未開の議場〜北区民版2018〜
北区民と演劇を作るプロジェクト
北とぴあ ペガサスホール(東京都)
2018/03/21 (水) ~ 2018/03/25 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/03/21 (水) 19:30
価格2,500円
やはり優れた戯曲であり頭イイなぁ、と。また、カムヰヤッセンによる初演は時代を先取りしていたのではないか、とも。
で、十分に面白かったが、役者の力量差と一部のベタな(?)演出が「珠に疵」な感、無きにも非ず。
これを踏まえて4月の戯曲勉強会ビオロッカ版はどう見えるのだろうか?(wktk)
なお、こういうオーソドックスな(?)会議ものを観たことで、先日の箱庭円舞曲「何しても不謹慎」が所謂「会議もの」と一線を画すことを改めて認識。
【余談気味】
カムヰヤッセンによる初演(2014年10月)より登場人物の設定年齢と役者の実年齢が近いことから「12人の優しい日本人」の映画と舞台を思い出し、むしろ登場人物の設定年齢と役者の実年齢との差が大きい方が芝居として説得力が増すのではないか?などとも考えた。←「女形の方が現実の女性よりも女性らしく見える」的な感覚か
いや、本作がそうだというコトではなく。
ライラック
さよなら宇田川町
E-BASE(東京都)
2018/03/19 (月) ~ 2018/03/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2016/03/20 (日) 19:00
価格2,700円
4つの場で併行して進行する出来事がやがて……な物語、その関連を推理しながら観るのも一興。σ(^-^)は2つ読めた。
また、各場が丁寧なのと、奥底にうっすらとした優しさが感じられるのはいかにも河西戯曲。カーテンコールのシカケも巧く、最後のアレは好き。
あと、序盤で「言い訳」をして終盤でその言い訳のまた言い訳をするのも好き。(謎笑)
アフタートークで映画監督の古澤健さんが語られた深読み・誤読に、そういうのが得意な身(爆)として共感し親近感を抱く。また、役者体験を通じてダメ出しを受けた役者の気持ちがワカったという経験談も面白かった。
しかし、客入れ時にミラーボールがないのは片手落ちでは?(ほぼ冗談)
有川さんと10人くらいの美女?たち
ノアノオモチャバコ
駅前劇場(東京都)
2018/03/16 (金) ~ 2018/03/18 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2018/03/17 (土) 13:00
価格3,800円
タイトル通り有川さんありきの物語。ノア初のコメディとのことだが、次第にどちらが夢でどちらが現実なのかとか予知なの?とか思わせるのはやはりノア風味?
また図書館という場所設定に準じて本の表紙・背表紙を拡大したような舞台美術もステキ。
しかし公演開始後もCoRich舞台芸術!の公演情報のみならず、団体HPにもキャスト、スタッフ、タイムテーブル、料金などの実務的情報だけで、作品内容に関する情報(あらすじやら説明やら)が全くなかったのはいかがなものか?
タイトルに興味を惹かれた客を斬り捨てることになりはしないか。
え、新規顧客を開拓しなくても十分集客できる?それは失礼いたしましたぁ!(毒)
おかえりのないまち。色のない
キ上の空論
吉祥寺シアター(東京都)
2018/03/10 (土) ~ 2018/03/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/03/11 (日) 14:00
座席F列15番
「どう繋がってゆくの?」な複数の場を積み重ねてゆくスタイルはキ上の得意技だが、本作は従来よりコミカルなタッチで進んで行き、終盤でコペルニクス的転回(それは好きなパターンの1つ)があるのが特色。
そして大半の部分が例えば三角関係的ではあるが修羅場には至らず比較的平和に解決したりとソフトタッチで、各人物が生き生きと描かれ演者も生き生きとした演技をしているだけに終盤で明かされる事の真相がより酷に感じるシカケ。
実は冒頭、短い導入部の「不穏なナニカ」が提示されるが、本編の軽妙さにいつしか記憶の底に沈んでしまう(時々差し挟まれるS.E.で細々と持続するとはいえ)のも巧妙。
一見、前作「青の凶器、青の暴力、手と手。この先、」と似ているようではあるが、あちらは起きたことに対する追悼、こちらはこれから起こるかもしれないことへの警鐘という違いがあるように思う。
タイトルも含め伏線が巧妙にはりめぐらされているは中島作品の醍醐味と言えよう。
『天国と地獄』
遠吠え
王子スタジオ1(東京都)
2018/03/20 (火) ~ 2018/03/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/03/23 (金) 15:00
価格2,000円
21日マチネは初めてなので流れを追うことに重点を置いたが2回目ゆえ細部にも気を配れた結果、眼が潤みかけたり新たな発見があったりも。
登場人物それぞれに個性がある中、「いかにも先輩っぽい3年生」「初々しい1年生」「上下それぞれに気を遣う2年生」と学年毎のカラーが出ているのが上手い。
また、脚本を担当する2人が天才肌のメロス・技巧派のアニーとタイプが異なるのも巧み。
他にメロスが最初に書いた脚本の読み合わせをする時に「初見の台本を読んでいる」感じがちゃんと出ているものイイんだな。
あと、ラストで部員たちが「おはようございまーす」と言いながら部室(?)に集まって来ることに「櫻の園」の序盤を連想したり。
さらに観ながら各人物のハマり具合はあて書きによるものか演者が役を自分に引き寄せたのか考え、じゃあ他の役者が演じたらどうなるか、など想像していたのだった。
で、劇中に出てきたいくつかの台本をコンプリートさせたスピンオフ的作品も観たいし、3年生トリオや2年生コンビが新人だった頃を描いてあだ名の由来を紹介する前日譚的短編も観たいぞ。演ってくれないかなぁ……。
ハムレットマシーン
OM-2
日暮里サニーホール(東京都)
2018/03/22 (木) ~ 2018/03/24 (土)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/03/23 (金) 19:30
d-倉庫の現代劇作家シリーズ8「ハムレットマシーン」フェスティバルの通し券で鑑賞可能という恩恵に与っての予習的観劇(作品初見)。
いわば沙翁のハムレットのいくつかの断片を使った「演劇的(?)コラージュ」あるいは「リミックス演劇」といったところか。
原典の場面やキーワードが見え隠れするパフォーマンスがあれこれ変容しながら展開されるさまに以前観た黒田征太郎のライブペインティング(竜童組のコンサートで序盤から演奏に触発されたであろうものをステージ後方で描き始め、一旦仕上がったかに見えてもその上に新たなモチーフを描いて次々と描き重ねてゆく)を思い出した。その意味では「立体ライブペインティング」とも言えるか?
そしてイントレ上の2階席は全体を見渡せて正解。掃除機の排気によって徐々に膨らみゆく巨大ビニール袋と膨らみきってからのその中でのパフォーマンスやキャットウォークから何百枚(推定)もポートレートが降る風景などが一望でき美しく見えた。
他にも「そんな表現アリかよ!?」が満載で「面白い」、と言うよりは「楽しめた」。「のっとしんく・のありーど、ふぃーーーーる(考えたり読んだりするんじゃない、感じるんだ)」モードで観たのも幸いしたようだ。
(「ジョニーが凱旋するとき」のチンドン屋風アレンジも面白かった)
難解と言われる本作を楽しめたことで第一関門突破というところか?(笑)
あれを「基本形」としてフェスティバル10団体の様々なアプローチを楽しむことにしよう♪
なお、当団体も初見だが、アムリタ、sons wo:、ジエン社など「ストーリーを語ることではなく観客の内部にナニカを生じさせることに重きを置く演劇(私見)」をうんと尖らせたもののようにも感じ、BUoYを使った公演を観てみたいとも思った。
【勝手にキャッチコピー】
「エンゲキ、ヒエンゲキ、ソレワナンデスカ(ぷれい・おあのっとぷれい・ざっといずくえすちょん)」
「オモシロイ、オモシロクナイ、ソレワナンデスカ(いんたれすてぃんぐ・おあのっといんたれすてぃんぐ・ざっといずくえすちょん)」
たまには海が泳げ!
クロムモリブデン
王子小劇場(東京都)
2018/03/20 (火) ~ 2018/04/01 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/03/22 (木) 19:30
座席D列4番
徐々に速度を上げて最高速に達したところで唐突に終わるクロムスタイル健在、と言うか絶好調。
そして黒を基調にした美術も相俟ってサスペンスフルでミステリアス。漠然とヒッチコック映画の味わいを感じたりも。
また、冒頭の三女優によるキレのある「アレ」と時々後方に投影される動く幾何学模様(ヒッチコック作品のタイトルバックにあったものに似ている???)も印象的。
あと、クライマックスのチェイス(?)シーンも好み。
再生ミセスフィクションズ2
Mrs.fictions
北とぴあ ペガサスホール(東京都)
2018/03/15 (木) ~ 2018/03/19 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/03/16 (金) 19:30
価格3,000円
初演を観たもの・観ていないもの、書下ろし新作と違いはあれどいずれも「あー、この味わいはまさしくMrs.fictions♪」な楽しさ。
そんな中、初演も観ていた「東京へ連れてって」はゲスト演出ということでいかにもPMC野郎な部分(ゴキブリのアレとか(笑))もありこれまた妙案だな、と。
また、「上手も下手もないけれど」も初演を観ていたが、劇中劇でのメイクと劇中人物の加齢を重ね合わせたり、シームレスで時を隔てた次の場に移ってもそれをすぐに察することができるなど、月日・時間の進め方が巧み……と言うか名人芸級かも?
あと、美術がシアターグリーンBOX in BOX THEATER での15mm当時の雰囲気で、そんなところもフィクションズっぽく感じた要因かな、とも。
『天国と地獄』
遠吠え
王子スタジオ1(東京都)
2018/03/20 (火) ~ 2018/03/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/03/21 (水) 15:00
価格1,500円
高校(おそらく女子高、そしてもしかすると以前は創立記念日にチェーホフの「桜の園」を上演するのが恒例だったのではないか?)演劇部員各学年7人が織りなす物語。
高校部活ものにハズレなし、大好きなヤツだった。題材的に吉田秋生原作・じんのひろあき脚本の「櫻の園」と地続きなようであり、途中のメタ?と思わせる部分ではこれまた大好きな小説を想起したし。そして各人物の個性が巧く出ているんだな、脚本・演出・演技三位一体の功績だね。
アニーとメロスは木村主宰が反映された「分身」かあるいは全くの「創作」か?などと考えたりもして。(笑)
で、観終わって間もなく23日のマチネを予約。
「LOVE」 Chapter3
シンクロ少女
OFF OFFシアター(東京都)
2018/03/19 (月) ~ 2018/03/21 (水)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/03/20 (火) 15:00
価格2,800円
悪いヤツが出てこない芝居は数あれど愛されキャラしか出ていない芝居は珍しいのではあるまいか? 毎度微笑ましくトラブルがあっても(劇中人物にとってはともかく観客としては)深刻にならない秘密はそこではないか?などと考えつつ愉しく観劇。
ほのぼの具合はあだち充作品に、全体の雰囲気に「男はつらいよ」シリーズと通ずるものがあるのではないか?とも思ったり。
それにしても味わいの宮本さん、日本語が上手になったなぁ。(←そう錯覚するほどに「中国人が喋る日本語」っぽさが見事だった(笑))
しかしこのシリーズに慣れてしまうと次の本公演がいつもよりビターに感じられてしまうのではないか?(半分真顔)
廃墟
ハツビロコウ
シアターシャイン(東京都)
2018/03/13 (火) ~ 2018/03/21 (水)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/03/13 (火) 19:00
終戦直後、階下が焼けたため屋根裏部屋で生活する親族(+α)のひととき。ソリッド/硬派な印象はいかにもハツビロコウ。
そして理想的(?)な生き方を実践する父にも無茶をしがちな息子にも共感する。(実際ああいう局面になったら息子のような行動をとるのだろうけれど)
また、あんな荒廃したところから日本人たちは再起したんだなぁ、とも。
あと、会場の構造が屋根裏部屋にはうってつけだし、潔いと言うかバッサリ切って余韻を残す終わり方も良かった。
ボス村松のラジオ
劇団鋼鉄村松・日本のラジオ合同公演
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2018/03/15 (木) ~ 2018/03/18 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/03/16 (金) 14:00
価格2,200円
ボスの詩的な指向モロ出しのロード系バディもの。序盤で不条理気味?と思うもすぐに詩的だと気付く。そうして思い返せばかつて観たボス作品はいずれも詩的な部分があったなと(やっと)思い当たる。
また、中心となる二人に漠然とジーン・ハックマンと若き日のトム・クルーズを思い浮かべたのは「スケアクロウ」と「レインマン」だな。あの頃のアメリカ映画がもしも日本人だったらどうなるか?みたいな。そう言えば車の移動でずっとDJ番組が流れているのもアメリカ映画っぽい。
そして、もしもボス自身が演出していたらどうなっていたろう?などと想像するのもまた楽しからずや。
あと、会場の基調である黒と木材の自然な色を対比させたセンスある舞台美術も好み。これも詩的な印象に一役かっていたのかも。
慟哭は戯言
劇団Bケイカク
APOCシアター(東京都)
2018/02/20 (火) ~ 2018/02/25 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/02/23 (金) 14:00
価格6,000円
【ドウコク編】2月23日 14:00 6000円/2=3000円(通し券)
妻に先立たれた男が娘、従業員と3人で切り盛りしている工務店の普段通りの和やかな朝に入った1本の電話……から始まる物語。
刑事事件被告人の家族に対する周囲からの人権侵害を描いており、現実にありそうな、どころか起こっていそうだと思いながら観ていたが、実際にあった事件を取材してとのことで、コスタ・ガブラス監督の作風を連想。
そしてそんな内容だけに特に後半は台詞の間合いや沈黙が雄弁。スマホのバイブ音どころではなく座り直す際に起こる椅子の軋み音さえはばかられそう。緊張したぁ。
しかしあのベタなほどの……ってか実際ベタな(爆)導入部の父娘ネタからの落差はあざとい!(笑)
【ザレゴト編】2月23日 19:30 6000円/2=3000円(通し券)
ドウコク編の5年後の話で、工務店の3人のその後の姿も描かれるが、中心となるのは記者がドウコク編で描かれた事件を取材した内容なので前日譚。そして明かされる真相とそれぞれの想いが切ない。
なお、2編の関係性に劇団皇帝ケチャップ「夏。つかの間の虹」/「春。いつかの雨の匂い」 を想起。
そう言えばそれそれタイプは違えど、鵺的「天はすべて許し給う」、Ammo「ノスタルギヤ」、そして本作と、「覆水盆に帰らず」な印象のものが続いた感じ。これも小劇場シンクロニシティか?
なお、実は両編とも桃と団地妻による初演(2015年・Gallery LE DECO)も観ていたことに後から気付く。(爆)
何しても不謹慎
箱庭円舞曲
駅前劇場(東京都)
2018/03/08 (木) ~ 2018/03/13 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/03/11 (日) 19:00
古くは12人三作(怒れる男・優しい日本人・おかしな大阪人)、そして近年増えてきた会議ものとは一線を画し、1回の会議の内容ではなく1年近くに及ぶ定例会議を描くことにより会議自体(と議題の関連した問題)ではなく「(日本の)会議というもの」や制度を見せる感じ? そしていかにもありそー!(笑)
なので極めて日本的と言うか身に覚えがあると言うか、戯画化してはあるもののリアルで身近な感覚。新型の会議ものと言えるのではないか?
また、場転の時に不穏なS.E.、不穏な明かりの中で劇中では詳しく描かずトバした会議の様子を動作(資料を配る・挙手をする・言い争う?など)だけで見せるのも妙案。
尊厳の仕草は弔いの朝に
劇想からまわりえっちゃん
王子小劇場(東京都)
2018/03/14 (水) ~ 2018/03/18 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/03/15 (木) 18:30
まずは上演時間が3時間弱と知って二の足を踏んでいる方々へ。
こわくないこわくない……いや、長くない長くない、ですよ。前半(90分)は完全に娯楽重視で、10分間の休憩を挟んだ後のシリアス気味の完結編が70分強という構成と時間配分が体感的に短く感じさせるのかも。
さて本論。前半のマンガチックな西部劇が後半のシリアス系の現代劇とどう繋がるの?と思いながら観ていたが「もしや前半は後半の物語のスピンオフ……いや壮大な序章?」な関係が示され、しかしそれだけにとどまらず物語が進むにつれて次第に繋がりが密接になり最終的に融合してゆく構造が鮮やか。
前半の終わり際=休憩の前に後半のイントロになる部分を見せるのも、休憩によって流れが途切れることを回避する妙案。
表現方法に惑星ピスタチオ(系)やひげ太夫に通ずるものがあるので、そっち系がお好きな方にもオススメ。偶然だろうが、ひげ太夫ではお約束的にほぼ毎回出てくるセリフのやりとりと同パターンのやりとりがあり、ひげ太夫ファンとして頬が緩んだりも。
通ずると言えば後半部分ではこの少し前に観たガレキの太鼓「地上10センチ」も想起。
前半は「1864年の話なのに主な銃の銃身がパイソンっぽいじゃねーか」「リボルバーで何発撃ってるんだよ」などとツッ込むのが野暮なほどマンガチックで時々劇画調な印象を受けたが、スゴい(謎)のはそう思わせた創る側かそう思ったσ(^-^)か?(笑)
つらつら思い返すと粗い部分もいくつかあるが、10年前にこれを書いたことと、何より異質な2つの物語を融合させたアイデアを評価したい。(何かエラソーだがちょっとした逃げだ(爆))
なお、アマヤドリ・中野智恵梨さんの女子っぽさ(二通り)とピヨピヨレボリューション・macoさんのアクション(ダンスは言わずもがな)も見どころ。
地上10センチ
ガレキの太鼓
こまばアゴラ劇場(東京都)
2018/03/08 (木) ~ 2018/03/18 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/03/10 (土) 14:00
価格3,000円
まんまとハマる。主人公がしようとしていることに対して「そういうのもアリかもなぁ」と思いつつ同時に疑問も持っている観客の気持ちを見透かしたかのような終盤と幕切れにウギャッとなる。(笑) そのどちらもベースにあるものは同じだろうし本作の裏主題(送られる者、送る者、それぞれの想い……それは極めて日本的?な考え方かも)かな、とも。
内容的に当然の如く伊丹十三監督の「お葬式」を連想……ってかアレの現代版あるいはニューエイジ版、的な?
アフタートークは何と父娘対談で、秘話などもありつつ、親子ネタに弱い身として時々ホロリ。
そう言えばこの前夜に観た1週遅れの「アンナチュラル」と通ずるものがあり、また、後日観た劇想からまわりえっちゃん「尊厳の仕草は弔いの朝に ~1・2・3ショットマンレイ~」にも通ずるものがあった。
物の所有を学ぶ庭
The end of company ジエン社
北千住BUoY(東京都)
2018/02/28 (水) ~ 2018/03/11 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/03/08 (木) 14:00
価格3,000円
観ながら頭に浮かんだのは「アリマス、アリマセン、ソレワナンデスカ」という沙翁「ハムレット」の名台詞の初期の翻訳。
所有に限らず「存在する」とは何か?ということまで問うて考えさせる……と言うか観ながらこちらも考えている、な内容はいかにもジエン社。(笑)
なので劇中人物にとってはタイトル通りだが、観客にとっては「物の所有をきっかけに存在などについて「考えてみよう」な芝居」ではないか? 知的好奇心を刺激されまくり。
序盤で出てきたペンの所有に関する疑問が終わり近くで再び出てくるので落ち着いた終わり方に感じられるのもイイ。「思索の散歩」でひと巡りして元の場所に戻った、的な?
以前話題になった哲学書(という表現は適切?)「ソフィーの世界」(未読)もこんな感じなのではないかと、あるいはEテレでたまに放映する「難しそうなことを判りやすく見せる番組」風?などとも思った。
しかしこの会場、3度目になるが、アムリタ、sons wo:、ジエン社といずれも単にストーリーを語るのではなく、観客の心にナニカを生じさせる、あるいは観客を取り込んで共犯者にするような作品の団体。さて、次にこのじゃじゃ馬会場を使いこなす団体はどこだ?(笑)
JK OF THE UNDEAD
哀女
ザムザ阿佐谷(東京都)
2018/03/07 (水) ~ 2018/03/11 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/03/07 (水) 19:30
価格2,500円
所謂ゾンビものに「もうひとつの要素」を附加したことによりメッセージ性を持たせることに成功、後半にキラリと光る台詞も2つ3つ。これが表情ワールド?いや一つの表情にすぎないのか?なんたって「表情豊」ってくらいで。
papillon/春待つ町
ゆめいろちょうちょ×Ordinarist'sBox.
ギャラリーがらん西荻(東京都)
2018/03/06 (火) ~ 2018/03/11 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/03/07 (水) 14:00
価格2,000円
【papillon】
1丁目1番地から7丁目XX番地までそれぞれに穴を掘ってはまた最初に戻って穴を掘ることを返す男のもとにその穴を埋めて回っている女が現れ、男は女に自分の体験談を語り始め……という導入部はまるで不条理劇あるいはオトナの賽の河原?(笑)
そうして語られる本編、迷い込んだ(?)蛾と暮らしていた男の部屋に美しい蝶が新たに迷い込むが蛾にはその蝶が見えず……と、オトナのメルヘンに変容。
と言うか「蝶ありきの蛾」と考えればあからさまなほどの恋愛寓話であり、「蛾には蝶が見えない」なんて都合がイイってか羨ましい。(爆)
さらに終盤に「男は恋愛経験を記憶の中で美化する」なんて台詞があって、「言われてみればその通り!」と「眼からウロコ」状態。(笑)(ちなみに女性客は蛾や蝶に感情移入しがちだったと終演後に聞いてそれも納得)
あと、蛾の衣装が「なるほど蛾だね」な模様だったり、蝶の表現が台詞なしで表情と動作だけだったのも「いかにも演劇」で感心。
義経ギャラクシー ─銀河鉄道と五条大橋の999─
X-QUEST
北とぴあ つつじホール(東京都)
2018/03/08 (木) ~ 2018/03/11 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/03/08 (木)
座席K列10番
初演の四方囲み客席でのロープなきリングのようなステージ版が彫塑とすればこちらは同じモチーフを油彩絵画で表現したような。
プロセニアムステージゆえ星空や地図を投影する(紗幕を使っての画像と役者の「合成」まで!)など各種照明効果を駆使したりで視覚的にも美しい。
もちろん初演からの義経+賢治+999(+α)のミキシングバランスも絶妙で、元ネタがワカればワカるほどニヤリだし、ソレとソレをそう繋ぎますか、なアイデアに感嘆。先の喩えのように初演版大いなる改作……ってか二卵性双生児的関係、みたいな?