みさの観てきた!クチコミ一覧

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性的敗北

性的敗北

シンクロ少女

王子小劇場(東京都)

2010/10/15 (金) ~ 2010/10/17 (日)公演終了

満足度★★★★

タイトルの意味
個々の愛憎劇に歪んだスパイスをかけて味を濃くしたような作品。客席は対面式だが、終盤エロいシーンがあるので見どころは会場に入って手前の前列座って左側が絶妙なエロチックゾーン。ここの席は料金倍額でも良さそう!!笑

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

3人兄弟の弟と妹は近親相姦の仲。これを知った兄嫁は一般常識を盾に二人を別れさせようと尽力する。この時に兄嫁は夫に種がない為に子供が授からないことも暴露する。やがて別れた兄と妹。妹はうどん焼きそばの店員と恋仲になり、一方で妹に捨てられた兄は妹を忘れられない心の痛さに泣きじゃくる。そんな背景を利用するように兄嫁が弟の種を貰いに来る。「夫に種がないから貴方の種を私に頂戴!そして子供を生むわ。」とセックスを夫と一緒に弟に強要するも、投げやりになっていた弟は兄が応援する眼の前で兄嫁とセックスをする。セックスシーンでのしまおみほはパンツを脱いで投げたが下はスッポンポンのように見えた!(すっかりオヤジ発言!)

もう一方の愛憎劇も同時進行的に反対側で公演される。ヤマダ(女)の親友リオ(女)はヤマダにケイジという同棲相手が居るにも関わらず頻繁にヤマダを呼びつける。ここでのリオは「ヤマダが好きで好きで仕方がないから一緒に居て欲しい」とのたまうが、ヤマダが幸せそうな環境に居ることに嫉妬している表情も見せる。そんな折、リオはケイジに会うことを思いつく。この時にヤマダは「酒癖が悪いからケイジにはお酒は飲ませないように」と耳打ちするも、いざケイジに会い、ケイジから「ヤマダの話でもっと酷い女かと思っていたけど違うじゃん」との一言でリオはヤマダからケイジを奪うことを決める。ヤマダにとことん酒を飲ませ自分も酔ったフリをしてヤマダの目の前でリオはケイジとセックスをする。これが原因で別れるヤマダとケイジ。その後、ちゃっかりとリオはケイジの恋人に収まる

三組目の恋人2人、ナツヒコとユリは今にも破滅しそうな恋人どおし。観客の目にもたぶん、そのうち別れるんだろなーと予感さえしていた人は多いと思う。そんな二人がユリの妊娠によって、ナツヒコはこれから地獄になることも想定しながらも観念する。笑


三組三様のゆくえを描いた作品。観終わって男が性に敗北する場面を描きたかったのだなと理解する。序盤、静かなモノローグの始まりだったため、ただの恋愛ものかな?と思っていたら違った。誰にでも受け入れられる物語ではないから、好みは割れると思うが、「人間の業」のようなものを感じた舞台だった。相手の弱点を利用して勝ち誇る醜さが絶妙な物語!誰かの不幸の上に幸せが成り立ってるような構図。観ておいても悪くない、と思う。
カズコと、天使

カズコと、天使

さるしげろっく

テアトルBONBON(東京都)

2010/10/14 (木) ~ 2010/10/17 (日)公演終了

満足度★★★★

マリアのような絵
一枚の絵画をめぐって繰り広げられる192年間の物語り。それぞれのエピソードが屋敷と絵画で繋がっている為に観終わった後に壮大な物語だったのだな・・と気づく。
個人的には2幕の升ノゾミが演じる日比野香寿のキャラクターの立ち上がりがひじょうに素晴らしいと感じた。およそ人間離れした香寿の仕草や行動、奇声がゾクゾクするほどに状況を逸していた。彼女の登場によって物語はぐにゃりと方向が捻じ曲げられ近未来の戦いへの予感さえしたほど。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

第1幕・・2010年現在。
再開発の為、町の史料館を取り壊して、テーマパークを作るという計画が持ち上がり、それに関して関係者らが会議の場を設けるも文化庁官僚と金井建設との癒着が発覚し、上記の計画案は破棄される。この史料館には勘治の描いた「和子と、天使」があり、後にこの絵をめぐっての物語へと紡いでいく形だ。史料館の職員らのコメディ的な恋愛もあり女の妊娠を知った男が「ああ、神様天使さま、こんなに嬉しいことはありません。」と言って絵画に駆け寄るセリフにヤラレル。


第2幕・・2128年未来。
反政府の強盗団が、史料館に元シリウスメンバーを人質にとって立てこもり、軍事警察と戦うも、裏部屋に隠されていた日比野香寿の登場により空気が一変する。彼女は知能障害者でシリウスの本部だった日比野司の娘だった。しかも香寿は誰か解らない男の子を身ごもっていたのだった。反政府の強盗団も元シリウスメンバーも軍事警察の囮の為に香寿を置き去りにしようとするも、良心の呵責に苛まれた寿樹が自らの命と引き換えに香寿を助ける。軍事警察によって撃たれた寿樹は「和子と、天使」の前までにじり寄って行き、果てる。
ここまで観ると一枚の絵画がその時々の人々によって、まるでマリアを見つめてるような、心のバイブルとなっていることに気が付く。


第3幕・・1926年過去。
1幕での資料館となった譯への解説のような物語。なぜここに絵画があるのかを綴ったもの。勘治が妻で女流作家・天見と生まれてくる子を描いた「和子と、天使」のエピソード。


終盤・・エピローグ
そうして物語の終盤に第2幕に登場した日比野香寿が未来を見つめて戦いを挑むように無造作に髪を束ねて1枚の絵画のキャンバスを破って史料館から外へ脱出する。外の世界は眩い光が点在する新しい世界だ。まるでブラックホールから抜け出る瞬間の描写だ。ワタクシの最も好きなワンシーンだ。
だから、この後、彼女がどんな風に生きていくのかもひじょうに興味を持った。出来るならば、ロックに日比野香寿を主軸にした物語を書いてほしいくらいだ。知能障害者で特別な能力を持った少女。そんな空想を考えながら帰路に着いた。
あ、そうだ。自分で書くかな・・。5行くらいならワタクシにも書ける。笑


全体的にコミカルな場面が多く楽しめると思う。第2幕が最も好みだった。強いていうなら軍事警官と戦う場面はもうちょっと緊張感があったほうがワクワクしたように思う。それにしても香寿のキャラ演出の猿山は流石だと感じた次第。
すんごく良かった!

ドールズハウス★ご来場ありがとうございました!!!

ドールズハウス★ご来場ありがとうございました!!!

u-you.company

サンモールスタジオ(東京都)

2010/10/13 (水) ~ 2010/10/19 (火)公演終了

満足度★★★★

女子だらけ!萌えるわ!笑
世界の歌姫の母の元に生またが為に愛情に飢えた四人の姉妹と、忙しさにかまけ子供たちに十分に愛を与えられなかった母親の愛憎劇。こう紹介するとなんとなくシリアスなんじゃないの?と勘ぐられてしまいそうだが、物語はドールハウスの中での出来事なので、きゃわいらしいドールキャラクターが登場し、まるでアリスの不思議な国状態!衣装がとっても可愛いくて素敵だ。コーヒーカップのドールの衣装は素晴らしい!ついでに生物役の赤い物体が見もの!こいつの吐く言葉が愉快千万!

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

歌姫だった母の突然の死によって集まった父親が違う四人の姉妹は母との思い出があまりない。それもそのはず仕事で忙しい母は殆ど家に居なかったからだ。ところが二女のサラの引火が原因で爆発し姉妹はドールになってしまう。

他のドールたちとのやりとりや、長女のレオナが大切にしていたマリーという人形のお陰でレオナらが小さかった頃の思い出が語られ思い出すも、やはり母と過ごした記憶は薄い。

そんな時、マリーの身体を借りて死んだ母親が自らの生い立ちや子供たちへの想いを伝えるシーンではジーーン・・としてしまう。しかしこの強かな母親はこれだけでは終わらない。マリーのキャラクターのままマリーの身体を借りて蘇ってしまう。笑

愛し方を知らない母親と愛情に飢えた子らの物語。
中だるみはあったものの、どちらかというとコメディ的で楽しい。芝居の後にショーの催しがあって、キャストらがレオタードで踊る!中でもキャッツアイの3人のダンスは最後まで見たかった。

芝居とショーの合間の繋ぎとして杉山夕の挨拶があるが、劇団として10年を迎え劇団員の結婚、出産などがあり感慨深い様子で、時にうるうるしていた。「お客様を喜ばせたいという一心で・・。」という挨拶にワタクシもウルッとした瞬間でした。
窮する鼠

窮する鼠

JACROW

ギャラリーLE DECO(東京都)

2010/10/12 (火) ~ 2010/10/17 (日)公演終了

満足度★★★★

物語はリグラーが好み
ハーフシリーズと言うことだけれど、実に濃い舞台だった。今回は物語の内容よりもキャストらの力量で強引に捻じ込め観客に「どうだ!俺たちの演技は!」と殴り込みをかけたような舞台。全てのキャラクターの立ち上げが絶妙で加味してキャストらの演技力が物を言わせたと思う。


以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

A 「きぼうのわだち(改訂版)」 脚本・演出:中村暢明 
新郎の元同棲相手の新婦の友人の寛子と、新婦の元彼で二股をかけられてた貴史と一行、新婦のセフレだった秀幸らが集って新郎新婦との過去に花を咲かせてるうちに披露宴の「招待状」が「挑戦状」だったことに気付く。4人は過去の出来事が新郎新婦にバレててあえて「挑戦状」を送付してきたのではないかと疑心暗鬼になるも、これを郵送したのが新婦の兄と解る不条理劇。

B 「LoveLetter from …」 脚本・演出:井原謙太郎
小説家志望の男・浩介は友人・修二が好きな「読書が趣味の女」・キミへのラブレターの代筆を書いていたものの、人目合ったその日から(笑)、恋に落ちてしまった浩介は苦悩するも、キミも自分を気になっているということが解る。終盤、二人は結ばれるような展開になるが、キミの友人で華子が吐く理想の結婚相手とは「私は幸福になりたいんじゃなくて裕福になりたいの。」とのセリフに笑う。


C 「リグラー」 脚本・演出:中村暢明
営業成績が悪い男・本田は執拗に説教してくる上司が原因で鬱になり自殺してしまう。それがショックで妻は流産し上司の課長に夫を追いつめたことを抗議をしにくるも、課長は部下が自殺したショックで狂ってしまっていた。課長は本田が自殺した事を認めてなく、本田が死んだ次の日も以前と同じように毎日、執拗に本田の幻影に説教を繰り返すのであった。この時の妻役を演じた菊地未来の狂気の演技があまりにも素晴らしい。大絶賛!


どれも素晴らしいキャストらの演技力で魅せられた舞台だった。これだけのフルキャストらを見るだけでも幸せ!

オーマイ ゴッド ウイルス

オーマイ ゴッド ウイルス

劇団スーパー・エキセントリック・シアター(SET)

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2010/10/01 (金) ~ 2010/10/17 (日)公演終了

満足度★★★★

みんなで作る新しい物語
セットが素晴らしい!地底から浮き上がってくるセットは巨震兵が出てきたのかと思った!笑

相変わらずの三宅・小倉のアドリブが光る。笑いの殆どはこのアドリブで。更に30周年ということで初期メンバーには、ミュージカル仕立ての動きが酷な舞台。笑)


以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

舞台は地底プリズムで息づくデビル族と人間を悪魔の誘惑から守るエンゼル族との抗争の中、当の人間を光と闇の調和の取れた本来の人間に戻す更生の物語。

プリズムのセットが地下からせり上がってくる場面や次のセットへの転換が絶妙だった。ライトの効果も加味して異次元の世界の到来を感じさせるような演出の仕方。素晴らしい!

それに反して舞台のコネタは緩々で笑える。ワタクシの観た回はアドリブが絶好調で、小倉の仕草にも腹抱えて笑った!笑った!デビル族のチビル(小倉)はまったき悪魔的ではなく、イノシシみたいなデビルでバク転はできないわ、動き回るとハア・・ハア・・ゼイ・・ゼイだわで、悪魔なんだかイノシシなんだかよく解らなくなって仕舞いにはただの塊のようになっていた。笑

一方でエンゼル注射をされた村の人々が正義の味方を自称する民話や童話のの登場人物となってデビル側と戦うシーンはもはや日本の物語と世界名作劇場が合体したようなぐちゃぐちゃな展開!笑

三宅が語る、本当のシンデレラの物語の内容、「シンデレラは王様のお妃となりましたが、継母と意地悪な姉二人を呼びつけて無理やりガラスの靴を履かせました。靴に足が入らないと足を削り、そうして燃え盛る火の中から鉄の靴を取り出して3人に履かせました。3人はあまりの熱さにクルクルと踊り狂い死んでしまいました。そうして3人の目玉をくり抜いて仕返しをしました。」という物語こそがシンデレラの本当の物語なので、この説明にも納得!

今回の芝居では、シンデレラの物語を引き合いに出して人間の本質を語り、人間から嘘や悪や闇を取り除いてしまったら問題ばかり起こってしまう。だから人間には色んな感情が必要で光と闇の調和があってこその人間だ。死んだ平和が終わってカオスが始る。これからは人間が「新しい物語」を作るんだ。という創世のテーマだった。

終盤の壮大なテーマの描写は流石!
最後は三宅だけがええかっこしい、の舞台!笑
ウラの目と銀杏の村【公演終了・ご来場誠にありがとうございました!】

ウラの目と銀杏の村【公演終了・ご来場誠にありがとうございました!】

キコ qui-co.

王子小劇場(東京都)

2010/10/09 (土) ~ 2010/10/13 (水)公演終了

満足度★★★★★

小栗剛の世界観が好きだ。
それは劇団桟敷童子のそれに似ている。二つの劇団の違いはセットの豪華さだ。笑)、だから今回のqui-co.の舞台に山々の銀杏の黄色や赤の枝葉のセットや里の風景が描写されたなら、それこそ劇団桟敷童子なのだった。しかし、そんな由緒ある劇団より上を行くのが映像だと思う。荒船泰廣の技術はハンパない。一度、彼の映像だけの作品も観てみたいと切に思うのだった。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

今回の舞台を引っ張るのは文句なしに清水と如月だ。この二人が絡むシーンはあまりないが、二人が放つパンチは水と油のように相反する不思議な力だ。

物語は里に住む人間とアスレチックの森の奥、銀杏の山々に住む鬼のお話。かつて人々は里に住んでいたが、25年前の凄絶な事件、山の破壊事件によって状況が一変してしまう。

山に落ちた飛行機事故が原因で消えた356人の子供達の死に様を目撃して生き残ったある一族の子供は「見透かしの子」と気持ち悪がられて里を追われ山に住みつき「鬼」と言われるようになる。鬼はドングリを食べ獣を喰らい近親交配を繰り返しながら少人数の社会を形成していた。

ある日、一匹の小さな鬼が学校の鐘の音を聞きたくて里に降りてきた。この鬼をウラという。ウラと目を合わせた子供は言葉を話せなくなるという。そんな折、ボーイスカウトの一団がキャンプ場の下見にアスレチック公園を訪れるも、鬼たちと出会ってしまった彼らは、山で迷子になってしまう。この場面での迷子とは鬼が人間をからかいながら追いかけまわし、恐怖に慄いた人間が命からがら逃げ惑うという鬼ごっこの場面だ。笑

一方で人が踏み入ってはいけない神聖な場所から、やっとの思いで逃げてきたボーイスカウトのリーダーは、村役場で働くシン(松原)のもとに逃げ込む。このシンは人間側の鬼との交渉役で松原と言われる。鬼側の人間との交渉役はウズメだ。この二人の交渉役が後に人間と鬼との虐殺の場面での重要なキーとなる。

ウラは人間の子供が教室で勉強している様子を見て自分も勉強がしたいと思うようになり、将来は学校の先生になりたいと希望するようになるが、一方で荒んだ教室や先生が半裸にされて授業をしている様子をも描写する。このようにちょくちょく里に降りてくるウラがきっかけとなって、やがて人間と鬼との殺し合いが始まってしまう。

これを制止し、鬼と人間が仲良くなる方法を考えようと躍起になる「今の松原」のシン。新しい世界を作ろうとした矢先、村長はこの歴史の「アヤ」を絶ち民族浄化の為に鬼を虐殺せよ。との指示を発令してしまう。果たして人質として人間が預かっていた鬼・ひばりの命も危うくなる。


ウラの動き、スピード、人間の目を覗きこむ仕草、どれをとっても完璧で素晴らしいキャラクターだった。鐘のような響きの導入音楽もこの舞台で十分に生かされていたと思う。終盤の展開は涙が出て悲しいやら悔しいやらで、すっかり物語に入り込んでる自分が居た。
ちょっとだけアングラの香りが加味された妖しくも美しい物語だと思う。鬼と人間を繋ぐ神聖な遣いのシンのキャラクターの立ち上がりも見事だった。強いて言うならもうちょっと本を解りやすくしたほうが万人受けするのではないか、とも思う。

それでもやはり小栗剛の本は好きだ。
僕の彼女はスナイパー

僕の彼女はスナイパー

演劇部隊Chatter Gang

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2010/10/07 (木) ~ 2010/10/11 (月)公演終了

満足度★★

次回はトトロをやってください
タイトルにスナイパーって付いてるだけで、なんだかデンジャラスな香りがしてハードボイルドさや、アクションや、キャッツアイみたいな情景を想像してしまうのはワタクシだけではないと思う。

ところがどっこい!登場した男子スナイパーはまんま「トトロの森」に住んでる森の珍獣のトトロみたいな輩が登場するのだから、どうなってんだ!笑)状態。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

そんな珍獣トトロのお出ましから、いあいあこいつはコメディだろ?!みたいに観客も尻をズリッとさせながら緩い舞台を緩く観てるわけよね。ホント既に熟睡モードしちゃってる観客も居たりして。。

そんなトトロだかムーミンだか区別もつかないようなスナイパーもさることながら全体的にキャストらが放つエネルギーには緊張感がまるでなし。笑

更に役者が吐くコネタはTVネタだったり、時代劇だったりのギャグ連発!そのギャグもウケなかったり、ウケたり、ウケなかったり、ウケなかったり・・。笑

で、全体を通して解った内容は、黒川恵美はOLだったが会社での人間関係に悩み15年前にビルの屋上から飛ぶように落ちて死んでいたのだった。「自分は太陽の子である。燃えることに憧れて止まない太陽の子である。」という言葉を残して、ひらりと飛んだ。

物語は今は亡き恵美の妄想と秘密裏な取引、秘密結社KRSが警視庁長官を暗殺する計画とそれを阻止しようとする捜査一課を絡めながら錯綜する舞台。

感想としてはなんとなく中途半端。コメディならコメディ一本で押し通したほうが観ていてすっきるするような気がした。全体的に消化不良感の残る舞台だった。
ちゃんと練りこめばちゃんとなると思う。


火蝶於七

火蝶於七

快楽のまばたき

タイニイアリス(東京都)

2010/10/08 (金) ~ 2010/10/11 (月)公演終了

満足度★★★

言葉あそびなアングラ
まさにアングラ。だから好き嫌いは割れると思うが、ワタクシはアングラ好きなので楽しかった。
それから、いちいち役者がやってることが面白くて、芝居を観てると言うよりも役者を観察して面白がってしまった舞台だった。こういったお面も皆で作ったんだろうか?とか、もうちょっと露出してくれても良かったな。とか、お歯黒は何を塗るんだろ?とか・・・笑)

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

物語は廓「よだか屋」で働くお七と他の女郎達らの物語。
女郎小屋では今日も男衆を相手に手練手管を披露していた女郎達だが、彼女らは普通の女ではないのを売りに「目が見えない、耳が聞こえない、言葉が話せない、心がない」というちょっとした憐憫と一緒に春を売っていた。

男衆は同情にも似た感情で女郎を見下し、むしろ目が見えなく余計なことは言わないのを好都合と考え、醜男には人気があったのだった。

一方で「よだか屋」のお七に願いや許しを請うとそれが叶う、という噂で祭り上げられたお七に「春を売らずに言葉を売れ。大人になると罪の意識と勘違いが多くなるから、繁盛する」と企むお上さん。(女郎小屋の主)

しかし、女郎のなかには贔屓にしてくれる客を好きになってしまい恋に溺れてしまう女や一目ぼれしてしまう女も居た。そんな女郎をお上さんは商売の邪魔になると引き裂こうとし更に代官の申し入れを受けてお七の身売りを決めてしまうのだった。

そんな代官にお七は因果応報の意味を悟らせ、惚れてしまった吉三郎と自分が幸せに暮らせるように策略するも、今度は吉三郎の気持ちが離れてしまう。禁断の恋をしてしまったお七は抑えられない激情が頂点に達すると廓に火を付けて己の情念と一緒に過去をも燃やしてしまう。

男を操り自分にも客にも大芝居を売っていた女郎達は赤く燃え盛る情念の火でやがて灰になる。

キャッツの導入歌も奏でながら終盤の終わり方は絶妙で伏線もきっちり回収していたが、すこーしだけセットが質素だったため、全体の廓の情景が削がれたような気がする。古い和服を散らばせる工夫やごちゃごちゃ感や、雑多なものが溢れかえっていてもいいような気がした。提灯とか。笑

更に欲をいうならエロいシーンも欲しかった。(欲望!)
あの手 この手

あの手 この手

FARM

小劇場 楽園(東京都)

2010/10/06 (水) ~ 2010/10/11 (月)公演終了

満足度

観客誘導がド素人?!
本日、小田急線下北沢の信号機故障の理由で電車が1時間以上ストップしたまま動かず。そんなだから劇場に到着したのが開演して15分経ってから。その際、係りのスタッフが誘導してくれたのは目の前にズドーン!!と聳えるでっかい支柱のある舞台が観辛い席だった。

それでも客席に空席がなければ仕方がないと諦めるワタクシなのだが、ところがどっこい!客席は遅れてくる友人の為にとこの期に及んで先に来た人が確保してるものだから、そんな死席が右側だけでもちらほらある。

これってやっぱりスタッフの誘導が悪いよね?楽園のような客席は前の椅子の背もたれと後ろの席の人の膝がぴったりとくっつくほど狭いのだから、公演が始まっちゃったら、遅れてきた観客を奥の方にある確保席まで誘導出来るはずもなく案の定、ワタクシの後に来られた観客数人は手前の支柱前に座らされていた。

こういった場合、普通は開演5分前には「恐れ入りますが本日込み合っておりますので、公演が始りましたらお連れ様は入り口付近に座って頂くことになりますので、確保席(空席)を詰めて頂けますか?」とアホで自己中な客を説得して詰めて座らせるように誘導しなくてはいけないはずなのに、あまりにもグダグダな誘導だった。更にパンフレットも貰えず。苦笑!

この誘導の仕方が完璧だったのは「express」(王子小劇場)のときの PLAT-formanceのスタッフらだ。見習って欲しいと思う。

ついでに言うなら、今回の公演は芝居ではなく、コンテンポラリーダンスで好みではなかった。だから評価は割れると思う。

初心者向きでもない。

無邪気で邪気なみんなのうた【総製作期間2週間終了しました!】

無邪気で邪気なみんなのうた【総製作期間2週間終了しました!】

ぬいぐるみハンター

参宮橋TRANCE MISSION(東京都)

2010/10/08 (金) ~ 2010/10/11 (月)公演終了

満足度★★★★★

た、た、楽しい!!
かまえつ幼稚園あひる組の生徒たちと先生の情景を綴った物語。めっさ、楽しい!ちょっとエッチなシーンも笑える。池亀三太は大人数のキャストらで描く戯曲が得意分野なのかもしれない。2~3年前の公演と比較しても確実にレベルUPしている。素晴らしい!


以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

エネルギーが有り余ってる園児たちは大人顔負けの小生意気な会話もするし、ちょっと気になる女の子を構ったりもする。かと思えば、先生にタメ口きいたり、シビアな悪口も吐いたり、好きな男の子の争奪戦も展開する。言い争いから激情して頂点に達した感情をコントロールできずに、ついつい殴ってしまったりもする。

思えば、実際の幼稚園児ってこんな感じなんだろうな。と正直思う。笑
喧嘩の仲裁に先生が宥めたりすかしたり・・。

一方で女の子のパンツが無くなった事件が起こる。そんな時、実習生の福島先生(男)が園児にパンツはどんな形だったかを事細かく粘着に尋ねるシーンの目つきは、「をいをい!お前が盗ったんやろ!」と思えるほどのイッチャッテル目つき。笑)

男の子はふざけて尻をだすわ、女の子をセクハラするわで、ドタバタと勢い良く留まるところを知らない。しかし、園児たちに吐かせるセリフの数々は絶妙で、そのナンセンスさとブラックジョークに大笑いして涙が出たほど。

それでも「桃太郎とシンデレラ」のクラスの催しでの役決めでは賑やかに反論し主張しながら大騒ぎしていた園児らもお歌の時間では蝉のようにピタッと止んで、また一斉に合唱するのだから、可愛いらしいのだった。

なんだか、懐かしくもあり可笑しくもあり楽しい時間だった。キャストらのキャラクターはやはり素敵だ!

ルンバDE東西線

ルンバDE東西線

ポリタン煉瓦亭

劇場HOPE(東京都)

2010/10/07 (木) ~ 2010/10/10 (日)公演終了

満足度★★★

らしくないアンドロイド!苦笑
まるで人間そのもののアンドロイド。動きもまったき人間です。全体的にはコメディのようなそうでないような、とりとめのない舞台でした。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

小さな横山鉄工所を舞台にした人間模様。
とりあえずヒューマン型アンドロイドという設定は登場するものの、殆ど人間。もうちょっとぎこちない動きの方がアンドロイドっぽいなぁ、と感じた。アンドロイド・ノリコを襲うと言われているめっさ弱いグラサン男ヤマザキのほうがアンドロイドっぽい。笑

物語はナオキを軸に職場恋愛、亡くなった姉との思い出を盛り込みながらの舞台だが、結局薬局、何が表現したかったの?という疑問が残り満足感のない舞台だった。

アンドロイドもこの物語ではさして重要なポジションになく、ナオキの男としての不甲斐なさを露呈したような舞台だった。

ただ、所々にクスッと笑う箇所はあり、それが救いな物語。
次回はもうちょっと練りこんだ舞台を観たい。
ペーパーカンパニーゴーストカンパニー

ペーパーカンパニーゴーストカンパニー

劇団6番シード

萬劇場(東京都)

2010/10/07 (木) ~ 2010/10/11 (月)公演終了

満足度★★★★

再演だけあって完成度高し
編集局長・黒部役の小沢の演技が相変わらず素敵だ。小沢が登場するだけで場が引き締まるから流石だと思う。高校生・君島役の樋口は少々、ってか大幅に年齢設定に無理があるものの、それはそれでコメディだからと納得!笑

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

新鋭タブロイド紙「サブウェイリポート」の編集作業中に一年前に亡くなった沢渡の妻・春子が幽霊になって出てきた。春子の存在は誰にも見えないはずなのに霊感の強い記者の楓にだけは見えちゃうから、さあ大変!

春子の存在や春子が夫・沢渡に伝えたいことを、なんとか楓は皆に解らせようとするも、誰も霊の存在なんて信用しないから、現場はあたふたとしながらも更に戦場と化してしまう。

一方で妻が亡くなってから、なんとなく自暴自棄になり仕事に打ち込めない記者の沢渡の心の内を盛り込みながら、深夜に起こる異変の数々と様々な事件の繋がりをも巧みに描写しながら序盤にばら撒いた伏線を見事に回収する。

序盤はスピード感溢れるコメディでキャストらのハイテンションなセリフのテンポがコミカルで心地良い。しかし終盤は一転して夫・沢渡を思い遣る妻・春子に焦点を当てて観客を泣かせる。女性客よりも男性客の多くが泣いてたことを考えると、男性にとってツボだったのだとも思う。

霊媒師のような役割をしていた楓こと宇田川がひじょうに頑張っていた。楽しくて泣ける舞台だった。毎回、感じることだけれどここのキャストってものすっごく濃いよね。笑
アフタートークはちょっとぐだぐだだったけれど、耳を付けた異性人が混ざってました。笑

Re-miniscence

Re-miniscence

BLAM!!!

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2010/10/07 (木) ~ 2010/10/11 (月)公演終了

満足度★★★

4人の秘密
こんなことは言いたくないけれど、ちょっと劇団が青いかな・・と。物語はファンタジーという性質上、即興コントは必要ないと思うし、舞台はショー的な要素が多い為、本筋が散らかってしまっていた。更にヒロインが若すぎ。見た目、高校生。だから、違和感があって物語の透明な世界に浸れず、2時間の公演がものすっごく長く感じてしまったのだった。反面、セットや衣装、照明は素敵で美しい。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

物語は小学生のリンと悠馬が光の海小学校でのタイムカプセルの話題から悠馬のじいちゃんが遠い過去にタイムカプセルに残した一通の手紙の内容を描写した不思議なファンタジー。

光の海小学校からの友人で大人になった5人の男子は今でも仲良しだったが、ある日、塔馬以外の4人は、何かに付けて塔馬が自分たちより優位なポジションにいることに嫉妬し、塔馬の存在自体を邪魔に感じるようになる。加えて塔馬の婚約者凛子を密かに恋していたアムロは、この想いが辛く、悔しかった。自分たちが幸せになるために、凛子に内緒で塔馬を殺そう・・。

そう結託した4人はある日、ダイビング中に塔馬の酸素を抜いて溺れさせてしまう。しかし、塔馬が居なくなっても4人のポジションは変わることなく、凛子が塔馬を慕う気持ちは強くなる一方だった。やがて彼らは後悔の念と罪の心に苛まれココロというゾンビみたいなもう一人の影に付きまとわれることになる。

しかし、物語は4人の罪の意識からついつい凛子にこの秘密を暴露してしまう。すべては他人を妬む心の闇から起こった物語だが、当の塔馬はこれを許し浄化するストーリー。

キャストの中でも特に良かったのが、艦長こと桜野と、タイコウこと富田が演技力で魅せた。それぞれのキャラクターも良かったが、なんせ物語に多くを盛り込みすぎだと感じた舞台。

友達が全員死んだ

友達が全員死んだ

チェリーブロッサムハイスクール

ザ・ポケット(東京都)

2010/10/07 (木) ~ 2010/10/11 (月)公演終了

満足度★★★★★

友情
オープニングで魅せる。音響効果もあって、最初からハイテンションな気持ちになる。序盤コメディかと思うほどコマツザキとワシヤ、テルイのキャラクターの立ち上がりの見事さ!笑
しかし、後半からのうねりは客席から観ると美術館で芸術作品を眺めてるような感覚に。ひじょうに素晴らしい舞台で、特に終盤からの追い込みはうるうるとし、構成、演出、キャストらの動き、音響、全てにおいて芸術そのものでした。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

「友人代行サービス」の派遣員たちは結婚式場の倉庫で「友人代行サービス」の職員・シマモリを軸に打ち合わせをしている。ここでの光景はコミカルな展開で笑える箇所がいくつもある。全体的にコメディなのか?と思いきや、中盤あたりから、どうも様子が違ってくる。

新婦カエデとチンピラ顔の新郎タクヤを派遣員たちがあだ名で呼んだりする場面から、どうやら派遣員たちと新郎新婦らが、かつてのシマモリの小学校の同窓だということを観客らに引水させる。

当時、シマモリは日光いろは坂でのバスの事故により全員友達を亡くしていたが、その原因はシマモリがバスを動かした為に崖から転落したということだった。これがショックでシマモリは当時の記憶を喪失し、友達の顔を思い出せないでいた。これが「友達が全員死んだ」と思い込んでいた、ということだ。

しかし、これらはシマモリの記憶違いで事実はカエデの姉・みどりだけが亡くなって他の友達は生きていたのだった。彼らはシマモリに何とか自分たちを思い出させようとして、全員で「友人代行サービス」の派遣員として芝居を打っていた、という筋だ。

結婚式場倉庫での会話から少しずつ椅子を動かして、バスに見立てていく演出は見事だった。現在から過去に戻る瞬間の場面だ。いろは坂を走るバスの中から子供たちが見る背景の描写は職人技の域だと思う。更に嬉しくて騒ぎはしゃぐ子供らの描写は計算された動きで絶品だった。悪戯好きの子供たちの仕業でバスが少しずつ動いてしまった場面では個々の子供らの感受性や性格をも表現し、そにの緻密さは、まさに芸術で観ていて「美しい光景だな・・。」とため息がでたほど。

これらの過去の情景ををぽつんと眺めるシマモリ。

すべては派遣サービスと思わせておいて、実は同窓の仲間たちがシマモリを思い遣った配慮だったのだ。シマモリの記憶を蘇らせるための。

観る事が出来て良かったと思う。前半と後半のスパイスの違いの見事さに鳥肌が立ったほど。隠された真実は友情の為だ。次回も必ず観たいと心に誓った公演だった。観られて幸せ!


神様に一番近い場所

神様に一番近い場所

LIVES(ライヴズ)

赤坂RED/THEATER(東京都)

2010/10/06 (水) ~ 2010/10/10 (日)公演終了

満足度★★★

大入り満員!
入り口近くの階段にキャンセル待ちのお客様の列が並ぶ。すっごい賑わいで、急遽、ちっさなパイプ椅子を客席の両階段にも設置しての満員御礼でした。

物語はコメディらしく、くだらないのだけれど、祭りに関して良く勉強されてて「ああ、なるほど・・。」なんていう場面がけっこうありました。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

神様に一番近い場所というのは神輿だそうだ。その説明もあり納得!物語はとある田舎町での「穴尻祭」という一目見ただけでも、イヤラシそうなネーミングのお祭りをTVクルーが取材に入る場面から。「穴尻祭」に使われるバナナ神輿と、これまた、シモネタを彷彿させるような神輿ワールドにTVクルーらは当初、テンパッテ取材していたものの、これらの言い伝えには何の根拠もないことが解りがっかりする。

そんな折、神輿の猿形といわれているお祭りの英雄・テルさんが事故に遭い猿形が出来なくなったという。猿形とはだんじり祭りに丸太の上に乗るヒーローのようなもので、バナナ神輿にかじりついて落ちないようにする兵らしい。

それを聞いた奉男衆はこぞって猿形に立候補し、投票にてこれを決めることになったものだから小さな平穏だった田舎町はちょっとした地震のように大きく揺れることになるのだった。

猿形の名誉を我が手に、なんつって賄賂工作するもの、自分の票集めにやっきになるもの、アブラムシといわれる連中の間違った方向への結託の仕方。笑)などなど、もう、恥も外聞もなく自分の為に生き恥さらしてしまう奉男衆。笑

ここぞとばかり撮りまくるTVクルー。ここぞとばかりに選挙たすきをかける者。人口30人にも満たないリトルカントリーのお祭り騒ぎでした。笑

内容は各地のお祭りの紹介もあり、ひじょうに解りやすい。しかし大爆笑はない。クスッと笑える箇所がいくつか。奉男衆らとこれを支える女衆の強さが滲み出た作品だった。まったく頭を使うことなくゆるりと楽しめる大衆的芝居。


名探偵ポワロ

名探偵ポワロ

PureMarry

THEATRE1010(東京都)

2010/10/05 (火) ~ 2010/10/12 (火)公演終了

満足度★★★

可もなく不可もなく
「名探偵ポワロ」なんつーとどうしてもコナンを思い出してしまうワタクシ。しかし、どっちも変わらないほどにベタで解りやすい内容だった。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

科学者エイモリー卿の邸で卿が毒殺された事件の謎を追う。
この物語は何回も公演され、また、アガサの本なので内容はどなたも解ってると思うので説明は割愛。

かくしてポワロが犯人を炙り出すのだが、名探偵ってのは箱に埃が付いてないかどうかなどの些細なことも疑問視しないとこの商売は出来ないのだとつくづく感じた。笑

アガサのミステリーは本で読んだ方がやっぱりいいな・・。などと思う。そういった意味では舞台での上演はそれなりに制限されるし、本ほどの想像力にも欠ける。

で、今回、感じたことはポワロが名探偵だからなのか、まったく緊張感なく演じていた。本当に殺人事件なんかあったの?とワタクシが疑っちゃうくらいに。たぶん、これが名演技ならではのポワロのキャラクターなら、ポワロは物事に動じないキャラクターなのだ。

脚本は割りと忠実に書かれてあり解りやすく疲れないために万人ウケする舞台だと思う。
柔らかいモザイクの街

柔らかいモザイクの街

サラダボール

アトリエ春風舎(東京都)

2010/09/23 (木) ~ 2010/10/06 (水)公演終了

満足度★★★★

繋がったモザイク
早織の人生を綴った物語。サラダボールの描写は割りと好きだ。その描写は断片的だけれどきちんと繋がってステンドグラスのようなカラーが見えてくる。美しく繊細な物語だと思う。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

現在、痴呆になった早織は介護施設に入ってるらしい。これを介護する職員役が島田曜蔵なのだけれど、なかなかはまり役だ。この後、早織を軸に早織が生きた人生を10代、20代、50代とその時代の、それぞれの友人関係や家族との関わりを映し出していく。

学生の頃の友人との関わりあい。就職して恋に破れ退職してデザイナーを夢見たのちの挫折感。結婚して妻になったものの、子育てが終わった後の自分と言う存在感のなさ。空虚感などを見事に演じていたと思う。

そして早織をとりまく人間関係の描写もお見事で、50代の主婦らが集る賑やかな光景もリアルで愉快で楽しかった。あんな風に煩いのかと。笑)

全体的にコミカルにぼんやりと断片的だが一つ一つははっきりと走馬灯のように流れるあの頃の出来事。それは夢の中の昔の記憶だ。早織の夢の中を描写する現実と過去を交錯させた物語。

演出があまりにもお見事。人が死ぬ間際ってあんな風に色んな事を断片的に見るのだろうな、と想像する。
死ぬまで生きること。それが人生というものだ。


島田のカラオケが絶妙でした。花丸!



砂と兵隊/Sables & Soldats

砂と兵隊/Sables & Soldats

青年団

こまばアゴラ劇場(東京都)

2010/09/16 (木) ~ 2010/10/06 (水)公演終了

満足度★★★★★

コメディかと思ったほど面白い!
他の方も書かれているようにセットが圧巻!
砂、砂、砂一面で、いかにも砂丘のように盛り上げている。上から吊るされた砂袋から砂時計のように落ちる一筋の砂。
これは一筋縄ではいかない物語をホーフツとさせる。笑

全体的に浮かび上がってくる情景はイラクではなくフランス的なのだ。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

砂丘の山から兵隊がやってくる。この段階で顔が緩む。見慣れた青年団の面々が、登場しただけで嬉しくて仕方がないのに、彼らはまったくの緊張感ゼロでもって歩腹前進してやってくるのだ。西川兵士こと石橋亜希子ほど和むキャラクターはいないと思っているのに兵士なのだ。笑

彼らはのんびり~と家族の話なんかしちゃってる。なんやら砂場に遊びに来たような風景だ。そしてまた歩腹前進するのみ。そんな中、白いビーズのバッグに白い傘をさして貴婦人のようなドレスを着た榊原という狂った女が第六連帯にいる夫を探しに来る。しかし探す当てのない夫なのだ。

かと思うと新婚夫婦にも出会う。なんだか星の王子様のような風景だ。笑)  そして妻(母)を探しに来たという家族たちにも。

彼ら全員が砂漠で誰かをいつも探しているのだ。この風景が延々と続くのだが、こんな代わり映えのない状況の中で、新婚の軍事憲章ヲタの妻に西川は憲章を盗られてしまう。現役兵士の間抜けっぷりや、はなから戦う気のない敵兵の登場がとにかく可笑しい。「熊避けに鈴を鳴らす」というけれど、敵兵は敵避けに銃声を録音し流しているのだ。笑

新婚夫婦の夫が敵兵に謝って射殺され、妻は味方の兵士を探して「戦いなさいよ!」と絶叫しても、無関心げに「私たちの任務は戦うことではなく行軍することなんで、すみません。」とのたまうところは、やっぱり不条理劇なのでした。

この戦争で敵兵と一度も会ったことがないという兵士ら。進む先がない、何処にも行く当てのない行軍を続けるだけのアニメな世界感。

すっごく面白かった。こういった不条理劇は好みなのと、輪郭のない不条理さが絶品でした。

buzz

buzz

studio salt

相鉄本多劇場(神奈川県)

2010/09/29 (水) ~ 2010/10/03 (日)公演終了

満足度★★★★★

横浜まで行った甲斐がありました。
こういったどこまでも深い読みの舞台を観ると、感想をUPするのを考え込んでしまう。もしかしたら、言葉によっては舞台の印象を違ったものに囚われてしまいかねないからだ。だから、なるべく忠実に偏見なしで書いたつもりだ。それでも、もし、この文章が作家・椎名泉水の意図するところと違ったなら、こんな見方もあるのだと、サラリと受け流して欲しい。。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

舞台はいきなり少年らの暴力的なシーンから始る。暗転の際の「ジーー!!」という濁音による音響効果は絶大なインパクトがあった。そうして暗転後の少女監禁の場面、どうやって少女をいたぶって暴行したかをも描写し、割に残忍な場面も捉える。だから観客はそれなりの衝撃を受けると思う。しかしこれが真実なのだと思わせる力のある舞台だった。

この物語のモチーフは「東京都足立区綾瀬女子高校生コンクリート詰め殺人事件」だ。彼らがどんな状況下で少女を殺すに至ったかを、家族との関わり、犯人の兄との関係、交友関係を織り交ぜながら舞台化してあった。

しかし、この物語を舞台化した作家の意図は少女を殺した動機よりも、彼らがクサって閉じこもるまでに、誰でもいい、近くに救いはなかったか。に焦点を当ててるような気がする。だから、「あの時、彼らは野球をしていたなら・・、・・・だったなら。」という後悔にも似た兄・満の終盤のセリフが重い。

出所した豊と同じ工場で働く坂本との会話に思わず落涙してしまう。世の中にいらない人間なんてあるはずもないのに、彼らは自分たちがそうだと言い切る。ハッピーメロンとカニパンを食べながらの穏やかな風景での会話だ。

34歳になった豊は殺した少女への罪悪感に苛まれ、「自分が死んでも罪は償えないんだろうな・・。」と後悔の念で呟き、兄の満もあの時、少女を助けずに見殺しにしてしまった罪の意識によって蝿を恐怖に感じてしまう。そう、蝿は少女が腐りかけた身体の臭いによって集ってきたあの蝿なのだ。

現在は弁護士になった満も家庭を持ち15歳の少女がいる。だからこの娘を守ることに必死なのだ。そうしてあの時の少女にも家族は居た。


冒頭のシーンが終盤にも繰り返される。撒いた伏線をきっちり回収し、兄・満は過去の少年だった豊に投げかける。「そっちに行っちゃ駄目だ!」と。

二人で投げ合ったキャッチボールのボールは兄が考えもしなかった方向にずれ込み歪んでぐにゃりと方向転換し取り返しがつかないほど遠くに飛んでいったままだ。一歩間違えた道だけれど、その道のりは遠い。

照明、導入音楽「あなたが私にくれたもの」、キャストの演技力、キャラクターの立ち上がり、構成、演出、まったくもって見事だった。ひじょうに素晴らしい舞台だったと感じる。もっと早めに観て宣伝してあげたかった、と後悔したほど。

追伸:麻生0児の中学生に震えた。笑、、、ああいった中学生って実際いるよね。実はワタクシ、彼のキャラクターが好きだ。癒される存在感のある役者だとつくづく思う。

次回も是非、観たいので次回公演には必ずメッセージを下さい。でないと公演日を忘れてしまいますので・・。
Empty Kingdom

Empty Kingdom

Island

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2010/09/30 (木) ~ 2010/10/03 (日)公演終了

満足度★★★

中世のファンタジー
久しぶりに懐かしいキャストらに会えて嬉しかった。ついでに葡萄クッキー(100円)を購入するのを忘れてしまった。苦笑!
今回の衣装は中世を匂わせ、直ぐに物語りに入り込むことが出来たので良かったと思う。ワタクシの後ろの席の方がツボに入って号泣していた・・。


以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

いつも他国との領地争いによって戦いは続けられ、民衆は苦しめられていた。これによってレジスタンスは立ち上がり活発化し暴動になる。これを力で抑えようとする王国。反乱軍と王国軍との戦いの中、王国では姫将軍と呼ばれるミラとミラの伯母・王がこれを指揮するも、ミラの「戦争のない国」を理想とした意思によって自らを滅ぼすという決断をする。

ミラの幼馴染・カーティスとミラの会話「守りたいものがあるから逃げる。」「守りたいものがあるから戦う。」には深い意味があった。二人の勇姿の一人は命を失い、もう一人は生き残ったものの、その心の中の記憶は二人の幼い頃の美しい記憶だけが木魂する。

終盤は全ての王族側が死んでなんとなく、かつてのフランス王国を思い出した。時代背景や戦う者たちの関連、思想や理想どおりに動かない状況をきちんと的確に描写していたと思う。

惜しむらくはもうちょっと剣アクションを勉強してもらいたいと思った。それ以外の演技力では魅せてくれた。


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