満足度★★★★
宣伝不足?
平日マチネだからか、客席に空席が目立ちすぎ。あまりにも空席が多いと、もしかしたらつまんないんじゃないか?と頭をヨギル。しかし始って見ると麦と盆のコンビがいい。この二人が最後まで舞台を引っ張った。『相棒』を彷彿とさせるが、こじゃれた雰囲気や設定は『探偵物語』を思わせる。どことなくイタリア的な雰囲気も。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
同じ孤児院で育った二人は少年に成長しギャングになる。そしてヤクザの組長宅から一億を盗み出すも、アジトに戻ると小さな女の子と女の死体が・・。
女を殺したのは盆と勘違いした麦は盆をアメリカに逃がす。
それから時は流れ、麦は探偵になり、同じく麦がアメリカに逃がしてやった相棒・盆が帰ってきた。
物語は現在の探偵事務所で過去に起こった情景を推理させるように解いていく構成だったが、ハードボイルドにしては大したアクションはなかった。むしろ、どちらかというと、上質なワインの香りのするセリフと、ハットとダンディな衣装で動き回る探偵らは大人の雰囲気を漂わせるように舞台が作られ、ドブネズミのように嗅ぎまわる探偵ではなく、あくまでも麦という男の人間性と生き様を描写したような舞台だった。
全体的にキャストらの演技力は素晴らしいが、本に大きなうねりはなく、もうちょっとぶっとんだ構成のほうが楽しいように思う。それでもおしゃれでセンスのあるセリフに充分に魅せられた。次回も観たい。
満足度★★★
皮肉な問答
無知を装いながら、知者を自認する相手と問答を重ね、かえって相手が無知であることをあらわにし、その知識が見せかけのものでしかなかったことを悟らせる人たちがいる定時制高校での風景。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
この物語の主軸は定時制高校の教師らだ。学園ものなので内容はごく単純で解りやすい。だからすんなりその情景に馴染めるが、コメディがいかんせん、昭和のテキストだ。
定時制だけあって様々な動物ランド的な生徒も、馬面の教師もいる訳だが、なんといっても、イヤミみたいなヅラ被って登場した大塚(教育委員会)はどちらかというと、「おそ松くん」みたいなキャラクターだ。笑
たぶん、作者はこの物語をユーモア溢れたブラックコメディとして立ち上げたかったのだろうが、イマイチ、爆発的な笑いに欠けていた。更にキャストの噛みが目立った。
役者に同じセリフを何度も羅列させるより、斬新なコネタで笑わせて欲しかったのだが・・。
とにもかくにも安心して観られる舞台だ。
満足度★★★★
ミュージカル♪
イッツフォーリーズの面々がキャストだけあって歌で魅了する。そして秘密基地みたいなセット。王子劇場がちょっとした絵本の中のような風景になっていた。鑑賞に適した座席は入口奥から中央にかけて。奥の方で大半が演じられているので入口近くに座ると首が痛くなる。笑
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
国境線のほとり、土地の記憶を伝える音楽劇
一つの幸福な家族があった。しかし戦争によって民族は虐殺され、家族は引き離され、残された双子の姉妹は生きる為に国境の渡し屋として地雷や兵隊、狼を避けて案内する仕事を始める。その報酬で生計を立てていたが、妹・マルタは線(国境線)の向こうには桃源郷があると信じ線を越えて渡って行く。
一方でもう一人の姉:オルガは戦禍が通り過ぎるのをこの地で静かに待っていた。線の向こうに働きに行ったマルタは職場で亡命者であることがバレて、様々な差別を受け、その運命は囚人となって刑務所に入れられてしまう。桃源郷と信じて疑わなかった心もいつしか絶望し萎えてしまうのであった。
しかし離れ離れになった姉妹はお互いに手紙で励まし合い手紙によって希望を見出す。
物語の主軸はマルタの生命力が強調された舞台だった。どんなにどん底になっても生きていくという営みを決して諦めない。そういった力強さに観客は魅了され、涙していた。
かつて、この地でそんな物語があったのだ。と遠い昔を懐かしむように牛たちが語り手として物語のナビゲーター役を担う。それはユーラシア大陸を彷彿とさせる壮大なイメージでその中に取り込まれた音楽劇はファンタジー性も強かった。
良く練りこまれた物語を抽象的に演出したり身体表現によって描写していた。素敵な音楽劇だった。
満足度★★★★
スポンサーはナショナル
そう思わせるような設定。笑)
舞台のはじまりは、ごまのはえが天空から神のようなに語り創世論から。これを聞いて、「あぁ、日本神話だな。」と納得。そういえば、ごまのはえって古代の神のような顔してるよね~。笑)
更にその声もなんだか神のお告げのように妙に耳に心地よかった。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
世界の創世は水槽の中の魚から始るが、それはやはりアダムとイブだ。彼らは子を増やしながら、やがて一つの街・ピラカタ(古代魚)を作る。ここでのピラカタはのちの枚方市のニュータウンとリンクし、ワタクシ的にはピラカタは枚方(ヒラカタ)なのだと感じた。
神々は2つの命を作り、やがて家ができ、街ができ、それらは裾野のように広がって一つの国が出来るのだ。そこで営む人間は障害者や登校拒否児や若い夫婦や様々な人間が蠢く。しかし誰をとっても欠陥のない人間は居ない。人間もどきのような人間が他人を、あるいは自分自身を傷つけ傷つけられながら生きているのだ。
この物語を観ているうちにここで登場する少年はもしかしたらごまのはえ自身なのではないか、などと勘繰ってしまう。また、車に轢かれた少女・沢井かづえを演じた藤田かもめのホラー的な演技力に圧倒される。そして終盤はアングラ色濃い描写でファンタジーとが入り混じった不思議な世界感を表現していた。
タケルが黄泉の国へ母を捜しに行く旅はいわば、現実逃避であり、その根拠が、「自分がダメな人間だとか、嫌われものだとか考えず、自分に自信を持つことだ。」と締めくくった言葉でワタクシ達観客にパンチを与える。そうしてそのセリフは自分に自信を持てない人たちへの希望の言霊だ。
天からこちらを観ている神々は人間の営みを見てどう思うだろうか?それでも街はキラキラと輝いて夜の漆黒を明るくさせているのだ。美しいファンタジーな世界感。素晴らしい。音響もグッド。
満足度★★★★
Aバージョンを観た
平日の昼間だというのに超満員の客席。素晴らしいですわ。
今回、めっちゃ楽しみにしていたのは岡田亜矢が出演することと、更に不思議なオーラを醸し出しちゃってる、いとうあさこの存在感の大きさ。素晴らしいですわ。惜しむらくはママ役の佐伯の演技がイマイチ。
先に「観てきた」をUPされた方がUPがないと書いていましたが他のサイトでは現時点で、93件のUPがあります。ご心配なく。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
小説家・水上進は幼少の頃から複雑な生い立ちや、数奇な運命によって今まで生きて来た。そんな人生から現実逃避し自分の人生にも『設定』をすることで何とか生きて来のだ。進を主軸に家族とは、幸せとは・・を模索したような作品だった。
進が好きになる相手役の真佐子(いとうあさこ)の独り舞台といってもいいほどのインパクトがあった。殆どの笑いを彼女がもぎ取り強引に物語りに引き込む力量は流石だ。そんなだから道井のキャラクターが喰われて地味になっていた。笑
その真佐子自身は、20年ものの自らの薄幸な人生をちょっとずつ幸せを補充しながら火を灯すように凌いできたのだった。美も金も地位もない、何も持ってない真佐子はその代わり回りの人を幸せにさせる人なのだが、イザというときに自分の幸せを掴めない。幸せの神様は前髪を伸ばしながら一瞬のうちに駆け抜けてしまうのだ。
そんな彼女の「中の下」の人生もきっとハッピーエンドが順番に回ってくるのなら、それは自分の設定次第なのかもしれない。ほの温かなお芝居で素敵だと思う。ジン・・!と響く。
それにしても人間って、餌を与えられ生きていくのに何不自由しなかったら、やっぱ堕落するんだね~。笑
満足度★★★★
バリ!コメディ
イケメン6人+その他1人=「プリンスセブン」と学園内で呼ばれるようになるもプリンス達は、なんと7人とも1人の女の子に恋をしてしまうのです。姫の為なら・・と献身的に尽くしぬいた彼らが大人になってからも、姫に振り回されようとは・・。勝手に激しい思い込みをした挙句、その果ては・・。笑
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
「私、結婚します。」この展開から始るプリンス達の慌てふためくずっこけぶりをイケメンらが思い出のシーンで披露するが、一人ずつ姫に成り代わって演じるカマ風味満点のきちゃない姫っぷりが、とにかく可笑しい。
なんとか姫の結婚式をぶち壊しプリンスセブンは我こそが姫の手を取って、あの名作「卒業」のワンシーンのように2人で逃げるんだ!と意気込む。しかし、やっぱり姫の幸せを考えると見守るしかない。と焦燥的になりながらも大人な選択をするプリンスセブン。いあ、もう遅いって。結婚式なのだから。笑
今回、セリフの噛みが目立った。イケメン6人に混じってコメディユニット磯川家の島岡が出演していたが、なんだか肩身が狭そうでオドオドしていた。笑
やっぱ、気を遣ってるんだろうね~。
面白い!思い出話のシーンが一番面白い。
満足度★★★
残酷な仕打ち
これは以前、映画で観たが物語は1950年代、郊外の屋敷が舞台。クリスマスのために集まる家族と、忙しく働く使用人の目の前で、屋敷の主人が死体で発見される。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
彼の背中には短剣が刺さっており、自殺ではない。雪に降り込められた屋敷の中にいる8人の女性のうち、誰が犯人か互いに探り出すうち、隠されていた事実が次々と明らかになってゆく・・といった内容だった。
それに加えてその雪に覆われ閉じ込められた中にいる登場人物が実に良かった。
マミー・・ギャビーとオーギュスティーヌの実母はリューマチで足が悪く車椅子に乗っていた。
オーギュスティーヌ・・心臓が悪い。ひねくれ者で、色気がない。
キャトリーヌ・・シュゾンの妹。推理小説が好きな17歳の少女。
シャネル・・メイド。太めの黒人女性。
これらのインパクトのある登場人物が居てこそ、この戯曲を完璧にするのだと思う。
つまり、車椅子に乗っていたマルセルの義母は彼を殺すことが出来たのだろうか?色気のないオーギュスティーヌは彼と関係があったのだろうか?シャネルが彼を殺したとしたら動機は何だったのか・・?などと観客は自分なりの推理を楽しむことが出来るのだ。この点、演出がちょっとありきたりだった事と、キャストの演技力が雑だったように思う。もしかしたらキャストと配役が合っていなかったのかもしれない。ダンスシーンが少しバラバラで練習不足を感じた。コミカルで笑える展開はとても良かったと思う。
結局、彼の周りに居た女8人の行動に絶望してマルセルはカトリーヌの眼の前でこめかみに銃を撃って自害してしまうのだが、それもこれもツワモノの女達の犠牲になった構図だが、この大芝居を演じることを提案し実行した推理小説が好きな少女キャトリーヌが一番残酷だったのかも。時として人を絶望させる行為とは意図せずにやってくる。
満足度★★★★
都子の仕草がいちいち面白い
離婚を考え始めた中年夫婦の物語。
夫の発した一言がきっかけとなり離婚が表面化した夫婦が入り込んだ長いトンネルの出口のない迷走劇。
実際の夫婦である二人が、役の上でも夫婦を演じるので割に自然体で息もぴったりだった。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
50歳で刑事の夫。48歳のパート兼シナリオライターの妻。二人が離婚を考え始めたのは数年前だが、妻がライターとして本腰を入れ始めたころ、夫婦はすれ違いの毎日となる。夫は「俺達なんで一緒に暮らしてるんだ?」の言葉が発端となって、妻は自分の生き方を模索し、夫もまた定年後の人生を真剣に考え始めていた。
いよいよ離婚が本決まりになると妻は過去をすっかり清算したように晴れ晴れとした気持ちになって思考はポジティブだ。一方夫はどうもすっきりしない。土壇場になって夫は見えない先の孤独感に打ちひしがれてしまう。
一般の極々普通の中年夫婦や熟年夫婦の離婚って、こんな感じなんだろうなー、みたいな情景が演じられ、妻の前で鼻毛を抜いたり、靴下の臭いを嗅いだりする夫の汚らしさも表現する。そしてそれを叱る妻。逆に結婚とはそういった汚点も見過ごす度量が必要なのだろうな・・とも感じる。
離婚劇には毎回のパターンだが潔い妻と、いつまでもジタバタする夫の離婚へ向けての哀歓喜劇。
物語そのものは特に奇抜に捻じ曲がったストーリーではない。ごくごくありきたりの情景だ。陽の妻と陰に篭る夫の絶妙なバランスが旨味な舞台。
満足度★★
現代の若者の現像劇
そんな印象。印象という表現は物語が断片的でどこで繋がっているのか理解出来ない為だ。もしかしたら繋がっていないのかもしれない。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
コンビニ族が群れる。あるいは母親を介護しながら友達を部屋に呼ぶ。セックスをする。交番に勤務する警官らの情景。自分革命の為の合宿の風景。それらは群れないと生きられない個々の集合体だ。誰一人として他者に対して気遣いはない。むしろ自分自身を守るために、孤立しないが為に媚びる情景がクローズアップされる。どの世界でも人間の強弱があるようにここでもそのポジションは確立しぶれない。
床に転がる瓶の数々、けっして整理整頓されていない場所。そこでの人間関係は常識が一歩ズレて捻じ曲がった風景だ。
合宿のリーダーが、合宿の後に「どうだ、変わっただろう?」と自分の気持ちを押し付ける。「辛いことがいっぱいあったが、それを乗り越えた時に変われる。」と言い張り、それを受けた生徒は「変わってないです」とのたまう。
「変わった事に気付いてないだけだ。」とリーダー。
どいつもこいつも好きなキャラクターは一人も居ない。これが若者特有の「群れ」だとしたら、「群れ」こそがカッコワルイ。しかし群れずに一匹狼で仕事は出来ない。それが問題だ。笑
物語自体もストン!と急に幕が下りたように終焉する。断片的なピースの繋がりはなかったようだ。序盤に撒いた伏線を回収する程度の収まりがないと舞台の理解は難しい。
ちくわを持った警官のナンセンスぶりに笑った。全体的な構図を万人に解りやすく観せるのも必要だと思う。舞台とは結局薬局、自分の作りたいものを作るのではなく、観客を喜ばせる為に作る。という逆転の発想も必要だと思う。そんな感じを受けた舞台だった。初見の方には進められない。
満足度★★★★
観客の想像に任せる
廃墟を舞台にそこに集る人々が織り成す物語。実は短編集のような仕組みだが、少しずつ交錯していたりする場面もあって、どれも結論には達していない。その後の展開は観客の想像に任せる描写で云わば投げ本。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
廃墟で心霊ビデオを撮るためにやってきた心霊クルーと廃墟ガイドと霊能者らの一団。一方でそこに肝試しにやってきた若者4人。廃墟を取り壊すための調査をする役場の男。元不良リーダーを殺す計画で元パシリ二人が待ち伏せする空間。妹の闘病前に思い出の場所を尋ねる妹と兄。
これらがその後、どうなったか、あるいはそれ以前のホテルの情景を表現しながら静かにゆっくりと映し出す。そうして廃墟ガイドの正体がどうやら幽霊らしい。というようなオチで終焉するが、全体的な演出は廃墟という設定から、極力、照明を暗くしていた。
またコミカルな情景も加味されており笑いの爆弾もそこそこ仕掛けながら、肝試しの若者と元不良リーダーを時間軸で交錯させる展開は勘違いから成り立っており微妙にブラックコメディだった。
ダチだと思い込んでいる不良とそいつに苛められてたパシリ2人のアンバランスさも良い味を出していた。
独特の空気感に、そして結論の出ない物語に全ての観客が合うとは思えないが、これは感覚が合えば林灰二の、劇中投入される何ともいえないセリフ回しや瞑想めいた描写に魂が揺さぶられると思う。観て暫くたってからじわっとくる舞台だ。
惜しむらくはこういった音を大切にする舞台なのに客席で鼾をかいて眠り込んでる男性が居た。正直申し上げて「滅びろ!」と思った。寝るなら観るな。
満足度★★★
中屋敷の演出なので
もしかしたら・・?と思ったとおり「柿喰う客」カラー強し。だから評価は割れるはずだ。
イシハラ都知事がいつからヤクザになったのか・・、既に流山児を起用した時点で現イシハラ都知事に対して天誅のようなもの。笑
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
ぶっとんだキャラクターのテロリストやら、ヤクザ風味のイシハラ都知事など、相変わらずのアニメな世界感なのだが、
新型の義肢を装着したパラリンピック・アスリート2人はサイボーグのように瞬間移動しちゃってるし、その奔走っぷりも超人なのだった。その超人をどう演出するのか観ていたら、スロモーな走りっぷりを光で目くらましさせ、上手く演出してる技は相撲でいう猫騙しみないなナリ。笑
しかしながら舞台が広すぎてこじんまりとした演出やキャストの立ち居地などと空いたスペースが気になった。またキャストらの出入り、次の場面に繋がせる送りと迎えの場面展開が雑だったように思う。まあ、コメディみたいな感覚なのでそれもコメディのうち、と言われればそうなんだけれど・・。
幕開けの終盤の二人の疾走シーンは序盤に撒いた伏線をしっかり回収させきっちりと。
ウケタのはイシハラ軍団のバカバカしい行。
また障害者全員を良い人や健気だと勘違いしている健常者達をチクリと刺す場面もあり、そういった弱みを武器にしてズルク生きてやろうといった障害者の歪んだ強度は社会を風刺していた。バリアーフリーの表現も作家独自の説明だが妙に「そうだよな~。」なんて納得してしまう自分が居て、どっちが正常なのか解らなかった。笑
柿喰う客のファンにはお勧めの舞台。
満足度★★★
エンタメ満載!
今回は物語が前作と比較して複雑らしい。だから予備知識として有料パンフレットの見本に載ってる相関図を熟見した。これを頭に叩き込んで観劇するとより一層、解りやすく観られる。源平の戦いの中、術を操る陰陽師兄弟たちが敵味方となった運命を描くミュージカル。ちなみにロックというほどでもない。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
水無月、如月、皐月の3兄弟の陰陽師の末っ子、皐月は平家に殺され、弟の敵を打とうと心に誓い源氏側に付いた如月。一方で皐月の命を蘇らせようと蘇りの術を試行する為にやむなく平家に寝返った水無月。二人の陰陽師を主軸に運命に翻弄されながらも、国の未来や本来の運命を変えてしまう妖術によって繰り広げられる物語。
牛若丸、後の源義経役の植木豪が身体能力の高さを披露する。舞台上で踊る情景はまさに圧巻!これだけでも凄いのに演技力もなかなかのもので魅せる。更に毎回の事だが脇役らのダンスシーンも見ごたえがあり、鴉と猫のコンビがコメディとして上手くかみ合っていた。
全体的な構図としては解り易くショー的なエンタメとしては楽しかった。そうしてバックの映像で物語に深みを演出し、終盤の映像、細胞をアメーバ現象させたような画像はこれからの時代の象徴のような感覚さえ感じた。プロの技でした。
震災の影響なのだろうか、客席は半分が空席だった。
満足度★★★★
ともだちごっこ
お互いを友達だと思い込むことで自分は孤独ではなく社交的で人間として一人前なんだ。と感じようとするもっとも孤独な集合体のお話。
会場が煙草くさかった。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
スグルの家に集る仲間は「友達」を売り言葉に、大抵のことは許容してしまう。「だって友達なんだから当たり前じゃん・・。」と。その中で友達だったはずの人間関係が男女の仲になり状況は一変して「皆、兄弟!」みないな関係に成り下がっていく。
それでも彼らは友達と言い張るが、心から友達だなんて思っていない。群れていなくては不安で仕方がない描写が実に上手い。好きと嫌いの馴れ合いが彼らを優柔不断にさぜて、尚且つ自信のない歪んだ人間関係を終盤で本音と建前の両極端で描いていた。
メイコと本気で付き合いたいワダのセリフ「メイコと付き合ってるんだよねー、だからお前らと友達やめるわ。」の言葉がカッコイイ。しかしそのメイコにも裏切られるのだが・・。
今までの味わい堂々のカラーを根こそぎ、ひっくり返したような鬱な物語だ。一人が恐い人間の弱さを引き出したような作品だった。好み。音響が素晴らしい。セットの傾き加減がそのまま人間関係を表すかのよう。
満足度★★★★
確かに王道
旅芝居の家族一座の物語。女剣劇のスター三本木麗子と鏑木丸子のドタバタコンビ芝居はどうやらシリーズ化してるようだが、初見の観客にも充分に解るように前座で活動弁士が説明をする。いあいあ、ものすっごくレトロ感ありまくりですわ~笑
ネタバレBOX
今回は沖縄が舞台。お人好しで不器用な家族一座は丸米に騙されて沖縄での公演にやってきた。しかしいざ沖縄に来てみると当座の金も貴金属も盗まれてすっからかんに。しかしそれもこれも池宮城一座の座長が池宮城一座を助ける為に仕組んだものだったのだ。
物語の前半は殆ど緩いコメディで突っ走る。少々、笑いに転じすぎた為か物語に雑な展開もあって気になったが中盤で見せる丸子と一夫のデートのシーンは最高に可笑しかった。
そして終盤に見せる女剣劇のスター三本木麗子と鏑木丸子、池宮城一座が演じる劇中劇は緩んだ会場の空気を一瞬にして変えるほどの緊張感があり、きっちりと演じ魅せる。それはまるで霊験あらたかな憑き物でも降臨したような変わりようだった。う~ん。。流石だ!と唸る。
そしてこれらを支えるスタッフが実に素晴らしい仕事をしていた。プロ集団ですな。
満足度★★
期待が大きかっただけに
期待はずれで落胆度数、高し。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
ダンサーを夢見て日々練習をしているダンサーたちの人間模様。
主軸はダンサーなのだから、プロ並みのダンスを期待していったのだが、期待は大きく外れた。キャストらのうち、ちゃんと・・ってか、きちんと・・・ってか、まともにダンスを踊れたキャストがいったい何人居たのだろうか?
普段、ダンスには縁のないド素人丸出しのワタクシでも心の中で「下手だなぁ。。」と感じたのだから、この舞台を、そこそこダンスに通じてる観客が観たら何と言うだろうか?
更に大きな舞台上でキャストが二人になるシーンが多く、舞台の隙間というか広さをカバーする何かが足りない。そのアンバランスは独特のナンセンスなリズムをたたき出し、セリフの間も空きすぎてベタな内容を、激しくベタにしていた。笑いのウケが昭和の笑いでそこもナンセンスだった。
じゃあ、褒めるところはないの?って話だけれど、一部のダンサーのダンスは見事でしたがそれを披露する導入ダンスが少なかった。
満足度★★★★★
やっぱり好み
マコンドーの舞台は今回で2度目だが、やっぱり好みだ。
どこにでもある日常の女子の内面をクローズアップしたような描写だ。前作と大幅に違う空気感はやはり神戸アキコを起用したことによって繊細な物語にコメディを加味した不思議な味が出ていた。前説から舞台中の神戸アキコの登場場面で織り成されるしゃべりの大半は彼女のアドリブらしいから、やはり怪物だ。笑).....
そして今回も岡田あがさが魅せる。ワタクシは彼女のファンだが、彼女ほど切羽詰った演技力を得意とする女優も少ない。そして今回も彼女の演技に泣かされた。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
物語は3つの部屋で一人暮らしをしている女子たちの日々と思いを描いたもの。
引きこもりの星野雫と兄と元恋人の微妙な関係。
一方で長い間、幼馴染に想いを寄せる女・小宮夏は自分の愛を受け入れて貰えない寂しさから多数の男と毎日のように寝てしまう。自暴自棄になりながら苦しむ感情を岡田あがさの演技力で魅せる。終盤での夏の、捨て身の告白は胸を打たれる。
そして空き巣に部屋を荒らされた山田秋は彼女の先輩を頼って行くも、そこで織り成される3人の不思議なポジションの描写が絶妙だった。
これらの短編はオムニバスだがこれらを繋がせる居酒屋でのシーンで神戸アキコが店主をイジクル。更に自分で脱いだのか、脱がされたのか知らないが、観客に対するサービス精神は流石だ!笑
全体的に凄くいい。とってもいい。素敵な物語だ。
満足度★★★★★
エレベーターに閉じ込められた男2人の物語
とにかく面白い!そして笑った笑った!タイトルの意味も舞台が終わった後にしみじみ感じる。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
一人はサラリーマン。一人はフリーターの男が乗り合わせたエレベーターが突然、止まってしまった。パニクルサラリーマンとはうらはらに落ち着きまくるフリーター。聞けば二人共、28歳だという。
まさかな~、と考えながらも話していくうちに、彼らはお互いに生まれた巡り合せの様な因縁がある事に気付く。出生の秘密から同級生だった当事。その後の歩んだそれぞれの人生。そしてサラリーマンの結婚。サラリーマンの妻はフリーターの元カノという設定にとことん二人は驚くも、極めつけはリーマン妻の妊娠中の子の父親の真相までが暴かれる。
リーマンが不幸なときはもう一方が幸福で、フリーターが不幸なときはリーマンが幸せという究極の逆転劇も加味させながら、二人が過去に向かってどんどん紐解いてゆく仕方が絶妙で楽しかった。
観て良かった!素晴らしいと思う。アフタートークもとことん面白かった!
満足度★★★★
『変な穴(男)』を観た
有り余る金を持っていながら心にぽっかりと穴を持っている女富豪と奴隷のお話。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
こう書くと、大抵ゴージャスでセレブな女主人とイケメンの奴隷達を彷彿とさせるが、今回の登場人物のキャラクターはそんな彷彿を根元から切り崩したような役者らだ。
一晩で億単位の金を稼ぐ女は見た目普通だし、その金で飼っている男奴隷はアニマルランドさながら、イケメンは一人もいない。ワタクシがもし一瞬でもこの女だったら?・・と想像して、その想像をどう膨らましても、これらのアニマルを飼おうとは思わないのだった。笑
究極、金で買えないものはない。そんな気になってしまうのがセレブというものだ。しかしどんなに金があっても心に空いた空虚感は埋められない。しかし金がなくても空虚感は心にきちんと当たり前のように存在するから、考えたらやっぱり金があったほうがいいのだ。笑
今回のお話はその穴を埋めたいと思う女が奴隷を使って、究極の金の使い方をビデオに撮らせ、それを観ながら憂さ晴らしをするというもの。
バカバカしい趣味だがパット見、セレブとは縁のない普通の女が、これまたパット見、誰にも飼われないようなアニマル軍団を使う情景が滑稽で堪らなかった。笑
終盤、女が一人で逃げるシーンは奴隷を助けるという概念すらなく、それは蒋介石が沈む船のお宝を守るために奴隷を海に突き落とした光景に似ていて、その不条理がここでは正常なのだった。
満足度★★★★★
闇のアリス
小説家・脚本家の有里紅良と、漫画家の夢来鳥ねむとのコンビなので、アニメヲタは涎を垂らして観たい舞台だ。困ってる人を裏から助ける「なぞらえ屋」が織り成すエンタメ性抜群の舞台だった。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
舞台はまんまアニメキャラクターと七つの大罪を捩った「黒アリスの魔界不思議な物語」笑。
63年前に魔界に連れ去られたみよちゃんが人間の負の感性に囚われて暗黒のアリスとなってから、悪魔達は更に強大な力を得て暴れまくる。そして人間の欲望を満たすために人間と悪魔の間で取引が交わされるが、その取引は常に人間にとって理不尽なバランスの悪い契約だった。
みよちゃんを助け出すべく、そして悪魔に魂を奪われてしまった人たちを助けるために「なぞらえ屋」の奮闘と悪魔達の戦いを描いた物語だったが、悪魔達のキャラクターが実に楽しい。妖怪の宴さながら、悪魔達が織り成すダンスやお茶会はまるで妖しい夜の舞踏会のさまで、そのイカレっぷりも最高だった。
悪魔達が着用しているアニメコスプレも楽しく、更に「不思議な国のアリス」に登場する、トランプの精やらチェシャ猫、時計ウサギやその他のキャラクターの立ち上がりが絶妙だった。七つの大罪から生み出された悪魔達がキャラクターチェンジして更に強靭になった展開は実に楽しいというか、パワーアップぶりが尋常ではない。笑
浅草七福神の描写も組み入れ、現代と過去とレトロとアニメが混在する不思議な舞台だった。惜しむらくは亮輔が終盤で後ろを向いてセリフる場面があるのだが、これが客席を背にして話していたため、聞き取り難かったのと声が音響に負けてしまっていたのが残念だった。
個人的にゲフラビケィットのキャラクターが好みだった。
バカ馬鹿しくも楽しくそれでいてキュートな舞台!
満足度★★★★
孤独な作家家業
Aバージョン。作家の孤独な日常と妄想を描いた物語。いったいどれほどの作家が自分の書きたいものを描いているのだろうか?と考える。それは年に2回ずつ公演をやり続ける劇団と似ているが、売れている作家とそうでない作家の根本的に違うところは自分が描きたいものかそうでないかの世界感の違いかもしれない。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
作家は「黒と白」原稿以降、書けなくなってしまった。それでも編集担当者からの催促は止まない。締切、原稿用紙、それらは作家の肩にずしり・・と圧し掛かり押しつぶされそうになる。
しかし、作家はただただ書けないことに手をこまねいて遊んでいた訳ではない。自身の身の回りに起こった事をいつか物語りにしようとスケッチして眠らせていたのだった。
ところがそんな作家の苦悩と裏腹に物語りはスケッチの後続を走り書きするように続いてゆく。それは断片的に複数の短編として描写されていくのだが、それらは作家の妄想の中での物語りだというのが解る。
その妄想の中で、作家を励ます編集者、登場人物らが間接的に直接的に作家を奮い立たせていることが解る。いつも孤独をひしひしと感じていた作家はこれらをきっかけとして自分は孤独ではない。と感じることが出来る。
断片的に繋げる手法と構成が上手い。勿論、役者らの演技力がなくては成り立たない舞台だが、その中でゲームのようなサスペンス描写も絶妙で、観終わった後にじわじわと響く物語だった。
個人的に、羊と狼の場面、同性愛の場面がとても良かった。
全ては妄想の世界。