ジョギリ婦人 公演情報 芝居流通センターデス電所「ジョギリ婦人」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    当日券
    で観てきました。

    前回に比べるとだいぶ慣れたせいか、とても楽しめました。

    生音の迫力、演出、物語、悪役も含めた役者の演技と、
    すべてが素晴らしかったです。

    音響のDJブースが近いせいもあってか、迫力ある音を間近で楽しめ、
    歌もなかなか聞きごたえがありました。

    開演直前に滑り込んだのですが、
    短い時間で頑張って歌詞に目を通したお蔭で、
    歌もすんなりと頭に入り、とても楽しめました。

    歌詞が以前から聞き取りにくいという話はあったのですが、
    自分の回は結構聞き取れました。
    ただ、やはり、歌詞カードは開演前に観た方が絶対良い、とは思います。
    歌詞カードを見て、ある程度の内容は事前に分かるのですが、
    その方が面白いと思います。

    開演前に、歌詞を読みながら、こんなふうなんじゃないかと想像するのとは
    実際に目の前で歌っているシーンが全然違ったものになっているので、
    それが意外だったり、面白かったり。

    物語の結末については、
    最後の最後は予想できる部分はあるのですが、
    それはあくまで見せてる感じもあります。

    途中の展開の結びつき方を予想するのは難しいと思います。

    この舞台、自分の感じとしては、あくまで慣れもあると思います。

    そして、通常の舞台というよりかは、
    どちらかというと
    アメコミとプロレスをremixしたスプラッタ・ホラー・ミュージカルのライブ
    (ミュージカルと言うと聞き取れないという声が出そうですが・・)
    なので、
    腕を組んで「どうやって俺を楽しませてくれるんだ・・」※
    みたくやってると楽しめないのかも・・と言う気も・・(と言いつつ自分もおとなしく観てましたが

    ※・・そういう人を見ると、いつも自分の頭の中では
       Blurの「Entertain Me」が鳴りだしてしまう(苦笑
       ところで全然関係ないけど、TopManの由来って、
       Blurの同じアルバムの曲名から来てると良いなぁ・・って、ホント
       全然関係なくてスミマセン・・(思ったことをそのまま書いてしまうので・・
       でも、観客も「楽しもう」って雰囲気が溢れてたら、
       舞台もずっと楽しめるし、そのうちいろんな良いところが見えてくるものなので・・。
       日によって観客席の雰囲気も違うからなぁ・・(苦笑

       一応、別に知り合いがいるからのヨイショとかでもなく
       (劇団員の誰とも知り合いではない)、
       当日券実費払い、おまけに開演ぎりぎりだったので空いた端の席(といってもDJブースの前)に座って、自分はとても楽しめましたよ、と言う感想でした・・。

    ネタバレBOX

    単に残酷なだけでなく、
    物語は色々な要素が絡み合いながら、
    きちんとした一本の糸で結びあっているようでした。

    トルストイの「幼年時代」のような幸せな時を過ごした男女3人。
    その彼らがどのようにして愛し、殺し合いながら絶望の底に沈んでいくのかを、
    ずさんな拉致監禁計画の破たんと共に
    情感たっぷりに描写していく様はなかなかに見応えがありました。

    物語の最後の電話の使い方もとても良かった。

    最後に電話が鳴るシーンは、一見ありがちとも思われそうだけれど、
    自分には、以前観たタカハ劇団の、
    死のうとしていた人が、自殺志願者の電話のベルに逆に救われるシーンを思い出したりしてました。

    その後の展開としては、2つの物語は、きっとまったく逆となることを予想させるのだけれど、ただそれは暗さと明るさの違いくらいであって、
    根っことなる感情は同じなのかもしれない。

    子供と夫を失い、絶望した婦人は、
    きっと同じように絶望のなかにいる子供の、助けを求める電話で、
    おそらくは生きる気力を得て、怪人に生まれ変わります。

    その喪服姿の婦人は、まるでバットマンのようなダークヒーロー・・というかヒロイン?にも見えます。

    同じ電話の鳴る音で締めくくる結末をはさんで、
    タカハ劇団が、
    おそらくは自殺しようとするものを思いとどまらせようとすることで
    逆に自分の魂も救われることを観客に期待させる
    (少なくとも自分はそう思いました)のに対して、
    デス電所においては、
    ジョギリ夫人の魂は、ひょっとしたら電話が鳴る前にもう死んでしまっているのかもしれない
    (夫と自分の子どもが死に、夫も死んでしまった以上、もう永久に救われることは無いのかもしれない)
    けれど、自分の死んだ子どもと同じように絶望の淵にいる子どもを救うことでのみ、
    かろうじて、魂は死につつも、体を機械のように駆動するエネルギーを得ることができる。
    ただしその闇の先に、救いの光があるかは、誰にも全く分からない・・。

    期せずして、2つの物語の共通点と相違点とに思いを巡らせることで、
    2人の登場人物の物語をより深く掘り下げる機会を得られたようにも感じられます。

    個人的には、ジョギリ夫人をアメコミのようにシリーズ化したらブレイクするんじゃないカナ、とか思ったり。
    ・・いや、陰惨な事件は多いけれど、
    そうした絶望を、黒い炎で焼き尽くすみたいな、
    そういう悲しいダークヒーローをみんな実は求めてるんじゃないか、
    とか思ったりもしたもので。

    家政婦の三田さんよりかはこっちの方がいいんじゃないかと・・いや、趣味ですけど(苦笑

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    2012/03/26 22:55

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