はないと考える。だって、ただの朗読だったなら、わざわざ、劇場に足を運んでまで聞きたいと思わないもんね。
自宅のふっかふかのソファーで寛ぎながら、あるいは図書館で精神を落ち着かせながら読みたいじゃん!笑
で、結論なんだけれど、斉藤氏の声の起伏はあったものの、こちらの心に響いて来ない。導入音楽に合わせての朗読歌も特に美しい声ではなく普通。
要は自分でゆったりと読んだほうが頭にも入るし空想もできるという結果に。
満足度★★★★
ワクワクするサスペンス!
舞台は奇妙な空間に幽閉された7人の男女が転がってる様子から始まる。舞台は暗い。観客と舞台の間に張られた薄い更紗のカーテンが幽閉という空間を幻想的に作り上げている。面白い!
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
空間はビルの空調室のような雰囲気。
いきなり閉じ込められてしまった7人は三つのルール、「この7人の中で生き残れるのは一人だけ」「生き残る一人は全員で決める」「残りの最初からやり直す」に基づいて逃げる出口を探しながらも次第に協力していく様を描く。最初は誰でも、自分だけは助かりたい、という思いだったが、次第に閉じ込められている意味や、大きなものに支配されている状況、人が生まれてから関わる意味を考えながらも、それぞれが人として成熟していく風景に共感した。
7人が生き残る(生まれる)一人を選んでいく様を指示書やヒント、個人の得点のように積み重なってゆくナゾの球を太陽や木星、金星などの惑星に絡めながら、物語はサスペンスの味付けと面白さが加味されていく。天動説や7つの惑星を物語に導入した事で世界観は広がりロマンの要素も色濃い。
「木本ななみ」と繋がっていた7人と7つの星、7つのカラーボールの謎を解きながら、自分達はどうやらまだ生まれる前の魂で、木の根っこに居るらしいと気づく。だから、彼らは自分たちの7つの魂から最初に生まれる一人を決めなければならなかったのだ。結果、彼らは全員一致で「奥さん」と呼ばれる女性を選んだのだが、最も適切な成り行きだったと思う。
子供を生んで育てるという行為。肝心なのは誰かが自分の人生をどう生きたか、ではなく人に何を残すかに、存在の価値はあると思うからだ。その人との出会いで、自分は何を得たか、何が残ったのか、ということが大切なのだと思う。
サスペンスの中にも人生の不条理を絡めながら、生きる意味も提示した作品だったと思う。素敵な舞台だった。
満足度★★★
東京ディスティニーランド(一人芝居)
吉田ミサイルから、東京ディスティニーランドと改名したミサイルの演目は「走れメロス」「忠臣蔵殺人鬼だよ!全員集合」の二つ。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
しかーーし!この演目は以前、観賞済み。(苦笑!)
ミサイルは多数のレパートリーの中から気分によっていくつかをチョイスして演じるという方法を毎回、とっている。なのに、何故未だにセリフが憶えられない?(失笑!)
で、芝居としての今回の演目より、次の芝居と芝居の合間に見せる主催者・高橋との絡みの部分がひじょうに楽しかった。案外、ミサイルは性格的に受けの似合う役者なのではなかろうか?高橋が突っ込みじーさん役でミサイルを戸惑わせていた光景がやけに楽しかったのだ。
ミサイルと観客の台本のない小芝居も予想外の展開で面白い!素人って得体の知れない爆発力があるから、その行き先の知れない即行芝居に萌えた。笑
ミサイルのいつもの金髪ズラより花柄のドレスにシックな髪型の乙女バージョンは美しかった。笑
満足度★★★★
初見の劇団だったけれど
素晴らしい舞台でした。
何よりキャストの安定感のある演技力がいい。
人間が自分の人生をどこか誤って落ちていくさまの結末はお見事!
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
ホテル「リバーハウス」のオーナーとその姉の二人が喪服を着て話し合う場面から芝居は始まる。この二人の話の内容が「100万回生きた猫」だったり、「愛する人を失って川辺で泣いてる鬼」の話だったりと、優しく私の耳元でくるくると廻って流れるように入ってくる。二人の声がいい。その穏やかな話し振りから、まさかこんな結末が訪れようとは夢にも想像していなかった。
全ては3年前、「リバーハウス」に北村博之がずぶ濡れになってやって来たことから始まる。ホテルのオーナー・麻衣子は彼に会った途端、衝撃を覚えるほどの一目ぼれをしたのだった。しかし彼には他言できない過去があった。麻衣子は彼の素性も解らぬまま、夫婦のように過ごしていたが、ある日スーパーの息子・光雄が写した博之と「リバーハウス」の写真が入選し、雑誌に取り上げられたことから、生活は一変する。「リバーハウス」には博之の過去の知り合いが訪ねて来たり無言電話がかかって来るようになる。彼らの証言から博之の過去が徐々に明らかになっていくが、その内容は人殺しだったり、無理心中だったり、強盗だったりと犯した罪は麻衣子が想像もしなかったことだった。
一方で麻衣子の姉と岡原は「リバーハウス」で密会して不倫をする。そして「リバーハウス」の宿泊客・栗山未央はホストに入れあげてホストが常日頃から不満に思っていた社長を殺してしまう。物語はどこかうっ血した心の闇を表現しながらもキャストのキャラ立てのせいだろうか?おどろおどろした感は感じられない。屈折した精神を跳ね飛ばすかのような明るさにも似た演じ方が絶妙だった。
やがて博之は心中して逝ってしまった凛子への想いを回想シーンでぶつける。あの淡くて儚い美しい恋物語を。凛子を苦しめた自分。家族を愛せなかった自分。人を裏切った自分。それらは、おふくろが言った言葉、100万回生きた猫のように、「死んでも死んでもまた生き返るから、この世の一つ一つは大した事ない。」という教えがあった。そうして博之は頭を銃で撃って自害してしまう。これで彼はやっとこの世で生きる辛さから開放されたようにも思えたし、良心の呵責から自害したのかも知れない。
残った麻衣子は泣くのだった。「前から解ってたの。いつかどこかへ行ってしまう。ただ、気が付かないふりをしてただけ。」こうして愛する人を失った麻衣子は教会の見える川辺で泣いたのでした。あの鬼のように泣いたのでした。
芝居の冒頭からの伏線がここで繋がり、また同じように姉妹の会話で幕を閉じる。姉妹はあの頃、鬼だと思っていたけれど、良く観ると実は彼女らのお父さんだった。妻を失って泣いて泣いて川辺に蹲って泣いているお父さんだった。
全てはホテル「リバーハウス」で起こった物語。生まれてきた意味を考えるとき、それぞれの人生は容赦なく蠢く。
満足度★★★★
作家の描く世界を演出
「水になる郷 ミズニナルクニ」を作家が書き上げてるさま。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
舞台の端っこに作家の部屋があり、その反対側の端っこに分岐点守がある。中央は「水になる郷」の入り口。
作家は一人の女と一緒に部屋に居た。橋の上から飛び降りようとした彼女を助けたと思っていた作家は、後に、その女は既に自殺して死んでいたと悟る。女はこの世の未練が幻となって死後、橋の上に立っていたらしい。幽霊の彼女の傍で作家は舞台の脚本を書いている。それが「水になる郷」
舞台は作家の脚本進行の様子と同時に本の中の物語を演じる。
「水になる郷」は雨が降らない代わりに人が水になって他の住人の生活を支えて郷が成り立っていた。ここでは家族の為に自分が水になって人々を潤しやがて水が溢れて湖になった父親を慕う来鳥と誉の姉弟の心の描写を鮮やかに映し出す。そして分岐点といわれるこの世とあの世の狭間(境界線)に腰を据えて分岐点守が神様のような風貌で守っているが、この守り神がどんな状況でここにやってきたかも劇中に映し出され、私は不思議な世界の端っこにでも座ってるような感覚になってワクワクする。
やがて物語が進むにつれて、愛した人が死んでしまった後に残された者が持つ心の翳りにふれた思いがした。突然、誰かが居なくなったという恐怖。空虚感とも似た感情をどこにも捨てられない来鳥を、分岐点守がゆっくりと塗り薬を傷に擦り込むように癒していく。この場面のセリフがいい。
一方で作家雨宮に声をかけられた幽霊景は「まるで風景の一部のようだった。誰にも愛されず、愛する事もなく憎まれず、憎むこともない。生き苦しかった。ああ、間違って生きて来ちゃったんだな・・、本当は水に生まれるはずだったんじゃないかって。」と雨宮に訴える。そんな景は雨宮と暮らすうちに雨宮の景への想いに触れて砂漠のような心に水滴が広がるように沁みて、沁みて、沁みて、やがて潤ってくる。
こうして自殺した女は「水になる郷」へたどり着く。という筋だったが、最後の終わり方が、あれ?あれれ?これで終わり?みたいな気持ちになった。急に物語がストン!と幕になってしまったような感覚!
んじゃ、「水になる郷」の物語はソレで終わり?来鳥と誉は仲良く暮らしました、でいいの?それとも景が死んで「水になる郷」にたどり着いたから終わりなの?
優しくもあり、ちょっぴり涙を流しながらも物足りなかった物語。
満足度★★★★
ありそうな情景
短編9本を10分ずつ。短編はどれも特色があって秀逸。ありそうな物語と、どこか病んだ人達のダークな部分をも演出し、お見事!
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
「あめあがりの夜にⅠ」
とあるOLが仕事でのストレスをショコラ(犬)で癒す日の情景
「刃物」
夫婦の会話劇。若いころは楽しかった家庭も10年を過ぎてくると夫婦はお互いにギクシャクしてしまう。それは機械を動かしてるネジのようなものだ。経年とともにお互いを刃物でさしてもオカシクナイ状況だろうとお互いに察している。コミカルな会話劇の中に言い知れぬ恐さも潜む。ここでの菅野敬子の男装が素敵♪
「れぷりかんとⅠ」
等身大のゼンマイ仕掛けの蝋人形に自分の感情をぶつける女。彼女は売春婦だ。女の苦しみは美しくて可愛らしいれぷりかんとに偏屈な愛情を注ぐことで癒される。ここでの人形役がちっさくてキュート♪
「透明なキリン男」
夫婦が離婚する情景。男には常に寄り添って励ますキリンがいた。しかし、女にはこのキリンが見えない。どんな状況に陥ってもキリンは男を励まし膝枕もしてあげる。しかし、男はキリンがいるお陰で、自分で考えることが出来なくなってしまう。幼児化現象だ。笑 女は「いつも部屋の中には3人で暮らしてるような感覚になる、貴方と一緒にいると本来の私の大きさでいられない。」と言って家を出る。キリンは「僕が傍に居るから大丈夫さ!」と励ますも、男はやっと、幻想に気づく。
「あねいもうと」
姉は大学院を卒業して研究職につく。妹は姉のような取り得はないが、婚約して3年が経過する。お互いがお互いを意識しすぎて幸せを掴めない二人。
「あめあがりの夜にⅡ」
やたらと男に振られる女がいる。「愛してる」とか「好きだ」とか愛の言葉は惜しみなく言える女。しかし常に男に逃げられてしまう。彼女は男の自由を奪おうとしがちだからだ。しかし、女は男に逃げられてもそれほど悲しくはない。他の男を誘うだけだ。そう、女は誰も愛してなんかいない。自分も誰も。
「れぷりかんとⅡ」
売春婦は東京を離れることにした。今日は人形にお別れを言いに来たのだった。人形と決別し新たな自分を見つける為に旅立つ女。
「あめあがりの夜にⅢ」
父親が他界して残った母と娘の会話劇。娘と母の愚痴を直接相手にぶつけないで、タマ吉(猫)を介して文句を言いあう。笑
「花」
母親の葬式に、すでに他界してしまった父親の愛人がやってきた。しかし、「この人は貴女(妹)が思ってるような愛人ではない。」と、姉は言う。そして、「お父さんはお母さんに会う以前からこの人のお花の教室に通っていたの。」とも言う。しかし真相は当人同士しか解らない。成仏した父が母を迎えにきた時に「あのひとを愛してた?」と聞く母。 「ソレ、生きてる間に聞いて欲しかったな・・。」という父。
それぞれの部屋での物語だったが人間の心理を柔らかく表現したような物語だった。コミカルな表現と人間の持つエグサとをミックスさせたような舞台構成は流石!
満足度★★★★★
テクノダンスと回想物語
この物語は目黒の回想劇だ。
刹那さと騒ぐ心を表現し、それでも前向きに頑張ろうとする心理を描いた作品。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
目黒は新宿紀伊国屋書店の前で雑誌を読む。新しい自分になるには、歌って髪切って、実家を出て引越ししようと考える。まずはどんなものを部屋に置くかを物色している。そんな目黒はバイク事故で好きだった田町を失った。彼とはもう二度と会えない。彼をフッキル為にも自分の環境を変えてみることにした。しかし、想いは彼と過ごした代々木のカラオケ館や、その仲間たちに移行する。田町の友人の大崎や、大崎に想いを寄せてる寛子を回想しながらも、バカバカしくも楽しかったアノ頃を懐かしくも想い、幸せだった心情を改めてかみ締めるのだった。
更に思い出は田町の実家のそばの斉藤床屋にまでいき、コミカルな床屋の風景も映し出す。斉藤床屋での「チョキチョキチョキ・・、切り離された髪の毛は自分だったものが、自分のものではなくなる。」とか「チョキチョキチョキ・・、切られた時から無情にも他人になる。」とか、哲学的な描写も織り交ぜながら、舞台を魅せる!
目黒は思う・・・現実は秋でもうすぐ冬がやってくる。秋ってだけで物悲しいのに田町は居ない・・。そうして季節は冬になり、来て欲しくないクリスマスがやってきた。去年は良かった。二人で居られたから。
そうだ!こういうときは髪を切ろう!
一人ぼっちの目黒が田町を想いながらも、ふっきろうにもふっきれない心情を見事に描いた作品だと想う。回想シーンではやたら楽しいカラオケでの5人の描写をテクノダンスと共に表現し、絶妙なテンポで、いいようのない感情がジンと沁みた物語だった。感情とはいつの世も、厄介なものなのだ。
笑いのネタもあちこちに仕込んであり始終引き込まれた。
クリスマスって待ち焦がれる人と、淋しいって人の二つに分かれるよね。
そんな季節感も物語をグッと引き締めた舞台。
満足度★★★
愛憎劇というよりも
案外ありそうなベタなお話。特にホラーでもなくサスペンスでもなくサバイバルでもない。笑
以下はネタバレBOXにて。。
ネタバレBOX
結婚式場の新郎の控え室に鋏を持った女が忍び込んで、新郎の衣装を切ろうとした。そこへ従業員がやってきて寸でのところで止めたので衣装は無事だったものの、話を聞けば新郎の元恋人だという。優柔不断な新郎と、かつての恋人を親友に盗られてしまった女の心情を描き、そこに2人の従業員の対応を絡めながらの芝居。
キャストの演技はどなたも卒がない。ただ島原久美のキャラがあまりにもウザイ。イラつくほど。笑
ストーリーは特に大きなうねりもなく、どちらかというと平坦。本の練りが甘いと思った。そんな特徴のない本を、キャストのキャラや演技力でカバーしてくれたから、観られたような芝居。むしろ、はちゃめちゃなコメディのほうが良かったかも。中途半端な気がした物語でした。
現在の小劇場の芝居って、観客をワクワクドキドキさせるような特徴やインパクト、あるいは、感動させて泣かせるような心情劇、はたまたぶっ飛ぶようなコメディとかじゃないと、難しいんじゃないかなー? コレだけの小劇団があるなかで生き残ること自体が危ういのに。
アフタートークも山根が参加したから、どうにか観られたものの、二人だけのトークだったら、痛い。
満足度★★★
まとまりがないなぁ・・。
東京の役者と遊ぼう企画として始まって2回目。ワタクシは縁あって、1回目から観てるのだけれど、今回の芝居ははっきり言って間延びしたような舞台。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
まず第一に遅れてきた観客を桟敷席に座らせてスタッフが前列の特等席に座るという、あまりにも客思いのスタッフ。
なんだ、ソレ!客よりも良い席に座ってどーすんだよ!
物語は地下6000メートルで働く鉄モグラと地上6000メートルのクジラが運命の出会いをするという一見、壮大なお話。この物語、地球割りの前々作に似てる。
この物語に出てくるホットバッジというシロモノがいい。運命の人に出会うと光るというもの。楽じゃね?運命の人を教えてくれるのだから、どらえもんに頼まなくても良いって寸法!ワタクシ欲しいわ!笑
しかし、物語の軸はリコを愛していた権藤がリコのロクスケへの記憶を消したいが為に巻き起こす不条理劇なようなもの。キャストには発声が悪い役者もいたりして、イマイチ、演技力がない。それに輪をかけちゃって、キャスト全員でセリフるシーンでは言葉が噛みあってないもんだから、聞きづらい。練習不足なんだよねー。
間に休憩を10分間挟んだ公演だったけれど、この物語に対して長すぎる。
90分程度でまとめたほうが良かったような気がする。無駄が多かった。
そんでもって、最後のシーンでリコが吐くセリフは、仕事を一生懸命している権藤に対して、「貴方は私を構ってくれない。淋しかった!ロクスケなら、私を幸せにしてくれる。」なんちって、甘えた言葉を吐いちゃうわけよね。壮大な物語だったはずが、一瞬にして家庭のちっさな愚痴になってる。
引くわっ。物凄い勢いで遠ざかって後ろに引っ張られるように引いた。
自分を淋しくさせない相手が欲しかったら、仕事の出来ない相手を探さなきゃならんのです。お嬢さん!笑
笑わせようとアドリブらしきものもあったけれど、今回はウケナカッタ。
ストーリーにテンポが無いし脚本が甘かった。
次回に期待します。
満足度★★★
時代劇っすからね♪
ベタな時代劇っすから大したからくりはないけれど、からくりという名の桃太郎侍的な仕掛けはありました。
観やすくて解り易いベタベタな芝居。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
行方不明になったお夏は亭主の文七に殺されたんじゃないかと考えた長屋の住人が口裏を合わせて文七に罠を仕掛けて白状させようとする。
文七はオカシイと思いながらも、もしかしたら、自分がお夏を殺しちまったのではないか?と自分自身の記憶を疑うようになっていく。
ところが実はお夏を殺したのはお夏の実家である越前屋の相続金に目が眩んだ番頭の市蔵だったのだ。
市蔵は長屋の住民を騙して、お夏を殺したのは文七だと思い込ませた上に文七を犯人にさせる為のからくりを仕込んだのだった。
それを見破った役人が市蔵を白状させる為に、更なるからくりを仕掛けて市蔵を追い詰める。という筋。
公演時間1時間20分という早業ながら、舞台は古くて笑えないコメディも織り交ぜ、観客より出演者が満足した表情で、舞台は幕を下ろしたのでした。
よくもまあ、あんな古いネタを使えるな~。と感心した一方で、時代劇なんだからネタも出演する輩も、はたまた、脚本も古くてトーゼンと妙に納得した舞台でした。笑
笑うしかない。
満足度★★★★
面白い!(^0^)
イチキと小林のタッグが面白い。
全体的にコメディ。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
さそりと名乗る女。おろちと名乗る女。
初版、おぞましい世界観の形相!(^0^)
このままの妖しくもおぞろしいぶたいだったなら、より一層、楽しめたが、こちらはほんの前座で、舞台はショートコントに移行する。
学級会、ミネコの恋物語、故郷に帰る、猫目街エレジィ、チーコとチヨちゃん、ペンパル教・・・とタイトルを分けてブラックコメディというか、不条理コメディというか、ダークなコメディというか、吉田戦車みたいな空気感!笑
そんなだるだるの風景の中、妙に納得できるセリフ回しで、例えば・・恐い話じゃあなくて取り返しのつかない話!みたいな。(^0^)
そんな笑いの渦の中、ワタクシの隣に座った男性(劇場でよく見かける)はかんなり笑ってたかとおもうと、眠りこけてたり、と芝居が極端なら、隣の男性の様子も極端なのでした。余程疲れてたんだねー。もったいない!(寝るなら観るな!笑)
最後のペンパル教はコメディとはちょっと違ったコミカルな中にも侘しさの残る作品でした。打ち明けられない秘密みたいな状況が物悲しい。
全体的に良く練られた楽しい芝居!
満足度★★★
正直に書きます!
って、毎回、正直すぎて困っちゃってるんだけれど。劇団が!笑
今回は明らかにキャストの演技力に差がありすぎる為、下手が演技力のあるキャストの足を引っ張るというナリ!(苦笑!)
観ているワタクシの方が気の毒に感じちゃったから、当の本人は拷問したかったのでは?笑
休憩入れて4時間!
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
奴隷の島
ユートピア旅行記叢書の中のひとつ。
鈴木浩司がセリフを度忘れしてぐずぐず。苦笑!
つっこみ姫は上品の欠片もなくむしろ奴隷役の方が適役かと。コメディってはずなのに全くウケナイ。
小田篤史が一人芝居のように頑張ってひっぱるも全体的にグズグズで哀れ。この5人で演じるには時間が長すぎる。自分たちの演じる空間を制覇できない感があった。
かんしゃく玉
夫の稼ぎが悪い為、妻を支えようとする親切な男が現れたり彼女にバーを開くように、と相談を持ちかける男たちを夫は嫉妬する。自分に稼ぎがないのは分かっているが妻には働かせたくないというしょもない自尊心で縛られちゃってる夫はかんしゃく玉でストレスを解消する。妻もそんな夫に至上の母性愛を発揮する。笑
白花亜希の実力は流石!オーラ、出まくり!油断してるとヤラレル!(おらおら詐欺!ゴクウ・・)
熊
公演時間といい、魅せかたといい、面白い。
借金取りにきたつもりがいつのまにか、当主の気の強い女性に惹かれて結婚の申し込みをする男。コミカルな展開とテンポの速いセリフまわしで観客を飽きさせない。
リュカの立ち姿が美しい。
工場でのもめごと
社長と工員の会話劇。社長に工員達の不満を打ち明ける。社員の不満とは給料でもなく労働環境でもない。では何か?それは作っている製品だった。真鋳豆コックとか、半球型ロットエンドとか・・、しょもない製品を作り続ける事への不満。では何を作ればいいか?と問いかける社長に工員はひと言!「あめ玉」笑
テンポの速いしゃべりに耳が追いつかない状態。
すんごく面白い。今回の公演ではダントツ!
百花と大川が上手い!つくづく、キャストって配役なのだと身に沁みる。笑
星々を恐れよ
女たらしのダヴィッドのところにはやたら女が集まる。
結婚候補が多い中、彼が本当に癒されるのはセシールおばさんだった。一方でゲーム好きの彼は義父を自分の仕組んだゲームに引きずり込み失望させてしまう。ここでの鈴木は変なアメリカ人を好演してた。
全体的に中3つが面白かった舞台。
特殊な照明や一切の音楽もない環境で芝居のそれなりの背景を映し出すのに苦労した。
満足度★★★★
戦時下の狂気
戦時下、それぞれの人々が心に闇を持ち、狂気となる瞬間のエグサも表現しそれらしい情景を演出した舞台だったと思う。
ショパロヴィッチの旅一座が時には「ラマンチャの男」風にも見えて、奇妙で不思議な空気感があった。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
時は第二次世界大戦中のセルビア。
ウジツェの大広場にてショパロヴィッチの旅一座が今夜の芝居の客寄せしている場面から始まる。彼らは警官に職質されて署に連行されるも、公演許可書を持っていた為に自由の身となる。しかし、地域の人たちは彼らの巡業を好意的にみていない。
戦争という状況の中、警官はワイロを受け取り、ぶっそうな組織が徘徊する一方で、潰し屋といわれる拷問屋の行為に恐怖を感じながら、住民はその精神が狂気化していく。
本来なら穏やかに暮らしているはずの広場近くの家族まで、絶望から逃れるように夫は酒に溺れ、妻は日々の貧しい暮らしを嘆く。ここでの妻・ギーナが実にリアルな演技なのだ。実はこの演技によって、広場近くの民家の様子が想像できたほど。ホント、素晴らしいです。
ショパロヴィッチの旅一座は、「なぜ、こんな状況下に芝居なんか・・。」と詰られるが、彼らは「こういう状況下だからこそ、演劇は必要なんだ。人々が人生を理解する為にも。」と説明する。
また、彼ら一座の仲にはフィリップという現実と演劇の境界線を混在し、自分がどの世界に居るのかが解ってない輩も居たりして、道化師のような背景もあった。後に彼は妄想を抱きながら殺される。旅一座の回想シーンではシラノやリチャード、リア王、チェイホフ、シェイクスピアなどが挙げられ、それらを想像するだけで、おもちゃ箱を一度に開けた時のような気持ちになって童心に返ってしまった!笑
他者から侮蔑される仕事をしていた潰し屋は「他の仕事をするには何かが足りなかった。」と白状し、心の闇から逃れるように自害する。死んでやっと楽になれたのだ。
こうして沢山の人に関わりながらもショパロヴィッチの旅一座は今日も巡業するのだった。。
演出といい、起用した歌といい、セルビアの情景を見事に表現していたと思う。そして出演者のそれぞれがいい仕事をしていた。照明によってセルビアの混沌とした薄暗さ加減の演出も良かったと思う。
リアルに水を出しきちんと洗濯して、干してた情景は生活観が溢れてて、見事だった。
満足度★★★★★
面白い!(^0^)
ロジカルコメディってことだったけれど、サスペンスコメディのような背景。
まあ、コメディには違いないのだが・・。
それにしても・・「電動夏子安置システム 」は初見だったが、好みの作風だった。そこにはロマンがあり恐怖があり不条理があり願望があり闇がある。
そして・・最後の結末がお見事!
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
いきなりの暗闇と落雷の鳴り響く音が耳を突き刺す。
舞台は雷雨という、いかにも今からサスペンスですぜ!みたいな状況から観客ごと一緒に飲み込ませるように物語は始まる。
別荘には4人の男と一人の女。彼らは見ず知らずの関係だが、どうやらこの別荘に最後まで残った人物が一日1万の報酬を手に入れることが出来るらしい。そして彼らは今まで気がつかなかった他の3つの家の存在が気になってくる。
こうして彼らは建ち並んだ他の3棟の家を様子見に出かけたのだが・・。
ここでの彼らの役割は物語を進行させるためのナビ的存在。
娘にこの資産を残した有橋は「本物は一つだけ。あとは偽物なんだ。」 という言葉と「この家の物は決して動かさないように。」との遺言を書きとめておいたが、4人の男と一人の女のうちの女・美雪がルーレットを回してしまう。
すると、建ち並んだ四棟の家の登場人物の全てが瞬間移動したかのように一か所の部屋でそれぞれの会話をし始める。この時点で他の家の登場人物は見えない設定。つまり同じ空間に居るのに、それぞれの関係する人物しか見えていない。
ルーレットは美雪が動かしたことによって、まるで物語の中の偽物を消すためのスイッチが入ったように仕組まれているようだった。3人の娘・アオイはそれぞれ一つの家を所有しているが、このうちの2人は偽物だ。という設定のもとルーレットは次々に黒の奇数、偶数、赤の奇数、偶数というようにカラーと数値をあらわしていく。
黒と赤は立ち並んだ屋根の色を表し、奇数は三角屋根。偶数は四角い屋根というようにルーレットにはある一定の決まりのもと、動きながら進んでいく。
こうして、数字によって目まぐるしく登場人物や状況が変化しながらも、黒い四角い屋根の家は人も一緒に無くなってしまう。
つまり家と居住していた人物全てが偽りだった、ということになるが、こうして次々と消される事実を知ると、アルバイトとして来た5人の彼らは、クイズが解明される瞬間の空が晴れたような気持ちになる一方、恐怖に慄くのだった。
このサスペンスに「地下室で目隠しをした5人の子供」というホラーのような話を加味することで、観客はグリム童話のような情景を空想するだろうし、またアオイの父親に対する独占的な愛、管理人・常葉の人間本来の持つ業をも魅惑的に見せつけながら、物語は登場人物にタッチするだけで中身がシャッフルされるというコミカルさも演出していた。そして、本当の不条理というか、本当の恐いお話は、もう一つの偽物の家が消える瞬間に美雪は塩川にトン!と簡単に背中を押されて消える家の中に入ってしまう。
こうして最後は本物のアオイとアルバイトでやってきた塩川(男)の二人だけになるが、アオイは家と莫大な遺産を手にいれ、塩川は最後に残った一人として1日1万の報酬が貰えるのだ。
こんなストーリーに味付けとして道井良樹が一手に笑いを集めていた。
彼を観たのは勿論、初めてだったが、ひじょうに素晴らしい役者だと思う。
花もあるし演じるキャラもいい。
そのほか豪華なキャストの面々で一人として脇は居なかったように思う。
物語性も個性的なキャストも素晴らしく、音響も照明も秀逸だったと感じた。
とにかく面白い!(^0^)
満足度★★★★
『大恋愛学園』を観た!(^0^)
オープニングからぶっ飛ぶ!(^0^)
舞台にはアニメキャラあり~の、不思議なキャラあり~の、エロあり~ので、ここの学園は案外、怒涛の面白さだった。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
まず設定は埼玉県所沢某所、鴉のさっびしそうな泣き声が、カァ・・カァ・・と響く!笑
そこにはけったいな輩が石のように動かない。説明によると、自らの欲望だけが膨らんで石となってしまった哀れな輩とのこと。
舞台はここから遡り今から200年前、とある学園に転校生がやってきたところから始まる。
この転校生には何故か悪魔と天使がついていて、これらが絶妙に転校生を惑わす。転校生はこれら悪魔とも天使とも解らないような輩に突っ込みを入れながら物語は進んでいく、というものだが、この3人のブラックコントが可笑しい。
そのうち在学生が次々と登場するが、番王あり、バズーあり、シータあり、ロボミちゃんあり~のアニメキャラ満載で、観ているこっちも楽しいったらありゃしない!しかも、シータのド超級の大きな揺れるパイオツ!歩くたびに揺れる!セリフを発しても揺れる。演出家の仕業だろうか?Tシャツ1枚の中にはブラなんかしてないんじゃないのっ?!つーくらい揺れる!
ぼわん・・ぼわん・・ぼわんそわーる!たぶんGカップ。
そんな中、目のやり場に困ってたら(・・)じーーっとなっ。
番王に手ぶらで来い。って言われたマドンナが何を勘違いしたか、本当に手ブラ(裸体のパイオツを手で隠す)で学園に来ちゃったり、こりゃあ、もう許して下さい!状態で可笑しいやら嬉しいやら、はちゃめちゃな恋愛学園ドラマだったという筋。
う~ん。ことりキッスを贈りたい!(^0^)