アンサータン・ストーリーズ 公演情報 アンサータン・ストーリーズ」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
1-6件 / 6件中
  • 満足度★★★★

    玄人好み
    パラレルで進むストーリー。時間軸も因果も入り乱れていて難解。意図的だろうが、最後は広がった展開を投げ出したかのよう。ある程度筋立っている部分は感じたが、ラストはもう少しまとまっていると観やすい。嫌いじゃないけど玄人好み。

    ネタバレBOX

    もともと、日本のラジオ観ての流れで観に行ったので屋代秀樹やるんげに注目していたのもあるが、るんげの落ち着いた知性派のイメージが印象的。意外にも、といっては失礼だが、こういった役柄がハマるのは驚いた。いいキャスティングと演出。
  • 消えつつある心象バイアス劇、復活!!!
    体力がある…



    演出家は「存在を信じる」ことの大切さを説ている。いわゆる唯心論だ。


    白昼夢をペンに_そんな能力を盾に、3本の連載を抱えている売れっ子ライト・ノベル作家・島津。彼の数日間を、様々なハサミで紋切りした設定だと思われる。

    観客は、例えば それを紹介するシーンにおいても「白昼夢」の疑惑を抱かざるをえない。

    作家の心にあたる「白昼夢」と役者が紡ぐ「現実」の物語。その色はパープルである。


    ・私が非常にカルチャー・ショックを受けた映画に『ミスター・ノバティ』がある。ハリウッドの金を湯水のように使った大作だが日本においてミニ・シアターでしか上映されなかった「公開お蔵入り作品」だ。アメリカの映画評論家もボロクソだった 。「全米は泣かなかった」のである。

    「白昼夢」に陥った老人が過去の少年時代から回想。だが、その「夢」が人生(現実)の選択肢ともなり、バイク事故死、放浪者、科学者等、何と次々に現実化。サイエンス・ファンタジーである。


    「唯心論」の世界に観客を導くも、視覚的には一応の「現実」となっており、やっぱり この点、『クロ・クロ』舞台はカルチャー・ショックの再来だった。

    ネタバレBOX

    主人公の島津を演じた役者。
    開演後、小説家の仕事場であるデスクに直行するのだが、「移動」という、たかだか数秒に数年分の生活が あった。


    「白昼夢」の小説家をイメージすると太宰治だろう。 ところが、島津が 大家さん 、旧友と交わす会話のレスポンスの速さには驚いた。 これは反射だ。「白昼夢」を文字化する商いの島津は、現代社会の、あるいは他者の、完全なる『鏡』だったのだ。



    ・おそらく、映画『桐島、部活やめたってよ。』のように、大学時代の親友は霧に覆われた方がミステリアスだったろう。実際、文芸サークルのシーンにおいても親友は顔を出さなかったわけであり、むしろ いっそのこと「秘密のベール」に包んだ方が観客の心に反響した可能性がある。
  • 満足度★★★★

    才能

    大學の文芸サークルで、ライバル同士だった2つの才能。一人は、現在、売れっ子作家
    一人は、亡くなっていたが、一人の女性を巡って、才能同士が、微妙な関係・心理を紡ぐ。
    (追記後送)

  • 感想
    あらゆる情報、知識を誰もが一瞬の魔法のように手の平から取り出せる夢のような時代にあって、若者の鋭敏な感性がまるで地獄のような精神世界を強いられているという現実を痛いほど思い知らされた劇であった。自分の人生もこの世に起こる事もすべてが必然なのか、あまりにも完成度を高めた社会はそう言っているようだ。しかし実際は、すべてが不確実で不安定(アンサータン=uncertain)のようなのだ。そのような精神世界にあって最後の砦が、「信じる」ということなのだろう。信じたい、理解し合いたいー今の若者はなぜこれほど優しいのだろう、という日頃からの私の疑問が、一部解けたような気がした。

  • 満足度★★★★★

    シンプルなゲンパビ、カラフルなクロ・クロ
    大学の文学サークル出身で、夢で見たことを元に書くライトノベルで人気を博した作家が書いた原稿と酷似したことが起こり始め…な物語。
    ゲンパビによるオリジナルを観ていたが…いや、観ていればこそなおさらに早い段階から「どれが現実?」と訝りながら観ることとなり、胡蝶の夢、ドグラ・マグラ、クラインの壺的感覚が大好きな身にはタマらん!
    女優陣も様々なタイプを揃えてそれぞれステキで、女優系としてそっちの面の充実も嬉しい♪
    また、音楽・音響も好みで、特に序盤の音楽と、あるシーンでの「テープの逆回し」的な効果を施した(?)ある音が幻想の中というか、アヤしい世界にいざなう感覚で印象的。
    シンプルなゲンパビ版に対してこちらはカラフル、喩えればピアノ曲のオーケストラ編曲のようでそれぞれに味がある、といったところか。

  • 満足度★★★★★

    無題1274(14-323)
    19:30の回(晴)。19:00受付、開場。こちらは初めて。

    下手にクロスがかかった作家のデスク、ノートPC、辞書(新明解アクセント辞典?)、青いファイル、(たぶん原稿待ち)編集者用のテーブル、極小の椅子。六角形を半分にしたようなレイアウト、3面には正方形のパネル、客入時の案内では100分の予定、19:33開演~21:13終演。

    演出の千頭和直輝さんは「劇団肋骨蜜柑同好会」にいらした方で「(P.K.)Dick」という名前がでたとき、なるほどー、と思いました。

    屋代さんは「ツヤマジケン」を観ていて,出演していた三澤さんの「キスミー・イエローママ」はゲンパビで脚本の阿部さんと当日運営の新居さんにつながり、ちょっとジャンプするとフジタさん、るんげさん...一方、長くまちづくりを観続けた国枝さん。虚構の世界はどこまでつながっているのかと思うほどでした。

    ネタバレBOX

    劇中、ハイゼンベルクの「不確定性原理( Uncertainty principle)」に触れるところがあるように、本作は常に揺れ動き、振り返ると合わせ鏡に挟まれたような感覚に陥り、今と過去が裏と表で不可分になっているようでした。

    心療内科へ行くシーンでは作家の混乱と不安、死んだ友人の影に怯えているのかのようでした。

    ル・グィンの「天のろくろ」は、見た夢の通りに現実世界が変わってしまうお話で、小説として書いたことがその通り現実に起こってしまう本作に通じるものがあります。

    今と過去との歪みの切替(暗転)時に時を告げるチャイムが鳴っていた。

    意図的に曖昧な部分として残しておいたようなところもありましたが、不思議な感覚でとても面白く観ることができました。

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