じべ。の観てきた!クチコミ一覧

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「ハムレットマシーン」フェスティバル

「ハムレットマシーン」フェスティバル

die pratze

d-倉庫(東京都)

2018/04/04 (水) ~ 2018/04/22 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/04/18 (水) 19:00

四組目:風蝕異人街/7度
この組も好対照というか面白い組み合わせ。最多人数で「動」の演出の風蝕異人街と最少人数で「静」の演出の7度とスタイルこそ真逆ながら過去3組のように「ハムレット」そのものや他の小説あるいは創作部分など「混じりもの」を加えることなく、原典のテキストのみを加工して使ったのではあるまいか?(←原典未読につきあくまで推測の域を出ないが)

【風蝕異人街】
コロスも使った多人数版、オフィーリアが7~8人いて(!)台詞/テキストを割り振ったり「ダンスらしいダンス」や映像を使ったりもするが、先述のように実は原典のテキスト含有量がここまでで一番多いのではないか?

【7度】
冒頭こそ動きがあるがやがて演者2人はある位置から動かないばかりか体勢も変えない時間が続く……が不思議と惹き付けるものがある。OM-2も含めて9組目で最も静的な演出だったので新鮮に感じたことに加えて舞台を楕円形に切り取る照明の効力も大きかったか? なおその照明、終盤での変化も印象的。
また、フラワーロックのような小道具がほぼ動かない演者の台詞などに反応して動くも愉快だった。

卒業式、実行

卒業式、実行

Aga-risk Entertainment

サンモールスタジオ(東京都)

2018/02/17 (土) ~ 2018/02/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/02/17 (土) 19:30

生徒対教師の同じ問題の論争劇だった「紅白旗合戦」が事前の会議で「ナイゲン」気味であったのに対して卒業式直前から最中に設定を変えたことにより時間的な制約が加わってまさしくバックステージものに変貌。(東京サンシャインボーイズの「ラヂオの時間」がスタジオ収録であったのに対して映画版は生放送としたことを連想)
10日ほど前の試演会の段階ではクライマックス前までしかできていなかったのでこの短期間であのクライマックスを創り上げたか!な感もひとしおで、伏線回収も屁理屈もアガリスクど真ん中だし中田顕史郎さんの説得力にも納得(今まで観てきた他団体での演技ほぼそのままで、ちょっと考えると違和感がありそうなのにむしろ適合してしまうという……)。

生徒会長・クマガイの行動原理が「国歌・国旗反対」(←シリアス度が増してしまう)ではなく「生徒が自主的に決めたことを死守する」ことであるとハッキリさせるためにPTAのマエダを思想的な国家・国旗反対派として描いて熊谷と対比させるのも巧い。
これによってクマガイの「そこじゃないんだ」感が前面に出て、この芝居も思想的なことに基づいたものではないというのが強調される効果もあって鮮やか。(試演会の時にちょっと出たことを昇華させた感じ?)

また、下手の客席側にある出ハケ口や客席通路など会場の使い方やアガリスク初ではないかと思われる装置のギミックも効果的で良かった。

あと、冒頭部の見所は星秀美さんの顔芸 (爆)

WS 象をなでる↔魔王を倒す

WS 象をなでる↔魔王を倒す

アムリタ

新宿眼科画廊(東京都)

2018/04/14 (土) ~ 2018/04/15 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/04/14 (土) 15:00

価格2,000円

王から勇者と認定され(任命され?)魔王を倒すよう命ぜられた若者の話と2人のOLの話が交互に進行するが、表面的に異なるこの2つの流れがどこか深いところで通じているように感ずるのが面白い。

2015年9月の「死に至る眼、光る」で使った「観客に小型LEDライトを1個ずつ持たせて点けて気になるところに当てるも消すもほぼ自由」という演出を(客席キャパもやや増えたことから?)色付きにするなど進化させていた感じでもあるか。
で、この演出、またいつか使うんじゃないか?(笑)

Z-Studio  ~ゾンビ映画は愛を育む~

Z-Studio ~ゾンビ映画は愛を育む~

スズキプロジェクトバージョンファイブ

小劇場B1(東京都)

2018/04/13 (金) ~ 2018/04/22 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/04/13 (金) 19:00

2045年、ゾンビ映画を撮影していた面々が体験する思わぬ出来事……。
コメフェス参加などで培ってきた力はホンモノ、単なるお笑いだけではなくきちんとテーマも持った良作。
問題解決後の2ステップが「あ、それね」なのは珠に疵だがそこまでの出来に免じて片目を瞑るか。

なお、開場が少し遅れたが、定刻にきちんと「只今開場時刻となりましたが機材トラブルにより少し遅れさせていただきます、大変申し訳ございません」とアナウンスし、その後も度々告知・謝罪したのは適切で、トラブル解消後にすぐ入場できるよう列を作り、待っている客の気を紛らわせるべく物販説明をしたのもグッジョブ。

ネタバレBOX

ただのゾンビものコメディにとどまらず、社会的(?)要素を2つ組み込んだのはアッパレ。
ゾンビ化の原因(の1つ)に食品添加物が挙げられており、今から四半世紀余も先なら添加物もヤバいことになっているかもしれず、そんなことにならなければいいな、と。
また、「ゾンビ状態から回復させるにはアツくなるものを思い出させる」ということからゾンビ化とうのはディスコミュニケーション傾向の隠喩で、相手のことを考えて興味を持っているものを会話のきっかけにするという解決法の1つの提案では?とも思える。
さらにコミュ障気味の恵木がゾンビにはなっていなかった、というのは冒頭の「助かるためにゾンビのふりをする」と対応するのではなかろうか?

問題が解決したあとの「この内容を映画に……」は定番だし、さらにラストの一件落着かと思いきやまだもう一つの要素が、というのもありがちではあるが食品添加物禍を思い出させて終わるのでアリかな、とも。
最果て忠敬

最果て忠敬

蜂寅企画

ザ・ポケット(東京都)

2018/04/11 (水) ~ 2018/04/15 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2018/04/11 (水) 15:00

座席K列7番

価格3,000円

人物、場とも多く、暗転が明けた時など「いつ?どこ?誰?」になりがちなのは難だが、日本地図作成への伊能父子の意気込みを縦軸に周辺の人々の想いや生き方(?)を活写するのは蜂寅企画の真骨頂か?
ちょっとNHKのドラマっぽいかも?(笑)

「ハムレットマシーン」フェスティバル

「ハムレットマシーン」フェスティバル

die pratze

d-倉庫(東京都)

2018/04/04 (水) ~ 2018/04/22 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/04/10 (火) 19:00

三組目:ダンスの犬 All IS FULL/楽園王
三組目はバリエーション対決とでも言おうか、言葉のない「女たちのハムレットマシーン」なダンスの犬 All IS FULLに持ち味丸出しな楽園王。

【ダンスの犬 All IS FULL】
コカ・コーラを片足で引摺り垂れ乳(それも二組:深谷主宰によれば「過去」と「現在(未来?)」を表すとのこと)を「振り乱す」5人の女性パフォーマーや下手奥の巨大な女陰のオブジェから感じたのは「女たちのハムレットマシーン」。
元々ストーリーがあるものをダンスで表現するならまだしも「難解」で「上演不可能」と言われる戯曲を、となるとこれはもう「舞台で起こることをそのまま観て受け取る」のみ。
がしかしパフォーマンスのみならずクラシック、演歌、ロックンロールなど使う幅広い選曲などでそれなりに楽しんで観ることができた。
また、アフタートークで深谷主宰の「種明かし」を伺ってあれこれ納得。実はコカ・コーラと冷蔵庫が原典に出てくるというのをやっと知ったりも。で、終盤、女陰のオブジェに入ってゆく場面で「もしかしてここまでのパフォーマンスは逆回しだったのでは?」と思ったのは(やはり)ハズレ……

【楽園王】
始まる前に見える椅子の配置からすでに楽園王(笑)だし、お馴染みの句読点ずらしはもちろん、言葉遊びや不条理気味なやりとりを含んで語られるのは海辺の町(?)での劇団の稽古場的風景、原典を劇中劇に創作部分でくるんだ構造がいかにも。
ハイナー・ミュラーが「ハムレット論」を戯曲化したものが「ハムレットマシーン」で、本作は長堀さんによる「ハムレットマシーン論」(あるいは「ハムレットマシーン」への返歌:ちなみに最初に閃いたのは「二次創作」)ではなかろうか?
あと、アンゴラ村長の「あのサビの振り付け」が出てきてニヤリ。

誰も寝てはならぬ

誰も寝てはならぬ

feblaboプロデュース

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2018/04/12 (木) ~ 2018/04/18 (水)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/04/12 (木) 20:00

価格2,500円

演劇というものがなくなり、もはや考古学の対象となった未来、演劇を復活させる実験のために7人の男女が集められるが……な物語。
好きなタイプのヤツだった。そして最近の映画のキャッチコピーではないが「あなたは最初から騙されている」ヤツでもあった。そしてこれは国道五十八号戦線の「俺たちの演劇」宣言だったのでは?などと思った。
また、国道五十八号戦線による初演・再演(2008年・2009年)はどちらも観ていなかったので、当時出ていた、そしてよく知っている方々がどの役を演じたか推測しながら観るのも面白かった。(結果はアタリ)
ラストの台詞は虚飾集団廻天百眼「少女椿」にほぼ同じ意味のものが出てくるので作家脳というのは似た発想をするんだなぁ、とも。

ネタバレBOX

演劇というものを全く知らない面々が、どういうものであったか手探りするように考えるというのが芝居を観慣れている身にとって可笑しくも新鮮で、「あぁ、そう解釈してしまうこともあるのか」だったりするのが愉快。

また、準備した台本(劇中)をこなした後に「あくまでこれはダイジェスト版であり、実際はこちらです」と膨大なページ数の台本を提示し「さらに演出・照明・音響・大道具小道具・装置・衣装などが必要となります」と続ける女性考古学者に対して参加者が「そんなに大変なのか?」とネを上げる終盤は「はたしてそれらすべてが揃わなければ演劇と言えないのか?」と問いかけるようであり「それらが不備であっても観客を楽しませるのが「俺たちの(小劇場)演劇」である」という宣言に感じられて、その意気にワクワクゾクゾク。
(追記)考えようによっては「俺たちはそのしちめんどくさい演劇というものを演っているんだよ」という自負、はたまた「そういう演劇というものが大好きなんだよ」というラブコールともとれる。

全体、特にラストはメタフィクション的であり、しかし昨今このテは多いが10年も前に学生だった伊神さんが書いたというのもスゴいなぁ。感服!
そして本作をとりあげてくださった池田Pと出演陣には感謝!

(追記)
虚飾集団廻天百眼「少女椿」と共通の台詞は「私たちの物語はこれで終わるけれど、そちら(観客)側の物語はこれからも続く(大意)」というもの。
もしかして他にもこういう台詞で締める芝居があるかも?
「ハムレットマシーン」フェスティバル

「ハムレットマシーン」フェスティバル

die pratze

d-倉庫(東京都)

2018/04/04 (水) ~ 2018/04/22 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/04/08 (日) 14:00

二組目:初期型/身体の景色
様々な団体のアプローチを見比べることができるのがフェスティバルの醍醐味、一組目の「リミックス対決」に対して二組目は「表現法対決」のオモムキ。
内容を見て団体の組み合わせを決める訳ではないそうなのでこのような組み合わせになった偶然もスゴい。

一組目の時は「演出家や上演団体という器によっていかようにも形を変えるさらさらの液体のような戯曲」と感じたハムレットマシーン、今回は「何をやっても許される戯曲」と悟り、以下のような「観る時の心構え」を思いついた。(爆)

【ハムレットマシーンを観る時の心構え】
・考えたり読もうと思ったりしてはいけない、舞台上に起こることをただひたすら見てそこからナニカを感じよ
・ハムレットとの接点など探すなかれ、見ていて「ここはアレかな?」と思える部分があれば儲けもの
・「矢でも鉄砲でも持ってこい」くらいに開き直って臨むべし

【初期型】
某全裸芸人の進化形のようなスタイルでの「私はかつてハムレットだった……」という台詞から始まるが、今までの3団体はほとんどそこ以降が聞き取れなかったので「あの後はこう続くのか!」と新鮮な感覚。(笑)
以降、少年探偵団の「恐怖の人間カラオケ」のようなパフォーマンスも経て終盤では某100%風が3人に増殖し、でんぐり返しや組体操までやらかすのでスリル満点(爆)という型破り。これでこの戯曲は何を演っても許されると悟る。

【身体の景色】
終戦直後の日本を舞台とした翻案。それゆえ一組目でも使われた玉音放送がここでも使われ、演出家脳にはそれを思い起こさせるナニカがあるのか?などと思う。また、少し前に演劇ユニットハツビロコウの「廃墟(三好十郎)」を観たのでそちらのイメージも脳内にひろがり、それははたして良かったのか悪かったのか?(笑)

エレキ鰻は泣いている?【東京公演】

エレキ鰻は泣いている?【東京公演】

雨の一座

早稲田小劇場どらま館(東京都)

2018/04/05 (木) ~ 2018/04/08 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/04/06 (木) 19:30

価格2,700円

一言で表現すれば「羊の皮を被った狼」、表面上は一見ポップでファンシーなのに冒頭をはじめいくつかの台詞が懐かしき昭和のアングラ調だし、それどころか底流にダークあるいは不穏なナニカがあるし……でもそれが何故かは非常にワカり易い。そんなアンビバレンツが愉しい♪
また、ところどころ早口なのにさほどストレスにならないのはちゃんと間は取っている(しかも大事な台詞はノーマルスピードに落とす)からだろう、芝居の会話の「間」の大切さを改めて認識した。

ネタバレBOX

アングラ調の台詞については途中で寺山修司「書を捨てよ、町へ出よう」が出てくるので「あ~、それでか!」とニヤリ。
ナニカについてはポップな感覚で忘れがちだが冒頭で阪神大震災ものらしきニュース音声が流れるし、その少し後に首にロープを巻いた主人公(ともう1人)が死の直前の走馬灯について話しているし、主人公の生誕直後に阪神大震災が起こるのを皮切りに彼の身に何かが起こるのは大きな震災のあった日だし……ということで実は明白。
ピヨピヨレボリューション公演『Gliese』

ピヨピヨレボリューション公演『Gliese』

オフィス上の空

ザ・ポケット(東京都)

2018/04/03 (火) ~ 2018/04/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/04/06 (金) 14:00

座席J列7番

価格4,000円

テンポが良くリズム感もある場面構成、楽曲の質や使い方などエンターテイメントとして上出来な作品であることに加えて初演を脳内で再生したり今回の東バージョンを想像したりで大いに楽しんだ。
初演を観ていたので一部の人物の設定や台詞に初演時のあて書きの名残を見出したり、逆に脚本執筆の初期段階ではこちらを想定していたのでは?などと想像したり、あるいは新たなキャラクター造形に「そう来たか!」だったりで、より楽しめた感じ。
さらに、客入れ時BGMが使用曲のバックトラックだったので振付や場面を思い出したりも……
また、初演時にも感心したのだがファンタジックではありながら美醜の基準とか価値観の強要など、 けっこう大事なことを終盤で訴えるのもイイ。
それにしても普通は脚本家と作曲家が分業で成し得るレベルのものを1人で創り上げてしまうって、どういう才能だよ、多才か!?(驚)
なお、この回のアフターイベントはシアターゲームで、偶然にも前夜に観たものが人狼を劇中に取り込んだものだったというシンクロニシティも。

僕をみつけて/生きている

僕をみつけて/生きている

かわいいコンビニ店員 飯田さん

OFF OFFシアター(東京都)

2018/04/04 (水) ~ 2018/04/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/04/05 (木) 20:00

価格3,500円

【僕をみつけて】
バイト仲間たちが1人の家に集まっての人狼パーティーをするが……な物語。
小劇場系で人狼をやって見せるイベントは少なからずあったが、芝居中に取りこんで別のテーマと重ね合わせるとはズルい……いや賢く、やったモン勝ちなコロンブスの卵♪
そこにラブコメ……と言うより「ラブファルス(恋愛笑劇)」を組み合わせるのがまた上手く、思いきりベタなぶりっ子系や心理学専攻などのキャラを配し人物がそれぞれ生(活)きているのもイイ。
人狼の場面ではじめのうちは時々照明を落とすことで役職などを見せないことで観客も参加しているように思わせる演出も巧み。
そして訪れる結末、ゲームで人狼チームが勝利したかのような印象を残すラストカットは画竜点睛を打つが如し、お見事!

ネタバレBOX

雪(赤猫座ちこ)の人物造形(新境地?)についてその発声からアニメキャラのような気がしていたが、あとから考えたらもっと近い実在の人物がいた……小林麻耶アナ!(爆)
豊(むらさきしゅう)には推定7割近い男性が共感し3割強の男性は古傷を掻きむしられる気がするのではないか?(笑)
ところで慶応大出身者は肩のあたりが早稲田のスクールカラー(エンジ/えび茶)のセーターを着たりするのだろうか?(笑)
僕をみつけて/生きている

僕をみつけて/生きている

かわいいコンビニ店員 飯田さん

OFF OFFシアター(東京都)

2018/04/04 (水) ~ 2018/04/08 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/04/05 (木) 15:30

価格3,500円

【生きている】
全く異なる味わいの短編3本、色は違えど確かに各編ともそれぞれ「生きている」だなぁと感心。

「俺とお前の生きる道」
妻に内緒で会社を退職していた男、その秘密が妻にバレて……な比較的身近/現実的なウェルメイド。
終盤、夫がずっとやり続けていたゲームのクリア音声がそのまま事態のクリアを示唆しているのが上手い。

「進軍、ブラック社蓄兵」
ブラック企業の営業マンコンビと一見ホワイトな取引先担当者とのひとこま。
ブラック企業を誇張・戯画化しているので長編コントのようなオモムキ。
ホワイトに見えた相手先も実は……なのがほろ苦い。
なお、始まる前に転換時に流れるのがシルヴィ・バルタン「悲しみの兵士」で、終わった後の転換時はミッシェル・ポルナレフ「哀しみの終わるとき」という選曲にニヤリ。(奇しくもその両者のベストアルバムを昨年秋から冬にかけて買っていたのは予知か?)

「Gの家」
あれこれヤバそうなキャラものパロディ的後日譚からのファンタジー。衣装(?)も楽しく、次第に現実から離れてこれを最後にもってくるのも巧み。

「ハムレットマシーン」フェスティバル

「ハムレットマシーン」フェスティバル

die pratze

d-倉庫(東京都)

2018/04/04 (水) ~ 2018/04/22 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/04/04 (水) 19:00

一組目:サイマル演劇団/隣屋

【サイマル演劇団】
少し前にスペクタクルなOM-2版を観た後だけにダイナミズムに欠けるように感じたが、実は案外こちらがオーソドックスか?などと思いながら観ていたところ、アフタートークで赤井主宰が傘の女性が「ハムレットマシーン」のテキストを読み、絡んでいる男女が「ハムレット」を体現(ハムレットとガートルード)、腰掛けている男性が全く別の小説を朗読していると明かしてくださりギャフン!(笑)
そもそも戯曲が沙翁のハムレットの「リミックス」的なものなのにそれをさらにリミックスするとは恐れ入りました。(笑)

【隣屋】
台詞/会話担当の男女、身体表現系の女性、生演奏/生音担当の2人でのパフォーマンスにて「ハムレット」「ハムレットマシーン」「罪と罰」のテキスト(アフタートークでの三浦主宰談)にフリートーク風の会話と、こちらも「リミックス演劇」。
光のサークルや「命の風船」(どうやってあの高さに浮かせているのやら?)という美術・小道具(?)もユニークにしてポップな雰囲気も。

どうやら「ハムレットマシーン」という戯曲は「液体」らしい、なぜなら演出家・上演団体によってカタチを変える……なんてことを考えた。(また、「戯曲は皿、演出家はDJ(もしくはミキサー)」説も)
これからの8団体はどんな「容器」なんだろう?

JUKEBOX 2018

JUKEBOX 2018

劇団天動虫

アルファクロス登戸店(神奈川県)

2018/03/25 (日) ~ 2018/03/25 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/03/25 (日)

価格2,500円

短編4編にコント集2つにミニライブまでというバラエティに富んだ構成で体感的にはさほど長くなく、短編のうちかつて観たものも別キャストで新鮮に感ずる。
ラストの寄席が舞台のものにその前のコントのユニット名が出てきたりするのも愉快♪

Ten Commandments

Ten Commandments

ミナモザ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2018/03/21 (水) ~ 2018/03/31 (土)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/03/29 (木) 14:00

価格3,500円

ストーリーを語るのではなく、思想や体験、調べた結果などを伝える演劇、その意味でとり・みきのエッセイマンガ「愛のさかあがり」などにも通ずるのではないか?
そしてこの少し前に初めて観た「ハムレットマシーン(OM-2版)」にも近く(あれより簡単)タイミングが良かったな、と。
また、オープニングと対をなす……と言うか同じ状況で1か所だけ異なる(=好転している)ラストで観客を安心させて無事着地させるのもイイ。
なお、「ハムレットマシーン」を連想したお客さんは他にも複数いらしたと伺い「やっぱり!」(笑)
どちらも「かつて〇〇であった××」なんて人物が出てくるしね。

ソノ先に在る、あるいは居るモノへ

ソノ先に在る、あるいは居るモノへ

劇団皇帝ケチャップ

浅草九劇(東京都)

2018/03/30 (金) ~ 2018/04/01 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/03/31 (土) 19:00

座席D列11番

価格3,300円

いささかダーク気味であったりファンタジックであったりなリドルストーリー4編オムニバス。核心的な部分は結局明かさない、伏線を張ったまま回収しない「確信犯的(核心犯的?(笑))犯行」な4編につき「何だかワカんなかった」「半端なまま終わる」とご不満の向きもあろう。(とは言え第4話はきちんと着地するし、ハートウォーミングな要素が複数あるから最終話として相応しいかも)

しかし「ビールは舌でなく喉で味わう」ように本作は物語でなく会話を味わう作品なのだ。
それなのに惜しいと言うか勿体ないと言うか、高級フレンチのディナーに招待されたが「都合で残り30分で店を閉めなくてはならないので急いでたいらげてくれ」と言われた時のような、あるいは言葉の途切れた部分は自動的にカットする機能が付いたICレコーダーで記録した会話を1.2倍速で再生しているような感覚。
上演時間の短縮に気をとられるあまりせっかくの巧みな会話が早口なのは目を瞑るにしても本来ならば会話にあるべき「間」がなくなってせわしなく、コクがないと言うか何と言うか……。(一体何回言わせるんだか……(笑))
個人的にはきちんと間をとり普通の速さで会話する「150分バージョン」で観たいと思った。(ゆえに☆1つ減ずる)

ネタバレBOX

第3話「上書き保存される迷える魂」、主人公・美優紀を夫・圭一が見知らぬ人と思ってしまう部分がロベール・トマの「罠」を連想させてニヤリ。なお、吉岡さんに伺ったところ「罠」はご存じないとのことだったので偶然の産物。
また、美優紀のモノローグかと思った台詞が彼女のブログの内容であるという工夫も面白い。

第4話「あなたに会いたいから私は今日も空を見上げる」、漠然とアレックス・プロヤス監督の「ノウイング」(2009年)を連想。直接似ているというより「神の意思に逆らうことはできない」無常観のような部分が共通?
また、終盤で神の遣いの一方である茘枝が「改心する(むしろ隠していた部分を見せる?)」のもイイし、そう導いた先輩(?)悠の行動もステキ。
こんな風に物語の中心となる人物(たち)だけでなく、サブキャラ的な人物(たち)の成長/進歩/ドラマをさらりと描くのも巧いと思う。
ビニール袋ソムリエ

ビニール袋ソムリエ

制作「山口ちはる」プロデュース

すみだパークスタジオ倉(東京都)

2018/03/29 (木) ~ 2018/04/08 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/03/31 (土) 13:00

価格3,300円

友達の輪に入れない少年がたまたまコンビニ袋をかぶったことから仲間として認められたことに端を発し、樹脂製の袋をかぶることが次第に広まりやがて……な寓話。
現実とは異なる別世界でのファンタジーのようでもある前半は冗長な感がないでもないが「ある場面」以降はどこぞの国の近未来(←そんな方向に進まないでくれぃ!)、あるいはかつていくつもの国が通ってきたであろう道を思わせて圧巻。
また「あのメロディ」をモチーフとした変奏集のような音楽も面白い。
さらにたとえば終盤の「アレ」など、どこまで脚本でどこから演出なのか、その領域を推測するのも一興。

ネタバレBOX

「ビニール袋法」が制定・施行される以降の展開は1つの価値観しか認めず逆らうものを排除する独裁的な社会への道。
趣味嗜好的なものから始まり仲間うちや種族などで共有する文化に成長したものがさらに強制力のような力を持つものに至った時の危険性・恐ろしさの描写が昨今の世相への警鐘のようでギクリ。
しかし終盤で降りしきる大量の袋、終演後に片付けるのは大変だろうなぁ……。
焔~ほむら~

焔~ほむら~

JACROW

駅前劇場(東京都)

2018/03/28 (水) ~ 2018/04/01 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/03/30 (金) 15:00

座席I列11番

インパクトのある冒頭シーンを見せた後は従来と較べて穏やかなタッチで進み「日曜劇場JACROWバージョン」か?(笑)と思わせて、しかしいつの間にやら不穏なナニカが漂い始めている、みたいな。そしてそれはいつものようにハッキリしたものでなく、喩えて言うなら前作までは物語の傍らを流れていた「どす黒い液体」が今回は気化して「気体」になり空間に漂っている感覚? 
で、「マトモな感覚を保っている(ように見える)人」とか「ズルい企みをする小悪党(?)クラス」とかはいるものの、明確な「悪役」がいない、どころか各人物の立場・心情がワカってしまい「一体誰のせいなんだ!」のまま終わるのが何とも言えず、それはある意味リアルで現実世界に近いかも?
そう言えばここ半年~1年の間に霞ヶ関方面の事案で報道を賑わせた言葉もいくつか出てきたっけな(笑)

春暁-しゅんぎょう-

春暁-しゅんぎょう-

野生児童

「劇」小劇場(東京都)

2018/03/29 (木) ~ 2018/04/02 (月)公演終了

鑑賞日2018/03/29 (木) 19:00

価格3,000円

中国人である母が統合失調症になってしまった家族の話にして「半分事実・半分フィクション(冒頭の主宰曰く)」というしんどい内容に加えて徒に時制をシャッフルするのでその度に「いつに飛んだ?」と考えさせられて疲れた。
現在以外に主人公ポジションである次女の大学時代、高校時代、少女時代、まだ彼女が生まれる前で長女のみの時期、両親の馴れ初めなど決して少なくはない過去を細切れに何度も出して見る側を混乱させるのは効果的とは思えない。
そんな内容に加えて公開ゲネプロとはいえタイムスケジュール管理が恐ろしく杜撰で開演前にストレスを与えられたこともあり「So what?」に終わったのは残念。

ビューティフルサンデイ

ビューティフルサンデイ

BASEプロデュース

ギャラリーLE DECO(東京都)

2018/03/20 (火) ~ 2018/03/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/03/24 (土) 15:00

価格3,500円

元は俳優座劇場での上演というのが信じられない(初演・再演とも観たけれど)ほどに巧く落としこまれてずっと身近に感じられ、3人それぞれの心情が響いてくる感じ。
そして3人それぞれに優しいことから、いい人過ぎると相手への思いやりや遠慮がスレ違ったり裏目に出たりするのかもしれず、適度に(←ここ重要)甘えることも肝要ではないか?などと思う。
さらにいくつかのことはもっと一般的なことの隠喩ではないか?とも気付く。やはりこれも珠玉の作品か。

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