ぱち太の観てきた!クチコミ一覧

441-460件 / 601件中
掏摸―スリ―

掏摸―スリ―

サイバー∴サイコロジック

OFF OFFシアター(東京都)

2012/03/14 (水) ~ 2012/03/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

シリーズ化
すると面白いですよね・・

そこは大江健三郎大先生のコメントに共感するところもあり・・(笑

カラス/Les Corbeaux

カラス/Les Corbeaux

世田谷パブリックシアター

富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ(埼玉県)

2012/03/09 (金) ~ 2012/03/10 (土)公演終了

満足度★★★★★

彫刻的
やっぱり少し書き込もうかと・・。

西洋的な、積み重ねていく感のある建築的な要素と、
日本的とも言える、彫刻的とも感じられる要素とが
美しく融合しているように感じられました。

アフタートークで日本の舞踏家の名前が次から次へと挙げられるのを
聴いていて、それも納得できるような気もしました(笑

内面から湧き出るイメージを
ザクザクと削ぎ落とした末に生まれたような
硬質なヴィジョンは、
強く心に焼きつきました。

それは、あたかも西洋的なポエジを、
俳句のように
動詞も副詞も削ぎ落とした末に生まれてくるみたいな、
断片的でプリミティブな・・
パルスにも似た映像とでも言うのか。

黒いカラスを、
グローバリズムのイメージとだぶらせるのはたやすいのだけれど、
ナジのカラスは、
実物のカラスを忠実にトレースしたというよりかは、
カラスのイメージを一度自分の中にとり込んで、
もっと神秘的な何かに姿を変えた・・
カラスの翼の先にあるもの、
カラスの翼の先に指先のような波を視て、
それを具現化したら、
きっとこのような像をしていたのではないかと
夢想させるような。

・・スミマセン、ポロリ伝説のコメント書いたあとにこんなコメント書いても
まぁ誰も信用しないかもしれませんが(苦笑

ただ、芸術と呼ばれるものの真価が、
必要とされる理由が、
現代にあるとするならば、
それは、時代の行く先に視える黒い影を、
神秘的なヴィジョンに具現化する行為にあるのではないかと
信じている自分にとっては、
この作品はまさに、
自分の観たいものの理想とも思われたので(笑

ナジ本人が言っていた、
作品を言葉で表現することの不毛さを、
自分が今まさにトレースしていることは
十分に承知しつつ(苦笑
それでも自分がこの作品の美を、
日本的な(俳句的な)省略の美学ではなく、
西洋的な、言葉を積み重ねる行為によって、
讃えたいという欲求を抑えられなかったことは
今後の反省課題として覚えておきたいです(苦笑

・・まぁ、そのうち落ち着いたらこの感想もばっさりカットするかもです。

でも、きらりふじみは、死ぬほど(今回も雨のなか1時間道に迷った)不便だけど、
数m先でこんな作品を観られて素晴らしい!
(駅からの案内板設置希望)

関口愛美のポロリ伝説

関口愛美のポロリ伝説

関口愛美

シアターD(東京都)

2012/03/10 (土) ~ 2012/03/10 (土)公演終了

満足度★★★★

ひよこウサギ
↑幕間のフシギ4コマ?アニメ

劇場に向かう途中のセンター街で
開店セールをやってたペットショップの子猫
(スコティッシュフォールドなど・・観てるうちに子猫の誕生日まで覚えてしまい、家に連れて帰った後の一年後の誕生会までシミュレートできてしまった)
の計算し尽くされた?愛らしい仕草に悩殺(どうやら自分はポロリより子猫※らしい)され、ウィンドーに釘付けになってしまい、
あやうく遅れて劇場に入りきれなくなりそうになるところだったが、、
無事入れた(こんなんばっか(汗

予想通り?色気というよりかはしっかり作った一人芝居で、
関西人の観客が観たら怒られそうなネタも含めて、なかなか
(妄想の)完成度も高く、けっこう楽しめました。

いれずみベービーやサイバーもなかなか良かったけれど、
こういう妄想チックな舞台もなかなか良いんじゃないんですかねぇ。

・・ちなみに、幕間の謎アニメのひよこウサギの好物って、何なんダロ・・とか、
買い物袋のなかのブロッコリーやホウレンソウを見ながら思ったりしてました。

※・・子猫も台の上に乗ろうとして、じぶんの頭が大きくて
   ウニャッとバランスを崩したりしてるのはポロリのうち、って・・お呼びじゃない?

まあまあだったね。

まあまあだったね。

あひるなんちゃら

OFF OFFシアター(東京都)

2012/03/02 (金) ~ 2012/03/06 (火)公演終了

満足度★★★★★

面白いですね、やっぱり。
ちょい前日大阪から戻ってそのまま仕事、帰りにネストでBathsライブとかで
疲れ気味だったけど、それを忘れるくらいフワフワしてた、カナ?(苦笑

真実は笑わない

真実は笑わない

立教大学演劇研究会

立教大学 池袋キャンパス・ウィリアムズホール(東京都)

2012/03/08 (木) ~ 2012/03/11 (日)公演終了

満足度★★★★★

素直に素敵だと思った
京都の中野劇団の芝居の脚本を
東京の学生劇団がなぜか上演するというのが気になって
ちょっと観てきました。

・・とは言っても、自分も立教大学なんてほとんど足を踏み入れたことが無く、
誰でもフリーな感じの早稲田※なんかと比べると、
知り合い以外の人が行くと「誰だコイツ?」みたいになるんじゃないかと
緊張しながら行きました(苦笑

ところが行ってみると、自分が思っていた以上に
役者・スタッフ共に前向きな意欲に満ち溢れていて、
純粋に作品を愛しているのを感じ、
小劇場にありがちな身内感が無いのがとても新鮮でした。

もちろん学生なのだから当然
「役に比べると実年齢が低い」という見た目のデメリットはあったりもするのだけれど、
それを吹き飛ばすくらい気持ちの溢れた演技をしていて、
その空気が、少なくとも自分の観た回(初回)では、
客席にも広がっているように感じられて、
良い意味での舞台と観客席を含めた一体感というか、
とても良いものを見せてもらったな、という気持ちになりました(笑

学生劇団というと、時として目新しい演出に飛びつきがちで、
物語として全体をみてみると、どうしても中身が薄く見えてしまうこともあるのだけれど、
(中身の薄さを誤魔化すための演出になり、それが更なる薄さにつながることもある)
この舞台は、
きっと役者・スタッフ一同で、自分たちが今なにを感じ、何を伝えたいのかについてきちんと向き合い
不器用でも精一杯伝えよう(それは物語とリンクするのだけれど)とし、
人の痛みとか運命の理不尽さについて
真正面から向き合っている気がして、とても好感が持てました(笑

自分は、役者さんたちの演技について、
「巧妙」というよりは、
役を通じて、愛とか、人の痛みについて一生懸命理解しようとしているようにも見えて、
それがこの舞台を、技巧的な舞台よりかは瑞々しくてステキだと、
自分が素直に思えた大きな要因であったようにも思われました。

※・・学内を近所のオッサン(それほど小奇麗ではない)が普通に散歩してたり、
   近所のオッサンかと思っていると、よくみたらただのこ汚い学生だったりした・・

A級MissingLink第19回公演 『悲惨な戦争』

A級MissingLink第19回公演 『悲惨な戦争』

A級MissingLink

AI・HALL(兵庫県)

2012/03/02 (金) ~ 2012/03/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

竹内銃一郎氏の戯曲はやっぱり素晴らしい!
伊丹に向かう前につい日本橋の猫カフェに寄ってしまい(汗
膝の上の猫をどかしてしょんぼりする猫の頭を撫でていたら
また開演ぎりぎりに滑りこむ形となってしまった(大汗
(そりゃ、母親に猫と舞台ばっかり追いかけてないで
嫁でも見つけてこいと(オヤジが死んでから特に)言われる訳だよなぁ・・(苦笑
猫友やウサ友ならいるんだけどねぇ・・(まぁイケメンじゃないんで(笑

・・それはともかく、舞台について(いらない話ばっかつい書いてすみません(汗

戯曲の内容・見どころは既に知っていたものの、
それをこれだけ幅のある間口の劇場と味のある役者さんたちで見ると
やはり素晴らしい戯曲であることを実感しつつ、大いに笑って楽しめました。

当時の時事ネタが盛り込まれているものの、
それが逆に昔の熱さを感じるようでもあって、
自分がその当時生きているみたいな気持ちで観られました。
(こういうところに古さを感じる人もいるでしょうが、そうした時事ネタの古さというのは
表面的なもので、それが戯曲の古さにつながることは
無いように自分には思われます・・
少なくとも、戦前のいくつかの大衆演劇の戯曲は
構成の洗練において素晴らしいものであったし

内容を知っているというせいもあってか、
新作の劇作を上演する舞台などと違って、
舞台をかなりの程度まで把握できたように思います。

それは、劇団の力のみならず、
戯曲の素晴らしい完成度の高さとあいまってのようにも思われました。

あえて、古さのようなものを見出すとするならば、
それは、現代の戯曲においては、
(例えばポレシュなどそのように見えるのですが)
もっとカオティックでパワフルなライブ感のあるものが
より求められているようにも思われるのに対し、
まだ当時はそこまで(おそらく観客も)行き着いていなかったのかな、というところです。

ただ、そうした舞台の作成にも、
表面的にポレシュなどの作品の雰囲気をなぞるだけではダメで、
劇作の体幹になるものがやはり重要になってきますので、
そうした意味では、
このような完成され、テーマ性も若干帯びた骨太な戯曲というのは
新作戯曲の出発点として申し分ないターゲット
なのではないかなぁ・・などと(私見ながら)思ったりもするのです。

ネタバレBOX

ちなみに、見どころのひとつとして非常に有名な(笑
「死体を雨上がりの水たまりを飛び越すみたく」
登場人物たちが、ぴょんと(スキップでもするみたく)飛び越えるシーンは
十分に堪能出来ました(笑
Triptych[トリプティック]

Triptych[トリプティック]

じゅんじゅんSCIENCE

こまばアゴラ劇場(東京都)

2012/02/24 (金) ~ 2012/03/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

純粋に動きとして素晴らしかったように思います
動きとして、静止する瞬間まで含めて、目で追うだけでワクワクしました。

1時間ちょっとがあっという間でした(ちなみに自分の両隣の見知らぬ人は
二人ともうとうとしてました・・念のため

玉田企画『果てまでの旅』

玉田企画『果てまでの旅』

玉田企画

アトリエ春風舎(東京都)

2012/02/24 (金) ~ 2012/02/29 (水)公演終了

満足度★★★★★

面白かった
「中学生日記」(Q.B.B)を思い出したりしました。

ちなみに、空気(雰囲気)が悪くなったのを
「ここからここまでは(実は)ネタだった」と言うのはわかる気がする。

ただ、それには掛け合いをする二人とも、それなりに
冴えている必要がある(笑
ので、片方が「こっからはネタだって、アツくなんなよ」と言っても余計怒らせるだけだったりするし、
二人の無駄なやり取りを見ていた第三者が
「まぁまぁ、こっからはネタっしょ?空気読めって」
みたく仲裁したところで、
「?・・はぁ、違ぇし(怒」(ここだけ二人シンクロで反論)
となって、余計空気が悪くなるだけっだりもする気もする。

ある意味、舞台上での
「こっからここまではネタ」
「そうそう」
というようなやり取りが通用するのは、
割と偏差値が高めの学校、もしくは
お笑いが体の中にしみこみ、お笑いロジックが共通し、
ただ忍耐力に若干の差異がみられる二人の場合(苦笑
というような限定された人間性の上にのみ成立するのではないか
という気もしないでもない。

ただ、自分も修学旅行中の男同士のやり取りには
(こうして舞台に上げられると大いに面白いが)
精通していない(というか忘却の彼方・・寝坊して新幹線に乗り遅れたのは覚えてるが※(苦笑
ため、
「地元の学校じゃ、このレベルが普通」
というような指摘がありましたら、どうぞご勘弁ください。

※  期せずして自分もまた理知的な文章を書くフリをした
    うっかり八兵衛であることを露呈してしまった形になるのだが
   (ネタではありません)

不機嫌な子猫ちゃん

不機嫌な子猫ちゃん

水素74%

アトリエ春風舎(東京都)

2012/02/15 (水) ~ 2012/02/20 (月)公演終了

満足度★★★

う~ん
100分はいらなかったかな・・(汗

サカナノクチ

サカナノクチ

ベビー・ピー

アトリエ劇研(京都府)

2012/02/24 (金) ~ 2012/02/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

独創的
昨年夏の野外公演のあたりから作風がだいぶ変わってきて、
それ以前の作品も好きだけれど、今回の作品もなかなか(笑

北野天満宮の市を5分くらいで切り上げ(苦笑
近くの知り合いの人のお店(手作りの小物がおいてある)で他のお客さんがたっぷり市で掘り出してきた収穫物を横目で見ながら(苦笑
関西の知り合いの誕生日プレゼント(もう何年も前から毎年あげてる)をそこでとりあえず予約してダッシュで劇研へ、
観劇後は北浜のroseのショーを観にダッシュでまたぎゅうぎゅうのバスに
(というか終日京都のこの日のバスはぎゅうぎゅうだった)
飛び乗った(苦笑

こんな、別に誰に頼まれたわけでもないのに(苦笑
休日の関西で分単位で移動を繰り返してまで、京都の僻地の劇研に
観に行った価値はあったかな、と(観客少なめでしたけど(苦笑

ベビー・ピーは、不思議で、ちょっととっつきにくかったりもするのだけれど、
他の東京の劇団なんかではちょっと観られない
面白い劇を、毎回まったく違う形で創りだすのです
(なので、一作品だけ観て、この劇団の作風はどうだなどとは全く言えず、
京都にありながら、まったく気が抜けないのです(苦笑

・・同じ時間とお金を掛けるなら、関西のほうが楽しいんですよね(苦笑

もう少しあとで書き足します・・(苦笑

「STILL/life」 クドゥス・オニケク&「=equal」C/Ompany ※トークショーあり

「STILL/life」 クドゥス・オニケク&「=equal」C/Ompany ※トークショーあり

アンスティチュ・フランセ東京

シアターX(東京都)

2012/02/20 (月) ~ 2012/02/20 (月)公演終了

満足度★★★★★

今回来たTPAM関連の人は皆凄いですね・・
またあとで書き足します・・(汗

【公演終了】ブスサーカス【感想まとめにリンクあります】

【公演終了】ブスサーカス【感想まとめにリンクあります】

タカハ劇団

ギャラリーLE DECO(東京都)

2012/02/21 (火) ~ 2012/03/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

「やさしさ」の神が支配する
女の人は、皆コンプレックスを持っている。

女性にとっては当たり前で、男性は忘れがち。

女子の和気藹々とした何気ない会話のように男子には見えていても、
その中に殺意が芽生えるほどの自意識が隠れている。

そのコンプレックスを溶かすのは何?

舞台の上で、その答えははっきりと描かれている。
ちょっとすると男性は見落としてしまうかもしれない。
けど、女性の観客は見落とさないだろう。

(以下、ネタバレへ)

ネタバレBOX

「33年間生きてきてはじめてかわいいと言ってくれたの」
という愛人の、自分を事件に巻き込んだヒロシに対しての台詞。

最初に殺された女性が、
「あの人(ヒロシ)が私みたいなブス相手にしてくれない」
と、死ぬ前に言っていた。

上手く利用された愛人たちが、
クズと時に呼びながら、
捨てきれない思いを抱いている男。

どう考えても届かないと感じてるにも関わらず、
何故、そんなクズ?を追い求めるのか?
その男の・・やさしさ?とは何なのか?

女の人たちは、持って生まれた劣等感のゆえに、
それを打ち消してくれる言葉を待ち続ける。

・・ちょっと立ち止まって観察してみれば、
その女性にとってのコンプレックスが何か、
推察するのはそんなに難しくはないと僕はいつも思う。

なんで多くの男性がそうしたコトバを持たないのか?
自分の目から見る限り、
多くの男性は女性に自分の良い所を見せることばかり考えて、
相手のことをよく見てないからではないかなと思ったりする。
(なぜ少年のころはあんなにも真っ直ぐで優しかったのに、
ハタチを過ぎる頃になると、すっかりつまらない人に成り下がったりしてるのか、
自分には今も理解できない。

舞台の上には登場してこないものの、
自分は、たとえヒロシがハゲでもチビでもデブでも別に驚かないだろう。
(観客の人は、ヒロシがイケメンの類だと頭の中に描いてるかもしれないが、
果たしてそうだろうか?
・・今までの作品を見るかぎり、タカハ劇団でそんな単純なことをするようには
思えないのだけれど・・
ヒロシが持っている、他の男には無いもの、
それは容姿ではなく、言葉だと考えたほうが、物語の主題を考える上では、よりしっくりとくるように自分には思われる・・

ヒロシが言葉を持っているのは、
最初の台詞からみて明らかだ。

舞台上の女子たちが男をクズ呼ばわりするのは、
男がクズだと自分自身が本当に思っているわけではなく、
単純に周りにヒロシのことを諦めさせようとしているに過ぎない。

そして、何度男をクズ呼ばわりされようと、
どうもだれ一人ヒロシのことを諦めようとしていない。

これは、醜い劣等感の物語ではなく、
純粋にコトバ(それが真実の愛的な何かであるかどうかはひどく疑わしいが)
を切実なまでに追い求める
女たちの悲しい物語で、ほとんどの女性(美人含む)に共通する悩みだと
自分には思われる。

・・・男子はもっとコトバを磨くよう努力すべきではないかなと思ったりもする。
(ホスト君たちが廃業するほど)
皆がもっと豊かなコトバを持ったなら、女子たちもこんな悲壮なまでに
一人の男にすがりついたりはしなかっただろう(ただ、舞台の上では全然悲壮に見えなかったりもするのが作者の凄いところだ

この舞台は、センセーショナルな題名と女性たちの狂気じみた表情とは裏腹に、
舞台の上には全く登場しないクズ男の優しさ(・・なのかははっきりとは描かれないが)
を通して、多くの男性のコトバの足りなささ、
そしてそれを切実に(人を殺してまで)求める女子の悲壮さを
逆に描ききっているのかな、
という風に自分には感じられました。


ちょっと、冷静に考えてみれば、
容姿に魅せられるだけで人を殺す訳はない(想像もつかない
と自分は強く思うのだけれど・・
(他の男と自分がちょっとずれてるだけかも・・どうなんざんしょ?(汗
復活 -恋が終わり、愛が残った-

復活 -恋が終わり、愛が残った-

宝塚歌劇団

東京宝塚劇場(東京都)

2012/02/10 (金) ~ 2012/03/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

戦闘機の物語
関西に続いて東京でも公演を観てきました。

そして、宝塚の上演している「復活」はやはり素晴らしい作品だと改めて感じました。

時代背景などが昔のものであるためか、
どうも古典的で古臭いと思われがちのような気もするトルストイですが、
単純な筋のようでいて、
みるたびごとに色々な発見があり、
それでいて時代の行く末を予言している
スケールの大きさというのは、
とても現代の作家に真似できるものではないのかな、と思います。

それと同時に、
ロシアの巨木のような大男たちの熱い友情の物語が、
少年のような真っ直ぐな瞳のネフリュードフによって、
原作とずいぶんと違った手触りをもった物語に生まれ変わったことに
新鮮な感動を覚えたりもしました。

・・たぶん、少年というのは、
意図せず、凄く無邪気に残酷なことを平気でしてしまうこともあるけれど、
それによって自分の心の醜さに気づいたとき、
その罪を全力で償うことによって
愛とでも呼べるようなものに近づくことができる。

すごく単純だけれど、
今多くのひとが、自分が傷つかないために人を平気で傷つけ続ける世の中で、
自分が傷つけた償いのために
自分もまた血を流そうと平然と決意できるネフリュードフに学べることは多い。

自己満足かもしれない。
・・でも、無知ゆえに人を傷つけてしまった過去があるのなら、
それを見なかったフリをして大人の仲間入りをしたような顔をするよりも、
自分の誇りのために血を流し続けるのは
同じ男として素直に尊敬できる。

舞台を観ながらずっと、
「戦闘機」がエンジンからずっと燃料を滴らせながら飛び続けるさまをみるみたく、
ネフリュードフが時代を駆け抜けるさまを、見つめていました。

結末はたぶんネフリュードフだって分かっていたと思うのです。
彼もそれほどバカではない。
自分ならきっと途中で気づくに違いない。
でも、力の限り飛び続けなければならない。
だから、最後の結末に辿り着けるように感じます。

自分はたぶんこれからも死ぬまでずっと、
この戦闘機の物語を愛し続けると思います。

フィリップ・ケーヌ/ヴィヴァリウム・ステュディオ『セルジュの特殊効果 』

フィリップ・ケーヌ/ヴィヴァリウム・ステュディオ『セルジュの特殊効果 』

TPAM・国際舞台芸術ミーティング

KAAT神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)

2012/02/18 (土) ~ 2012/02/18 (土)公演終了

満足度★★★★★

ゆるふわ
最高でした。

実際にはゆるゆるゆる・・ふわっっ・・(空へ
くらい?

日本初演にこだわって、こんな肩の力の抜け切った(スバラシイ)作品を連れてきてくださって
感謝感激です!(TPAMには足を向けて寝られません(笑

主演のセルジュ君※の、ジダンから筋肉をこそぎ取ったような
抜群の(脱力した)存在感がステキ過ぎました
(日本人にはハゲかかったフランス人はみんなジダンの末裔?に見える?

「アヴィニヨンの観客は怒って退席するが、
日本の観客ほど寝る客はいない」
との定説通り?寝る客もちらほら。

・・まぁ、でも、それだけ安らかなクリエイティブさに満ちた作品てことで(笑

この勢い(あるのか?)で他の大作も観てみたい。
・・なんといっても日本はつげ義春を生んだ国だから、
「なんだかよくわからない肩の力の抜けたフシギと面白い(かもしれない)もの」
に対する感受性は人一倍強いはずだ・・(スミマセン、根拠になってないかもです(汗

※ フランス人でセルジュなどというと
  ゲンズブールがすぐ頭に浮かぶけれど、
  ここのセルジュ君はそういった野蛮さもセクシーさの欠片もない
    (最後に書くほどのことではないが

ハローワーク

ハローワーク

国分寺大人倶楽部

テアトルBONBON(東京都)

2012/02/08 (水) ~ 2012/02/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

金曜昼の回、当日券出てたので・・
渋谷のライブ行く前に観てきました(笑
観て嫌な感じの方などは、も一回観てみると、ひねくれ演出家(たぶん)の
意図したことがよく分かるのかなあ、などと思ったり。
作品の中で最初バカにされて笑われたりしてることが、
ホントは一番大切なんだよ・・ってことが分かれば、良いんじゃないカナ。
あと、人の心の成長というのは、外見からはなかなか分からないことだとも・・。
・・も少しあとで書き足します。
でも、作品のひねくれ具合(たぶん)といい、完成度の高さといい、
河西氏の作品は、作風はぜんっぜん違うけど、地点の三浦基氏と似てるなぁ・・
と、最近自分は(勝手に)すごく感じる(笑

・・でも、スペシャルおまけ演劇ってなんだろう?
凄く気になるなあ、と、思いつつ、もうTPAMのセルジュ取っちゃったしなぁ。

楽園!

楽園!

工藤俊作プロデュース プロジェクトKUTO-10

こまばアゴラ劇場(東京都)

2012/02/15 (水) ~ 2012/02/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

観てきました
あとでもう少し書き足します・・。

ホセ・ナヴァス/カンパニー・フラック『ペルソナ』

ホセ・ナヴァス/カンパニー・フラック『ペルソナ』

TPAM・国際舞台芸術ミーティング

KAAT神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)

2012/02/16 (木) ~ 2012/02/16 (木)公演終了

満足度★★★★★

凄い
特に形容する言葉が思いつきません。
とにかく素晴らしかった。
美しくしなやかで、幻みたいな・・あれは、ダンスというよりは、
「飛ぶように舞っている」ようにみえました。

トカトントンと

トカトントンと

地点

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2012/02/09 (木) ~ 2012/02/14 (火)公演終了

満足度★★★★★

完全なチーム
今回の舞台を観て、あらためて、
地点が、三浦基氏と個性的な固定された役者5人とスタッフとを中心とした
完全なチームになったのだな、と感じた。

そこにどんな舞台美術だの、音響が入り込んでも、
十分に対応する力がこのチームにはあるのだな、と。

解体され、ところどころ音節まで引き延ばされつつも
ありありと伝わってくる
複雑なテキストだけでなく、
時さえも、一瞬が引き延ばされたかと思えば、
時代が目まぐるしく行き来するようでもあり、
空が湧き立つかと思えば
次の瞬間には、焼野原を夕日が紅く染め尽くすしているかのようでもあり、
全てが極めて複雑、
かつ諧謔的でもあり、
まさに今現在のチームとしての地点の完成度の驚異的な高さがなければ
実現不可能とさえ思われる
凄まじい公演だったように思われました。

正直、これだけのチームなら、
線が細い・・(ように自分には感じられる)作家の文章ではなくて、
もっと野太い声の作家の文章を
ガッツガッツと切り刻んで(笑
松明で燃やし尽くすように派手に染め上げるのを観たいなぁ・・
などと思ってもみたり。

これだけ今のこのチームでの
高い到達点を魅せつけた三浦基氏が、
次もまた同じような公演を打つようには
自分にはとても思えないのだけれど・・(どうなんでしょう(苦笑

チェ・ジナ/劇団ノルタン『1洞28番地、チャスクの家』

チェ・ジナ/劇団ノルタン『1洞28番地、チャスクの家』

TPAM・国際舞台芸術ミーティング

KAAT神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)

2012/02/14 (火) ~ 2012/02/14 (火)公演終了

満足度★★★★★

映画のよう
素晴らしかった。

家を建てるという物語について、
日本では家族の死と同じくらい
微々たるものしか語られていないんじゃないかと感じた。

役者ひとりひとりの表情の変化を追う中で、
韓国では、それぞれが豊かな思い入れを、
家を建てるという行為に抱いていることが感じられた。

それらを完全に理解するのは難しいとも感じられたものの、
韓国の人たちと同じくらい
家を建てるということに強い思い入れを抱いていた
死んだ父親の言葉を
頭の中で照らし合わせながら、
舞台に向き合う中で少しずつ自分も近づいていけたように思う。

日本で生まれる物語も、
これだけシンプルで力強ければと思う。

舞台の上で生まれる魅力の多くは、
韓国の役者たちの魅力的なしぐさや表情から生まれるものだった。

それらを最大限に生かす脚本だったように思う。

Tripod

Tripod

靖二(せいじ)

明石スタジオ(東京都)

2012/02/10 (金) ~ 2012/02/13 (月)公演終了

満足度★★★★★

小劇場を完全に生かした会話劇
描きすぎないところが良いです。


観に行く前に、ここでの評価を見て、
「星4つということは、もうひとつで満点というところなのかな・・」
という先入観を持って観に行ったのだけれど、
見始めてしばらくし、
(ほぼ)完全とも思われた高い完成度の舞台であることに気付いてビックリしました
(やはりほかの人の評価は自分には当てはまらないということを再認識(苦笑

・・たぶんだけれど、ほかのレビュアーの方がこの作品より高く評価をするものより、この作品を自分は高く評価するように感じる・・。
そして、そういう評価眼をもった人は意外と多いように思う。
人によっては、そうした評価の違いを、好みの差というよりも、舞台芸術に対する読解力の差と見なす場合もあるように感じられる・・。

正直、自分も千秋楽に観たので、自分のこの直感が正しいのかどうかを第三者にゆだねられないことが残念です・・
(失礼な書き方にならないように極力努力したつもりなんですが・・(苦笑


正直、ほかのレビュアーの方々がどのような舞台と比べて
「もうひとつ」
と、感じたのかまったく分からなかったのですが、
これを越す完成度の舞台を小劇場で観ることは稀ではないかと思われます。

テーマが男同士の友情とでも言うべきものだったので、
難しいテーマのものを評価したがる方にはレベルが下のように
思われるものなのかもしれませんでしたが、
例えば先日FTの関係者の方が、
「韓国の舞台は日本のはるか先を行ってしまった」
と、しきりに言っていましたが、
この舞台は、前衛的な手法こそ使っていませんが、
物語を、そして人間を突き詰めるという点では
世界のどこに持って行っても恥ずかしくない舞台であるように思われました
(理解されるかどうかは分かりませんが、日本映画を好きな外国人には理解されるように思われます・・

初心者におススメの舞台と言って、ほぼ間違いないのでは無いかと思われました。

当日券でぶらっと行って、これだけ素晴らしい舞台に出逢えると・・
自分も、運命のようなものの存在をたまには信じてみたくなります・・(笑

詳しくは後でネタバレに書きます・・。

このページのQRコードです。

拡大