感想
あらゆる情報、知識を誰もが一瞬の魔法のように手の平から取り出せる夢のような時代にあって、若者の鋭敏な感性がまるで地獄のような精神世界を強いられているという現実を痛いほど思い知らされた劇であった。自分の人生もこの世に起こる事もすべてが必然なのか、あまりにも完成度を高めた社会はそう言っているようだ。しかし実際は、すべてが不確実で不安定(アンサータン=uncertain)のようなのだ。そのような精神世界にあって最後の砦が、「信じる」ということなのだろう。信じたい、理解し合いたいー今の若者はなぜこれほど優しいのだろう、という日頃からの私の疑問が、一部解けたような気がした。