【公演終了】ステロタイプテスト/パス
The end of company ジエン社
d-倉庫(東京都)
2014/01/10 (金) ~ 2014/01/14 (火)公演終了
満足度★★★★
観方を見ぃ付けたっ
近未来(?)のある施設でのあれこれ(←敢えて「出来事」にしない)。
お得意の同時多発会話にしても隠喩らしきものにしても取り方がさまざまで、無理して全部を受け取ろうとしなくて良いのではないか?と思い当たる。
つまりツイッターでよく見かける沢山の文字が並んだ中から「最初に見付けた3つの単語があなたに必要なものです」というアレと同様に、観る側が受け取ることができたものがこの芝居、なのではあるまいか。
そう気付いたらもうこっちのモン、自分の受け取れる範囲内のものをそのまま受け取ればイイ(笑)。
また、同時多発会話で、一部がシンクロしたりするのも面白かった。こういうの、好きなんだな。
30才になった少年A
Sun-mallstudio produce
サンモールスタジオ(東京都)
2014/01/09 (木) ~ 2014/01/14 (火)公演終了
満足度★★★★
「隠し事」の大小は人によって様々
前科のある者複数が働く新聞配達店での物語。
2人の前科者だけでなく、登場人物の殆どが大なり小なり「隠し事」をしていて、その重さ・大小などの基準は受けとり手によって異なるというのがミソ。
性感マッサージ嬢だった過去を隠していた恋人を幼女いたずらの過去を持つ男が許せない、なんてところは可笑しいし、テーマがワカり易く表現されていて巧いよなぁ。
なお、tsumazuki no ishi作品に一脈通ずる昭和っぽい装置も印象的。
曲がるカーブ
クロムモリブデン
赤坂RED/THEATER(東京都)
2014/01/09 (木) ~ 2014/01/23 (木)公演終了
満足度★★★★
まさかアレまで投げるとは!
フェイクドキュメンタリーを撮影している面々と甲子園出場の可能性のある高校野球部ワケあり関係者たちとの遭遇。
前半は驚くほど直球なコメディで大笑いだが中盤あたりからいくつかのテーマがエッシャーの「メタモルフォーシス」の如くリレー式に現出し、全力で逃げ去る(←比喩)ラストはクロムの真骨頂? やっぱりそうこなくっちゃね!(笑)
それにしても終盤で登場する「回るアレ」、よく作ったモンだ。そして、まさかソレまで投げて刺そうとは!(謎)
女王の盲景
空想組曲
シアター風姿花伝(東京都)
2014/01/08 (水) ~ 2014/01/19 (日)公演終了
満足度★★★★
コワいコワい…
孤島(?)での仕事の唐突な誘いを請けた青年の驚くべき体験…。
序盤はよくワカらない仕事に就く青年に感情移入して漠然とした不安を感じたが、事情が明かされるに従いそれは超自然的なモノに対する畏怖へ変容し、ある人物の「反乱」に至ってはコワいコワい。
そんな物語、モラトリアムでぬくぬくしていないで現実と向き合いなさいと諭されているようで、胸の奥底がチクチクしたりも。
また、本人にとってのみ時間が進んでいず周囲は普通に経時変化していることから浦島太郎も連想。→終盤、真実を知って一気に老けるのではないかと…。(順番的には急に老いるイメージが浮かび、そこから浦島太郎を発想)
ちなみにほさかさんに伺ったところ、浦島太郎は全く念頭になかったとのことだが、エンディングについてはもっと悲観的な案もあったとのことで、それもそれでアリか、と納得。
なお、小玉さんの役どころは登場した時点では「あーやっぱり!」ではあったものの、その後は「そう来たかぁ!」でありました。(笑)
黎明浪漫譚-れいめいロマンティック-
エムキチビート
吉祥寺シアター(東京都)
2014/01/07 (火) ~ 2014/01/12 (日)公演終了
満足度★★★★
芝居としての面白さに概ね満足
父が脳卒中(?)で倒れたとの報を受け急遽帰省した男が夜明けまでに幻想と現実を往き来して見たものは?な物語、ある男の半生を芯にした家族の物語にして力作。
最初は複数の流れが「千年女優」よろしくモーフィングのようにシームレスに変容して面喰らうも次第にそれらの関係性が見えてくるのが快感で、全てを明らかにした後に訪れる結末にも納得。
関係者のツイートに「泣けた」的なものが多く、実際客席にも涙をぬぐっているお客さんが複数いらしたが、σ(^-^)は(家族ものに弱いのに)ストーリーでは泣けず。がしかしむしろそんな手法?構造?…芝居としての面白さに惹かれて概ね満足。
ただ、2人のソラオの台詞をズラす演出(?)は不揃いの群読とともに聞き取り難いのが残念。
また、プロジェクションマッピングもどきに装置に画像を投影することが何度かあったが、元の画像が小さいだけにデジタルの「ブロック」が見えてしまうのは何だかなぁ。
一方、「さっきのアレがここにつながるのか!」という一般的な伏線とは逆に「あぁ、これがさっきのアレの理由なのか!」という「逆伏線」がいくつかあったのが面白い(ネタバレBOXに具体例)。
さらに、衣装なども含めて野田秀樹風味が漂い、重松清フレーバーも感じられてニヤリ。
童貞キューピッド
レティクル座
王子小劇場(東京都)
2014/01/06 (月) ~ 2014/01/08 (水)公演終了
満足度★★★★★
実はかなり原典に忠実
沙翁の「夏の夜の夢」を現代語訳?超訳?し「すげーワカり易く」かつ「面白可笑しく」しての上演。
が、実はかなり原典に忠実で翻案というより脚色の範囲内か。
言わば沙翁の時代のノリや価値観を現代のそれに置き換えた感じ。
また、素舞台での上演というトライアル公演のルールを逆手にとって(?)のトイレの個室やアフリカの動物たちの肉体表現や5箇所の出ハケ口(やキャットウォーク)を使った多彩かつスピーディーな演出も鮮やか。
さらにラスト、タイターニアスから報酬として媚薬を分け与えられたパックが自分をソデにした妖精に使おうとして「こんなの愛じゃない!」と言い放つのが秀逸。原典への批判…は大袈裟にしても疑問に恐れ入る。
なお、タイトルだけで判断すると翻案もののようだが、内容的には翻案までいかずむしろかなり原典に忠実なことから「超訳・夏の夜の夢」とかのタイトルで構わなかったのではあるまいか?とも思う。
摩訶不思議でふざけたコメディーミュージカル『豚デレラ』
『劇団 もより駅は轟です』
OFF OFFシアター(東京都)
2014/01/06 (月) ~ 2014/01/08 (水)公演終了
満足度★★★★
2014年観劇初め
下世話な部分(ワハハ臭?)に賛否ありそうながら軽演劇っぽさもあるミュージカル風味の長編コント芝居。
しかしあれだけ個性的な…いや、毒のある(爆)面々をよく御したなぁ、βさん。
比較的懇意な長身女優お二方はハマリ役的で、口字メンかわわ嬢も「あの人」がモデルの役を好演…いや怪演か?(笑)(←褒めているつもり)
星はお年玉も含めて4つなるも芝居を初めてご覧になる方には「どちらとも言えない」ないし「お勧めはしない」か?
それにしても単に遠近法を利用して奥行きを感じさせるだけかと思っていた下手の階段、本当に昇降に使うどころか奥の口から出入りまでするとはオドロキ。
『回雪ノスタルジア』
ラチェットレンチF
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2013/12/05 (木) ~ 2013/12/08 (日)公演終了
満足度★
杜撰さに呆れる
報道記者時代に事件絡みで妹を喪ったライターの物語。
テンポ良い演出と各役者の演技は良いが、序盤と中盤に荒唐無稽(と言うより杜撰?)な部分がある他、要素を詰め込み過ぎて迷走した(まるで増築に増築を重ねた末に迷路のようになった温泉旅館の如し)末にかなり無茶な結末を迎えるストーリーに呆れる。
更に映像の使用も舞台表現の放棄であり感心しない。
Eternal Malice ~英雄の作り方~
劇団C2
萬劇場(東京都)
2013/12/04 (水) ~ 2013/12/08 (日)公演終了
満足度★★★★
反戦・非戦をメインテーマに
かつての戦いを経て住み分けにより共存していた人間と魔物があるキッカケから再び戦闘状態に…というアクションファンタジー。
反戦・非戦をメインテーマにしているのは好みだし、「三英雄」のキャラ・諸設定をキチンと分けて役割分担させたのが巧い。
一方、テーマがテーマだけに人死にをもう少し減らせなかったかとも思う。一般無名兵士がかなり殺される(←敢えての表現)のがやや気になる。
また、「キーン!」「ビュッ!」「シュ!」「バキ!」などサンプラーの音量が大きく興醒めすることもしばしば。音量を上げれば殺陣・擬闘の迫力が増すというものではなかろう。
とはいえ、ストーリーもよく練られていたし大方満足。次回作にも期待。
なお、争いのキッカケが主人公側にあることに「銀河漂流バイファム」を、また、主人公側のエース級が敵方と恋に落ちることや敵の命を奪わない戦い方をすることに「超時空要塞マクロス」を想起。
花園
20歳の国
王子小劇場(東京都)
2013/01/10 (木) ~ 2013/01/14 (月)公演終了
満足度★★★★
オープニングシーンだけでも大満足
まずオープニングシーンだけで元は取れたと思った。ラグビーの試合中のあんな場面やそんな場面をかなりリアルに見せてくれて。
リアルといえばその後の中心部分も「高校生活あるある」満載の高校生たちの「青臭い」ドラマも楽しくかつ懐かしく、満足度高し。
ナイゲン【ご来場ありがとうございました】
Aga-risk Entertainment
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2013/09/26 (木) ~ 2013/10/08 (火)公演終了
満足度★★★★★
案の定2度観ることに
【9月29日のツイートより】
名作、秀作、傑作など誉め言葉を惜しまない…ってかこれらを並べ立てても到底誉めきれない。終盤の伏線回収と「12人の怒れる男」オマージュを筆頭にタマらん。「ナイゲン愛」あるいは「母校愛」も滲みでていたし。
冨坂さんの前説、形態電話の「音や光」とかアンケート記入用のノック式ボールペンの「音」とか、過不足なく的確である。
【10月2日のツイートより】
あー、完璧なんじゃね?とか思っちゃったよ。1度観て細部も記憶にあるので伏線やらもよくワカるし、照明の細かい演出にも気付いたし、終盤の「ある2人」には泣かされそうになるし。聞けば休演日明けに4時間も稽古してさらにブラッシュアップしたというし。
「12人の怒れる男」「12人の優しい日本人」での議論の行方が二者択一なのに対して、「ナイゲン」は選択肢が多いのが妙案で、より複雑な展開になるんだよなぁ。
去年はホワイトボードだったのが今年は黒板になったとは聞いていたが、教室の前面の壁まで作られていてかなり「教室」という臨場感アリ。その違いに劇団四季「ジーザス・クライスト・スーパースター」のジャポネスクver.とエルサレムver.を連想。
泣き方を忘れた老人は博物館でミルとフィーユの夢をみる(爆撃の音を聞きながら)
おぼんろ
東京芸術劇場アトリエイースト(東京都)
2013/04/06 (土) ~ 2013/04/07 (日)公演終了
満足度★★★★
メタフィクション好きにはたまらない
虚構と現実がない交ぜになりクラインの壺の如くシームレスに繋がってさらに入れ子を成す構造がメタフィクション好きにはたまらない。
公演会場である「おぼんろ博物館」が既に虚構取り混ぜたものであるのに、その博物館が劇中の舞台という設定からアッパレ!
また、以前の「幻の公演」を劇中劇として上演してくれるのも嬉しかった。
空想、甚だ濃いめのブルー
キ上の空論
新宿眼科画廊(東京都)
2013/12/06 (金) ~ 2013/12/15 (日)公演終了
満足度★★★★
確かに「実験公演」
確かに「実験公演」だがヒントはいくつかある。しかし、最終的にどこまで?という疑問が残る(謎)。
内容としては両チームとも役者と役が(あたかもあて書きのように)ピタリと合っている感じ。そこも「成立課程」に関して疑問を抱かせるんだよなぁ(笑)。
そんな風にキャラと役者が見事にハマっているので会話も活きており、中でも親友であるが故の「無意識の甘え」を含んだやりとりは秀逸。
また、実際は目に見えない「ある距離」を可視化するアイデアも◎。
なお、7日にAキャスト、9日にBキャストを観る。
その胸にうなだれて
and Me
OFF OFFシアター(東京都)
2013/11/27 (水) ~ 2013/12/03 (火)公演終了
満足度★★★★★
生命を産み出す役割の重み
生命の重み…と言うより生命を産み出す役割の重みがひしひしと感じられる気がした。(←劇中で「オトコにはワカんねーんだろうなぁ」とも言われて断定を避けた(笑))
奇しくもその少し前に観たイキウメで「生命を産み出す役割としての女性」を感じさせられていて、より沁みた?
イキウメの「片鱗」は、それをベースとなる部分に(=抽象的に)描いていたのに対して本作では具体的に見せられた、というところか。男性作家と女性作家の違いがまざまざ?(笑)
社会派的なテイストもまとい始めた and Me、早くも次回が楽しみ♪
つかまえてごらんなさい、箸で
GORE GORE GIRLS
王子小劇場(東京都)
2013/11/01 (金) ~ 2013/11/04 (月)公演終了
満足度★★★★
シュールな中に仲間への祝福や羨望もしっかりと
序盤のジャブ的な微妙にズレた会話から「話題の主」登場によりどんどん加速してシュールな方向へ。
それでありながら(元?)仲間に対する祝福や羨望の気持ちがしっかり顕れているのが見事。
予想をひらりとかわして意外なところに落とすのも巧い。
ギャラクティカ・めんどくさい。
劇団鋼鉄村松
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2013/11/01 (金) ~ 2013/11/04 (月)公演終了
満足度★★★★★
おバカ、スペースオペラ、哲学の三位一体
本格SF的な設定と「面白い・めんどくさい」の対立というバカバカしさのギャップ(しかし見事に整合している)でツカミはオッケー。
中盤以降はスペースオペラのお約束的展開に哲学的テーマも盛り込んだ感動大作。
3連休の締めに是非!
ちなみにこれから2回目を観に行くです。半券割で1500円だし。
私的家族ベスト
元東京バンビ
Geki地下Liberty(東京都)
2013/10/23 (水) ~ 2013/10/27 (日)公演終了
満足度★★★★
実験的なスタイルの今後やいかに?
実体験準拠型だが他団体で銘打っている「ドキュメンタリー演劇」とは趣を異にする。
並走する3つの柱が、あるキーワードで一応リンクしているものの、全体としてのまとまりには欠けるな、と思いながら観ていたが、終わってみれば漠然とした一体感があるのがフシギ。
また、終盤には名台詞・名場面もいくつかあり、総じて満足。
今後はこの実験的なスタイル(=観る者を選ぶと思う)で作劇をしてゆくとのことで、精度がより上がってゆくことを期待。
なお、小4男子を演じた加藤美佐江の小学生っぽさには感服。
青鬼Ver.27【あの大人気ホラーゲーム『青鬼』を舞台化!】
第27班
王子小劇場(東京都)
2013/10/21 (月) ~ 2013/10/22 (火)公演終了
満足度★★★★
「観る者を選ぶ芝居」かも?
脱力系の笑い(冒頭のナレーションから暗示されている?)とホラーとの融合にメタフィクションも加え、会場も上手く使って55分800円なら大満足。
ただ、メタフィクション部分について言い訳がましい…どころかクドい(あるいは楽屋落ち的)と思われる危惧がなきにしもあらずな上に、例示するネタがマニアック気味なので、そこの感じ方次第で評価は分かれるかと思う。
あと、一般的には黒子を使いそうな物の出ハケを、普通のスタッフの格好の人物が普通に登場して処理するのも可笑しくて好きだけれど、人によっては「ナンじゃそら!」かも?
よって「観る者を選ぶ芝居」かもなぁ。
なお、基本的には「おバカだねー(笑)」なテイストでありながら、きちんと「ホラーあるある」で締めるのも◎。
ちなみにゲームに関して知らなかったのでWikipediaで予習して臨み、まぁ正解。(全く知らなくても楽しめたと思う)
迷中の学舎
集団as if~
笹塚ファクトリー(東京都)
2013/10/09 (水) ~ 2013/10/13 (日)公演終了
満足度★★★
インプロパートは両刃の剣
殺人事件の起因に関する考察・サイコサスペンス仕立て、的な。
が、前半での伏線がインプロパートによってリセットされてしまう感があるのが惜しい。
というか、終盤で起こる複数の事象の伏線が併走する前半は散漫な印象すら漂い、そこに小・中・大と3つのインプロが挟まれるのでまとまりに欠ける印象になってしまうのが残念。
ここのインプロパートは両刃の剣であり、その出来が良ければ良いほど「そこで終わった」感がして本筋が分断されてしまうのが難しいところ。
いっそ番外公演としてインプロ抜きの完全ストレートプレイで再演してくれないかしらん?
旅のしおり2013
ブルドッキングヘッドロック
ザ・ポケット(東京都)
2013/10/09 (水) ~ 2013/10/14 (月)公演終了
満足度★★★★
映像化不能な舞台ならではの表現
当日パンフレットの「ある部分」も読んで「あー、あのタイプね」と予想はついたが、「まさかそんなカタチとは!」と、してやられる。
また、予想したタイプにしては周囲の人々も描き込んでいるのが新味?
そんなこんなで2時間25分(初日実測)の上演時間は感じず。
で、1度観て全体像を知った上でリピートすると、中心人物(と言ってイイのか?)と若干距離がある人物たちの挿話も、中心人物の内面的な(?)部分を裏付けているのがよくワカるのではあるまいか?(例えば「演ずること」とか)