じべ。の観てきた!クチコミ一覧

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翼をください、を歌いたくなった日

翼をください、を歌いたくなった日

ジ~パンズ

シアター711(東京都)

2018/09/20 (木) ~ 2018/09/24 (月)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2018/09/22 (土) 18:30

退職する者の送別会で同僚の部屋に集まった職場仲間のうち何人かは別の思惑があり……な1シチュエーションもの。
そうして描かれるのは職場仲間2組に加えて部屋の提供者の妹(同居)も含んだ「修羅場の将棋倒し」的連鎖。
もはやその方面には実生活で縁がないので(爆)「他人の不幸は蜜の味」にはならずとも「よくやりますなぁ」と高見の見物、ドラマとして面白かった。
また、劇中のJ-POP関連のジェネレーションギャップに「そう言えばそうなるんだな」と改めて気付き、タイトルの意味がワカるラストに納得。
あと、照明効果で時として妹の部屋の中が見える装置も舞台ならではのシカケだね。

反復と循環に付随するぼんやりの冒険

反復と循環に付随するぼんやりの冒険

演劇屋 モメラス

北千住BUoY(東京都)

2018/09/20 (木) ~ 2018/09/24 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/09/23 (日) 18:00

価格3,000円

前週のアムリタに引き続いての「エッセイ演劇」。スケッチの積み重ね+街頭インタビュー映像で「お金ってなんですか?」の表現に挑む。
スケッチの中では「らっことアユム」の時として哲学?な問答が好み。(らっこのファッション含む(爆))
また、序盤に登場したクレーマーが後から中学校教師だと判明したりするのはシニカル。
なお、インタビュー映像に某団体の主宰が出ていらして「あらまぁ」と思ったら、サラヴァ東京での演劇人フリマでも撮影したそうで「そういうことか」と。

12人の怒れる男

12人の怒れる男

ナイスコンプレックス

サンモールスタジオ(東京都)

2018/09/20 (木) ~ 2018/09/24 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/09/22 (土) 13:00

「極私的オールタイム戯曲ランキング」の上位にいれるほど好きな戯曲だけに観劇中ならびに観劇後しばらくは興奮気味。
そんな好きな作品だけに一部首を傾げる演出もあったが、過去2例の「やってはいけない」レベルではなく解釈の違いとして容認。
そして憎まれ役の3人を筆頭とした見応えたっぷりの演技合戦を堪能。
(観ながら時々「ナイゲン」が思い出されたりもして……(笑))

違和を感じたのは以下。金額を判り易くするために日本円にしたのを目立たなくするためかイマの日本のものをいくつか入れた上に12号にあの有名な歌の替歌を歌わせるのはどうも。コメディリリーフとしたのか12号の言動を軽くし過ぎて浮いてしまった感も。

また、終盤での9号の「ご気分がすぐれないのですか?」は「ああそうだ!」と何かに気付いた風ではなく控え目かつ唐突で「急に何を言い出したんだ?」と思わせて欲しかった。

一方、議論の開始前、番号順に席についたまま(戯曲にある)席替えをしないのは後で印象に残った役者が何号なのかすぐワカり当日パンフレットと参照するのに便利。
昨年の某団体も同趣向だったが、陪審員の1人が風が当たる席は辛いと申し出る部分ごとカットした分スマート。(昨年のものは要望が黙殺されてしまうのがややひっかかった)

【参考】
「12人の怒れる男」でやってはいけないと思った演出は以下の2つ(実際に観た)
1.四方囲み客席:現場見取図が観客に見えない
2.戯曲指定の箇所ではなく、劇中の休憩場面で実際の休憩を入れる:休憩前と休憩後の尺がアンバランス

四天王~エレメンタルフィクサー~

四天王~エレメンタルフィクサー~

X-QUEST

シアターサンモール(東京都)

2018/09/20 (木) ~ 2018/09/24 (月)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/09/21 (金) 19:00

座席H列11番

西遊記、ピータパン、桃太郎、アラジンの世界がクロスオーバーし、ピーターパンは飛べず孫悟空は悪となっているが、これには裏があり……なアクションやダンス満載の物語はX-QUESTの真骨頂。

同じく日大藝術学部出身のTEAM空想笑年第四回公演「MonkeyMagic」(2015年8月)も西遊記と桃太郎(それにあと2つ)の世界を往き来する話で、これは「日藝脳」というものか?などと思ったり(笑)
また、この少し前に観たお茶の間ゴブリン「AmazingLost~すっごい迷子~」はアリスやかかしなど童話や児童文学の登場人物が混在している世界のハナシで、シンクロニシティ?みたいな。

オープニングの主題歌や終盤の「オズ」「幻魔」に関するものなど、どちらかと言えば駄洒落系が多かった言葉遊びだが、ところどころ野田秀樹チックなものもあったのは「やっぱり!」。

それでいてラストは泣ける。たまたまこの前日(か前々日)に知ったある映画のあらすじと重なり、相乗効果をあげたのか?

また、「鶴」の「もうひとつの意味」にはウケたし、クライマックス前に勢揃いした時のワクワク感たるや!
あと、4人の主人公を「あるもの」と重ねるのはタイトルから予測できたが、それだけでなく「あんなもの」にも重ねるというのが面白いしステキ。

ネタバレBOX

「鶴仙人」が「亀仙人」の対としてだけでなく「つる舞う形の群馬県」(←上毛かるたより)にもかかってブラック幻魔の正体=元・ブラック群馬(ローカルヒーロー系キャラ)にも繋がるとか4人の主人公が風火水土の四大元素をなぞるだけでなくATCG(塩基配列)にもかかるとか、意味を重ねるのがイイ。

劇中でアベンジャーズも喩え的に挙げられるが、むしろ戦隊もの集合の映画に近いワクワク感。クライマックス前に集結した時に名乗りまであげるんだもの。(笑)

「四天王」が「知ってるの?」や「(何)してんの?」だの(オープニング主題歌)、「OZ」が「王子」や「お爺」だの、「幻魔」と「群馬」だの、駄洒落系ボキャブラマジックも愉しい。

なお、相乗効果をあげた映画は「君に読む物語」。
明日ー1945年8月8日・長崎ー(2018年@シアターKASSAI )

明日ー1945年8月8日・長崎ー(2018年@シアターKASSAI )

演劇企画イロトリドリノハナ

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2018/09/19 (水) ~ 2018/09/24 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/09/21 (金) 14:00

価格3,500円

副題の通り原爆投下の前日を中心に描いた戦時中の一般市民の生活。その意味で「この世界の片隅に」も連想するが描かれるのがほぼ1日のことだけに、凝縮された感覚。
そして慶事が複数あるも翌日を知っている身にはそれが却って切ない。

また、降伏勧告ではないビラ、軍部(?)はある程度の情報を得ていたこと、「足手まとい」のことなどは本作で初めて知り、戦争の恐ろしさを改めて認識。

あと、セオリー通りあるいは教科書通りではあったが、ラストシーンの表現も見事。

チキン南蛮の夜

チキン南蛮の夜

くによし組

ギャラリーしあん(東京都)

2018/09/19 (水) ~ 2018/09/20 (木)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/09/20 (木) 13:00

価格2,500円

チキン南蛮にされるべく殺された鶏ではなく「チキン南蛮そのもの」の霊(しかも言葉まで喋る)という突拍子もなくブッ跳んだ奇想天外な発想がナンセンスで愉しい。もはや隠喩とかそんなレベルではないよね。(爆)
そして身体と心が入れ替わったり憑依したりという状況の場合、入れ替わり/憑依後にどれだけ入れ替わった/憑依した相手を表現できるかがポイントになるが、本作は各人それぞれチキン南蛮(の地縛霊)をよくコピー(笑)できていたと思う。
ところで続編「なめろうの夜」はあるのだろうか?(笑)

the rat 13-11

the rat 13-11

キコ qui-co.

駅前劇場(東京都)

2018/09/13 (木) ~ 2018/09/17 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/09/17 (月)

価格3,300円

「ラット11」
ラット13の11年後の世界ゆえ「アレがそうなったのね」はもちろん、最近観た2本の芝居とのシンクロニシティもあって楽しめた。
しかしアレを「ロストテクノロジー」なんて言うからどんだけ未来かと思ったら2031年だったとは。(笑)
で、「ロボットに感情は芽生えるか?」というのはSFの古典的命題だが、それを恋愛に特化して「AIに恋はできるか」にして人間味を濃くしたのはいかにもキコ qui-co.

なお、この前夜に観たアムリタ「虚構の恋愛論」と通ずるモノもアリ。

【勝手にキャッチコピー】人肌の温もりもあるSF > キコ qui-co.「the rat 13-11」

the rat 13-11

the rat 13-11

キコ qui-co.

駅前劇場(東京都)

2018/09/13 (木) ~ 2018/09/17 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/09/17 (月) 12:00

価格3,300円

「ラット13」(千穐楽)
初演のザムザ阿佐谷は内装の古木が独特な味わいを醸し出していることもあり、「SF」というよりは寓話的だったのに対して今回は「スタイリッシュな(笑)」美術が近未来SFらしさを醸し出す。
で、初演よりも整理された分、初演時の解釈は誤っていた疑惑が浮上。(笑) いや、詳細は記憶の外なのだが。(爆)

虚構の恋愛論(2018)

虚構の恋愛論(2018)

アムリタ

北千住BUoY(東京都)

2018/09/15 (土) ~ 2018/09/17 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/09/16 (日) 19:00

価格3,000円

恋って何?な疑問を持ち始めた小6女子の姿を中心に、ありがちでベタな恋のスケッチなども挟みつつ「恋とはどういうものかしら?」を表現しようとしたエッセイ演劇。
コドモの頃に似たような経験があるため小学生パートが懐かしく身近に感じた。また、完全暗転を活用してセミの幼虫時代を描いたのも巧い。
あと、L字型客席について、どのあたりがどうオススメかの図解を藤原さんがTwitterにアップして下さったのはありがたく、位置選択に大変役立った。

『Amazing Lost 』

『Amazing Lost 』

お茶の間ゴブリン

d-倉庫(東京都)

2018/09/13 (木) ~ 2018/09/17 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/09/16 (日) 14:00

価格3,900円

児童文学やお伽噺の登場人物たちが混在する世界で目覚めた主人公、さて、ここは?な物語。
主人公は何かから逃避しているのか?と思って観ていたらある意味当たりで好きなパターン。
また、その世界の住民たちは実は……というのは何回か観たことがあるが好きなヤツ。(笑)
なお、ちょっと切ない真相がこの前日に観た那波マオ原作・英勉監督「3D彼女 リアルガール」の裏返し、と言うか逆視点のようで「ありゃまぁ」みたいな。
あと、「いかにもそのキャラクター」な衣装と無駄に動きのイイ(笑)郵便屋さんが印象的。

上空に光る

上空に光る

やしゃご

アトリエ春風舎(東京都)

2018/09/13 (木) ~ 2018/09/24 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/09/14 (金) 19:30

価格2,500円

岩手県大槌町の民宿を舞台にした「被災地のイマ」の物語。
東日本大震災から7年が経ち変わった部分とその変わり方や癒えない傷、消えない哀しみなどをユーモアや「ちょっと不思議」も交えて描いて、もちろん芝居であるがドキュメンタリー的な味わいも入り混じり疑似体験をしているような感覚にとらわれる。
で、結果的に「楽しんだ」のではなく「学んだ」という感じ。

寒花

寒花

ハツビロコウ

シアターシャイン(東京都)

2018/09/11 (火) ~ 2018/09/17 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/09/13 (木) 19:00

価格3,000円

監獄が舞台ということで、黒一色の会場舞台を活かしテーブルと椅子、それに房などを表現する小さな柵(?)だけというシンプルな美術が硬派で男くさい味わいと相乗効果をあげていたと思う。(奇しくも全く傾向の異なるGORE GORE GIRLS「ステイ・ヤングと言われても」も柵以外はほぼ同じというシンクロニシティもあり)
また、シンプルな美術ゆえ芝居への集中力も高まろうというもの。「ソリッドな芝居」を堪能。

ネタバレBOX

伊藤博文暗殺犯である安重根の手記を新約聖書のキリストになぞらえたという解釈も面白い。
死旗

死旗

鵺的(ぬえてき)

ザ・スズナリ(東京都)

2018/09/12 (水) ~ 2018/09/18 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/09/12 (水) 19:30

座席G列4番

価格4,500円

開演前、仄暗い中に微かに見える舞台美術を「簡易版・桟敷童子?」と思ったが、開演して照明が入るとますますその印象は強まり、しかも台詞の一部は九州訛りのようだし、しかし内容はもっとダークかつ不道徳だし……ということで浮かんだ【勝手にキャッチコピー】は「ダークでインモラルな桟敷童子」(笑)

また、ある漫画家の作風を漠然と連想したり、特定の漫画家の作風ということではなく一般的な文字通りの「マンガチック」で無茶あるいは笑える部分があったり、(劇中でも触れているが)某有名小説的な部分があったり、往年の日本の怪獣映画を思わせる部分があったり(私見)、全体的に「見世物小屋の胡散臭さ」が漂っていたりでまさにカオス(爆)
そんなことから浮かんだもう一つの【勝手にキャッチコピー】は「暗黒神話、もしくは漆黒のジェネシス」。

誤解を恐れず本音を言うなら(最終的な落としどころはともかく、そこに至るまでは)どちらかと言えば好みではないタイプでありながらも面白く……と言うか固唾を呑んで見入るほど引き込まれたのは芝居のチカラというモノか。

あと、他団体に所属していて客演している女優さんがたは川添さん、夕沈さんを筆頭にそれぞれ所属団体の持ち味・個性を存分に発揮していたと思う。まさしくキャスティングの妙。

ネタバレBOX

全体の不気味でおどろおどろしい雰囲気や新たな人類の登場ということに諸星大二郎を連想。
また、生まれた赤子が這い出て残美を認識するまでの流れに昭和の怪獣映画に通ずるものを感じた。高木さんも怪獣映画が大好きなようなので意識せずともにじみ出たのではあるまいか?(笑)

序盤でチセが銃口を自分の頭に向けた時に「だってもう撃ちつくして残弾はないでしょ」と思ったのは「ダーティハリー(1作目)」のせいでほぼ無意識的に発射弾数を数えていたから……(爆)
ロックでもない人生

ロックでもない人生

制作「山口ちはる」プロデュース

下北沢 スターダスト(東京都)

2018/09/12 (水) ~ 2018/09/17 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/09/12 (水) 14:00

価格2,700円

【倉本ver.】
ある喫茶店で起きた「ちょっとした事件」を居合わせた定連客の女性作家が中心となり解き明かすコメディタッチの推理もの……ということで倉本さんらしからぬと思いながら観ていたが、話が進むにつれて供述の中からそれぞれの生活(人生?)が浮かびあがってくるのはやはり倉本作品っぽいかな、と。

ステイ・ヤングとか言われても

ステイ・ヤングとか言われても

GORE GORE GIRLS

シアター711(東京都)

2018/09/11 (火) ~ 2018/09/17 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/09/11 (火) 19:30

価格2,800円

川柳の名人を慕って若き川柳家が集って住むアパートに新たな入居者が加わって間もない日、名人が筆を折ると言い出し……な物語。

とあるネタでツカミはオッケー、やがて始まるは川柳界の内実。演劇表現のお約束を逆手にとったトリックを経ての川柳対決の見事なこと! 結構大事な事を言っていながら……なオチも巧い。
さらに川柳をはく場面や対決場面など要所要所の特徴的な照明もイイ。

ネタバレBOX

出だしですべての部屋が事故物件で……というのはコメディのツカミとしてよくできているだけでなく、美咲の存在いついてのミスリードにもなっているのが上手い。
ちなみに舞台上の人物の存在に主人公(とあと1人)しか気付かないのは「霊」の演劇表現というのはお約束だが、それを逆手にとって実は全員に見えているがシカト/無視しているだけだった、という手口は数年前に一度見て以来二度目。これも巧い。

あと、実際には川柳をはかないが、それを感じ取ってしまうというクライマックスの対決場面で、気付くと王将が無かった(互いに先を読みすぎてちょっとした誤算から間違って王を取っていたことに双方気付かなかった)将棋の名人戦や、「七人の侍」で勘兵衛が仕掛けた罠に気付いた五郎兵衛が「ご冗談を」と破顔一笑する場面などを連想。
セックス ドラッグ 花嫁修行

セックス ドラッグ 花嫁修行

美貴ヲの劇

新宿眼科画廊(東京都)

2018/09/07 (金) ~ 2018/09/10 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/09/10 (月) 13:00

価格2,500円

短編集ではありながら高尾山を舞台に繰り広げられるエピソードが何となくリンクしつつ最後にまとめるという連作形式。
暗転の闇の中から聞こえる赤裸々なモノローグで始まるインパクトもあり、最初と最後はしっかり固めてある、みたいな。

また、1編目の冒頭部分、同じことの繰り返しな日常を表現するのに3回よく似た場面を演ずるが、重ねるにつれて音楽が大きめで台詞が聞き取りにくくなるのは主人公の心境を観客に追体験させる効果があり妙案。
しかしそのせいで水曜日のオムライスの味が(台本には書かれているのだろうけれど)聞き取れず気になった……何なら木曜と金曜も気になる。(笑)

起承転落×喜怒哀欠

起承転落×喜怒哀欠

あるかな

ステージカフェ下北沢亭(東京都)

2018/09/04 (火) ~ 2018/09/09 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2018/09/08 (土) 19:00

価格3,500円

知り合って6年付き合って3年のカップルがいよいよゴールインか?な場面から始まるも男の「誰!?」な一言で一転、ストーカー?はたまた?なミステリーに転じ観客を主人公の心境に同化させるのはロベール・トマの傑作「罠」に通ずる手口で鮮やか。

その後はいくつもの過去と現在を頻繁に行き来するため雑然として今ひとつスッキリしないがあれこれ巡った末に真相に辿り着き死ぬほど苦しむ主人公にアラン・パーカー監督「エンゼル・ハート」を思い出す。
愛する相手の死を思い出して苦しみで終わるループをずっと続けているというのはまさしく地獄。

そして笑いも盛り込みながらダークかつビターで終わる作風は集団as if~ に近くて好み。

ミキティ

ミキティ

こわっぱちゃん家

シアター711(東京都)

2018/09/06 (木) ~ 2018/09/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/09/08 (土) 14:00

価格3,300円

いわば“リアルタイプ「けいおん!」大学生編・少年ジャンプ仕様”。
大学軽音楽部の面々による群像劇、趣味で楽しむ者とプロ志向の者、音楽的な考え方の違いなどから起こる摩擦とその顛末が登場人物の個性と相俟って巧みに描かれてステキ。

また、音楽に関するそれぞれの想いやバンドをやっていく意気込みなどのアツさが少年ジャンプ風でニヤニヤ。
なので尋ねてみたらトクダ主宰はやはり少年ジャンプがお好きだそうで、しかし「今回は控えた」とのことだったがいやいやいや丸出しじゃないですか。あるいは普段はもっとジャンプ風味なのかしら?(笑)
(ちなみにトクダ主宰、軽音/バンド経験は皆無ながら経験者であるご友人に取材した由)

さらに、音楽やバンド活動に関する台詞のいくつかは演劇に対して思っていることではないか?と深読み。(笑)

舞台を斜めに仕切り上手奥側を行きつけのライブハウス、下手手前側を部室にしてさらにその手前を外の道にした美術も(細部も含めて)イイ。

ところでプロを目指す1年生ドラマー、チップのキャラクターに微かな既視感があったのはちょくちょく予告編を観た「響 -HIBIKI-」のヒロインに通ずるモノがあったからか?

「イッツ・ア・クローズドワールド」

「イッツ・ア・クローズドワールド」

楽園王

OFF OFFシアター(東京都)

2018/09/06 (木) ~ 2018/09/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/09/06 (木) 19:30

価格2,800円

何かを執筆中らしき姉と悪夢を見て起きてきた妹による第一場「真夜中の粗忽マンション」と、朝のホームルームで先生が転校生を紹介する第二場「ショートコント・転校生」から始まって以降、姉妹パートと転校生(それ以後は転校生ではないが便宜上こう呼称する)パートが交互に進行し、終盤で両者の関係のヒントは出すが明言せずに結論は観客に委ねるというスタイル。

その関係はσ(^-^)の好きなヤツの1つだし終演後に長堀さんからM.C.エッシャーの作品(「昼と夜」など二つの世界が交差して描かれ、一方に注視するともう一方は背景のように感じるもの)をイメージしたと伺ってそれも納得。

また、長堀さんが短編脚本を提供したりしているOi-SCALEに近い味わいでもあった。こういうの、大好きさ♪

ネタバレBOX

終盤で「マンガを描く」というキーワードで一気に関連付けられる2つの流れではあるが、それがタイムラグのある同じ世界なのか、一方がもう一方の「作中世界」なのかなど複数に解釈できる上にどちらが中でどちらが外か?とかさらに解釈が広がるのが面白い。これまた大好きな「胡蝶之夢」的世界。

また、姉妹パートもどうやら妹が亡くなっているようではあるが、「誰がいて誰がいないのか?」的な解釈の余地アリ。
そして姉妹で深夜の街に出てちょっと不思議な人たちと遭遇することに「銀河鉄道の夜」のジョバンニとカムパネルラを連想したり、さらには時として「星の王子さま」も思い出したり。
ちなみにあの姉妹に関して姉を演じた秋葉さんはドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の「メッセージ」を連想したと伺って、それも頷ける。

なお、近くのマンションの屋上から投身自殺する悪夢を見たので、自分の死体がないかそのマンションに行って確認する、という発想は落語「粗忽長屋」の見事な応用。劇中でその関連を指摘する姉のツッコミ台詞より先に気付くことができてニンマリ。
ちなみに映画「ロボコップ(第1作)」で、ロボコップが警察のデータベースにアクセスしてマーフィーの死を知る場面も「粗忽長屋」まんま。(笑)
殉職したマーフィは確かにオレだが、それをデータベースで確認しているオレは一体誰なんだ?……おあとがよろしいようで、テケテンテン♪
その子17歳

その子17歳

少女東京奇襲

高田馬場ラビネスト(東京都)

2018/01/18 (木) ~ 2018/01/21 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/01/20 (土) 14:00

価格3,000円

ワケありJKのひと夏の物語。ユーモラスに始まり次第にドラマが深まり「コップの中の嵐」からの友達はいいもんだ、な本編もさることながら、秀逸なエピローグ(画期的かも?)に舌を巻く。
本編はフツーに良くできた物語だが、エピローグで画竜点睛を打つ、みたいな。(但しあくまで私見(爆))
なお、冒頭で笑わせてくれた「アレ」、まさか検索でヒットするとは!!(笑)

ネタバレBOX

普通、後日譚的エピローグは数日後とか長くても1年以内が主流のところ、5~6年あるいはもっと後を描くとは。
それでいながら兄が全く変わっていないのは隠喩か?

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