丘の上、ただひとつの家(全公演終了・ご来場ありがとうございました) 公演情報 丘の上、ただひとつの家(全公演終了・ご来場ありがとうございました)」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
1-20件 / 22件中
  • 満足度★★★★

    なかなかヘビー
    設定ヘビー過ぎ(笑)三面客席がちょっと気になるのはあったが、途中から気にならなくなる程、濃厚で濃密な物語でいい時間でした。
    設定のヘビーさに比べ、姉のあの理由が少し軽いかなと感じるのはあったが(ある意味至極真っ当な理由ではあるが)、よかった。

  • 満足度★★★★★

    面白い
    「紹介できないような家族」の話でしたが、愛のある話だと思いました。自分の家族がこうだったら真逆のことを考えるかもしれませんが、少なくとも見る限りでは、皆、愛すべき人たちだと思いました。

  • 満足度★★★★★

    鵺的的
    凄まじい設定に、こういうのを待ってましたと喜びました。

    ネタバレBOX

    前の夫との子である姉と妹が、ふと見つかった父親の形見を渡そうと、出て行っ母親とその後生まれた上が姉で下が弟という家族を探し当てご対面する話。

    子供を放置して死なせて服役したというのに子供が二人いる、次の夫の存在には触れられない不思議さなどモヤモヤっとした感じで推移していき、その後凄まじい秘密が明かされました。

    母親と彼女の兄との間で生まれた二人の姉弟が子供を生んだとは、そして、これほど血が濃くなると弊害もさもありなんと、ここまで徹底した設定にするとはさすが鵺的だと恐れ入りました。

    母親と一番上の姉が天然的な感性でとても似ていたのが何とも言えず親子を表現していて素敵でした。

    今度会うときは母親のお葬式のときという姉の話がありました。逆に妹は会う会わないをペンディングしましたが、言われた方は嫌なプレッシャーが永遠に続くと思います。将来の気持ちは変わるかもしれませんが、私なら少なくともあの場ではもう会わないと言うだろうなと思いました。
  • 満足度★★★★★

    無題1396(15-044)
    19:30の回(晴)。19:00会場着、受付(全席指定)、開場。コの字の客席、入って奥から左回りに「A~C」、「B」が正面席のようで、私は「A」。高さ30cmくらいの長方形の舞台(板張りの床)がやや斜めに設置、客席との間に椅子(4脚)。舞台中央に柱(下のほうが細くなっている)、こちらにも4脚の椅子、背もたれ部分は切り取られ、足も他の椅子と換えたのか不揃い。「正規」のものではない「不具合」さを表していたのでしょうか。8作目になりました。

    何作か観ている役者さんが多く、それ以外でも高橋さん「朝にならない(2012/11@ATTIC」、生見さん「カラフルな猫、再び(2011/4@バーボンタコス)」「向日葵と夕凪(2012/8@BASE)」など。

    開演前、上演中も場面転換以外では無音。比較的、場面転換(この間ノイズが響く)が多いような気がしましたが、観ている間、息を凝らした状態に近いのか、そっと息を吐くのでした。

    19:29前説(アナウンス)、19:34開演~21:24終演

    ひとつ皮が剥かれるとさらに醜い皮が現れ、それは己自身に内在するものであるように思われる。どこか諦念した感のある人物たち、表情、軽さの中の重い石、血によって繰り返される業、焼け焦げ黒くなった柱の下部ではもう登場人物たちを支えられないのではないか、かつてそこで起こったことと各人とのかかわりが心を焼き尽くす。

    私が座った位置ですと、役者さんが重なったり、背中しかみえなかったりでしたが、横から観る機会が少ないので、これはこれでよかったです。

  • 満足度★★★★★

    なのにエンタメ
    奔放な母親の行動に振り回され続ける家族の思いがぶつかり合う
    重苦しい展開なのに、どこか天井の穴から青空が見えるような
    一筋の楽観主義が救いとなっている。
    ひとつにはぶっ飛んだ母親のキャラによるところが大きいと思う。
    このとんでもない母親が子どもたちに伝えることが出来るのは、
    ただひとつ“赦す”ことである。
    自分も人も、全て赦せば幸せになれるという、自己中心的で
    究極の幸福論のままに生きる母親と
    彼女を取り巻く登場人物のキャラがくっきりしていて説得力があった。
    クールな弁護士の言動が爽快感を呼び、全体のバランスを上手くとっている。
    「荒野1/7」に続く家族の物語は、緊張感の途切れない、
    それいて思わず吹き出すような“抜け”もある台詞が素晴らしく、
    泥沼家族をエンタメにする手腕が秀逸。



    ネタバレBOX

    三方から囲んだ舞台には歪な椅子が4脚置かれている。
    いずれも4本の脚のうち1本は、別の椅子から取ってつけたように色や形が違う。
    背もたれは低い位置で切り取られ、その切り口は赤い。
    もたれることもくつろぐことも拒否された、登場人物たちの家を思わせる不自然さだ。

    自分が幼い頃家を出た母親に、父が遺した指輪を渡したいので探して欲しいと
    ひとりの女性が弁護士に依頼する。
    子どもを置いて出て行った母親を探す必要などどこにある、と強く反対する夫、
    最初は反対していたが、やがて本当は自分も会いたいと語る妹。
    いつもは天然でおっとりした姉が、この件に関してはなぜか頑固で譲らない。
    やがて依頼を受けた弁護士により、いくつかの事実が明らかになる。
    家を出た母親は、刑務所に入ったことがある、万引きしたことがある、
    そして家を出たあと子供を2人もうけていて、もうひとつの家族が存在する…等々。
    2つの家族は、ひとりの母親を挟んで大揺れに揺れたのち
    弁護士同席のもと、ついに母親も含めて集まることになる…。

    母親は出て行ったが、父に守られてきた育ちの良い姉妹と
    誰にも守られず、母親や社会に対して攻撃的な姉弟、
    血のつながりはあっても対照的な2つの家族の違いが鮮やか。
    家を出た後、実の兄の子を2人も産んだ母親も業が深いが、
    自分の出自を知った姉が、自分も実の弟との子を産んで見せつけるという
    母親への壮絶な復讐心に思わずたじろぐ。

    最初声だけが聞こえてから姿を見せる、母親の登場シーンが超インパクト大。
    若い男と人目もはばからずイチャイチャしながら再会の場へ出てきた母親は
    ミニスカートにブーツで、唇も爪も真っ赤に塗っている。
    この母親が、子どもに詫びを入れてさめざめと泣く…みたいな展開が一切なくて
    「なーんか、みんな怖い顔してるぅ~」と男の背中に隠れるようなキャラなのが潔い。
    開き直りにも見えるが、自分のしたことを後悔していない、つまり
    自分の行動も、最初の家族、次の家族、ちゃらちゃらした若い男も
    ぜ~んぶ肯定して大好きなのだ。
    暗く重苦しい話の中に薄明るい光源があるとしたら
    それはこの“ノー天気な菩薩”みたいなトンデモナイ母親の存在である。
    結局菩薩に丸ごと肯定されることで、子どもたちは次の一歩を踏み出そうとする。
    母親のかたちといってもいろいろあるのだ、と思わせられる。

    もうひとつストーリーを面白くしてくれるのが“価値観のズレ”である。
    母の愛人であるちゃら男の「みんな一緒に住めばいいじゃん!」的な発言には笑った。
    ほかの人々がそれぞれ硬直した価値観にとらわれている中
    母と若い男は、「まあ、それもいいじゃん」となんでも受け容れていく。
    人を幸福にするのは、この“いい加減さ”かもしれない。

    ちゃら男役の井上幸太郎さん、弁護士を襲ったりする一方で憎めないところもある
    硬軟使い分ける男の二面性を自然に見せて素晴らしい。
    ぶっ飛んだ菩薩のような母親を演じた安元遊香さん、
    善悪を超えた度量の大きさを感じさせる。
    母への復讐に燃える姉を演じた宍戸香菜恵さん、
    緊張感の途切れないこわばった表情と台詞が、
    終盤力の抜けた表情に変わるところが巧い。
    ちゃら男を一喝、逆に利用するクールな弁護士役の生見司織さん、
    硬質な台詞で魅力的なダークヒロイン(?)像を創った。

    弁護士までがクライアントと共通の体験をしていなくても
    良かったのではないかという気がする。
    人に寄り添うのに必要なのは、体験より想像力だと思うから。


  • 満足度★★★★★

    柱が邪魔だったが
    いやァ~久しぶりにいい舞台と出会えた。
    最高だぁぁ。
    各々の役者が素晴らしい緊張感を以て最後まで魅せてくれた。

    常々思うことだが、こうした良質な舞台はシネマコンプレックスのように柔軟にロングラン公演に切り替えられるシステムを確立すべき。
    劇場側と舞台関係者間の専属契約による生活保障等、採算が取れる見込みが無いから誰もやらないのだが、・・。

    近年の過去作品全てが大当たりなのは、ここと劇団5○5○(ランド○ー)と桟○童○位か!?

  • 満足度★★★★

    家族のあり方
    母親と子たちの複雑な人間関係がドロドロと描かれ、その中にに引きずれこまれてしまう。生まれてくることがよかったのかそうでないのか考えさせられた。いろいろな家族が存在するのであろう。

  • 満足度★★★★

    複雑な環境にして母の器のデカさ
    なんとも複雑な設定で登場人物の表情が重い。
    苦悩に苦悩が重なる。そして母の器のデカさを知る。
    3面舞台は面白い。見る位置によっては、役者の表情が全く見えない状態が頻繁に起こるので、無理に席を作るのも考えものだと思いました。
    3回観劇して、2回そんな席だったのが残念でした。
    良い脚本に新鮮な印象を持ちました。過去作品に興味が沸き、DVDを数本購入しました。

  • 満足度★★★★★

    毒気を抜かれる
    主人公の視点から家族の関係が明らかになっていくその歩みにぐいぐい惹きこまれ、行き場のなさや鈍色の痛みにも浸潤されつつ、その先に訪れるものに一気に持って行かれました。

    母親、凄かったなぁ。唖然とし、苛立ちもし、でもそれを全否定できない感覚に心を奪われました。

    ネタバレBOX

    父が残した手紙に従って指輪を渡すためにその家の長女が母を探す前半、彼女の夫、妹の存在、依頼をした弁護士によって示された異父姉弟、長女が突然家を出ていった母親に向かっていく中での、複雑な家族関係がそれぞれの想いと共に少しずつ解けていく歩みに、次第に嵌りこむように捉われていきます。

    作劇の企てが随所に冴え、その一歩ずつに、登場人物たちから訪れる温度や頑なさの質感の異なりがあり、丸められることなく、徒に観る側を惑わせることなく、解けるものとその内に隠されたものが刹那ごとに移ろい、観る側に置かれていきます。その展開をもどかしくも感じ、晒されていくものに息を呑みつつ、舞台は広がり、閉塞し、さらに剥がれて、やがて母を探す姉妹と母を隠そうとする姉弟の闇との想いの重なりに姿を変えていきます。

    作り手の女性弁護士のロールの設定も、担った役者のお芝居も実にしたたかなのですよ。冒頭から物語を組み上げ、その移ろいに緩急をつけ、舞台に晒すものと隠すものを切り分けていきます。テレビドラマのようなシーンがあったりもするのですが、それがゾクっとくるようなかっこよさを醸してもあざとさにならず、物語のトーンを変えることなく厚みを作り新たな展開を導いていきます。しかも、単なる狂言回しとして物語を支えるだけではなく、終盤には自らも抱くものを切り出し、キャラクターに血を通わせて、その存在を場の色から乖離させないのです。
    彼女によって、登場人物たちそれぞれの立ち位置や想いが混濁することなく観る側に置かれ、晒され、そのコアにある母親へと観る側を引きよせていきます。そして、舞台上に母親のピースが差し入れられる。

    その母親のお芝居が、もう様々に圧倒的でした。最初、声だけが聞こえてくる演出も上手くて、その段階で二組の家族がそれぞれに捉われた想いに対してこれは駄目かもという予感を感じさせる。しかも予想すら凌駕する彼女の風貌や態度や言葉が、キャラクターそれぞれの救いや癒しを願う観る側の微かな期待さえもしっかりと打ちのめしていきます。自己中心の権化というか、場の空気を読まないし、自分を正当化するし、他の想いを感じることができないし、理解しようとすらしない。挙句の果てには自らの行いを棚に上げて、子供たちにアドバイスすら始めることに呆然。そのありように、苛立ちとか怒りを感じたりしなかったわけではないのですが、なんだろ「毒気を抜かれる」というのはこういうことを言うのでしょうね、なにか彼女を変えることはできないという確信や諦観にそれらは埋もれてしまい、それまでに物語から受け取ったもののやり場を失ったような気持で、母親とその子供たちを、冷静に見つめてしまう。

    ずいぶんと酷い話だと思う。でも、その母親を観て、語ることを聴、もうどうしようもないと思うのです。それは、子供たちが捨てられたことも、近親で関係することも、その子がネグレクトされたことにしても、すべては母のモラルハザードからのことかもしれない。、でも、よしんばそうであっても、それを抱きつづけなければならくても、恨み続けても、子供たちは生きていかなければならない。役者には、この母親を通じて観客にそう思わせるだけの力がありました。

    母親は冒頭の長女に子供だけは産めという。一人の母親を持つ二組の家族は、次に会うのは母親の葬式の時かもしれないという。でも、それは、二組の家族がとりあえずはそこから歩み出したことにも思われて。

    その家族たちや彼らの周りの人物も、キャラクターを自分の肌のようにまとい、演技にしっかりとした密度や想いの遷移の確かさがあってがっつりと心を捉われたけれど、ずいぶんとタフでビターな話ではあるけれど、閉塞や絶望に居場所を作らなかったこの物語の結末に、作り手の新たな境地を観た思いがしたことでした。
  • 満足度★★★★

    面白い
    ミステリーのような見せ方だが、内容はえげつないホームドラマ。
    とても良く出来た作品でした。
    本当に面白かったです。

    ただ1点だけ非常に残念でした。
    そこをクリアにして、もう一度観たいと思いました。

    ネタバレBOX

    個人的に愛役の方の演技が腑に落ちませんでした。
    購入した脚本を読むと、やはり愛役の方は作中の役割を理解していないように見受けられます。

    意思や蓄積がなく、場当たり的な感情や反応だけで演技をしているように見えて、薄っぺらい言動が悪目立ちしているように見えました。
    作中で必要と思われる、意思の強さの根本にあるものが、表現されておらず、
    ただの無垢さ無邪気さからくる迷惑を引き起こすだけの人になっているのです。

    見た目や声の印象が強いだけに、中身が伴わないのが非常に残念でした。
  • 満足度★★★★

    息苦しくもなる作品
    重厚なテーマで、息苦しくもなる作品。
    あまり共感できるような内容ではないが、舞台として見応えがあった。
    以下、公演中なのでネタバレで。

    ネタバレBOX

    ネグレクト、近親相姦、幼児置き去り殺人、中絶と暗テーマ目白押しの作品。
    加害者、被害者がそれぞれの立場で入れ替わり、とても勧善懲悪ではすまない内容であった。
    元凶は自由奔放な母であるが、必ずしもそれだけを原因とは出来ないのではとも思った。勿論この母親に共感は出来ませんが。
    というか、作品の登場人物誰にもあまり共感は出来なかった。(長女の旦那さんだけが唯一共感できるかなと思いますが。)
    少しテーマが盛り込み過ぎられていて、また「え、あなたも!?」という点も多く、どうしても他人事に思えてしまった。
    その方が、幸せなのかもしれませんが。

    役者さん達は、皆さん熱演でそれがこの重厚な作品に繋がったと思います。
    変わった椅子等も、それぞれの不完全さを表し、それでいて機能は保っている、そんな印象を受けました。
    「丘の上、ただひとつの家」という題名も、丘の上という見上げる、憧れる面と、有事の際は不安定な面という2極を表しているのかなとも思い、観劇後に
    色々と考えさせられる作品でした。

    色々書きましたが舞台としては見応えがあり、間違いなく印象に残る作品でありました。






  • 満足度★★★★★

    見応えがあった
    冒頭から重苦しい雰囲気で息の詰まる会話が続く。この極めて特異な状況下でそれぞれがどう考えどう行動するか、観客としても一緒に考えながら濃厚な時間が過ごせた。ストーリーをやや作り過ぎている点は観ている間は気にならなかった。役者はそれぞれの配役を見事に演じきっていて見応えがあった。

  • 満足度★★★

    "ざらざら"が治まらない。。。
    鵺的「丘の上、ただひとつの家」@SPACE雑遊

    久々に感想をすぐに文章に出来ない舞台だった。。。中盤から起こり始めた心の中での、ざらざら、が終わった後も治まらず、だいぶ引きずってしまった…

    前半から中盤にかけては散りばめられた謎や疑問の解決ヒントが垣間見え、ミステリーのような一面もあり。
    終盤、おかあさん、登場で隠された事実・気持ち・想い、そして葛藤を一気に見せられる。これはキツい…でも、おかあさん、のコトバ・キャラクターに幾分救われたかな。
    仮に、彼女がStageに出てこなかったらって思うと、全然伝わり方/受取り方は違っただろうけど、高木さん(脚本)の答えは、あれ、だったんでしょう。

    個人的には、鵺的さんはお初だったのだけど、普段はもっとヘビーなお花らしい…入門編としては今回の作品はオススメです。
    16日まで!

  • 満足度★★★★

    血族の指輪物語
    ある人物の「わかんない」と軽く言ってしまう言動や無責任な行動にはつい反吐が出そうになり、我が子に罵声を浴びさせられてもあんまり気にしていない図太い態度に自分の思考が停止しそうになった。
    忍耐力は低いほうなんであんな息詰まる話し合いの場にはいたくないが。
    重々しく緊迫して結末までいろんな謎が散りばめられた、色々と濃いぃ約110分だった。

    ネタバレBOX

    何物にも染まらず、無計画、なすがまま、であってもあの女は死ぬ直前まで「母」よりも「女」として生きていくんだろう。そして「どこの家だって、なんかしらあるもんだろ?」と軽く言い放つ男に、「ああそうかも‥」と納得してしまう適当な自分もいて、ようやく物語の登場人物たちの気持ちに合点がいった。
    解決しなくても事情を受け入れる、という生き方の紆余曲折。
    近親相姦、妊娠、出産、中絶‥女たちの経験が大体こんな感じなので、いかに自分の生き方がまだ恵まれている方なのかと実感。
    ただ、弁護士さんまで堕胎経験ある設定にしなくても、と思ったり。
  • 満足度★★★★

    こどもは皆可愛い
    自分の産んだ子供たちは。。。そこに泣けちゃって…。だって本当にそうだもの。子供が何を考えていようが、親を拒絶してようが兎に角自分の産んだ子はかわいいんです。たとえ憎らしく思っていても可愛いんです。ん~すごいなぁ。それぞれの登場人物のそれぞれの思いがストレートに伝わって来て、みんな正論!みたいに思えたり。舞台ならではの緊迫がたまらなく良かった。キャスティングがなるほど!と唸りました。舞台美術も良かったです。椅子の足とか、柱の黒いところとか……。でも…

    ネタバレBOX

    あの小劇場の中、鼾がうるさく集中できませんでした。しかもその方お酒臭かったとか。一度入ったら退出できる環境じゃないから、劇団側からも退出を促すことも出来ないだろうけど、もう…我慢するしかない。同じ回を観ていた方は、みなさんイライラしてたみたい。特に前半セリフを聞き逃してしまったりで悔しい思いをしました。もう一度観直したいが時間がない。
  • 満足度★★★★

    丘の上にある「家(家族)」は下から眺めていたほうがいいのか
    「家族」は見た目より「丈夫」なのだろうか。

    そして、「母」の重さ。

    ネタバレBOX

    客入れに音楽なく、きついな、と思っていたら、作品自体がそこから始まっていたようだ。
    なかなかキツイ。
    身じろぎもできないほどの緊張感。
    惹き付けられるので、身じろぎすることもないのだが。
    暗転に救われた。
    シーンの長さと暗転のタイミングが抜群なのだ。

    普通、110分程度の舞台で、これだけの暗転があると、苛つくこともあるのだが、暗転で今、舞台で起きたことを反芻できたりするのだ。
    それによって、物語が観客の中で広がっていくようだ。

    帰宅してフライヤーの裏を、あらためて読んだら、作・演の高木登さんの体験が書いてあった。この作品とは違う出来事なのだが、高木登さんは「自由を取って」「会わなかった」らしい。そして、「自分のしなかったことをする人々を書いてみたいと思う」と記していた。

    そこで少しだけ合点がいった。

    劇中、最初から最後まで思っていたのは「なぜ、この姉(愛)は、こんなに脳天気なのだろうか」ということだ。
    結局自分のことだけを考えて、母に会うことにして、周囲を嫌な思いにしていくのだ。

    彼女が母に会いたい本当の理由は最後にわかった。
    しかし、それにいろいろな人を巻き込むことはないだろう、と思ったのだ。

    高木登さんにとって、こんな「迷惑な家族(兄弟姉妹)」がいたら、彼の考えている「自由」を手にすることはできなかっただろう。
    それが彼の考えた「しなかったことをした人々」なのであろう。

    姉・愛には、「母」という存在が、自分にとって大きくなりつつあった。
    つまり、結婚して「母になる」という可能性が出てきたからだ。
    だから、「母」に会って、「ホントはいい人だった」と思い込みたかったのだろう。それは、「母となる自分」が、記憶にある「最低な母」と重なってしまうから、それを払拭したかったのだろう。

    幼いときに別れたきりであり、母は想像の中にしかいなかったので、「実は母はいい人」で「自分を愛してくれ」、さらに「母となる自分を励ましてくれる」のではないかと、どこか(甘い気持ち)望んでいたのだろう。そこをもう1人の妹・遙(はるか)に見透かされてしまうのだが。

    この作品は、「母」の話である。「女性」の話と言ってもいい。
    「命」と直接的に向き合う性だからこその「恐怖」があるのかもしれない。

    この舞台では、一体何人の子どもが殺されていったのだろうか。
    置き去りにされて殺された乳児が1人、堕胎され殺された赤子が3人。
    恐ろしい話だ。

    これらは大切なエピソードなのだろうが、後から後から「実は」と出てくるところが、物語として残念ではある。
    さすがに「弁護士まで?」となってしまった。

    「血」の話から少しそれてしまった気分だ。
    女性弁護士にしたのはそういう意味だったと思うのだが、姉の夫のような立場、しかも「女性」としての立場に徹したほうが、しっくりしたと思うのだが。弁護士の堕胎エピソードまで出てきてしまい、やや話が作り物めいてしまったのは、残念。

    彼女のかかわり方は、最初のほうから、深くかかわりずきていたことが、それの伏線にはなっているのだが、あくまでも「他人」の「視線」がほしかったと思うのだ。

    この物語には、ひょっとしたら「母」は登場しないのではないか、と思っていた。
    なぜならば、ハードルが上がりすぎていたからだ。

    しかし、安元遊香さん演じる母は出てきた。
    化け物でもなく、いい人でもない、丁度良い塩梅の佇まいだ。

    その曖昧さに、母に会いたかった姉妹は少し戸惑ったのだろう。
    徹底的に糾弾することも安心することもできない。

    その不安定さがラストまでいく。

    舞台の上や下にあったイスは、脚がまちまちであった。
    座ることはできるのだが、脚がバラバラなデザインや素材であったり、背もたれが切り詰められていたりと。
    イスの4つの脚は、まるで4人の子どもたち、バラパラのようであって、イスという「家族」のようなものを形作っている。

    見た目よりも「丈夫」である。

    それがこの舞台からのメッセージではなかったのだろうか。

    この物語では誰も得をしない。
    母に会って、なにがしかの結論を欲していた姉も、結局は満足できる答えを見つけられないまま。

    しかし、言えるのは「会ったから」「一区切り付けられた」ということ。

    遙(はるか)姉弟は、自分たちの過ちを、きちんと「言葉」にすることで悔やむこともできたし、「恨みだけ」で生きてきたような、姉も憑きものが落ちたのではないか。彼らの今後の関係についても道筋が見えてきた。
    妹の遙(よう)も、面と向かって母に言うことで、気持ちの整理がついていく端緒を見つけたのではないか。おまけに誰も知らずに抱えていたことまで吐露できてしまった。
    弁護士も、自分をさらけ出し、自らの「過ち」として、「言葉」にすることで、先に進むことができるのではないか。

    それらは、あまりにも「痛み」が伴う作業だったが、それを通り抜けるには、それ相応の苦悩が必要だったからだろう。

    会わなければよかったと後悔する。
    会わなければ、「丘の上にある家」のように、見上げているだけで想像できる「家族」であったのに、と。

    そして、ラストシーンにあった、さり気ない台詞にすべてが示されていた。彼らが「家族か否か」が。

    すなわち、「次、会うとしたら」「母が死んだときだろう」。
    つまり、「葬儀」には「集まる」ということなのだ。それは「家族」として。
    それには、誰からも異論は挟まず、当然のことと受け止めていた。

    「もう会いたくない」という関係であったとしても、「家族ではある」ということは、ここで確認されたと言っていい。
    つまり、「家族になった」ということなのだ。

    父が母に渡してほしいと願った指輪は、ちょっとよさげなエピソードっぽいが、実は、父の恨みの想いが込められているように感じてしまった。
    それは、愛と遙(よう)姉妹が母と別れたのは幼い頃であった(聞き間違いでなければ長女が3歳)。なので、「悪い母」のエピソードのほとんどは、一緒に暮らした「父」からのものだろう。それを幼い姉妹は、自分たちの記憶と勘違いしてしまうことは、幼児だからこそあり得る。
    したがって、父は母を良く思っていない。

    指輪を姉妹に持たせて、母に会わせるということは、父の母への最後の 意趣返しではなかったかと思うのだ。
    それは果たすことはできなかった。
    母はそれを感じることができない人だったから。父は、そんなことは知っていたはずなのに。

    姉・愛を演じた高橋恭子さんは、この舞台にあって、1人だけ育ちが良いように見えてしまうほど、脳天気に見えた。しかし芯の強さも感じる。一番イライラさせてくれた(笑)。そこがうまい。

    弁護士を演じた生見司織さんは、前半クールでありながら、時折見せる「ビジネスを外れた」言動とのバランスがとてもいい。激高しているようで、少しクールなところも。
    母の愛人を演じた井上幸太郎さんは、なんともゲスい感じがいい。
    弟・太一を演じた古屋敷悠さんは、とてもナイーヴな引いた演技が好印象。

    そして、フライヤーである。
    「母の葬儀に集まった家族と関係者たち」である。
    帰宅してフライヤー見て、「おっ」と思った。
  • 満足度★★★★★

    「鵺的」。
    生きているだけでその血を呪うような暗鬱を背負う人間と、血の繋がりを何の疑いもなく温かなものだと信じている人間。ごく普通に後者として生きてきた身としては、果てしなく堕ちていく前者の生が恐ろしくて直視できない。鬱屈とした重々しさ。この感覚が「鵺的」。観終わる頃には「家族」という言葉でさえも恐ろしく感じる。自分の生が「幸せ」だということと直面することがこんなに怖いことだと思わなかった。多分、私もいろいろなことに目を塞ぎ、耳を塞いで逃げているんだろう。一皮剥けばあの母親と同じかもしれない。(明日以降、ネタバレBOXに追記します)

  • 満足度★★★★★

    肉親
     切っても切れぬ縁として肉親を描くことで、レゾンデ―トルや幸・不幸、愛とタブーを炙り出し、考えさせる作品。(追記後送)

  • 満足度★★★★★

    緊張の110分。
    お芝居が始まる前、通常ならBGMでも流しているようなところまったくの無音で。でも、その無音が、なるほどなという感じでした。劇中の無音感も、絶妙。それと、必見は、気味の悪い椅子。8脚すべてが気持ち悪かった。脚本と演出がほんとにすばらしい。この重いテーマなのに、のめり込んで、入り込んで観てしまいました。最後、泣きました。普通の家族物ではない、、まさに、血族物ですかね。

  • 満足度★★★★

    血と生!
    人間のタブーの中で、血と生を問う!
    キャラクターが明確で複雑な関係ながらも解りやすい。
    興味深く観ることができました。

    ネタバレBOX

    実父が他界し、残された姉妹が遺言に従い残った指輪を幼いころに自分たちを捨てて家を出ていった母に手渡すまでの話。
    この母親が凄い。近親相姦地獄!
    実兄との間に2人の子供を作る。
    さらにその子供(姉弟)が近親相姦で女の子が生まれる。
    その女の子が祖母である母親にほったらかしにされ、餓死。
    そんな母親にでも会いたいと思う姉妹の心情と近親相姦で生まれた姉弟のそれが切ない。

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