ショパロヴィッチ巡業劇団(公演日程が変更になりました) 公演情報 劇団黒テント「ショパロヴィッチ巡業劇団(公演日程が変更になりました)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    戦時下の狂気
    戦時下、それぞれの人々が心に闇を持ち、狂気となる瞬間のエグサも表現しそれらしい情景を演出した舞台だったと思う。
    ショパロヴィッチの旅一座が時には「ラマンチャの男」風にも見えて、奇妙で不思議な空気感があった。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    時は第二次世界大戦中のセルビア。
    ウジツェの大広場にてショパロヴィッチの旅一座が今夜の芝居の客寄せしている場面から始まる。彼らは警官に職質されて署に連行されるも、公演許可書を持っていた為に自由の身となる。しかし、地域の人たちは彼らの巡業を好意的にみていない。
    戦争という状況の中、警官はワイロを受け取り、ぶっそうな組織が徘徊する一方で、潰し屋といわれる拷問屋の行為に恐怖を感じながら、住民はその精神が狂気化していく。

    本来なら穏やかに暮らしているはずの広場近くの家族まで、絶望から逃れるように夫は酒に溺れ、妻は日々の貧しい暮らしを嘆く。ここでの妻・ギーナが実にリアルな演技なのだ。実はこの演技によって、広場近くの民家の様子が想像できたほど。ホント、素晴らしいです。

    ショパロヴィッチの旅一座は、「なぜ、こんな状況下に芝居なんか・・。」と詰られるが、彼らは「こういう状況下だからこそ、演劇は必要なんだ。人々が人生を理解する為にも。」と説明する。
    また、彼ら一座の仲にはフィリップという現実と演劇の境界線を混在し、自分がどの世界に居るのかが解ってない輩も居たりして、道化師のような背景もあった。後に彼は妄想を抱きながら殺される。旅一座の回想シーンではシラノやリチャード、リア王、チェイホフ、シェイクスピアなどが挙げられ、それらを想像するだけで、おもちゃ箱を一度に開けた時のような気持ちになって童心に返ってしまった!笑

    他者から侮蔑される仕事をしていた潰し屋は「他の仕事をするには何かが足りなかった。」と白状し、心の闇から逃れるように自害する。死んでやっと楽になれたのだ。

    こうして沢山の人に関わりながらもショパロヴィッチの旅一座は今日も巡業するのだった。。

    演出といい、起用した歌といい、セルビアの情景を見事に表現していたと思う。そして出演者のそれぞれがいい仕事をしていた。照明によってセルビアの混沌とした薄暗さ加減の演出も良かったと思う。
    リアルに水を出しきちんと洗濯して、干してた情景は生活観が溢れてて、見事だった。


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    2009/10/21 17:43

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