満足度★★★★
「劇作家」括りで一つ今後も。
4作家、4作品の短編上演は、どれも劇世界がしっかり書かれ、作られていた。二名の作家の名を知っていたので観劇となったが、王子くんだりまで足を運んだ甲斐あり。 3番目の活劇は動きがあり「恋愛」の成就という面だけでなく、時代を映そうとするメタファーが効いている点が、抜きん出ていたと思う。オタクの居直りとその中で辿りついた「あり得べき生き方」の吐露には切実さがあり、一方の生徒会勢力の言辞は本音そのものであると同時に、ドラマとしては男子への叱咤激励の意味合いとなっている。罵倒されても心地よい感覚は、あけすけな現実を踏まえて物を語っていることから来るのだと思う。両者異なる立場の「激突」という形をとった議論が、ある妥協点を見出す局面に、「恋愛」が重ねられるという、うまい作りである。
劇団劇作家による連続上演も楽しい企画だったが、劇作家主導で作られる公演は興味深い。競う相手と協同するという形が、いい。
満足度★★★★
「絶対恋愛王政」…☆5
「絶対恋愛王政」がすごく良かった。この作品だけリピート観したかったくらい。うかつにもちょっと泣きそうになりました。
(「絶対恋愛王政」だけだと文句なしの☆5ですが、他の3つの作品も含め、この舞台の総合点として☆4をつけました。他の3つの作品はレベル的に低いとは思いませんでしたが、自分の好みの内容ではなかったというだけです。)
満足度★★★★★
もう一度観たい
特異な個性が放つ四つの物語は、ベクトルは違うものの
マイノリティを切り取る視点は様々な事柄を考えさせられる秀逸な作品。
1話目の「DOG」は、
己の存在を失い自己崩壊する中で他者に牙をく女の
「みんな死ねばいいのに」という心の叫びに共感する。
2話目は「だるまかれし」、
世の中の歪みに陥る三人は各々が居辛さを抱える少数弱者。
社会に認められない辛さが身につまされる。
この2つの物語は変化球の遠投の様に受け手を惑わせ考えさせる。
「絶対恋愛王政」は学園カーストを乗り越え、自己矛盾に葛藤しながら成長し
愛を貫く二人。見た目と違う清々しい二人に感動。
最後の「幻燈」は、受け取り方で大きく変化する現実と隠された真実。
映像とリンクする熱い言葉の波が心地よく、大いに考えさせられる。
流れるような展開も良かったが、
一つ一つの物語が考えさせられるポイントが多く、
一話ごとに余韻を楽しめても良かったかもしれない。
出来れはもう一度リピートしてみたいところ。
劇作家女子会は、社会のはみ出し者が好きなのだろうか。
満足度★★★★
鑑賞日2016/07/02 (土) 18:00
深い4つの味です。
初日?の土曜日拝見しました。
坂本鈴さん以外は初めてでしたが、どれも底知れない感じ
個人的には仕事で忙しい事もあって「幻燈」がある意味沁みる。
坂本さんは得意のシェイクスピアを面白可笑しく大胆に
COOLJAPANセンスで見せてくれてホッとしました。
その前の「DOG」の不思議な空気感から「だるまかれし」での
言いようのない価値基準への不安さ(笑いも意外にある)から
丁度3番目だったのでホッとさせてくれた順番でした。
好きな人に趣味について、考えさせられる作品かな?
提案したい事もあるけれど、とりあえず好きな作家さん探すはずが
選べない状態になってしまうと思いますよ、恋人同士の観劇がお勧め?
満足度★★★★★
四つの作品をつないでいく極上の舞台。
劇作家女子会!観劇
四つの作品をつないでいく極上の舞台。
まず,猫を上手に演じる女の子が気になった。字幕には,なぜか英語があった。
犬や猫が,人間と共存するということをデフォルメして何かを描くような演劇。少し,私には難しかったけど,演出はとても雰囲気あって良かったと思う。
次の作品は,一番良かった。発達障害とは何か!生きるということは,いつも死とか,暴力とか,あるいは,自殺に向かう衝動とかと向き合うということ。たとえば,戦争で夫は身体障害者になってしまって,過去の栄光より,自分は介護でストレスが日々増していく。そのようなときに,だれか仏さまのように生きる達観ができると良いのだが,とてもたいへんなことであろう。
三つめの作品は,ノー天気に,漫画おたくを,優等生の女子生徒会長が攻撃し,見事に返り討ちにあう。というのも,おたくにも良いところはある。優等生で生きていたって,ちっともおもしろくなかったりする。少しエロチックな場面に驚き,おたくたちを大げさに表現して笑わせる。でも,どこか考えさせる。
最後は,会社人間とはなにか?という一点に絞った作品に思える。生活のために,人は組織で働き,ときに我慢できない。そこで,起きる場面は,結構単純な問題だろうが,自分がその立場にあって一体何ができるのか。そう考えると,心は寒くなっていく。