じべ。の観てきた!クチコミ一覧

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宇宙船

宇宙船

3.14ch

王子小劇場(東京都)

2014/09/19 (金) ~ 2014/09/29 (月)公演終了

満足度★★★★★

壮大なスケールで極めて人間臭いSFクロニクル
地球から350年もかけて他星に航行する巨大宇宙船内の壮大なクロニクル。
冒頭シーンで状況や設定を決して説明っぽくなく観客に伝えるのがまず見事。
そしてその中でも説明される「表層年齢」のアイデアも巧み。長期間でも老けメイク不要だもんね。
そうして描かれるのは長期にわたる宇宙船内の人間関係。
考えようによってはコンパクトな史劇でもあり、愛憎、堕落、再生など極めて人間的。
また、装置や衣装も「素材」を上手に活用して「それっぽく」見せるのが前作に続いて巧い。
で、とある名作のオマージュ以外、SFとそうでない有名芝居各1編を連想したが、多分考え過ぎだろう。(具体的にはネタバレBOXへ)
なお、夏のブル2作を見逃してしまい久々となる鳴海由莉嬢は(19歳の設定なのに)オトナっぽくて「ありゃりゃ?」と思っていたらあくまでそれは役柄上のものであり、終演後に会った彼女は以前の(笑)キュートな由莉ちゃんなのでした。
女優ってコワい…(爆)

ネタバレBOX

終盤、1人になってしまったミシマに「2001年宇宙の旅」のボーマンを想起。その後、一旦「考えすぎか」と思うも最後に新生児が出てきて「あぁ、やっぱり!」(笑)。
また、パイン(だったかな?)の子孫たちがおかしくなった時にはチャペックの「RUR」も連想。(ミシマが人間でパインの子孫たちがロボット、的な)
さらに、1人になったミシマが小説を書きながら皆を回想する場面では「上海バンスキング」のラストも思い出す。いくら何でもこれこそ考え過ぎってモンだよね。
恋の文化祭 〜恋せよ乙女、恋愛短編集〜

恋の文化祭 〜恋せよ乙女、恋愛短編集〜

feblaboプロデュース

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2014/09/11 (木) ~ 2014/09/26 (金)公演終了

満足度★★★★

恋する女は綺麗さ 決してお世辞じゃないぜ
ヒロミ・ゴー(ってか三浦徳子)の「恋する女は綺麗さ 決してお世辞じゃないぜ」との言葉通り女優さんがたがみんなキュートだったなぁ。
で、観ながら当日パンフレットで脚本提供者を確認して大いに納得。
意表をつく萩原作品、しっとり・こまやかな米内山作品、良い意味で普通・自然な佐々木作品、とそれぞれの特色がクッキリ顕れていてニヤニヤ。
また、複数作家によるオムニバスでは難しい各編の関連付けも「閉会式」でやってのけるとはお見事。

ネタバレBOX

しかしアレは「恋泥棒」じゃなく「恋強盗」だろ!(笑)
しかもリボルバーで何発撃ってるんだ?(←コメディにつき許容範囲内)
GADGET collection vol.3

GADGET collection vol.3

拘束ピエロ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2014/09/16 (火) ~ 2014/09/21 (日)公演終了

満足度★★★★

構成の妙か?
1編目「悪魔の煤けた相棒」
グリムなどの童話・寓話的世界なのも味があるが、そこから落語のサゲのようなパンチラインで幕切れとするのが鮮やか。

2編目「魔女の名前」
フィルム・ノワールならぬ「テアトル・ノワール」ながらどこか海外版「夢十夜」なオモムキがあるのが好み。

3編目「シスターコンプレックス」
結婚する妹に対する兄バカ具合と男たちの幼なじみ感が楽しいが、ラストに漂うペーソスもイイ。

なお、ダークな2編と笑える1編という取り合わせや、2編目の後に生じる衣装替えのための時間稼ぎの場繋ぎも的確。

ぼくのページ

ぼくのページ

劇団のの

ART THEATER かもめ座(東京都)

2014/09/18 (木) ~ 2014/09/21 (日)公演終了

満足度★★★★★

秀作にして傑作。とにかく巧い!
まずはキャラクター設定・演技・衣装が三位一体となり「確かにそこに実在する」登場人物たちと、彼らが交わすユーモアのセンスあふれる会話によって引き込み、コメディタッチの前半で笑わせ、後半は青春熱血系に転じてタイトルの意味で感動すら誘って締め括る構成が鮮やか。
秀作にして傑作。とにかく巧い!
配役と舞台を簡潔に紹介する当日パンフレットも親切だし、あるものを利用した装置も見モノ。
上演時間は100分弱(初日実測)。

ネタバレBOX

「語り」の位置の「もう一つの意味」やある人物が「祖父と瓜二つ」な理由の伏線と回収(ちょっと違うか)なんかも上手いし、殴り込みと座り込みの間違いなどを筆頭にくすぐりも巧み。
あと、「あんな風に花壇を荒らされたら俺なんか心が折れちゃうけどなぁ…」のあたりから終盤に向かう流れも好きだなぁ。
レッドパージ2〜SHIRU〜

レッドパージ2〜SHIRU〜

あんかけフラミンゴ

参宮橋TRANCE MISSION(東京都)

2014/09/12 (金) ~ 2014/09/15 (月)公演終了

満足度★★★★

メタフィクションを極めたか?
まずは前々回までの公演スタイルで汁男優たちの世界を描き「得意技で締めるのか」と思わせておき、後半はスタイルをガラリと変えてくるトリッキーなツクリ。
前半のいかにもあんかけフラミンゴな部分は個人的には冗長に感じられたものの、後半部分はまさしく前作の延長線上のものであり、しかし前作の「続き」ではなく前作を「発展させた」作品と言えよう。
その後半のメタフィクション部分、執筆している島田さんの真意や心境、演じている劇団員の心境に想いを馳せずにいられないシカケが極めて卑怯…と言うか、メタフィクションを最大限に活かした(?)使い方であり、メタフィクション好きとしても脱帽。ある意味「ドグラ・マグラ」だよね。

マナナン・マクリルの羅針盤

マナナン・マクリルの羅針盤

劇団ショウダウン

シアター風姿花伝(東京都)

2014/09/05 (金) ~ 2014/09/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

池袋演劇祭CM大会で垣間見せた力量はホンモノ
講釈師の如きメリハリのある語り口に身体表現、音響、照明、装置を加え、可愛らしい女優さんが露出多めの衣装で演ずるなんて、反則だろ!(半分真顔)
が、池袋演劇祭CM大会で垣間見せた力量はホンモノ、物語が見事なほどに浮き上がって10分の休憩込みの140分間、観客を惹き付け続ける…いやぁ、脱帽!。
また、当日パンフレットに書かれていたので「サミュエル・ベラミー」「ウイーダ号」「ジョン・キング」を開演直前に調べて臨んだら内容の理解に役立つこと。
で、主要登場人物が実在したことを当日パンフレットに記載しておき第一幕は主人公の青年が海賊になる物語…と、評伝かと思わせておくからこそ、ファンタジックなクライマックス(ちょっと「アビス」を連想)に「おおっ!」と思うのかもなぁ…。
なお、大阪より舞台が広い分、一部の装置の間隔が広がり、ロープが1本増え、ステージの奥行きを使ったギミックを仕込んだ「アップグレード版」だったそうで…。

わたしの星

わたしの星

ままごと

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2014/08/21 (木) ~ 2014/08/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

感服!大好き!
レトロSF的設定に夏休み最終日、文化祭の稽古、転校など、王道学園青春ものの胸キュンなキーワードをちりばめて、あたかも往年のNHK少年ドラマシリーズの舞台版の如し(?)。
そこに「わが星」的な劇中劇まであり、こりゃあたまらん♪
「櫻の園」「青空のゆくえ」「ビューティフル・ドリーマー」などが好きな身としてそれらの作品を思い出したり、「このコたちの忘れられない夏になり、これをキッカケに小劇場界を目指すコもいるんだろうなぁ」と、すっかりオトナ目線になったりもして…。
いやはや、感服!

タイガー・リリィと不思議な羽根

タイガー・リリィと不思議な羽根

劇団やぶさか

神奈川県立青少年センター(神奈川県)

2014/08/15 (金) ~ 2014/08/17 (日)公演終了

満足度★★★★

海老原あい、おそるべしっっ!!!
ピーターパンがロンドンのウェンディ宅で影を探すあたりからネバーランドに戻るまでの間、ネバーランドには未曾有の危機が訪れていた…というスペクタクル巨編(笑)。
およそ小劇場レベルではない人数と同じく小劇場レベルではないキャパの会場を客席通路も含めて自在に使い、さらに生演奏・生歌という演出は、フライングこそないがホリプロミュージカルの「ピーター・パン」に負けず劣らずダイナミックで楽しい。
しかもハナシのスケールはこちらの方が大きいしね…ってか、ネバーランド崩壊(←比喩でなく文字通り)の危機って、大き過ぎ…。

陸上競技の長距離走と短距離走で使う筋肉が違う(?)ように、所謂「小劇場系芝居」とはまた演出技法が異なるだろうに、海老原あい、おそろしい子。(笑)

お披露目~浮気編~

お披露目~浮気編~

日本コメディ協会

駅前劇場(東京都)

2014/09/06 (土) ~ 2014/09/08 (月)公演終了

満足度★★★★★

まさしくコメディのショーケース
まさに流石のクオリティ、一定の縛りがある中での4編それぞれ異なるタイプのオムニバスは優劣つけ難く(「どれが一番好き?」と問われても回答不能)、まさしく「コメディのショーケース」。
まずはレイ・クーニーばりのファルスで始め、次いで状況が論理的に絡まったロジカル・コメディという前半、対してハートウォーミングなウェルメイド系2編の後半という構成・上演順も的確で、ホントにコメディ作家が束になるとスゴい…(笑)
前半2編は作風をよく存じているお二方の作品で「あぁ、いかにも!」だったし、3編目が伏線とその回収も巧みな上にウェルメイドなのに対して4編目の狂言回しがもの凄い変化球で最初は「ん?この順なの?」だったものの、ラストでその上演順とした理由を理解。巧いよなぁ。
あと、ミドリとモモちゃんの衣装…(笑)

しかし考えてみると大のオトナのコメディ作家が徒党を組んで作品を創るなんてオトナげないな(←「だいにんきない」と読まれないための敢えての表記)、反則だよぉ!(笑)
脚本担当と演出担当の組み合わせ、いったい何通りになるんだか?

マザー4

マザー4

劇団エリザベス

ギャラリーLE DECO(東京都)

2014/09/04 (木) ~ 2014/09/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

内容はもちろん、照明効果だけでも一見の価値あり
冒頭で異変を提示してツカミはオッケー、そしてその後の場の進行に伴い次第に謎がほどけて行く構造(ほどき具合も含む)が巧みで、クライマックスで到達するテーマも好み。
さらにプロジェクターからの映像・光だけで照明効果をまかなう手法が独特にして秀逸!
映像には簡易プロジェクションマッピングとも言える部分があり、極論すればこれだけでも一見の価値あり。
あと、本編では「五階です」の使い方も面白い。
それにしてもエリザベスの公演でオープニングダンスを見ることになろうとは…(ちょっと意外)

ネタバレBOX

「死を選んじゃダメだよ」「そのままでいい、そのままが一番」なんてのも好みなんだな。
UNKNOWN HOSPITAL

UNKNOWN HOSPITAL

壱劇屋

Route Theater/ルートシアター(東京都)

2014/08/30 (土) ~ 2014/09/02 (火)公演終了

満足度★★★★

これぞエッシャー的演劇
ダンスでも組体操でもない身体表現の取り入れ方が印象的。
また、M.C.エッシャーなどの騙し絵あるいはドグラマグラ的なループ構造も好み。(M.C.エッシャーの「上昇と下降」や「メタモルフォーゼ」がお好きな方はそのストーリー構造にニヤリとできるんじゃないかな?)
中盤のある場面はいかにも関西小劇場の血筋?(MOTHERを想起)
なお、臨場感あふれるサラウンドのS.E.もイイ。

勝手に作ったキャッチコピーは次の2つ。
「これぞエッシャー的演劇」
「ドグラマグラ・Neo」

水面の月、揺れる、揺れる

水面の月、揺れる、揺れる

劇団皇帝ケチャップ

北池袋 新生館シアター(東京都)

2014/09/01 (月) ~ 2014/09/03 (水)公演終了

満足度★★★

今後に期待
「良い悪い両方あった時は後で褒める」信条につきまずは苦言2件。
クライマックスで「もう一人のヒロイン」が対話する場面、音楽が煩い。
特に1人目は日本語の歌詞がついた歌なのでB型気質として(爆)台詞への集中を削がれてしまうのだ。

また、ある人物の正体(?)を明かしてからが本筋だと思うが、そこに至るまでが冗長気味。…ではあるのだが、そのパートに良い部分も内包されているからややこしい(笑)。

序盤で「その寄り道会話、要る?」と思ったものの、その逸れ具合が普通に会話しているとあんなズレ方するよね…という感じで絶妙。
が、やはり本題へ急ぐためかせっかくの会話に間が入らずせわしない印象になるのが勿体ない。

一方、本筋部分は既視感(全体の流れ・一部場面とも)あるも好きなタイプな上に終盤に女性キャラ絡みの意外な部分もあって満足。

極論すれば本筋前をもっとコンパクトにして70分程度にまとめればスッキリしたのではないか?
そして、会話の妙は別の作品で活かせば良いのではないか?

いずれにしてもまだ第2回公演だし、今後…というより、まずは次回公演に期待だな。

少年口伝隊一九四五

少年口伝隊一九四五

劇団天動虫

pit北/区域(東京都)

2014/09/01 (月) ~ 2014/09/02 (火)公演終了

満足度★★★★★

折に触れて演を重ねていただきたい
作品初見ながらやはり井上ひさし作品、忘れてはいけない、伝えてゆかなくてはならないことを端的に表現している。

また、時にソロ、時に重ねての台詞(※)や緩急を心得た演技、会場の特質を活かした演出も卓抜しており、さらにカーテンコールでのジョニーさんのしっかりした挨拶も含め大変満足。

演ずる側の消耗もあると思うが、折に触れて演を重ねていただきたい。

※ 1人が全体を読む中、強調する言葉・部分だけ全員で、という手法はよくあるが、トルーマンとチャーチルの電話などの場面で使った、部分的に重ねながらリレーする(=ウィー・アー・ザ・ワールド風?)のは独特

ダーリン!ダーリン!

ダーリン!ダーリン!

劇団ズッキュン娘

シアター風姿花伝(東京都)

2014/08/13 (水) ~ 2014/08/18 (月)公演終了

満足度★★★★★

藤吉、また腕をあげたな
いささかめんどくさいオンナ・雛子とやや内向的な足立君の大学生カップルの恋の顛末…。
前作よりコメディ色が濃い前半はベタ・類型的でツッ込みどころもいくつかあるがイキオイがあってグイグイ引っ張るし、後半は従来通りのいかにも女性作家、な部分に加えてオトコのキモチをズバリ表現してドキリ…もとい、ズッキュンとさせて(笑)見事。
終盤、全員が揃った時にアンによって語られる(台本66ページね)足立君に、同じ“そっち系男子(謎)”として甚く共感したのはσ(^-^)だけではあるまい。
また、そこに至るまで上手く彼を出さないワザはもはやお手のものだろうが、今回はあの場面で彼が確かに「いる」と感じたのだ。
そして、表見上は雛子が主役、アンが準主役のようだけれど、本当の主役は1度も舞台上に登場しないが、雛子に引け目を感じ、母からは思う通りの枠にはめこまれようとされている中から自分の進む道を見出した足立君なのではないか?
さらに、最初は併走しているパン屋のハナシと女子大学生のハナシ、両者の接点を察するヒントを出し、その後に明かすタイミングも的確だし、明かした後も基本は併走で、全員がやっと集結したところでクライマックスを迎える構造がまた巧い。
そんな中に前作も観ていた観客への目くばせまで仕込んで、藤吉主宰、劇作家としてまた腕をあげたな。
あと、くまゆか嬢の設定、最初は「え、それはどうよ?」と思ったけれど、ある場面で説得力のある演技を見せられて得心がいった。(注:普段からそういう印象がある、ということでは決してない)
ところで劇中登場した「中にはメロンクリームが入ったメロンパン」、実際に具体的なモデルがあるのだろうか?

ひなたのなかのこども

ひなたのなかのこども

風雷紡

d-倉庫(東京都)

2014/08/13 (水) ~ 2014/08/19 (火)公演終了

満足度★★★★

事実と虚構の狭間
勝手にキャッチコピーを付ければ「下山事件・銀河鉄道の夜・電車ごっこの三題噺」、あるいは「事実と虚構の狭間」?
元ネタである下山事件は現実のものでありながら、劇中でたどり着く真相は「いかにも推理ものフィクションらしい」凝ったもの。
その2つのギャップに「思考が翻弄される」と言うか、騙し絵を見て「部分部分は正しいのにどこかヘンだな」と感じるその感覚に通ずると言うか、で独特。これぞまさに風雷紡風味?(笑)
また、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」をよく知っている身として、後半のある部分の意味がより深く感じられ、知っていて良かったなぁ、とも。
さて、野崎淳之介が次に挑む昭和史の事件は?

キスミー・イエローママ

キスミー・イエローママ

ゲンパビ

OFF OFFシアター(東京都)

2014/08/27 (水) ~ 2014/08/31 (日)公演終了

満足度★★★

淡々とした中からにじみ出るテーマ
喩えて言えば、綺麗に面取りするなど丁寧に下拵えして下味も付けた食材と何種類かのソースを出されて、食べ方を委ねられたような。
それは途中で投げ出したという否定的な意味ではなく、どういう食べ方をしても構いません、味わい方は皆さんにお任せします、という感覚で。
淡々としているし、暗転明けに年月が経っていたりもして(ただし経過したこととその幅はすぐにワカる)、ちょっととっつきにくいけれど、その裏から「罪と罰」「死刑とその執行方法」「親子」なんてテーマ(=いずれも正解はない)がにじみ出て来る感じ?
その意味で「中・上級者向け」かも?(あくまで私見)
観ている間は先に進んでしまうから反芻の余裕がないけれど、後から振り返って「自分があの立場だったらどうだろう?」とかいろいろジワジワと来そう。
あと「イエローママ」がキレイだったなぁ。

神と遊べば

神と遊べば

コロブチカ

小劇場B1(東京都)

2014/08/19 (火) ~ 2014/08/24 (日)公演終了

満足度★★★★

終盤の市長一家の家族愛に泣いた…
…なんてことは全くなし。(爆)
メインとなるストーリーは思いっきりベタで、演技(演出)も含めてどこか懐かしい感覚に、柿喰う客に通ずるニオイや沙翁のエッセンスも練り込んで愉しい。
具体的に言えば、ゼウス夫妻の痴話喧嘩が元で人間界がとばっちりを受ける展開や狂言回し的なキャラの語りで締め括るところなど沙翁チックでニヤニヤ。
また、女装男優・少年装女優なども含めてキャストの個性の引き出し方もイイんでないかい?
そういや双子の使い方も、敢えてまるで異なった風貌で二通りの見せ方をして、それでいて双子であることも活かすとは。
あと、振り付け関連では冒頭の「混沌」を思わせる動きが特に良かった。

最高の夏にしようねノイローゼ

最高の夏にしようねノイローゼ

体にやさしいパンク

下北沢ReadingCafeピカイチ(東京都)

2014/08/25 (月) ~ 2014/08/31 (日)公演終了

満足度★★★★

初日の3本
白波多カミン「九月の空に落ちるるる」
演者は役者ではなくシンガー・ソングライターで、関西訛りという変化球。
某コミックの人物が現実界に降り立つという内容も考えればもはやビーンボール?(笑)
が、二重構造にしたツクリやシンプルながら表現力ある照明なども含め、やはり本格派。

栗又萌「路上のメリークリスマス」
リーディング部分がメインで、一人芝居がそれを包み込むようなスタイルは「九月…」と同様。
主人公の語りは控え目ながら彼女を取り巻く人物たちは写実的に演ずることでアクセントを付ける演出と、音楽の使い方が巧み。

松井玲奈(藍乃聖良)「夢で逢えた(ら)」
こちらはテキストを持たない完全一人芝居。
出落ちと言って過言ではない冒頭から作者の妄想炸裂気味なマンガチックな学園ラブコメが展開されたかと思いきや、後半はしっとりとした趣に転じ、その対比が鮮やか。

安部公房の冒険

安部公房の冒険

アロッタファジャイナ

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2014/08/23 (土) ~ 2014/08/31 (日)公演終了

満足度★★★★

予習して臨むことを推奨
もちろん評伝的な部分もありつつ、現代演劇論を演劇を以て語る部分がスリリングで面白い。
しかもそれが実在した人物によって語られるワケで、観ているうちにどこまで虚構でどこまで現実なのか区別がつかなくなりドグラマグラ状態に…
さらにその演劇論が今の小劇場ムーブメントに繋がるようでもあり、観ていてもう頬が弛んでしまう。
一方、愛人と妻をめぐる面では至ってフツーのオトコで「本当に男ってヤツはしょうがないな…」と。(笑)
上手に自宅、下手に教授室を配置したシンプルかつシックな装置で交互に見せるスピーディーな展開(松枝さんによれば右脳と左脳を意識したとの由)の本編部分を、「クラウン」がガイドを務めるプロローグとエピローグ(と本編の一部)によって締める構造もスッキリして好み。
なお、本編に入った時にPARCO劇場の舞台のような印象を受けたのは予習で西武劇場のことを知っていたからか?
他にもウィキペディアでの予習によりはたと膝を打った部分があったので、これからご覧になる方々には予習することを強く推奨いたいます。

Cendrillon ーサンドリヨンー

Cendrillon ーサンドリヨンー

劇団パラノワール(旧Voyantroupe)

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2014/08/13 (水) ~ 2014/08/17 (日)公演終了

満足度★★★★

かぼちゃチーム公開ゲネ
「シンデレラ・BOOTLEG」かと思いきや「真・シンデレラ」だった、と言うほどに真っ当なシンデレラ。
で、ありながら、物語の軸を僅かにブレさせる(+一部の設定を変える)ことで、こんなにも世界が広がるのか、と。
喩えて言うなら中心部分は何とか残っているが周囲は色褪せて殆ど見えなかった壁画を修復して全体をくっきり浮かび上がらせるが如く、本来はワキの人物たちにもそれぞれ物語を与えてその人生を浮かび上がらせた、な感じ?
あと、白が基調の美術といい、また、女優が多いことといい、いつもの「男臭い」「武骨」なイメージから離れて「華やか」な印象。
海賊ハイジャック、こんな一面もあったのね。

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