満足度★★★★★
新しい演劇スタイルを確立。
KAKUTAのリーディング公演は新たな演劇スタイルを生み出している。朗読劇と銘打っているが朗読というより、小説を舞台に再現するのに相応しい表現スタイルを生み出したと言っていいだろう。その功績は大きい。
9つの短編と全体を連なる物語を楽しませてもらったが、楽しくてしょうがなかった。それを3つの色にわけて上演していたのだが、色々なKAKUTAを楽しめてとても贅沢な気持ちになった。やはり3作品観るべきであろう。
満足度★★★★
広がりのある企画、広がりのある客席
「黒の夜」と「桃色の夜」を観ました。
これはただ単なる「小説の舞台化(リーディング)」ではなかったようです。
「文章を読む(音読する)」ということ、「せりふを話す」ということ。この企画は、二つの違った表現が作り出す波を使って、「読書」の時間、その世界を舞台に再現しようとしていました。
小説と、それを読む時間、そしてその時読み手の脳内に広がった世界……それらが同時にそこにあるような。
だからこそ観終わった時の感覚は「体験型」に近いというか。
満足度★★★★
小説の言葉を誠実に、まごころ込めて立体化。
短編小説を演劇にする企画です。3週間連続で新作3本を発表する底力は、長年活動を継続している劇団ならではなのでしょう。ゆるやかにつながる3公演のうち、《群青の夜》と《黒の夜》を拝見。《桃色の夜》は残念ながら観られませんでした。
各短編小説を古書店店主のオリジナルのエピソードでつないでいきます。くるくると頻繁に場面転換するのがスムーズで手堅いです。少なくない出演者が息を合わせて作品を成立させる、その一体感も見どころでした。
役者さんは登場人物の思いを素直に表現されていましたし、演出も誠実で、物語の進行に安心して身を任せられました。でも、演技が文章を追いかけて説明しているように見えて、退屈することもありました。俳優の身体と感情が言葉よりやや先行する(ように見せる)方が、劇の進行を停滞させないのではないでしょうか。朗読とセリフ、所作とのコンビネーションは、タイミングやバランスが難しいところですね。
役者さんの中では「ピエロ男」でタイトルロールを演じた若狭勝也さんと、「ネオン」でヤクザ志望の若者、「ささやく鏡」で主人公の幼なじみを演じた尾﨑宇内さんが特に印象に残りました。
終演後の客席で上演短編を収録した文庫本を販売し、劇場ロビーの物販は、劇団の15周年記念パンフレットや過去公演DVDなどが充実していました。小説と演劇が出会う期間限定イベントの魅力を温かくアピールし、毎週五反田に通いたい気持ちにさせてくれました。
満足度★★★★★
桃
ちょっと切ないけど、優しさに溢れ、思わず微笑んでしまう、素敵な作品群でした。歌(花れんさん)、ピアノ(扇谷研人さん)も、作品に合っていて、とても良かったです。
場内中央に舞台で、両端対面式に客席に、なってました。床と壁が桃色(と言っても、優しいサーモンピンク)で床に向かって濃くなるグラデーションで、優しく包み込まれる様でした。
テイストも魅力も違う3色に絡むオリジナルが、とても素晴らしかった。やっぱり3作共見て良かった、大満足です。
満足度★★★★★
黒
私事ですが、ホラーは超特大苦手なんですが、『群青』が良かったので、『黒』も、どうしても観たくなって観て正解でした。苦手な私にとっては、〈ギクッ!〉としたり、〈ドキドキ・ビクビク〉してしまいましたが、化け物系が〈ガッー!〉と出るのではなく、心理的にジワジワ迫ってくる恐怖心でした。その理由も本人の拘りと言うか、思い込みからだったりして、オリジナル『グラデーションの夜』と原作有りの3作品。まるっきり違うのに、共通点の様にも感じ、朗読もセリフもない場面での、視線と微笑みに、たくさんの想いや深い意味を込めた演出や、役者さん方、さすが!です。
満足度★★★★★
3色とも観ました!
朗読と俳優の演技のバランスが絶妙で、ページをめくる手が止まらず夢中に読み進める読書の時間のよう。私にはとても心地よいテンポに感じました。
イラストや写真や音楽とのコラボレーションで各色の特色を出しながらも一つの物語としての統一感もあり、各作品のセレクトと構成力の素晴らしさに感心しました。
最後の桃色で完結する物語になっており、そのダイナミックな構成から、最後はあふれ来る感動の波が押し寄せてきて涙が止まりませんでした。3つとも観ることができてよかった!
満足度★★★★★
物語るテンポの際立った秀逸
群青と桃色を拝見。
語られるペースが本当に良くて、心をかたむけてしまう。
群青とコラボした写真も、桃色とコラボした歌も、
それぞれの広がりで、見る側が受け取るいイメージを広げてくれて。
心地よさをこんなにしっかりと感じることができる舞台は
本当に久しぶりでした。
諸事情で黒を見損なったことがものすごく悔しい。
満足度★★★★★
素敵だ
可笑しくもちょっと切ない「いま何時?」「わか葉の恋」「春太の毎日」、あたたかーい気持ちで、自然に頬も緩んでくる。そして「春太の毎日」にリンクさせた「グラデーションの夜」のラストがやってくるのだが、まさかここで泣かせにくるとは!
それまでの芝居で完全に心のガードがはずれ、無防備になったところに泣かせるラストシーンもってくるんだもんなあ。
満足度★★★★
三作品とも拝見しました
「群青の夜」「黒の夜」「桃色の夜」の三作品とも観劇しました。
「朗読の夜」シリーズとして確立してきたスタイルも、それぞれ一緒に組んだアーティストによって、異なるカラーを打ち出してきて、それぞれ楽しむことができました。
「群青の夜」の写真や映像を効果的に使った作品は、これまでのKAKUTAでは、あまり無かったテイストで今後の作品づくりにも影響があるのではと期待します。
また、「桃色の夜」のかれんさんの歌声は、作品を見事に艶やかな色合いに染めていました。
こうした3作品連続上演を実現する劇団としてのパワーと、企画力の高さがKAKUTAの魅力だと思います。次には何をしてくれるのかが楽しみです。
満足度★★★★★
春
本当に幸せな気分になり、笑いもしっかり、最後にはホロッと切ない気持ちになり、色んな気持ちが凝縮された2時間でした。
今までの朗読シリーズもみてきて、それぞれ素晴らしかったが、今回はずば抜けてよかった!
いつまでもこの場にいたいと思わせるような作品でした。
満足度★★★★
幸せな時間(桃色の夜)
微笑ましい話が多く、ずっとニヤニヤしたり笑っていた気がします。幸せな時間を過ごさせていただきました。
3つの夜はテイストがそれぞれ異なっていながら、全てが完成度が高くかつ独立した作品となっている一方で、オリジナルストーリーが上手く効いており一つの作品としても堪能させていただきました。
満足度★★★★
「桃色の夜」観ました
元々好きな短編小説でしたが、朗読に芝居と音楽と映像が加わって、予想以上に見事な作品に仕上がっていました。楽しい時間を過ごさせてもらいました。
満足度★★★★
心の色まで桃色に染めた夜。
読み手の在り方にも意味合いを持たせ、リーディングという表現方法が話により膨らみを持たせる仕上がりになってて◎。10分押し、122分。
満足度★★★
ほっこり桃色
『桃色の夜』は恋にまつわる小説3編をオリジナルストーリーを間に絡めながら進行する作品でした。
どの話もドラマチックな大恋愛を描いたようなものではなく、実際にありえるような日常的な内容で共感しやすいものでした。演出も過不足のないとても分かりやすいもので安心して観ることが出来ました。演技も朗読も落ち着いたトーンで、耳に優しい雰囲気が気持ちよかったです。
恋愛に奥手な30歳の女性が一人旅を描いた『いま何時?』、結婚・離婚を経験して恋することに腰が引け気味な40代の女性2人を描いた『わか葉の恋』、トリッキーな設定ながら一途な思いが心を打つ『春太の毎日』と、それぞれテイストが異なりバラエティ豊かで楽しめました。特に『わか葉の恋』の2人の演技がユーモラスで良かったです。
オリジナルストーリーの『グラデーションの夜』は、ある1編のネタバレみたいになっているのがもったいなく感じました。
『群青』のときとは異なり(『黒』も『群青』と同じ客席配置だったそうです)、客席が対面配置となっていましたが、それほど演出上の効果が感じられませんでした。映像を使うなら前回と同じレイアウトのままの方が見やすかったと思います。
今回は音楽とのコラボレーションで、物語の内容に相応しい素敵な歌と演奏でした。