ナリスマス
劇団K助
ウッディシアター中目黒(東京都)
2008/11/26 (水) ~ 2008/11/30 (日)公演終了
満足度★★★★
レイ・クーニーばりのファルス
ハートウォーミング系コメディが得意なここ、今回はレイ・クーニーばりのファルス(笑劇)で、セオリー通りとはいえ苦し紛れの嘘や勘違いによって事態がどんどんこじれたり、奇跡的にピンチをすり抜けたりするのに大笑いすると共に、序盤で巧みに仕込んでおいた伏線が、いざ作用し始めると連鎖反応のように次々ととっさの嘘と組み合わさって行くのに感心。ホントによく計算されているんだ。
さらに騒動の元凶である主人公が周囲の人々をとりあえず丸め込んでまんまと逃げおおせそうになりつつ、しかしドタンバでバレて(ここでの相原美奈子の出方、オイしいなぁ)、それでもさらにスリ抜けようとする急ハンドルの連続のような終盤の展開が見事。終着直前に左右に大きく揺さぶるジェットコースターが如し。
ほかに出演者では中国人風日本語がリアルだった(日常生活でもついあんな喋り方になってしまっていたのでは?)広澤草と、主人公の企みに巻き込まれ、振り回されて大慌てな大竹浩一が特に印象的。
さらに、「戦国居酒屋」だけに壁のメニュー短冊の料理名もよく考えられていてウケる。
軍艦島~負けないみんなの鎮魂歌~
村松みさきプロデュース
ザムザ阿佐谷(東京都)
2008/11/21 (金) ~ 2008/11/24 (月)公演終了
満足度★
終盤が安易かつ非現実的
ドキュメンタリー番組の取材でかつて暮らしていた軍艦島を再訪することになった旧島民たちとTVクルーを描いて終盤まではそれなりに良くできている人間ドラマだったが、詰めを誤ったというか終盤が安易かつ非現実的なため全体がブチ壊しになったのは惜しい。
島に残ると言う2人を容認する元島民って、ただの見殺し、どころか場合によっては自殺幇助だし(2~3日後に迎えに来る心づもりだったのかもしれんが)、プロデューサーの甘言によって放火するタレントも、人が残っていることを知っていてやるんだから(未必の故意による)殺人行為だよね。いくら落ち目で藁にでもすがりたかろうが、そこまでバカじゃないでしょ?
同じ悲劇にするにしてもどうして「人がいることに気付かずに火を点ける」設定にしなかったんだろう?
MAKOTO
演劇ユニットスーパーコンプレックス
シアターブラッツ(東京都)
2008/11/21 (金) ~ 2008/11/24 (月)公演終了
満足度★★★
家族愛系の1つのバリエーション
おカマバーを舞台に性同一性障害もからめており、今まで想像だにしなかった家族の理解を得ることができないおカマちゃんたちの気持ち・悩みに改めて気付かされ、その道に進もうと決めた青年に自分と同じ後悔をさせないよう気遣うママや先輩たちの姿勢に感動。
特に終盤でホステスの1人が青年の父にくってかかるところからママの長台詞までは涙なしには観られない名場面。
考えてみるとかなりの変化球ではあれ、家族愛系の1つのバリエーションだったりもするワケで、感動するのもほぼ当然?
また、性同一性障害については理解しているつもりとはいえ、現実問題となったらやはり青年の父親のようなリアクションになってしまうだろうなぁ、などとも考えさせられる。
Ark.-アーク
SHAFT
新宿シアターモリエール(東京都)
2008/11/22 (土) ~ 2008/11/24 (月)公演終了
満足度★★
VR的風味の「臨死界」
この世とあの世の間の「臨死界」を描いたものはよくが、本作はそこにVR界的な風味を加えているのがユニーク。
科学的にその位置も特定できそうという設定は軌道エレベーターが実現していたり効率化によって短縮した時間を「時間貯蓄」できたりする未来故か?(笑)
その「臨死界」には「なりたかった自分」たる分身がいて、現世に戻るにあたって「それまでの自分」との選択を迫られるというのは面白い着想で、他に映画並みのオープニング映像やごく短いものとはいえ擬闘もなかなか。
ってことで、それなりに満足。
夕暮れ放課後ひみつきち
ペテカン
赤坂RED/THEATER(東京都)
2008/11/15 (土) ~ 2008/11/24 (月)公演終了
満足度★★★★
あの頃は二度と戻って来ないんだ…
現在進行形の女子高生と過去完了である担任教師の高校生活に対する想いの独白から始まる高校生活回顧系、そもそもタイトルだけでも琴線に触れるようなのにこの内容なので、もうココロのど真ん中直撃?(笑)
単なる「昔は良かった」「懐かしきあの頃」ではなくて「あの頃は二度と戻って来ないんだ…」なホロ苦さもあり、さらにその真っ只中にいる時はそれに気付きもしないなんてところまで描いているのがニクい。
だもんで、観終わって、当日パンフにあった出演者のコメントが胸に突き刺さる。
黄金の猿
劇団桟敷童子
ベニサン・ピット(東京都)
2008/11/21 (金) ~ 2008/12/07 (日)公演終了
満足度★★★★
「総力公演」な感じ
ベニサン・ピットでの公演は最後ということもあってかベテラン山本亘や松田賢二も迎えての大作、笑える部分が従来比で増量気味だったのは休憩込み2時間半超という長さゆえか?
ダイナミックで土着的な力強さを感じさせる演出も、大きく張り出した装置の上方の空間まで演技エリアに使ったりして従来比増量気味で、前週に観た某公演の謳い文句同様「総力公演」な感じ。
また、追う側と追われる側(攻める側と守る側?)を赤と青にクッキリ分けた衣装もステキ。
それにしても、ほとんどオープニングの段階から大量の本水を使うのにはビックリ。
ブレス
劇団東京イボンヌ
新宿村LIVE(東京都)
2008/11/19 (水) ~ 2008/11/24 (月)公演終了
満足度★★★★
コクのあるオトナのドラマ
ともすれば昼メロのようにもなりかねない(笑)題材を、フランス映画のようなオモムキの、しっとりと落ち着いたコクのあるオトナのドラマに仕上げて見事。「クラシックと演劇の融合」と銘打っている如くクラシック音楽を多用していることも影響しているか?
また、主要人物がそれぞれ「ココロのスキマ」を持っており、時には共感させ、時には「ゼイタクなんじゃね?」「甘えるな、このワガママ者!」などと反発も抱かせて作品に感情移入させるのも巧い。
欲を言えばムーブメントがもう1回くらい欲しかったが、なかなかに満足。
誘拐
七色空間
シアター風姿花伝(東京都)
2008/11/19 (水) ~ 2008/11/24 (月)公演終了
満足度★★★★
シカケが巧み
ある誘拐事件を家族の側から描いた「家族のピース」と犯人の側から描いた「犯人のゲーム」の2バージョンもので、どちらか一方だけ観てもちゃんとハナシは成立しており、しかし両方観ると関連がわかってより楽しめるというシカケが巧み。
いまさらキスシーン(玉置玲央一人芝居)
柿喰う客
王子小劇場(東京都)
2008/11/19 (水) ~ 2008/11/24 (月)公演終了
満足度★★★★
『いきなり…』姉妹編
『いきなり…』とリンクする女子高生もの。描かれている期間が『いきなり…』よりも長いのに上演時間は半分くらいなのでさらにスピード感があって、時の経過の大胆な表現も愉快。また、両作品のキャストが逆だったらとか、他の役者が演じたら、などとも考えて楽しむ。
いきなりベッドシーン(七味まゆ味一人芝居)
柿喰う客
王子小劇場(東京都)
2008/11/19 (水) ~ 2008/11/24 (月)公演終了
満足度★★★★
一人でも「柿スタイル」炸裂
冒頭からスピード感満載のマシンガントークのような「柿スタイル」が炸裂。以降演出による間やスローダウン気味のところもありつつ、いつもは大勢によって保たれているあのテンションを1人で小1時間持続させるというのがスゴい。また、若干不道徳な部分があったりするのがいかにも柿。(笑)
あと、主人公以外のいくつかのキャラも個性が出ていて良かった。
SAMURAI 7
ネルケプランニング
新宿コマ劇場(東京都)
2008/11/14 (金) ~ 2008/11/24 (月)公演終了
満足度★★★★
満足度高し
『七人の侍』の設定を荒廃した未来に翻案した前半は、原典をそのまま舞台化したのではないことに加えて直接の原作であるアニメを観ていないことが良い方向に作用して頬が緩みっ放し。ほぼ完全オリジナルの後半もよくできており、満足度高し。
さらに前・後編を通じて「人を斬ることの罪・咎を負って生きるサムライ」が強調されていて、原典よりも「サムライの業」について掘り下げているのも個人的にはツボ。
賊
劇団6番シード
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2008/11/14 (金) ~ 2008/11/24 (月)公演終了
満足度★★★★★
痛快ピカレスク・ロマン
40人にもおよぶ出演者と大がかりな装置、ダイナミックな演出による痛快ピカレスク・ロマン。
東・西・南(イケメン組、ロートル組、女性組ってところ?)の「賊」が、見合いをする予定の公家双方と仲人の武士をそれぞれ捕まえて利を得ようとするユーモラスな前半(約75分)と彼らが思わぬ流れに巻き込まれる波乱万丈の後半(約90分)という構成と時間配分の巧さから休憩込み約3時間の上演も、その長さは感じず。
また、各「チーム」とも個性がハッキリ出ていて登場人物もそれぞれキャラが立っているので40人に及ぶ出演者も単なる「水増し」でなくちゃんと必然性があるし、装置も大がかりだし、フライヤーに[総力]公演と銘打つだけのことはあり、客席側面まで広がった装置や客席中央の通路まで演技エリアとして使うダイナミックな演出も賊たちの荒くれぶりを引き立たせて見応えあり。
「身ぐるみ剥いでも命は奪わず」が「賊」たちの信条である通り、賊同士の争いは「派手な喧嘩」レベルだし、後半で戦(いくさ)に巻き込まれても人死にがほとんどなく、それどころか賊たちが力を合わせ、武力でなく策略(ちょっと違うか?)によって、大きな戦を終結に導くというストーリーもアッパレ。
機械と音楽
風琴工房
王子小劇場(東京都)
2008/11/06 (木) ~ 2008/11/17 (月)公演終了
満足度★★★★
当時のソ連の状況がありありと
劇団民藝や劇団俳優座が上演したとしても全く違和感のなさそうな脚本が、演出や舞台美術によりいかにも小劇場風に仕上がっているのが面白い。
また、登場人物の会話や時折投影される史実から当時のソ連の状況がありありと浮かびあがってくるのも独特。
夜叉狩斬十郎 ~鬼哭逢魔ヶ淵ノ章~
梵天ギルド<FU-TEN GUILD>
アドリブ小劇場(東京都)
2008/11/14 (金) ~ 2008/11/16 (日)公演終了
満足度★★★
「其の貮」が早くも待ち遠しい
前年夏に0 BEAMSによって上演された作品の「エピソード0」。
最初は夜叉狩や夜叉もチラチラ顔を出しつつ、しかし宿場での権力を奪おうとするヤクザ者の話が中心で、そこから次第に斬十郎と夜叉狩たちのストーリーにシフトして行くというツクリはまさに「エピ0」(笑)。
そこに部下を単なる駒としか考えない夜叉狩の幹部やそれに対して疑問を持つ夜叉狩、斬十郎以外にも「半夜叉」となる人物なども配してよりドラマ性を深めるシカケ。
また、後方正面に障子戸、その左右に丸と長方形の窓(こちらも障子張り)を配してそこに映る影を効果的に使ったり、夜叉となった少女が歌う数え唄(手毬唄?)が内容につれて進んで行ったりするのも上手い。
当日パンフに人物相関図を載せているのも親切だし、クライマックスではアクション炸裂だし、「其の貮」が早くも待ち遠しい。
炎の三銃士
ノーコンタクツ
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2008/11/14 (金) ~ 2008/11/16 (日)公演終了
満足度★★★★
宮崎アニメの世界観、空気感を引き継ぐ
初見であった前回公演『もののけの姫』に登場したキャラクターの前日譚。単に宮崎アニメを真似るのではなく自分のものとして咀嚼・吸収して昇華させ、世界観、空気感を引き継いだ作品に創り上げているのはお見事。
ヌンチャクトカレフ鉈鉄球
芝居流通センターデス電所
青山円形劇場(東京都)
2008/11/13 (木) ~ 2008/11/16 (日)公演終了
満足度★★★
クセ球
事前情報にもあった通り、また物騒なタイトルにも顕れているように多分に暴力的。冒頭から血にまみれて首にロープを巻いた中谷さとみが登場するほどで。
そんな中、「死と再生」「姉妹の絆」「神(?)の慈悲の限界」などが示されるといのは初めて観た『輪廻は斬りつける(再)』でも感じた如く柿喰う客と近いテイスト?
が、オープニングのみならず劇中にもしばしばミュージカル風の歌とダンスが入ったり(しかも生伴奏)するのが独特。
また、考えてみると中谷さとみをこんなに近い距離で、しかもナチュラルに近いメイクで観たのは初めてで、改めてそのキュートさに気付く(爆)。
万人にオススメ、とは言い難いが、クセ球がお好きな方は気に入るかもなぁ。
もちろんσ(^-^) も次回にさらなる期待。
まんまるレールウェイ
春の日ボタン
劇場MOMO(東京都)
2008/11/12 (水) ~ 2008/11/16 (日)公演終了
満足度★★★★
構造が巧み
ローカル鉄道にまつわる4編の短編、4編目で新たなストーリーを紡ぐ一方、それまでの3編の「その後」も見せて全体を締めくくる構造が巧み。
内容もそれぞれユーモラスな「ちょっとイイ話」系で面白く、4編目のオチにはスタンダップコメディアンがスパーンとパンチラインをキめたような、あるいはテンプルにクリーンヒットを受けてノックアウトされたような(実経験はないのであくまで想像)快感アリ。
ブラックM
Office《RELAX》
六行会ホール(東京都)
2008/11/12 (水) ~ 2008/11/16 (日)公演終了
満足度★★★
映画も好きな身として愉快
自殺しようとしていたスタンダップ・コメディアンが取り立て屋に拾われ、映画業界に伝わるアイテム「ブラック・マリア」を探すことになる…という映画界内幕系で、映画『ゲット・ショーティー』を連想。
劇中、そのアイテムを手にしたことでスターダムにのし上がった、あるいは秘密を漏らしたことで不幸に陥った例としてハリウッド俳優が沢山挙げられて、映画も好きな身としてその大半がわかったりして愉快。ってかヘンに説得力があったかも。
歌の翼にキミを乗せ
昭和芸能舎
赤坂RED/THEATER(東京都)
2008/11/07 (金) ~ 2008/11/12 (水)公演終了
満足度★★★★★
機会ある毎に演を重ねて欲しい
シラノ・ド・ベルジュラックの設定を太平洋戦争中のテニアン島の日本軍に置き換えたのが巧みな上に冒頭(とラスト)のヒロインの台詞を筆頭に反戦メッセージもたっぷり盛り込んだ名作。機会ある毎に演を重ねて欲しい。
しかし、「観たい!」コメントに使った「なんくるないさぁ」が出てきたのにはビックリ。予知能力か?
『愛の四部作~笑ってはいけない。これも真剣な愛の形~』
u-you.company
池袋GEKIBA(東京都)
2008/11/07 (金) ~ 2008/11/13 (木)公演終了
満足度★★★★
4編目が白眉
タイトルの通り「愛」をテーマ(というよりはキーワード的?)にした4編の短編オムニバス。
「恋愛」系でどちらかと言えばコミカルな3編と、「恋愛」以外の「愛」を描いたシリアス系の1編という取り合わせが良くそれぞれ面白かった(1編目と2編目の「言葉の取り違え」ぶりなんか大好きだし、加えて1編目の艶笑噺っぽいところもかなり好き)が、やはり4編目が白眉。(3編目の印象が今一つ薄いのは男性の2人芝居だったからに違いあるまい(爆))
ちょうど重松清の「その日のまえに」を読んでいる最中だったので身近な人物が逝ってしまった設定に敏感になっているし。
しかしベット・ミドラーの「ザ・ローズ」を流す(イントロクイズではないけれど冒頭のピアノの音でわかってしまった)のはちょっとズルい?(笑)